説明

車両の流体ヒータ

【解決手段】本発明は車両の流体ヒータに属する。本発明は、特に、少なくとも一つの熱交換器(8)と、少なくとも一つの電気的に作動する加熱部(9)と、加熱部(9)への電力供給を制御するための少なくとも一つの制御部とを備え、熱交換器(8)は、流体を加熱するための少なくとも一つの流体チャンネル(15)を規定する少なくとも一つの熱的に伝導性のボディを備え、加熱部(9)は、熱交換器(8)の熱伝導性表面に取り付けられる、自動車のウォーターヒータに属する。本発明に従った車両の流体ヒータは、熱的に伝導性の金属片(30)により、熱交換器(8)に熱的に接続される制御部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の流体ヒータについて言及し、特に自動車のウォーターヒータについて言及し、少なくとも一つの熱交換器と、少なくとも一つの電気的に作動する加熱部と、加熱部への電力供給を制御するための少なくとも一つの制御部とを備え、熱交換器は、流体を加熱するための少なくとも一つの流体チャンネルを規定する少なくとも一つの熱的に伝導性のボディを備え、加熱部は、熱交換器の熱伝導性表面に取り付けられる。
【背景技術】
【0002】
先に言及した種類の自動車のウォーターヒータは、例えばUS2008/0138052A1に開示されている。この米国特許公開公報は、蓄積された雪と霜を溶かすために自動車のフロントガラスの上へスプレーされることができる温水を生成することができる自動車のフロントガラスへのアプリケーションを有する自動車のウォーターヒータについて言及する。先行技術に従った自動車のウォーターヒータは、熱される水が流れ得る少なくとも1本の流体経路を定めるアルミニウム熱交換器からなる。熱交換器の熱伝導性表面は、電気的に作動する加熱部に与えられる。加熱部は、プレート電極に接続される層状に積層された加熱片を備えている。さらに、加熱部は電気−熱材料としてPTCストーン(正温度特性を備えたセラミック抵抗部材)を用いる。
【0003】
一旦電力が加熱部に印加されると、セラミックレジスタは加熱し、それらの熱を熱される水または他の流体が流れ得る熱伝導性熱交換器に移す。
【0004】
このタイプの自動車のウォーターヒータは、60℃から70℃の間の予めプログラムされた目標温度の要求に応じて熱せられたスクリーン洗浄を供給するように設計されている。通常60〜80ccのオーダーで、熱交換器によって定義されるフローチャンネルまたはフローパスは、特定の流体ボリュームを定める。そして、それは例えば車の点火に関して60℃〜70℃の目標温度に加熱される。一旦スクリーン洗浄液が目標温度に達すると、自動車のスクリーン洗浄クリーニング装置の洗浄液ポンプは、車のフロントガラスの上へスクリーン洗浄液の一連の熱いショットを出す。
【0005】
通常、システムの起動後、熱交換器の目標温度の範囲内に比較的短い時間の範囲内で到達することが望ましい。抵抗発熱体には、通常、指定された熱的なパフォーマンスを成し遂げるだけの電気的ヒーティングパワーを発生させるために、高い電流が引かれる。
【0006】
加熱部の熱損失と動作を制御するために、通常、例えば制御基板や回路基板といった電気的制御手段が必要である。通常、制御基板の上のいくつかの電気的コンポーネントは冷却が必要である。特に高性能半導体素子は、それら素子がかなりの量の熱損失を引き起こすという事実があることから、冷却が必要である。熱損失を分散するために、通常、ヒートシンクが必要とされる。そのようなヒートシンクは、通常、熱分散のために広い表面を有することから、そのようなヒートシンクは大きなスペースを必要とする。車両の流体ヒータが集積部として設計されるならば、これはとりわけ欠点となろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シンプルであって安価でもある電気的制御のための効果的なクーリングを伴う車両の流体ヒータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的及び他の目的は、少なくとも一つの熱交換器と、少なくとも一つの電気的に作動する加熱部と、加熱部への電力供給を制御するための少なくとも一つの制御部とを備え、熱交換器は、流体を加熱するための少なくとも一つの流体チャンネルを規定する少なくとも一つの熱的に導電性のボディを備え、加熱部は、熱交換器の熱伝導性表面に取り付けられ、制御部は熱交換器に熱的に接続されることを特徴とする車両の流体ヒータ、特に自動車のウォーターヒータにより達成される。
