説明

車両の充電用コード抜き忘れ防止装置

【課題】充電用コードの抜き忘れを運転者に確実に報知するができる車両の充電用コード抜き忘れ防止装置を提供する。
【解決手段】充電用コードのプラグが車両のプラグ接続口に接続されていることを検出する充電センサ48を設ける。ウェビング5を巻き取り方向に駆動操作するためのモータ10を有するシートベルト装置1を設ける。運転者の車両の発進に向けた挙動を検出するドアスイッチ45、回転センサ、バックルスイッチ45、レバー位置検出センサ47等の挙動検出手段を設ける。充電センサ48がプラグの接続を検出し、かつ、挙動検出手段が車両の発進に向けた運転者の挙動を検出したときに、シートベルト装置1のモータ10を制御して運転者に警告を発するシートベルト警告手段49を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気自動車やハイブリッド車両等の充電用コードを用いて車外電源から充電を行う車両の充電用コード抜き忘れ防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車両の一部には、車外電源から車載バッテリに充電用コードを用いて充電を行うものがある。この充電では、ユーザーが自身で充電作業を行うことが想定されるため、ユーザーに様々な注意喚起を行う装置が従来より案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、充電用コードに発信器を組込み、ユーザーが充電用コードの車載を忘れて充電用コードからの信号を受信できないときに、警告装置が警告を発するようになっている。この警告は、車室内のインジケータの点灯や警告音によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−175977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現在、上記のような車両においては、充電用コードを用いて充電を行っているときに、運転者が充電コードを抜き忘れてそのまま発進してしまうのを防止するための対策を検討している。しかし、充電コードのプラグが車両のプラグ接続口に接続されているときに、従来のものと同様に、インジケータの点灯や警告音によって運転者の注意を喚起させるだけでは、運転者に対しての警告としては弱く、運転者が充電用コードを抜き忘れたことに気がつかない可能性が考えられる。
【0006】
そこでこの発明は、充電用コードの抜き忘れを運転者に確実に報知するができる車両の充電用コード抜き忘れ防止装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る車両の充電用コード抜き忘れ防止装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、充電用コード(例えば、実施形態の充電用コード50)を用いて車外電源からの充電を行う車両において、前記充電用コードのプラグが車両のプラグ接続口に接続されたままであることを運転者に知られる車両の充電用コード抜き忘れ防止装置であって、前記充電用コードのプラグが車両の前記プラグ接続口に接続されていることを検出するプラグ接続検出手段(例えば、実施形態の充電センサ48)と、ウェビングを巻き取り方向に駆動操作するためのモータ(例えば、実施形態のモータ10)を有するシートベルト装置(例えば、実施形態のシートベルト装置1)と、運転者の車両の発進に向けた挙動を検出する挙動検出手段(例えば、実施形態のドアスイッチ46,バックルスイッチ45,回転センサ11,レバー位置検出センサ47)と、前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記挙動検出手段が車両の発進に向けた運転者の挙動を検出したときに、前記シートベルト装置のモータを制御して運転者に警告を発するシートベルト警告手段(例えば、実施形態のシートベルト警告手段49)と、を備えていることを特徴とするものである。
これにより、充電用コードのプラグを車両のプラグ接続口に接続して充電を行っているときに、運転者が車両に乗り込んで発進に向けた挙動をすると、そのことがプラグ接続検出手段と挙動検出手段によって検出され、シートベルト警告手段がシートベルト装置のモータを制御して運転者に警告を発するようになる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る車両の充電用コード抜き忘れ防止装置において、前記挙動検出手段は、車両の運転席のドアの開閉状態を検出するドア状態検出装置(例えば、実施形態のドアスイッチ46)を少なくとも備え、前記シートベルト装置は、ウェビングを巻回するベルトリール(例えば、実施形態のベルトリール12)と前記モータの間に介装されて動力の断接を操作するクラッチ(例えば、実施形態のクラッチ20)を備え、前記シートベルト警告手段は、前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記ドア状態検出装置が前記ドアが開状態であることを少なくとも一度検出したときに、前記クラッチを遮断状態にしたまま、前記モータを空転させることを特徴とするものである。
