車両のブレーキシステム用制御装置、車両用ブレーキシステムおよび車両のブレーキシステムを作動させる方法
【課題】ドライバーの通常の制動感を保証する。
【解決手段】車両のブレーキシステムのための制御装置であって、供給されるブレーキ操作強度量14を受信可能な第1の受信機構10と、少なくとも前記受信したブレーキ操作強度量14を考慮して、プランジャ20の目標充填レベル量を設定可能とし、設定された前記目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号18を出力可能とし、その結果前記プランジャ20の貯留容積部に充填されている実液体体積と前記貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との比率を、前記設定した目標充填レベル量に応じて調整可能とするプランジャ制御機構16とを備え、前記ブレーキ操作強度量14が所定の非操作強度量に対応しているときに、前記プランジャ20の空の状態とは異なる充填レベル量を目標充填レベル量として設定する。
【解決手段】車両のブレーキシステムのための制御装置であって、供給されるブレーキ操作強度量14を受信可能な第1の受信機構10と、少なくとも前記受信したブレーキ操作強度量14を考慮して、プランジャ20の目標充填レベル量を設定可能とし、設定された前記目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号18を出力可能とし、その結果前記プランジャ20の貯留容積部に充填されている実液体体積と前記貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との比率を、前記設定した目標充填レベル量に応じて調整可能とするプランジャ制御機構16とを備え、前記ブレーキ操作強度量14が所定の非操作強度量に対応しているときに、前記プランジャ20の空の状態とは異なる充填レベル量を目標充填レベル量として設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のブレーキシステム用制御装置に関するものである。同様に本発明は車両用ブレーキシステムにも関わる。さらに、本発明は車両のブレーキシステムを作動させる方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発電機を備えた自動車のためのブレーキシステムと、発電機を備えたブレーキシステムを作動させる方法とが記載されている。発電機により作用を受ける発電機ブレーキトルクが時間的に変化するにもかかわらず、自動車のドライバーによって設定された全ブレーキトルクを維持するため、シミュレータユニットを制御して、ブレーキシステムとシミュレータユニットの少なくとも1つの貯留室との間での発電機ブレーキトルクの差に対応する液圧体積を移動させる。このようにして、発電機ブレーキトルクの時間的変化にもかかわらず、ドライバーに通常の制動感を保証できるようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 030 441A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来の欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1の構成を備えた車両のブレーキシステム用制御装置、請求項12の構成を備えた車両用ブレーキシステム、請求項13の構成を備えた車両のブレーキシステムを作動させる方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
以下に詳細に述べるように、操作強度を考慮したプランジャの充填レベルを設定することにより、従来のようにプランジャの機能障害の際に発生するブレーキ操作要素のフリートラベルを少なくとも低減させることができる。従ってドライバーは、プランジャの機能障害にもかかわらず、本発明により迅速且つ確実にブレーキシステムの少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーに制動作用を起こさせることができる。これはドライバーにとって優れた走行快適性を保証する。
【0007】
本発明においては、遮断弁に対するコストが軽減される。本発明により作動されるプランジャは、遮断弁により液体を中間貯留するための従来の遮断機構に比べて、遮断弁に欠陥が生じても、これを検出する必要がないよう保証する。同様に、遮断弁の欠陥を検出しないので、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で圧力の発生が始まる前に、ブレーキ操作要素における大きなフリートラベルをクリアしなければならないリスクもない。
【0008】
同様に、本発明においては、たとえば巻き付けばねのような遮断機構における機能障害を検出する必要もない。エンジンの故障および/または遮断機構の欠陥の際に比較的大きなフリートラベルが発生することも本発明においては考慮する必要がない。
【0009】
さらに、本発明により、プランジャにセルフロック型伝動機構を設けずに済む。非セルフロック型として構成されたプランジャの伝動機構の作用効率が増大することにより、プランジャの原動機を適正価格で且つわずかな構成空間スペースで構成することができる。さらに、非セルフロック型として構成されたプランジャの伝動機構を作動させる原動機が供給しなければならないパワーコストが低減することにより、プランジャのエネルギー消費量と該プランジャを備えた車両の有害物質の放出とを削減することができる。
【0010】
このように、本発明はブレーキシステムのプランジャのコストおよびエネルギーの点で効果的な構成を保証している。本発明により、エネルギー効率のよい伝動機構を備えたプランジャも実現可能であり、該伝動機構に付加的な遮断機構または他の安全要請部を形成させる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
次に、本発明の他の特徴および利点を図面を用いて説明する。
【図1】制御装置の1実施形態の図である。
【図2a】ブレーキシステムを作動させる方法の第1実施形態を説明するための図である。
【図2b】ブレーキシステムを作動させる方法の第1実施形態を説明するための図である。
【図2c】ブレーキシステムを作動させる方法の第1実施形態を説明するための図である。
【図3a】ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための図である。
【図3b】ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための図である。
【図3c】ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための図である。
【図3d】ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための図である。
【図4a】ブレーキシステムを作動させる方法の第3実施形態を説明するための図である。
【図4b】ブレーキシステムを作動させる方法の第3実施形態を説明するための図である。
【図4c】ブレーキシステムを作動させる方法の第3実施形態を説明するための図である。
【図5】ブレーキシステムを作動させる方法の第4実施形態を説明するための図である。
【図6a】ブレーキシステムの1実施形態の全体図、および、ブレーキシステムを作動させる方法の第5実施形態を説明するための図である。
【図6b】ブレーキシステムの1実施形態の全体図、および、ブレーキシステムを作動させる方法の第5実施形態を説明するための図である。
【図7a】ブレーキシステムを作動させる方法の第6実施形態を説明するための図である。
【図7b】ブレーキシステムを作動させる方法の第6実施形態を説明するための図である。
【図7c】ブレーキシステムを作動させる方法の第6実施形態を説明するための図である。
【図8a】ブレーキシステムを作動させる方法の第7実施形態を説明するための図である。
【図8b】ブレーキシステムを作動させる方法の第7実施形態を説明するための図である。
【図8c】ブレーキシステムを作動させる方法の第7実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は制御装置の1実施形態の図である。
【0013】
図1に示した制御装置は、車両のブレーキシステムに使用可能である。以下の図面を用いた説明では、使用可能なブレーキシステムの可能な構成に関して詳細に解説することにする。
【0014】
制御装置は第1の受信機構10を有し、該受信機構を用いて、ブレーキシステムに配置されているブレーキ操作要素の操作の操作強度に関わるブレーキ操作強度信号12を受信可能である。ブレーキ操作強度信号12に対応するブレーキ操作強度量14は、第1の受信機構10を用いて供給可能である。ブレーキ操作強度量14はたとえば制動距離、制動力、および/または、制動圧を含んでいてよい。しかしながら、供給可能なブレーキ操作強度量14はここに列挙した例に限定されるものではない。
【0015】
制御装置はプランジャ制御機構16をも有しており、該プランジャ制御機構を用いると、少なくとも受信したブレーキ操作強度量14を考慮して、プランジャの目標充填レベル量を設定可能である。設定可能な目標充填レベル量とは、プランジャの貯留容積部に充填される液体体積と貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との間の目標比率であってよい。設定可能な目標充填レベル量はたとえばプランジャの充填レベル、および/または、プランジャの貯留容積部に充填される液体の目標体積であってよい。対応的に、目標充填レベル量として、プランジャの貯留容積部にさらに充填可能な受容体積も設定可能であってよい。同様に、設定可能な目標充填レベル量は、プランジャの移動可能なピストン部材/ピストンの位置、および/または、プランジャの伝動機構/原動機の位置/回転角を表わすものであってよい。しかしながら、設定可能な目標充填レベル量はここに列挙した例に限定されるものではない。
【0016】
設定された目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号18は、プランジャ制御機構16によりプランジャ20に出力可能である。好ましくは、プランジャ20の貯留容積部に充填された液体体積と貯留容積部に最大に充填可能な最大体積との間の実比率が設定された目標充填レベル量に応じて調整可能であるように、プランジャ20はプランジャ制御信号18により制御可能である。
【0017】
さらに、プランジャ制御機構16は、ブレーキ操作強度量14が予め設定される非操作強度量に対応している場合、プランジャ20の空の状態とは異なる充填レベル量が目標充填レベル量として設定されるとともに、設定された目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号18がプランジャ20に出力されることで、(ブレーキ操作強度量14が非操作強度量に等しいにもかかわらず)プランジャ20が少なくとも部分的に充填されているように、構成されている。すなわち、ブレーキ操作強度量14が予め設定される非操作強度量に対応している場合には、充填レベル量は、プランジャの貯留容積部に充填されている液体の体積に応じて、ゼロでない目標充填レベル量として設定可能である。対応的に、ブレーキ操作強度量14が予め設定される非操作強度量に対応している場合、目標充填レベル量として、プランジャの移動可能なピストン部材/ピストンの位置、および/または、プランジャの貯留容積部が少なくとも部分的に充填されているプランジャの伝動機構/原動機の位置/回転角が設定可能であってもよい。同様に、ブレーキ操作強度量14が予め設定される非操作強度量に対応している場合に目標充填レベル量として設定可能な、プランジャの貯留容積部にさらに充填可能な受容容積は、100%未満であってよい。
【0018】
非操作強度量とは、ブレーキ操作要素を操作していないときのブレーキ操作強度量、または、ブレーキ操作要素がその出発位置/非操作位置にあるときのブレーキ操作強度量であってよい。特に、非操作強度量はブレーキ操作強度量がゼロに等しい場合であってよい。
【0019】
プランジャ制御機構16は、たとえば、ブレーキ操作強度量14が非操作強度量に相当している場合に、充填レベル量を目標充填レベル量の少なくとも20%に設定し、設定した充填レベル量に相当するプランジャ制御信号18をプランジャ20に出力して、貯留容積部に充填される液体実体積を最大体積の少なくとも20%に調節可能であるように構成されていてよい。従ってプランジャ20は、ドライバーがブレーキ操作要素の操作をやめたときに、貯留容積部に充填される液体実体積が最大体積の少なくとも20%に調節可能であるように、制御装置により制御可能である。換言すれば、ブレーキ操作要素の操作をやめたときに、プランジャ20の貯留容積部に充填される液体体積と貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との間の実比率が少なくとも20%から調節可能である。
【0020】
好ましくは、プランジャ制御機構16は、非操作強度量に対応するブレーキ操作強度量14において、少なくとも50%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定して、貯留容積部に充填される液体実体積を最大体積の少なくとも50%に調節可能であるように構成されている。設定された充填レベル量に対応するプランジャ制御信号18はこのケースでもプランジャ20に出力可能である。すなわち、ブレーキ操作強度量14が予め設定されている非操作強度量に対応している場合、プランジャの貯留容積部に充填される液体の体積に応じた充填レベル量は、最大体積の少なくとも50%から目標充填レベル量として設定可能である。対応的に、ブレーキ操作強度量14が予め設定された非操作強度量に対応している場合も、目標充填レベル量として、プランジャの調整可能なピストン部材/ピストンの位置、および/または、プランジャの伝動機構/原動機の位置/回転角を設定可能であってよい。この場合、プランジャの貯留容積部は少なくとも50%に充填されている。同様に、ブレーキ操作強度量14が予め設定された非操作強度量に対応している場合、目標充填レベル量として設定可能で、プランジャの貯留容積部にさらに充填可能な受容体積は、たかだか50%未満であってよい。
【0021】
ブレーキ操作要素がその出発位置/非操作位置にあるときにプランジャ20の貯留容積部を少なくとも50%に充填することにより、すでにドライバーがブレーキ操作要素を操作する以前に比較的多量の液体がプランジャ20の貯留容積部に充填されているようにすることができる。従って、すでに前もって少なくとも50%に充填されているプランジャ20を完全に充填するには、同じ大きさの最大容積部を備えたプランジャ機構が空になっている場合よりもかなり少量のブレーキ液を必要とするにすぎない。プランジャ20がすでに前もって少なくとも50%に充填されている場合に、プランジャ20の少なくとも1つの構成要素の機能障害が発生し、たとえば原動機および/またはプランジャ20の閉鎖要素の機能障害が発生することで、ブレーキシステムの圧力が上昇してブレーキ液の充填制御がもはや保証されなくなると、それにもかかわらず、プランジャが完全に充填されてプランジャ20の更なる充填が不可能になる前に、比較的少量のブレーキ液がプランジャ20に圧入されるにすぎない。これに対し、同じ大きさの最大容積部を備えた空のプランジャ機構の構成要素に同等の機能障害が発生すると、かなり大きな体積のブレーキ液がプランジャ機構に圧入されるので望ましいものではない。
【0022】
通常、プランジャ機構内へのブレーキ液の充填制御ができなくなると、比較的長い時間にわたって継続的にブレーキ液がプランジャ機構内へ移動し、これによりドライバーがブレーキ操作要素を操作した時のフリートラベルが著しく増大するので、望ましいものではない。換言すれば、プランジャ機構内へのブレーキ液の充填制御ができなくなると、ドライバーは、(フリートラベルを終了させた後に)少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で制動圧が発生する前に、比較的多量のブレーキ液を、初めにブレーキ操作要素を操作することでプランジャ機構内へ移動させねばならない。これに対し、プランジャ20が前もって少なくとも50%に充填されていると、プランジャ20の少なくとも1つの構成要素に機能障害が生じたときでも、プランジャ20が比較的迅速に完全充填され、よってトライバーはブレーキ操作要素を操作することで早期に少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内にブレーキ圧を発生させることができるという利点がある。
【0023】
前もってプランジャ20を少なくとも20%に充填しておくことの利点は、特にたとえば脈動を発生させずに少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーを付加的に充填するために利用されるポンプに比べると、プランジャの少なくとも1つの構成要素が故障したときに従来では発生していた、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内でのブレーキ圧発生遅延を考慮しなくてもよい点にある。
【0024】
以下では、ブレーキ操作要素を操作する前にすでに少なくとも50%に充填されるプランジャ20の他の利点について詳細に説明する。
【0025】
1つの有利な実施形態では、プランジャ制御機構16は、ブレーキ操作強度量14が非操作強度量に対応している場合、少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、有利には少なくとも97%、特に100%(最大体積)の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように構成されていてよい。特に最後のケースでは、ブレーキ操作要素の初期操作中のプランジャ20の少なくとも1つの構成要素の機能障害時におけるプランジャの望ましくない充填が(ほぼ)阻止される。従って、プランジャ内へのブレーキ液の充填制御ができなくなっても、ブレーキ操作要素を操作することによりブレーキシステムのブレーキマスターシリンダから押し出されたブレーキ液が(少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの代わりに)プランジャ20内へ移動し、それ故プランジャ20が完全に充填されるまで少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内での圧力発生が遅れるという不具合は生じず、或いはほとんど生じない。換言すれば、プランジャ20の少なくとも1つの構成要素に機能障害が発生しても、プランジャ20が完全に充填されて、ブレーキマスターシリンダから押し出されたブレーキ液によって少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内でブレーキ圧が発生する以前に、ドライバーがフリートラベルをクリアする必要はほとんど或いは全くない。このように制御装置を用いてプランジャ20を有利に制御することにより、プランジャ20の少なくとも1つの構成要素の機能障害時の望ましくないフリートラベルの発生を阻止することができる。
