説明

車両の冷却システム

【課題】 熱交換器の冷却性能を維持して、複数の熱交換器全体としての小型化をはかることができる車両の冷却システムの提供。
【解決手段】(1)必要放熱特性対車速特性が互いに異なる第1の熱交換器1と第2の熱交換器2を含む複数の熱交換器を備えた車両の冷却システムであって、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2は、第1の熱交換器の少なくとも一部の領域1aと第2の熱交換器の少なくとも一部の領域2aに、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2にわたって相互に連結された冷却フィン3を有している車両の冷却システム。
(2)前記複数の熱交換器の各熱交換器1,2の少なくとも一部の領域1a、1bへの冷媒の流れが可変である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の冷却システムに関し、とくに複数の熱交換器を有しそれぞれの熱交換器の一部の領域で冷却フィンを相互利用した車両の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−118396号公報は、燃料電池(FC)自動車の、複数の熱交換器を有する冷却系を開示している。
従来の冷却系では、FC冷却用熱交換器とエアコン用室外機は完全に独立して設置されている。そのため、FC冷却用熱交換器とエアコン用室外機はそれぞれがそれぞれの最大負荷に対応できる容量を備えた設計となっている。
【特許文献1】特開2003−118396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の車両の冷却システムには、つぎの問題がある。
図4に示すように、エアコン用室外機は、車速により必要放熱量があまり変わらないため、熱交換器としては、冷却風をファンだけに頼らなければならないアイドリング時が一番放熱条件が厳しい。したがって、車速風が豊富にある高速域では、エアコン用室外機の放熱能力には余裕がある。
FC冷却用熱交換器は、高速条件になるほど放熱負荷が増大する。したがって、エアコン用室外機とは逆にアイドリング時〜低速域で、放熱能力に余裕がある。
しかしながら、従来のFC車は、それぞれの熱交換器が独立して設置されているため、エアコン用室外機、FC冷却用熱交換器は共に最も放熱条件が厳しいところで設計されている。その結果、FC冷却用熱交換器とエアコン用室外機をコンパクト化できない。
上記の問題は、FC車の冷却システムに限らず、一般の車両の冷却システム、たとえば、エンジン車やハイブリッド車の冷却システムにも言える。
【0004】
本発明の目的は、必要放熱特性対車速特性が互いに異なる第1、第2の熱交換器を含む複数の熱交換器を備えた車両の冷却システムにおいて、第1、第2の熱交換器のうち、任意の走行条件において放熱条件に余裕がある方の熱交換器の一部の冷却性能を、その走行条件において放熱条件が厳しくなる方の熱交換器の冷却性能にまわして、複数の熱交換器全体としての小型化をはかることができる車両の冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 必要放熱特性対車速特性が互いに異なる第1の熱交換器と第2の熱交換器を含む複数の熱交換器を備えた車両の冷却システムであって、前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器は、前記第1の熱交換器の少なくとも一部の領域と前記第2の熱交換器の少なくとも一部の領域に、前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器にわたって相互に連結された冷却フィンを有している車両の冷却システム。
(2) 前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器は、車両長手方向に、互いに重なるように配置されている(1)記載の車両の冷却システム。
(3) 前記複数の熱交換器の各熱交換器の前記少なくとも一部の領域への冷媒の流れが可変である(1)記載の車両の冷却システム。
(4) 前記複数の熱交換器の各熱交換器の前記少なくとも一部の領域への冷媒の流れを可変とする弁を備えている(3)記載の車両の冷却システム。
(5) 車両長手方向に、前記第1の熱交換器が前記第2の熱交換器の前に配置され、
