説明

車両のラゲージルーム構造

【課題】 フロアボードの開閉作業が容易にできて、且つ、仕切りを利用してラゲージルームを自由にアレンジできる車両のラゲージルーム構造を提供する。
【解決手段】 車室右壁3と、車室左壁4と、リアシート5と、バックドア開口部2とで囲繞されて、底部にフロアボックス6を有した車両のラゲージルーム1において、フロアボックス6を覆い、車両前後方向へ開閉自在に軸支されたフロアボード7と、フロアボックス6に収納され、内部にネット部13を有しネットの端部を固定したネット状枠体8と、フロアボード7が閉状態の時に、フロアボックス6と対面する側のフロアボード7の面にネット状枠体8を支持するヒンジ部ロック9,10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後方のラゲージルーム構造に関する。特に、ラゲージルームの底面に設けられたフロアBOXやフロアボードを有するラゲージルーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワゴンタイプやボックスタイプの車両には、座席の後部に荷物を搭載するラゲージルームを設けられている。このラゲージルームは、車両室内の左側壁と、右側壁と、リアシートと車両後方のバックドアとで囲繞されて、底面にラゲージフロアを有した構造となっている。ラゲージフロアには、一般的に剛性の高い板状の成形体が配設されていて、フロアに平坦性をもたせて、荷重のある荷物に耐えうる構成をしている。また、ラゲージフロアは、車室の内装としての機能も果たし、表装して車内の美観を向上させている。
【0003】
また、ラゲージフロアには、フロア底面に凹部の形状を有し、スペアタイヤ、工具、小物等を入れることができるフロアボックスと、該フロアボックスの開口の上面を覆うフロアボードが設けられている。また、フロアボードやフロアボックス内に収納されているボードを利用して、ラゲージルーム内に棚や仕切りを設けて、ラゲージルームに搭載した荷物の整理や収納に役立てている。
【0004】
特許文献1では、フロアボード裏面に回転自在のボード状の中蓋が設定されていて、フロアボード開状態の際に中蓋を回転させてラゲージルーム内に棚を設けることができる。
【特許文献1】特開2005−145117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1において、中蓋がボードタイプであり、中蓋上に荷物を載せても、車両運行時の振動により動いてしまう。また、小さい荷物の保持は出来ず中蓋の棚から落下する恐れがある。
【0006】
そこで本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、フロアボードに収納できる整理棚を設けて、荷物の大小に係らず保持できて、且つ、ラゲージルームを自由にアレンジできる車両のラゲージルーム構造を提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、車両室内の左側壁と、右側壁と、座席と車両後方のバックドアとで囲繞されて、底部にフロアボックスを有した本発明の車両のラゲージルーム構造において、前記フロアボックスを覆い、前記フロアボックスの上端で車両前後方向へ開閉自在に軸支されたフロアボードと、前記フロアボックスに収納され、内部にネットを有し該ネットの端部を固定した枠体と、前記フロアボードが閉状態の時に前記フロアボックスと対面する側であるフロアボードの裏面側の車幅方向に、少なくとも2箇所平行して前記枠体を支持する支持部と、平行する少なくとも2箇所の前記支持部には、前記枠体を各々保持する保持部と、を備え、前記枠体は、少なくとも一方側の前記支持部、及び前記保持部から着脱可能であることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、フロアボックスの蓋であるフロアボードが車両前後方向へ開閉自在に軸支されていて、フロアボードにはネットを有した枠体を支持する支持部を備えている。また、ネットを有した枠体は、荷物を載せる整理網棚や仕切りとして使用することができる。また、枠体をフロアボードの支持部に支持させて、保持部で枠体を落下しないように保持することで、ネットとフロアボードの隙間に、厚みの薄い小物などを挿入して整理することができる。また、枠体をフロアボードの支持部に支持させた状態において、フロアボードの剛性が増すので、フロアボードの上に重い荷重がかかることによるフロアボードの変形や破断を防止することができる。また、ネットを有した枠体を使用しないときは、フロアボードやフロアボックスに収納することができるので、車室の美観を損なうことはない。また、ネットを有した枠体は、フロアボードに設けられた前記支持部、及び前記保持部から着脱可能であるので、フロアボードから取り外してラゲージルーム内の整理網棚や仕切りとして、使用することができる。更に、フロアボードから一方側の前記支持部、及び前記保持部から枠体を取り外し、ネットとフロアボードの隙間に、小物などを挿入して整理する整理網棚として利用することもできる。
【0009】
また、上述の発明に加えて、前記支持部は、凹型の溝状の形状であること特徴とする。
【0010】
この構成によれば、支持部が凹型の溝状の形状であることから、ネットを有する枠体がこの凹型の溝状に挟入して枠体を支持することができる。これにより、フロアボードが閉状態の際に、この凹型の溝が枠体や枠体に搭載された荷物の荷重を受けても、支持部は十分な剛性を持っているので、支持することができる。
【0011】
また、上述の発明に加えて、前記保持部は、前記支持部に支持された前記枠体を保持又は開放するように可動すること特徴とする。
【0012】
この構成によれば、保持部は、支持部で支持されたネットを有する枠体に対して、保持部が可動して施錠、開錠を行って、枠体の保持や開放を可能にしている。これにより、保持部を開錠する方向へ可動することにより、ネットを有する枠体を支持部へ挟入させて枠体を支持させることができる。また、保持部を施錠する方向へ可動することにより、ネットを有する枠体を支持部と保持部で固定することが可能となり、フロアボードの開状態及び閉状態を問わず、ネットを有する枠体を落下させること無く、保持することができる。更に、再度保持部を開錠する方向へ可動することにより、ネットを有する枠体を支持部から取り外して開放させ、ネットを有する枠体をフロアボードから取り外してラゲージルーム内の整理網棚や仕切りとして、使用することができる。
【0013】