【0026】
プランジャ制御機構16は、特に、ブレーキ操作強度量14が非操作強度量と所定の第1の限界操作強度量との間にあるときに、目標充填レベル量を、ブレーキ操作強度量14/ブレーキ操作強度の連続減少関数として設定するように構成されていてよい。これに加えて、プランジャ制御機構16は、補助的に、ブレーキ操作強度量14が所定の第2の限界操作強度量(第1の限界操作強度量に等しいかこれよりも大きい)と所定の第3の限界操作強度量との間にあるときに、目標充填レベル量をブレーキ操作強度量の連続増大関数として設定するように構成してよい。プランジャ制御機構16のこのような構成の利点を以下に詳細に説明する。
【0027】
1つの有利な実施形態では、制御装置は第2の受信機構22をも含んでおり、該第2の受信機構22を用いると、遮断すべきブレーキトルクの時間的変化に関わる供給された遮断量信号24を受信することができる。遮断量信号24に対応する遮断量26は、第2の受信機構22を用いてプランジャ制御機構16に供給可能である。このケースでは、プランジャ制御機構16は、有利には、遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少する場合に目標充填レベル量を減少させるように付加的に構成されている。好ましくは、遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少する場合、プランジャ制御機構16により目標充填レベル量を新たに設定可能であり、制御されるプランジャ20の実充填レベルの減少によって一定体積のブレーキ液を少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーへ搬送可能である。前記一定体積のブレーキ液は、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを、遮断すべきブレーキトルクの時間的減少量に相当する差だけ増大させる。このようにして、制御装置によるプランジャ20の制御により、遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少するにもかかわらず、ドライバーによって与えられる全ブレーキトルクを確実に維持することができる。
【0028】
これに加えて、プランジャ制御機構16は、遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大する場合に目標充填レベル量を増大させるように構成してよい。有利には、遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大する場合、プランジャ制御機構16を用いて目標充填レベル量を新たに設定し、制御されたプランジャ20の増大した実充填レベルによって一定体積のブレーキ液を少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーから貯留容積部に吸い込み可能である。前記一定体積のブレーキ液は、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを、遮断すべきブレーキトルクの時間的増大量に対応する差だけ減少させる。このように、プランジャ20は、遮断すべきブレーキトルクの時間的増大量を補整するためにも使用できる。これとは択一的に、プランジャ制御機構16は、遮断すべきブレーキトルクの時間的増大量に対応する貯留室28の目標吸込体積を設定して、該目標吸込体積に対応する貯留制御信号30を貯留室28のアクチュエータユニットに出力するように構成してもよい。前記時間的増大量を遮断するために貯留室28を使用することから得られる利点を以下に詳細に説明する。
【0029】
遮断すべきブレーキトルクは、特に発電機の発電機ブレーキトルクであってよい。これにより、車速および/またはバッテリーの充電状態によって発電機の使用状況が時間的に変化するにもかかわらず、制御装置を用いることで、ドライバーによって与えられたすべての車両減速を確実に維持することができ、これと同時に、バッテリーを迅速に充電するために発電機を頻繁に使用できることが保証されている。しかしながら、発電機ブレーキトルクの代わりに、制御装置を用いて他のブレーキトルクを遮断可能である。従って、ここで述べた制御装置の使用は、発電機を備えたブレーキシステムに限定されているものではない。
【0030】
オプションで、制御装置に第3の受信機構32を形成してもよい。この第3の受信機構を用いると、操舵角の変更のような、制御装置を備えた車両の走行方向変更に関して供給される走行方向変更信号34を受信することができる。このケースでは、第3の受信機構32を用いることで、走行方向変更信号34に対応する走行方向変更量36をプランジャ制御機構16に転送することができる。これに加えて、プランジャ制御機構16は、走行方向変更量36を、予め設定された少なくとも1つの比較角度量と比較するように構成されていてよい。プランジャ制御機構16は、非操作強度量とは異なるブレーキ操作強度量14を受信した後、走行方向変更量36と比較角度量とを補助的に考慮して、目標充填レベル量を新たに設定する。プランジャ制御機構16は、特に、走行方向変更量36が比較角度量よりも下であれば、ブレーキ操作強度量14を考慮して第1の充填レベル量を目標充填レベル量として設定する。走行方向変更量36が比較角度量よりも上であれば、有利には、第1の充填レベル量よりも小さな第2の充填レベル量を目標充填レベル量として、ブレーキ操作強度量14を考慮してプランジャ制御機構16により設定可能である。以下に詳細に述べるように、プランジャ20の実充填レベルを減少させ、その際にブレーキシステム内へ付加的にブレーキ液が移動することにより、走行時にカーブのまわりで発生するブレーキキャリパー内のエアギャップを克服することができる。
【0031】
これとは択一的に、または、これに加えて、制御装置は第4の受信機構38を含んでいてもよく、該第4の受信機構を用いると、プランジャ20の利用期間および/または利用頻度に関して供給されるプランジャ利用程度信号40を受信することができ、該プランジャ利用程度信号40に対応する利用程度量42をプランジャ制御機構16に出力させることができる。このケースでは、プランジャ制御機構16は、好ましくは、利用程度量42を少なくとも1つの所定の比較利用程度量と比較するように構成されていてもよい。このケースでも、非操作強度量とは異なるブレーキ操作強度量14が後で発生した場合、利用程度量42と比較利用程度量との比較結果を考慮して目標充填レベル量の新たな設定を行うことができる。利用程度量42が比較利用程度量未満であれば、ブレーキ操作強度量14を考慮して、プランジャ制御機構16を用いて第3の充填レベル量を目標充填レベル量として設定可能である。これに対し、利用程度量42が比較利用程度量を超えていれば、ブレーキ操作強度量14を考慮して、プランジャ制御機構16を用いて、第3の充填レベル量よりも小さな第4の充填レベル量を目標充填レベル量として設定可能である。利用程度量42が比較利用程度量を超えている場合にプランジャ20の実充填レベルを減少させることにより、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの付加的充填によるブレーキシステムの摩耗現象を補整することができる。この点について以下図面を用いて詳細に説明する。
【0032】
図2aないし図2cは、ブレーキシステムを作動させるための方法の第1実施形態を説明する3つの座標系を示している。
【0033】
この方法を実施する場合、プランジャの目標充填レベルは、ブレーキシステムに配置されているブレーキ要素の操作の少なくとも1つの操作強度を考慮して設定する。次に、設定した目標充填レベルに応じてプランジャを制御して、プランジャ20の貯留容積部に充填された液体体積と貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との間の実比率を、設定した目標充填レベルに対応するように調整する。これを、貯留容積部に充填された液体体積と(最大に充填可能な)プランジャの貯留容積部の最大容積との実比率を、設定した目標充填レベルに対応するように調整することと書き表すこともできる。設定可能な目標充填レベルの例、または、調整可能な実比率の例は上に述べたとおりである。
【0034】
図2aの座標系の横軸は、ドライバーによる操作時にブレーキ操作要素が変位するブレーキ操作距離s(mm)を表わしている。図2aの座標系の縦軸は、ブレーキ操作距離sに依存して本発明による方法により調整される実充填レベルF(%)、または、実充填レベルFで貯留容積部にさらに充填可能な受容体積V(mm2)に対応している。受容体積Vは、最大体積と貯留容積部にすでに充填されている液体体積との間の差と呼ぶこともできる。
【0035】
本発明を実施する場合、操作強度として、ブレーキ操作距離sを非操作強度として予め設定されているゼロ距離と比較する。ブレーキ操作距離sがゼロに等しければ、或いは、ブレーキ操作強度が非操作強度に対応していれば、(最大体積の)少なくとも20%の、たとえば少なくとも50%の、好ましくは少なくとも70%の、特に少なくとも90%の、有利には少なくとも95%の目標充填レベルを設定する。次に、設定した目標充填レベルに応じてプランジャを制御して、実充填レベルFが好ましくは目標充填レベルに等しくなるように調整する。換言すれば、少なくとも20%の、たとえば少なくとも50%の、好ましくは少なくとも70%の、特に少なくとも90%の、有利には少なくとも95%の実充填レベルFを設定する。図示した実施形態では、ブレーキ操作距離sがゼロに等しい場合、有利には、100%の実充填レベルまたはゼロの受容体積Vが調整される。従って、プランジャの構成要素が故障した場合、比較的圧力が高いにもかかわらず、ブレーキ操作要素の初期操作中でのプランジャ内へのブレーキ液の望ましくない移動が阻止されている。
【0036】
本発明による方法の場合、ブレーキ操作距離sがゼロと所定の第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるとき、或いは、ブレーキ操作強度が非操作強度と所定の第1の限界操作強度との間にあるとき、目標充填レベル量はブレーキ操作距離s/ブレーキ操作強度の連続減少関数として設定される。好ましくは、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるとき、増大した受容体積Vがブレーキ操作距離s(ブレーキ操作距離sに比べてゼロに等しい)のときにブレーキシステムの少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーに付加的に充填されるブレーキ液体積に対応するように、実充填レベルFを減少させる。このようにして、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるときに、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクをゼロに減少させることができる程度のブレーキ液をプランジャ内に充填可能であるようにさせることができる。従って、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるときには、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを減少させることで、特に発電機ブレーキトルクのような非液圧ブレーキトルクを遮断可能であるよう常に保証されている。同時に、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるときにプランジャの少なくとも1つの構成要素の機能障害が生じたときも、プランジャが完全に充填されてドライバーがブレーキ操作要素の操作により少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内のブレーキ圧を上昇させることができる以前に、ドライバーは比較的小さなフリートラベルのみをクリアすればよいことも保証されている。
【0037】
このような方法は、(ゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間で)減速要望が増えれば、プランジャが付加的な液体をブレーキシステム内へ移動させるとも書き表すことができる。この移動したブレーキ液は、必要な場合に24バール(3m/s2)のブレーキ圧を遮断するのに十分である。
【0038】
プランジャは補助的に閉鎖機構を備えていてよく、この閉鎖機構を用いると、ブレーキ操作距離sが第1の限界ブレーキ操作距離s1以上である場合に、比較的大きな圧力に抗して充填レベルFを0%に保持させることができる。適当な閉鎖機構は本発明の対象ではないので、ここではこれについてこれ以上言及しない。
【0039】
図2bを用いて遮断過程をもう一度説明する。図2bの座標系の横軸は時間軸tである。図2bの座標軸の縦軸はプランジャの実充填レベル(%)またはプランジャに充填可能な受容体積V(mm3)を表わしている。グラフgは有利な方法を示している(破線Iは、プランジャを作動させるための従来の作動方法に対応している)。
【0040】
時点t0でドライバーがブレーキ操作要素を操作する前にプランジャはすでに充填されている。それ故、時点t0以前では実充填レベルは約100%である(破線Iで示した従来の作動方法では、制動回復後のたびにプランジャを空にさせる)。
【0041】
時点t0以後にドライバーはブレーキ操作要素を操作する。ブレーキ操作要素を操作開始した以後に初めて、ブレーキ操作強度が増大するにつれて(ドライバー制動要望に依存して)プランジャの遮断スタートポジションを補充する。このため、ブレーキ操作強度が予め設定した第1の限界操作強度に等しければ、時点t1までプランジャの実充填レベルFを常時減少させる。この場合プランジャは、好ましくは、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを減少させてたとえば発電機ブレーキトルクのような非液圧ブレーキトルクを遮断させるために必要な量のブレーキ液をブレーキシステム内へ移動させる。これにより、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを減少させて非液圧ブレーキトルクを遮断させるために必要な量の体積をプランジャがブレーキシステムから取り出すことができるよう保証されている。
【0042】
このようにして、プランジャを用いて、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内のブレーキ圧を減少させるために十分な受容体積Vを供給することができる。
【0043】
それ故、時点t2以降は、プランジャはブレーキ液を受容することにより、または、実充填レベルFを増大させることにより、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを時点t3までゼロに減少させることができる。時点t3以降は、遮断のために受容されたブレーキ液体積を戻すことにより、遮断する前に少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で支配的であったブレーキ圧を時点t4まで再び発生させることができる。従って、たとえば発電機ブレーキトルクのような非液圧ブレーキトルクが時間的に減少するにもかかわらず、遮断のために受容されたブレーキ液体積をブレーキシステム内へ戻すことにより、ドライバーによって与えられた全ブレーキトルクを維持することができる。
【0044】
図2cは、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるときにプランジャを空にすることによって変化する、ブレーキマスターシリンダにおける圧力・距離特性を表わしている。図2cの座標系の横軸はブレーキ操作距離(mm)を示し、図2cの座標系の縦軸はブレーキマスターシリンダ内で支配的な圧力p(バール)に対応している。ここで説明している方法によって達成可能なブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1を、従来の処置態様のブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0と比較する。
【0045】
ここで説明している方法を実施することにより、ブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1は大きく上昇する。従って、ここで説明している方法により、ブレーキマスターシリンダ内または少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内により高いブレーキ圧をより迅速に発生させることができる。よって、ここで説明している方法は制動圧増幅を生じさせることができる。
【0046】
選択的に、ブレーキシステム内に形成された弾性を用いてもブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1を従来のブレーキ操作距離・圧力特性p0に簡単に適合させることができる。このために適した弾性の構成はここで説明している方法の対象ではないので、これ以上言及しない。
【0047】
図2aないし図2cの方法を実施するための補完として、プランジャはロック部または遮断可能な弁を備えるように構成することができる。このケースでは、プランジャ自体が高圧を維持する必要はなく、それ故わずかなパワー需要で構成することができる。図2aないし図2cの方法を実施することによって高体積ロスを生じる確率は低いので、ロック部は低度の安全性要求に対して構成することができる。よって、ロック部または遮断弁用の適正価格な機構を使用することができる。
【0048】
図3aないし図3dは、ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための4つの座標系を示している。
【0049】
図3aの座標系の横軸はブレーキ操作距離s(mm)(インプットバーの距離)を示している。図3aの座標系の縦軸は実充填レベルF(%)または受容体積V(mm3)に対応している。
【0050】