前記第1の熱交換器が、冷却フィンが前記第2の熱交換器の冷却フィンと連結される冷却フィン連結領域と冷却フィンが前記第2の熱交換器の冷却フィンと独立している冷却フィン独立領域とを有しており、
前記第2の熱交換器が、冷却フィンが前記第1の熱交換器の冷却フィンと連結される冷却フィン連結領域と冷却フィンが前記第1の熱交換器の冷却フィンと独立している冷却フィン独立領域とを有しており、
車両アイドリング時と車両低速走行時には、前記第1の熱交換器には第1の熱交換器の冷却フィン連結領域と冷却フィン独立領域に第1の熱交換器の冷媒が流通され、前記第2の熱交換器には第2の熱交換器の冷却フィン独立領域に第2の熱交換器の冷媒が流通され第2の熱交換器の冷却フィン連結領域には第2の熱交換器の冷媒が流通されないかまたは絞られ、
車両高速走行時には、前記第1の熱交換器には第1の熱交換器の冷却フィン独立領域に第1の熱交換器の冷媒が流通され第1の熱交換器の冷却フィン連結領域には第1の熱交換器の冷媒が流通されないかまたは絞られ、前記第2の熱交換器には第2の熱交換器の冷却フィン連結領域と冷却フィン独立領域に第2の熱交換器の冷媒が流通される、(1)記載の車両の冷却システム。
(6) 車両長手方向に、前記第1の熱交換器が前記第2の熱交換器の前に配置され、前記第1の熱交換器がエアコン用室外機であり、前記第2の熱交換器が燃料電池の冷却用熱交換器である(1)ないし(5)の何れかに記載の車両の冷却システム。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)の車両の冷却システムによれば、第1の熱交換器と第2の熱交換器は、第1の熱交換器の少なくとも一部の領域と第2の熱交換器の少なくとも一部の領域に、第1の熱交換器と第2の熱交換器にわたって相互に連結された冷却フィンを有しているので、上記連結された冷却フィンを第1、第2の熱交換器が車両走行条件により相互利用できるようになる。その結果、第1、第2の熱交換器のうち、任意の走行条件において放熱条件に余裕がある方の熱交換器の一部(冷却フィン連結領域)の冷却性能を、その走行条件において放熱条件が厳しくなる方の熱交換器の(冷却フィン連結領域の)冷却性能にまわして、放熱条件に余裕がある方の熱交換器の連結冷却フィンを放熱条件が厳しくなる方の熱交換器の冷却フィンとして利用することができ、複数の熱交換器全体としての小型化をはかることができる。
上記(2)の車両の冷却システムによれば、第1の熱交換器と第2の熱交換器は、車両長手方向に、互いに重なるように配置されているので、第1の熱交換器の冷却フィンと第2の熱交換器の冷却フィンとを、上記少なくとも一部の領域において、車両長手方向に延ばして互いに一体化するだけで、第1の熱交換器の冷却フィンと第2の熱交換器の冷却フィンとを容易に連結することができる。
上記(3)の車両の冷却システムによれば、複数の熱交換器の各熱交換器の上記少なくとも一部の領域(冷却フィン連結領域)への冷媒の流れが可変であるため、冷却フィン連結領域の連結フィンの相互利用効果を最大限に発揮させることができる。冷却フィン連結領域において、放熱条件に余裕がある方の熱交換器の連結冷却フィン領域への冷媒の循環を止めるかまたは絞ることにより、第1、第2の熱交換器同士の(通過外気の熱伝達による)熱干渉を抑えることができ、連結フィンの相互利用効果を最大限に発揮させることができる。
上記(4)の車両の冷却システムによれば、複数の熱交換器の各熱交換器の上記少なくとも一部の領域への冷媒の流れを可変とする弁を備えているので、上記少なくとも一部の領域への冷媒の流れを確実に可変とすることができる。
上記(5)の車両の冷却システムによれば、
(イ)車両アイドリング時と車両低速走行時には、第1の熱交換器には冷却フィン連結領域と冷却フィン独立領域に冷媒が流通され、第2の熱交換器には冷却フィン独立領域に冷媒が流通され冷却フィン連結領域には冷媒が流通されないかまたは絞られるので、連結冷却フィンを第1の熱交換器の冷却に利用でき、第1の熱交換器の冷却性能を増大でき、第1の熱交換器による増大された効果的な冷却を行うことができ、
(ロ)車両高速走行時には、第1の熱交換器には冷却フィン独立領域に冷媒が流通され冷却フィン連結領域には第1の熱交換器の冷媒が流通されないかまたは絞られ、第2の熱交換器には冷却フィン連結領域と冷却フィン独立領域に冷媒が流通されるので、連結冷却フィンを第2の熱交換器の冷却に利用でき、第2の熱交換器の冷却性能を増大でき、第2の熱交換器による増大された効果的な冷却を行うことができる。
