説明

車両のペダル反力制御装置

【課題】運転者に応じて不快感を抑え、かつ認識性の高い、フットペダルの反力による情報提供を可能とする。
【解決手段】車両のアクセルペダル21に反力を発生させるペダルアクチュエータ20を備え、ペダルアクチュエータ20の作動によるアクセルペダル21の反力の変動によって、車両の運転者に情報を提供するペダル反力制御装置10であって、ペダルアクチュエータ20により発生させる反力の発生パターンを運転者が設定可能な反力設定装置40を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のペダル反力制御装置に係り、フットペダルの反力により運転者に情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フットペダルに反力を発生させる装置を車両に搭載し、フットペダルの反力を変化させることで、車間距離警報装置の警報等の情報を運転者に提供する技術が開発されている。例えば、先行車両との車間距離が所定距離よりも小さくなったときに、アクセルペダルの反力を増加させるように制御することで、アクセルペダルの踏み込み量を抑制して、車速を低下させる効果を有する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−9932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、先行車両との接近時にフットペダルの反力を増加させるが、単純に反力を増加させるのでは、運転者が認識し難い場合がある。そこで、フットペダルの反力を例えば所定周期毎にパルス状に変動させて、警報を認識し易くする方法が考えられる。
しかしながら、運転者によっては過度な反力の増加や変動を不快に感じる場合がある。特に反力の変動については、あらかじめ設定されている周期や反力の大きさが、人によっては強く不快感を与えてしまう場合がある。
【0005】
また、車間距離警報以外の警報やその他の運転者への情報提供も、フットペダルの反力の変動によって行なわれた場合、警報等の種類が多くなるにつれて誤認の可能性が高まり、また運転者にとっては不要である情報まで反力の変動による情報提供が行われて、不快感を増す虞がある。
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、運転者に応じて不快感を抑え、かつ認識性の高い、フットペダルの反力による情報提供が可能な車両のペダル反力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の車両のペダル反力制御装置は、車両のフットペダルに反力を発生させるペダル反力発生手段を備え、ペダル反力発生手段の作動によりフットペダルの反力を変動させて、車両の運転者に情報を提供するペダル反力制御装置であって、ペダル反力発生手段により発生させる反力の発生パターンを運転者が設定可能な反力設定手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の車両のペダル反力制御装置は、請求項1において、車両の状態を検出する車両状態検出手段を備え、車両状態検出手段により車両が所定の状態であることが検出されたときに、情報としてフットペダルの反力の変動によって車両の運転者に提供することを特徴とする。
また、請求項3の車両のペダル反力制御装置は、請求項1または2において、ペダル反力発生手段により発生される反力の発生パターンは、運転者に提供する情報の種類に対応して複数設定可能であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4の車両のペダル反力制御装置は、請求項2において、車両状態検出手段は、先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段であって、当該車間距離検出手段によって検出された車間距離が所定値以下である場合に、フットペダルの反力の変動によって、車両の運転者に情報として提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、ペダル発生手段により発生させる反力の発生パターンが運転者に設定可能であるので、運転者の好みによってフットペダルの反力の発生パターンを設定することが可能である。したがって、例えばフットペダルの反力が頻繁に変動したり、反力が強すぎたりするような、運転者にとって不快になる反力の発生を防止することができる。また、反力が弱すぎる等のように、フットペダルの反力の変動が認識し難い場合にも、運転者にとって認識し易いように反力を適切に設定することが可能となる。よって、あらゆる運転者に対して、不快感を与えずに、かつ認識性の高い、フットペダルの反力の変動による情報提供が可能な車両のペダル反力制御装置を提供することができる。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、車両が所定の状態であることを、フットペダルの反力の変動によって、運転者に不快感を持たせずに、かつ認識性を高めて、運転者に知らせることができる。