前述した方法を補完するものとして、この実施形態では、ブレーキ操作距離sが予め設定された第2の限界ブレーキ操作距離s2と予め設定された第3の限界ブレーキ操作距離s3との間にあるときに(この場合、第2の限界ブレーキ操作距離s2は第1のブレーキ操作距離s1よりも大きいかこれに等しい)、目標充填レベル量はブレーキ操作距離s/ブレーキ操作強度量の連続増大関数として設定される。換言すれば、減速要望が増大すると、プランジャはゼロのブレーキ操作距離sと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間で付加的な液体をブレーキシステム内へ搬送し、他方第2の限界ブレーキ操作距離s2以降は、プランジャは再び充填される。これにより、プランジャの少なくとも1つの構成要素に機能障害があっても、プランジャは第2の限界ブレーキ操作距離以降に発生するブレーキシステム内の高圧を確実に維持することができる。従って、プランジャに高圧を維持するためのロック部を備えさせる必要はない。
【0051】
この方法により実現できるプランジャの制御コンセプトにより、プランジャの少なくとも1つの構成要素に機能障害によるペダルストローク延長の程度および確率を低減させることができる。これを次に図3bを用いて説明する。
【0052】
図3bの座標系において、横軸はブレーキシステムによって実施される減速a(m/s2)(負の加速度、たとえば全減速)であり、縦軸は体積ロスN(%)である。
【0053】
実線のグラフn1は、ここで説明している方法に従ってプランジャを作動させる際の体積ロスを表わしている。減速aがゼロに等しい場合、プランジャは(完全に)充填されている。減速aがゼロではない場合、プランジャの遮断スタート状態は減速aに依存して調整される。減速aがゼロと第1の限界減速a1にあるときには、プランジャは少なくとも1つの車輪ブレーキキャンパー内に発生するブレーキ圧を遮断させるために必要な量の液体のみをブレーキシステム内へ移動させる。少なくとも第2の限界減速a2以降の減速aでは、プランジャが再び充填される。
【0054】
このようにして、ブレーキ操作距離が第1の限界ブレーキ操作距離s1と第2のブレーキ操作距離s2との間にある場合のみ、或いは、減速aが第1の限界減速a1と第2の限界減速a2との間にある場合のみ、100%の体積ロスNを考慮すればよいように保証することができる。これに対し、体積ロスNは、有利な方法により、とりわけ減速aがゼロと第1の限界減速a1の半分の間で頻繁に発生する場合、0%まで減少させることができる。同様に、減速がa>>a2の強力な車両制動の場合には体積ロスNを考慮する必要はない。
【0055】
破線のグラフn0は、プランジャを作動させるための従来の処置態様における体積ロスNを表わしており、この処置態様ではプランジャは遮断する以前に空の状態にある。それ故、減速のたびにプランジャロスのために100%の最大体積ロスNが発生することがある。
【0056】
図3cには、ここで説明している方法によって生じる圧力・距離特性曲線が示されている。図3cの座標系の横軸はブレーキ操作距離s(mm)である。図3cの座標系の縦軸はブレーキマスターシリンダ内で支配的な圧力p(バール)に対応している。ここで説明している方法を用いて達成可能なブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1を、従来の処置態様のブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0と比較する。
【0057】
ここで説明している方法を用いて達成可能なブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1はブレーキ操作距離sが小さい場合、従来の処置態様のブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0よりも急勾配である。プランジャが再び100%充填レベルの方向に制御される第2の限界操作距離以降では、ブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1はブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0に再び接近する。
【0058】
図3dの座標系において、横軸は少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内のブレーキ圧pb(バール)であり、縦軸は特定のブレーキ圧pbでプランジャにより最大に実現可能な圧力抑制Δpb(バール)である。グラフv1はここで説明している遮断方法において実施可能な圧力抑制を表わし、グラフv0は従来の処置態様における対応する値を表わしている。
【0059】
両グラフv1とv0を比較することにより、ここで説明している有利な方法を用いると、特に低ブレーキ圧pbで、または、車両減速が低い場合に、発電機ブレーキトルクを有利に遮断できるよう保証されていることがわかる。これが有利なのは、とりわけ市街地交通で低減速を行うことが頻繁にあるからである。従って、ここで説明している有利な方法を用いると、発電機を車両バッテリーの迅速な充電用にたびたび使用できるよう保証できる。
【0060】
図4aないし図4cは、ブレーキシステムを作動させる方法の第3実施形態を説明するための3つの座標系を示している。
【0061】
図4aの座標系において、横軸はブレーキ操作距離s(mm)(インプットバーの距離)で、縦軸は実充填レベルF(%)または受容体積V(mm3)を表わしている。
【0062】
ここで説明している方法の実施形態では、第2の限界ブレーキ操作距離s2は第1の限界ブレーキ操作距離s1からずれている。さらに、ブレーキ操作距離sがゼロに等しい場合、プランジャは部分的にのみ充填され、たとえば57%に充填されている。
【0063】
図4bの座標系には、ここで説明している方法を用いて達成可能なブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1と、従来の処置態様のブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0とが比較されている。この場合、横軸はブレーキ操作距離(mm)を表わし、縦軸はブレーキマスターシリンダ内で支配的な圧力p(バール)を表わしている。図4bからわかるように、限界ブレーキ操作距離s1とs2を互いに異なるように設定することにより、ペダル特性を種々設定することができる。従って、限界ブレーキ操作距離s1とs2によってペダル特性を個別に構成できる。とりわけブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1の不連続な勾配は、(第1の限界ブレーキ操作距離s1とは独立に)第2の限界ブレーキ操作距離s2を選定することにより少なくとも部分的に平滑にさせることができる。
【0064】
ペダルフリートラベルも限界ブレーキ操作距離s1とs2に対する値を設定することで可変に調整可能である。
【0065】
図4cの座標系では、横軸は少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で支配的なブレーキ圧pb(バール)を表わし、縦軸は特定のブレーキ圧pbでプランジャにより最大に実現可能な圧力抑制Δpb(バール)を表わしている。比較のため、ここで説明している方法で実現可能な圧力抑制を表わすグラフv1と、従来の処置態様での対応するグラフv0とが図4cの座標系にプロットされている。
【0066】
互いに異なる限界ブレーキ操作距離s1とs2を設定することにより、遮断能力も自在に設定可能である。たとえば、限界ブレーキ操作距離s1とs2に対する値を設定することにより、グラフv1を標準的な遮断能力に近づけることができる。
【0067】
図5は、ブレーキシステムを作動させる方法の第4実施形態を説明するための座標系を示している。
【0068】
図5の座標系の横軸は時間軸tである。図5の座標系の縦軸はプランジャの実充填レベルF(%)またはプランジャに充填可能な受容体積V(mm3)を表わしている。グラフgにより、以下に説明する方法が示されている。
【0069】
ブレーキ操作要素はたとえばブレーキペダルであってよい。ブレーキ操作要素が時点t0まで操作されないと、プランジャはほとんどまたは完全にブレーキ液で充填されている。しかしながら、すでにアクセルペダルからブレーキ操作要素へ交替している間に、好ましくはプランジャが時点t0にあるような、或いは、時点t0付近にあるような初期状態をプランジャに設定することができる。初期状態を設定するため、好ましくは、プランジャをわずかに空にさせることにより、プランジャをアクセルペダル操作充填レベルから初期状態の目標充填レベルへ調整する。初期状態の目標充填レベルは、供給される少なくとも1つのブレーキ操作強度量を考慮して、および/または、提供される発電機使用可能性、たとえばアクセルペダル操作とブレーキペダル操作との間の交代時間、ブレーキペダル操作の速度、車速、使用可能な発電機ブレーキトルク、バッテリーの充填状態および/または有利には回復モード、特に少なくとも1つの快適モードと最大回復モードから選択した回復モードのような発電機使用可能性を考慮して、少なくとも20%の値に設定することができる。
【0070】
ドライバーが時点t0とt1の間にドライバー制動要望のレべルに依存してブレーキ操作要素を操作している間に、プランジャの遮断スタートポジションをフィードバックする。遮断スタートポジションを設定するためにも、前述した他の量を考慮することができる。遮断のためにプランジャによってブレーキ圧を抑制するため、プランジャは、初期ポジションまたは遮断スタートポジションを設定しているにもかかわらず、なお十分な量のブレーキ液体積をブレーキシステムから取り出すことができる。遮断すべきブレーキトルクが時間とともに減少するにもかかわらず、プランジャのブレーキ液搬送を介して全ブレーキトルクを保持することができるので有利である。実施可能な更なる方法ステップに関しては、図2bに対する説明を参照してもらいたい。
【0071】
図6aと図6bは、ブレーキシステムの1実施形態の全体図と、該ブレーキシステムを作動させる方法の第5実施形態を説明するための座標系である。
【0072】
図6aに図示した車両用ブレーキシステムは、ブレーキマスターシリンダ50と、該ブレーキマスターシリンダ50と液圧結合されている少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー52と、該少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー52と液圧結合されている少なくとも1つのプランジャ54と、前述したような制御装置56とを有している。オプションで、ブレーキマスターシリンダ50には、たとえばブレーキペダルとして形成されたブレーキ操作要素58も配置されている。ドライバーは、ブレーキ操作要素58を操作することによりブレーキマスターシリンダ50に制動作用を起こさせる際、ブレーキブースター60を介して力を軽減される。好ましくは、ブレーキ操作要素58に少なくとも1つのブレーキ操作強度センサ62も配置され、該ブレーキ操作強度センサは、ブレーキ操作強度に関するセンサ信号を制御装置56および/またはブレーキブースター制御装置64に出力させることができる。少なくとも1つのブレーキ操作強度センサ62は、たとえばバー形距離センサおよび/またはパワーセンサであってよい。
【0073】
ここで説明している方法により作動可能なブレーキシステムは、特定数量の車輪ブレーキキャリパー52またはブレーキ回路に限定されるものではない。同様に、作動可能なブレーキシステムは、少なくとも1つのブレーキ回路の特定の構成或いは少なくとも1つのブレーキ回路の前提的構成に限定されるものではなく、すなわち高圧切換え弁66と、逆止弁を有しているバイパス管70が並列に延在している切換え弁68と、逆止弁を有しているバイパス管74が並列に延在している少なくとも1つの車輪吸込弁72と、少なくとも1つの車輪排出弁76と、ポンプ78と、少なくとも1つの車輪排出弁76とポンプ78との間に配置されている搬送逆止弁80とを備えた前記ブレーキ回路に限定されるものではない。ここで説明している方法の実施形態を実施する前提は、(プランジャ54に付設した)少なくとも1つの貯留室82を備えたブレーキシステムの構成にすぎない(ただし、ここで説明している方法の他の実施形態は、この種の貯留室82を備えていなくても実施可能である)。ブレーキシステム内での少なくとも1つの貯留室82の配置および少なくとも1つの貯留室82の構成に関しては大きな自由度がある。
【0074】
ここで説明している方法の実施形態は、図6bの座標系に図示されている。この場合、横軸は時間軸tを表わし、縦軸はプランジャ54の実充填レベルFと少なくとも1つの貯留室82の実貯留体積Vspとを表わしている。
【0075】
ブレーキ操作要素58の操作以前および操作以降、プランジャ54は少なくとも部分的に充填されており、好ましくは少なくとも20%、たとえば50%、特に100%に充填されている。時点t0とt1との間でのブレーキ操作強度の増大も、時点t1とt2との間でのブレーキ操作強度の一定保持も、プランジャ54の実充填レベルFには影響しない。好ましくは、少なくとも1つの貯留室82は時点t0ないしt2の間で空の状態にある。
【0076】
時点t2以降は、遮断すべきブレーキトルクが増大する。遮断すべきブレーキトルクの増大にもかかわらず、ドライバーによって与えられる全ブレーキトルクを維持するため、少なくとも1つの貯留室82を、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー52内のブレーキ圧を抑制するために利用する。このため、ブレーキ液を少なくとも1つの貯留室82内へ放出する。たとえば、もし少なくとも1つの車輪排出弁76が設けられている場合には、貯留室82内へのブレーキ液の放出が制御されるように該車輪排出弁が構成されていてよい。このケースでは、設定したブレーキ圧を保持するため、少なくとも1つの車輪排出弁76を再び閉じることができる。
【0077】
換言すれば、遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大した場合、この時間的増大に対応して、ブレーキシステムの少なくとも1つの貯留室82の目標吸込体積が設定され、少なくとも1つの貯留室82は、目標吸込体積に対応する実吸込体積を吸い込むため、或いは、対応する実貯留体積Vspのために、制御される。このため、ESPシステムの少なくとも1つの貯留室82が使用され得る。従って、この方法は通常におけるブレーキシステム内の既存の構成要素を用いて実施可能である。
【0078】
時点t3以降で遮断すべきブレーキトルクの時間的減少を阻止するため、プランジャ54を用いて少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー52内にブレーキ圧を発生させる。少なくとも1つの貯留室82からブレーキ液を汲み出すと、脈動が発生して、ドライバーがブレーキ操作要素58の振動/ガタツキ/反動として感じることがあるのに対し、時点t3とt4との間でプランジャ54によりブレーキ圧を発生させてもドライバーには感じ取れない。さらに、時点t4後に遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大する際、ブレーキ液は再び100%に充填されるまでプランジャ54内に充填させることができる。
【0079】
図7aないし図7cは、ブレーキシステムを作動させる方法の第6実施形態を説明するために3つの座標系を示している。
【0080】
図7aおよび図7bの座標系において、縦軸はブレーキ操作距離sであり、横軸はこれによって発生する、ブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキキャリパーに制動作用を生じさせるためのブレーキ圧Fbである。図7aおよび図7bは、車両に作用する遠心力がブレーキシステムのブレーキ操作距離・ブレーキ力特性に与える影響を説明するためのものである。図7aは、ブレーキシステムを備えた車両が強いカーブを走行する前のブレーキ操作距離・ブレーキ力特性を示している。これに対し図7bには、車両が強いカーブを走行した後のブレーキ操作距離・ブレーキ力特性が示されている。図7aと図7bを比較してわかるように、強いカーブを走行した後は、ブレーキ力を作用させるために、補助的なブレーキ操作距離/カーブ走行によって生じるフリートラベルΔをクリアしなければならない。なお、補助的なブレーキ操作距離/カーブ走行によって生じるフリートラベルΔの間にはブレーキ圧は発生されず、或いは、付設の車輪に対してブレーキ力は作用しない。
【0081】
カーブ走行によってフリートラベルΔが生じるのは、強いカーブを走行中に遠心力が作用するので、ブレーキシステムの少なくとも1つの車輪構成要素にシフト/変位が発生するためである。たとえば、遠心力によって少なくとも1つのピストンは少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で変位することがある。このため、ブレーキパッドと回転子とが接触する前に、たとえばそれぞれのピストンが比較的長い距離だけシフトすることがある。
【0082】
この作用をノックバックと呼ぶこともある。ノックバックは、特にカーブ走行時のエアギャップが原因である。この場合、たとえばブレーキキャリパーのピストンは遠心力によって変位する。さらに、老化および/または頻繁な操作によりパッキンが膨張することがある。同様に、カーブ走行時には、少なくとも1つのブレーキャリパーでパッキン膨張および/または摩擦モーメントのロスが発生することもある。
【0083】
ここで説明している方法を用いると、ノックバックと呼ばれる、特に強いカーブの走行時にしばしば発生する作用を解消し、従って強いカーブを頻繁に走行しても、カーブ走行によって生じるフリートラベルΔを抑止することが可能である。
【0084】
この方法を実施するため、好ましくはたとえば漏らし穴のようなブレーキマスターシリンダの少なくとも1つの圧力補償穴を閉鎖した後に、ブレーキマスターシリンダ内圧および少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内の車輪ブレーキ圧を検出し、評価してよい。次に、ブレーキマスターシリンダ内圧の増大と車輪ブレーキ圧の増大との間に不均衡が確認されれば、すでに前もって充填されているプランジャから少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内への体積の変位によってノックバックを解消することができる。
【0085】
