車両の後部車体
【課題】車両重量を抑えることが可能で、かつ、ルーフレールを安定的に支えることが可能な車両の後部車体を提供する。
【解決手段】車両の後部車体10は、前意匠部25および被覆部26を有するルーフパネル16と、ルーフパネルとともに閉断面を形成するリヤルーフレール18とを備えている。リヤルーフレールは、被覆部に溶接された第1溶接部36と、第1溶接部より車体前方の被覆部に溶接された第2溶接部37とを備えている。第2溶接部は、リヤルーフレールから被覆部に当接可能に延出するリップ部47と、リップ部に閉断面の外側からスポット溶接用の電極61を当接可能な電極挿通口48とを備えている。
【解決手段】車両の後部車体10は、前意匠部25および被覆部26を有するルーフパネル16と、ルーフパネルとともに閉断面を形成するリヤルーフレール18とを備えている。リヤルーフレールは、被覆部に溶接された第1溶接部36と、第1溶接部より車体前方の被覆部に溶接された第2溶接部37とを備えている。第2溶接部は、リヤルーフレールから被覆部に当接可能に延出するリップ部47と、リップ部に閉断面の外側からスポット溶接用の電極61を当接可能な電極挿通口48とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体後部に開口部が形成され、開口部近傍のルーフパネル後端部にリヤルーフレールが車幅方向に延びるように設けられた車両の後部車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部車体のなかには、車体後部に開口部が形成され、開口部の上部にルーフレールが車幅方向を向いて設けられ、ルーフレールで補強された部位にテールゲートのヒンジが設けられたものがある。
このルーフレールは、ルーフレールアウタおよびルーフレールインナで閉断面が形成され、ルーフレールアウタおよびルーフレールインナ間に補強部材(スチフナ)が介在されている。
ルーフレールアウタおよびルーフレールインナで閉断面構造とすることで、ルーフレールの剛性を確保できる。
【0003】
ルーフレールをルーフパネルに取り付けるために、ルーフレールアウタ、ルーフレールインナおよび補強部材の各後端部がルーフパネルの後縁部に溶接され、さらにルーフレールアウタおよび補強部材がルーフパネルの後縁部近傍にボルトおよびナットで締結されている。
ルーフパネルの後縁部やルーフパネルの後縁部近傍はテールゲートの上端部で車両外部から目視できないように覆われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭64−44277号公報(実開平1−44277号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のルーフレールは、ルーフレールアウタ、ルーフレールインナや補強部材を備えているため車両重量を抑える妨げになっている。
車両重量を抑えるために、ルーフレールからルーフレールアウタや補強部材を除去し、ルーフレールインナのみをルーフレールとして用いることが考えられる。
このように、ルーフレールインナのみをルーフレールとして用いる場合、ルーフレールの剛性を確保するために、ルーフレールの前後の端部をルーフパネルに取り付けて、ルーフレールおよびルーフパネルで閉断面を形成する必要がある。
【0006】
ルーフレールの前後の端部をルーフパネルに取り付ける手段としてルーフレールの前端部をルーフパネルに溶接(スポット溶接)で取り付けることが考えられる。
ところで、ルーフレールの前端部はテールゲートの上端部より車体前方に位置している。このため、ルーフレールの前端部をルーフパネルに溶接(スポット溶接)で取り付けた場合、スポット溶接用電極の打痕が車両外部から目視され外観上好ましくない。
そこで、ルーフレールの後端部をルーフパネルの後縁部にスポット溶接で取り付け、かつ、ルーフレールの前端部をルーフパネルに接着剤で取り付ける必要がある。
【0007】
しかし、ルーフレールの後端部をスポット溶接で取り付ける作業と、ルーフレールの前端部を接着剤で取り付ける作業とを同じ工程で実施することが難しい。
このため、スポット溶接工程でルーフレールの後端部がスポット溶接で取り付けられた後、接着工程でルーフレールの前端部が接着剤で取り付けられる。
【0008】
よって、ルーフレールの後端部をスポット溶接で取り付けてからルーフレールの前端部を接着剤で取り付けるまでルーフレールが後端部のみで片持支持される。
このように、ルーフレールを後端部のみで片持支持した場合、接着工程までルーフレールの自重を後端部で支えることが難しい。
【0009】
本発明は、車両重量を抑えることが可能で、かつ、ルーフレールを安定的に支えることが可能な車両の後部車体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、車体後部に形成された開口部の上縁に沿って設けられ、前記上縁を覆う後意匠部と、前記後意匠部から車体前方に向けて連なる前意匠部を有するとともに、前記後意匠部に覆われる被覆部を有するルーフパネルと、前記ルーフパネルの前記前意匠部および前記被覆部に車幅方向に延びるように設けられ、前記ルーフパネルとともに閉断面を形成するリヤルーフレールと、を備えた車両の後部車体であって、前記リヤルーフレールは、前記被覆部に溶接された第1溶接部と、前記第1溶接部より車体前方の前記被覆部に溶接された第2溶接部と、を備え、前記第1溶接部は、前記被覆部に当接可能な前記リヤルーフレールの後端部に設けられ、前記第2溶接部は、前記リヤルーフレールから前記被覆部に当接可能に延出するリップ部と、前記リップ部に前記閉断面の外側からスポット溶接用の電極を当接可能な電極挿通口と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2は、前記リップ部は、前記リヤルーフレールの一部が前記被覆部に当接可能に折り曲げて形成され、前記電極挿通口は、前記リヤルーフレールの一部が前記リップ部として折り曲げられることで形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項3は、前記リヤルーフレールは、前記被覆部に向けて膨出された膨出部を備え、前記膨出部に前記リップ部が形成されるとともに前記電極挿通口が形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項4は、前記被覆部は、前記前意匠部の後端部から屈曲して下方に延びる縦面部と、前記縦面部の下端部に設けられた屈曲部と、前記屈曲部から車体後方に延びる横面部と、を有し、前記屈曲部の近傍に前記リップ部が溶接されたことを特徴とする。
【0014】
請求項5は、前記リップ部は、前記リヤルーフレールの一部が前記被覆部に当接可能に折り曲げて形成されることで、前記リヤルーフレールに一体に設けられた折曲部を有し、前記折曲部に補強用のビードが形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項6は、前記リップ部は、車幅方向中央の両側にそれぞれ設けられたことを特徴とする。
【0016】
請求項7は、前記リヤルーフレールは、前記前意匠部に接着可能な接着部を前端部に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、ルーフパネルの前意匠部および被覆部に車幅方向に延びるようにリヤルーフレールを設け、リヤルーフレールおよびルーフパネルで閉断面を形成した。
第1溶接部を、被覆部に当接可能なリヤルーフレールの後端部に設けた。よって、第1溶接部を被覆部に当接させた状態でスポット溶接することができる。
【0018】
また、第2溶接部にリップ部および電極挿通口を備えた。そして、リップ部をリヤルーフレールから被覆部に当接可能に延出させ、電極挿通口を閉断面の外側からリップ部にスポット溶接用の電極(以下、「スポット溶接用電極」という)を当接可能に形成した。
よって、リップ部を被覆部に当接させた状態でスポット溶接することができる。
【0019】
このように、請求項1に係る発明によれば、第1溶接部および第2溶接部を車体前後方向に所定間隔を置いて設け、第1溶接部および第2溶接部を被覆部にスポット溶接することができる。
