説明

車両の制御装置

【課題】車両基本性能の低下を抑制しつつ、スロットルバルブ機構の摩耗を低減することができる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】スロットルバルブ機構20の駆動を制御する車両の制御装置において、スロットルバルブ機構20を駆動し且つ車両基本性能に直結しない車両制御が実行された際に、該車両制御の実行に伴うスロットルバルブ機構20の摩耗量を演算し、演算した摩耗量を車両制御に関連付けて累積摩耗量として累積して記憶するとともに、累積摩耗量が、該当する車両制御について設定された摩耗限界値以上である場合には、その累積摩耗量に該当する車両制御の少なくとも一部を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御式のスロットルバルブを有する車両に適用して有益な車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃焼室への吸気量を調節する特に電子制御式のスロットルバルブを備えるスロットルバルブ機構は、アクセルペダルやブレーキペダルの操作に伴う基本制御の実行に伴って駆動されるだけでなく、例えば車速を自動的に制御するクルーズコントロールや、スタビリティ制御等、基本制御に関わらない制御が実行される際にも駆動される。このスロットルバルブ機構は、吸気管内に配置される上記スロットルバルブをはじめ、その駆動源であるモータ、モータの回転力をスロットルバルブのシャフト(支軸)に伝達する伝達機構を有している。
【0003】
ここで、スロットルバルブ及び伝達機構を構成する各部品は、耐性は確保されているものの、使用期間が長期化するにつれ、例えばモータと伝達機構との連結部、伝達機構を構成するギヤの軸受や歯先、バルブシャフトとその軸受、等々の摩擦が生じる部位において、徐々にではあるが摩耗が進行する。そして、それらの部品が摩耗限界に達した場合には、その部品を交換することになるが、部品の長寿命化を図るためには、各部品の摩耗の進行を抑制するような制御を行うことが好ましい。
【0004】
そこで従来、このような制御を意図した技術としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この特許文献1には、アクセル開度とその都度の車両制御からの要求とに応じた要求出力トルクに対し目標出力トルクを設定して、スロットルバルブの操作が、急激かつ過大とならないようにする車両の制御方法が記載されている。この制御方法では、各時点のスロットルバルブの開度を把握し、この把握した開度に基づき、所定時間経過後に実現可能なスロットルバルブ開度の範囲を算出する。また、その実現可能な開度範囲に基づき、実現可能なエンジン出力トルクの範囲を算出する。そして、エンジンに対する要求出力トルクが、その出力トルクの範囲内であるか否かを判断し、該出力トルクの範囲外である場合には、同出力トルクの範囲の上限値又は下限値をガードするように設定された目標出力トルクを用いて、スロットルバルブの開度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−25046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記制御方法において、スロットルバルブ機構を構成する各部品の摩耗の進行を遅らせるには、少なくともエンジン出力トルクの範囲の上限値を低く設定しなければならない。しかし、こうしてエンジン出力トルクの範囲の上限値を低く設定すると、その変更の前後で、アクセルペダルの踏み込み量に対する加速感の変化等といった違和感を運転者に与えてしまうため、上限値はある程度の値を保つ必要がある。このため、車両基本性能の維持とスロットルバルブ機構の摩耗の抑制の好適な両立が求められている。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたもので、その目的は、車両基本性能の低下を抑制しつつ、スロットルバルブ機構の摩耗を低減することができる車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、スロットルバルブ機構の駆動を制御する車両の制御装置において、前記スロットルバルブ機構を駆動し且つ車両基本性能に直結しない車両制御が実行された際に、該車両制御の実行に伴う前記スロットルバルブ機構の摩耗量を演算し、演算した摩耗量を前記車両制御に関連付けて累積摩耗量として累積して記憶するとともに、前記累積摩耗量が、該当する車両制御について設定された摩耗限界値以上である場合には、その累積摩耗量に該当する車両制御の少なくとも一部を禁止することを要旨とする。
【0009】
このような構成によれば、車両の制御装置は、車両制御の別に記憶された累積摩耗量が摩耗限界値以上である場合には、その累積摩耗量に該当する車両制御の少なくとも一部を禁止するので、スロットルバルブ機構の摩耗を低減することができる。また、禁止の対象となる車両制御は、車両基本性能に直結しない制御であるため、車両基本性能の低下を抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制御装置において、前記車両制御が実行された際に、前記スロットルバルブ機構に設けられた複数の摩耗箇所の別に摩耗量を演算し、演算した摩耗量を累積した累積摩耗量が、該当する前記車両制御及び前記摩耗箇所について設定された摩耗限界値以上であるか否かを判断し、前記累積摩耗量が前記摩耗限界値以上である場合には、その累積摩耗量に該当する車両制御の少なくとも一部を禁止することを要旨とする。
【0011】
このような構成によれば、累積摩耗量を車両制御の別及び摩耗箇所の別に累積するので、スロットルバルブ機構のうち、一部の摩耗箇所のみに偏って摩耗が進行した状態であるか否かを判断することができる。また、該累積摩耗量が、車両制御及び摩耗箇所について設定された摩耗限界値以上であるか否かを判断するので、摩耗限界に達した摩耗箇所が存在する場合に、該当する車両制御を禁止し、摩耗限界に達した摩耗箇所が存在せず、各摩耗箇所で摩耗された量が僅かである場合には、該当する車両制御を不必要に禁止しないようにすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制御装置において、前記車両制御が実行された際に、前記スロットルバルブ機構に設けられたスロットルバルブの複数の開度領域の別に摩耗量を演算し、演算した摩耗量を累積した累積摩耗量が、該当する前記車両制御及び前記開度領域について設定された摩耗限界値以上であるか否かを判断し、前記累積摩耗量が前記摩耗限界値以上である場合には、その累積摩耗量に該当する車両制御の少なくとも一部を禁止することを要旨とする。
【0013】
このような構成によれば、累積摩耗量を車両制御の別及び開度領域の別に累積するので、例えば一部の開度領域に関わる箇所のみに偏って摩耗が進行した状態であるか否かを判断することができる。また、該累積摩耗量が、車両制御及び開度領域について設定された摩耗限界値以上であるか否かを判断するので、摩耗限界に達した開度領域が存在する場合に該当する車両制御を禁止し、摩耗限界に達した開度領域が存在せず、各開度領域に関わる箇所で摩耗された量が僅かである場合には車両制御を不必要に禁止しないようにすることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両の制御装置において、前記車両制御の別及び前記開度領域の別に記憶された累積摩耗量が、該当する車両制御について設定された前記摩耗限界値以上であるか否かを判断し、前記累積摩耗量が前記摩耗限界値以上である場合に、前記スロットルバルブ機構に設けられるスロットルバルブが、その累積摩耗量に該当する開度領域を回動動作することを禁止することを要旨とする。