これとは択一的に、或いは、これに加えて、走行方向変更経過をも評価して、ノックバックが発生すればこれを確認し、場合によっては迅速に補正してよい。たとえば、作動されるブレーキシステムを備えた車両の走行方向変更を、所定の比較角度量を越えたかどうかに関して調べることができる。所定の比較角度量を越えていないことが検出されれば、非操作強度とは異なる次のブレーキ操作強度で、該ブレーキ操作強度を考慮して第1の充填レベルを目標充填レベル量として設定することができる。所定の比較角度量を越えていれば、非操作強度とは異なる次のブレーキ操作強度で、該ブレーキ操作強度を考慮して、第1の充填レベルよりも小さな第2の充填レベルを目標充填レベル量として設定することができる。少なくとも1つの強いカーブを走行した後に目標充填レベルを減少させることにより、付加的なブレーキ液体積をプランジャから少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内へ移動させる。このようにして付加圧を特に車輪ブレーキキャリパーの変位可能なピストンに作用させることができる。この圧力を用いると、ピストンをたとえば強いカーブを走行する前に占めていた出発位置へ戻すことができる。これが図7cに図示してある。
【0086】
図7cの座標系において、横軸はブレーキ操作距離sで、縦軸はブレーキキャリパーピストンのピストン距離kである。グラフk0は、車両が強いカーブを走行する前のブレーキ操作距離・ピストン距離の関係を表わしている。これに対し、グラフk1により、カーブによって生じるフリートラベルΔを阻止するための前述の方法が実行されない場合の、車両が強いカーブを走行した後のブレーキ操作距離・ピストン距離の関係が示されている。
【0087】
ピストン距離kは、ブレーキ操作距離・ピストン距離の関係k0とk1の双方でブレーキ操作距離sに直接比例している。しかしながら、ブレーキ操作距離・ピストン距離の関係k1は、最小ブレーキ操作距離smがゼロでないにもかかわらず、ゼロを超えるとピストン距離kの勾配が著しく緩慢になっている。
【0088】
上述したカーブ走行によるフリートラベルΔを阻止するための方法を用いると、すでに最小ブレーキ操作距離smに至るまでに、(プランジャの実充填レベルを減少させることで)付加的なブレーキ液体積を、制御されるプランジャから少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内へ移動させることができる。従って、矢印100が示しているように、少なくとも1つの強いカーブを走行するにもかかわらず、有利なブレーキ操作距離・ピストン距離の関係k0を生じさせることができる。上述した方法を用いると、失ったインプットバーの距離/ペダル距離を、フィードバックなしでもドライバーによって補償することができる。さらに、ジャンプイン範囲をクリアした後、ドライバーはブレーキシステムの従来の作動態様と同じようなブレーキシステムからのフィードバックを得る。
【0089】
ここで説明している方法のブレーキシステムにおける実施形態は、ブレーキシステムに構造上の変更を加えることなく実施可能である。
【0090】
図8aないし図8cは、ブレーキシステムを作動させる方法の第7実施形態を説明するための3つの座標系を示している。
【0091】
図8aの座標系において、横軸はブレーキ操作時に移動する(ブレーキ液)体積Vbfであり、縦軸はこのようにして発生されるブレーキ圧pbを表わしている。第1の制動過程(p−V特性曲線b1)の際にも、第2の制動過程(p−V特性曲線b2)の際にも、最小ブレーキ圧pbmを達成する必要がある。ブレーキ圧pbおよび移動する体積Vbfの時間的経過は図8bおよび図8cに図示されており、この場合横軸は時間軸tである。
【0092】
図8aに図示した特性を見てわかるように、ブレーキシステムのp−V特性曲線は複数回の圧力変調の際に変化している。p−V特性曲線が変化するのは、たとえばパッキンおよび/またはブレーキライニングの圧縮のためである。このようにして付加的なフリートラベルが生じることがある。従って、ペダルを完全に離さないままブレーキシステムを長時間作動させていると(たとえば発電機ブレーキトルクの強い変動の際の液体の再漏れはなく、それ故かなり頻繁に圧力が変調する)、ブレーキ圧を所望の最小ブレーキ圧pbmに調整するために、従来では多くの体積を必要とする。
【0093】
しかしながら、ここで説明している方法は、圧力変調が始まるとプランジャが少なくとも部分的に充填されるような作動方法を実現させる。従って、プランジャは圧力変調が始まる前に常に十分なブレーキ液体積を含んでおり、ブレーキ液を少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内へ付加的に搬送することによりブレーキシステムの摩耗現象を補償する。
【0094】
本発明による方法では、プランジャ/ブレーキシステムの利用期間および/または利用頻度を、所定の比較利用程度量を越えているかどうかについて調べる。所定の比較利用程度量を越えていないことが検出されると、非利用程度とは異なる次のブレーキ操作強度において、該ブレーキ操作強度を考慮して第3の充填レベルを目標充填レベルとして設定する。これに対し、所定の比較利用程度量を越えた後には、非利用程度とは異なる次のブレーキ操作強度において、該ブレーキ操作強度を考慮して第3の充填レベルよりも小さな第4の充填レベルを目標充填レベルとして設定する。実充填レベルを減少させることにより、自動的に付加的なブレーキ液体積が車輪ブレーキキャリパー内へ搬送されて、ブレーキシステムの摩耗現象を補償する。このようにして、ブレーキシステムの長時間作動後も、該ブレーキシステムの確実な機能態様を保証することができる。
【0095】
なお、ここで述べた方法は、適正価格で、構成空間をあまり必要としないプランジャ54を用いて実施可能である。従って本発明による技術は、ブレーキシステムと協働するプランジャをコスト低減および必要構成空間低減のために利用することができる。さらに、プランジャに対しては、ここで述べた本発明による方法を用いて、高作業効率の伝動機構を使用することができる。
【符号の説明】
【0096】
10 第1の受信機構
16 プランジャ制御機構
18 プランジャ制御信号
20,54 プランジャ
50 ブレーキマスターシリンダ
52 車輪ブレーキキャリパー
56 制御装置
58 ブレーキ操作要素
F 実液体体積と最大体積との間の比率
s,14 ブレーキ操作強度量
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のブレーキシステム用制御装置に関するものである。同様に本発明は車両用ブレーキシステムにも関わる。さらに、本発明は車両のブレーキシステムを作動させる方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発電機を備えた自動車のためのブレーキシステムと、発電機を備えたブレーキシステムを作動させる方法とが記載されている。発電機により作用を受ける発電機ブレーキトルクが時間的に変化するにもかかわらず、自動車のドライバーによって設定された全ブレーキトルクを維持するため、シミュレータユニットを制御して、ブレーキシステムとシミュレータユニットの少なくとも1つの貯留室との間での発電機ブレーキトルクの差に対応する液圧体積を移動させる。このようにして、発電機ブレーキトルクの時間的変化にもかかわらず、ドライバーに通常の制動感を保証できるようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 030 441A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来の欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1の構成を備えた車両のブレーキシステム用制御装置、請求項12の構成を備えた車両用ブレーキシステム、請求項13の構成を備えた車両のブレーキシステムを作動させる方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
以下に詳細に述べるように、操作強度を考慮したプランジャの充填レベルを設定することにより、従来のようにプランジャの機能障害の際に発生するブレーキ操作要素のフリートラベルを少なくとも低減させることができる。従ってドライバーは、プランジャの機能障害にもかかわらず、本発明により迅速且つ確実にブレーキシステムの少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーに制動作用を起こさせることができる。これはドライバーにとって優れた走行快適性を保証する。
【0007】
本発明においては、遮断弁に対するコストが軽減される。本発明により作動されるプランジャは、遮断弁により液体を中間貯留するための従来の遮断機構に比べて、遮断弁に欠陥が生じても、これを検出する必要がないよう保証する。同様に、遮断弁の欠陥を検出しないので、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で圧力の発生が始まる前に、ブレーキ操作要素における大きなフリートラベルをクリアしなければならないリスクもない。
【0008】
同様に、本発明においては、たとえば巻き付けばねのような遮断機構における機能障害を検出する必要もない。エンジンの故障および/または遮断機構の欠陥の際に比較的大きなフリートラベルが発生することも本発明においては考慮する必要がない。
【0009】
さらに、本発明により、プランジャにセルフロック型伝動機構を設けずに済む。非セルフロック型として構成されたプランジャの伝動機構の作用効率が増大することにより、プランジャの原動機を適正価格で且つわずかな構成空間スペースで構成することができる。さらに、非セルフロック型として構成されたプランジャの伝動機構を作動させる原動機が供給しなければならないパワーコストが低減することにより、プランジャのエネルギー消費量と該プランジャを備えた車両の有害物質の放出とを削減することができる。
【0010】
このように、本発明はブレーキシステムのプランジャのコストおよびエネルギーの点で効果的な構成を保証している。本発明により、エネルギー効率のよい伝動機構を備えたプランジャも実現可能であり、該伝動機構に付加的な遮断機構または他の安全要請部を形成させる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
次に、本発明の他の特徴および利点を図面を用いて説明する。
【図1】制御装置の1実施形態の図である。
【図2a】ブレーキシステムを作動させる方法の第1実施形態を説明するための図である。
【図2b】ブレーキシステムを作動させる方法の第1実施形態を説明するための図である。
【図2c】ブレーキシステムを作動させる方法の第1実施形態を説明するための図である。
【図3a】ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための図である。
【図3b】ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための図である。
【図3c】ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための図である。
【図3d】ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための図である。
【図4a】ブレーキシステムを作動させる方法の第3実施形態を説明するための図である。
【図4b】ブレーキシステムを作動させる方法の第3実施形態を説明するための図である。
【図4c】ブレーキシステムを作動させる方法の第3実施形態を説明するための図である。
【図5】ブレーキシステムを作動させる方法の第4実施形態を説明するための図である。
【図6a】ブレーキシステムの1実施形態の全体図、および、ブレーキシステムを作動させる方法の第5実施形態を説明するための図である。
【図6b】ブレーキシステムの1実施形態の全体図、および、ブレーキシステムを作動させる方法の第5実施形態を説明するための図である。
【図7a】ブレーキシステムを作動させる方法の第6実施形態を説明するための図である。
【図7b】ブレーキシステムを作動させる方法の第6実施形態を説明するための図である。
【図7c】ブレーキシステムを作動させる方法の第6実施形態を説明するための図である。
【図8a】ブレーキシステムを作動させる方法の第7実施形態を説明するための図である。
【図8b】ブレーキシステムを作動させる方法の第7実施形態を説明するための図である。
【図8c】ブレーキシステムを作動させる方法の第7実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は制御装置の1実施形態の図である。
【0013】
図1に示した制御装置は、車両のブレーキシステムに使用可能である。以下の図面を用いた説明では、使用可能なブレーキシステムの可能な構成に関して詳細に解説することにする。
【0014】
制御装置は第1の受信機構10を有し、該受信機構を用いて、ブレーキシステムに配置されているブレーキ操作要素の操作の操作強度に関わるブレーキ操作強度信号12を受信可能である。ブレーキ操作強度信号12に対応するブレーキ操作強度量14は、第1の受信機構10を用いて供給可能である。ブレーキ操作強度量14はたとえば制動距離、制動力、および/または、制動圧を含んでいてよい。しかしながら、供給可能なブレーキ操作強度量14はここに列挙した例に限定されるものではない。
【0015】
制御装置はプランジャ制御機構16をも有しており、該プランジャ制御機構を用いると、少なくとも受信したブレーキ操作強度量14を考慮して、プランジャの目標充填レベル量を設定可能である。設定可能な目標充填レベル量とは、プランジャの貯留容積部に充填される液体体積と貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との間の目標比率であってよい。設定可能な目標充填レベル量はたとえばプランジャの充填レベル、および/または、プランジャの貯留容積部に充填される液体の目標体積であってよい。対応的に、目標充填レベル量として、プランジャの貯留容積部にさらに充填可能な受容体積も設定可能であってよい。同様に、設定可能な目標充填レベル量は、プランジャの移動可能なピストン部材/ピストンの位置、および/または、プランジャの伝動機構/原動機の位置/回転角を表わすものであってよい。しかしながら、設定可能な目標充填レベル量はここに列挙した例に限定されるものではない。
【0016】
設定された目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号18は、プランジャ制御機構16によりプランジャ20に出力可能である。好ましくは、プランジャ20の貯留容積部に充填された液体体積と貯留容積部に最大に充填可能な最大体積との間の実比率が設定された目標充填レベル量に応じて調整可能であるように、プランジャ20はプランジャ制御信号18により制御可能である。
【0017】
さらに、プランジャ制御機構16は、ブレーキ操作強度量14が予め設定される非操作強度量に対応している場合、プランジャ20の空の状態とは異なる充填レベル量が目標充填レベル量として設定されるとともに、設定された目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号18がプランジャ20に出力されることで、(ブレーキ操作強度量14が非操作強度量に等しいにもかかわらず)プランジャ20が少なくとも部分的に充填されているように、構成されている。すなわち、ブレーキ操作強度量14が予め設定される非操作強度量に対応している場合には、充填レベル量は、プランジャの貯留容積部に充填されている液体の体積に応じて、ゼロでない目標充填レベル量として設定可能である。対応的に、ブレーキ操作強度量14が予め設定される非操作強度量に対応している場合、目標充填レベル量として、プランジャの移動可能なピストン部材/ピストンの位置、および/または、プランジャの貯留容積部が少なくとも部分的に充填されているプランジャの伝動機構/原動機の位置/回転角が設定可能であってもよい。同様に、ブレーキ操作強度量14が予め設定される非操作強度量に対応している場合に目標充填レベル量として設定可能な、プランジャの貯留容積部にさらに充填可能な受容容積は、100%未満であってよい。
【0018】
非操作強度量とは、ブレーキ操作要素を操作していないときのブレーキ操作強度量、または、ブレーキ操作要素がその出発位置/非操作位置にあるときのブレーキ操作強度量であってよい。特に、非操作強度量はブレーキ操作強度量がゼロに等しい場合であってよい。
【0019】
プランジャ制御機構16は、たとえば、ブレーキ操作強度量14が非操作強度量に相当している場合に、充填レベル量を目標充填レベル量の少なくとも20%に設定し、設定した充填レベル量に相当するプランジャ制御信号18をプランジャ20に出力して、貯留容積部に充填される液体実体積を最大体積の少なくとも20%に調節可能であるように構成されていてよい。従ってプランジャ20は、ドライバーがブレーキ操作要素の操作をやめたときに、貯留容積部に充填される液体実体積が最大体積の少なくとも20%に調節可能であるように、制御装置により制御可能である。換言すれば、ブレーキ操作要素の操作をやめたときに、プランジャ20の貯留容積部に充填される液体体積と貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との間の実比率が少なくとも20%から調節可能である。
【0020】
好ましくは、プランジャ制御機構16は、非操作強度量に対応するブレーキ操作強度量14において、少なくとも50%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定して、貯留容積部に充填される液体実体積を最大体積の少なくとも50%に調節可能であるように構成されている。設定された充填レベル量に対応するプランジャ制御信号18はこのケースでもプランジャ20に出力可能である。すなわち、ブレーキ操作強度量14が予め設定されている非操作強度量に対応している場合、プランジャの貯留容積部に充填される液体の体積に応じた充填レベル量は、最大体積の少なくとも50%から目標充填レベル量として設定可能である。対応的に、ブレーキ操作強度量14が予め設定された非操作強度量に対応している場合も、目標充填レベル量として、プランジャの調整可能なピストン部材/ピストンの位置、および/または、プランジャの伝動機構/原動機の位置/回転角を設定可能であってよい。この場合、プランジャの貯留容積部は少なくとも50%に充填されている。同様に、ブレーキ操作強度量14が予め設定された非操作強度量に対応している場合、目標充填レベル量として設定可能で、プランジャの貯留容積部にさらに充填可能な受容体積は、たかだか50%未満であってよい。
【0021】