第1溶接部および第2溶接部を被覆部にスポット溶接することで、第1溶接部および第2溶接部の二箇所でリヤルーフレールを安定的に支えることができる。
【0020】
さらに、第1溶接部および第2溶接部を被覆部にスポット溶接することで、第1溶接部および第2溶接部を後意匠部で覆うことができる。
これにより、第1溶接部および第2溶接部を車両外部から目視できないように後意匠部で隠すことができ、車両の外観性を好適に確保することができる。
【0021】
加えて、リヤルーフレールおよびルーフパネルで閉断面を形成することで、リヤルーフレールの剛性をルーフパネルで高めることができる。
すなわち、ルーフパネルでリヤルーフレールの一部を兼用することができる。
ルーフパネルでリヤルーフレールの一部を兼用することで、リヤルーフレール専用の部品点数を減らすことができる。
このように、リヤルーフレール専用の部品点数を減らすことができるので車両重量を抑えることができる。
【0022】
請求項2に係る発明では、リヤルーフレールの一部を折り曲げることにより、リップ部および電極挿通口の両方を形成することができる。
これにより、リップ部および電極挿通口の両方を簡単に形成することができる。
【0023】
請求項3に係る発明では、リヤルーフレールに膨出部を有し、膨出部を被覆部に向けて膨出させた。
リヤルーフレールに膨出部を備えることにより膨出部でリヤルーフレールを補強できる。これにより、リヤルーフレールの剛性を膨出部で高めることができる。
【0024】
さらに、膨出部を被覆部に向けて膨出させることで、膨出部および被覆部間の距離を小さく抑えることができる。
これにより、リップ部の全長を短く抑えることができるので、リップ部の剛性を高めることができる。
【0025】
加えて、膨出部および被覆部間の距離を小さく抑え、膨出部に電極挿通口を形成することで、電極挿通口を被覆部に近づけることができる。
よって、電極挿通口からスポット溶接用電極を差し込む際に、スポット溶接用電極の差込量を小さく抑えることができる。
ここで、スポット溶接用電極は、一般に先端部が小さく形成されている。
これにより、スポット溶接用電極の差込量を小さく抑えることで、電極挿通口の形状を小さく抑えることができるのでリヤルーフレールの剛性を好適に確保することができる。
【0026】
請求項4に係る発明では、被覆部に横面部および縦面部を連結する屈曲部を備えた。屈曲部は横面部および縦面部が交差する部位であり、剛性が高く保たれている。
よって、剛性の高い屈曲部の近傍にリップ部を溶接(スポット溶接)することでリップ部を屈曲部で強固に支えることができる。
これにより、リヤルーフレールを被覆部で一層安定させた状態に支えることができる。
【0027】
請求項5に係る発明では、リップ部にリヤルーフレールに一体に設けられた折曲部を有し、折曲部に補強用のビードを形成した。
これにより、折曲部をビードで補強することができるので、リヤルーフレールをリップ部で一層安定させた状態に支えることができる。
【0028】
請求項6に係る発明では、車幅方向中央の両側にリップ部をそれぞれ設けることで、両側のリップ部でリヤルーフレールの自重を略均等に支えることができる。
これにより、リップ部によるリヤルーフレールの支持安定性を一層高めることができる。
【0029】
請求項7に係る発明では、リヤルーフレールの前端部に接着部を備え、接着部を前意匠部に接着可能とした。
これにより、リヤルーフレールの第1溶接部、第2溶接部および接着部の三箇所をルーフパネルに取り付ける(設ける)ことができるのでリヤルーフレールの支持安定性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る車両の後部車体を示す斜視図である。
【図2】図1の車両の後部車体を示す分解斜視図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図2の4部拡大図である。
【図5】図4のルーフパネル後端部およびリヤルーフレールの分解斜視図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】図6のルーフパネル後端部およびリヤルーフレールを分解した状態を示す断面図である。
【図8】図5の8部拡大図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】図8のリップ部を形成する前の状態を示す斜視図である。
【図11】ルーフパネル(横面部の後端部)に第1溶接部をスポット溶接する例を説明する図である。
【図12】ルーフパネル(横面部の前端部)にリップ部をスポット溶接する例を説明する図である。
【図13】ルーフパネル(前意匠部)に接着部を接着してルーフパネルにリヤルーフレールを取り付ける例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0032】
実施例に係る車両の後部車体10について説明する。
図1、図2に示すように、車両の後部車体10は、車体後部に形成された開口部12と、開口部12を開閉可能なテールゲート14と、開口部12の上縁部(上縁)12aから車体前方に向けて張り出されたルーフパネル16と、ルーフパネル16の後端部16aに設けられたリヤルーフレール18とを備えている。
【0033】
テールゲート14は、開口部12の上縁部12aに沿って設けられた後意匠部21と、後意匠部21に上端部22aが設けられたテールゲート窓ガラス22とを備えている。
後意匠部21は、車両の外観を形成する部位である。
【0034】
図3に示すように、後意匠部21は、開口部12の上縁部12aに一対のヒンジ(図示せず)を介して設けられている。後意匠部21が開口部12の上縁部12aに設けられることで、開口部12の上縁部12aが後意匠部21で覆われている。
すなわち、テールゲート14は、開口部12の上縁部12aに一対のヒンジを軸にして上下方向に揺動自在に設けられている。
【0035】
ルーフパネル16は、後意匠部21から車体前方に向けて連なる前意匠部25を有するとともに、後意匠部21に覆われる被覆部26を有する。
前意匠部25は、車両の外観を形成する部位である。
【0036】
被覆部26は、前意匠部25の後端部25aから屈曲して下方に延びる縦面部27と、縦面部27の下端部27aに設けられた屈曲部28と、屈曲部28から車体後方に延びる横面部29とを有する。
屈曲部28は、横面部29および縦面部27が交差する部位であり、略湾曲状に折り曲げられることで剛性が高く保たれている。
このルーフパネル16にリヤルーフレール18が設けられている。
【0037】
図4、図5に示すように、リヤルーフレール18は、ルーフパネル16の前意匠部25および被覆部26に車室32(図3参照)側から設けられている。
このリヤルーフレール18は、略矩形状に形成された板材で、開口部12の上縁部12aに沿って車幅方向に延びるように配置されている。
このように、ルーフパネル16の前意匠部25および被覆部26に車室32側からリヤルーフレール18が設けられることで、リヤルーフレール18およびルーフパネル16で閉断面が形成されている(図3参照)。
【0038】
以下、リヤルーフレール18およびルーフパネル16の閉断面を閉断面部34と称す。閉断面部34は、剛性の高い部位である。
この閉断面部34(具体的には、開口部12の上縁部12a)にテールゲート14の後意匠部21が一対のヒンジ(図示せず)を介して揺動自在に設けられている。
【0039】
このように、リヤルーフレール18およびルーフパネル16で閉断面部34を形成することで、リヤルーフレール18の剛性をルーフパネル16で高めることができる。
すなわち、ルーフパネル16でリヤルーフレール18の一部を兼用することができる。
ルーフパネル16でリヤルーフレール18の一部を兼用することで、リヤルーフレール18専用の部品点数を減らすことができる。
このように、リヤルーフレール18専用の部品点数を減らすことができるので車両重量を抑えることができる。
なお、ルーフパネル16にリヤルーフレール18を取り付ける具体的な手段について図11〜図13で詳しく説明する。
【0040】
図6、図7に示すように、リヤルーフレール18は、横面部29の後端部29aに溶接された第1溶接部36と、第1溶接部36より車体前方に位置する横面部29の前端部29bに溶接された第2溶接部37と、前意匠部25の接着部25bに接着可能な接着部38を備えている。
