説明

車両のカウルグリル構造

【課題】雨水が、カウルグリルの分割面を通してエンジンルーム側へ侵入するのを防止する。
【解決手段】カウルグリル20が、上側グリル20Bと下側グリル20Aとの分割構成とされる。各分割グリル20B(20A)は、車幅方向に分割された複数の上側分割グリル20BR、20BL(20AR、20AL)で構成される。上側分割面LBと下側分割面LAとは、車幅方向において互いにずれた位置に設定される。上側分割面LBの下方に位置される下側分割グリル20ALには、上側分割面LBに対して下側分割面LA寄りの位置において、下側分割グリル20ALの底壁部31に滴下された雨水が下側分割面LAに向けて移動するのを規制する前後方向に伸びる立て壁部40が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のカウルグリル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フロントウインドガラスの前縁部からエンジンルームを覆うボンネットの後縁部下方に渡っては、車幅方向に伸びるカウルグリルが配設される。そして、このカウルグリルの前端部を、カウルフロントパネルの前端部に連結することも行われている。すなわち、カウルフロントパネルは、ダッシュパネルの上端部から一端前方へ伸びた後に上方に向けて伸びる本体部と、この本体部の上端から前方に向けて伸びる水平フランジ部とを有して、この水平フランジ部に対してカウルグリルの前端部を連結することが行われている。
【0003】
カウルグリルには空調用の空気取り入れ孔が形成されるが、この空気取り入れ孔を通してカウルフロントパネル内(本体部の上方空間内)に侵入した雨水は、その本体部の底部に設けた排水口を通して、エンジンルーム内の電装品に対して悪影響を与えない位置に排出されるのが通常である。特許文献1には、エンジンルーム内に配設された電装品の上方に樋部材を配設して、エンジンルーム後方に位置された上下方向に積層されたパネル材の隙間からエンジンルーム内へと漏れ出る雨水が、上記樋部材によって電装品に降りかからないようにしたものが提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、カウルグリルの空気取り入れ孔を通してカウルフロントパネル内に侵入した雨水が、カウルフロントパネルとカウルグリルとの間の隙間を通してエンジンルームに向けて移動しないように、カウルグリルに、上記隙間を塞ぐようにして下方に伸びるカバー部(特許文献2における符合47の部材)を設けることが提案されている。
【特許文献1】特開2006−62474号公報
【特許文献2】特開2003ー175862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カウルグリルは、自動車の車幅方向ほぼ全長に渡って長く伸びる大型部材となることから、製造の容易化等のために、カウルグリルを車幅方向に分割された複数の分割グリルによって構成することが考えられている。この場合、互いに隣り合う左右一対の分割グリルは、その分割面同士が突き合わされた状態で配設されることになり、隣り合う分割面同士の間に隙間が形成されてしまうことになる。このような分割式のカウルグリルにあっては、その分割面(合わせ面)を通して、雨水がエンジンルーム側へと移動し易いということが判明した。すなわち、高い位置にある分割面に付着あるいは侵入した雨水が、分割面を伝わって下方へ移動して、やがて分割面を伝わって前方へ向けても移動して、最終的にカウルグリルの前端からエンジンルーム内へと滴下される、という事態が生じ易くなる。より具体的には、カウルグリルが、ボンネットの後縁部下方から下方に伸びる縦壁部と、縦壁部の下端部から前方へ伸びる平面部を有する断面形状とされている場合に、分割面において、縦壁部に付着した雨水が、縦壁部の下端部から平面部へと移動して、やがて平面部の前端からエンジンルーム内へと滴下されるような事態が生じやすくなる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、カウルグリルを車幅方向に分割して構成した場合に、カウルグリルの分割面を通して雨水がエンジンルーム側へと侵入してしまう事態を防止できるようにした車両のカウルグリル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
フロントウインドガラスの前縁部からエンジンルームを覆うボンネットの後縁部下方に渡って配設されるカウルグリルであって、
上側グリルと下側グリルとの分割構成とされ、
前記上側グリルは、前記フロントウインドガラスの前縁部から前記ボンネットの後縁部下方に渡って伸びており、
前記下側グリルは、前記上側グリルの前縁部から下方に伸びる前壁部と、該前壁部の下端から後方へ伸びる底壁部とを有し、