ブレーキ操作要素がその出発位置/非操作位置にあるときにプランジャ20の貯留容積部を少なくとも50%に充填することにより、すでにドライバーがブレーキ操作要素を操作する以前に比較的多量の液体がプランジャ20の貯留容積部に充填されているようにすることができる。従って、すでに前もって少なくとも50%に充填されているプランジャ20を完全に充填するには、同じ大きさの最大容積部を備えたプランジャ機構が空になっている場合よりもかなり少量のブレーキ液を必要とするにすぎない。プランジャ20がすでに前もって少なくとも50%に充填されている場合に、プランジャ20の少なくとも1つの構成要素の機能障害が発生し、たとえば原動機および/またはプランジャ20の閉鎖要素の機能障害が発生することで、ブレーキシステムの圧力が上昇してブレーキ液の充填制御がもはや保証されなくなると、それにもかかわらず、プランジャが完全に充填されてプランジャ20の更なる充填が不可能になる前に、比較的少量のブレーキ液がプランジャ20に圧入されるにすぎない。これに対し、同じ大きさの最大容積部を備えた空のプランジャ機構の構成要素に同等の機能障害が発生すると、かなり大きな体積のブレーキ液がプランジャ機構に圧入されるので望ましいものではない。
【0022】
通常、プランジャ機構内へのブレーキ液の充填制御ができなくなると、比較的長い時間にわたって継続的にブレーキ液がプランジャ機構内へ移動し、これによりドライバーがブレーキ操作要素を操作した時のフリートラベルが著しく増大するので、望ましいものではない。換言すれば、プランジャ機構内へのブレーキ液の充填制御ができなくなると、ドライバーは、(フリートラベルを終了させた後に)少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で制動圧が発生する前に、比較的多量のブレーキ液を、初めにブレーキ操作要素を操作することでプランジャ機構内へ移動させねばならない。これに対し、プランジャ20が前もって少なくとも50%に充填されていると、プランジャ20の少なくとも1つの構成要素に機能障害が生じたときでも、プランジャ20が比較的迅速に完全充填され、よってトライバーはブレーキ操作要素を操作することで早期に少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内にブレーキ圧を発生させることができるという利点がある。
【0023】
前もってプランジャ20を少なくとも20%に充填しておくことの利点は、特にたとえば脈動を発生させずに少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーを付加的に充填するために利用されるポンプに比べると、プランジャの少なくとも1つの構成要素が故障したときに従来では発生していた、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内でのブレーキ圧発生遅延を考慮しなくてもよい点にある。
【0024】
以下では、ブレーキ操作要素を操作する前にすでに少なくとも50%に充填されるプランジャ20の他の利点について詳細に説明する。
【0025】
1つの有利な実施形態では、プランジャ制御機構16は、ブレーキ操作強度量14が非操作強度量に対応している場合、少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、有利には少なくとも97%、特に100%(最大体積)の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように構成されていてよい。特に最後のケースでは、ブレーキ操作要素の初期操作中のプランジャ20の少なくとも1つの構成要素の機能障害時におけるプランジャの望ましくない充填が(ほぼ)阻止される。従って、プランジャ内へのブレーキ液の充填制御ができなくなっても、ブレーキ操作要素を操作することによりブレーキシステムのブレーキマスターシリンダから押し出されたブレーキ液が(少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの代わりに)プランジャ20内へ移動し、それ故プランジャ20が完全に充填されるまで少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内での圧力発生が遅れるという不具合は生じず、或いはほとんど生じない。換言すれば、プランジャ20の少なくとも1つの構成要素に機能障害が発生しても、プランジャ20が完全に充填されて、ブレーキマスターシリンダから押し出されたブレーキ液によって少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内でブレーキ圧が発生する以前に、ドライバーがフリートラベルをクリアする必要はほとんど或いは全くない。このように制御装置を用いてプランジャ20を有利に制御することにより、プランジャ20の少なくとも1つの構成要素の機能障害時の望ましくないフリートラベルの発生を阻止することができる。
【0026】
プランジャ制御機構16は、特に、ブレーキ操作強度量14が非操作強度量と所定の第1の限界操作強度量との間にあるときに、目標充填レベル量を、ブレーキ操作強度量14/ブレーキ操作強度の連続減少関数として設定するように構成されていてよい。これに加えて、プランジャ制御機構16は、補助的に、ブレーキ操作強度量14が所定の第2の限界操作強度量(第1の限界操作強度量に等しいかこれよりも大きい)と所定の第3の限界操作強度量との間にあるときに、目標充填レベル量をブレーキ操作強度量の連続増大関数として設定するように構成してよい。プランジャ制御機構16のこのような構成の利点を以下に詳細に説明する。
【0027】
1つの有利な実施形態では、制御装置は第2の受信機構22をも含んでおり、該第2の受信機構22を用いると、遮断すべきブレーキトルクの時間的変化に関わる供給された遮断量信号24を受信することができる。遮断量信号24に対応する遮断量26は、第2の受信機構22を用いてプランジャ制御機構16に供給可能である。このケースでは、プランジャ制御機構16は、有利には、遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少する場合に目標充填レベル量を減少させるように付加的に構成されている。好ましくは、遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少する場合、プランジャ制御機構16により目標充填レベル量を新たに設定可能であり、制御されるプランジャ20の実充填レベルの減少によって一定体積のブレーキ液を少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーへ搬送可能である。前記一定体積のブレーキ液は、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを、遮断すべきブレーキトルクの時間的減少量に相当する差だけ増大させる。このようにして、制御装置によるプランジャ20の制御により、遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少するにもかかわらず、ドライバーによって与えられる全ブレーキトルクを確実に維持することができる。
【0028】
これに加えて、プランジャ制御機構16は、遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大する場合に目標充填レベル量を増大させるように構成してよい。有利には、遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大する場合、プランジャ制御機構16を用いて目標充填レベル量を新たに設定し、制御されたプランジャ20の増大した実充填レベルによって一定体積のブレーキ液を少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーから貯留容積部に吸い込み可能である。前記一定体積のブレーキ液は、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを、遮断すべきブレーキトルクの時間的増大量に対応する差だけ減少させる。このように、プランジャ20は、遮断すべきブレーキトルクの時間的増大量を補整するためにも使用できる。これとは択一的に、プランジャ制御機構16は、遮断すべきブレーキトルクの時間的増大量に対応する貯留室28の目標吸込体積を設定して、該目標吸込体積に対応する貯留制御信号30を貯留室28のアクチュエータユニットに出力するように構成してもよい。前記時間的増大量を遮断するために貯留室28を使用することから得られる利点を以下に詳細に説明する。
【0029】
遮断すべきブレーキトルクは、特に発電機の発電機ブレーキトルクであってよい。これにより、車速および/またはバッテリーの充電状態によって発電機の使用状況が時間的に変化するにもかかわらず、制御装置を用いることで、ドライバーによって与えられたすべての車両減速を確実に維持することができ、これと同時に、バッテリーを迅速に充電するために発電機を頻繁に使用できることが保証されている。しかしながら、発電機ブレーキトルクの代わりに、制御装置を用いて他のブレーキトルクを遮断可能である。従って、ここで述べた制御装置の使用は、発電機を備えたブレーキシステムに限定されているものではない。
【0030】
オプションで、制御装置に第3の受信機構32を形成してもよい。この第3の受信機構を用いると、操舵角の変更のような、制御装置を備えた車両の走行方向変更に関して供給される走行方向変更信号34を受信することができる。このケースでは、第3の受信機構32を用いることで、走行方向変更信号34に対応する走行方向変更量36をプランジャ制御機構16に転送することができる。これに加えて、プランジャ制御機構16は、走行方向変更量36を、予め設定された少なくとも1つの比較角度量と比較するように構成されていてよい。プランジャ制御機構16は、非操作強度量とは異なるブレーキ操作強度量14を受信した後、走行方向変更量36と比較角度量とを補助的に考慮して、目標充填レベル量を新たに設定する。プランジャ制御機構16は、特に、走行方向変更量36が比較角度量よりも下であれば、ブレーキ操作強度量14を考慮して第1の充填レベル量を目標充填レベル量として設定する。走行方向変更量36が比較角度量よりも上であれば、有利には、第1の充填レベル量よりも小さな第2の充填レベル量を目標充填レベル量として、ブレーキ操作強度量14を考慮してプランジャ制御機構16により設定可能である。以下に詳細に述べるように、プランジャ20の実充填レベルを減少させ、その際にブレーキシステム内へ付加的にブレーキ液が移動することにより、走行時にカーブのまわりで発生するブレーキキャリパー内のエアギャップを克服することができる。
【0031】
これとは択一的に、または、これに加えて、制御装置は第4の受信機構38を含んでいてもよく、該第4の受信機構を用いると、プランジャ20の利用期間および/または利用頻度に関して供給されるプランジャ利用程度信号40を受信することができ、該プランジャ利用程度信号40に対応する利用程度量42をプランジャ制御機構16に出力させることができる。このケースでは、プランジャ制御機構16は、好ましくは、利用程度量42を少なくとも1つの所定の比較利用程度量と比較するように構成されていてもよい。このケースでも、非操作強度量とは異なるブレーキ操作強度量14が後で発生した場合、利用程度量42と比較利用程度量との比較結果を考慮して目標充填レベル量の新たな設定を行うことができる。利用程度量42が比較利用程度量未満であれば、ブレーキ操作強度量14を考慮して、プランジャ制御機構16を用いて第3の充填レベル量を目標充填レベル量として設定可能である。これに対し、利用程度量42が比較利用程度量を超えていれば、ブレーキ操作強度量14を考慮して、プランジャ制御機構16を用いて、第3の充填レベル量よりも小さな第4の充填レベル量を目標充填レベル量として設定可能である。利用程度量42が比較利用程度量を超えている場合にプランジャ20の実充填レベルを減少させることにより、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの付加的充填によるブレーキシステムの摩耗現象を補整することができる。この点について以下図面を用いて詳細に説明する。
【0032】
図2aないし図2cは、ブレーキシステムを作動させるための方法の第1実施形態を説明する3つの座標系を示している。
【0033】
この方法を実施する場合、プランジャの目標充填レベルは、ブレーキシステムに配置されているブレーキ要素の操作の少なくとも1つの操作強度を考慮して設定する。次に、設定した目標充填レベルに応じてプランジャを制御して、プランジャ20の貯留容積部に充填された液体体積と貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との間の実比率を、設定した目標充填レベルに対応するように調整する。これを、貯留容積部に充填された液体体積と(最大に充填可能な)プランジャの貯留容積部の最大容積との実比率を、設定した目標充填レベルに対応するように調整することと書き表すこともできる。設定可能な目標充填レベルの例、または、調整可能な実比率の例は上に述べたとおりである。
【0034】
図2aの座標系の横軸は、ドライバーによる操作時にブレーキ操作要素が変位するブレーキ操作距離s(mm)を表わしている。図2aの座標系の縦軸は、ブレーキ操作距離sに依存して本発明による方法により調整される実充填レベルF(%)、または、実充填レベルFで貯留容積部にさらに充填可能な受容体積V(mm2)に対応している。受容体積Vは、最大体積と貯留容積部にすでに充填されている液体体積との間の差と呼ぶこともできる。
【0035】
本発明を実施する場合、操作強度として、ブレーキ操作距離sを非操作強度として予め設定されているゼロ距離と比較する。ブレーキ操作距離sがゼロに等しければ、或いは、ブレーキ操作強度が非操作強度に対応していれば、(最大体積の)少なくとも20%の、たとえば少なくとも50%の、好ましくは少なくとも70%の、特に少なくとも90%の、有利には少なくとも95%の目標充填レベルを設定する。次に、設定した目標充填レベルに応じてプランジャを制御して、実充填レベルFが好ましくは目標充填レベルに等しくなるように調整する。換言すれば、少なくとも20%の、たとえば少なくとも50%の、好ましくは少なくとも70%の、特に少なくとも90%の、有利には少なくとも95%の実充填レベルFを設定する。図示した実施形態では、ブレーキ操作距離sがゼロに等しい場合、有利には、100%の実充填レベルまたはゼロの受容体積Vが調整される。従って、プランジャの構成要素が故障した場合、比較的圧力が高いにもかかわらず、ブレーキ操作要素の初期操作中でのプランジャ内へのブレーキ液の望ましくない移動が阻止されている。
【0036】
本発明による方法の場合、ブレーキ操作距離sがゼロと所定の第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるとき、或いは、ブレーキ操作強度が非操作強度と所定の第1の限界操作強度との間にあるとき、目標充填レベル量はブレーキ操作距離s/ブレーキ操作強度の連続減少関数として設定される。好ましくは、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるとき、増大した受容体積Vがブレーキ操作距離s(ブレーキ操作距離sに比べてゼロに等しい)のときにブレーキシステムの少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーに付加的に充填されるブレーキ液体積に対応するように、実充填レベルFを減少させる。このようにして、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるときに、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクをゼロに減少させることができる程度のブレーキ液をプランジャ内に充填可能であるようにさせることができる。従って、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるときには、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを減少させることで、特に発電機ブレーキトルクのような非液圧ブレーキトルクを遮断可能であるよう常に保証されている。同時に、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるときにプランジャの少なくとも1つの構成要素の機能障害が生じたときも、プランジャが完全に充填されてドライバーがブレーキ操作要素の操作により少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内のブレーキ圧を上昇させることができる以前に、ドライバーは比較的小さなフリートラベルのみをクリアすればよいことも保証されている。
【0037】
このような方法は、(ゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間で)減速要望が増えれば、プランジャが付加的な液体をブレーキシステム内へ移動させるとも書き表すことができる。この移動したブレーキ液は、必要な場合に24バール(3m/s2)のブレーキ圧を遮断するのに十分である。
【0038】
プランジャは補助的に閉鎖機構を備えていてよく、この閉鎖機構を用いると、ブレーキ操作距離sが第1の限界ブレーキ操作距離s1以上である場合に、比較的大きな圧力に抗して充填レベルFを0%に保持させることができる。適当な閉鎖機構は本発明の対象ではないので、ここではこれについてこれ以上言及しない。
【0039】
図2bを用いて遮断過程をもう一度説明する。図2bの座標系の横軸は時間軸tである。図2bの座標軸の縦軸はプランジャの実充填レベル(%)またはプランジャに充填可能な受容体積V(mm3)を表わしている。グラフgは有利な方法を示している(破線Iは、プランジャを作動させるための従来の作動方法に対応している)。
【0040】
時点t0でドライバーがブレーキ操作要素を操作する前にプランジャはすでに充填されている。それ故、時点t0以前では実充填レベルは約100%である(破線Iで示した従来の作動方法では、制動回復後のたびにプランジャを空にさせる)。
【0041】
時点t0以後にドライバーはブレーキ操作要素を操作する。ブレーキ操作要素を操作開始した以後に初めて、ブレーキ操作強度が増大するにつれて(ドライバー制動要望に依存して)プランジャの遮断スタートポジションを補充する。このため、ブレーキ操作強度が予め設定した第1の限界操作強度に等しければ、時点t1までプランジャの実充填レベルFを常時減少させる。この場合プランジャは、好ましくは、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを減少させてたとえば発電機ブレーキトルクのような非液圧ブレーキトルクを遮断させるために必要な量のブレーキ液をブレーキシステム内へ移動させる。これにより、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを減少させて非液圧ブレーキトルクを遮断させるために必要な量の体積をプランジャがブレーキシステムから取り出すことができるよう保証されている。