【0015】
このような構成によれば、摩耗限界値以上となった累積摩耗量に該当する開度領域をスロットルバルブが回動動作することを禁止することにより、該開度領域に関わる箇所の摩耗を低減することができる。また、スロットルバルブが、禁止された開度領域以外を回動動作する制御に対しては、その制御の実行を禁止しないようにすることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の制御装置において、前記車両制御に関連付けて累積された累積摩耗量が、前記摩耗限界値未満であって、且つ該当する車両制御について設定された基準値以上である場合に、前記累積摩耗量が前記摩耗限界値に近づくにつれ前記車両制御の制御量を大きく制限する抑制係数を用いて、該当する車両制御の制御量を制限することを要旨とする。
【0017】
このような構成によれば、累積摩耗量が摩耗限界値未満且つ基準値以上である場合に、摩耗限界値に近づくにつれ制御量が大きく制限されるので、累積摩耗量が摩耗限界値に達するまでの時間を長くして、スロットルバルブ機構の摩耗を低減することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の制御装置において、前記累積摩耗量が、前記摩耗限界値以上である場合に報知を行うことを要旨とする。
このような構成によれば、累積摩耗量が摩耗限界値以上である場合に報知を行うので、運転者等に、スロットルバルブ機構に設けられる部品の交換時期を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる車両の制御装置を具体化した第1の実施形態についてその構成を示すブロック図。
【図2】同制御装置が備えるスロットルバルブ機構の一部破断斜視構成を示す斜視図。
【図3】同制御装置が備える制御部に格納された累積摩耗量情報の格納態様を示す概念図。
【図4】同制御部に格納された摩耗限界値情報の格納態様を示す概念図。
【図5】(a)〜(c)は、累積摩耗量と摩耗限界値との関係を示すグラフ。
【図6】同制御部によって実行される摩耗量管理処理の処理手順を示すフローチャート。
【図7】同制御部によって実行される制限判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図8】同制御部によって実行される摩耗量更新処理の処理手順を示すフローチャート。
【図9】本発明にかかる車両の制御装置を具体化した第2の実施形態についてその制御部に格納された累積摩耗量情報の格納態様を示す概念図。
【図10】同制御部に格納された摩耗限界値情報の格納態様を示す概念図。
【図11】本発明にかかる車両の制御装置を具体化した第3の実施形態についてその制御部に格納された累積実行時間情報の格納状態を示す概念図。
【図12】同制御部に格納された判定基準マップの概念図。
【図13】同制御部によって実行される制限判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図14】同制御部によって実行される制限判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の車両の制御装置を具体化した第1の実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。
【0021】
図1に示すように、車両に搭載された内燃機関10は、吸気通路11、燃焼室12及び排気通路13が順に接続されている。そして、吸気通路11を構成する吸気管14には、燃焼室12に供給される空気吸入量を調整するスロットルバルブ機構20が設けられている。
【0022】
このスロットルバルブ機構20は、図2に示すように、出力軸がハウジング26に軸支されたスロットルモータ22を備えている。スロットルモータ22の出力軸には、平歯ギヤ23が固定されている。平歯ギヤ23には、ハウジング26に回動可能に支持された2段ギヤ24が噛合している。2段ギヤ24のうち上段の大径ギヤは、平歯ギヤ23に噛合し、下段の小径ギヤは、上段の大径ギヤに従動して回動する。小径ギヤは、ハウジング26に回転可能に支持されたバルブギヤ25に噛合している。
【0023】
バルブギヤ25は、周方向の所定範囲に歯が形成され、スロットルバルブ21のバルブシャフト27の端部に固定されている。また、バルブギヤ25には、スロットルバルブ21の回動角度を規制する規制片25aが設けられ、この規制片25aが、ハウジング26に形成された突部26aに当接されることにより、バルブギヤ25の回転角度が所定範囲に制限される。
【0024】
また、バルブシャフト27は、その基端部においてハウジング26に軸支されている。バルブシャフト27の先端部には、円形のバルブ本体29が一体に形成され、バルブ本体29が形成された一端は、吸気管14(図1参照)に対し回動可能に支持されている。バルブ本体29は、吸気管14の軸方向に対してその円形の側面が直交する全閉位置と、該側面が軸方向と平行になる全開位置との間で両方向に回動する。また、バルブシャフト27の途中には、スロットルバルブ21を全閉位置に付勢するリターンスプリング28が設けられている。
【0025】
このようなスロットルバルブ機構20にあっては、スロットルモータ22が駆動すると、モータの回転力が平歯ギヤ23を介して2段ギヤ24に伝達され、さらに2段ギヤ24及びバルブギヤ25によって減速されてバルブシャフト27に伝達される。スロットルバルブ21は、バルブギヤ25の規制片25aによって回動角度を規制されながら、所定の開度まで回動する。このように開度が調節されることにより、吸気通路11において吸気が流れる流路面積が変更され、燃焼室12に供給される空気の量が調整される。
【0026】
また図1に示すように、スロットルバルブ機構20には、スロットルポジションセンサ30が設けられ、スロットルバルブ21の開度を検出するようになっている。
内燃機関10において、こうしたスロットルバルブ21の開度調節や燃焼室12に供給される燃料の量の制御等の各種制御は、制御部31により実行される。制御部31は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を有し、ROMには各種制御を実行するためのプログラムが格納されている。
【0027】
この制御部31には、吸気通路11を流れる吸気の温度を検出する吸気温度センサ35と吸気流量を検出するエアフロメータ36とから、吸気温度検出信号と吸気流量検出信号とがそれぞれ入力される。また、制御部31には、内燃機関10の冷却水の温度を検出する水温センサ37から水温検出信号が入力される。
【0028】
さらに、制御部31は、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出するアクセルポジションセンサ38からは、アクセル開度の検出信号が入力される。また、内燃機関の機関回転角度を検出する回転速度センサ39、ブレーキペダルの踏み込みの有無を検出するブレーキスイッチ41等から、それぞれ検出信号が入力される。
【0029】
また、制御部31は、アクセルポジションセンサ38、ブレーキスイッチ41及び回転速度センサ39の検出信号等に基づき、燃焼室12に供給される空気の量がその時々に応じた機関運転状態に適した量となるように、吸気通路11を流れる空気の目標流量を設定し、スロットルバルブ21をその目標流量に対応する開度となるように制御する。
【0030】
また、制御部31は、エアフロメータ36からの吸気流量検出信号に基づいて、燃焼室12に供給される空気と燃料との比が所定の空燃比となるように、インジェクタから供給される燃料の量を調整する。
