説明

車両のバッテリ交換装置

【課題】バッテリ交換時間の短縮を図ることができる車両のバッテリ交換装置を提供する。
【解決手段】テーブル13aの上面には検知スイッチ17が設けられるとともに、地上におけるテーブル13aの下面と対向する位置には測距センサ15が設けられている。そして、バッテリ収納部11aに収納されたバッテリBを取り外す際に、測距センサ15は、テーブル13a上にバッテリBが載置されたときのテーブル13aの高さを検出する。そして、バッテリ収納部11aに新たなバッテリBを装着する際に、CPUは、測距センサ15により検出されたテーブル13aの高さと車高変動量とを加算して得られた取付目標高さに、テーブル13aが停止するように昇降用モータを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバッテリ交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッドカーのように動力源として大型のバッテリ(バッテリユニット)を搭載した車両のうち、電気自動車においては、バッテリの充電量が所定量以下になると、電気自動車のバッテリ交換装置を用いてバッテリを満充電された新たなバッテリに交換することが考えられる。このような、電気自動車のバッテリ交換装置としては、例えば特許文献1のものがある。
【0003】
特許文献1の電気自動車のバッテリ交換装置は、電気自動車が停止した状態において、電気自動車におけるバッテリ車体収納部の下方に配置される昇降手段を備えている。昇降手段は、バッテリユニットを載置可能な交換テーブルと、交換テーブルを昇降させる昇降装置とから構成されている。
【0004】
そして、バッテリ交換時において、昇降装置により交換テーブルをバッテリ車体収納部に向けて上昇させ、バッテリユニットを交換テーブル上に支持する。そして、バッテリ車体収納部内に設けられたロック装置によりバッテリユニットがバッテリ車体収納部に対してロックされた状態を解除することで、バッテリユニットが交換テーブル上に載置されて、バッテリユニットがバッテリ車体収納部から取り外される。
【0005】
また、新たなバッテリユニットをバッテリ車体収納部に装着する際には、新たなバッテリユニットが予め交換テーブル上に載置された状態で、昇降装置により交換テーブルをバッテリ車体収納部に向けて上昇させる。そして、新たなバッテリユニットがバッテリ車体収納部内に収納され、ロック装置により新たなバッテリユニットがロックされると、新たなバッテリユニットがバッテリ車体収納部に装着され、バッテリ交換作業が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−262951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、バッテリ車体収納部の下方に配置される昇降手段を用いてバッテリユニットをバッテリ車体収納部に装着する場合、交換テーブルがバッテリユニット下面に接触するまでの昇降装置の昇降ストロークは、タイヤの空気圧や乗車人員数等によって変動する。そして、バッテリユニットが取り外されると車両重量が軽くなるため、昇降装置の昇降ストロークが、バッテリユニット取り外し時と取り付け時とで異なってしまうことになる。
【0008】
特許文献1の電気自動車のバッテリ交換装置では、交換テーブルを上昇させ、その交換テーブルにバッテリユニットが密着したことが検出されると、その密着に基づいて交換テーブルの上昇が停止される構成となっている。すなわち、交換テーブルがどの高さ位置で停止されるか決まっておらず、バッテリユニットとの接触が検出されるまで昇降装置は一定の低速を保ちながら交換テーブルを上昇させることになる。このため、特許文献1の電気自動車のバッテリ交換装置では、新たなバッテリユニットを取り付ける際にも、交換テーブルがバッテリユニットに密着するまで、その交換テーブルを一定速度で上昇させなければならず、バッテリユニットの交換時間の長時間化に繋がるという問題が生じていた。