【0009】
簡潔に要約するに、本発明に従った車両の流体ヒータは、制御部のための熱分散手段と一緒に流体のための熱交換器を利用する。従って、付加的な冷却手段は必要とされない。さらに、加熱部の効率は高められ、より少ないエネルギーは、流体の予め定められた量を必要とする。
【0010】
一つの有利な実施形態において、制御部はヒートシンクによって熱交換器に接続される。熱交換器はヒートシンクとしても機能するという事実に起因してヒートシンクはとても小さくシンプルである。
【0011】
従って、ヒートシンクは熱的に伝導性の金属片の形をとっている。そのような金属片は、例えば銅或いはアルミニウム片として設計されてよい。
【0012】
制御部は制御基板の上に配置されてよい。あるいは、制御部は熱交換器及び/又は加熱部に直接的に取り付けられてもよい。この場合において、制御部と熱交換器の間には、電気的に絶縁の材料による中間層が提供される。
【0013】
本発明の一つの実施形態において、熱交換器、少なくとも一つの関連した加熱部と制御部は、共通の筺体により被包されてよい。
【0014】
前記制御部は、スイッチング部、好ましくはトランジスタ、より好ましくはMOSFETであり、前記ヒートシンクに熱的に伝導されていてよい。動作中の高性能トランジスタには、とても高い電流が引かれており、したがって、非常に速くそれ自体を加熱する。MOSFETは、やはり熱交換器の熱伝導性表面に付着されるヒートシンクに直接的に位置している。
【0015】
本発明は、添付図面に関して例示の目的で以下に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は自動車のスクリーン洗浄装置を示す。
【図2】図2は本発明に従った車両の流体ヒータの透視図を示す。
【図3】図3は閉じた状態の熱交換器の透視図を示す。
【図4a】図4aはシーリングカバーなしの熱交換器の透視図を示す。
【図4b】図4bは本発明の他の実施形態に従った熱交換器の透視図を示す。
【図5】図5は加熱部の透視図を示す。
【図6a】図6aは左右方向の車両の流体ヒータの断面図を示す。
【図6b】図6bは車両の流体ヒータの断面図を示す。
【図7】図7は図6の車両の流体ヒータの右手側の拡大断面図を示す。
【図8】図8は図6の車両の流体ヒータの左手側の拡大断面図を示す。
【図9a】図9aは熱交換器に電気的制御の回路基板の接続を示している車両の流体ヒータのもう一つの拡大断面図を示す。
【図9b】図9bは図4bに示す実施形態に従った車両の流体ヒータのもう一つの拡大断面図を示す。
【図10】図10は本発明に従った車両の流体ヒータの分解図を示す。
【図11】図11は制御アセンブリとの組合せで過熱要素の機能図を示す。
【図12】図12はサンプリングレジスタの電圧を測定する測定回路の回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、洗浄液リザーバ1と、洗浄液ポンプ2と、車両の流体ヒータ3と、不図示の自動車のフロントガラスと関連するスクリーン洗浄ノズル4を備えた車両のためのフロントガラススクリーン洗浄装置の概略図を示す。通常のスクリーン洗浄動作の間、洗浄液は、電気的に作動するポンプ2により、洗浄液リザーバ1から車両のフロントガラスへと汲み出される。洗浄液は、ヘッドランプやリアランプ、或いは他のスクリーンに洗浄のために供給されることは理解されているところである。洗浄液は、車両の流体ヒータ3に吸水ポートを介して入り、排水ポート6を介して放出される。これは図1から見られるように、吸水ポート5はフレキシブルホース7により洗浄液ポンプ2に接続されている。同様に、排水ポート6は他のフレキシブルホース7により洗浄液ノズル4に接続されている。図1はスクリーン洗浄装置を例示したに過ぎず、簡略化されている。
【0018】