上記(6)の車両の冷却システムによれば、第1の熱交換器がエアコン用室外機であり、第2の熱交換器が燃料電池の冷却用熱交換器であるので、FC車における、アイドリング時と低速走行時におけるエアコン室外機の容量不足、高速走行時のFC冷却用熱交換器の容量不足を解消でき、小型化をはかることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の車両の冷却システムを、図1〜図5を参照して説明する。
本発明の車両の冷却システムは、図1に示すように、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2を含む複数(2以上、図示例は2個の場合を示したが、3個以上でもよく、3個以上の場合はそのうちの2個が第1の熱交換器1と第2の熱交換器2である)の熱交換器を備えた車両の冷却システムである。第1の熱交換器1と第2の熱交換器2は、図4に示すように、必要放熱性能対車速特性が互いに異なる。たとえば、第1の熱交換器1は、図4の破線で示すように、車速が変わってもほぼ一定の必要放熱性能を有し、第2の熱交換器2は、図4の実線に示すように、車速が低速から高速に変わると必要放熱性能が増大する。そして、図4で、破線と実線は(厳密に言えば、破線と実線が交わる場合は破線と実線の交点を除いて)互いに異なる。
【0008】
第1の熱交換器1と前記第2の熱交換器2は、第1の熱交換器1の少なくとも一部の領域1aと第2の熱交換器2の少なくとも一部の領域2aに、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2にわたって相互に連結された冷却フィン3(連結フィン、または一体フィンともいう)を有している。第1の熱交換器1の少なくとも一部の領域1aと第2の熱交換器2の少なくとも一部の領域2aは、冷却フィン連結領域である。
第1の熱交換器1の少なくとも一部の領域1a以外の領域1bと第2の熱交換器2の少なくとも一部の領域2a以外の領域2bでは、第1の熱交換器1の冷却フィンと第2の熱交換器2の冷却フィンは互いに独立である。第1の熱交換器1の少なくとも一部の領域1a以外の領域1bと第2の熱交換器2の少なくとも一部の領域2a以外の領域2bは、冷却フィン独立領域である。
【0009】
第1の熱交換器1と前記第2の熱交換器2は、車両長手方向に、互いに重なるように配置されている。第1の熱交換器1と前記第2の熱交換器2はコア面を外気流れ方向に直交させて、かつ、互いに並列に配列されている。第1の熱交換器1と前記第2の熱交換器2の間には、間隔があってもよいし、あるいは無くてもよい。第1の熱交換器1と前記第2の熱交換器2は、車両前方から見た時の外形が、同じ大きさでもよいし、あるいは異なっていてもよい。
【0010】
図5に示すように、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2は、グリル21の後方に配置される。並列配置された第1の熱交換器1と第2の熱交換器2の後方には電動ファン22が配置される。
車両高速走行中には、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2は車両走行風とファン吸引風の両方で冷却され、車両停止中または低速走行中には、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2は、ファン吸引風により冷却され、車両走行風による冷却は車両高速走行中に比べて少なくなる。
【0011】
複数の熱交換器の各熱交換器1、2の少なくとも一部の領域への冷媒の流れは可変である。冷媒の流れが可変は、冷媒の流れのオン、オフであってもよいし、あるいは、冷媒の流れの絞り(流れてはいるが量を少なくする)であってもよい。また、冷媒の流れが可変とされる領域は、第1の熱交換器1の冷却フィン連結領域1aと第2の熱交換器2の冷却フィン連結領域2aであることが望ましい。
【0012】
本発明の車両の冷却システムは、図2、図3に示すように、複数の熱交換器の各熱交換器1、2の少なくとも一部の領域1a、2aへの冷媒の流れを可変とする弁(三方弁を1個、または二方弁を2個)19,20を備えている。
【0013】
第1の熱交換器1は、チューブ5と空気側冷却フィンとからなるコアと、コアの一側に設けられ内部を仕切壁9によって2つのスペース7、8に分けられたタンクと、コアの他側に設けられ内部を仕切壁12によって2つのスペース10、11に分けられたタンクとを有している。タンク内スペース7、10が冷却フィン連結領域1aに対応し、タンク内スペース8、11が冷却フィン独立領域1bに対応する。