【0009】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、バッテリ交換時間の短縮を図ることができる車両のバッテリ交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車両下部に設けられたバッテリ収納部に対して下方からバッテリの脱着を行うために、前記バッテリが載置されるテーブルを昇降可能な昇降手段を備えた車両のバッテリ交換装置であって、前記バッテリ収納部に収納された前記バッテリの下面に対して前記テーブルの上面が当接するときの前記テーブルの高さを測定する測定手段と、前記昇降手段を制御して前記テーブルの高さを可変にする制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記バッテリ収納部に新たなバッテリを装着する際に、前記測定手段により測定された前記テーブルの高さに対し、前記バッテリが前記バッテリ収納部から取り外されたときに生じる前記車両の車高変動量を加算して得られる高さに、前記テーブルが位置するように前記昇降手段を制御することを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、バッテリがバッテリ収納部から取り外されると、車両の車高が変動し、その変動後の高さが新たなバッテリの装着高さとなるが、その変動後の高さを予め把握することができる。このため、変動後の高さまでテーブルを上昇させることができる。よって、変動後の高さが把握できず、例えば、リミットスイッチにより変動後の高さを検出する場合に比べて、テーブルを上昇させる時間を短縮することができ、バッテリ交換時間の短縮を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記測定手段は、前記テーブルの上面に設けられる接触式の検知スイッチと、前記検知スイッチが前記バッテリの下面に接触してオンになったときの前記テーブルの高さを測定する測距センサとから構成されていることを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、バッテリの下面に対してテーブルの上面が当接するときのテーブルの高さを正確に測定することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記検知スイッチは、前記テーブルの上面に複数設けられていることを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、検知スイッチが同時にオンされることで、バッテリの下面がテーブルの上面に対して傾いていないことを確認することができる。よって、検知スイッチが一つしか設けられていない場合と異なり、バッテリが傾いているか否かを正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、バッテリ交換時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態におけるバッテリ交換システムを示す模式図。
【図2】電気自動車とリフタとの関係を示す模式図。
【図3】バッテリ交換装置の電気的構成を示すブロック図。
【図4】(a)は検知スイッチがバッテリの下面に接触してオンした状態を示す模式図、(b)はバッテリがバッテリ収納部から取り出されてバッテリがテーブル上に載置された状態を示す模式図、(c)はテーブルがバッテリを載置した状態で下降している状態を示す模式図、(d)はテーブルから走行台にバッテリが授受されて走行台上にバッテリが載置された状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を電気自動車のバッテリ交換装置に具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
まず、本実施形態のバッテリ交換装置10を備えたバッテリ交換システムSの全体構成について説明する。図1に示すように、バッテリ交換システムSは、地上に設けられるバッテリ交換装置10と、バッテリ交換装置10の上方に設けられるとともに車両としての電気自動車11を支持する支持台12と、矩形箱状をなすバッテリBを格納するバッテリ用自動倉庫20とを備えている。さらに、バッテリ交換システムSは、バッテリ交換装置10との間でバッテリBを授受可能であるとともに、バッテリ用自動倉庫20側へバッテリBを搬送可能な搬送装置14を備えている。
【0018】