前記上側グリルは、車幅方向に分割された複数の上側分割グリル同士を、その上側分割面同士を突き合わせることによって構成され、
前記下側グリルは、車幅方向に分割された複数の下側分割グリル同士を、その下側分割面同士を突き合わせることによって構成され、
前記上側分割面と前記下側分割面とは、車幅方向において互いにずれた位置に設定されており、
前記上側分割面の下方に位置される前記下側分割グリルには、該上側分割面に対して前記下側分割面側寄りの位置において、該下側分割グリルの底壁部に滴下された雨水が該下側分割面に向けて移動するのを規制する前後方向に伸びる立て壁部が形成されている、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、上側グリル(上側分割グリル)上に降りそそいだ雨水の一部は、その上側分割面を通して下方へ滴下される。上側分割面から滴下された雨水は、上側分割面の下方にある下側分割グリルの底壁部に受け止められて、この底壁部を通して後方へと排出されることになる。そして、上記底壁部に滴下された雨水は、立て壁部によって、下側分割グリルの下側分割面に移動することが規制されるので、底壁部上の雨水は後方へ確実に排出されて、分割面からの雨水が前方つまりエンジンルーム側へと移動することが防止されることになる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記各上側分割グリルにはそれぞれ、その上側分割面の位置において、該上側分割グリル上の雨水が前記上側分割面に向けて移動するのを規制する第1堰止め部が立設され、
前記上側分割グリルには、前記第1堰止め部によって堰止められた雨水を排出するための排出口が形成されている、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、上側分割グリル上の雨水が、上側分割面に移動してしまうことを第1堰止め部によって極力阻止して、雨水がエンジンルームへと移動してしまう事態をより一層確実に防止する上で好ましいものとなる。
【0010】
前記下側分割面の上方に位置する上側分割グリルの下面のうち、車幅方向において前記上側分割面と該下側分割面との間において、雨水が該上側分割グリルの下面に沿って前記下側分割面側に向けて車幅方向に移動するのを規制する第2の堰止め部が立設されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、雨水が上側分割面から上側分割グリルの下面に沿って下側分割面の上方位置へと移動してしまうことを第1の堰止め部によって阻止して、雨水がエンジンルームへと移動してします事態をより一層確実に阻止する上で好ましいものとなる。
【0011】
前記上側グリルの前縁部上面に、前記ボンネットとの間でシールを行うシール部材が取付けられ、
前記上側グリルは、前記シール部材の後方において上下方向に伸びる縦壁部を有し、
前記シール部材に、雨水が前記縦壁部を上昇するのを規制するリップ部が一体成形されている、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、シール部材のリップ部によって、上側分割グリルのうちシール部材の後方に付着している雨水が、縦壁部に沿って上方へ移動すること、つまりエンジンルームがある前方側へ移動することや、縦壁部の高い位置から車幅方向に沿って移動して上側分割面へ向けて移動することを阻止する上で好ましいものとなる。
【0012】
前記各上側分割グリルの低い位置に、車幅方向に伸びる溝部が形成され、
前記各上側分割グリルのうち前記上側分割面側の端部に、前記溝部を塞ぐ第1堰止め部が立設され、
前記溝部の底壁部に、雨水を排出するための排出口が形成されている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、上側分割グリル上に降りそそいだ雨水を、積極的に溝部に集中させると共にこの溝部の底部に形成された排出口から排出して、雨水が上側分割面に移動してしまう事態をより一層確実に防止する上で好ましいものとなる。
【0013】
前記カウルグリルの下方に、カウルフロントパネルが配設され、
前記カウルフロントパネルは、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルの上端部から一旦前方へ伸びた後前上がりに傾斜して伸びる本体部と、該本体部の上端部から前方へ向けて伸びるフランジ部とを有しており、
前記下側分割グリルにおける前記底壁部の前縁部が、前記フランジ部の上面に対して連結され、