また、上述の発明に加えて、前記フロアボードが開状態の時に前記フロアボードの裏面側の上方となる部位に、前記フロアボードと前記枠体とを連結する連結手段を備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、フロアボードが開状態の際に、フロアボード裏面の上側となる部位に連結手段を設けて、連結手段によって枠体を保持して、フロアボードとを連結することができる。例えば、連結手段は、帯状の布地であって一端をフロアボードに固定されていて、他端に枠体を保持するフックが設けられているとすると、この連結手段の長さの分だけ、枠体はフロアボードに対して傾きを有して、枠体とフロアボードとの隙間を大きくすることができる。そのため、その隙間に小物などを挿入して整理する整理網棚として利用することができる。また、例えば、この連結手段の長さを、使用者によって可変できるとすると、枠体とフロアボードとの隙間に荷物を挟入させて、連結手段の長さを短くすることで、枠体とフロアボードとの隙間を小さくして、荷物を保持することができる。
【0015】
また、上述の発明に加えて、前記枠体内側をスライドする複数の可動支柱と、前記枠体と前記可動支柱に端部を係止させた複数のネットとを有し、前記可動支柱がスライドすると共に前記ネットが前記枠体内を可動することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、枠体には、可動支柱と複数のネットを有していて、可動支柱は枠体内をスライドすることで、枠体や可動支柱に係止させたネットが可動することができる。そのため、複数のネットによる仕分けができるとともに、ネットが可動することで、仕分けする区分の面積を変動することができるので、使用者のニーズに応じた整理することができる。更に、枠体や可動支柱の一部にネットを張らない部位を設けることで、ネットを使用せずに、枠体や可動支柱に挟み込んで荷物を固定することもできる。このため、多彩な仕切りを利用してラゲージルームを使用者の自由にアレンジできる車両のラゲージルーム構造を提供することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、開閉自在に軸支されたフロアボードと、フロアボードに収納されたネットを有する枠体と、フロアボードに設けられた枠体を固定する支持部、及び保持部によって、フロアボードに収納できる整理棚を設けて、且つ、ラゲージルームを自由にアレンジできる車両のラゲージルーム構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の実施形態による車両用ラゲージルーム構造は、フロアボックスとフロアボックスの蓋であるフロアボードを有した車両用ラゲージルームに適用した例として説明する。
【0019】
そこで、図1から図11にて本発明による実施形態の実施例を4例挙げて、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1〜図5は、本発明による車両用ラゲージルームの実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用ラゲージルームの構成について説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る実施例1における車両のフロアボードが開状態であるラゲージルームを車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【0022】
図1に示すとおり、車両後方のラゲージルーム1は、車室左壁4と、車室右壁3と、リアシート5と、バックドア開口部2とで囲繞されて空間であり、底部にラゲージフロアを有している。ラゲージフロアには、凹部でフロアの底部に内挿しているフロアボックス6と、フロアボックス6の蓋であり、車両前後方向に開閉自在に軸支部11(図2b)で軸支されたフロアボード7が設けられている。フロアボード7の表面は、ラゲージフロアと同じ表装をしており、車室の美観を向上させている。フロアボード7を車両前方へ開くことで、フロアボックス6を開状態にすることができる。また、フロアボックス6と対面する側のフロアボード7の面には、フロアボードの内側にネット状枠体8の枠体部14が挟入させて支持する凹状の支持溝19、20(図2b)と、ネット状枠体8を保持する上側ヒンジ部ロック9と下側ヒンジ部ロック10とを設けている。
【0023】
ネット状枠体8は、外周の枠を形成する枠体部14(図5)と、枠体部14の内側に枠体部14で固定されているネット部13(図5)で構成されている。ネット部13は、荷物を載せることができるように、強度が高いプラスチック繊維で織られており、枠体部14との固定部も荷重に耐えうるように複数設けて、適当な張力で枠体部14に張られている。枠体部14は、ネット部13の荷重を支え、且つ、上側ヒンジ部ロック9と下側ヒンジ部ロック10とで支持されるように、強度の高い金属製のパイプで成形されている。または、強度の高いプラスチック製で成形しても構わない。
【0024】
図2は、本発明に係る実施例1における車両のフロアボードが閉状態であるラゲージルームを概略的に示す構成図である。図2(a)は、フロアボードが閉状態であるラゲージルームを車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。図2(b)は、フロアボードが閉状態であるラゲージフロアの垂直方向の断面を車両右方から示した断面図である。
【0025】
図2(a)に示すとおり、車両前後方向に軸支されているフロアボード7は、車両後方側に倒すことで、フロアボックス6の開口部と係合して蓋となる。このとき、ラゲージフロアはフロアボード7の平面で段差が生じること無く、且つ、フロアボード7とフロアボックス6の開口部との隙も小さいので、ラゲージフロアに平坦性を持たせ、車室の美観を損なうことを防止している。
【0026】
図2(b)に示すとおり、フロアボックス6の上部の開口部に係合するように、フロアボード7が設けられていて、フロアボックス6の蓋として機能している。フロアボックス6の上端で、車両前方側には、フロアボード7を開閉自在に軸支する軸支部11が設けられており、フロアボード7は車両前後方向へ開閉する。フロアボックス6と対面する側のフロアボード7の面には、フロアボードの内側にネット状枠体8の枠体部14が収納できるように、凹状の支持溝が設けられている。この凹状の支持溝で、フロアボード7が開状態において、車幅方向に平行な上側の支持溝を上部支持溝19、車幅方向に平行な下側の支持溝下部支持溝20と呼称する。ネット状枠体8の枠体部14がこの上部支持溝19と下部支持溝20に挟入し、フロアボード7の上側ヒンジ部ロック9と下側ヒンジ部ロック10に保持されているので、ネット状枠体8は、フロアボード7の開閉で落下することなく、フロアボード7に収納することができる。また、フロアボード7は、ネット状枠体8を支持することで、フロアボード7の剛性を高めることができるので、大きい荷重によるフロアボード7の変形や破断を防ぐことができる。