洗浄液リザーバは、通常は、−40℃から40℃のオーダーとなり得る大気温度にて洗浄液を収容している。車両の流体ヒータ3は、詳細は後に後述するとして、60から70ccの間の量の流体を収容してよい。車両の流体ヒータ3は、50から70℃の間の予めプログラムされた目標温度、より好ましくは洗浄液の全ての冬の混合液に通常見られるアルコールの気化温度を下回る温度の要求に応じてスクリーン洗浄液を熱するように設計されている。車両のイグニションを回転すると、車両の流体ヒータは目標温度となるように熱せられるように設計されている。これは、車両のキャビンにてLEDにより視覚化される。ユーザが要求に応じて霜取りするか、霜取りモードを自動的に開始させるか、どちらかである。車両のキャビンの中の霜取りスイッチがすぐに押されると、ヒーターモジュールは、一般的に4から6ショット、熱せられたスクリーン洗浄液の一連の熱いショットを分配するために、順番に洗浄液ポンプ2に信号を送るワイパー制御装置に、信号を送る。ワイパーは、またこの時点では、クリーニングプロセスを助けるために、動作させられる。
【0019】
車両の流体ヒータは、熱交換器8と、電気的に作動される加熱部9と、電気的な制御基板10を備え、全ての部品は共通の筺体11により被包されている。筺体11は、本体11a、第1エンドキャップ11b、及び第2エンドキャップ11cと称される3つの部品を備えている。第1及び第2エンドキャップ11b、11cはスナップ式コネクタ12を介して本体11aに接続されている。
【0020】
筺体は、熱可塑性材料で構成されてよく、例えば射出成形により作られてよい。
【0021】
これは特に図2から取り出されることができるが、第2エンドキャップ11cは一つが吸水ポート5と連絡し、他の一つが排水ポート6と連絡する管継手13を備えている。第1エンドキャップ11aは、車両の流体ヒータ3の電気的な接続を確立するターミナルコネクタ14を備えている。
【0022】
これは、図3,4a及び4bより見られることができるように、車両の流体ヒータの中央部分は、熱交換器8の前後の端を閉めているシーリングカバー16a及び16bの助けによって順番に熱交換器8内に流入させている流体チャンネル15を定めている押し出されたアルミニウム・プロフィールから成る熱交換器8である。
【0023】
単純さのためのために読者と向き合っている図3に示される熱交換器8の前記サイドは、フロントエンドと称される更なる説明であるのに対して、熱交換器8の反対サイドはリアエンドとしてアドレスされる。シーリングカバー16は、熱交換器のフロント及びリアエンドのためにシーリング機能を実現し、流体チャンネル15の隣り合ったセクションをシーリングする。
【0024】
これは図6bから取り出されることができるが、流体チャンネル15aは流体チャンネル15bと比較してシーリングカバー16aによってシーリングされる熱交換器8のフロントエンドであるのに対して、熱交換器8のリアエンドではシーリングカバー16bは流体チャンネル15aと流体チャンネル15bの間の流体接続を確立する。さらに、熱交換器8のフロントエンドで、流体チャンネル15cが流体チャンネル15dと比較してシーリングされるのに対して、流体チャンネル15bは流体チャンネル15cと連絡する。
【0025】
さらに、シーリングカバー16aは、吸水口17aと排水口17bを備えている。
【0026】
シーリングカバー16a,16bは、天然或いは人口のゴムのような伸縮自在で変形可能な材料からなり、これは前述したように、冷凍状態の洗浄液のボリュームチェンジを補償するために、仕切板或いは膜のように機能する。シーリングカバー16a,bは、例えば以下に更に詳細に記述されるように、記述された実施形態では、熱交換器のフロント及びリアエンドの上へゆるくフィットされ、筺体11により所定の位置に保たれる。
【0027】
押し出しアルミニウムの外形により作られる熱交換器8の中の連続して延びる流体チャンネル15a,15b,15c,15dを定義するために、シーリングカバー16a及び16bは仕切板タイプのブリッジング部材50a及び50bを備え、シーリングカバー16aは流体チャンネル15b及び15cに相互に接続される一つのブリッジング部材50aを備え、シーリングカバー16bは2つのブリッジングメンバー50bを備え、一つは流体チャンネル15a及び15bに接続され、他の一つは流体チャンネル15c及び15dに接続されている。仕切板タイプのブリッジング部材50a,50bは、周辺を取り巻くシーリングリム51により囲まれている。