横面部29の前端部29bは、屈曲部28の近傍に位置する部位である。
よって、横面部29の前端部29bは屈曲部28により補強されることで比較的剛性の高い部位である。
【0041】
第1溶接部36は、横面部29の後端部29aに当接可能なリヤルーフレール18の後端部18aのうち複数箇所に所定間隔をおいて設けられている(図4も参照)。
すなわち、第1溶接部36を横面部29の後端部29aに当接させた状態で、第1溶接部36および横面部29の後端部29aがスポット溶接で接合されている。
【0042】
接着部38は、リヤルーフレール18の前端部18bの車幅方向全域に亘って設けられている。
接着部38は、接着剤39で前意匠部25の接着部25bに接着される部位である。
前意匠部25の接着部25bにリヤルーフレール18の接着部38を接着剤39で接着することで、スポット溶接を不要にできる。
よって、前意匠部25の接着部25bにスポット溶接用電極の打痕が残ることがなく車両の外観性を好適に確保することができる。
【0043】
図5、図7に示すように、第2溶接部37は、リヤルーフレール18の左右の膨出部(膨出部)42にそれぞれ設けられている。
この第2溶接部37は、リップ部47と電極挿通口48とを有する。
【0044】
左膨出部42は、リヤルーフレール18の車体前後方向中央で、かつ車幅方向中央から左側の部位に設けられている。
この左膨出部42は、横面部29の前端部29bに向けて、すなわち車体後方に向けて膨出されている。
【0045】
図8、図9に示すように、左膨出部42は、略矩形状に形成された頂部43と、頂部43の上辺43aからリヤルーフレール18まで張り出された上壁部44と、頂部43の外辺43bからリヤルーフレール18まで張り出された外側壁部45と、頂部43の内辺43cからリヤルーフレール18まで張り出された内側壁部46とを有する。
【0046】
このように、リヤルーフレール18に膨出部42を有し、膨出部42を横面部29の前端部29bに向けて膨出させた。
リヤルーフレール18に膨出部42を備えることにより膨出部42でリヤルーフレール18を補強できる。これにより、リヤルーフレール18の剛性を膨出部42で高めることができる。
【0047】
頂部43は、略矩形状に形成され、リヤルーフレール18に対して傾斜角θ1になるように膨出された部位である。
よって、頂部43を横面部29の前端部29b(図6参照)に近づけることができる。
この頂部43に第2溶接部37(リップ部47および電極挿通口48)が形成されている。
【0048】
リップ部47は、リヤルーフレール18から横面部29の前端部29bに当接可能な突出片(折曲片)である。
このリップ部47は次のように形成される。
すなわち、図10に示すように、頂部43に略U字状の打抜孔51が形成されることで、頂部43に略矩形状のフラップ52が形成される。
【0049】
フラップ52は、上端部(基端部)52aが頂部43の上辺43a近傍に一体に連結されている。
このフラップ52が基端部52aで横面部29の前端部29b(図6参照)に向けて矢印の如く折り曲げられることで、横面部29の前端部29bに当接可能なリップ部47(図8参照)が形成される。
【0050】
すなわち、図8、図9に示すように、リップ部47は、リヤルーフレール18の一部(フラップ)52を横面部29の前端部29bに当接可能に折り曲げることで形成される。
そして、リップ部47は、上端部(基端部)47aが頂部43の上辺43a近傍に一体に連結されている。
【0051】
ここで、図6に示すように、膨出部42は横面部29の前端部29bに向けて膨出されている。よって、膨出部42および横面部29の前端部29b間の距離L1を小さく抑えることができる。
これにより、図7に示すように、リップ部47の全長L2を短く抑えることができるので、リップ部47の剛性を高めることができる。
【0052】
さらに、図8に示すように、フラップ52が基端部47aで横面部29の前端部29b(図6参照)に向けて折り曲げられることで、リップ部47の基端部47aに折曲部53が形成されている。折曲部53は頂部43に一体に設けられている。
この折曲部53に補強用のビード54が上方に向けて隆起するように形成されている。
換言すれば、リップ部47は、頂部43に一体に設けられた折曲部53を有し、折曲部53に補強用のビード54が形成されている。
これにより、折曲部53をビード54で補強することができる。
【0053】
加えて、図10に示すように、膨出部42の頂部43に略U字状の打抜孔51を形成し、フラップ(リヤルーフレールの一部)52を折り曲げてリップ部47(図8参照)が形成されている。
これにより、略U字状の打抜孔51から電極挿通口48(図8参照)が形成される。電極挿通口48は頂部43に設けられている。
【0054】
図8、図9に示すように、電極挿通口48は、リップ部47に対向する位置に開口されている。すなわち、電極挿通口48は、リップ部47に閉断面部34の外側から、図6に示すスポット溶接用の電極(スポット溶接用電極)61を当接可能な開口である。
このように、膨出部42の頂部43に略U字状の打抜孔51を形成し、図10に示すフラップ(リヤルーフレールの一部)52を折り曲げることにより、リップ部47および電極挿通口48の両方を形成することができる。
これにより、リップ部47および電極挿通口48の両方を簡単に形成することができる。
【0055】
さらに、第2溶接部37にリップ部47および電極挿通口48が備えられている。よって、図6に示すように、リップ部47を横面部29の前端部29bに当接させた状態で、電極挿通口48からスポット溶接用電極61を差し込んでリップ部47の溶接部47bを前端部29bにスポット溶接できる。
【0056】
これにより、第1溶接部36を横面部29の後端部29aにスポット溶接するとともに、第2溶接部37を横面部29の前端部29bにスポット溶接できる。
第1溶接部36を後端部29aにスポット溶接するとともに第2溶接部37を前端部29bにスポット溶接することで、第1溶接部36および第2溶接部37の二箇所でリヤルーフレール18を安定的に支えることができる。
【0057】
加えて、膨出部42を横面部29の前端部29bに向けて膨出させることで、膨出部42および横面部29の前端部29b間の距離L1を小さく抑えることができる。そして、膨出部42に電極挿通口48を形成することで、電極挿通口48を横面部29の前端部29bに近づけることができる。
【0058】
よって、電極挿通口48からスポット溶接用電極61を矢印の如く差し込む際に、スポット溶接用電極61の差込量を小さく抑えることができる。
ここで、スポット溶接用電極61は、一般に先端部61aが小さく形成されている。
これにより、スポット溶接用電極61の差込量を小さく抑えることで、電極挿通口48の形状を小さく抑えることができるのでリヤルーフレール18の剛性を好適に確保することができる。
【0059】
また、第1溶接部36を横面部29の後端部29aにスポット溶接するとともに、第2溶接部37を横面部29の前端部29bにスポット溶接することで、第1溶接部36および第2溶接部37を後意匠部21(図3参照)で覆うことができる。
これにより、第1溶接部36および第2溶接部37を車両外部から目視できないように後意匠部21で隠すことができ、車両の外観性を好適に確保することができる。
【0060】
さらに、被覆部26に横面部29および縦面部27を連結する屈曲部28を備えた。屈曲部28は横面部29および縦面部27が交差する部位であり、剛性が高く保たれている。
よって、剛性の高い屈曲部28の近傍にリップ部47の溶接部47bを溶接(スポット溶接)することでリップ部47を屈曲部28で強固に支えることができる。
これにより、リヤルーフレール18を被覆部26で一層安定させた状態に支えることができる。
【0061】
加えて、図8、図9に示すように、リップ部47は、頂部43に一体に設けられた折曲部53を有し、折曲部53に補強用のビード54が形成されている。
これにより、折曲部53をビード54で補強することができるので、リヤルーフレール18をリップ部47で一層安定させた状態に支えることができる。
【0062】
また、図6に示すように、リヤルーフレール18の前端部18bに接着部38を備え、接着部38を前意匠部25の接着部25bに接着可能とした。