【0027】
図3は、本発明に係る実施例1に係る車両のラゲージルームにおいて、フロアボードと車室壁とに支持されたネット枠体を車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【0028】
図2のフロアボードが閉状態から図3で示すネット状枠体8を網棚として使用するには、まず、フロアボックス6を開状態にして、フロアボード7を車両前方へ開放し、ネット状枠体8を保持している下側ヒンジ部ロック10のロックを解除して、枠体部14を下部支持溝20から取り出す。次に、ネット状枠体8を車両後方へ回転させて、車室右壁3と車室左壁4に設けた壁側支持部12にネット状枠体8に備えられた掛止部25を掛止させて、ネット状枠体8を壁側支持部12で支持させる。これにより、ラゲージルーム1をネット状枠体8により上下に区切ることができて、荷物の形状や大きさに応じて整理してラゲージルーム1を有効活用することができる。また、ネット状枠体8は網棚としても使用できる。ネット状枠体8は、荷物の荷重によって撓み生じてハンモック状となるので荷物を安定させることができて、車両走行中の振動で荷物が落下する恐れがない。
【0029】
図4は、本発明に係る実施例1に係る車両のラゲージルームにおいて、フロアボードと車室壁とに支持されたネット枠体の垂直方向の断面を車両右方から示す断面図である。
【0030】
図4に示すとおり、ネット状枠体8の枠体部14の一端を開状態のフロアボード7の上部支持溝19で支持し、上側ヒンジ部ロック9で保持されている。枠体部14の他端側には掛止部25が備えられていて、車室右壁3と車室左壁4に設けた壁側支持部12で掛止される。このとき、開状態のフロアボックス6の上部支持溝19と同じ高さで、ネット状枠体8が水平になるように、壁側支持部12の高さが設定されている。
【0031】
同様に、ネット状枠体8は、開状態のフロアボード7の下部支持溝20と同じ高さで、ネット状枠体8が水平になるように、車室右壁3と車室左壁4に壁側支持部12を設けても構わない。このようにラゲージルーム1の空間の複数個所に棚を設けることが可能になるので、荷物の形状や大きさに応じた使用者に対して自由度の高いラゲージルーム構造を提供することができる。
【0032】
図5は、本発明に係る実施例1に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体を支持するフロアボードの支持部を概略的に示す構成図である。図5(a)は、図4のA部の拡大図であり、ネット枠体を支持する上側ヒンジ部ロックの垂直方向の断面を車両右方から示す断面図である。図5(b)は、ネット枠体を支持する下側ヒンジ部ロックの垂直方向の断面を車両右方から示す断面図である。図5(c)は、ネット枠体を支持する上側ヒンジ部ロック、及び下側ヒンジ部ロックを概略的に示す構成図である。図5(d)は、ネット枠体を支持する壁側支持部12を概略的に示す構成図である。
【0033】
図5(a)に示すとおり、開状態のフロアボード7の車両後方上側に、フロアボードの内側に凹となる溝である上部支持溝19と、上部支持溝19の近傍に上側ヒンジ部ロック9が設けられている。ネット状枠体8のパイプ状の枠体部14を上部支持溝19に内挿して、上側ヒンジ部ロック9が上部支持溝19の開口部を覆うことでロックして、枠体部14を保持することができる。図4のように、ネット状枠体8を網棚として使用する場合に、枠体部14がパイプ状の円柱であるため、上側ヒンジ部ロック9のロックを解除せずにネット状枠体8を車両後方へ回転させることができる。そのため、手間をかけずにネット状枠体8を網棚として使用することができる。
【0034】
図5(b)に示すとおり、開状態のフロアボード7の車両後方下側に、フロアボードの内側に凹となる溝である下部支持溝20と、下部支持溝20の近傍に下側ヒンジ部ロック10が設けられている。上側ヒンジ部ロック9と同様に、ネット状枠体8のパイプ状の枠体部14を下部支持溝20に内挿して、下側ヒンジ部ロック10が下部支持溝20の開口部を覆うことでロックして、枠体部14を支持することができる。図4のように、ネット状枠体8を網棚として使用する場合は、下側ヒンジ部ロック10を解除して、下部支持溝20の開口部を開放し、ネット状枠体8の枠体部14を下部支持溝20から取り外すことができる。
【0035】
図5(c)に示すとおり、上側ヒンジ部ロック9と下側ヒンジ部ロック10は、フロアボード7に軸支されていて、垂直方向から水平方向までの90度の範囲で回動することができる。垂直方向へ上側ヒンジ部ロック9又は下側ヒンジ部ロック10を回動すると、フロアボード7の上部支持溝19又は下部支持溝20を覆うことができるので、ネット状枠体8の枠体部14が上部支持溝19又は下部支持溝20に内挿している場合に、ネット状枠体8を支持することができる。また、水平方向へ上側ヒンジ部ロック9又は下側ヒンジ部ロック10を回動すると、フロアボード7の上部支持溝19又は下部支持溝20から退避するので、枠体部14が上部支持溝19又は下部支持溝20から取り出すことができる。つまり、上側ヒンジ部ロック9と下側ヒンジ部ロック10は、容易にロックと解放を行うことができるので、ネット状枠体8の着脱を簡単に行うことができる。
【0036】
図5(d)に示すとおり、壁側支持部12は、ネット状枠体8が水平になるような高さの車室右壁3及び車室左壁4に設けられ、設けられたT字状のフックである。壁側支持部12は、剛性の高い材質で成形されているので、ネット状枠体8を網棚と使用しても、十分に剛性を保つことができる。また、ネット状枠体8の枠体部14には、T字状の壁側支持部12に掛止させるためのリング状の先端を有した掛止部25が備えられている。掛止部25は、ネット状枠体8に搭載した荷物を支えるために強度が高いプラスチック繊維製である。掛止部25の先端のリングをT字状の壁側支持部12に掛止させることで、ネット状枠体8を支持している。そのため、容易に掛止部25の着脱が可能である。
【0037】