【0028】
切断面にて図6bからより詳細に見られることができるように、シーリングリム51は排水溝52と吸水溝53を定める。排水溝52がマウントされたときに本体11aの第1及び第2エンドキャップ11b及び11cの位置決めウェブ54を受けるのに対して、吸水溝53は流体チャンネル15a,15b,15c及び15dの周辺の壁を密閉的に受ける。結果的には、ブリッジング部材50a及び50bは凍結した洗浄液が原因で収縮するだろう。シーリングリム51はエンドキャップ11b,11cの位置決めウェブ54により定位置に正確に保たれる。このように、シーリングカバー16a及び16bのシーリング機能をはっきりと生じることなく、流体の拡大/収縮を許す。
【0029】
前述したように、熱交換器8はアルミニウムのような熱的な伝導性材料から作られる。熱交換器8の側面において、加熱部9は与えられる。電気的に作動する加熱部9は熱回復可能なシリコン接着剤により熱交換器に付着される。それら加熱部9はラミネート構造を利用している。好ましい実施形態では、加熱部8は抵抗率の正温度係数(PTCR;positive temperature coefficient of resistivity)を備えたセラミックレジスタを利用するが、加熱部9は、熱電気特性を有する高分子抵抗材料からなるヒーティングストリップ、或いは熱−電気特性を有する、被包性あるいはそうでない、ヒーティングワイヤの形をとり得るものとして理解されている。
【0030】
一つの好ましい実施形態において、加熱部(図5)は、セラミックエレメントを支持する薄板状のフレーム19と、カソード接触板21と、カソード接触板21と関連して図示されているアノード接触板22とを備える。
【0031】
フレーム19の中には、その機能は後に説明される隙間23がある。
【0032】
加熱部9は、一つまたはそれ以上の正温度係数セラミックレジスタヒーティングエレメント20と、後ほどPTCストーン20として言及するが、PTCストーン20に例えば13Vの電気を伝導するためのカソード接触板21とアノード接触板22と、を備える。アノード接触板22/アノードターミナルは熱交換器8に接触し、接触板部分はポジションフレーム19により位置が固定されるPTCストーン20のアノードサイドをカバーする。カソードターミナル/接触板21は、PTCストーン20のカソードサイドに接するようになっており、それによって、全てのPTCストーンは並列に接続される。
【0033】
このデザインのために、熱交換器8はグランド(GND)に接続され、その結果、流体の中に蓄積される正電気はそらされてよい。
【0034】
PTCストーン20は、それらの総合温度に反比例する導電率を有する半導体である。従って、加熱部9が冷たい間、PTCストーン20の導電率は高く、PTCストーン20には高い電流が流れ、それによって多くの熱エネルギーを生成する。その一方、PTCストーン20の温度が上がると、PTCストーン20の導電率は劇的に落ち込み、その結果、少ない熱のみを生成する。その結果、PTCストーン20が自己の目標温度を維持しているときから(熱的自己規制)、ヒーティングエレメントとしてPTCストーン20を用いている加熱部9は、サーモスタットやサーモヒューズによる保護を必要としない。PTCストーン20は例えば65℃或いは135℃の、異なる目標温度で利用することができる。
【0035】
グラフ1は、PTCストーン20の抵抗(R)対PTCストーン20の実温度(THE)を示す。前述したように、PTCストーン20が冷たい場合には、その抵抗(R)は低い。高い電流がPTCストーン20に流れる結果、PTCストーン20を熱する多くの熱エネルギーが生成される。グラフ1からわかるように、PTCストーン20の抵抗(R)は、その実温度(THE)の増加で増加する。PTCストーン20の実温度(THE)が最大温度に等しくなると、PTCストーン20の抵抗(R)はPTCストーン20の実温度(THE)の減少に従って減少し始める。高い電流がPTCストーン20に流れ、PTCストーン20を再びヒートアップする結果、PTCストーン20の抵抗(R)の減少を招く。同様に、グラフ2からわかるように、PTCストーン20を流れる電流(I)はその実温度(THE)の増加により減少する。それ故に、より少ない熱エネルギーが生成される。このメカニズムを用いて、PTCストーン20は、その最大温度を特定の目標温度に制限する。