【0031】
ところで、このように空気の目標流量の設定に応じて、スロットルバルブ機構20の作動が繰り返されることに伴い、スロットルバルブ機構20の各部品の摩耗が徐々にではあるが進行する。例えば、図2に示すスロットルモータ22の回転に伴い、出力軸に固定された平歯ギヤ23と2段ギヤ24とは、噛合が繰り返されることにより、その歯の先端や側面が摩耗し、バルブギヤ25の歯もまた、2段ギヤ24との噛合が繰り返し行われることにより、その先端や側面の摩耗が徐々にではあるが進行する。バルブギヤ25の規制片25aもハウジング26の突部26aに繰り返し当接されることにより、徐々に摩耗が進む。さらに、バルブギヤ25の軸及びハウジング26に形成された軸受、バルブシャフト27及びハウジング26に形成された軸受も同様である。これらのスロットルバルブ機構20の各部品は、十分な耐性を有しており、且つ各部品の摩耗は上述したように徐々に進行するため、短期間では部品交換が必要となる状況に到達しない。しかし、それら部品の長寿命化を促進するためには、スロットルバルブ機構20を構成する各部品の摩耗速度を少しでも低減させることが望ましい。
【0032】
そこで本実施形態において、制御部31は、車両基本性能に直結しない車両制御の別、且つスロットルバルブ機構20の複数の摩耗箇所の別に摩耗量を演算して累積し、その累積値を累積摩耗量として記憶する。そして累積摩耗量が、上記車両制御について設定された摩耗限界値を超えた場合には、該当する車両制御を禁止する。この禁止対象となる車両制御は、アクセルペダルの踏み込み等のアクセル操作に基づく加速制御、ブレーキペダルの踏み込み等のブレーキ操作に基づく減速制御、旋回等といった車両の基本制御に関わる制御以外であって、車両の走行又は運転者を支援するような制御や、車両状態を良好な状態に保持するための制御(以下、アシスト制御という)である。
【0033】
このアシスト制御の対象となる制御としては、車種等に応じて適宜設定することができるが、例えば、以下のような制御を対象とすることができる。
・クルーズコントロール制御
・VSC(車両スタビリティコントロール)
・減速時のダッシュポット制御
・内燃機関の軽負荷領域での吸気流量調整制御
・加速時の非線形制御
・可変動弁系システムの空気量協調制御
・自動変速機の変速時におけるトルク制御
・減速過渡期の触媒劣化抑制制御
・燃料カット時の吸気管負圧抑制制御
このうち、クルーズコントロール制御は、運転者による操作スイッチ(図示略)の操作に応じて、車速を一定に保持したり、一定の割合で加速及び減速を行う制御であって、車速を保持するための制御や、加速・減速等に伴いスロットル開度が変更される。
【0034】
VSCは、車体や車輪の横滑り状態に応じて、各車輪の制動力を独立して制御し、車体や車輪の安定性を確保する制御である。横滑り状態が大きいと判断したときは、各車輪の制動力を独立して制御するとともに、安定性確保のためにスロットル開度を小さくして減速する。
【0035】
減速時のダッシュポット制御は、減速時にスロットルバルブ21が全閉された場合に生じるショックを緩和するための制御であって、ブレーキペダルが踏み込まれた際等に、スロットルバルブ21の回動速度を緩やかになるように調整する。
【0036】
軽負荷領域での吸気流量調整制御とは、降坂走行時等といった高回転で軽負荷の走行状態の際に、混合気の不安定な燃焼状態を抑制するために、空気量を増加させる制御であり、スロットルバルブ21が開弁側の位置に調整される。
【0037】
加速時の非線形制御とは、内燃機関10のトルク変化を緩やかにするために、アクセルペダルの踏込量に対して演算されるスロットル開度を非線型化する制御である。可変動弁系システムの空気量協調制御は、可変動弁系システムにおける吸気バルブの作用角が変化する際に、スロットル開度を調整することにより空気量の補正を行う制御である。
【0038】
自動変速機の変速時におけるトルク制御とは、自動変速機の変速をスムーズに実行するため制御であって、例えばシフトダウンした際に、スロットル開度を大きくすることにより出力トルクを増大させて、変速ショックを軽減する。触媒劣化抑制制御とは、減速時に生じる不完全燃焼ガスや未燃焼ガスが、触媒コンバータ中で燃焼することに由来する触媒劣化を抑制するための制御であって、燃料カットの禁止と、スロットル開度の調整による空気量の制御が実行される。
【0039】
そして、燃料カット時の吸気管負圧抑制制御とは、燃料がカットされた際、ブローバイガス還元装置の駆動により燃焼室12側が負圧状態となることを抑制するために、スロットル開度を調整する制御である。
【0040】
これらのアシスト制御の実行が開始されたと判断すると、制御部31は、スロットルポジションセンサ30から取得したスロットル開度の検出信号に基づき、スロットルバルブ21の作動速度や、加速度、角速度、開閉反転回数等の動作量を算出する。さらに、制御部31は、それらの動作量に基づき、摩耗箇所の別に実験等によって求められた摩耗量推定式を用いて、そのアシスト制御が実行されることによって進行した摩耗量Qxyを摩耗箇所の別に算出する。
【0041】
また、制御部31は、スロットルバルブ機構20の作動環境情報を取得する。この作動環境情報とは、吸気温度センサ35から入力した吸気温度検出信号と、水温センサ37から入力した水温検出信号である。吸気温度及び水温の少なくとも一方が高い場合、スロットルバルブ機構20周辺の温度も高くなり、スロットルバルブ機構20の部品の摩耗速度が大きくなる。制御部31は、上記作動環境情報に基づき、予め実験等によって求められた補正式又は補正を行うためのマップを用いて、スロットルバルブ機構20の動作量に基づき算出された摩耗量Qxyを補正する。
【0042】
また、制御部31は、図3に示すような累積摩耗量情報DA1をEEPROM等の不揮発性のメモリに格納している。累積摩耗量情報DA1は、「制御1」、「制御2」・・・「制御M」といった制御X(X=1〜M)の別、且つ「摩耗箇所1」、「摩耗箇所2」・・・「摩耗箇所N」といった摩耗箇所Y(Y=1〜N)の別に累積摩耗量Axyを有している。
【0043】
ここで、制御Xは、アシスト制御の種別を示している。例えば「制御1」は、上述したクルーズコントロール制御に対応し、「制御2」はVSCに対応する。また例えば、「摩耗箇所1」は、スロットルモータ22の出力軸に固定された平歯ギヤ23に対応し、「摩耗箇所2」は、2段ギヤ24の上段ギヤに対応する。制御部31は、実行されたアシスト制御に対し摩耗箇所Yの別に摩耗量Qxyをそれぞれ演算及び補正すると、そのアシスト制御に対応する各累積摩耗量Axyに対し、演算した摩耗量Qxyをそれぞれ加算することによって累積摩耗量Axyを更新する。この各累積摩耗量Axyは、イグニッションスイッチがオフされた後も、消去されないで記憶されている。
【0044】
また、制御部31は、図4に示すように、摩耗限界値情報DCをEEPROM等の不揮発性メモリに格納している。摩耗限界値情報DCは、制御Xの別及び摩耗箇所Yの別に設定された摩耗限界値Cxyを有している。各摩耗限界値Cxyは、図3に示す各累積摩耗量Axyにそれぞれ対応している。また摩耗限界値Cxyは、各摩耗箇所の摩耗の進み易さ、即ち摩耗箇所特有の摩耗速度に応じて設定されるとともに、制御の優先度に応じて設定されている。例えば、クルーズコントロール制御よりもVSCの優先度を高くする場合、VSCに属する摩耗限界値Cxyを、クルーズコントロール制御に属する摩耗限界値Cxyよりも大きくする。その結果、VSCは、クルーズコントロール制御に比べて、制限を受けにくくなる。このように摩耗限界値Cxyは、制御の優先度に応じて設定されるため、車種等によってその値が異なっていてもよく、適宜設定することができる。