これにより、リヤルーフレール18の第1溶接部36、第2溶接部37および接着部38の三箇所をルーフパネル16に取り付ける(設ける)ことができるのでリヤルーフレール18の支持安定性を一層高めることができる。
【0063】
図5に示すように、右膨出部42は、左膨出部42と左右対称の部位であり、同じ符号を付して説明を省略する。右膨出部42は、左膨出部42と同様に、リップ部47および電極挿通口48を備えている。
すなわち、リップ部47は、車幅方向中央の両側にそれぞれ設けられている。
【0064】
このように、車幅方向中央の両側にリップ部47をそれぞれ設けることで、両側のリップ部47でリヤルーフレール18の自重を略均等に支えることができる。
これにより、リップ部47によるリヤルーフレール18の支持安定性を一層高めることができる。
【0065】
つぎに、ルーフパネル16にリヤルーフレール18を取り付ける例を図11〜図13に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、リヤルーフレール18をルーフパネル16に矢印Aの如く移動する。
【0066】
リヤルーフレール18の第1溶接部36がルーフパネル16(横面部29の後端部29a)に当接される。
また、リヤルーフレール18の第2溶接部37(リップ部47)がルーフパネル16(横面部29の前端部29b)に当接される。
さらに、リヤルーフレール18の接着部38が前意匠部25の接着部25bに当接される。
この状態において車体を溶接工程に搬入する。
【0067】
図11(b)に示すように、第1溶接部36および横面部29の後端部29aを一対のスポット溶接用電極61で矢印Bの如く挟持する。
溶接工程において、第1溶接部36および横面部29の後端部29aを一対のスポット溶接用電極61でスポット溶接する。
【0068】
図12(a)に示すように、溶接工程において、スポット溶接用電極61を電極挿通口48を経て下方からリップ部47に矢印Cの如く当接する。
同時に、スポット溶接用電極61を横面部29の前端部29bに矢印Dの如く当接する。
よって、リップ部47の溶接部47bおよび横面部29の前端部29bを一対のスポット溶接用電極61で挟持する。
この状態において、リップ部47の溶接部47bおよび横面部29の前端部29bを一対のスポット溶接用電極61でスポット溶接する。
【0069】
このように、第2溶接部37にリップ部47および電極挿通口48を備えることで、リップ部47の溶接部47bを横面部29の前端部29bに当接させた状態で、電極挿通口48を利用してリップ部47の溶接部47bを前端部29bにスポット溶接できる。
よって、第1溶接部36を横面部29の後端部29aにスポット溶接するとともに、第2溶接部37を横面部29の前端部29bにスポット溶接できる。
【0070】
図12(b)に示すように、第1溶接部36を後端部29aにスポット溶接するとともに第2溶接部37(リップ部47の溶接部47b)を前端部29bにスポット溶接することで、第1溶接部36および第2溶接部37(リップ部47)の二箇所でリヤルーフレール18を安定的に支えることができる。
溶接工程の後、車体を接着工程に搬入する。
【0071】
ここで、溶接工程から接着工程に搬入するまで所定の時間がかかる。
このため、仮にルーフレールを後端部29aのみで片持支持した場合、接着工程までルーフレールの自重を後端部で支えることが難しい。
そこで、上述したように、第1溶接部36および第2溶接部37(リップ部47)の二箇所でリヤルーフレール18を安定的に支えるようにした。
これにより、車体を接着工程に搬入するまで、リヤルーフレール18を安定的に支えることができる。
【0072】
図13に示すように、リヤルーフレール18の接着部38を前意匠部25の接着部25bに接着剤39で接着する。
このように、前意匠部25の接着部25bにリヤルーフレール18の接着部38を接着剤39で接着することで、接着部38にスポット溶接することを不要にできる。
これにより、前意匠部25の接着部25bにスポット溶接用電極の打痕が残ることがなく車両の外観性を好適に確保することができる。
【0073】
なお、本発明に係る車両の後部車体は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、屈曲部28近傍にリップ部47をスポット溶接した例について説明したが、これに限らないで、屈曲部28にリップ部47をスポット溶接することも可能である。
【0074】
また、前記実施例で示した車両の後部車体10、開口部12、テールゲート14、ルーフパネル16、リヤルーフレール18、後意匠部21、前意匠部25、被覆部26、縦面部27、屈曲部28、横面部29、閉断面部34、第1溶接部36、第2溶接部37、接着部38、左右の膨出部42、リップ部47、電極挿通口48、フラップ52、折曲部53、ビード54およびスポット溶接用電極61などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、車体後部に開口部が形成され、開口部近傍のルーフパネル後端部にリヤルーフレールが車幅方向に延びるように設けられた車両の後部車体への適用に好適である。
【符号の説明】
【0076】
10…車両の後部車体、12…開口部、12a…開口部の上縁部(上縁)、14…テールゲート、16…ルーフパネル、16a…ルーフパネルの後端部、18…リヤルーフレール、18a…リヤルーフレールの後端部、18b…リヤルーフレールの前端部、21…後意匠部、25…前意匠部、25b…前意匠部の接着部、26…被覆部、27…縦面部、28…屈曲部、29…横面部、34…閉断面部(閉断面)、36…第1溶接部、37…第2溶接部、38…接着部、42…左右の膨出部(膨出部)、47…リップ部、47b…リップ部の溶接部、48…電極挿通口、52…フラップ(リヤルーフレールの一部)、53…折曲部、54…ビード、61…スポット溶接用電極(スポット溶接用の電極)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体後部に開口部が形成され、開口部近傍のルーフパネル後端部にリヤルーフレールが車幅方向に延びるように設けられた車両の後部車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部車体のなかには、車体後部に開口部が形成され、開口部の上部にルーフレールが車幅方向を向いて設けられ、ルーフレールで補強された部位にテールゲートのヒンジが設けられたものがある。
このルーフレールは、ルーフレールアウタおよびルーフレールインナで閉断面が形成され、ルーフレールアウタおよびルーフレールインナ間に補強部材(スチフナ)が介在されている。
ルーフレールアウタおよびルーフレールインナで閉断面構造とすることで、ルーフレールの剛性を確保できる。
【0003】
ルーフレールをルーフパネルに取り付けるために、ルーフレールアウタ、ルーフレールインナおよび補強部材の各後端部がルーフパネルの後縁部に溶接され、さらにルーフレールアウタおよび補強部材がルーフパネルの後縁部近傍にボルトおよびナットで締結されている。
ルーフパネルの後縁部やルーフパネルの後縁部近傍はテールゲートの上端部で車両外部から目視できないように覆われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭64−44277号公報(実開平1−44277号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のルーフレールは、ルーフレールアウタ、ルーフレールインナや補強部材を備えているため車両重量を抑える妨げになっている。
車両重量を抑えるために、ルーフレールからルーフレールアウタや補強部材を除去し、ルーフレールインナのみをルーフレールとして用いることが考えられる。
このように、ルーフレールインナのみをルーフレールとして用いる場合、ルーフレールの剛性を確保するために、ルーフレールの前後の端部をルーフパネルに取り付けて、ルーフレールおよびルーフパネルで閉断面を形成する必要がある。
【0006】
ルーフレールの前後の端部をルーフパネルに取り付ける手段としてルーフレールの前端部をルーフパネルに溶接(スポット溶接)で取り付けることが考えられる。