第2の熱交換器2は、チューブ6と空気側冷却フィンとからなるコアと、コアの一側に設けられ内部を仕切壁15によって2つのスペース13、14に分けられたタンクと、コアの他側に設けられ内部を仕切壁18によって2つのスペース16、17に分けられたタンクとを有している。タンク内スペース13、16が冷却フィン連結領域2aに対応し、タンク内スペース14、17が冷却フィン独立領域2bに対応する。
【0014】
図1〜図3では、たとえば、車両長手方向に、第1の熱交換器1が第2の熱交換器2の前に配置されている。
第1の熱交換器1は、(第1の熱交換器1の)冷却フィンが第2の熱交換器2の冷却フィンと連結される冷却フィン連結領域1aと、(第1の熱交換器1の)冷却フィンが第2の熱交換器2の冷却フィンと独立している冷却フィン独立領域1bとを有している。
また、第2の熱交換器2は、(第2の熱交換器2の)冷却フィンが第1の熱交換器1の冷却フィンと連結される冷却フィン連結領域2aと、(第2の熱交換器2の)冷却フィンが第1の熱交換器1の冷却フィンと独立している冷却フィン独立領域2bとを有している。
【0015】
車両アイドリング時と車両低速走行時には、図2に示すように、第1の熱交換器1には、弁19を操作して、第1の熱交換器1の冷却フィン連結領域1aと冷却フィン独立領域1bに第1の熱交換器の冷媒(たとえば、CO2 )が流通される。また、第2の熱交換器2には、弁20を操作して、第2の熱交換器2の冷却フィン独立領域2bに第2の熱交換器の冷媒(たとえば、LLC、すなわち、long life coolant )が流通され、第2の熱交換器2の冷却フィン連結領域2aには第2の熱交換器の冷媒が流通されないかまたは絞られる。図2のCの部分には冷媒は流通されないかまたは絞られる。
【0016】
車両高速走行時には、図3に示すように、第1の熱交換器1には、弁19を操作して、第1の熱交換器1の冷却フィン独立領域1bに第1の熱交換器の冷媒(たとえば、CO2 )が流通され、第1の熱交換器1の冷却フィン連結領域1aには第1の熱交換器1の冷媒が流通されないかまたは絞られる。また、第2の熱交換器2には、弁20を操作して、第2の熱交換器2の冷却フィン連結領域2aと冷却フィン独立領域2bに第2の熱交換器の冷媒が流通される。図3のDの部分には冷媒は流通されないかまたは絞られる。
【0017】
図1〜図3において、車両長手方向に、第1の熱交換器1が第2の熱交換器2の前に配置される。燃料電池車の場合は、第1の熱交換器1がエアコン用室外機1であり、第2の熱交換器2が燃料電池の冷却用熱交換器2である。燃料電池車の場合は、図5に示すように、電動ファン22より後方のモータルームに、燃料電池スタック23、インバータ24が配置される。
ただし、本発明の車両の冷却システムは、燃料電池車の冷却システムに限るものではなく、一般のエンジン車やハイブリッド車の冷却システムであってもよい。
【0018】
つぎに、本発明の作用・効果を説明する。
本発明の車両の冷却システムでは、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2は、第1の熱交換器1の少なくとも一部の領域1aと第2の熱交換器2の少なくとも一部の領域2aに、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2にわたって相互に連結された冷却フィン3を有しているので、連結された冷却フィン3を第1、第2の熱交換器1、2が車両走行条件により相互利用できるようになる。その場合、第1、第2の熱交換器1、2のうち、任意の走行条件において放熱条件に余裕がある方の熱交換器の一部(冷却フィン連結領域1aまたは2a)の冷却性能を、その走行条件において放熱条件が厳しくなる方の熱交換器の(冷却フィン連結領域2aまたは1aの)冷却性能にまわして、放熱条件に余裕がある方の熱交換器の連結冷却フィンを放熱条件が厳しくなる方の熱交換器の冷却フィンとして利用することにより、複数の熱交換器1、2全体としての小型化をはかることができる。
【0019】
また、第1の熱交換器1と第2の熱交換器2は、車両長手方向に、互いに重なるように配置されているので、第1の熱交換器1の冷却フィンと第2の熱交換器2の冷却フィンとを、上記少なくとも一部の領域1a、2aにおいて、車両長手方向に延ばして互いに一体化した連結フィン3とするだけで、第1の熱交換器1の冷却フィンと第2の熱交換器2の冷却フィンとを容易に連結することができる。