図2に示すように、電気自動車11には、バッテリBを車体の下方から出し入れ可能に収納するバッテリ収納部11aが設けられるとともに、バッテリ収納部11aの周囲には、バッテリ収納部11aに収納されたバッテリBの落下を防止するロック装置11bが設けられている。ロック装置11bは、ピストンロッド11cがバッテリBに形成された掛止孔(図示せず)に進入、離脱可能に配設されたシリンダで構成され、バッテリBを4箇所でロック可能になっている。そして、バッテリBの充電量が所定量以下になると、そのバッテリBはバッテリ交換装置10を用いて、バッテリ用自動倉庫20内に格納された満充電状態の新たなバッテリBと交換される。
【0019】
次に、支持台12について説明する。
支持台12は、バッテリ交換の際に電気自動車11が水平状態で停止するように設けられるとともに、図示しないスロープから電気自動車11が予め定められたバッテリ交換位置に停止するように構成されている。さらに、支持台12には、電気自動車11がバッテリ交換位置に停止した状態において、バッテリ収納部11aとバッテリ交換装置10との間におけるバッテリBの移動に支障を来たさない大きさの開口12aが形成されている。なお、この開口12aは、電気自動車11がバッテリ交換位置に対して車幅方向にずれた位置に停止した状態であっても、バッテリ収納部11aとバッテリ交換装置10との間におけるバッテリBの移動に支障を来たさない大きさに形成されている。
【0020】
次に、バッテリ用自動倉庫20について説明する。
図1に示すように、バッテリ用自動倉庫20は、ラック21と、スタッカクレーン25とを備えている。ラック21は、床面に対して直交する上下方向に延びるとともに通路の長手方向(図1の紙面と垂直方向)に沿って立設される複数本の支柱22と、隣り合う支柱22で対をなすように上下方向に沿って等間隔おきに配設された棚板23とから構成されている。そして、ラック21には、支柱22と棚板23との枠組みにより、回収された使用済みのバッテリBを一時格納するとともに、充電された新たなバッテリBを格納可能な格納部24が上下方向及び通路の長手方向にそれぞれ複数ずつ区画形成されている。なお、図示しないが、複数の格納部24のうちの少なくとも一つには、使用済みのバッテリBを充電する充電装置が設けられている。
【0021】
スタッカクレーン25は、通路の長手方向に沿って通路の底部に敷設された図示しない走行レール上を走行可能に配置されている。スタッカクレーン25は、走行レール上を走行可能な走行輪26aを有する走行台26と、走行台26上に立設された一対のマスト27と、一対のマスト27間に上下動(昇降動作)可能に配設された昇降キャリッジ28とを備えている。昇降キャリッジ28は、図示しないワイヤを介してマスト27間に吊り下げられている。
【0022】
また、昇降キャリッジ28上にはフォーク装置29が設けられている。フォーク装置29は、予め定められた移載基準位置に搬送されたバッテリBをすくい上げたり、格納部24に格納されている新たなバッテリBをすくい上げて新たなバッテリBを移載基準位置に搬送したりする。なお、この移載基準位置は、スタッカクレーン25の走行により移動可能な位置であれば自由に設定できるようになっている。
【0023】
次に、バッテリ交換装置10について説明する。
バッテリ交換装置10は、バッテリ収納部11aに対してバッテリBを脱着するためにバッテリBを昇降する昇降手段としてのリフタ13を備えている。
【0024】
図2に示すように、リフタ13は、バッテリBが載置されるテーブル13aを有するとともに、テーブル13aを昇降可能な2組のリンク31,32を備えたパンタグラフ式の構成になっている。両リンク31,32は、同じ長さで中央部が軸により回動可能に連結されるとともに、上端がテーブル13aに固定された一対の上側支持部材33に連結され、下端が一対の下側支持部材34に連結されている。第1リンク31は下端が下側支持部材34に回動可能に連結されるとともに、上端が上側支持部材33に形成された長孔33aに沿って移動可能に設けられた上側支軸35に回動可能に連結されている。第2リンク32は下端が下側支持部材34に形成された長孔34aに沿って移動可能に設けられた下側支軸36に回動可能に連結されるとともに、上端が上側支持部材33に回動可能に連結されている。
【0025】
リフタ13には、テーブル13aを昇降させるために2組のリンク31,32を駆動させるための昇降用モータ13b(図3参照)が設けられている。そして、昇降用モータ13bの正転駆動時には第1リンク31及び第2リンク32の端部の間隔が狭くなってテーブル13aが上昇し、昇降用モータ13bの逆転駆動時には第1リンク31及び第2リンク32の端部の間隔が広くなってテーブル13aが下降するようになっている。