ところで、ルーフレールの前端部はテールゲートの上端部より車体前方に位置している。このため、ルーフレールの前端部をルーフパネルに溶接(スポット溶接)で取り付けた場合、スポット溶接用電極の打痕が車両外部から目視され外観上好ましくない。
そこで、ルーフレールの後端部をルーフパネルの後縁部にスポット溶接で取り付け、かつ、ルーフレールの前端部をルーフパネルに接着剤で取り付ける必要がある。
【0007】
しかし、ルーフレールの後端部をスポット溶接で取り付ける作業と、ルーフレールの前端部を接着剤で取り付ける作業とを同じ工程で実施することが難しい。
このため、スポット溶接工程でルーフレールの後端部がスポット溶接で取り付けられた後、接着工程でルーフレールの前端部が接着剤で取り付けられる。
【0008】
よって、ルーフレールの後端部をスポット溶接で取り付けてからルーフレールの前端部を接着剤で取り付けるまでルーフレールが後端部のみで片持支持される。
このように、ルーフレールを後端部のみで片持支持した場合、接着工程までルーフレールの自重を後端部で支えることが難しい。
【0009】
本発明は、車両重量を抑えることが可能で、かつ、ルーフレールを安定的に支えることが可能な車両の後部車体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、車体後部に形成された開口部の上縁に沿って設けられ、前記上縁を覆う後意匠部と、前記後意匠部から車体前方に向けて連なる前意匠部を有するとともに、前記後意匠部に覆われる被覆部を有するルーフパネルと、前記ルーフパネルの前記前意匠部および前記被覆部に車幅方向に延びるように設けられ、前記ルーフパネルとともに閉断面を形成するリヤルーフレールと、を備えた車両の後部車体であって、前記リヤルーフレールは、前記被覆部に溶接された第1溶接部と、前記第1溶接部より車体前方の前記被覆部に溶接された第2溶接部と、を備え、前記第1溶接部は、前記被覆部に当接可能な前記リヤルーフレールの後端部に設けられ、前記第2溶接部は、前記リヤルーフレールから前記被覆部に当接可能に延出するリップ部と、前記リップ部に前記閉断面の外側からスポット溶接用の電極を当接可能な電極挿通口と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2は、前記リップ部は、前記リヤルーフレールの一部が前記被覆部に当接可能に折り曲げて形成され、前記電極挿通口は、前記リヤルーフレールの一部が前記リップ部として折り曲げられることで形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項3は、前記リヤルーフレールは、前記被覆部に向けて膨出された膨出部を備え、前記膨出部に前記リップ部が形成されるとともに前記電極挿通口が形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項4は、前記被覆部は、前記前意匠部の後端部から屈曲して下方に延びる縦面部と、前記縦面部の下端部に設けられた屈曲部と、前記屈曲部から車体後方に延びる横面部と、を有し、前記屈曲部の近傍に前記リップ部が溶接されたことを特徴とする。
【0014】
請求項5は、前記リップ部は、前記リヤルーフレールの一部が前記被覆部に当接可能に折り曲げて形成されることで、前記リヤルーフレールに一体に設けられた折曲部を有し、前記折曲部に補強用のビードが形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項6は、前記リップ部は、車幅方向中央の両側にそれぞれ設けられたことを特徴とする。
【0016】
請求項7は、前記リヤルーフレールは、前記前意匠部に接着可能な接着部を前端部に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、ルーフパネルの前意匠部および被覆部に車幅方向に延びるようにリヤルーフレールを設け、リヤルーフレールおよびルーフパネルで閉断面を形成した。
第1溶接部を、被覆部に当接可能なリヤルーフレールの後端部に設けた。よって、第1溶接部を被覆部に当接させた状態でスポット溶接することができる。
【0018】
また、第2溶接部にリップ部および電極挿通口を備えた。そして、リップ部をリヤルーフレールから被覆部に当接可能に延出させ、電極挿通口を閉断面の外側からリップ部にスポット溶接用の電極(以下、「スポット溶接用電極」という)を当接可能に形成した。
よって、リップ部を被覆部に当接させた状態でスポット溶接することができる。
【0019】
このように、請求項1に係る発明によれば、第1溶接部および第2溶接部を車体前後方向に所定間隔を置いて設け、第1溶接部および第2溶接部を被覆部にスポット溶接することができる。
第1溶接部および第2溶接部を被覆部にスポット溶接することで、第1溶接部および第2溶接部の二箇所でリヤルーフレールを安定的に支えることができる。
【0020】
さらに、第1溶接部および第2溶接部を被覆部にスポット溶接することで、第1溶接部および第2溶接部を後意匠部で覆うことができる。
これにより、第1溶接部および第2溶接部を車両外部から目視できないように後意匠部で隠すことができ、車両の外観性を好適に確保することができる。
【0021】
加えて、リヤルーフレールおよびルーフパネルで閉断面を形成することで、リヤルーフレールの剛性をルーフパネルで高めることができる。
すなわち、ルーフパネルでリヤルーフレールの一部を兼用することができる。
ルーフパネルでリヤルーフレールの一部を兼用することで、リヤルーフレール専用の部品点数を減らすことができる。
このように、リヤルーフレール専用の部品点数を減らすことができるので車両重量を抑えることができる。
【0022】
請求項2に係る発明では、リヤルーフレールの一部を折り曲げることにより、リップ部および電極挿通口の両方を形成することができる。
これにより、リップ部および電極挿通口の両方を簡単に形成することができる。
【0023】
請求項3に係る発明では、リヤルーフレールに膨出部を有し、膨出部を被覆部に向けて膨出させた。
リヤルーフレールに膨出部を備えることにより膨出部でリヤルーフレールを補強できる。これにより、リヤルーフレールの剛性を膨出部で高めることができる。
【0024】
さらに、膨出部を被覆部に向けて膨出させることで、膨出部および被覆部間の距離を小さく抑えることができる。
これにより、リップ部の全長を短く抑えることができるので、リップ部の剛性を高めることができる。
【0025】
加えて、膨出部および被覆部間の距離を小さく抑え、膨出部に電極挿通口を形成することで、電極挿通口を被覆部に近づけることができる。
よって、電極挿通口からスポット溶接用電極を差し込む際に、スポット溶接用電極の差込量を小さく抑えることができる。
ここで、スポット溶接用電極は、一般に先端部が小さく形成されている。
これにより、スポット溶接用電極の差込量を小さく抑えることで、電極挿通口の形状を小さく抑えることができるのでリヤルーフレールの剛性を好適に確保することができる。
【0026】
請求項4に係る発明では、被覆部に横面部および縦面部を連結する屈曲部を備えた。屈曲部は横面部および縦面部が交差する部位であり、剛性が高く保たれている。
よって、剛性の高い屈曲部の近傍にリップ部を溶接(スポット溶接)することでリップ部を屈曲部で強固に支えることができる。
これにより、リヤルーフレールを被覆部で一層安定させた状態に支えることができる。
【0027】
請求項5に係る発明では、リップ部にリヤルーフレールに一体に設けられた折曲部を有し、折曲部に補強用のビードを形成した。
これにより、折曲部をビードで補強することができるので、リヤルーフレールをリップ部で一層安定させた状態に支えることができる。
【0028】
請求項6に係る発明では、車幅方向中央の両側にリップ部をそれぞれ設けることで、両側のリップ部でリヤルーフレールの自重を略均等に支えることができる。
これにより、リップ部によるリヤルーフレールの支持安定性を一層高めることができる。
【0029】
請求項7に係る発明では、リヤルーフレールの前端部に接着部を備え、接着部を前意匠部に接着可能とした。