このことから、フロアボード7を容易に開閉することが可能であり、フロアボード7を閉状態の際には、ネット状枠体8はフロアボード7の上部支持溝19と下部支持溝20で支持され、上側ヒンジ部ロック9と下側ヒンジ部ロック10とで保持されて、フロアボード7からネット状枠体8は落下せずに、スペースをとること無く収納することができる。また、フロアボード7を開状態の際には、使用者の必要に応じて、ネット状枠体8を仕切りや網棚として使うことができるので、荷物の形状や大きさに応じた使用者に対して自由度の高いラゲージルーム構造を提供することができる。更に、夫々の支持部からのネット状枠体8の着脱や、ネット状枠体8の保持部である上側ヒンジ部ロック9又は下側ヒンジ部ロック10の施錠・開錠も容易に行うことができるので、ネット状枠体8を簡単に使用することができて、作業者に億劫な感情を与えずに快適に作業することを可能にしている。
【0038】
本実施形態によれば、フロアボックスの蓋であるフロアボードが車両前後方向へ開閉自在に軸支されていて、フロアボードにはネットを有した枠体を支持する支持部を備えている。また、ネットを有した枠体は、荷物を載せる整理網棚や仕切りとして使用することができる。また、枠体をフロアボードの支持部に支持させて、保持部で枠体を落下しないように保持することで、ネットとフロアボードの隙間に、厚みの薄い小物などを挿入して整理することができる。また、枠体をフロアボードの支持部に支持させた状態において、フロアボードの剛性が増すので、フロアボードの上に重い荷重がかかることによるフロアボードの変形や破断を防止することができる。また、ネットを有した枠体を使用しないときは、フロアボードやフロアボックスに収納することができるので、車室の美観を損なうことはない。また、ネットを有した枠体は、フロアボードに設けられた前記支持部、及び前記保持部から着脱可能であるので、フロアボードから取り外してラゲージルーム内の整理網棚や仕切りとして、使用することができる。更に、フロアボードから一方側の前記支持部、及び前記保持部から枠体を取り外し、ネットとフロアボードの隙間に、小物などを挿入して整理する整理網棚として利用することもできる。
【0039】
また、本実施形態によれば、支持部が凹型の溝状の形状であることから、ネットを有する枠体がこの凹型の溝状に挟入して枠体を支持することができる。これにより、フロアボードが閉状態の際に、この凹型の溝が枠体や枠体に搭載された荷物の荷重を受けても、支持部は十分な剛性を持っているので、支持することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、保持部は、支持部で支持されたネットを有する枠体に対して、保持部が可動して施錠、開錠を行って、枠体の保持や開放を可能にしている。これにより、保持部を開錠する方向へ可動することにより、ネットを有する枠体を支持部へ挟入させて枠体を支持させることができる。また、保持部を施錠する方向へ可動することにより、ネットを有する枠体を支持部と保持部で固定することが可能となり、フロアボードの開状態及び閉状態を問わず、ネットを有する枠体を落下させること無く、保持することができる。更に、再度保持部を開錠する方向へ可動することにより、ネットを有する枠体を支持部から取り外して開放させ、ネットを有する枠体をフロアボードから取り外してラゲージルーム内の整理網棚や仕切りとして、使用することができる。
【0041】
このように、開閉自在に軸支されたフロアボードと、フロアボードに収納されたネットを有する枠体と、フロアボードに設けられた枠体を固定する支持部、及び保持部によって、フロアボードに収納できる整理棚を設けて、且つ、ラゲージルームを自由にアレンジできる車両のラゲージルーム構造を提供することができる。
【0042】
本実施形態において、壁側支持部12は、車室右壁3と車室右壁4に設けたが、特に限定していない。例えば、バックドア開口部2やバックドア、又は車室の天井や底面であるラゲージフロアに設けて、ラゲージルーム1の仕切りとして使用しても構わない。
【0043】
また、本実施形態において、ネット状枠体8は枠体部14が伸縮自在として、ネット部13も追従するように伸縮可能としてもよい。これにより、ネット状枠体8を収納する際は、もっとも縮めた状態でフロアボード7に収納できて、ネット状枠体8を網棚や仕切りとして使用する際は、伸ばした状態で用いて使用者のニーズに合わせた自由度の高いラゲージルーム構造を提供することができる。
【0044】
また、本実施形態において、第1支持部はフロアボード7に設けられているが、例えば、フロアボードから伸ばした帯状の連結部材の先端に支持部を設けることで、連結部材の長さを有効に使ったネットを有した枠体で網ポケットを設けることができる。この構成について実施例2で説明する。
【0045】
また、本実施形態において、フロアボード7からネット状枠体8を完全に取り外して、網棚として使用しても構わない。この構成について実施例3で説明する。
【0046】
また、本実施形態において、ネット状枠体8に複数のネット部13を設けてもよい。この構成について実施例4で説明する。
【0047】
また、本実施形態において、凹型の溝である支持部をフロアボード7の内側を掘り込むように設けているが、特に限定しない。例えば、フロアボード7の裏面に少なくとも2箇所の凸部を車幅方向へ平行に設けて、凹型の溝である支持部を構成してもよい。この構成について、実施例5、実施例6で説明する。
【実施例2】
【0048】
図6〜図8は、本発明による車両用ラゲージルームの実施例2を示す。以下、この実施例2における車両用ラゲージルームの構成について説明する。尚、前述した実施例1と同様な構成については、説明を省略する。
【0049】
図6は、本発明に係る実施例2に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体とネット枠体支持するフロアボードの支持部を車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【0050】
図6で示すように、車両後方のラゲージルーム1は、車室左壁4と、車室右壁3と、リアシート5と、バックドア開口部2とで囲繞されて空間であり、底部にラゲージフロアを有している。ラゲージフロアには、凹部でフロアの底部に内挿しているフロアボックス6と、フロアボックス6の蓋であり、車両前後方向に開閉自在に軸支部11(図7)で軸支されたフロアボード7が設けられている。フロアボード7の表面は、ラゲージフロアと同じ表装をしており、車室の美観を向上させている。また、フロアボックス6と対面する側のフロアボード7の面には、フロアボードの内側にネット状枠体8の枠体部14が挟入させて支持する凹状の支持溝19、20(図7)と、ネット状枠体8を保持する上側ヒンジ部ロック9と下側ヒンジ部ロック10とを設けている。
【0051】