【0042】
このようにして、プランジャを用いて、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内のブレーキ圧を減少させるために十分な受容体積Vを供給することができる。
【0043】
それ故、時点t2以降は、プランジャはブレーキ液を受容することにより、または、実充填レベルFを増大させることにより、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパーの液圧ブレーキトルクを時点t3までゼロに減少させることができる。時点t3以降は、遮断のために受容されたブレーキ液体積を戻すことにより、遮断する前に少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で支配的であったブレーキ圧を時点t4まで再び発生させることができる。従って、たとえば発電機ブレーキトルクのような非液圧ブレーキトルクが時間的に減少するにもかかわらず、遮断のために受容されたブレーキ液体積をブレーキシステム内へ戻すことにより、ドライバーによって与えられた全ブレーキトルクを維持することができる。
【0044】
図2cは、ブレーキ操作距離sがゼロと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間にあるときにプランジャを空にすることによって変化する、ブレーキマスターシリンダにおける圧力・距離特性を表わしている。図2cの座標系の横軸はブレーキ操作距離(mm)を示し、図2cの座標系の縦軸はブレーキマスターシリンダ内で支配的な圧力p(バール)に対応している。ここで説明している方法によって達成可能なブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1を、従来の処置態様のブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0と比較する。
【0045】
ここで説明している方法を実施することにより、ブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1は大きく上昇する。従って、ここで説明している方法により、ブレーキマスターシリンダ内または少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内により高いブレーキ圧をより迅速に発生させることができる。よって、ここで説明している方法は制動圧増幅を生じさせることができる。
【0046】
選択的に、ブレーキシステム内に形成された弾性を用いてもブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1を従来のブレーキ操作距離・圧力特性p0に簡単に適合させることができる。このために適した弾性の構成はここで説明している方法の対象ではないので、これ以上言及しない。
【0047】
図2aないし図2cの方法を実施するための補完として、プランジャはロック部または遮断可能な弁を備えるように構成することができる。このケースでは、プランジャ自体が高圧を維持する必要はなく、それ故わずかなパワー需要で構成することができる。図2aないし図2cの方法を実施することによって高体積ロスを生じる確率は低いので、ロック部は低度の安全性要求に対して構成することができる。よって、ロック部または遮断弁用の適正価格な機構を使用することができる。
【0048】
図3aないし図3dは、ブレーキシステムを作動させる方法の第2実施形態を説明するための4つの座標系を示している。
【0049】
図3aの座標系の横軸はブレーキ操作距離s(mm)(インプットバーの距離)を示している。図3aの座標系の縦軸は実充填レベルF(%)または受容体積V(mm3)に対応している。
【0050】
前述した方法を補完するものとして、この実施形態では、ブレーキ操作距離sが予め設定された第2の限界ブレーキ操作距離s2と予め設定された第3の限界ブレーキ操作距離s3との間にあるときに(この場合、第2の限界ブレーキ操作距離s2は第1のブレーキ操作距離s1よりも大きいかこれに等しい)、目標充填レベル量はブレーキ操作距離s/ブレーキ操作強度量の連続増大関数として設定される。換言すれば、減速要望が増大すると、プランジャはゼロのブレーキ操作距離sと第1の限界ブレーキ操作距離s1との間で付加的な液体をブレーキシステム内へ搬送し、他方第2の限界ブレーキ操作距離s2以降は、プランジャは再び充填される。これにより、プランジャの少なくとも1つの構成要素に機能障害があっても、プランジャは第2の限界ブレーキ操作距離以降に発生するブレーキシステム内の高圧を確実に維持することができる。従って、プランジャに高圧を維持するためのロック部を備えさせる必要はない。
【0051】
この方法により実現できるプランジャの制御コンセプトにより、プランジャの少なくとも1つの構成要素に機能障害によるペダルストローク延長の程度および確率を低減させることができる。これを次に図3bを用いて説明する。
【0052】
図3bの座標系において、横軸はブレーキシステムによって実施される減速a(m/s2)(負の加速度、たとえば全減速)であり、縦軸は体積ロスN(%)である。
【0053】
実線のグラフn1は、ここで説明している方法に従ってプランジャを作動させる際の体積ロスを表わしている。減速aがゼロに等しい場合、プランジャは(完全に)充填されている。減速aがゼロではない場合、プランジャの遮断スタート状態は減速aに依存して調整される。減速aがゼロと第1の限界減速a1にあるときには、プランジャは少なくとも1つの車輪ブレーキキャンパー内に発生するブレーキ圧を遮断させるために必要な量の液体のみをブレーキシステム内へ移動させる。少なくとも第2の限界減速a2以降の減速aでは、プランジャが再び充填される。
【0054】
このようにして、ブレーキ操作距離が第1の限界ブレーキ操作距離s1と第2のブレーキ操作距離s2との間にある場合のみ、或いは、減速aが第1の限界減速a1と第2の限界減速a2との間にある場合のみ、100%の体積ロスNを考慮すればよいように保証することができる。これに対し、体積ロスNは、有利な方法により、とりわけ減速aがゼロと第1の限界減速a1の半分の間で頻繁に発生する場合、0%まで減少させることができる。同様に、減速がa>>a2の強力な車両制動の場合には体積ロスNを考慮する必要はない。
【0055】
破線のグラフn0は、プランジャを作動させるための従来の処置態様における体積ロスNを表わしており、この処置態様ではプランジャは遮断する以前に空の状態にある。それ故、減速のたびにプランジャロスのために100%の最大体積ロスNが発生することがある。
【0056】
図3cには、ここで説明している方法によって生じる圧力・距離特性曲線が示されている。図3cの座標系の横軸はブレーキ操作距離s(mm)である。図3cの座標系の縦軸はブレーキマスターシリンダ内で支配的な圧力p(バール)に対応している。ここで説明している方法を用いて達成可能なブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1を、従来の処置態様のブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0と比較する。
【0057】
ここで説明している方法を用いて達成可能なブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1はブレーキ操作距離sが小さい場合、従来の処置態様のブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0よりも急勾配である。プランジャが再び100%充填レベルの方向に制御される第2の限界操作距離以降では、ブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1はブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0に再び接近する。
【0058】
図3dの座標系において、横軸は少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内のブレーキ圧pb(バール)であり、縦軸は特定のブレーキ圧pbでプランジャにより最大に実現可能な圧力抑制Δpb(バール)である。グラフv1はここで説明している遮断方法において実施可能な圧力抑制を表わし、グラフv0は従来の処置態様における対応する値を表わしている。
【0059】
両グラフv1とv0を比較することにより、ここで説明している有利な方法を用いると、特に低ブレーキ圧pbで、または、車両減速が低い場合に、発電機ブレーキトルクを有利に遮断できるよう保証されていることがわかる。これが有利なのは、とりわけ市街地交通で低減速を行うことが頻繁にあるからである。従って、ここで説明している有利な方法を用いると、発電機を車両バッテリーの迅速な充電用にたびたび使用できるよう保証できる。
【0060】
図4aないし図4cは、ブレーキシステムを作動させる方法の第3実施形態を説明するための3つの座標系を示している。
【0061】
図4aの座標系において、横軸はブレーキ操作距離s(mm)(インプットバーの距離)で、縦軸は実充填レベルF(%)または受容体積V(mm3)を表わしている。
【0062】
ここで説明している方法の実施形態では、第2の限界ブレーキ操作距離s2は第1の限界ブレーキ操作距離s1からずれている。さらに、ブレーキ操作距離sがゼロに等しい場合、プランジャは部分的にのみ充填され、たとえば57%に充填されている。
【0063】
図4bの座標系には、ここで説明している方法を用いて達成可能なブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1と、従来の処置態様のブレーキ操作距離・圧力特性曲線p0とが比較されている。この場合、横軸はブレーキ操作距離(mm)を表わし、縦軸はブレーキマスターシリンダ内で支配的な圧力p(バール)を表わしている。図4bからわかるように、限界ブレーキ操作距離s1とs2を互いに異なるように設定することにより、ペダル特性を種々設定することができる。従って、限界ブレーキ操作距離s1とs2によってペダル特性を個別に構成できる。とりわけブレーキ操作距離・圧力特性曲線p1の不連続な勾配は、(第1の限界ブレーキ操作距離s1とは独立に)第2の限界ブレーキ操作距離s2を選定することにより少なくとも部分的に平滑にさせることができる。
【0064】
ペダルフリートラベルも限界ブレーキ操作距離s1とs2に対する値を設定することで可変に調整可能である。
【0065】
図4cの座標系では、横軸は少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で支配的なブレーキ圧pb(バール)を表わし、縦軸は特定のブレーキ圧pbでプランジャにより最大に実現可能な圧力抑制Δpb(バール)を表わしている。比較のため、ここで説明している方法で実現可能な圧力抑制を表わすグラフv1と、従来の処置態様での対応するグラフv0とが図4cの座標系にプロットされている。
【0066】
互いに異なる限界ブレーキ操作距離s1とs2を設定することにより、遮断能力も自在に設定可能である。たとえば、限界ブレーキ操作距離s1とs2に対する値を設定することにより、グラフv1を標準的な遮断能力に近づけることができる。
【0067】
図5は、ブレーキシステムを作動させる方法の第4実施形態を説明するための座標系を示している。
【0068】
図5の座標系の横軸は時間軸tである。図5の座標系の縦軸はプランジャの実充填レベルF(%)またはプランジャに充填可能な受容体積V(mm3)を表わしている。グラフgにより、以下に説明する方法が示されている。
【0069】
ブレーキ操作要素はたとえばブレーキペダルであってよい。ブレーキ操作要素が時点t0まで操作されないと、プランジャはほとんどまたは完全にブレーキ液で充填されている。しかしながら、すでにアクセルペダルからブレーキ操作要素へ交替している間に、好ましくはプランジャが時点t0にあるような、或いは、時点t0付近にあるような初期状態をプランジャに設定することができる。初期状態を設定するため、好ましくは、プランジャをわずかに空にさせることにより、プランジャをアクセルペダル操作充填レベルから初期状態の目標充填レベルへ調整する。初期状態の目標充填レベルは、供給される少なくとも1つのブレーキ操作強度量を考慮して、および/または、提供される発電機使用可能性、たとえばアクセルペダル操作とブレーキペダル操作との間の交代時間、ブレーキペダル操作の速度、車速、使用可能な発電機ブレーキトルク、バッテリーの充填状態および/または有利には回復モード、特に少なくとも1つの快適モードと最大回復モードから選択した回復モードのような発電機使用可能性を考慮して、少なくとも20%の値に設定することができる。
【0070】
ドライバーが時点t0とt1の間にドライバー制動要望のレべルに依存してブレーキ操作要素を操作している間に、プランジャの遮断スタートポジションをフィードバックする。遮断スタートポジションを設定するためにも、前述した他の量を考慮することができる。遮断のためにプランジャによってブレーキ圧を抑制するため、プランジャは、初期ポジションまたは遮断スタートポジションを設定しているにもかかわらず、なお十分な量のブレーキ液体積をブレーキシステムから取り出すことができる。遮断すべきブレーキトルクが時間とともに減少するにもかかわらず、プランジャのブレーキ液搬送を介して全ブレーキトルクを保持することができるので有利である。実施可能な更なる方法ステップに関しては、図2bに対する説明を参照してもらいたい。
【0071】
図6aと図6bは、ブレーキシステムの1実施形態の全体図と、該ブレーキシステムを作動させる方法の第5実施形態を説明するための座標系である。
【0072】
図6aに図示した車両用ブレーキシステムは、ブレーキマスターシリンダ50と、該ブレーキマスターシリンダ50と液圧結合されている少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー52と、該少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー52と液圧結合されている少なくとも1つのプランジャ54と、前述したような制御装置56とを有している。オプションで、ブレーキマスターシリンダ50には、たとえばブレーキペダルとして形成されたブレーキ操作要素58も配置されている。ドライバーは、ブレーキ操作要素58を操作することによりブレーキマスターシリンダ50に制動作用を起こさせる際、ブレーキブースター60を介して力を軽減される。好ましくは、ブレーキ操作要素58に少なくとも1つのブレーキ操作強度センサ62も配置され、該ブレーキ操作強度センサは、ブレーキ操作強度に関するセンサ信号を制御装置56および/またはブレーキブースター制御装置64に出力させることができる。少なくとも1つのブレーキ操作強度センサ62は、たとえばバー形距離センサおよび/またはパワーセンサであってよい。
【0073】
ここで説明している方法により作動可能なブレーキシステムは、特定数量の車輪ブレーキキャリパー52またはブレーキ回路に限定されるものではない。同様に、作動可能なブレーキシステムは、少なくとも1つのブレーキ回路の特定の構成或いは少なくとも1つのブレーキ回路の前提的構成に限定されるものではなく、すなわち高圧切換え弁66と、逆止弁を有しているバイパス管70が並列に延在している切換え弁68と、逆止弁を有しているバイパス管74が並列に延在している少なくとも1つの車輪吸込弁72と、少なくとも1つの車輪排出弁76と、ポンプ78と、少なくとも1つの車輪排出弁76とポンプ78との間に配置されている搬送逆止弁80とを備えた前記ブレーキ回路に限定されるものではない。ここで説明している方法の実施形態を実施する前提は、(プランジャ54に付設した)少なくとも1つの貯留室82を備えたブレーキシステムの構成にすぎない(ただし、ここで説明している方法の他の実施形態は、この種の貯留室82を備えていなくても実施可能である)。ブレーキシステム内での少なくとも1つの貯留室82の配置および少なくとも1つの貯留室82の構成に関しては大きな自由度がある。
【0074】
ここで説明している方法の実施形態は、図6bの座標系に図示されている。この場合、横軸は時間軸tを表わし、縦軸はプランジャ54の実充填レベルFと少なくとも1つの貯留室82の実貯留体積Vspとを表わしている。
【0075】
ブレーキ操作要素58の操作以前および操作以降、プランジャ54は少なくとも部分的に充填されており、好ましくは少なくとも20%、たとえば50%、特に100%に充填されている。時点t0とt1との間でのブレーキ操作強度の増大も、時点t1とt2との間でのブレーキ操作強度の一定保持も、プランジャ54の実充填レベルFには影響しない。好ましくは、少なくとも1つの貯留室82は時点t0ないしt2の間で空の状態にある。
【0076】
時点t2以降は、遮断すべきブレーキトルクが増大する。遮断すべきブレーキトルクの増大にもかかわらず、ドライバーによって与えられる全ブレーキトルクを維持するため、少なくとも1つの貯留室82を、少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー52内のブレーキ圧を抑制するために利用する。このため、ブレーキ液を少なくとも1つの貯留室82内へ放出する。たとえば、もし少なくとも1つの車輪排出弁76が設けられている場合には、貯留室82内へのブレーキ液の放出が制御されるように該車輪排出弁が構成されていてよい。このケースでは、設定したブレーキ圧を保持するため、少なくとも1つの車輪排出弁76を再び閉じることができる。
【0077】
換言すれば、遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大した場合、この時間的増大に対応して、ブレーキシステムの少なくとも1つの貯留室82の目標吸込体積が設定され、少なくとも1つの貯留室82は、目標吸込体積に対応する実吸込体積を吸い込むため、或いは、対応する実貯留体積Vspのために、制御される。このため、ESPシステムの少なくとも1つの貯留室82が使用され得る。従って、この方法は通常におけるブレーキシステム内の既存の構成要素を用いて実施可能である。
【0078】