これにより、リヤルーフレールの第1溶接部、第2溶接部および接着部の三箇所をルーフパネルに取り付ける(設ける)ことができるのでリヤルーフレールの支持安定性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る車両の後部車体を示す斜視図である。
【図2】図1の車両の後部車体を示す分解斜視図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図2の4部拡大図である。
【図5】図4のルーフパネル後端部およびリヤルーフレールの分解斜視図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】図6のルーフパネル後端部およびリヤルーフレールを分解した状態を示す断面図である。
【図8】図5の8部拡大図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】図8のリップ部を形成する前の状態を示す斜視図である。
【図11】ルーフパネル(横面部の後端部)に第1溶接部をスポット溶接する例を説明する図である。
【図12】ルーフパネル(横面部の前端部)にリップ部をスポット溶接する例を説明する図である。
【図13】ルーフパネル(前意匠部)に接着部を接着してルーフパネルにリヤルーフレールを取り付ける例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0032】
実施例に係る車両の後部車体10について説明する。
図1、図2に示すように、車両の後部車体10は、車体後部に形成された開口部12と、開口部12を開閉可能なテールゲート14と、開口部12の上縁部(上縁)12aから車体前方に向けて張り出されたルーフパネル16と、ルーフパネル16の後端部16aに設けられたリヤルーフレール18とを備えている。
【0033】
テールゲート14は、開口部12の上縁部12aに沿って設けられた後意匠部21と、後意匠部21に上端部22aが設けられたテールゲート窓ガラス22とを備えている。
後意匠部21は、車両の外観を形成する部位である。
【0034】
図3に示すように、後意匠部21は、開口部12の上縁部12aに一対のヒンジ(図示せず)を介して設けられている。後意匠部21が開口部12の上縁部12aに設けられることで、開口部12の上縁部12aが後意匠部21で覆われている。
すなわち、テールゲート14は、開口部12の上縁部12aに一対のヒンジを軸にして上下方向に揺動自在に設けられている。
【0035】
ルーフパネル16は、後意匠部21から車体前方に向けて連なる前意匠部25を有するとともに、後意匠部21に覆われる被覆部26を有する。
前意匠部25は、車両の外観を形成する部位である。
【0036】
被覆部26は、前意匠部25の後端部25aから屈曲して下方に延びる縦面部27と、縦面部27の下端部27aに設けられた屈曲部28と、屈曲部28から車体後方に延びる横面部29とを有する。
屈曲部28は、横面部29および縦面部27が交差する部位であり、略湾曲状に折り曲げられることで剛性が高く保たれている。
このルーフパネル16にリヤルーフレール18が設けられている。
【0037】
図4、図5に示すように、リヤルーフレール18は、ルーフパネル16の前意匠部25および被覆部26に車室32(図3参照)側から設けられている。
このリヤルーフレール18は、略矩形状に形成された板材で、開口部12の上縁部12aに沿って車幅方向に延びるように配置されている。
このように、ルーフパネル16の前意匠部25および被覆部26に車室32側からリヤルーフレール18が設けられることで、リヤルーフレール18およびルーフパネル16で閉断面が形成されている(図3参照)。
【0038】
以下、リヤルーフレール18およびルーフパネル16の閉断面を閉断面部34と称す。閉断面部34は、剛性の高い部位である。
この閉断面部34(具体的には、開口部12の上縁部12a)にテールゲート14の後意匠部21が一対のヒンジ(図示せず)を介して揺動自在に設けられている。
【0039】
このように、リヤルーフレール18およびルーフパネル16で閉断面部34を形成することで、リヤルーフレール18の剛性をルーフパネル16で高めることができる。
すなわち、ルーフパネル16でリヤルーフレール18の一部を兼用することができる。
ルーフパネル16でリヤルーフレール18の一部を兼用することで、リヤルーフレール18専用の部品点数を減らすことができる。
このように、リヤルーフレール18専用の部品点数を減らすことができるので車両重量を抑えることができる。
なお、ルーフパネル16にリヤルーフレール18を取り付ける具体的な手段について図11〜図13で詳しく説明する。
【0040】
図6、図7に示すように、リヤルーフレール18は、横面部29の後端部29aに溶接された第1溶接部36と、第1溶接部36より車体前方に位置する横面部29の前端部29bに溶接された第2溶接部37と、前意匠部25の接着部25bに接着可能な接着部38を備えている。
横面部29の前端部29bは、屈曲部28の近傍に位置する部位である。
よって、横面部29の前端部29bは屈曲部28により補強されることで比較的剛性の高い部位である。
【0041】
第1溶接部36は、横面部29の後端部29aに当接可能なリヤルーフレール18の後端部18aのうち複数箇所に所定間隔をおいて設けられている(図4も参照)。
すなわち、第1溶接部36を横面部29の後端部29aに当接させた状態で、第1溶接部36および横面部29の後端部29aがスポット溶接で接合されている。
【0042】
接着部38は、リヤルーフレール18の前端部18bの車幅方向全域に亘って設けられている。
接着部38は、接着剤39で前意匠部25の接着部25bに接着される部位である。
前意匠部25の接着部25bにリヤルーフレール18の接着部38を接着剤39で接着することで、スポット溶接を不要にできる。
よって、前意匠部25の接着部25bにスポット溶接用電極の打痕が残ることがなく車両の外観性を好適に確保することができる。
【0043】
図5、図7に示すように、第2溶接部37は、リヤルーフレール18の左右の膨出部(膨出部)42にそれぞれ設けられている。
この第2溶接部37は、リップ部47と電極挿通口48とを有する。
【0044】
左膨出部42は、リヤルーフレール18の車体前後方向中央で、かつ車幅方向中央から左側の部位に設けられている。
この左膨出部42は、横面部29の前端部29bに向けて、すなわち車体後方に向けて膨出されている。
【0045】
図8、図9に示すように、左膨出部42は、略矩形状に形成された頂部43と、頂部43の上辺43aからリヤルーフレール18まで張り出された上壁部44と、頂部43の外辺43bからリヤルーフレール18まで張り出された外側壁部45と、頂部43の内辺43cからリヤルーフレール18まで張り出された内側壁部46とを有する。
【0046】
このように、リヤルーフレール18に膨出部42を有し、膨出部42を横面部29の前端部29bに向けて膨出させた。
リヤルーフレール18に膨出部42を備えることにより膨出部42でリヤルーフレール18を補強できる。これにより、リヤルーフレール18の剛性を膨出部42で高めることができる。
【0047】
頂部43は、略矩形状に形成され、リヤルーフレール18に対して傾斜角θ1になるように膨出された部位である。
よって、頂部43を横面部29の前端部29b(図6参照)に近づけることができる。
この頂部43に第2溶接部37(リップ部47および電極挿通口48)が形成されている。
【0048】
リップ部47は、リヤルーフレール18から横面部29の前端部29bに当接可能な突出片(折曲片)である。
このリップ部47は次のように形成される。
すなわち、図10に示すように、頂部43に略U字状の打抜孔51が形成されることで、頂部43に略矩形状のフラップ52が形成される。
【0049】
フラップ52は、上端部(基端部)52aが頂部43の上辺43a近傍に一体に連結されている。
このフラップ52が基端部52aで横面部29の前端部29b(図6参照)に向けて矢印の如く折り曲げられることで、横面部29の前端部29bに当接可能なリップ部47(図8参照)が形成される。
【0050】
すなわち、図8、図9に示すように、リップ部47は、リヤルーフレール18の一部(フラップ)52を横面部29の前端部29bに当接可能に折り曲げることで形成される。