フロアボックス6を開状態にして、フロアボード7を車両前方へ開放し、ネット状枠体8を保持している上側ヒンジ部ロック9のロックを解除して、上部支持溝19からネット状枠体8の枠体部14(図8)を取り出し、フロアボード7のストッパー固定部18(図8)で固定されている帯状のストッパー15の先端に取り付けられたフック17(図8)で、ネット状枠体8の枠体部14を支持させている。そのため、ネット状枠体8は、ストッパー15の長さの分だけ車両方向に傾き、フロアボード7とネット状枠体8の間を利用した網ポケットを設けることができる。
【0052】
図7は、本発明に係る実施例2に係る車両のラゲージルームにおいてネット枠体とネット枠体支持するフロアボードの支持部の垂直方向の断面を車両右方から示す断面図である。
【0053】
図7で示すように、ネット状枠体8は、開状態のフロアボード7の下部支持溝20と、フロアボード7で一端を固定されたストッパー15で支持されていて、網ポケットとして機能している。このため、使用者は、ラゲージルーム1の空間に網ポケットを設けることで、荷物の形状や大きさに応じて整理してラゲージルーム1を有効活用することができる。
【0054】
図8は、本発明に係る実施例2に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体を支持するフロアボードの支持部の垂直方向の断面を車両右方から示す断面詳細図である。図8(a)は、図7のB部の拡大図であり、ネット状枠体8を支持する下側ヒンジ部ロック10付近での垂直方向の断面を車両右方から示す断面詳細図である。図8(b)は、ネット状枠体8を支持する上側ヒンジ部ロック9の垂直方向の断面を車両右方から示す断面詳細図である。
【0055】
図8(a)で示すように、開状態のフロアボード7の車両後方下側に、フロアボードの内側に凹となる溝である下部支持溝20と、下部支持溝20の近傍に下側ヒンジ部ロック10が設けられている。ネット状枠体8のパイプ状の枠体部14をフロアボード7の下部支持溝20に内挿して、下側ヒンジ部ロック10が下部支持溝20の開口部を覆うことでロックして、枠体部14を保持することができる。図6のように、ネット状枠体8を整理ポケットとして使用する場合に、枠体部14がパイプ状の円柱であるため、下側ヒンジ部ロック10のロックを解除せずにネット状枠体8を車両後方へ回転させることができる。そのため、手間をかけずにネット状枠体8を網ポケットとして使用することができる。
【0056】
図8(b)で示すように、開状態のフロアボード7の車両後方上側にストッパー15が設けられている。ストッパー15の一端は、ストッパー固定部18にてフロアボード7に固定されている。また、ストッパー15の他端には、ネット状枠体8の枠体部14を支持するフック17を設けている上側ヒンジ部ロック9を解除して、ネット状枠体8のパイプ状の枠体部14をフロアボード7の上部支持溝19から取り出して、フック17に取り付けることができる。また、フック17は、ワンタッチでネット状枠体8の枠体部14を着脱可能であるため、手間をかけずにネット状枠体8を網ポケットとして使用することができる。
【0057】
このことから、ネット状枠体8を網ポケットとして使用することができるので、書類や小物等の荷物を網ポケットに挟入することで荷物を保持し、車両走行中の振動で荷物が動くことを防止している。また、夫々の支持部におけるネット状枠体8の着脱や保持部である上側ヒンジ部ロック9、下側ヒンジ部ロック10の施錠・開錠も容易に行うことができるので、ネット状枠体8を容易に網ポケットとして使用することが可能であり、作業者に億劫な感情を与えずに快適に作業することを可能にしている。
【0058】
この実施例2における車両用ラゲージフロアは、以上の構成からなるので、前記の実施例1における車両用ラゲージフロアとほぼ同様の作用、効果を達成することができる。
【0059】
実施例2の実施形態において、フロアボードが開状態の際に、フロアボード裏面の上側となる部位に連結手段(ストッパー15)を設けて、連結手段によって枠体を保持して、フロアボードとを連結することができる。例えば、連結手段は、帯状の布地であって一端をフロアボードに固定されていて、他端に枠体を保持するフックが設けられているとすると、この連結手段の長さの分だけ、枠体はフロアボードに対して傾きを有して、枠体とフロアボードとの隙間を大きくすることができる。そのため、その隙間に小物などを挿入して整理する整理網棚として利用することができる。また、例えば、この連結手段の長さを、使用者によって可変できるとすると、枠体とフロアボードとの隙間に荷物を挟入させて、連結手段の長さを短くすることで、枠体とフロアボードとの隙間を小さくして、荷物を保持することができる。
【0060】
このように、実施例2の実施形態によれば、開閉自在に軸支されたフロアボードと、フロアボードに収納されたネットを有する枠体と、フロアボードに設けられた枠体を固定する支持部、及び保持部によって、フロアボードに収納できる整理棚を設けて、ラゲージルームを自由にアレンジできる車両のラゲージルーム構造を提供することができる。
【0061】
本実施形態において、フロアボード7に設けられたストッパー15のストッパー固定部18の取り付け位置や、フック17がネット状枠体8の枠体部14の支持位置について特に限定していない。例えば、フック17は、ネット状枠体8のネット部13で支持しても構わない。またストッパー15の長さについても特に限定していない。
【0062】
また、本実施形態において、ストッパー15は、帯状の先端にフック17を有した構成としているが、特に形状や材質を限定しない。例えば、ストッパー15をチェーン、バネ材、蛇腹状の形状にしても構わない。また、ストッパー15がフロアボードに固定される固定部18にもフックを用いて支持するようにして、ストッパー15を着脱可能としてもよい。
【実施例3】
【0063】
図9は、本発明による車両用ラゲージルームの実施例3を示す。以下、この実施例3における車両用ラゲージルームの構成について説明する。尚、前述した実施例1又は実施例2と同様な構成については、説明を省略する。
【0064】
図9は、本発明に係る実施例3に係る車両のラゲージルームにおいて、車室壁に支持されたネット枠体を車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【0065】
図9で示すように、車両後方のラゲージルーム1は、車室左壁4と、車室右壁3と、リアシート5と、バックドア開口部2とで囲繞されて空間であり、底部にラゲージフロアを有している。ラゲージフロアには、凹部でフロアの底部に内挿しているフロアボックス6と、フロアボックス6の蓋であり、車両前後方向に開閉自在に軸支されたフロアボード7が設けられている。フロアボード7の表面は、ラゲージフロアと同じ表装をしており、車室の美観を向上させている。フロアボード7には、ネット状枠体8が収納されている。