【0045】
制御部31は、累積摩耗量Axyと、累積摩耗量Axyの別にそれぞれ設定された摩耗限界値Cxyとを比較して、累積摩耗量Axyが摩耗限界値Cxy以上であるか否かを逐次判断する。例えば、図5(a)〜(c)のグラフに示すように、制御Xが「制御1」に属するとともに、「摩耗箇所1」、「摩耗箇所2」及び「摩耗箇所3」にそれぞれ対応する累積摩耗量A11〜A13は、「制御1」のアシスト制御が実行された各時間を累積した累積制御実行時間が大きくなるに伴い、増大する。制御部31は、この累積摩耗量Axyのうち、各摩耗限界値C11〜C13以上となった累積摩耗量Axyが存在するか否かを判断する。そして、図5(c)に示すように累積摩耗量A13が摩耗限界値C13以上であると判断すると、「制御1」の少なくとも一部を禁止する。例えば「制御1」がクルーズコントロール制御である場合には、クルーズコントロール制御の実行を禁止するか、もしくは一定の車速に保持する制御のみを行い、一定の加速度を指定して加速する制御及び一定の減速度を指定して減速する制御を実行しないといった制限を加える。又は、「摩耗箇所3」の摩耗が進行するような制御のみを禁止するといった制限を加える。またこのとき、他の制御2〜制御Nに対しては、それらの制御に対応する累積摩耗量Axyが摩耗限界値Cxy以上とならない限り、制限を加えない。
【0046】
従って、VSCに対応する「摩耗箇所1」の累積摩耗量A21が、クルーズコントロール制御に対応する「摩耗箇所1」の累積摩耗量A11よりも大きいとしても、前者の累積摩耗量A21が対応する摩耗限界値C21よりも小さく、後者の累積摩耗量A11が対応する摩耗限界値C11以上であれば、クルーズコントロール制御のみに制限を加える。
【0047】
次に、このように構成される制御装置の動作を、図6及び図7に示す処理手順に従って説明する。
まず、図6に示す摩耗量管理処理では、制御部31は、摩耗量管理プログラムに従って、イグニッションスイッチがオン(ON)状態とされるのを待機し(ステップS1)、イグニッションスイッチからオン信号を入力すると(ステップS1においてYES)、該制御に用いる変数の一部を初期化した後、制限判定処理を行う(ステップS2)。
【0048】
図7に示すように、この制限判定処理において、制御部31は、変数である「制御X」に「1」を設定するとともに、変数である「摩耗箇所Y」にも「1」を設定する(ステップS2−1)。そして、「制御1」及び「摩耗箇所1」に対応する累積摩耗量A11及び摩耗限界値C11を不揮発性メモリ及びROMからそれぞれ読み出す(ステップS2−2)。
【0049】
累積摩耗量A11及び摩耗限界値C11を読み出すと、制御部31は、その「制御1」及び「摩耗箇所1」に対応する制御が、既に制限対象とされているか否かを判断する(ステップS2−3)。このとき例えば、制御部31は、不揮発性メモリに格納され、制御Xの別及び摩耗箇所Yの別に設定された制御制限フラグのうち、「制御1」及び「摩耗箇所1」に対応するフラグを読み出して、そのフラグがオン状態(例えば「1」)であるか否かを判断する。この制御制限フラグは、前回までの走行に対して実行された制限判定処理によって、その制御及び摩耗箇所が制限を受けているか否かを示す。このフラグは、対応する累積摩耗量Axyが摩耗限界値Cxy以上となった際に、制限を加えると判断してオン状態に設定される。
【0050】
制御部31は、制御制限フラグに基づき、「制御1」及び「摩耗箇所1」に対応する制御が、既に制限対象とされていると判断すると(ステップS2−3においてYES)、ステップS2−6に進む。一方、「制御1」及び「摩耗箇所1」に対応する制御が、制限対象ではないと判断すると(ステップS2−3においてNO)、ステップS2−4に進む。
【0051】
ステップS2−4では、制御部31は、累積摩耗量Axyの値が摩耗限界値C11以上であるか否かを判断する。「制御X=1」且つ「摩耗箇所Y=1」である場合に累積摩耗量A11が摩耗限界値C11以上であると判断すると(ステップS2−4においてYES)、この累積摩耗量A11に対応する制御制限フラグをオン状態とする(ステップS2−5)。一方、制御部31が、累積摩耗量A11が摩耗限界値C11未満であると判断すると(ステップS2−4においてNO)、制御に制限を加えないと判断してステップS2−6に進む。
【0052】
ステップS2−6では、摩耗箇所Yが最大値であるか否かを判断する。摩耗箇所Yが最大値で無いと判断すると(ステップS2−6においてNO)、摩耗箇所Yを1つ繰り上げて更新し(ステップS2−7)、ステップS2−2に戻る。そして、摩耗箇所Yが最大値になるまでステップS2−2〜ステップS2−10を繰り返し、摩耗箇所Yが最大値になると(ステップS2−6においてYES)、制御Xが最大値であるか否かを判断する(ステップS2−8)。
【0053】
そしてステップS2−8において制御Xが最大値ではないと判断すると(ステップS2−8においてNO)、制御部31は、制御Xを1つ繰り上げるとともに、摩耗箇所Yを「1」に初期化し(ステップS2−9)、ステップS2−2に戻る。
【0054】
以下、制御X及び摩耗箇所Yがそれぞれ最大値となり、全ての累積摩耗量Axyについて摩耗限界値Cxyとの比較が終了するまで、ステップS2−2〜ステップS2−9を繰り返す。そして、ステップS2−8において、制御Xが最大値であると判断すると(ステップS2−8においてYES),制限判定処理を終了する。
【0055】
制限判定処理を終了すると、図6に示すステップS3に戻る。ステップS3において、制御部31は、制限されたアシスト制御があるか否かを制御制限フラグに基づき判断する。オン状態に設定されたフラグが存在せず、制限されたアシスト制御が無いと判断すると(ステップS3においてNO)、ステップS5に進む。
【0056】
一方、ステップS3においてオン状態に設定されたフラグが存在し、制限されたアシスト制御があると判断すると(ステップS3においてYES)、そのアシスト制御の制限、及び部品の交換時期が近づいたこと又は制御の制限が開始されたことを通知する報知を開始する(ステップS4)。具体的には、アシスト制御の制限を実行するためのプログラムは、その制御の別、或いは制御の別及び摩耗箇所の別にROM等に別に格納されており、制限対象となった制御X及び摩耗箇所Yに対応するプログラムがそれぞれ実行される。
【0057】
アシスト制御の制限は、その制御全般を実行停止する場合と、その制御の一部を制限する場合とがあり、その制限方法は適宜設定することができる。例えば、制限対象の制御としてクルーズコントロール制御が設定され、且つ制限対象の摩耗箇所として「摩耗箇所1」が設定された場合、クルーズコントロール制御の実行を停止してもよいし、該制御のうち、一定の車速を保持する制御の実行を許可し、一定の加速度で加速する制御と一定の現速度で減速する制御とを停止してもよい。
【0058】
また、アシスト制御の制限は、制御によって、摩耗箇所に関わらず一様に行われる場合と、摩耗箇所によって異なる制限を行う場合とがあり、その制限方法は適宜設定することができる。例えば、制限対象としてどの摩耗箇所が設定されても、クルーズコントロール制御の実行を停止するようにしてもよいし、制限対象が「摩耗箇所1」に設定された場合に、「摩耗箇所1」の摩耗が特に進行するような制御を禁止するようにしてもよい。
【0059】
また報知は、部品の交換時期が近づいたことを運転者等に通知するために、専用のインジケーターランプ45を点滅させたり、車載モニターに制限内容を通知する情報を表示する。このように制限及び報知が開始されると、ステップS5に進む。
【0060】