これにより、充電用コードのプラグを車両のプラグ接続口に接続して充電を行っているときに、運転者が運転席のドアを開けて車両に乗り込もうとすると、そのことがプラグ接続検出手段と挙動検出手段であるドア状態検出装置によって検出される。この結果、シートベルト警告手段がシートベルト装置のクラッチを遮断状態にしたまま、モータを空転させ、そのモータ音によって運転者に警告を発する。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る車両の充電用コード抜き忘れ防止装置において、前記挙動検出手段は、前記シートベルト装置のウェビングの引き出しの有無を検出する引き出し検出装置(例えば、実施形態の回転センサ11)を少なくとも備え、前記シートベルト装置は、ウェビングを巻回するベルトリールと前記モータの間に介装されて動力の断接を操作するクラッチを備え、前記シートベルト警告手段は、前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記引き出し検出装置がウェビングの引き出しがあったことを検出したときに、前記クラッチを接続することを特徴とするものである。
これにより、充電用コードのプラグを車両のプラグ接続口に接続して充電を行っているときに、運転者がシートベルト装置のウェビングを装着しようとしてウェビングを引き出すと、そのことがプラグ接続検出手段と挙動検出手段である引き出し検出装置によって検出される。この結果、シートベルト警告手段がシートベルト装置のクラッチを接続し、停止しているモータ側の負荷を作用させることにより、ウェビングの引き出しを重くして運転者に警告を発する。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に係る車両の充電用コード抜き忘れ防止装置において、前記挙動検出手段は、前記シートベルト装置のウェビングの装着完了を検出する装着検出装置(例えば、実施形態のバックルスイッチ45)を少なくとも備え、前記シートベルト装置は、ウェビングを巻回するベルトリールと前記モータの間に介装されて動力の断接を操作するクラッチを備え、前記シートベルト警告手段は、前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記装着検出装置がウェビングの装着完了を検出したときに、前記クラッチを接続状態にしたまま、前記モータを間欠作動させることを特徴とするものである。
これにより、充電用コードのプラグを車両のプラグ接続口に接続して充電を行っているときに、運転者がシートベルト装置のウェビングの装着を完了すると、そのことがプラグ接続検出手段と挙動検出手段である装着検出装置によって検出される。この結果、シートベルト警告手段がシートベルト装置のクラッチを接続状態にしたままモータを間欠作動させ、ウェビングを間欠的に引き込むことによって運転者に警告を発する。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に係る車両の充電用コード抜き忘れ防止装置において、前記挙動検出手段は、前記シートベルト装置のウェビングの装着完了を検出する装着検出装置と、車両の発進準備操作を検出する発進準備検出装置(例えば、実施形態のレバー位置検出センサ47)とを少なくとも備え、前記シートベルト装置は、ウェビングを巻回するベルトリールと前記モータの間に介装されて動力の断接を操作するクラッチを備え、前記シートベルト警告手段は、前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記装着検出装置がウェビングの装着完了を検出するとともに前記発進準備検出装置が車両の発進準備操作を検出したときに、前記クラッチを接続状態にしたまま、前記モータを連続作動させることを特徴とするものである。