【0066】
フロアボード7を開状態にして、上側ヒンジ部ロック9、及び下側ヒンジ部ロック10を解除して、フロアボード7に収納されているネット状枠体8を上部支持溝19及び下部支持溝20から取り出して、車室右壁3と車室左壁4に各2箇所ずつ設けた壁側支持部12にてネット状枠体8を支持している。壁側支持部12は、すべて同じ高さに設けられているので、ネット状枠体8は、水平状態で支持される。このとき、フロアボード7では、ネット状枠体8を支持していないので、閉状態にすることが可能である。
【0067】
また、図5(d)と同様に、壁側支持部12は、ネット状枠体8が水平になるような高さの車室右壁3及び車室左壁4に設けられ、設けられたT字状のフックである。壁側支持部12は、剛性の高い材質で成形されているので、ネット状枠体8を網棚と使用しても、十分に剛性を保つことができる。また、ネット状枠体8の枠体部14には、T字状の壁側支持部12に掛止させるためのリング状の先端を有した掛止部25が4箇所備えられている。掛止部25は、ネット状枠体8に搭載した荷物を支えるために強度が高いプラスチック繊維製である。掛止部25の先端のリングをT字状の壁側支持部12に掛止させることで、ネット状枠体8を支持している。そのため、容易に掛止部25の着脱が可能である。
【0068】
このことから、フロアボード7を閉状態にした場合にも、ラゲージルーム1内にネット状枠体8を用いた網棚を設けることができる。そのため、荷物の形状や大きさに応じた使用者に対して自由度の高いラゲージルーム構造を提供することができる。また、ネット状枠体8は網棚としても使用できる。ネット状枠体8は、荷物の荷重によって撓み生じてハンモック状となるので荷物を安定させることができて、車両走行中の振動で荷物が落下する恐れがない。また、容易に支持部からのネット状枠体8の着脱が可能であるから、作業者に億劫な感情を与えずに快適に作業することを可能にしている。
【0069】
この実施例3における車両用ラゲージフロアは、以上の構成からなるので、前記の実施例1における車両用ラゲージフロアとほぼ同様の作用、効果を達成することができる。
【0070】
実施例3の実施形態において、ネットを有した枠体をフロアボードから取り外して、車室左壁、車室右壁、座席、バックドアの少なくとも2つに備えられた支持部(第2支持部)に支持させることで、ラゲージルーム内に網棚を設けることができる。また、この第2支持部は、ラゲージルーム内に多数設けることもできるので、様々な位置に網棚を設けることができるので、使用者の自由にアレンジできる車両のラゲージルーム構造を提供することができる。
【0071】
また、本実施形態において、車室右壁3、車室左壁4に壁側支持部12を設けてネット状枠体8を支持したが、特に限定しない。リアシート、バックドア、車室天井、ラゲージルームの底面であるフロアボードなどに設けてもよい。
【0072】
また、本実施形態において、ネット状枠体8は枠体部14が伸縮自在として、ネット部13も追従するように伸縮可能としてもよい。これにより、ネット状枠体8を収納する際は、もっとも縮めた状態でフロアボード7に収納できて、ネット状枠体8を網棚や仕切りとして使用する際は、伸ばした状態で用いて使用者のニーズに合わせた自由度の高いラゲージルーム構造を提供することができる。
【実施例4】
【0073】
図10と図11は、本発明による車両用ラゲージルームの実施例4を示す。以下、この実施例4における車両用ラゲージルームの構成について説明する。尚、前述した実施例1、実施例2、又は実施例3と同様な構成については、説明を省略する。
【0074】
図10は、本発明に係る実施例4に係る車両のラゲージルームにおいて、フロアボードと車室壁とに支持されたネット枠体を車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【0075】
図10で示すように、フロアボックス6を開状態にして、フロアボード7を車両前方へ開放し、ネット状枠体8を保持している下側ヒンジ部ロック10のロックを解除して、下部支持溝20から枠体部14を取り出して、ネット状枠体8を車両後方へ回転させて、車室右壁3と車室左壁4に設けた壁側支持部12に掛止部25でネット状枠体8を支持している。
【0076】
また、図5(d)と同様に、壁側支持部12は、ネット状枠体8が水平になるような高さの車室右壁3及び車室左壁4に設けられたT字状のフックである。壁側支持部12は、剛性の高い材質で成形されているので、ネット状枠体8を網棚と使用しても、十分に剛性を保つことができる。また、ネット状枠体8の枠体部14には、T字状の壁側支持部12に掛止させるためのリング状の先端を有した掛止部25が備えられている。掛止部25は、ネット状枠体8に搭載した荷物を支えるために強度が高い樹脂繊維製である。掛止部25の先端のリングをT字状の壁側支持部12に掛止させることで、ネット状枠体8を支持している。そのため、容易に掛止部25の着脱が可能である。
【0077】
ネット状枠体8は、外周の枠を形成する枠体部14と、枠体部14の内側に枠体の対辺を結ぶように設けた可動パイプ16と、枠体部14又可動パイプ16で固定されている複数のネット部13で構成されている。ネット部13は、荷物を載せることができるように、強度が高い樹脂繊維で織られており、荷重に耐えうるように枠体部14又可動パイプ16との固定部を複数設けて、適当な張力で枠体部14又可動パイプ16に張られている。枠体部14は、ネット部13での荷重を支え、且つ、上部支持溝19や壁側支持部12で支持されるように、強度の高い金属製のパイプで成形されている。または、強度の高いプラスチック製で成形しても構わない。
【0078】
図11は、本発明に係る実施例4に係る車両のラゲージルームにおいて、フロアボードと車室壁とに支持されたネット枠体を車室後方から斜視した概略的に示す構成詳細図である。図11(a)は、ネット部13を用いずに荷物を仕切るネット状枠体8の構成詳細図である。図11(b)は、可動するネット部13を用いて荷物を仕切るネット状枠体8の構成詳細図である。
【0079】