ステップS5では、制御部31は、イグニッションスイッチがオン状態とされた後、制限対象となるアシスト制御の少なくとも一つが開始されたか否かを判断する。例えば、クルーズコントロール制御を実行するために運転者に操作される操作スイッチからオン信号を入力した際に、クルーズコントロール制御が開始されたと判断する。また、車両のヨーレート及びGセンサ(図示略)に基づき、車体や車輪の横滑り状態が大きいと判断した際等に、VSCが開始されたと判断する。
【0061】
ステップS5において、アシスト制御が開始されないと判断した場合には(ステップS5においてNO)、ステップS12に進み、イグニッションスイッチがオフ(OFF)状態とされたか否かを判断する。そして、イグニッションスイッチがオフ状態とされていない場合には(ステップS12においてNO)、ステップS5に戻り、アシスト制御が開始されるまで、ステップS5及びステップS12を繰り返す。アシスト制御が開始されないままイグニッションスイッチがオフ状態とされた場合には(ステップS12においてYES)、図6に示す摩耗量管理処理を終了する。この際、不揮発性メモリに格納された制御制限フラグ、累積摩耗量情報DA1は消去しない。
【0062】
アシスト制御が開始されたと判断すると(ステップS5においてYES)、摩耗量更新処理を行う(ステップS6)。複数のアシスト制御が開始された場合には、一つのアシスト制御に対する摩耗量更新処理が終了した後、次のアシスト制御に対する摩耗量更新処理を行う。
【0063】
図8に示すように、この摩耗量更新処理では、制御部31は、開始されたアシスト制御に関連付けられた制御実行時間Tdxを計測開始する(ステップS6−1)。また、制御部31は、スロットル開度等に基づく動作量と、吸気温度検出信号及び水温検出信号等に基づく作動環境情報とを各センサから取得する(ステップS6−2)。動作量は、スロットル開度の検出信号と制御実行時間Tdxとからスロットルバルブ21の作動速度、加速度、角速度、開閉判定回数等を演算した数値である。そして、取得した動作量に基づき、開始されたアシスト制御に対応する摩耗量Qxyを摩耗箇所Yの別にそれぞれ演算する(ステップS6−3)。このとき、上記したように摩耗量管理プログラム内に設定された各摩耗量推定式を用いて、そのアシスト制御による各摩耗量Qxyを摩耗箇所Yの別にそれぞれ演算する。
【0064】
摩耗量Qxyを演算すると、制御部31は、取得した作動環境情報と、補正式又はマップとに基づき、ステップS6−3で演算した各摩耗量Qxyをそれぞれ補正する(ステップS6−4)。吸気温度及び水温の少なくとも一方が高い場合、各摩耗箇所Yの摩耗速度が高まるため、そのような場合には摩耗量Qxyを大きくするような補正を行う。
【0065】
各摩耗箇所Yの別に摩耗量Qxyを補正すると、制御部31は、開始されたアシスト制御に対応する各累積摩耗量Axyに対し、補正した摩耗量Qxyをそれぞれ加算(Axy=Axy+Qxy)する(ステップS6−5)。そして制御部31は、それらの累積摩耗量Axyを不揮発性メモリの累積摩耗量情報DA1に格納し(ステップS6−6)、摩耗量更新処理を終了して、図6に示すステップ7を行う。
【0066】
ステップS7では、ステップS5で開始されたと判断したアシスト制御が終了したか否かを判断する。このアシスト制御が終了していないと判断すると(ステップS7においてNO)、ステップS6に戻り、摩耗量更新処理を繰り返す。即ち、アシスト制御が開始されてから終了するまで、摩耗量更新処理がほぼ一定の時間間隔で繰り返し更新される。このようにアシスト制御実行中に摩耗量を繰り返し更新することで、吸気温度や水温の変化が摩耗量の演算に反映されるため、摩耗量をより正確に算出することができる。
【0067】
一方、ステップS7でアシスト制御が終了したと判断すると(ステップS7においてYES)、制御部31は、アシスト制御が開始されてから計測開始していた制御実行時間Tdxの計測を停止する(ステップS8)。そして、更新した累積摩耗量Axyを用いて、ステップS2と同様に制限判定処理を行う(ステップS9)。
【0068】
ステップS9の制限判定処理を終了すると、制御部31は、不揮発性メモリに格納された制御制限フラグを読み出して、ステップS3と同様に制限された制御があるか否かを判断する(ステップS10)。読み出した制御制限フラグのうち、オン状態とされたフラグがある場合、制限された制御があると判断して(ステップS10においてYES)、ステップS4と同様にそのアシスト制御の制限及び報知を開始して(ステップS11)、ステップS12に進む。また、制御部31が、ステップS10において制限された制御がないと判断した場合(ステップS10においてNO)、新たに制限及び報知を行うことなくステップS12に進む。
【0069】
ステップS12では、上記したように、制御部31は、イグニッションスイッチがオフ状態とされたか否かを判断する。イグニッションスイッチがオフ状態とされていないと判断すると(ステップS12においてNO)、ステップS5に戻り、アシスト制御が新たに開始されるまで待機する。また、複数のアシスト制御が同時に実行され、一方のアシスト制御が終了し、他方のアシスト制御が継続している場合には、継続中のアシスト制御に対しステップS6〜ステップS7を実行するとともに、新たなアシスト制御の開始を待つ。一方、制御部31が、ステップS12においてイグニッションスイッチがオフ状態とされたと判断すると(ステップS12においてYES)、図6に示す摩耗量管理処理を終了する。この際、上記処理に用いたパラメータのうち、制御実行時間Tdx、摩耗量Qxyといった逐次演算されるパラメータは、イグニッションスイッチがオフ状態とされたとき(ステップS12の後)、又はイグニッションスイッチがオン状態とされたとき(ステップS1の後)に初期化される。そして累積摩耗量Axyや制御制限フラグは初期化されずに不揮発性メモリに記憶される。
【0070】
以上説明したように、第1の実施形態にかかる車両の制御装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)制御部31は、加速、減速等といった車両基本性能に直結しない車両制御(アシスト制御)の別及び摩耗箇所の別に、アシスト制御を実行することによりその摩耗箇所で摩耗される累積摩耗量Axyを累積し且つ記憶するようにした。また、各累積摩耗量Axyに対応する摩耗限界値Cxyを、アシスト制御の優先度等に応じて設定し、摩耗限界値Cxy以上の累積摩耗量Axyが存在する場合に、その累積摩耗量Axyに対応するアシスト制御の少なくとも一部を禁止するようにした。即ち、スロットルバルブ機構20を構成するいずれかの部品が摩耗されたと推定される状況において、全ての車両制御に対し一律に制限をかけずに、制限対象をアシスト制御に限るとともに、摩耗限界値Cxy以上となった累積摩耗量Axyに対応するアシスト制御のみにおいて制限を課すようにした。従って、車両基本性能に関わる制御は禁止されないので、加速、減速等といった車両基本性能の低下を抑制することができる。また、各アシスト制御に対応する各摩耗限界値Cxyの値を、それらの制御の優先度に応じてそれぞれ調整することができるので、優先度の高いアシスト制御に対しては、制限を加えにくくすることができる。従って、車両基本性能の低下を抑制しつつ、スロットルバルブ機構の摩耗を低減することができる。
【0071】
(2)制御部31は、累積摩耗量Axyを、車両制御の別及び摩耗箇所の別に累積し且つ記憶するようにしたため、スロットルバルブ機構20の摩耗の状態を、摩耗箇所毎に把握することができる。これにより、例えば一部の摩耗箇所が極端に進行し摩耗限界に達した状態と、全ての部品が僅かに摩耗している状態とを区別可能となり、摩耗限界に達した摩耗箇所がある場合のみ、アシスト制御の少なくとも一部を禁止することができる。このため、各摩耗箇所の摩耗が僅かに進行し且つ摩耗限界に達した摩耗箇所が無い場合には、アシスト制御の実行を許可し、不必要に禁止しないようにすることができる。