【0026】
このようにして、テーブル13aは、昇降用モータ13bの駆動により2組のリンクが駆動されて、バッテリ収納部11aに対してバッテリBを取り外すため、あるいはバッテリ収納部11aに対してバッテリBを装着するために昇降されるようになっている。
【0027】
地上におけるテーブル13aの下面と対向する位置には、テーブル13aの高さを測定する光学式の測距センサ15が設けられている。測距センサ15は、投受光型の光センサで構成されるとともに、図示しない投光部と受光部とを備えている。投光部と受光部とは一体で構成されるとともに、投光部及び受光部は、適宜、切換可能である。
【0028】
また、測距センサ15のレーザ光における出射方向と対向するテーブル13aの下面には、投光部から出射されたレーザ光を受光部に向けて反射させる反射板16が設けられている。投光部から出射されたレーザ光は、反射板16に入射するとともに反射板16により反射され、反射板16により反射された一定の方向性を持ったレーザ光が受光部へ受光されるようになっている。測距センサ15は、受光部でのレーザ光の受光に基づき、測距センサ15と反射板16との距離を測定する機能を有している。
【0029】
テーブル13aの上面には、検知スイッチ17がテーブル13aの上面から突出するように複数(本実施形態では二つ)設けられている。二つの検知スイッチ17は、テーブル13aにおいて、その長手方向の両側に配設されている。検知スイッチ17は、バッテリBの下面に接触してオンになる接触式のリミットスイッチで構成されるとともに、各検知スイッチ17の上面はそれぞれ同一平面上に位置するようになっている。そして、検知スイッチ17がオン状態になると、検知スイッチ17はテーブル13aの上面から没入して、テーブル13a上にバッテリBが載置されたことが検出されるようになっている。
【0030】
次に、搬送装置14について説明する。
搬送装置14は、バッテリ交換位置に停止した電気自動車11の前後方向と直交する方向(以下、「搬送方向」とする。)に移動可能になっている。また、搬送装置14は、搬送方向に沿うように床面に敷設された図示しないレール上を走行可能な走行輪14bを有する走行台14aを備えている。走行台14aは、搬送方向へ長辺が延びる矩形板状をなすとともに、走行台14a上にバッテリBが載置されるようになっている。走行台14aには、走行輪14bを回転駆動するための走行用モータ(図示せず)が設けられている。そして、搬送装置14は、走行用モータの駆動により走行輪14bが回転駆動されて、搬送方向に沿って走行するようになっている。
【0031】
また、搬送装置14は、走行台14aが、下降状態におけるリフタ13のテーブル13aよりも上方に位置するように、支持台12の下まで移動可能になっている。走行台14aの略中央部には、リフタ13のテーブル13aが通過可能な貫通孔(図示せず)が形成されている。この貫通孔は、バッテリBが走行台14a上に載置されたときに、バッテリBが貫通孔を介して落下してしまうことのない開口面積となるように形成されている。
【0032】
次に、本実施形態におけるバッテリ交換装置10の電気的構成について説明する。
図3に示すように、バッテリ交換装置10は、中央演算装置であるCPU(CENTRAL PROCESSING UNIT)19a及びメモリ19bを有する制御装置19を備えている。メモリ19bには、リフタ13の昇降及び搬送装置14の走行を制御するための各種制御用プログラムが記憶されるとともに、各種演算処理結果や各種制御データ等が記憶される。また、メモリ19bには、バッテリBがバッテリ収納部11aから取り外されたときに生じる電気自動車11の車高変動量Y(図4(b)参照)が予め記憶されている。この車高変動量Yは、バッテリBの重さや車種毎に異なり、予め測定されている。
【0033】
また、制御装置19は、昇降用モータ13bと電気的に接続されている。そして、CPU19aは、メモリ19bに記憶された各制御用プログラムに従ってバッテリ交換作業時に昇降用モータ13bを制御する。また、制御装置19は測距センサ15と信号接続されるとともに、測距センサ15の検出信号は、CPU19aへ出力されるようになっている。そして、CPU19aは、この検出信号に基づいてテーブル13aの高さを検出するようになっている。