時点t3以降で遮断すべきブレーキトルクの時間的減少を阻止するため、プランジャ54を用いて少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー52内にブレーキ圧を発生させる。少なくとも1つの貯留室82からブレーキ液を汲み出すと、脈動が発生して、ドライバーがブレーキ操作要素58の振動/ガタツキ/反動として感じることがあるのに対し、時点t3とt4との間でプランジャ54によりブレーキ圧を発生させてもドライバーには感じ取れない。さらに、時点t4後に遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大する際、ブレーキ液は再び100%に充填されるまでプランジャ54内に充填させることができる。
【0079】
図7aないし図7cは、ブレーキシステムを作動させる方法の第6実施形態を説明するために3つの座標系を示している。
【0080】
図7aおよび図7bの座標系において、縦軸はブレーキ操作距離sであり、横軸はこれによって発生する、ブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキキャリパーに制動作用を生じさせるためのブレーキ圧Fbである。図7aおよび図7bは、車両に作用する遠心力がブレーキシステムのブレーキ操作距離・ブレーキ力特性に与える影響を説明するためのものである。図7aは、ブレーキシステムを備えた車両が強いカーブを走行する前のブレーキ操作距離・ブレーキ力特性を示している。これに対し図7bには、車両が強いカーブを走行した後のブレーキ操作距離・ブレーキ力特性が示されている。図7aと図7bを比較してわかるように、強いカーブを走行した後は、ブレーキ力を作用させるために、補助的なブレーキ操作距離/カーブ走行によって生じるフリートラベルΔをクリアしなければならない。なお、補助的なブレーキ操作距離/カーブ走行によって生じるフリートラベルΔの間にはブレーキ圧は発生されず、或いは、付設の車輪に対してブレーキ力は作用しない。
【0081】
カーブ走行によってフリートラベルΔが生じるのは、強いカーブを走行中に遠心力が作用するので、ブレーキシステムの少なくとも1つの車輪構成要素にシフト/変位が発生するためである。たとえば、遠心力によって少なくとも1つのピストンは少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内で変位することがある。このため、ブレーキパッドと回転子とが接触する前に、たとえばそれぞれのピストンが比較的長い距離だけシフトすることがある。
【0082】
この作用をノックバックと呼ぶこともある。ノックバックは、特にカーブ走行時のエアギャップが原因である。この場合、たとえばブレーキキャリパーのピストンは遠心力によって変位する。さらに、老化および/または頻繁な操作によりパッキンが膨張することがある。同様に、カーブ走行時には、少なくとも1つのブレーキャリパーでパッキン膨張および/または摩擦モーメントのロスが発生することもある。
【0083】
ここで説明している方法を用いると、ノックバックと呼ばれる、特に強いカーブの走行時にしばしば発生する作用を解消し、従って強いカーブを頻繁に走行しても、カーブ走行によって生じるフリートラベルΔを抑止することが可能である。
【0084】
この方法を実施するため、好ましくはたとえば漏らし穴のようなブレーキマスターシリンダの少なくとも1つの圧力補償穴を閉鎖した後に、ブレーキマスターシリンダ内圧および少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内の車輪ブレーキ圧を検出し、評価してよい。次に、ブレーキマスターシリンダ内圧の増大と車輪ブレーキ圧の増大との間に不均衡が確認されれば、すでに前もって充填されているプランジャから少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内への体積の変位によってノックバックを解消することができる。
【0085】
これとは択一的に、或いは、これに加えて、走行方向変更経過をも評価して、ノックバックが発生すればこれを確認し、場合によっては迅速に補正してよい。たとえば、作動されるブレーキシステムを備えた車両の走行方向変更を、所定の比較角度量を越えたかどうかに関して調べることができる。所定の比較角度量を越えていないことが検出されれば、非操作強度とは異なる次のブレーキ操作強度で、該ブレーキ操作強度を考慮して第1の充填レベルを目標充填レベル量として設定することができる。所定の比較角度量を越えていれば、非操作強度とは異なる次のブレーキ操作強度で、該ブレーキ操作強度を考慮して、第1の充填レベルよりも小さな第2の充填レベルを目標充填レベル量として設定することができる。少なくとも1つの強いカーブを走行した後に目標充填レベルを減少させることにより、付加的なブレーキ液体積をプランジャから少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内へ移動させる。このようにして付加圧を特に車輪ブレーキキャリパーの変位可能なピストンに作用させることができる。この圧力を用いると、ピストンをたとえば強いカーブを走行する前に占めていた出発位置へ戻すことができる。これが図7cに図示してある。
【0086】
図7cの座標系において、横軸はブレーキ操作距離sで、縦軸はブレーキキャリパーピストンのピストン距離kである。グラフk0は、車両が強いカーブを走行する前のブレーキ操作距離・ピストン距離の関係を表わしている。これに対し、グラフk1により、カーブによって生じるフリートラベルΔを阻止するための前述の方法が実行されない場合の、車両が強いカーブを走行した後のブレーキ操作距離・ピストン距離の関係が示されている。
【0087】
ピストン距離kは、ブレーキ操作距離・ピストン距離の関係k0とk1の双方でブレーキ操作距離sに直接比例している。しかしながら、ブレーキ操作距離・ピストン距離の関係k1は、最小ブレーキ操作距離smがゼロでないにもかかわらず、ゼロを超えるとピストン距離kの勾配が著しく緩慢になっている。
【0088】
上述したカーブ走行によるフリートラベルΔを阻止するための方法を用いると、すでに最小ブレーキ操作距離smに至るまでに、(プランジャの実充填レベルを減少させることで)付加的なブレーキ液体積を、制御されるプランジャから少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内へ移動させることができる。従って、矢印100が示しているように、少なくとも1つの強いカーブを走行するにもかかわらず、有利なブレーキ操作距離・ピストン距離の関係k0を生じさせることができる。上述した方法を用いると、失ったインプットバーの距離/ペダル距離を、フィードバックなしでもドライバーによって補償することができる。さらに、ジャンプイン範囲をクリアした後、ドライバーはブレーキシステムの従来の作動態様と同じようなブレーキシステムからのフィードバックを得る。
【0089】
ここで説明している方法のブレーキシステムにおける実施形態は、ブレーキシステムに構造上の変更を加えることなく実施可能である。
【0090】
図8aないし図8cは、ブレーキシステムを作動させる方法の第7実施形態を説明するための3つの座標系を示している。
【0091】
図8aの座標系において、横軸はブレーキ操作時に移動する(ブレーキ液)体積Vbfであり、縦軸はこのようにして発生されるブレーキ圧pbを表わしている。第1の制動過程(p−V特性曲線b1)の際にも、第2の制動過程(p−V特性曲線b2)の際にも、最小ブレーキ圧pbmを達成する必要がある。ブレーキ圧pbおよび移動する体積Vbfの時間的経過は図8bおよび図8cに図示されており、この場合横軸は時間軸tである。
【0092】
図8aに図示した特性を見てわかるように、ブレーキシステムのp−V特性曲線は複数回の圧力変調の際に変化している。p−V特性曲線が変化するのは、たとえばパッキンおよび/またはブレーキライニングの圧縮のためである。このようにして付加的なフリートラベルが生じることがある。従って、ペダルを完全に離さないままブレーキシステムを長時間作動させていると(たとえば発電機ブレーキトルクの強い変動の際の液体の再漏れはなく、それ故かなり頻繁に圧力が変調する)、ブレーキ圧を所望の最小ブレーキ圧pbmに調整するために、従来では多くの体積を必要とする。
【0093】
しかしながら、ここで説明している方法は、圧力変調が始まるとプランジャが少なくとも部分的に充填されるような作動方法を実現させる。従って、プランジャは圧力変調が始まる前に常に十分なブレーキ液体積を含んでおり、ブレーキ液を少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー内へ付加的に搬送することによりブレーキシステムの摩耗現象を補償する。
【0094】
本発明による方法では、プランジャ/ブレーキシステムの利用期間および/または利用頻度を、所定の比較利用程度量を越えているかどうかについて調べる。所定の比較利用程度量を越えていないことが検出されると、非利用程度とは異なる次のブレーキ操作強度において、該ブレーキ操作強度を考慮して第3の充填レベルを目標充填レベルとして設定する。これに対し、所定の比較利用程度量を越えた後には、非利用程度とは異なる次のブレーキ操作強度において、該ブレーキ操作強度を考慮して第3の充填レベルよりも小さな第4の充填レベルを目標充填レベルとして設定する。実充填レベルを減少させることにより、自動的に付加的なブレーキ液体積が車輪ブレーキキャリパー内へ搬送されて、ブレーキシステムの摩耗現象を補償する。このようにして、ブレーキシステムの長時間作動後も、該ブレーキシステムの確実な機能態様を保証することができる。
【0095】
なお、ここで述べた方法は、適正価格で、構成空間をあまり必要としないプランジャ54を用いて実施可能である。従って本発明による技術は、ブレーキシステムと協働するプランジャをコスト低減および必要構成空間低減のために利用することができる。さらに、プランジャに対しては、ここで述べた本発明による方法を用いて、高作業効率の伝動機構を使用することができる。
【符号の説明】
【0096】
10 第1の受信機構
16 プランジャ制御機構
18 プランジャ制御信号
20,54 プランジャ
50 ブレーキマスターシリンダ
52 車輪ブレーキキャリパー
56 制御装置
58 ブレーキ操作要素
F 実液体体積と最大体積との間の比率
s,14 ブレーキ操作強度量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のブレーキシステムのための制御装置(56)であって、
前記ブレーキシステムに配置されているブレーキ操作要素(58)の操作の操作強度に関して供給されるブレーキ操作強度量(s,14)を受信可能な第1の受信機構(10)と、
少なくとも前記受信したブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して、プランジャ(20,54)の目標充填レベル量を設定可能とし、設定された前記目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号(18)を前記プランジャ(20,54)に出力可能とし、その結果前記プランジャ(20,54)の貯留容積部に充填されている実液体体積と前記貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との比率(F)を、前記設定した目標充填レベル量に応じて調整可能なプランジャ制御機構(16)と、
を備えた前記制御装置(56)において、
前記ブレーキ操作強度量(s,14)が所定の非操作強度量に対応しているときに、前記プランジャ(20,54)の空の状態とは異なる充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、前記設定した目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号(18)を前記プランジャ(20,54)に出力して該プランジャ(20,54)が少なくとも部分的に充填されるように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されていることを特徴とする前記制御装置(56)。
【請求項2】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量に対応しているときに、少なくとも20%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、設定した充填レベル量に対応するプランジャ制御信号(18)を前記プランジャ(20,54)に出力して、前記貯留容積部に充填されている前記実液体体積を前記最大体積の少なくとも20%に調整可能であるように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されている請求項1に記載の制御装置(56)。
【請求項3】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量に対応しているときに、少なくとも50%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、設定した充填レベル量に対応するプランジャ制御信号(18)を前記プランジャ(20,54)に出力して、前記貯留容積部に充填されている前記実液体体積を前記最大体積の少なくとも50%に調整可能であるように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されている請求項2に記載の制御装置(56)。
【請求項4】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量に対応しているときに、少なくとも70%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されている請求項3に記載の制御装置(56)。
【請求項5】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量に対応しているときに、少なくとも90%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されている請求項4に記載の制御装置(56)。
【請求項6】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量と所定の第1の限界操作強度量(s1)との間にあるときに、前記目標充填レベル量を前記ブレーキ操作強度量(s,14)の連続減少関数として設定するように、前記プランジャ制御機構(16)がさらに構成されている上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)。
【請求項7】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記第1の限界操作強度量(s1)よりも大きいかこれに等しい所定の第2の限界操作強度量(s2)と所定の第3の限界操作強度量(s3)との間にあるときに、前記目標充填レベル量を前記ブレーキ操作強度量(s,14)の連続増大関数として設定するように、前記プランジャ制御機構(16)がさらに構成されている請求項6に記載の制御装置(56)。
【請求項8】
前記制御装置(56)が、遮断すべきブレーキトルクの時間的変化に関して供給される遮断量(26)を受信可能な第2の受信機構(22)を含み、この場合前記プランジャ制御機構(16)は、前記遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少するときに前記目標充填レベル量を減少させるように、さらに構成されている上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)。
【請求項9】
前記遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大するときに、前記目標充填レベル量を増大させて、或いは、この時間的増大に対応するように前記ブレーキシステムの貯留室(28,82)の目標吸込体積を設定して、該目標吸込体積に対応する貯留制御信号(30)を前記貯留室(28,82)の制御ユニットに出力するように、前記プランジャ制御機構(16)がさらに構成されている請求項8に記載の制御装置(56)。
【請求項10】
前記制御装置(56)が、該制御装置(56)を備えている車両の走行方向変更に関して供給される走行方向変更量(36)を受信可能な第3の受信機構(32)を含み、この場合前記プランジャ制御機構(16)は、受信した前記走行方向変更量(36)を少なくとも1つの所定の比較角度量と比較し、前記ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量と異なっていて、しかも前記走行方向変更量(36)が前記比較角度量未満であれば、前記ブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して第1の充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、前記走行方向変更量(36)が前記比較角度量を超えていれば、前記ブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して前記第1の充填レベル量よりも小さな第2の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように、さらに構成されている上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)。
【請求項11】
前記制御装置(56)が、前記プランジャ(20,54)および/または前記ブレーキシステムの利用の期間および/または頻度に関して供給される利用程度量(42)を受信可能な第4の受信機構(38)を含み、この場合前記プランジャ制御機構(16)は、受信した前記利用程度量(42)を少なくとも1つの所定の比較利用程度量と比較し、前記ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量と異なっていて、しかも前記利用程度量(42)が前記比較利用程度量未満であれば、前記ブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して第3の充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、前記利用程度量(42)が前記比較利用程度量を超えていれば、前記ブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して前記第3の充填レベル量よりも小さな第4の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように、さらに構成されている上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)。