【0072】
(3)制御部31は、累積摩耗量Axyが、摩耗限界値Cxy以上である場合に報知を行うようにしたので、運転者等に、スロットルバルブ機構20に設けられる部品の交換時期を通知することができる。
【0073】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図9及び図10にしたがって説明する。尚、第2の実施形態は、第1の実施形態の累積摩耗量の演算方法、その累積摩耗量に対応する摩耗限界値を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0074】
図9に示すように、本実施形態の累積摩耗量情報DA2は、制御X(X=1〜M)の別、且つスロットルバルブ機構20のバルブ属性として開度領域Z(Z=1〜K)の別に、累積摩耗量Axzを有している。開度領域Zは、スロットルバルブ21のバルブ本体29の開度であって、全閉位置(0°)からの角度範囲を示し、互いに連続している。例えば、「開度領域1」は、「0°以上20°以下」、「開度領域2」は「20°超40°以下」、「開度領域3」は、「40°超60°以下」である。例えば、「制御1」の「開度領域1」に属する累積摩耗量A11は、「制御1」においてスロットルバルブ21が「開度領域1」の範囲を回動した際に摩耗された量を示す。例えばスロットルバルブ21が、「開度領域1」を回動する頻度が大きければ、その累積摩耗量A11も大きくなる。また、「制御1」の「開度領域2」に属する累積摩耗量A12は、「制御1」においてスロットルバルブ21が「開度領域2」の範囲を回動した際に摩耗された量を示す。
【0075】
また、図10に示すように、摩耗限界値情報DC2は、制御Xの別及び開度領域Zの別に摩耗限界値Cxzを有している。即ち、摩耗限界値Cxzは、通常の走行状態における開度領域Zの使用頻度や重要度を求めておき、その使用頻度や重要度に応じて任意に設定することができる。例えば、「0°以上10°以下」が基本制御に関わる制御で最も使用頻度が高い場合には、摩耗限界値Cxzを小さく設定し、アシスト制御におけるその開度領域における制限を受けやすくして摩耗の進行速度を低下させてもよい。
【0076】
次に、本実施形態の制御装置の動作を、その処理手順に従って説明する。本実施形態では、図6に示す摩耗量管理処理の手順は第1の実施形態と同様であって、制限判定処理及び摩耗量更新処理では、それらの処理に用いるパラメータ及び制限の方法のみが異なっている。
【0077】
まず、図8に示す摩耗量更新処理(ステップS6)について説明する。ステップS6−1では、制御実行時間Tdxの計測を開始する。ステップS6−2では、制御部31は、スロットルポジションセンサ30からスロットル開度の検出信号を取得し、スロットルバルブ21の回動範囲、開閉判定回数、作動速度、加速度、角速度等の動作量を演算するとともに、作動環境情報を取得する。
【0078】
そして、ステップS6−3では、制御Xの別及び開度領域Zの別に設定された摩耗式を用いて、動作量に基づき摩耗量Qxyを車両制御の別及び開度領域の別に演算する。例えば、スロットルポジションセンサ30が検出した、スロットルバルブ21の回動範囲が、「開度領域1」及び「開度領域2」を含んでいる場合、「開度領域1」及び「開度領域2」に対応する摩耗量Qx1、Qx2がそれぞれ演算される。
【0079】
そして、制御部31は、作動環境情報に基づき、ステップS6−3で算出した摩耗量Qxzを補正し(ステップS6−4)、補正した摩耗量Qxzを対応する累積摩耗量Axzに加算して更新する(ステップS6−5)。また、更新した累積摩耗量Axzを累積摩耗量情報DA2に格納する(ステップS6−6)。
【0080】
次に、図7に示す制限判定処理について説明する。ステップS2−1では、制御Xに「1」を設定するとともに、摩耗箇所Yの替りに開度領域Zに「1」を設定する。またステップS2−2では、制御部31は、判定対象となった制御X及び開度領域Zに対応する累積摩耗量Axzと摩耗限界値Cxzとを読み出す。
【0081】
そして制御部31は、読み出した累積摩耗量Axzに対し、第1の実施形態と同様にステップS2−2〜ステップS2−9を繰り返し、摩耗限界値Cxz以上である累積摩耗量Axzに対応する制限判定フラグをオン状態にする。
【0082】
このように制限判定処理(ステップS2,ステップS9)が終了すると、制御部31は、図6に示す摩耗量管理処理に戻り、制御制限フラグに基づき、制限された制御があるか否かを判断する(ステップS3,ステップS10)。制御制限フラグのうち、オン状態のフラグがあると判断すると、制限及び報知を開始する(ステップS4、ステップS11)。このとき、例えば「制御1」及び「開度領域3」の制御判定フラグがオン状態である場合、スロットルモータ22の出力軸と軸受、平歯ギヤ等の各部品では、スロットルバルブ21が「開度領域3」で回動する際に摩擦が生じる領域において、摩耗が進行していると推定される。このため、その「制御1」に対応するアシスト制御の実行を禁止するか、又はそのアシスト制御実行中に、スロットルバルブ21が「開度領域3」を回動するような制御を禁止し、「開度領域3」以外の範囲を回動するような制御を許可してもよい。このように特定の開度領域に対して制限をかけることで、各部品の特定の範囲における極端な摩耗を低減することができる。
【0083】
従って、第2の実施形態にかかる車両の制御装置によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)累積摩耗量Axzは、車両制御の別及び開度領域の別に演算されているため、制御部31は、摩耗限界値Cxz以上である累積摩耗量Axzがある場合には、その累積摩耗量Axzに該当する開度領域における摩耗の進行を抑制するような制御を実行することができる。このため、制限対象となったアシスト制御のうち、制限対象となった開度領域における摩耗を進行させるような制御のみを禁止し、その開度領域における摩耗を進行させないような制御に制限を加えないようにすることができる。従って、制限を加える車両制御を少なくすることで、ドライバビリティの低下も抑制することができる。
【0084】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を図11〜図14にしたがって説明する。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態の制限判定処理の手順を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0085】
本実施形態では、制御部31は、図11に示すように、累積実行時間情報DTをEEPROM等の不揮発性メモリに格納している。累積実行時間情報DTは、各車両制御の別に累積制御実行時間TAxを有している。累積制御実行時間TAxは、各アシスト制御の制御実行時間Tdxを累積したものであって、イグニッションスイッチがオフされても消去されずに記憶される。尚、累積実行時間情報DTは、ステップS8(図6参照)で制御実行時間Tdxの計測が停止された際に、その制御実行時間Tdxが、対応する累積制御実行時間TAxに加算されるものとする。
【0086】
また、本実施形態では、第1の実施形態と同様に制御Xの別及び摩耗箇所Yの別に累積摩耗量Axyを演算し、図3のように累積摩耗量情報DA1を格納している。