また、請求項3の発明によれば、運転者に提供する情報の種類に対応して、フットペダルの反力の発生パターンが複数設定可能であるので、運転者によって反力の発生パターンを適宜設定することで、情報の種類を判別し易くすることができ、複数の情報を正確に提供することが可能となる。
【0011】
また、請求項4の発明によれば、先行車との車間距離が所定値以下であることを、フットペダルの反力の変動によって、不快感を持たせずに、かつ認識性を高めて、運転者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るペダル反力制御装置の構成図である。
【図2】車間距離警報時のペダル反力の付与例を示すグラフである。
【図3】ペダルコントロールユニットにおけるペダル反力設定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るペダル反力制御装置の構成図である。
図1に示すように、ペダル反力制御装置10は、ペダルアクチュエータ20(ペダル反力発生手段)と、ペダルアクチュエータ20の作動を制御するペダルコントロールユニット30と、反力設定装置40(反力設定手段)と、を備えている。
【0014】
ペダルアクチュエータ20は、車両のアクセルペダル21に設けられ、アクセルペダル21の反力を増加させる機能を有する。
反力設定装置40は、ペダルアクチュエータ20によってアクセルペダル21に付与する反力のパターンを設定する機能を有している。反力設定装置40は、例えば車両に搭載されているナビゲーションシステムや、ペダルコントロールユニット30に接続可能な端末等が用いられる。
【0015】
ペダルコントロールユニット30は、ペダルアクチュエータ20の作動を制御する制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成される。
ペダルコントロールユニット30と反力設定装置40とは、車両のCAN通信ライン45を介して接続され、相互に情報提供が可能となっている。また、ペダルコントロールユニット30は、CAN通信ライン45を介し、車間距離警報装置50(車間距離検出手段、車両状態検出手段)に接続されている。車間距離警報装置50は、例えばレーザー光を用いて、先行車との車間距離を検出する機能を有しており、更にこの検出した車間距離が所定値以下となった場合に警報信号を発生する。
【0016】
そして、ペダルコントロールユニット30は、車間距離警報装置50から車間距離が所定以下となったことを示す警報信号が入力された場合には、アクセルペダル21の反力(以下、ペダル反力という)を車間距離警報用のパターンに変化させる。
図2は、車間距離警報時のペダル反力の付与例を示すグラフである。
ペダルコントロールユニット30は、車間距離警報用として、例えば図2(A)あるいは(B)に示すように、ペダル反力が矩形波状に変動するようペダルアクチュエータ20の作動を制御する。
【0017】
反力設定装置40は、図2(A)に示すように所定時間Ta毎に1回ずつ、所定のペダル反力Fpa、所定時間Tbの長さのパルスを繰り返したり、図2(B)に示すように所定時間Ta毎に所定のペダル反力Fpa、所定時間Tbの長さのパルスを2回ずつ繰り返したりする等、これらの複数のパターンから選択的に車間距離警報用として設定可能である。また、所定時間Ta、Tbや、ペダル反力Fpa等の値は、車両の出荷時には所定量に設定されており、運転者が反力設定装置40を操作してこれらの値を変更可能である。即ち、運転者は、反力設定装置40によって、車間距離警報時でのペダル反力のパターンやペダル反力Fpa等の値(本発明のフットペダルの反力の発生パターンに該当する。)をカスタマイズ操作することが可能となっている。
【0018】
図3は、本発明の実施形態に係るペダルコントロールユニット30におけるペダル反力の変更設定手順を示すフローチャートである。
本ルーチンは、エンジン始動により開始される。
始めに、ステップS10では、反力設定装置40による反力設定のカスタマイズ操作がされたか否かを判別する。カスタマイズ操作がされた場合には、ステップS20に進む。カスタマイズ操作がなされていない場合には、ステップS10を繰り返し行う。
【0019】
ステップS20では、反力設定装置40によって選択された、ペダル反力のパターン及び各種設定量(所定時間Ta、Tb、ペダル反力Fpa)等の各種設定内容を入力する。そして。ステップS30に進む。