これにより、充電用コードのプラグを車両のプラグ接続口に接続して充電を行っているときに、運転者がシートベルト装置のウェビングの装着を完了して車両の発進準備操作を行うと、そのことがプラグ接続検出手段と、挙動検出手段である装着検出装置と発進準備検出装置とによって検出される。この結果、シートベルト警告手段がシートベルト装置のクラッチを接続状態にしたままモータを連続作動させ、ウェビングを強く引き込むことによって運転者に警告を発する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、充電用コードのプラグを車両のプラグ接続口に接続して充電を行っているときに、運転者が車両の発進に向けた挙動をすると、そのことがプラグ接続検出手段と挙動検出手段によって検出され、シートベルト警告手段がシートベルト装置のモータを制御して運転者に警告を発するため、運転者の着座するシートの近傍において、充電用コードの抜き忘れを運転者に確実に報知するができる。また、この発明によれば、シートベルト装置の構成部品を利用するものであって、専用の警報装置部品を追加する必要がないため、製品コストの低減を図ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、充電用コードを車両のプラグ接続口に接続したまま、運転者が運転席のドアを開けて車両に乗り込もうとすると、シートベルト装置のモータが運転者の近傍でモータ音を発するため、充電用コードの抜き忘れを運転者に確実に報知するができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、充電用コードを車両のプラグ接続口に接続したまま、運転者がウェビングを引き出すと、ウェビングの引き出しを重くするため、充電用コードの抜き忘れを運転者に確実に報知するができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、充電用コードを車両のプラグ接続口に接続したまま、運転者がウェビングの装着を完了すると、ウェビングによって運転者の体を間欠的に引き込むため、充電用コードの抜き忘れを運転者に確実に報知するができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、充電用コードを車両のプラグ接続口に接続したまま、運転者がシートベルト装置のウェビングの装着を完了して車両の発進準備操作を行うと、ウェビングによって運転者の体を連続的に強く引き込むため、充電用コードの抜き忘れを運転者に確実に報知するができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態を示すもので、充電用コードを用いて車両に充電を行っている様子を示す斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態を示すもので、シートベルト装置の概略構成図である。
【図3】この発明の一実施形態を示すもので、シートベルト装置のリトラクタとコントローラを中心とした概略構成図である。
【図4】この発明の一実施形態の充電用コード抜き忘れ装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、充電用コード50を用いて車載バッテリを充電する機能を備えた電気自動車やハイブリッド車両等の車両100と、充電スタンド51の充電機52(車外電源)を示す図である。この車両100には、充電時に充電用コード50のプラグが挿入されるプラグ接続口(図示せず)が設けられている。この車両に搭載される充電用コード抜き忘れ防止装置は、運転席側のシートベルト装置の主要機能を利用して構成されている。
【0019】
図2は、運転席側のシートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、運転者3の着座するシートである。この実施形態のシートベルト装置1は、所謂三点式のシートベルト装置であり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
【0020】
ウェビング5は、初期状態ではリトラクタ4に所定量巻き取られており、運転者3が手で引き出してタングプレート8をバックル9に固定することにより、運転者3の主に胸部と腹部をシート2に対して拘束する。また、このシートベルト装置1は、車両の挙動が不安定になったときや、通常走行時にウェビング5に弛みがあるとき、さらにウェビング5をリトラクタ4に収納するとき等に電動式のモータ10によってウェビング5の巻き取りを実行する。モータ10は、後述するコントローラ21によって制御される。
【0021】
図3は、リトラクタ4とコントローラ21の機能を説明するためのシートベルト装置1の概略構成図である。