【0036】
ヒーティングアプリケーションにおいて、一定の周囲条件の下、電流消費がPTCストーン20の熱消費レートと等しくなると、PTCストーン20は平衡状態に到達する。
【0037】
例えば、より多くの熱消費(冷却)は平衡状態のPTCストーン20のより高い電流消費を導くが、PTCストーン20は、周辺条件の中でそれらの電流消費が平衡状態に到達するように採用する。
【0038】
一旦、パワーがPTCストーン20に加えられると、それらは直ちにそれらの目標温度に到達するように試みる。開始時には温度は急激に上昇するが、PTCストーン20の実温度(THE)の増加に伴い、増加の割合はスローダウンする。PTCストーン20の実温度(THE)とその時間の関係は、グラフ3に示される。
【0039】
一つの好ましい実施形態では、加熱部9は、スクリーン洗浄液を例えば65℃といった目標温度に熱するように設計されている。これは、目標温度65℃のPTCストーン20を用いることにより成し遂げられる。PTCストーン20をそれらの目標温度に熱するためには、それ由来してスクリーン洗浄液をこの目標温度に熱するためには、長い時間が必要とされる。熱せられたスクリーン洗浄液は蓄積された雪や霜を除去するために、及び暖かい季節の間はクリーンング効果を向上させるために、用いられる。
【0040】
他の実施形態に従い、135℃の目標温度のPTCストーン20はPTCストーン20を熱するのに必要とされる時間を短縮するのに用いられる。これは、PTCストーン20は温度の増加率が高い範囲内で作動するので、PTCストーン20を目標温度である65℃に熱するのに必要な時間を短縮する。制御装置10を備えたPTCストーン20の機能部は図11に示される。
【0041】
制御装置10は、制御部31とスイッチング部32とを備える。第1のステップにおいて、PTCストーン20の現在の抵抗が測定される。これは、後に説明されるように、PTCストーン20の抵抗測定により、或いはサンプリングレジスタ34の電圧/電流測定により成し遂げられる。制御部31、好ましくはマイクロプロセッサは、この測定の結果を、比較チャート或いはアルゴリズムによってPTCストーン20の実温度にマッピングする。PTCストーン20の実温度は、その後、調整可能な目標温度、この実施形態では65℃、と比較される。次のステップにおいて、制御部31は、調整可能なパルス幅の制御信号33を生成する。制御信号33のパルス幅は、PTCストーン20の実温度によって決まる。制御信号33は、PTCストーン20への電気の伝導性を制御するスイッチング部32を制御する。この実施形態では、スイッチング部32はMOSFETにより構成されている。制御信号33のonサイクルの間、スイッチング部33はPTCストーン20に電力を供給する。その結果、PTCストーン20は更に熱せられる。制御信号33のoffサイクルの間、スイッチング部32によりPTCストーン20に電力は供給されない。故に、PTCストーン20は更に熱せられない。制御部31は、PTCストーン20の温度が上昇したとき、制御信号33のonサイクルを削減する。このメカニズムを用いて、PTCストーン20の実温度は例えば65℃に制限される。
【0042】
グラフ4は、調整可能なパルス幅の模範的な制御信号33を示す。見られるように、制御信号33は、リタンギュラー(retangular)なインパルスからなる。初めに、PTCストーン20の最初のヒーティングの間、制御信号33はoffサイクルではなくonサイクルのみからなる。PTCストーン20が65℃の調整可能な目標温度に到達すると、制御部31は、PTCストーン20のヒーティングを低くするために、制御信号33のパルス幅を小さくする。結果的にPTCストーン20が65℃の調整可能な温度を上回ると、制御部20は、PTCストーン20が更にヒートアップしないように、offサイクルのみからなる制御信号33を生成する。PTCストーン20の温度が65℃を下回ると、制御部31はPTCストーン20をヒートアップするために、制御信号33のパルス幅を再び増加させる。