前記下側分割グリルにおける前記底壁部が、前記フランジ部よりも後方となる前記本体部上にまで伸びている、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、カウルグリルからの雨水を、通常行われているように、カウルフロントパネル内に回収、排出させることができる。特に、上側分割面から滴下される雨水を、下側分割グリルの底壁部を介してカウルフロントパネル内に回収させる上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カウルグリルの分割面を通して雨水がエンジンルーム側へと侵入してしまう事態を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1,図2において、フロントエンジン式とされた車両としての自動車Vは、前方にあるエンジンルーム1とその後方にある車室2とが、上下方向に伸びるダッシュパネル(ダッシュロアパネル)3によって仕切られている。ダッシュパネル3の上端部には、ダッシュアッパパネル4が接合されている。このダッシュアッパパネル4は、フロントパネル4Aとリアパネル4Bとによって閉断面状に構成されているが、剛性調整のために開口部4aを有するものとされている。このダッシュアッパパネル4には、フロントウインドガラス5の前縁部(下端部)が支承されている。そして、エンジンルーム1は、ボンネット6(閉状態のボンネット)によって上方から覆われている。
【0016】
図2において、ダッシュパネル3の上端部には、カウルフロントパネル10が連結されている。このカウルフロントパネル10は、一端前方へ伸びた後上方に向けて伸びる本体部11と、本体部11の上端(前端)から前方へ水平に伸びるフランジ部12とを有する。本体部11は、ダッシュアッパパネル4と共働して車幅方向に長く伸びる大きな空間Sを構成している。そして、本体部11の底部には、図示を略すが、空間S内の雨水を外部へ排出するための排出口が開口されている(この排出口からの雨水は、図示を略す排水管を介して路面に向けて排出される)。
【0017】
カウルフロントパネル10の上方には、カウルグリル20が配設されている。このカウルグリル20は、自動車Vの車幅方向ほぼ全長に渡って長く伸びている。カウルグリル20は、その後端部がフロントウインドガラス5の前縁部上に位置される一方、その前端部が、ボンネット6の後縁部下方に位置されている。このカウルグリル20によって、カウルフロントパネル10の上方が覆われている。
【0018】
カウルグリル20の前縁部上面には、後述するようにシール部材22が取付けられており、このシール部材22によって、カウルグリル20と閉じられた状態のボンネット6との間がシールされる。また、カウルグリル20には、図1,図2に示すように、シール部材22の後方において、空調用の空気取り入れ孔23が多数の小孔を集合させた形式で形成されている。
【0019】
カウルグリル20は、実施形態では、上下左右の4つに分割された分割構成とされている。すなわち、カウルグリル20は、下側グリル20Aと上側グリル20Bとの上下2分割構成とされている。そして、特に図3、図4に示すように、下側の分割グリル20Aが、車幅方向において、下左分割グリル20ALと下右分割グリル20ARとの2分割とされて、その分割面(突き合わせ面)が符合LAで示される。また、上側の分割グリル20Bが、車幅方向において、上左分割グリル20BLと上右分割グリル20BRとの2分割とされて、その分割面(分割線で、突き合わせ面になる)が符合LBで示される。そして、実施形態では、各分割面LAとLBとは、車幅方向に若干ずれた位置(例えば数cm)となるように設定されている。各分割グリル20AL、20AR、20BL、20BRは、それぞれ合成樹脂によって形成されている(例えば射出成形)。
【0020】
下側の分割グリル20Aの断面形状は、次のように設定されている。すなわち、図2に示すように、ボンネット6の後縁部下方位置から下方へ向けて伸びる前壁部30と、前壁部30の下端部から後方へ水平に伸びる底壁部31とを有する。この底壁部31が、カウルフロントパネル10におけるフランジ部12上に載置された状態で、図示を略す固定具によって連結されている(フランジ部12と底壁部31との間には、図示を略すが、薄いシール部材が介在されている)。上記底壁部31は、フランジ部12の後端を超えて後方に伸びていて、その後縁部は、本体部11の上方に位置されている。
【0021】