リトラクタ4は、図3に示すようにケーシング14に回転可能に支持されたベルトベルトリール12にウェビング5が巻回されるとともに、ケーシング14の一端側にベルトリール12の軸が突出している。このベルトリール12は、動力断接用のクラッチ20を含む動力伝達機構13を介してモータ10の回転軸10aに連動可能に接続されている。動力伝達機構13は、モータ10の回転を減速してベルトリール12に伝達する。また、リトラクタ4には、ベルトリール12をウェビング巻取り方向に付勢する図示しない巻取りばねが設けられ、ベルトリール12とモータ10がクラッチ20によって切り離された状態において、巻取りばねによる張力がウェビング5に作用するようになっている。なお、この実施形態のクラッチ20は、具体的な構造については説明を省略するが、モータ10の正転(ウェビング5を巻き取る方向の回転)を契機としてONにされ、モータ10の逆転(ウェビング5を巻き取る方向と逆方向の回転)を契機としてOFFとされるものが採用されている。
【0022】
また、リトラクタ4には、ベルトリール12の回転位置を検出する回転センサ11が設けられている。この回転センサ11は、例えば、円周方向に沿って異磁極が交互に着磁され、ベルトリール12と一体に回転する磁性円板と、この磁性円板の外周縁部に近接配置された一対のホール素子と、ホール素子の検出信号を処理するセンサ回路とから成り、センサ回路で処理されたパルス信号がコントローラ21に出力されるようになっている。
【0023】
ところで、コントローラ21の入力側には、図3に示すように回転センサ11の他に、前後加速度センサ40や横加速度センサ41、ヨーレートセンサ42等の車両状態を検出するためセンサ類が接続されるとともに、タングプレート8とバックル9の脱着状態(ウェビング5の装着完了)を検出するバックルスイッチ45(装着検出装置)と、運転席側のドアの開閉状態を検出するドアスイッチ46(ドア状態検出装置)と、シフトレバーの操作位置を検出するレバー位置検出センサ47(発進準備検出装置)と、充電用コード50のプラグが車両のプラグ接続口に接続されていることを検出する充電センサ48(プラグ接続検出手段)が接続されている。
【0024】
コントローラ21は、ウェビング5の弛み取りや巻取り収納、衝突時の緊急引き込み等の通常のモータ制御を行う以外に、充電用コード50がプラグ接続口に接続されたまま、運転者3が車両の発進に向けた挙動を行ったときに、運転者3に注意を促すようにモータ10を制御する。このモータ10の制御は、コントローラ21のシートベルト警告手段49によって行われる。
【0025】
シートベルト警告手段49による主な制御は以下の(a)〜(d)となる。
(a)充電用コード50のプラグがプラグ接続口に接続されていることを充電センサ48が検出し、かつ、運転席のドアが開状態になったことをドアスイッチ46が少なくとも一度検出したときに、モータ10を逆転方向に回転駆動させる(このとき、クラッチ20は自動的に遮断状態とされる)。
(b)充電用コード50のプラグがプラグ接続口に接続されていることを充電センサ48が検出し、かつ、回転センサ11がウェビング5の引き出しを検出したときに、モータ10を瞬時正転させることによってクラッチ20を接続状態にする。
(c)充電用コード50のプラグがプラグ接続口に接続されていることを充電センサ48が検出し、かつ、バックルスイッチ45がウェビング5の装着完了を検出したときに、モータ10を正転方向に間欠作動させる(このとき、クラッチ20は接続状態に維持されている)。
(d)充電用コード50のプラグがプラグ接続口に接続されていることを充電センサ48が検出し、かつ、バックルスイッチ45がウェビング5の装着完了を検出するとともに、レバー位置検出センサ47がパーキング位置から解除操作されたことを検出したときに、モータ10を正転方向に連続作動させる。
【0026】
以下、シートベルト装置1が、充電用コード抜き忘れ防止装置として機能するときの具体的な制御を図4のフローチャートに従って説明する。
同図において、ステップS100では、充電用コード50のプラグがプラグ接続口に接続されているか否かを充電センサ48の信号を基にして判定し、Yesの場合には、ステップS101に進み、Noの場合には、リターンする。
ステップS101では、運転席のドアが少なくとも一度開状態となったか否か、つまり運転者3が車両1に乗り込もうとしたか否かをドアスイッチ45の信号を基にして判定し、ここでYesの場合には、次のステップS102に進み、Noの場合には、リターンする。
ステップS102では、ウェビング5の引き出しがあったか否かを回転センサ11の信号を基にして判定し、ここでYesの場合には、ステップS103に進み、Noの場合には、ステップS104へと進む。ここで、ステップS104に進む場合には、ウェビング5の装着挙動は無いものの、少なくとも運転者3が車両1に乗り込もうとしているため、ステップS104では、最も軽微な第1段の警告を運転者3に発する。具体的には、ステップS104においては、モータ10を逆転駆動することでクラッチ20を接続しない状態でモータ10を空転させ、その空転音によって乗員に、充電用コード50のプラグが接続されたままである旨の注意を促す。