さらに、本実施形態では、制御部31は、アシスト制御に制限を加える基準となるデータを、上記した摩耗限界値情報DCではなく、図12に示すような判定基準マップMとしている。この判定基準マップMは、車両制御の別且つ摩耗箇所の別にROMに格納されており、図12はそれらのマップのうち、1つのマップを示している。
【0087】
判定基準マップMは、摩耗限界値Cxyと、累積制御実行時間TAxに対して比例する第1の基準値Caxyと、同じく累積制御実行時間TAxに対して比例し、且つ第1の基準値Caxyよりも大きい第2の基準値Cbxyとによって、4つの領域に区画されている。即ち、摩耗限界値Cxy未満であって、第1の基準値Caxy未満の第1の領域Z1と、摩耗限界値Cxy未満であって、第1の基準値Caxy以上第2の基準値Cbxy未満の第2の領域Z2と、摩耗限界値Cxy未満であって、第2の基準値Cbxy以上の第3の領域Z3と、摩耗限界値Cxy以上の第4の領域である。
【0088】
摩耗限界値Cxyは、摩耗箇所Yに対応する部品の交換が必要な状態であって、累積摩耗量Axyが摩耗限界値Cxy以上となった際に、対応するアシスト制御全般が禁止され、且つ部品交換を促す報知が開始される。第1の基準値Caxy及び第2の基準値Cbxyは、該当するアシスト制御を禁止せず、制御量の制限等といった抑制を行うための基準となる値であって、その制御量を決定するための値である。抑制対象となる制御量は、車両制御の別に予め決められている。
【0089】
累積摩耗量Axyが第1の領域Z1にある場合は、対応するアシスト制御を制限せず、第2の領域Z2にある場合は、抑制係数αを対応するアシスト制御の制御量に乗算して、制御量の制限を行う。制限対象がクルーズコントロール制御の場合、例えば抑制係数αは加速制御の加速度及び減速制御の減速度に乗算される。通常、クルーズコントロール制御で加速制御又は減速制御が実行される場合には、一定の加速度又は減速度で予め設定した速度まで加速又は減速するが、加速度及び減速度に抑制係数αを乗算することによってそれらの値を小さくすることで、スロットルバルブ機構20の急激な作動による摩耗速度の増大を回避することができる。
【0090】
累積摩耗量Axyが第3の領域Z3にある場合は、抑制係数αよりも制御の抑制量を大きくするための抑制係数βを、予め設定された制御量に乗算する。このように判定基準マップMでは、摩耗限界値Cxyより小さい第1の基準値Caxyと第2の基準値Cbxyとを設定し、累積摩耗量Axyが各基準値Caxy,Cbxyに到達した際に制御量を制限するようにしたので、累積摩耗量Axyが摩耗限界値Cxyに到達するまでの時間を長くすることができる。
【0091】
また、一般的に車両の累積走行距離が長くなるほどスロットルバルブ機構20の摩耗量は増大するが、各基準値Caxy,Cbxyの値を、累積制御実行時間TAxが増大するに伴いその値が大きくなるように設定することで、通常の運転状態が継続して実行されるような状況では、制限を加えにくくすることができる。即ち、クルーズコントロール等の特定のアシスト制御を頻繁に実行するような特殊な運転状態では、クルーズコントロール制御に対応する累積摩耗量Axyが短時間で増大し、制限が加えられやすい。一方、特定のアシスト制御を頻繁に実行せず、通常の運転状態を継続している場合には、制限を加えない状態か、制御量に対し抑制量が比較的小さい抑制係数αを乗算した状態を維持することができる。このため、アシスト制御の制御量を大幅に制限せずに、スロットルバルブ機構20の摩耗を低減することができる。
【0092】
次に、本実施形態の制御装置の動作について、処理手順にしたがって説明する。尚、本実施形態の処理手順は、第1の実施形態の処理手順のうち、図6に示すステップS2及びステップS9の制限判定処理のみが異なる。
【0093】
図13に示すように、本実施形態の制限判定処理では、制御部31は、第1の実施形態と同様に、判定対象の制御Xに「1」を設定するとともに、摩耗箇所Yにも「1」を設定する(ステップS2−1)。
【0094】
そして、制御部31は、「制御1」及び「摩耗箇所1」に対応する累積摩耗量Axyを不揮発性メモリから読み出すとともに(ステップS2−11)、「制御1」及び「摩耗箇所1」に対応する判定基準マップMに基づき、摩耗限界値Cxyを読み出す(ステップS2−12)。さらに、「制御1」の累積制御実行時間TAxを不揮発性メモリから読み出すとともに(ステップS2−13)、「制御1」及び「摩耗箇所1」に対応する判定基準マップMを用いて、累積制御実行時間TAxに対応する各基準値Caxy,Cbxyを読み出す(ステップS2−14)。
【0095】
さらに図14に示すように、制御部31は、累積摩耗量A11に対応する制御制限フラグがオン状態とされているか否かに基づいて、累積摩耗量A11が制限対象であるか否かを判断する(ステップS2−15)。制御制限フラグがオン状態とされている場合には、累積摩耗量Axyが制限対象であると判断して(ステップS2−15においてYES)、ステップS2−24に進む。
【0096】
一方、累積摩耗量A11が制限対象でないと判断すると(ステップS2−15においてNO)、制御部31は、累積摩耗量A11が、該累積摩耗量A11に対応する摩耗限界値C11以上であるか否かを判断する(ステップS2−16)。累積摩耗量A11が摩耗限界値C11以上であると判断すると(ステップS2−16においてYES)、対応するアシスト制御を停止するとして、摩耗限界を示すフラグをオン(例えば「1」)に設定する(ステップS2−17)。このフラグは、車両制御の別及び摩耗箇所の別に設定されている。
【0097】
ステップS2−16において、累積摩耗量A11が摩耗限界値C11未満であると判断すると(ステップS2−16においてNO)、制御部31は、累積摩耗量A11が第2の基準値Cb11以上であるか否かを判断する(ステップS2−18)。累積摩耗量A11が第2基準値Cb11以上である場合(ステップS2−18においてYES)、累積摩耗量A11が第3の領域Z3にあるとして、制御制限フラグをオン状態とするとともに(ステップS2−19)、制御量に乗算される抑制係数として抑制係数βを設定し(ステップS2−20)、ステップS2−24に進む。一方、累積摩耗量A11が基準値Cb11未満であると判断すると(ステップS2−18においてNO)、ステップS2−21に進む。
【0098】
ステップS2−21において、制御部31は、累積摩耗量A11が第1の基準値Ca11以上であるか否かを判断する。累積摩耗量A11が第1の基準値Ca11以上である場合(ステップS2−21においてYES)、累積摩耗量A11の値が第2の領域Z2にあるとして、制御制限フラグをオン状態とするとともに(ステップS2−22)、制御量に乗算する抑制係数として抑制係数αを設定し(ステップS2−23)、ステップS2−24に進む。一方、累積摩耗量A11が第1の基準値Ca11未満であると判断すると(ステップS2−21においてNO)、累積摩耗量A11の値が第1の領域Z1にあるとして、アシスト制御に対する制限をかけることなく、ステップS2−24に進む。
【0099】
ステップS2−24では、制御部31は、判定対象とした摩耗箇所Yが、最大値であるか否かを判断する。摩耗箇所Yが最大値ではない場合(ステップS2−24においてNO)、摩耗箇所Yを繰り上げて(ステップS2−26)、ステップS2−15に戻り、そのアシスト制御に対して、ステップS2−15〜ステップS2−24を繰り返す。
【0100】