また、上側の分割グリル20Bの断面形状は、次のように設定されている。すなわち、下分割グリル20Aにおける前壁部30の上端部後方から水平に伸びるシール受け面部35とされ、このシール受け面部35上に、前述したシール部材22が取付けられている。なお、シール部材22は、車幅方向全長に渡って一体とされている(車幅方向の分割面なし)。シール受け面部35の後端からは、下方へ伸びる縦壁部36が連なり、この縦壁部36の下端からは、図2に示すような断面形状の後方延長部37が連なる。後方延長部37は、上記縦壁部36の下端から一旦水平に後方に伸びた伸びる部分を有し、その後部分に、後上がりの傾斜部分とその上端から後下がりの傾斜部分とを有する隆起部37aが形成されている。この隆起部37aと縦壁部36との間の低い部分が、車幅方向に伸びる溝部38とされている。なお、左右の上分割グリル20BL、20BRは、図示を略す取付ブラケット等を介してカウルフロントパネル10に対して連結されている。
【0022】
上記溝部38の底壁部分のうち後端部には、溝部38にある雨水を排出するための排出口52が形成されている。この排出口52は、車幅方向に間隔をあけて複数形成されている。また、排出口52の直前方位置において、溝部38の底壁部下面から片方に伸びる縦壁部50が形成されている。この縦壁部50は、実施形態では、分割グリル20BR(20BL)の車幅方向全長に渡って伸びているが、排出口52の前方位置においてのみ形成するようにしてもよい。この縦壁部50によって、排出口52からの雨水が、溝部38の底壁部下面を伝わって分割面LBやLA上方位置に向けて移動することが防止される。
【0023】
図2〜図5に示すように、前記下側分割グリル20AL、20ARのうち、下側分割面LA部分には、前後方向に伸びる立て壁部40が立設されている。この縦壁部40は、前壁部30の後面から、底壁部31に沿って後方へ伸びて、底壁部31の後端よりも若干後方にまで伸びている。すなわち、立て壁部40は、底壁部31のうち下側分割面LA側端を堰き止めるものとなっていて、底壁部31上の雨水が下側分割面LAに向けて移動するのを規制するようになっている。
【0024】
次に、以上のような構成の作用について説明する。まず、上側グリル20B(20BL、20BR)上に降りそそいだ雨水は、その上側分割面LBを通して、下側グリル20A(下側分割グリル20AL、20AR)における底壁部31上に滴下される。底壁部31上の雨水は、底壁部31に沿って後方へ移動して、カウルフロントパネル10内(本体部12上)に回収、排出されることになる。底壁部部31の下側分割面LA側端部には、立て壁部40があるため、底壁部31上の雨水は、下側分割面LAに移動することなく、後方へのみ移動されることになる。なお、底壁部31上の雨水が前方へ移動することは、前壁部30によって完全に規制される。また、雨水が流れ込みやすい溝部38内の雨水は、排出口52から下方へ滴下されることになる。そして、排出口52からの雨水は、縦壁部50によって、溝部38の底壁部下面に向けて移動することも防止される。
【0025】
図6,図7は、本発明の第2の実施形態を示すものである。本実施形態では、まず、上側分割グリル20BL、20BRに形成されている溝部38の車幅方向各端部(少なくとも上側分割面LB側の端部)に、第1の堰止め部51を立設してある。この第1の堰止め部51によって、溝部38の端部、特に上側分割面LB側の端部が塞がれて、溝部38内に集中する雨水が上側分割面LBに向けて移動するのを確実に阻止するようにしてある。
【0026】
また、本実施形態では、シール部材22に、上側グリル20Bの縦壁部36の上縁部を覆って、縦壁部36よりも後方へ突出するリップ部22aを一体成形してある。このリップ部22aによって、溝部38内の雨水が、前方へ移動したり、縦壁部36の高い位置を車幅方向(特に上側分割面LBに向けて)に移動してしまう事態が防止される。
【0027】
さらに、本実施形態では、下側分割面LAの上方に位置される上側分割グリル20BRの下面に、第2の堰止め部55を立設してある。この第2の堰止め部55は、車幅方向においては、上側分割面LBと下側分割面LAとの間の位置となるように設定されている(図3一点鎖線で、第2の堰止め部55の車幅方向位置が示される)。そして、第2の堰止め部55の前後方向長さは、溝部38の前端位置よりも前方に伸び、かつ溝部38の後端位置よりも後方に伸びるような長さに設定されている。これにより、溝部38付近から上側分割面LBに移動した雨水が、その後、上側分割グリル20BRの下面に沿って下側分割面LAの直上方位置にまで移動してしまう事態が防止されることになる。
【0028】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明が適用された自動車の前部を示す斜視図。
【図2】図1のX2−X2線相当断面図。
【図3】分割グリルの分割面部分を示す要部平面図。
【図4】分割グリルの分割面付近を示す分解斜視図。
【図5】図4のX5−X5線相当断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態を示すもので、図4に対応した分解斜視図。
【図7】図6のX7−X7線相当断面図。
【符号の説明】