図11(a)で示すように、ネット状枠体8の枠体部14には、レールが設けられていて、そのレール上を可動パイプ16がスライドすることができる。また、可動パイプ16は、レール上のいずれの場所でも固定できる留め具が設けられている。可動パイプ16がスライドすることで、可動パイプ16に固定されているネット部13が追従して可動することができる。また、可動パイプが留め具によって固定されることで、ネット部13のネットは様々な張力と搭載面積を設けることができる。また、ネット状枠体8の一部に、可動パイプにネット部13を張らないことで、ネットの無い領域を設けることができる。重くて高さのある荷物30をネットに載せずに、ネットの無い領域に挿入にして、下方にあるフロアボックスの底面に載せて、可動パイプ16で荷物30を挟み込むことで荷物を固定することができる。また、可動パイプ16の留め具のロックや解除をワンタッチで行うことができる。
【0080】
図11(b)で示すように、複数のネット部13は、自在にその搭載面積と張力を設けることができる。例えば、ネット部13の搭載面積を狭くして張力を減少させることで、ハンモックのように荷物30を収納することができる。使用しないネット部13は、可動パイプ16間の隙間、又は可動パイプと枠体14との隙間を無くして、必要としないネット部13を収納することができる。
【0081】
このことから、使用者の必要に応じて、ネット状枠体8を様々な搭載面積や張力をもつ網棚として使用することができ、また、ネットを使わず可動パイプや枠体を使った仕切りや固定具としても使用することができる。よって、荷物の形状や大きさに応じた使用者に対して自由度の高いラゲージルーム構造を提供することができる。また、複数の可動パイプ16やネット部13がネット状枠体8に設けられることで剛性を増すことができ、ネット状枠体8の変形や破断を防止できる。
【0082】
この実施例4における車両用ラゲージフロアは、以上の構成からなるので、前記の実施例1における車両用ラゲージフロアとほぼ同様の作用、効果を達成することができる。
【0083】
実施例4の実施形態において、枠体には、可動支柱と複数のネットを有していて、可動支柱は枠体内をスライドすることで、枠体や可動支柱に係止させたネットが可動することができる。そのため、複数のネットによる仕分けができるとともに、ネットが可動することで、仕分けする区分の面積を変動することができるので、使用者のニーズに応じた整理することができる。更に、枠体や可動支柱の一部にネットを張らない部位を設けることで、ネットを使用せずに、枠体や可動支柱に挟み込んで荷物を固定することもできる。このため、多彩な仕切りを利用してラゲージルームを使用者の自由にアレンジできる車両のラゲージルーム構造を提供することが可能である
【0084】
このように、実施例4の実施形態によれば、開閉自在に軸支されたフロアボードと、フロアボードに収納されたネットを有する枠体によって、フロアボードの開閉作業が容易にできて、且つ、仕切りを利用してラゲージルームを自由にアレンジできる車両のラゲージルーム構造を提供することができる。
【0085】
本実施形態において、可動パイプ16は、車両前後方向と平行に枠体部14に設けられているが、特に限定しない。車幅方向に平行としても構わない。
【実施例5】
【0086】
図12は、本発明による車両用ラゲージルームの実施例5を示す。以下、この実施例5における車両用ラゲージルームの構成について説明する。尚、前述した実施例1から実施例4と同様な構成については、説明を省略する。
【0087】
図12は、本発明に係る実施例5に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体を支持するフロアボード上側の支持部を概略的に示す構成図である。
【0088】
図12に示すとおり、フロアボード7の裏面の上部に、2箇所の凸部21,22を車幅方向へ枠体部14の幅程度の間隔で平行に設けて、凹型の溝である上部支持溝23を構成している。上側凸部21は、上側ヒンジ部ロック9を軸支しており、上側ヒンジ部ロック9が上部支持溝23の開口部を覆うことでロックすることができる。つまり、2箇所の凸部21,22の間に設けた、凹型の溝である上部支持溝23でネット状枠体8の枠体部14を支持し、上側ヒンジ部ロック9でネット状枠体8の枠体部14を保持している。フロアボード7の裏面の下部は、フロアボード7の裏面の上部と同様の構成であるため省略する。
【実施例6】
【0089】
図13は、本発明による車両用ラゲージルームの実施例6を示す。以下、この実施例5における車両用ラゲージルームの構成について説明する。尚、前述した実施例1から実施例5と同様な構成については、説明を省略する。
【0090】
図13は、本発明に係る実施例6に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体を支持するフロアボード上側の支持部を概略的に示す構成図である。図13(a)は、フロアボードの支持部がネット状枠体を支持している状態を概略的に示しており、図13(b)は、フロアボードの支持部からネット状枠体を取り出そうとしている状態を概略的に示している。
【0091】
図13(a)に示すとおり、フロアボード7の裏面の上部に、2箇所の凸部21,22を車幅方向へ枠体部14の幅程度の間隔で平行に設けて、凹型の溝である上部支持溝23を構成している。2箇所の凸部21,22の凸部先端は、上部支持溝23を覆うように屈曲している可変部24を設けている。2箇所の凸部21,22の間に設けた、凹型の溝である上部支持溝23でネット状枠体8の枠体部14を支持し、可変部24が上部支持溝23の開口部を枠体部14よりも狭くすることで、ネット状枠体8の枠体部14を保持している。可変部24は、可変部24に力が加わることで、変形しやすい柔らかいプラスチックで成形されている。上部支持溝23の開口部付近の可変部24に力が加わると、開口部が広がる方向へ可変部24が屈曲する。フロアボード7の裏面の下部は、フロアボード7の裏面の上部と同様の構成であるため省略する。
【0092】
図13(b)に示すとおり、ネット状枠体8の枠体部14を上部支持溝23から取り出す際には、ネット状枠体8を上部支持溝23の開口部の方へ力を加えることで、枠体部14が可変部24の内壁と接触し、可変部24が枠体部14の力を受けて可変して、上部支持溝23の開口部が広がる方向へ屈曲する。そのため、上部支持溝23の開口部が枠体部14を通過する幅まで広がって、枠体部14を引き抜いて、ネット状枠体8を取り外すことができる。枠体部14を引き抜いた後は、可変部24に力が働かないので、上部支持溝23を覆うように屈曲する状態へ戻る。
【0093】
また、取り外したネット状枠体8を再度フロアボード7に取り付ける際は、同様に、ネット状枠体8の枠体部14を開口部に接触させて、上部支持溝23の方へ力を加えることで、可変部24が可変して、上部支持溝23の開口部が広がる方向へ屈曲する。そのため、上部支持溝23の開口部が枠体部14を通過する幅まで広がって、枠体部14を押し込んで、ネット状枠体8を支持することができる。
【0094】