【0027】
一方、ステップS103では、モータ10を瞬時正転駆動することによってクラッチ20を接続状態にする。このとき、モータ10はクラッチ20を接続だけで即時に駆動を停止するため、ウェビング5には停止しているモータ10の負荷のみが作用するようになる。これにより、ウェビング5を引き出そうとする運転者3には大きな抵抗が感じられるようになり、そのことが、充電用コード50のプラグが接続されたままである旨の第2段の警告となる。
【0028】
次のステップS105においては、ウェビング5の装着が完了したか否かをバックルスイッチ45の信号を基にして判定し、ここでYesの場合には、ステップS106に進み、Noの場合には、リターンする。
ステップS106では、クラッチ20を接続状態にしたままモータ10を正転方向に間欠作動させる。ここでの間欠作動は、比較的間隔の短い作動、例えば、30msのモータ10の正転駆動と30msのモータ10の停止を繰り返す作動を行う。これにより、ウェビング5は小インターバルで運転者3の体を間欠的に引き込むことになる。この作動は、第3段の警告作動となる。
つづく、ステップS107では、ステップS106の小インターバルの間欠引き込みが所定時間(例えば、2s)以上継続したか否かを判定し、ここでYesの場合には、ステップS108に進み、Noの場合には、ステップS106の作動を継続する。
ステップS108では、ステップS106と同様にクラッチ20を接続状態にしたままモータ10を正転方向に間欠作動させるが、ここでの間欠作動は、ステップS106のものに対して間隔の長い作動、例えば、100msのモータ10の正転駆動と100msのモータ10の停止を繰り返す作動を行う。これにより、ウェビング5は大インターバルで比較的強い力で運転者3の体を間欠的に引き込むことになる。この作動は、第4段の警告作動となる。
【0029】
次の、ステップS109においては、運転者3がさらに発進準備操作を行ったか否かをレバー位置検出センサ47の信号を基にして判定し、ここでYesの場合には、ステップS110に進み、Noの場合には、ステップS108の作動を継続する。
ステップS110では、クラッチ20を接続状態にしたままモータ10を正転方向に連続作動させる。これにより、ウェビング5は強い力で運転者3の体を強く引き込むことになる。この作動は、第5段の警告作動となる。
【0030】
以上のように、この充電用コード抜き忘れ防止装置においては、充電用コード50のプラグを車両のプラグ接続口に接続して充電を行っているときに、運転者3が車両の発進に向けた挙動を行い、そのことが各種のセンサによって検出されると、シートベルト警告手段49がシートベルト装置1のモータ10を駆動制御することによって、シート2の近傍で運転者3に注意を喚起することができるため、充電用コード50の抜き忘れを運転者3に確実に報知することができる。
【0031】
具体的には、この充電用コード抜き忘れ防止装置では、運転者3の発進挙動の各段階において、以下のように確実に報知を行うことができる。
<運転席のドアを開いた段階>
モータ10を空転させてモータ音によって報知。
<運転者3がウェビング5を引き出そうとした段階>
クラッチ20を接続してウェビング5の引き出しを重くして報知。
<運転者3がウェビング5の装着を完了した段階>
クラッチ20を接続状態のままモータ10を間欠作動させてウェビング5を間欠的に引き込んで報知(時間経過とともに、間欠引き込みを変化させる)。
<運転者がウェビング5を装着して、シフトレバーをパーキング解除位置にした段階>
クラッチ20を接続状態のままモータ10を連続作動させてウェビング5を強く引き込んで報知。
【0032】
そして、この実施形態の充電用コード抜き忘れ防止装置の場合、上記のように運転者3の発進挙動の進行に応じて注意喚起を段階的に強めるため、発進挙動の初期の段階では運転者に不快感を与えることがなく、後期段階ではより確実に抜き忘れを報知することができる。
【0033】
また、この充電用コード抜き忘れ防止装置においては、専用の警報装置部品を設けるものではなく、運転者の発進挙動に応じてシートベルト装置1のモータ10を制御することで運転者3に抜き忘れを報知するものであるため、追加部品が不要である分、製造コストを低減できるという利点がある。
【0034】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態は、発進準備検出装置の一例として、レバー位置検出センサ47を用いたものであるが、発進準備検出装置はレバー位置検出センサ47に限らず、ブレーキやアクセルの操作を検知する装置等であっても良い。