【0034】
さらに、制御装置19は検知スイッチ17と電気的に接続されている。そして、バッテリ収納部11aに収納されたバッテリBの下面に検知スイッチ17が接触してオンされると、すなわち、テーブル13a上にバッテリBが載置されると、オンされた旨の信号がCPU19aに出力される。さらに、この信号を受信したCPU19aは、測距センサ15の検出信号に基づいて、テーブル13aの上面がバッテリBの下面に当接したときのテーブル13aの高さを検出する。よって、検知スイッチ17及び測距センサ15は、バッテリBがバッテリ収納部11aに収納された状態において、テーブル13aの上面がバッテリBの下面に当接するときのテーブル13aの高さを測定する測定手段を構成している。
【0035】
次に、上記構成のバッテリ交換装置10における作用について説明する。
電気自動車11がバッテリ交換位置に停止した状態において、走行台14aが下降状態におけるリフタ13のテーブル13aよりも上方に位置するように、支持台12の下方で停止すると、CPU19aは、昇降用モータ13bを制御してテーブル13aを上昇させる。そして、図4(a)に示すように、テーブル13aが搬送装置14の開口及び支持台12の開口12aを介してバッテリBの下面まで到達するとともに、各検知スイッチ17がバッテリBの下面に接触して同時にオン状態になる。
【0036】
ここで、各検知スイッチ17が同時にオンされず、例えば、一方の検知スイッチ17がオンされてから所定時間経過した後に他方の検知スイッチ17がオンされた場合、CPU19aは、バッテリBがテーブル13aに対して大きく傾いた状態になっていると判断して、バッテリ交換作業を強制終了させる。
【0037】
各検知スイッチ17が同時にオンされると、オンされた旨の信号がCPU19aに送信されて、CPU19aは、まず昇降用モータ13bの駆動を停止させる。さらに、測距センサ15の検出信号に基づいて、各検知スイッチ17がバッテリBの下面に接触して同時にオンになったときのテーブル13aの高さを検出するとともにこの検出結果がメモリ19bに記憶される。
【0038】
次に、図4(b)に示すように、テーブル13aの上面がバッテリBの下面に当接した状態において、ロック装置11bのピストンロッド11cがバッテリBの掛止孔から離脱して、バッテリBのロック状態が解除されるとともに、バッテリBがバッテリ収納部11aから取り出されて、バッテリBがテーブル13aに支持される。このとき、電気自動車11は、バッテリBがバッテリ収納部11aから取り外されたときに生じる車高変動量Y分だけ車高が高くなる。
【0039】
図4(c)に示すように、テーブル13a上にバッテリBが載置された状態において、CPU19aは、昇降用モータ13bを制御してテーブル13aを下降させる。そして、テーブル13aが搬送装置14の開口を通過する際に、テーブル13a上に載置されていたバッテリBは、図4(d)に示すように、搬送装置14の走行台14aに授受されて、走行台14a上に載置される。その後、搬送装置14により使用済みのバッテリBが移載基準位置に搬送されるとともに、フォーク装置29により使用済みのバッテリBが所定の格納部24に一時格納される。
【0040】
次に、格納部24に格納されている満充電状態の新たなバッテリBがフォーク装置29により搬送装置14の走行台14a上に移載される。そして、搬送装置14により新たなバッテリBがリフタ13側へ搬送される。
【0041】
次に、CPU19aは、昇降用モータ13bを制御してテーブル13aを上昇させる。このとき、CPU19aは、メモリ19bに記憶されている測距センサ15の検出結果と車高変動量Yとを加算して得られた取付目標高さを予め算出し、その取付目標高さにテーブル13aが停止するように昇降用モータ13bを制御する。また、テーブル13aが搬送装置14の開口を通過する際には、走行台14a上に載置された新たなバッテリBは、テーブル13aに授受されて、テーブル13a上に載置される。このとき、検知スイッチ17がオン状態になることで、走行台14aとテーブル13aとの間の授受動作が正常に行われたことを確認することができる。一方、このとき、検知スイッチ17がオン状態にならない場合、走行台14aとテーブル13aとの間の授受動作が正常に行われなかったとして、CPU19aは、昇降用モータ13bの駆動を停止するように制御する。
【0042】