そして、リップ部47は、上端部(基端部)47aが頂部43の上辺43a近傍に一体に連結されている。
【0051】
ここで、図6に示すように、膨出部42は横面部29の前端部29bに向けて膨出されている。よって、膨出部42および横面部29の前端部29b間の距離L1を小さく抑えることができる。
これにより、図7に示すように、リップ部47の全長L2を短く抑えることができるので、リップ部47の剛性を高めることができる。
【0052】
さらに、図8に示すように、フラップ52が基端部47aで横面部29の前端部29b(図6参照)に向けて折り曲げられることで、リップ部47の基端部47aに折曲部53が形成されている。折曲部53は頂部43に一体に設けられている。
この折曲部53に補強用のビード54が上方に向けて隆起するように形成されている。
換言すれば、リップ部47は、頂部43に一体に設けられた折曲部53を有し、折曲部53に補強用のビード54が形成されている。
これにより、折曲部53をビード54で補強することができる。
【0053】
加えて、図10に示すように、膨出部42の頂部43に略U字状の打抜孔51を形成し、フラップ(リヤルーフレールの一部)52を折り曲げてリップ部47(図8参照)が形成されている。
これにより、略U字状の打抜孔51から電極挿通口48(図8参照)が形成される。電極挿通口48は頂部43に設けられている。
【0054】
図8、図9に示すように、電極挿通口48は、リップ部47に対向する位置に開口されている。すなわち、電極挿通口48は、リップ部47に閉断面部34の外側から、図6に示すスポット溶接用の電極(スポット溶接用電極)61を当接可能な開口である。
このように、膨出部42の頂部43に略U字状の打抜孔51を形成し、図10に示すフラップ(リヤルーフレールの一部)52を折り曲げることにより、リップ部47および電極挿通口48の両方を形成することができる。
これにより、リップ部47および電極挿通口48の両方を簡単に形成することができる。
【0055】
さらに、第2溶接部37にリップ部47および電極挿通口48が備えられている。よって、図6に示すように、リップ部47を横面部29の前端部29bに当接させた状態で、電極挿通口48からスポット溶接用電極61を差し込んでリップ部47の溶接部47bを前端部29bにスポット溶接できる。
【0056】
これにより、第1溶接部36を横面部29の後端部29aにスポット溶接するとともに、第2溶接部37を横面部29の前端部29bにスポット溶接できる。
第1溶接部36を後端部29aにスポット溶接するとともに第2溶接部37を前端部29bにスポット溶接することで、第1溶接部36および第2溶接部37の二箇所でリヤルーフレール18を安定的に支えることができる。
【0057】
加えて、膨出部42を横面部29の前端部29bに向けて膨出させることで、膨出部42および横面部29の前端部29b間の距離L1を小さく抑えることができる。そして、膨出部42に電極挿通口48を形成することで、電極挿通口48を横面部29の前端部29bに近づけることができる。
【0058】
よって、電極挿通口48からスポット溶接用電極61を矢印の如く差し込む際に、スポット溶接用電極61の差込量を小さく抑えることができる。
ここで、スポット溶接用電極61は、一般に先端部61aが小さく形成されている。
これにより、スポット溶接用電極61の差込量を小さく抑えることで、電極挿通口48の形状を小さく抑えることができるのでリヤルーフレール18の剛性を好適に確保することができる。
【0059】
また、第1溶接部36を横面部29の後端部29aにスポット溶接するとともに、第2溶接部37を横面部29の前端部29bにスポット溶接することで、第1溶接部36および第2溶接部37を後意匠部21(図3参照)で覆うことができる。
これにより、第1溶接部36および第2溶接部37を車両外部から目視できないように後意匠部21で隠すことができ、車両の外観性を好適に確保することができる。
【0060】
さらに、被覆部26に横面部29および縦面部27を連結する屈曲部28を備えた。屈曲部28は横面部29および縦面部27が交差する部位であり、剛性が高く保たれている。
よって、剛性の高い屈曲部28の近傍にリップ部47の溶接部47bを溶接(スポット溶接)することでリップ部47を屈曲部28で強固に支えることができる。
これにより、リヤルーフレール18を被覆部26で一層安定させた状態に支えることができる。
【0061】
加えて、図8、図9に示すように、リップ部47は、頂部43に一体に設けられた折曲部53を有し、折曲部53に補強用のビード54が形成されている。
これにより、折曲部53をビード54で補強することができるので、リヤルーフレール18をリップ部47で一層安定させた状態に支えることができる。
【0062】
また、図6に示すように、リヤルーフレール18の前端部18bに接着部38を備え、接着部38を前意匠部25の接着部25bに接着可能とした。
これにより、リヤルーフレール18の第1溶接部36、第2溶接部37および接着部38の三箇所をルーフパネル16に取り付ける(設ける)ことができるのでリヤルーフレール18の支持安定性を一層高めることができる。
【0063】
図5に示すように、右膨出部42は、左膨出部42と左右対称の部位であり、同じ符号を付して説明を省略する。右膨出部42は、左膨出部42と同様に、リップ部47および電極挿通口48を備えている。
すなわち、リップ部47は、車幅方向中央の両側にそれぞれ設けられている。
【0064】
このように、車幅方向中央の両側にリップ部47をそれぞれ設けることで、両側のリップ部47でリヤルーフレール18の自重を略均等に支えることができる。
これにより、リップ部47によるリヤルーフレール18の支持安定性を一層高めることができる。
【0065】
つぎに、ルーフパネル16にリヤルーフレール18を取り付ける例を図11〜図13に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、リヤルーフレール18をルーフパネル16に矢印Aの如く移動する。
【0066】
リヤルーフレール18の第1溶接部36がルーフパネル16(横面部29の後端部29a)に当接される。
また、リヤルーフレール18の第2溶接部37(リップ部47)がルーフパネル16(横面部29の前端部29b)に当接される。
さらに、リヤルーフレール18の接着部38が前意匠部25の接着部25bに当接される。
この状態において車体を溶接工程に搬入する。
【0067】
図11(b)に示すように、第1溶接部36および横面部29の後端部29aを一対のスポット溶接用電極61で矢印Bの如く挟持する。
溶接工程において、第1溶接部36および横面部29の後端部29aを一対のスポット溶接用電極61でスポット溶接する。
【0068】
図12(a)に示すように、溶接工程において、スポット溶接用電極61を電極挿通口48を経て下方からリップ部47に矢印Cの如く当接する。
同時に、スポット溶接用電極61を横面部29の前端部29bに矢印Dの如く当接する。
よって、リップ部47の溶接部47bおよび横面部29の前端部29bを一対のスポット溶接用電極61で挟持する。
この状態において、リップ部47の溶接部47bおよび横面部29の前端部29bを一対のスポット溶接用電極61でスポット溶接する。
【0069】
このように、第2溶接部37にリップ部47および電極挿通口48を備えることで、リップ部47の溶接部47bを横面部29の前端部29bに当接させた状態で、電極挿通口48を利用してリップ部47の溶接部47bを前端部29bにスポット溶接できる。
よって、第1溶接部36を横面部29の後端部29aにスポット溶接するとともに、第2溶接部37を横面部29の前端部29bにスポット溶接できる。
【0070】
図12(b)に示すように、第1溶接部36を後端部29aにスポット溶接するとともに第2溶接部37(リップ部47の溶接部47b)を前端部29bにスポット溶接することで、第1溶接部36および第2溶接部37(リップ部47)の二箇所でリヤルーフレール18を安定的に支えることができる。
溶接工程の後、車体を接着工程に搬入する。
【0071】
ここで、溶接工程から接着工程に搬入するまで所定の時間がかかる。
このため、仮にルーフレールを後端部29aのみで片持支持した場合、接着工程までルーフレールの自重を後端部で支えることが難しい。