【符号の説明】
【0035】
1…シートベルト装置
5…ウェビング
10…モータ
11…回転センサ(引き出し検出装置,挙動検出手段)
12…ベルトリール
20…クラッチ
45…バックルスイッチ(装着検出装置,挙動検出手段)
46…ドアスイッチ(ドア状態検出装置,挙動検出手段)
47…レバー位置検出センサ(発進準備検出装置,挙動検出手段)
48…充電センサ(プラグ接続検出手段)
49…シートベルト警告手段
50…充電用コード
52…充電機(車外電源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電用コードを用いて車外電源からの充電を行う車両において、前記充電用コードのプラグが車両のプラグ接続口に接続されたままであることを運転者に知られる車両の充電用コード抜き忘れ防止装置であって、
前記充電用コードのプラグが車両の前記プラグ接続口に接続されていることを検出するプラグ接続検出手段と、
ウェビングを巻き取り方向に駆動操作するためのモータを有するシートベルト装置と、
運転者の車両の発進に向けた挙動を検出する挙動検出手段と、
前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記挙動検出手段が車両の発進に向けた運転者の挙動を検出したときに、前記シートベルト装置のモータを制御して運転者に警告を発するシートベルト警告手段と、
を備えていることを特徴とする車両の充電用コード抜き忘れ防止装置。
【請求項2】
前記挙動検出手段は、車両の運転席のドアの開閉状態を検出するドア状態検出装置を少なくとも備え、
前記シートベルト装置は、ウェビングを巻回するベルトリールと前記モータの間に介装されて動力の断接を操作するクラッチを備え、
前記シートベルト警告手段は、前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記ドア状態検出装置が前記ドアが開状態であることを少なくとも一度検出したときに、前記クラッチを遮断状態にしたまま、前記モータを空転させることを特徴とする請求項1に記載の車両の充電用コード抜き忘れ防止装置。
【請求項3】
前記挙動検出手段は、前記シートベルト装置のウェビングの引き出しの有無を検出する引き出し検出装置を少なくとも備え、
前記シートベルト装置は、ウェビングを巻回するベルトリールと前記モータの間に介装されて動力の断接を操作するクラッチを備え、
前記シートベルト警告手段は、前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記引き出し検出装置がウェビングの引き出しがあったことを検出したときに、前記クラッチを接続することを特徴とする請求項1または2に記載の車両の充電用コード抜き忘れ防止装置。
【請求項4】
前記挙動検出手段は、前記シートベルト装置のウェビングの装着完了を検出する装着検出装置を少なくとも備え、
前記シートベルト装置は、ウェビングを巻回するベルトリールと前記モータの間に介装されて動力の断接を操作するクラッチを備え、
前記シートベルト警告手段は、前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記装着検出装置がウェビングの装着完了を検出したときに、前記クラッチを接続状態にしたまま、前記モータを間欠作動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の充電用コード抜き忘れ防止装置。
【請求項5】
前記挙動検出手段は、前記シートベルト装置のウェビングの装着完了を検出する装着検出装置と、車両の発進準備操作を検出する発進準備検出装置とを少なくとも備え、
前記シートベルト装置は、ウェビングを巻回するベルトリールと前記モータの間に介装されて動力の断接を操作するクラッチを備え、
前記シートベルト警告手段は、前記プラグ接続検出手段がプラグの接続を検出し、かつ、前記装着検出装置がウェビングの装着完了を検出するとともに前記発進準備検出装置が車両の発進準備操作を検出したときに、前記クラッチを接続状態にしたまま、前記モータを連続作動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の充電用コード抜き忘れ防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−221165(P2012−221165A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85573(P2011−85573)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】