このように、実施例5、及び実施例6の実施形態によれば、フロアボード7の裏面に少なくとも2箇所の凸部を車幅方向へ平行に設けて、凹型の溝である支持部を構成して、ネット状枠体を支持してもよい。支持部が凹型の溝状の形状であることから、ネットを有する枠体がこの凹型の溝状に挟入して枠体を支持することができる。これにより、フロアボードが開状態の際に、この凹型の溝が枠体や枠体に搭載された荷物の荷重を受けても、支持部には十分な剛性を持っているので、支持することができる。
【0095】
この実施例5、及び実施例6における車両用ラゲージフロアは、以上の構成からなるので、前記の実施例1における車両用ラゲージフロアとほぼ同様の作用、効果を達成することができる。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲の概念を逸脱しない範囲で、上記実施の形態の構造に種々の変形や変更を施すことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る実施例1における車両のフロアボードが開状態であるラゲージルームを車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【図2】本発明に係る実施例1における車両のフロアボードが閉状態であるラゲージルームを概略的に示す構成図である。
【図3】本発明に係る実施例1に係る車両のラゲージルームにおいて、フロアボードと車室壁とに支持されたネット枠体を車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【図4】本発明に係る実施例1に係る車両のラゲージルームにおいて、フロアボードと車室壁とに支持されたネット枠体の垂直方向の断面を車両右方から示す断面図である。
【図5】本発明に係る実施例1に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体を支持するフロアボードの支持部を概略的に示す構成図である。
【図6】本発明に係る実施例2に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体とネット枠体支持するフロアボードの支持部を車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【図7】本発明に係る実施例2に係る車両のラゲージルームにおいてネット枠体とネット枠体支持するフロアボードの支持部の垂直方向の断面を車両右方から示す断面図である。
【図8】本発明に係る実施例2に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体を支持するフロアボードの支持部の垂直方向の断面を車両右方から示す断面詳細図である
【図9】本発明に係る実施例3に係る車両のラゲージルームにおいて、車室壁に支持されたネット枠体を車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【図10】本発明に係る実施例4に係る車両のラゲージルームにおいて、フロアボードと車室壁とに支持されたネット枠体を車室後方から斜視した概略的に示す構成図である。
【図11】本発明に係る実施例4に係る車両のラゲージルームにおいて、フロアボードと車室壁とに支持されたネット枠体を車室後方から斜視した概略的に示す構成詳細図である。
【図12】本発明に係る実施例5に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体を支持するフロアボードの支持部を概略的に示す構成図である。
【図13】本発明に係る実施例6に係る車両のラゲージルームにおいて、ネット枠体を支持するフロアボードの支持部を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0098】
1 ラゲージルーム
2 バックドア開口部
3 車室右壁
4 車室左壁
5 リアシート
6 フロアボックス
7 フロアボード
8 ネット状枠体
9 上側ヒンジ部ロック
10 下側ヒンジ部ロック
11 軸支部
12 壁側ロック部
13 ネット部
14 枠体部
15 ストッパー
16 可動パイプ
17 フック
18 ストッパー固定部
19 上部支持溝
20 下部支持溝
21、22 凸部
23 上部支持溝
24 可変部
25 掛止部
30 荷物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内の左側壁と、右側壁と、座席と車両後方のバックドアとで囲繞されて、底部にフロアボックスを有した車両のラゲージルーム構造において、
前記フロアボックスを覆い、前記フロアボックスの上端で車両前後方向へ開閉自在に軸支されたフロアボードと、
前記フロアボックスに収納され、内部にネットを有し該ネットの端部を固定した枠体と、
前記フロアボードが閉状態の時に前記フロアボックスと対面する側であるフロアボードの裏面側の車幅方向に、少なくとも2箇所平行して前記枠体を支持する支持部と、
平行する少なくとも2箇所の前記支持部には、前記枠体を各々保持する保持部と、を備え、
前記枠体は、少なくとも一方側の前記支持部、及び前記保持部から着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両のラゲージルーム構造。
【請求項2】
前記支持部は、凹型の溝状の形状であること特徴とする請求項1に記載の車両のラゲージルーム構造。
【請求項3】
前記保持部は、前記支持部に支持された前記枠体を保持又は開放するように可動すること特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両のラゲージルーム構造。
【請求項4】
前記フロアボードが開状態の時に前記フロアボードの裏面側の上方となる部位に、前記フロアボードと前記枠体とを連結する連結手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両のラゲージルーム構造。
【請求項5】
前記枠体内側をスライドする複数の可動支柱と、
前記枠体と前記可動支柱に端部を係止させた複数のネットとを有し、
前記可動支柱がスライドすると共に前記ネットが前記枠体内を可動することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両のラゲージルーム構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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