【0020】
複数の熱交換器の各熱交換器1、2の上記少なくとも一部の領域(冷却フィン連結領域1a、2a)への冷媒の流れが可変であるため、冷却フィン連結領域1a、2aの連結フィン3の相互利用効果を最大限に発揮させることができる。詳しくは、冷却フィン連結領域1a、2aにおいて、放熱条件に余裕がある方の熱交換器の連結冷却フィン領域への冷媒の循環を止めるかまたは絞ることにより、連結冷却フィン領域1a、2aにおける第1、第2の熱交換器1、2同士の(通過外気の熱伝達による)熱干渉を抑えることができ、連結フィン3の相互利用効果を最大限に発揮させることができる。
【0021】
また、複数の熱交換器の各熱交換器1、2の上記少なくとも一部の領域1a、2aへの冷媒の流れを可変とする弁19、20を備えているので、上記少なくとも一部の領域1a、2aへの冷媒の流れを、弁19、20を備えていない場合に比べて、確実に可変とすることができる。
【0022】
また、本発明の車両の冷却システムでは、
(イ)車両アイドリング時と車両低速走行時には、図2に示すように、第1の熱交換器1には冷却フィン連結領域1aと冷却フィン独立領域1bに冷媒が流通され、第2の熱交換器2には冷却フィン独立領域2aに冷媒が流通され冷却フィン連結領域2bには冷媒が流通されないかまたは絞られるので、連結冷却フィン3を第1の熱交換器1の冷却に利用でき、第1の熱交換器1の冷却性能を増大でき、第1の熱交換器1による増大された効果的な冷却を行うことができる。
その結果、第1の熱交換器1の冷却フィン連結領域1aを小型化しても、第1の熱交換器1の冷却性能を、車両アイドリング時と車両低速走行時に、十分とすることができ、第1の熱交換器1を小型化することができる。
(ロ)また、車両高速走行時には、図3に示すように、第1の熱交換器1には冷却フィン独立領域1bに冷媒が流通され冷却フィン連結領域1aには第1の熱交換器の冷媒が流通されないかまたは絞られ、第2の熱交換器2には冷却フィン連結領域2aと冷却フィン独立領域2bに冷媒が流通されるので、連結冷却フィン3を第2の熱交換器2の冷却に利用でき、第2の熱交換器2の冷却性能を増大でき、第2の熱交換器2による増大された効果的な冷却を行うことができる。
その結果、第2の熱交換器1の冷却フィン連結領域2aを小型化しても、第2の熱交換器2の冷却性能を、車両高速時に、十分とすることができ、第2の熱交換器2を小型化することができる。
【0023】
また、FC車の冷却システムにおいては、第1の熱交換器1がエアコン用室外機1であり、第2の熱交換器2が燃料電池の冷却用熱交換器2であるので、FC車における、アイドリング時と低速走行時におけるエアコン室外機1の容量不足、高速走行時のFC冷却用熱交換器2の容量不足を解消でき、小型化をはかることも可能となる。
ただし、本発明はFC車の冷却システムに限るものではなく、一般のエンジン車またはハイブリッド車の冷却システムであっても上記と同様に成立する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の車両の冷却システムの構成図であり、(イ)は第1、第2の熱交換器の側面図、(ロ)は(イ)を左側から見た第1の熱交換器の正面図、(ハ)は(イ)を右側から見た第2の熱交換器の正面図、(ニ)は(ハ)の第2熱交換器のA−A断面図、(ホ)は(ハ)の第2熱交換器のB−B断面図、である。
【図2】本発明の車両の冷却システムのアイドリング〜低速走行時の構成図であり、(イ)は第1、第2の熱交換器の側面図、(ロ)は(イ)を左側から見た第1の熱交換器の正面図、(ハ)は(イ)を右側から見た第2の熱交換器の正面図、(ニ)は(ハ)の第2熱交換器のA−A断面図、(ホ)は(ハ)の第2熱交換器のB−B断面図、である。
【図3】本発明の車両の冷却システムの高速走行時の構成図であり、(イ)は第1、第2の熱交換器の側面図、(ロ)は(イ)を左側から見た第1の熱交換器の正面図、(ハ)は(イ)を右側から見た第2の熱交換器の正面図、(ニ)は(ハ)の第2熱交換器のA−A断面図、(ホ)は(ハ)の第2熱交換器のB−B断面図、である。
【図4】燃料電池自動車における第1の熱交換器(エアコン用室外機)と第2の熱交換器(FC冷却用熱交換器)の必要放熱性能対車速の特性を示すグラフである。
【図5】燃料電池自動車の、第1の熱交換器、第2の熱交換器、ファン等、FCスタック、インバータの配置を示す、側面から見た概略断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 第1の熱交換器(たとえば、エアコン用室外機)