そして、テーブル13aが取付目標高さに停止されると、新たなバッテリBが、バッテリ収納部11a内においてバッテリBが取り付けられていた位置に配置される。そして、ロック装置11bのピストンロッド11cをバッテリBの掛止孔に進入することにより新たなバッテリBをロックする。これにより、新たなバッテリBがバッテリ収納部11aに装着されて、バッテリ交換作業が完了する。
【0043】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)バッテリ収納部11aに収納されたバッテリBを取り外す際に、測距センサ15は、テーブル13a上にバッテリBが載置されたときのテーブル13aの高さを検出する。そして、バッテリ収納部11aに新たなバッテリBを装着する際に、CPU19aは、測距センサ15により検出されたテーブル13aの高さと車高変動量Yとを加算して得られた取付目標高さに、テーブル13aが停止するように昇降用モータ13bを制御する。よって、バッテリBがバッテリ収納部11aから取り外されて、電気自動車11の車高が変動しても、その変動した高さを予め把握しておき、その変動後の高さまでテーブル13aを上昇させることができる。したがって、変動後の高さが把握できず、例えば、リミットスイッチにより変動後の高さを検出する場合に比べて、テーブルを上昇させる時間を短縮することができ、バッテリ交換時間の短縮を図ることができる。
【0044】
(2)バッテリBを取り外す際に、テーブル13aにバッテリBが載置されたときのテーブル13aの高さを測距センサ15により検出し、その検出結果に基づいて、新たなバッテリBを装着するときのテーブル13aの高さ(取付目標高さ)を算出する。このため、電気自動車11に人が乗っていたり、タイヤ空気圧の差により車高が異なっていたりしても、その都度、バッテリ交換時の高さを直接検出することができるため、バッテリBを装着するときの高さ(取付目標高さ)までテーブル13aを正確に上昇させることができる。
【0045】
(3)テーブル13aの上面には検知スイッチ17が設けられるとともに、地上におけるテーブル13aの下面と対向する位置には測距センサ15が設けられている。そして、測距センサ15は、検知スイッチ17がバッテリBの下面に接触してオンになったときのテーブル13aの高さを測定する。よって、例えば、非接触式のセンサにより、バッテリBの下面に対してテーブル13aの上面が当接するときのテーブル13aの高さを測定する場合に比べて、バッテリBの下面に対してテーブル13aの上面が当接するときのテーブル13aの高さを正確に測定することができる。
【0046】
(4)テーブル13aの上面には、検知スイッチ17が二つ設けられている。よって、各検知スイッチ17が同時にオンされた場合、バッテリBの下面がテーブル13aの上面に対して傾いていないことを確認することができる。したがって、検知スイッチ17が一つしか設けられていない場合と異なり、バッテリBが傾いているか否かを正確に検出することができる。
【0047】
(5)テーブル13aの上面には、検知スイッチ17が二つ設けられている。そして、二つの検知スイッチ17が同時にオンせずに、一方の検知スイッチ17がオンされてから所定時間経過した後に他方の検知スイッチ17がオンされた場合、CPU19aは、バッテリBがテーブル13aに対して大きく傾いた状態になっていると判断して、バッテリ交換作業を強制終了させる。よって、傾いたバッテリBの取り外し作業を行ってしまうことを回避することができる。
【0048】
(6)バッテリ収納部11aに新たなバッテリBを装着する場合、テーブル13a上にバッテリBが載置されたとき、検知スイッチ17がオン状態になることで、テーブル13a上にバッテリBが載置されていることを確認することができる。すなわち、検知スイッチ17は、テーブル13a上にバッテリBが載置されているか否かを検知する在荷センサとしても機能する。
【0049】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、検知スイッチ17がバッテリBの下面に接触したときのテーブル13aの高さを測距センサ15により検出することで、テーブル13aにバッテリBが載置されたときのテーブル13aの高さを測定したが、これに限らない。例えば、検知スイッチ17を設けずに、光学式の測距センサにより直接バッテリBの高さを検出して、テーブル13aの上面とバッテリBの下面とが当接するときのテーブル13aの高さを測定してもよい。これによれば、バッテリ収納部11aに新たなバッテリBを装着する際に、測距センサにより直接バッテリBの高さを検出することで、バッテリ収納部11aに収納されているときのバッテリBの高さに対して車高変動量Yを加算して得られる取付目標高さを直接測定することができる。