ステップS30では、ペダル反力設定装置40によって設定された各種設定内容に変更があったか否か、詳しくは、ステップS20において入力した各種設定内容が、現状設定されている現状の設定内容と異なるものであるか否かを判別する。設定内容に変更があった場合、即ち、入力した設定内容が現状の設定内容と異なるものである場合には、ステップS40に進む。設定内容に変更がない場合、即ち入力したペダル反力の設定内容が現状の設定内容と同一のものである場合には、ステップS10に戻る。
【0020】
ステップS40では、ステップS20において入力した設定内容に応じて、ペダル反力の設定を変更する。この変更されたペダル反力の設定内容は、記憶装置に記憶され、以降の車間距離警報時に適用される。そして、ステップ10に戻る。
以上のように制御することで、本実施形態では、車間距離警報装置50の警報として、アクセルペダル21の反力が変動するので、騒音下においても運転者は警報を認知することが可能となる。また、アクセルペダル21の反力が変動することで、運転者が咄嗟にアクセルペダル21を緩め、車両速度を迅速に低下させることが可能となる。
【0021】
そして、特に、本実施形態では、アクセルペダル21の反力のパターンを、反力設定装置40により運転者が任意に設定することが可能となる。あらかじめ出荷時に設定されている警報時におけるペダル反力が大き過ぎたり、不快感を得るようなパターンであったりする場合には、反力設定装置40によってペダル反力のパターンやペダル反力Fpa等を適宜設定することで、運転者にとって不快感を得ずに、かつ認識し易くすることができる。よって、あらゆる運転者に対して、不快感を与えず、かつ認識性の高い、アクセルペダル21の反力の変動による警報が可能となる。
【0022】
なお、上記実施形態では、ペダル反力を矩形波状に発生させるが、本発明はこれに限定されるものではなく、三角波や鋸歯状波等のような矩形波以外のパターンで、ペダル反力を変動させてもよい。
また、上記実施形態では、アクセルペダル21の反力を変更可能としているが、アクセルペダル21以外のフットペダルにアクチュエータを設け、ペダル反力を変動させてもよい。
【0023】
また、上記実施形態では、車間距離警報装置50の警報に対して本発明を適用しているが、車間距離以外の警報やその他の車両情報、あるいは携帯電話の着信等その他の情報についても運転者に対する情報であれば本発明を適用することが可能であり、ペダル反力の変動によって運転者に対して適切に情報提供をすることができる。
また、複数の情報を提供する場合でも、各種情報に応じてペダル反力のパターンを変えれば、夫々認識させることが可能となる。そして、これらのペダル反力のパターンをペダル反力設定装置40により夫々認識し易いパターンに運転者が設定することができるので、あらゆる運転者に対して不快感を与えず、かつ認識性の高い情報提供が可能となる。
【符号の説明】
【0024】
10 ペダル反力制御装置
20 ペダルアクチュエータ
21 アクセルペダル
30 ペダルコントロールユニット
40 反力設定装置
50 車間距離警報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記車両のフットペダルに反力を発生させるペダル反力発生手段を備え、前記ペダル反力発生手段の作動により前記フットペダルの反力を変動させて、前記車両の運転者に情報を提供するペダル反力制御装置であって、
前記ペダル反力発生手段により発生させる反力の発生パターンを前記運転者が設定可能な反力設定手段を備えたことを特徴とする車両のペダル反力制御装置。
【請求項2】
車両の状態を検出する車両状態検出手段を備え、
前記車両状態検出手段により前記車両が所定の状態であることが検出されたときに、前記情報として前記フットペダルの反力の変動によって前記車両の運転者に提供することを特徴とする請求項1に記載の車両のペダル反力制御装置。
【請求項3】
前記ペダル反力発生手段により発生される反力の発生パターンは、前記運転者に提供する情報の種類に対応して複数設定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両のペダル反力制御装置。
【請求項4】
前記車両状態検出手段は、先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段であって、当該車間距離検出手段によって検出された車間距離が所定値以下である場合に、前記フットペダルの反力の変動によって、前記車両の運転者に前記情報として提供することを特徴とする請求項2に記載の車両のペダル反力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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