2 第2の熱交換器(たとえば、FC冷却用熱交換器)
3 連結フィン
4 独立フィン
5 第1の熱交換器のコアのチューブ
6 第2の熱交換器のコアのチューブ
7 第1の熱交換器の一側のタンク内スペース(冷却フィン連結領域対応部)
8 第1の熱交換器の一側のタンク内スペース(冷却フィン独立領域対応部)
9 第1の熱交換器の一側のタンク内仕切壁
10 第1の熱交換器の他側のタンク内スペース(冷却フィン連結領域対応部)
11 第1の熱交換器の他側のタンク内スペース(冷却フィン独立領域対応部)
12 第1の熱交換器の他側のタンク内仕切壁
13 第2の熱交換器の一側のタンク内スペース(冷却フィン連結領域対応部)
14 第2の熱交換器の一側のタンク内スペース(冷却フィン独立領域対応部)
15 第2の熱交換器の一側のタンク内仕切壁
16 第2の熱交換器の他側のタンク内スペース(冷却フィン連結領域対応部)
17 第2の熱交換器の他側のタンク内スペース(冷却フィン独立領域対応部)
18 第2の熱交換器の他側のタンク内仕切壁
19、20 弁 21 グリル
22 ファン
23 燃料電池スタック
24 インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要放熱性能対車速特性が互いに異なる第1の熱交換器と第2の熱交換器を含む複数の熱交換器を備えた車両の冷却システムであって、前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器は、前記第1の熱交換器の少なくとも一部の領域と前記第2の熱交換器の少なくとも一部の領域に、前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器にわたって相互に連結された冷却フィンを有している車両の冷却システム。
【請求項2】
前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器は、車両長手方向に、互いに重なるように配置されている請求項1記載の車両の冷却システム。
【請求項3】
前記複数の熱交換器の各熱交換器の前記少なくとも一部の領域への冷媒の流れが可変である請求項1記載の車両の冷却システム。
【請求項4】
前記複数の熱交換器の各熱交換器の前記少なくとも一部の領域への冷媒の流れを可変とする弁を備えている請求項3記載の車両の冷却システム。
【請求項5】
車両長手方向に、前記第1の熱交換器が前記第2の熱交換器の前に配置され、
前記第1の熱交換器が、冷却フィンが前記第2の熱交換器の冷却フィンと連結される冷却フィン連結領域と冷却フィンが前記第2の熱交換器の冷却フィンと独立している冷却フィン独立領域とを有しており、
前記第2の熱交換器が、冷却フィンが前記第1の熱交換器の冷却フィンと連結される冷却フィン連結領域と冷却フィンが前記第1の熱交換器の冷却フィンと独立している冷却フィン独立領域とを有しており、
車両アイドリング時と車両低速走行時には、前記第1の熱交換器には第1の熱交換器の冷却フィン連結領域と冷却フィン独立領域に第1の熱交換器の冷媒が流通され、前記第2の熱交換器には第2の熱交換器の冷却フィン独立領域に第2の熱交換器の冷媒が流通され第2の熱交換器の冷却フィン連結領域には第2の熱交換器の冷媒が流通されないかまたは絞られ、
車両高速走行時には、前記第1の熱交換器には第1の熱交換器の冷却フィン独立領域に第1の熱交換器の冷媒が流通され第1の熱交換器の冷却フィン連結領域には第1の熱交換器の冷媒が流通されないかまたは絞られ、前記第2の熱交換器には第2の熱交換器の冷却フィン連結領域と冷却フィン独立領域に第2の熱交換器の冷媒が流通される、
請求項1記載の車両の冷却システム。
【請求項6】
車両長手方向に、前記第1の熱交換器が前記第2の熱交換器の前に配置され、前記第1の熱交換器がエアコン用室外機であり、前記第2の熱交換器が燃料電池の冷却用熱交換器である請求項1ないし請求項5の何れか一項記載の車両の冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−160165(P2006−160165A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357567(P2004−357567)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】