【0050】
○ 実施形態では、レーザ光を使用する光学式の測距センサ15を用いたが、これに限らず、例えば、赤外線を使用する測距センサや可視光を使用する測距センサ、又は超音波式の測距センサを用いてもよい。
【0051】
○ 実施形態において、テーブル13aの上面には検知スイッチ17が二つ設けられていたが、これに限らず、検知スイッチ17は、テーブル13aの上面に一つ又は三つ以上設けられていてもよい。
【0052】
○ 実施形態において、リフタ13は、パンタグラフ式の構成であったが、これに限らず、例えば、鉛直方向に延びるボールねじを利用してテーブル13aを昇降させる構成としてもよい。
【0053】
○ 実施形態において、検知スイッチ17は、接触式のリミットスイッチで構成されていたが、これに限らず、リードスイッチや光電スイッチ等の非接触式のスイッチで構成されていてもよい。
【0054】
○ 本発明を、電気自動車のバッテリ交換装置に具体化したが、これに限らず、例えば、モータ及びエンジンの両方を備えたハイブリッドカーのバッテリ交換装置に具体化してもよい。
【0055】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記複数の検知スイッチが前記バッテリの下面に接触する際に、各検知スイッチが同時にオン状態にならない場合には、前記制御手段はバッテリ交換作業を強制終了させることを特徴とする請求項3に記載の車両のバッテリ交換装置。
【0056】
(ロ)前記車両は電気自動車であることを特徴とする請求項1〜請求項3、及び前記技術的思想(イ)のいずれか一項に記載の車両のバッテリ交換装置。
【符号の説明】
【0057】
B…バッテリ、10…バッテリ交換装置、11…車両としての電気自動車、11a…バッテリ収納部、13…昇降手段としてのリフタ、13a…テーブル、15…測定手段を構成する測距センサ、17…測定手段を構成する検知スイッチ、19a…制御手段としてのCPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両下部に設けられたバッテリ収納部に対して下方からバッテリの脱着を行うために、前記バッテリが載置されるテーブルを昇降可能な昇降手段を備えた車両のバッテリ交換装置であって、
前記バッテリ収納部に収納された前記バッテリの下面に対して前記テーブルの上面が当接するときの前記テーブルの高さを測定する測定手段と、
前記昇降手段を制御して前記テーブルの高さを可変にする制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ収納部に新たなバッテリを装着する際に、前記測定手段により測定された前記テーブルの高さに対し、前記バッテリが前記バッテリ収納部から取り外されたときに生じる前記車両の車高変動量を加算して得られる高さに、前記テーブルが位置するように前記昇降手段を制御することを特徴とする車両のバッテリ交換装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記テーブルの上面に設けられる接触式の検知スイッチと、前記検知スイッチが前記バッテリの下面に接触してオンになったときの前記テーブルの高さを測定する測距センサとから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のバッテリ交換装置。
【請求項3】
前記検知スイッチは、前記テーブルの上面に複数設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両のバッテリ交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−189909(P2011−189909A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59973(P2010−59973)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】