そこで、上述したように、第1溶接部36および第2溶接部37(リップ部47)の二箇所でリヤルーフレール18を安定的に支えるようにした。
これにより、車体を接着工程に搬入するまで、リヤルーフレール18を安定的に支えることができる。
【0072】
図13に示すように、リヤルーフレール18の接着部38を前意匠部25の接着部25bに接着剤39で接着する。
このように、前意匠部25の接着部25bにリヤルーフレール18の接着部38を接着剤39で接着することで、接着部38にスポット溶接することを不要にできる。
これにより、前意匠部25の接着部25bにスポット溶接用電極の打痕が残ることがなく車両の外観性を好適に確保することができる。
【0073】
なお、本発明に係る車両の後部車体は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、屈曲部28近傍にリップ部47をスポット溶接した例について説明したが、これに限らないで、屈曲部28にリップ部47をスポット溶接することも可能である。
【0074】
また、前記実施例で示した車両の後部車体10、開口部12、テールゲート14、ルーフパネル16、リヤルーフレール18、後意匠部21、前意匠部25、被覆部26、縦面部27、屈曲部28、横面部29、閉断面部34、第1溶接部36、第2溶接部37、接着部38、左右の膨出部42、リップ部47、電極挿通口48、フラップ52、折曲部53、ビード54およびスポット溶接用電極61などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、車体後部に開口部が形成され、開口部近傍のルーフパネル後端部にリヤルーフレールが車幅方向に延びるように設けられた車両の後部車体への適用に好適である。
【符号の説明】
【0076】
10…車両の後部車体、12…開口部、12a…開口部の上縁部(上縁)、14…テールゲート、16…ルーフパネル、16a…ルーフパネルの後端部、18…リヤルーフレール、18a…リヤルーフレールの後端部、18b…リヤルーフレールの前端部、21…後意匠部、25…前意匠部、25b…前意匠部の接着部、26…被覆部、27…縦面部、28…屈曲部、29…横面部、34…閉断面部(閉断面)、36…第1溶接部、37…第2溶接部、38…接着部、42…左右の膨出部(膨出部)、47…リップ部、47b…リップ部の溶接部、48…電極挿通口、52…フラップ(リヤルーフレールの一部)、53…折曲部、54…ビード、61…スポット溶接用電極(スポット溶接用の電極)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部に形成された開口部の上縁に沿って設けられ、前記上縁を覆う後意匠部と、
前記後意匠部から車体前方に向けて連なる前意匠部を有するとともに、前記後意匠部に覆われる被覆部を有するルーフパネルと、
前記ルーフパネルの前記前意匠部および前記被覆部に車幅方向に延びるように設けられ、前記ルーフパネルとともに閉断面を形成するリヤルーフレールと、を備えた車両の後部車体であって、
前記リヤルーフレールは、前記被覆部に溶接された第1溶接部と、前記第1溶接部より車体前方の前記被覆部に溶接された第2溶接部と、
を備え、
前記第1溶接部は、前記被覆部に当接可能な前記リヤルーフレールの後端部に設けられ、
前記第2溶接部は、前記リヤルーフレールから前記被覆部に当接可能に延出するリップ部と、前記リップ部に前記閉断面の外側からスポット溶接用の電極を当接可能な電極挿通口と、
を備えたことを特徴とする車両の後部車体。
【請求項2】
前記リップ部は、
前記リヤルーフレールの一部が前記被覆部に当接可能に折り曲げて形成され、
前記電極挿通口は、
前記リヤルーフレールの一部が前記リップ部として折り曲げられることで形成されたことを特徴とする請求項1記載の車両の後部車体。
【請求項3】
前記リヤルーフレールは、
前記被覆部に向けて膨出された膨出部を備え、
前記膨出部に前記リップ部が形成されるとともに前記電極挿通口が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両の後部車体。
【請求項4】
前記被覆部は、
前記前意匠部の後端部から屈曲して下方に延びる縦面部と、
前記縦面部の下端部に設けられた屈曲部と、
前記屈曲部から車体後方に延びる横面部と、
を有し、
前記屈曲部の近傍に前記リップ部が溶接されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項5】
前記リップ部は、
前記リヤルーフレールの一部が前記被覆部に当接可能に折り曲げて形成されることで、前記リヤルーフレールに一体に設けられた折曲部を有し、
前記折曲部に補強用のビードが形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項6】
前記リップ部は、
車幅方向中央の両側にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項7】
前記リヤルーフレールは、
前記前意匠部に接着可能な接着部を前端部に備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項1】
車体後部に形成された開口部の上縁に沿って設けられ、前記上縁を覆う後意匠部と、
前記後意匠部から車体前方に向けて連なる前意匠部を有するとともに、前記後意匠部に覆われる被覆部を有するルーフパネルと、
前記ルーフパネルの前記前意匠部および前記被覆部に車幅方向に延びるように設けられ、前記ルーフパネルとともに閉断面を形成するリヤルーフレールと、を備えた車両の後部車体であって、
前記リヤルーフレールは、前記被覆部に溶接された第1溶接部と、前記第1溶接部より車体前方の前記被覆部に溶接された第2溶接部と、
を備え、
前記第1溶接部は、前記被覆部に当接可能な前記リヤルーフレールの後端部に設けられ、
前記第2溶接部は、前記リヤルーフレールから前記被覆部に当接可能に延出するリップ部と、前記リップ部に前記閉断面の外側からスポット溶接用の電極を当接可能な電極挿通口と、
を備えたことを特徴とする車両の後部車体。
【請求項2】
前記リップ部は、
前記リヤルーフレールの一部が前記被覆部に当接可能に折り曲げて形成され、
前記電極挿通口は、
前記リヤルーフレールの一部が前記リップ部として折り曲げられることで形成されたことを特徴とする請求項1記載の車両の後部車体。
【請求項3】
前記リヤルーフレールは、
前記被覆部に向けて膨出された膨出部を備え、
前記膨出部に前記リップ部が形成されるとともに前記電極挿通口が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両の後部車体。
【請求項4】
前記被覆部は、
前記前意匠部の後端部から屈曲して下方に延びる縦面部と、
前記縦面部の下端部に設けられた屈曲部と、
前記屈曲部から車体後方に延びる横面部と、
を有し、
前記屈曲部の近傍に前記リップ部が溶接されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項5】
前記リップ部は、
前記リヤルーフレールの一部が前記被覆部に当接可能に折り曲げて形成されることで、前記リヤルーフレールに一体に設けられた折曲部を有し、
前記折曲部に補強用のビードが形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項6】
前記リップ部は、
車幅方向中央の両側にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項7】
前記リヤルーフレールは、
前記前意匠部に接着可能な接着部を前端部に備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−111461(P2012−111461A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264583(P2010−264583)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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