【請求項12】
ブレーキマスターシリンダ(50)と、
該ブレーキマスターシリンダ(50)と液圧結合されている少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー(52)と、
前記少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー(52)と液圧結合されている少なくとも1つのプランジャ(20,54)と、
上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)と、
を備えた車両用ブレーキシステム。
【請求項13】
車両のブレーキシステムを作動させる方法であって、
前記ブレーキシステムに配置されているブレーキ操作要素(58)の操作の少なくとも1つの操作強度(s,14)を考慮してプランジャ(20,54)の目標充填レベルを設定するステップと、
前記設定した目標充填レベルに応じて前記プランジャ(20,54)を制御して、前記プランジャ(20,54)の貯留容積部に充填されている実液体体積と前記貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との比率(F)を、前記設定した目標充填レベルに応じて調整するステップと、
を備えた前記方法において、
前記ブレーキ操作強度(s,14)を所定の非操作強度と比較するステップと、
前記ブレーキ操作強度(s,14)が前記非操作強度に対応していれば、前記プランジャ(20,54)の空の状態とは異なる充填レベルを目標充填レベルとして設定するステップと、
前記設定した充填レベルに応じて前記プランジャ(20,54)を制御して、前記プランジャ(20,54)を少なくとも部分的に充填するステップと、
を特徴とする前記方法。
【請求項14】
少なくとも50%の充填レベルを目標充填レベルとして設定し、少なくとも50%の設定した充填レベルに応じて前記プランジャ(20,54)を制御して、前記貯留容積部に充填されている前記実液体体積を前記最大体積の少なくとも50%に調整する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ブレーキ操作強度(s,14)が前記非操作強度と所定の第1の限界操作強度(s1)との間にあるときに、前記目標充填レベルを前記ブレーキ操作強度(s,14)の連続減少関数として設定し、ブレーキ操作強度(s,14)が前記第1の限界操作強度(s1)よりも大きいかこれに等しい所定の第2の限界操作強度(s2)と所定の第3の限界操作強度(s3)との間にあるときに、前記目標充填レベルを前記ブレーキ操作強度(s,14)の連続増大関数として設定する請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
遮断すべきブレーキトルクの時間的変化を検出し、該遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少していれば、前記目標充填レベルを減少させ、前記遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大していれば、この時間的な増大に対応するように前記ブレーキシステムの貯留室(28,82)の目標吸込体積を設定し、前記貯留室(28,82)を前記目標吸込体積に対応する実吸込体積(Vsp)を吸い込むように制御する請求項13から15までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
車両の走行方向変更の際に所定の比較角度量を越えているかどうかを調べ、前記所定の比較角度量を越えていないことが検出されれば、前記非操作強度とは異なる次の前記ブレーキ操作強度(s,14)の際に、該ブレーキ操作強度(s,14)を考慮して第1の充填レベルを目標充填レベルとして設定し、前記所定の比較角度量を越えた後で、前記非操作強度とは異なる次の前記ブレーキ操作強度(s,14)の際に、該ブレーキ操作強度(s,14)を考慮して前記第1の充填レベルよりも小さな第2の充填レベルを目標充填レベルとして設定する請求項13から16までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
前記プランジャ(20,54)および/または前記ブレーキシステムの利用の期間および/または頻度に基づいて所定の比較利用程度量を越えているかどうかを調べ、前記所定の比較利用程度量を越えていないことが検出されれば、前記非操作強度とは異なる次の前記ブレーキ操作強度(s,14)の際に、該ブレーキ操作強度(s,14)を考慮して第3の充填レベルを目標充填レベルとして設定し、前記所定の比較利用程度量を越えた後で、前記非操作強度とは異なる次の前記ブレーキ操作強度(s,14)の際に、該ブレーキ操作強度(s,14)を考慮して前記第3の充填レベルよりも小さな第4の充填レベルを目標充填レベルとして設定する請求項13から17までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項1】
車両のブレーキシステムのための制御装置(56)であって、
前記ブレーキシステムに配置されているブレーキ操作要素(58)の操作の操作強度に関して供給されるブレーキ操作強度量(s,14)を受信可能な第1の受信機構(10)と、
少なくとも前記受信したブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して、プランジャ(20,54)の目標充填レベル量を設定可能とし、設定された前記目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号(18)を前記プランジャ(20,54)に出力可能とし、その結果前記プランジャ(20,54)の貯留容積部に充填されている実液体体積と前記貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との比率(F)を、前記設定した目標充填レベル量に応じて調整可能なプランジャ制御機構(16)と、
を備えた前記制御装置(56)において、
前記ブレーキ操作強度量(s,14)が所定の非操作強度量に対応しているときに、前記プランジャ(20,54)の空の状態とは異なる充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、前記設定した目標充填レベル量に対応するプランジャ制御信号(18)を前記プランジャ(20,54)に出力して該プランジャ(20,54)が少なくとも部分的に充填されるように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されていることを特徴とする前記制御装置(56)。
【請求項2】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量に対応しているときに、少なくとも20%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、設定した充填レベル量に対応するプランジャ制御信号(18)を前記プランジャ(20,54)に出力して、前記貯留容積部に充填されている前記実液体体積を前記最大体積の少なくとも20%に調整可能であるように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されている請求項1に記載の制御装置(56)。
【請求項3】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量に対応しているときに、少なくとも50%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、設定した充填レベル量に対応するプランジャ制御信号(18)を前記プランジャ(20,54)に出力して、前記貯留容積部に充填されている前記実液体体積を前記最大体積の少なくとも50%に調整可能であるように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されている請求項2に記載の制御装置(56)。
【請求項4】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量に対応しているときに、少なくとも70%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されている請求項3に記載の制御装置(56)。
【請求項5】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量に対応しているときに、少なくとも90%の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように、前記プランジャ制御機構(16)が構成されている請求項4に記載の制御装置(56)。
【請求項6】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量と所定の第1の限界操作強度量(s1)との間にあるときに、前記目標充填レベル量を前記ブレーキ操作強度量(s,14)の連続減少関数として設定するように、前記プランジャ制御機構(16)がさらに構成されている上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)。
【請求項7】
ブレーキ操作強度量(s,14)が前記第1の限界操作強度量(s1)よりも大きいかこれに等しい所定の第2の限界操作強度量(s2)と所定の第3の限界操作強度量(s3)との間にあるときに、前記目標充填レベル量を前記ブレーキ操作強度量(s,14)の連続増大関数として設定するように、前記プランジャ制御機構(16)がさらに構成されている請求項6に記載の制御装置(56)。
【請求項8】
前記制御装置(56)が、遮断すべきブレーキトルクの時間的変化に関して供給される遮断量(26)を受信可能な第2の受信機構(22)を含み、この場合前記プランジャ制御機構(16)は、前記遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少するときに前記目標充填レベル量を減少させるように、さらに構成されている上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)。
【請求項9】
前記遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大するときに、前記目標充填レベル量を増大させて、或いは、この時間的増大に対応するように前記ブレーキシステムの貯留室(28,82)の目標吸込体積を設定して、該目標吸込体積に対応する貯留制御信号(30)を前記貯留室(28,82)の制御ユニットに出力するように、前記プランジャ制御機構(16)がさらに構成されている請求項8に記載の制御装置(56)。
【請求項10】
前記制御装置(56)が、該制御装置(56)を備えている車両の走行方向変更に関して供給される走行方向変更量(36)を受信可能な第3の受信機構(32)を含み、この場合前記プランジャ制御機構(16)は、受信した前記走行方向変更量(36)を少なくとも1つの所定の比較角度量と比較し、前記ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量と異なっていて、しかも前記走行方向変更量(36)が前記比較角度量未満であれば、前記ブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して第1の充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、前記走行方向変更量(36)が前記比較角度量を超えていれば、前記ブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して前記第1の充填レベル量よりも小さな第2の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように、さらに構成されている上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)。
【請求項11】
前記制御装置(56)が、前記プランジャ(20,54)および/または前記ブレーキシステムの利用の期間および/または頻度に関して供給される利用程度量(42)を受信可能な第4の受信機構(38)を含み、この場合前記プランジャ制御機構(16)は、受信した前記利用程度量(42)を少なくとも1つの所定の比較利用程度量と比較し、前記ブレーキ操作強度量(s,14)が前記非操作強度量と異なっていて、しかも前記利用程度量(42)が前記比較利用程度量未満であれば、前記ブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して第3の充填レベル量を目標充填レベル量として設定し、前記利用程度量(42)が前記比較利用程度量を超えていれば、前記ブレーキ操作強度量(s,14)を考慮して前記第3の充填レベル量よりも小さな第4の充填レベル量を目標充填レベル量として設定するように、さらに構成されている上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)。
【請求項12】
ブレーキマスターシリンダ(50)と、
該ブレーキマスターシリンダ(50)と液圧結合されている少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー(52)と、
前記少なくとも1つの車輪ブレーキキャリパー(52)と液圧結合されている少なくとも1つのプランジャ(20,54)と、
上記請求項のいずれか一つに記載の制御装置(56)と、
を備えた車両用ブレーキシステム。
【請求項13】
車両のブレーキシステムを作動させる方法であって、
前記ブレーキシステムに配置されているブレーキ操作要素(58)の操作の少なくとも1つの操作強度(s,14)を考慮してプランジャ(20,54)の目標充填レベルを設定するステップと、
前記設定した目標充填レベルに応じて前記プランジャ(20,54)を制御して、前記プランジャ(20,54)の貯留容積部に充填されている実液体体積と前記貯留容積部に最大で充填可能な最大体積との比率(F)を、前記設定した目標充填レベルに応じて調整するステップと、
を備えた前記方法において、
前記ブレーキ操作強度(s,14)を所定の非操作強度と比較するステップと、
前記ブレーキ操作強度(s,14)が前記非操作強度に対応していれば、前記プランジャ(20,54)の空の状態とは異なる充填レベルを目標充填レベルとして設定するステップと、
前記設定した充填レベルに応じて前記プランジャ(20,54)を制御して、前記プランジャ(20,54)を少なくとも部分的に充填するステップと、
を特徴とする前記方法。
【請求項14】
少なくとも50%の充填レベルを目標充填レベルとして設定し、少なくとも50%の設定した充填レベルに応じて前記プランジャ(20,54)を制御して、前記貯留容積部に充填されている前記実液体体積を前記最大体積の少なくとも50%に調整する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ブレーキ操作強度(s,14)が前記非操作強度と所定の第1の限界操作強度(s1)との間にあるときに、前記目標充填レベルを前記ブレーキ操作強度(s,14)の連続減少関数として設定し、ブレーキ操作強度(s,14)が前記第1の限界操作強度(s1)よりも大きいかこれに等しい所定の第2の限界操作強度(s2)と所定の第3の限界操作強度(s3)との間にあるときに、前記目標充填レベルを前記ブレーキ操作強度(s,14)の連続増大関数として設定する請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
遮断すべきブレーキトルクの時間的変化を検出し、該遮断すべきブレーキトルクが時間的に減少していれば、前記目標充填レベルを減少させ、前記遮断すべきブレーキトルクが時間的に増大していれば、この時間的な増大に対応するように前記ブレーキシステムの貯留室(28,82)の目標吸込体積を設定し、前記貯留室(28,82)を前記目標吸込体積に対応する実吸込体積(Vsp)を吸い込むように制御する請求項13から15までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
車両の走行方向変更の際に所定の比較角度量を越えているかどうかを調べ、前記所定の比較角度量を越えていないことが検出されれば、前記非操作強度とは異なる次の前記ブレーキ操作強度(s,14)の際に、該ブレーキ操作強度(s,14)を考慮して第1の充填レベルを目標充填レベルとして設定し、前記所定の比較角度量を越えた後で、前記非操作強度とは異なる次の前記ブレーキ操作強度(s,14)の際に、該ブレーキ操作強度(s,14)を考慮して前記第1の充填レベルよりも小さな第2の充填レベルを目標充填レベルとして設定する請求項13から16までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
前記プランジャ(20,54)および/または前記ブレーキシステムの利用の期間および/または頻度に基づいて所定の比較利用程度量を越えているかどうかを調べ、前記所定の比較利用程度量を越えていないことが検出されれば、前記非操作強度とは異なる次の前記ブレーキ操作強度(s,14)の際に、該ブレーキ操作強度(s,14)を考慮して第3の充填レベルを目標充填レベルとして設定し、前記所定の比較利用程度量を越えた後で、前記非操作強度とは異なる次の前記ブレーキ操作強度(s,14)の際に、該ブレーキ操作強度(s,14)を考慮して前記第3の充填レベルよりも小さな第4の充填レベルを目標充填レベルとして設定する請求項13から17までのいずれか一つに記載の方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【公開番号】特開2013−112341(P2013−112341A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−259245(P2012−259245)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【出願人】(501125231)ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (329)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【出願人】(501125231)ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (329)
【Fターム(参考)】
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