そしてステップS2−24において、摩耗箇所Yが最大値であると判断すると(ステップS2−24においてYES)、制御Xが最大値であるか否かを判断する(ステップS2−25)。制御Xが最大値でないと判断すると(ステップS2−25においてNO)、制御Xを1つ繰り上げるとともに、摩耗箇所Yを「1」に初期化して(ステップS2−27)、ステップS2−15に戻る。そして、制御Xが最大値になるまでステップS2−15〜ステップS2−27を繰り返す。制御Xが最大値になると(ステップS2−25においてYES)、図6に示すステップS3又はステップS10に戻る。図6に示す摩耗管理処理は、第1の実施形態と同様に行われる。また、アシスト制御の制限は、累積摩耗量Axyが摩耗限界値Cxy以上となった場合は、その制御全般が停止され、累積摩耗量Axyが、摩耗限界値Cxy未満且つ基準値Caxy,Cbxy以上となった場合には、設定された抑制係数α、βを用いて制御量の抑制が行われる。
【0101】
従って、第3の実施形態の車両の制御装置によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(6)制御部31は、累積制御実行時間TAxが長くなるに伴い値が大きくなるように設定された各基準値Caxy,Cbxyを用いてアシスト制御の制御量を制限するので、累積摩耗量Axyが摩耗限界値Cxyに達するまでの時間を長くして、スロットルバルブ機構20の摩耗を低減することができる。即ち、単に累積走行距離(累積運転時間)が長くなったのみでは、制限対象となるアシスト制御に制限が加わりにくくなる。このため、特定のアシスト制御を頻繁に実行するような特殊な運転状態に対しては制御の禁止又は制御量の制限を行い、通常の運転状態を長期間継続して行ったような場合には、制御の禁止又は制御量の制限が行われることを抑制することができる。
(変形例)
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
【0102】
・上記各実施形態では、スロットルバルブ機構20の作動環境情報を、吸気温度センサ35から取得した吸気温度検出信号と、水温センサ37から取得した水温検出信号とから構成したが、いずれか一方のみでもよい。また、作動環境情報は、これ以外の温度センサから取得した検出信号でもよい。
【0103】
・上記各実施形態では、図3及び図9に示すように、累積摩耗量の値を数値で示しているが、「A」、「B」等の摩耗レベルとしてもよい。
・上記各実施形態では、累積摩耗量Axyが対応する摩耗限界値Cxy以上となった際に、部品交換の必要を通知する報知を行うようにしたが(図6に示すステップS4及びステップS11)、アシスト制御に制限が加えられたことを通知する報知、制限内容を通知するための報知を行うようにしてもよい。
【0104】
・第3の実施形態では、スロットルバルブ21の回動範囲に応じて、対応する開度領域の摩耗量Qxyを演算するようにしたが、スロットルバルブ21の目標開度を含む開度領域の摩耗量Qxyを演算するようにしてもよい。例えば、スロットルバルブ21が、「0°」である全閉位置から目標開度である「60°」まで回動する場合、その「60°」を含む開度領域Zのみに対して摩耗量Qxyを演算してもよい。
【0105】
・第3の実施形態では、予め特定された車両制御の別及び摩耗箇所の別に摩耗量Qxyを演算するようにしたが、車両制御の別及び開度領域の別に摩耗量Qxyを演算するようにしてもよい。
【0106】
・上記各実施形態では、車両制御の別、及び摩耗箇所やスロットル開度等といったバルブ属性の別に累積摩耗量Axyを記憶し、その累積摩耗量Axyが摩耗限界値以上であるか否かを判断して制御の少なくとも一部を禁止するか否かを決定するようにした。これ以外に、車両制御の別の累積摩耗量Axyの総和が所定値以上であるか否かの判断をさらに行うようにしてもよい。そして、累積摩耗量Axyの総和が所定値以上である場合に、制御全般を禁止するようにしてもよい。
【0107】
・上記各実施形態では、摩耗箇所の別、又は開度領域の別に累積摩耗量Axyを格納するようにしたが、これ以外のパラメータを用いてもよい。
・上記各実施形態では、制御の種別の他に、複数の摩耗箇所の別、又は複数の開度領域の別に累積摩耗量Axyを記憶するようにしたが、累積摩耗量Axyは、少なくとも車両制御の別に記憶されていればよい。
【符号の説明】
【0108】
10…内燃機関、11…吸気通路、12…燃焼室、13…排気通路、14…吸気管、20…スロットルバルブ機構、21…スロットルバルブ、22…スロットルモータ、30…スロットルポジションセンサ、31…制御部、35…吸気温度センサ、36…エアフロメータ、37…水温センサ、38…アクセルポジションセンサ、39…回転速度センサ、41…ブレーキスイッチ、45…インジケータランプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットルバルブ機構の駆動を制御する車両の制御装置において、
前記スロットルバルブ機構を駆動し且つ車両基本性能に直結しない車両制御が実行された際に、該車両制御の実行に伴う前記スロットルバルブ機構の摩耗量を演算し、
演算した摩耗量を前記車両制御に関連付けて累積摩耗量として累積して記憶するとともに、
前記累積摩耗量が、該当する車両制御について設定された摩耗限界値以上である場合には、その累積摩耗量に該当する車両制御の少なくとも一部を禁止する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記車両制御が実行された際に、前記スロットルバルブ機構に設けられた複数の摩耗箇所の別に摩耗量を演算し、
演算した摩耗量を累積した累積摩耗量が、該当する前記車両制御及び前記摩耗箇所について設定された摩耗限界値以上であるか否かを判断し、
前記累積摩耗量が前記摩耗限界値以上である場合には、その累積摩耗量に該当する車両制御の少なくとも一部を禁止する
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記車両制御が実行された際に、前記スロットルバルブ機構に設けられたスロットルバルブの複数の開度領域の別に摩耗量を演算し、
演算した摩耗量を累積した累積摩耗量が、該当する前記車両制御及び前記開度領域について設定された摩耗限界値以上であるか否かを判断し、
前記累積摩耗量が前記摩耗限界値以上である場合には、その累積摩耗量に該当する車両制御の少なくとも一部を禁止する
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記車両制御の別及び前記開度領域の別に記憶された累積摩耗量が、該当する車両制御について設定された前記摩耗限界値以上であるか否かを判断し、
前記累積摩耗量が前記摩耗限界値以上である場合に、前記スロットルバルブ機構に設けられるスロットルバルブが、その累積摩耗量に該当する開度領域を回動動作することを禁止する
請求項3に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記車両制御に関連付けて累積された累積摩耗量が、前記摩耗限界値未満であって、且つ該当する車両制御について設定された基準値以上である場合に、前記累積摩耗量が前記摩耗限界値に近づくにつれ前記車両制御の制御量を大きく制限する抑制係数を用いて、該当する車両制御の制御量を制限する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記累積摩耗量が、前記摩耗限界値以上である場合に報知を行う
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−241578(P2012−241578A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111244(P2011−111244)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】