【0030】
V:自動車
LA:分割面(下分割グリルの分割面)
LB:分割面(上分割グリルの分割面)
1:エンジンルーム
2:車室
3:ダッシュパネル
10:カウルフロントパネル
11:本体部
12:フランジ部
20:カウルグリル
20A:下分割グリル
20AL:下左分割グリル
20AR:下右分割グリル
20B:上分割グリル
20BL:上左分割グリル
20BR:上右分割グリル
22:シール部材
22a:リップ部
30:前壁部
31:底壁部
35:シール受け面部
36:縦壁部
38:溝部
40:立て壁部
51:第1の堰止め部
52:排出口
55:第2の堰止め部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントウインドガラスの前縁部からエンジンルームを覆うボンネットの後縁部下方に渡って配設されるカウルグリルであって、
上側グリルと下側グリルとの分割構成とされ、
前記上側グリルは、前記フロントウインドガラスの前縁部から前記ボンネットの後縁部下方に渡って伸びており、
前記下側グリルは、前記上側グリルの前縁部から下方に伸びる前壁部と、該前壁部の下端から後方へ伸びる底壁部とを有し、
前記上側グリルは、車幅方向に分割された複数の上側分割グリル同士を、その上側分割面同士を突き合わせることによって構成され、
前記下側グリルは、車幅方向に分割された複数の下側分割グリル同士を、その下側分割面同士を突き合わせることによって構成され、
前記上側分割面と前記下側分割面とは、車幅方向において互いにずれた位置に設定されており、
前記上側分割面の下方に位置される前記下側分割グリルには、該上側分割面に対して前記下側分割面側寄りの位置において、該下側分割グリルの底壁部に滴下された雨水が該下側分割面に向けて移動するのを規制する前後方向に伸びる立て壁部が形成されている、
ことを特徴とする車両のカウルグリル構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記各上側分割グリルにはそれぞれ、その上側分割面の位置において、該上側分割グリル上の雨水が前記上側分割面に向けて移動するのを規制する第1堰止め部が立設され、
前記上側分割グリルには、前記第1堰止め部によって堰止められた雨水を排出するための排出口が形成されている、
ことを特徴とする車両のカウルグリル構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記下側分割面の上方に位置する上側分割グリルの下面のうち、車幅方向において前記上側分割面と該下側分割面との間において、雨水が該上側分割グリルの下面に沿って前記下側分割面側に向けて車幅方向に移動するのを規制する第2の堰止め部が立設されている、
ことを特徴とする車両のカウルグリル構造。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記上側グリルの前縁部上面に、前記ボンネットとの間でシールを行うシール部材が取付けられ、
前記上側グリルは、前記シール部材の後方において上下方向に伸びる縦壁部を有し、
前記シール部材に、雨水が前記縦壁部を上昇するのを規制するリップ部が一体成形されている、
ことを特徴とする車両のカウルグリル構造。
【請求項5】
請求項1において、
前記各上側分割グリルの低い位置に、車幅方向に伸びる溝部が形成され、
前記各上側分割グリルのうち前記上側分割面側の端部に、前記溝部を塞ぐ第1堰止め部が立設され、
前記溝部の底壁部に、雨水を排出するための排出口が形成されている、
ことを特徴とする車両のカウルグリル構造。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記カウルグリルの下方に、カウルフロントパネルが配設され、
前記カウルフロントパネルは、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルの上端部から一旦前方へ伸びた後前上がりに傾斜して伸びる本体部と、該本体部の上端部から前方へ向けて伸びるフランジ部とを有しており、
前記下側分割グリルにおける前記底壁部の前縁部が、前記フランジ部の上面に対して連結され、
前記下側分割グリルにおける前記底壁部が、前記フランジ部よりも後方となる前記本体部上にまで伸びている、
ことを特徴とする車両のカウルグリル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−149165(P2009−149165A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327606(P2007−327606)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】