【0043】
前述したように、第1ステップにおいて、PTCストーン20の現在の抵抗は測定される。これは、この実施形態においては13mΩ(図12参照)の抵抗を有するサンプリングレジスタ34での電圧測定によって成し遂げられる。このサンプリングレジスタ34は、PTCストーン20のシリーズに接続されている。PTCストーン20とサンプリングレジスタ34の直列接続への入力電圧が固定されると、サンプリングレジスタ34での電圧降下は直接的にPTCストーン20の抵抗に比例する。サンプリングレジスタ34での降下する電圧はオペアンプ35により増幅される。当業者に知られるように、増幅率は抵抗36,37,38により定義される。サンプリングレジスタ35で降下した測定され増幅された電圧は制御部31にパスされる。制御部31は、サンプリングレジスタ35で降下したこの増幅した電圧を、比較チャート或いはアルゴリズムを用いて、PTCストーン20の実温度にマッピングする。
【0044】
図6aを参照して、筺体11は熱交換コンパートメント24と制御基板コンパートメント25を有し、熱交換器8と同様に制御基板10はハウジング11により完全に被包されていることがわかる。ハウジング11の熱交換コンパートメント25は、熱交換器8にゆるくフィットされる収縮自在で変形可能なシーリングカバー16a,16bが、例えば洗浄液の中の霜取り物質の濃度が十分に高くないときに起こるかもしれない洗浄液の相変化の上で収縮するかもしれない、フロントキャビティ26及びリアキャビティ27を、それにより定義する。
【0045】
シーリングカバー16a,bの仕切板タイプの特性に起因して、最良の凍結保護は補償されることが理解されている。
【0046】
これは図7,8からわかるように、シーリングカバー16a及び16bは筺体11により位置が保たれるように、シーリングカバー16a及び16bは筺体11に対して接触する。
【0047】
代替案として、シーリングカバー16a,16bは、接着剤或いは別の方法により熱交換器8に支持される。この場合、筺体を必要としない。
【0048】
これは、図6a及び6bからわかるように、熱交換器のフロントエンドにてシーリングカバー16aが筺体11の第2エンドキャップ11cに対して接触するのに対して、後方を向くシーリングカバー16bは熱交換コンパートメント24の中の筺体の一部に対して接触する。フロントキャビティ26及びリアキャビティ27の中、フォーム支持部材28は配置される。このフォーム支持部材28は弾力のある閉じた個室の発砲体を作る。
【0049】
また図6aからもわかるように、第1エンドキャップは車両の流体ヒータの電気的接続のためのサーマルコネクタを備えている。
【0050】
電力は制御基板10の上に配置されたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を介して供給される。さらに、制御基板において、参照符号により指定されていないマイクロコントローラが配置されている。
【0051】
MOSFET29の利用は、半導体素子20の電力制御のために利点があることは証明されている。
【0052】
本発明に従い、処理の間にMOSFET29により浪費される熱は熱交換器の外側の表面に導かれる。一つの実施形態では(図9a)、処理の間にMOSFET29により浪費される熱はヒートシンクを介して熱交換器の外側の表面に導かれる。図9aに従った実施形態のヒートシンクは弾力のある導電性の金属片30として設計されている。金属片30は、例えば銅あるいは他の熱的に伝導性のある材料により作られている。金属片30は、熱交換器8の一つの側面18に直接的に接着されている。この目的から、一つの加熱部9の一つのフレーム19に隙間23が提供されている。
【0053】
図4b及び9bに示される実施形態において、MOSFET29により浪費される熱が、熱交換器及び/又は加熱部に直接的に送られるように、及びその上、洗浄液を熱するのに利用されるように、MOSFET29は熱交換器8に直接的に取り付けられている。例えば、MOSFET29と熱交換器8との間の高い誘電値(例えば、AL)をもつ中間層により、MOSFET29は、好ましくは、熱交換器8の導電性ボディと電気的に分離されている。MOSFET29は同様にPTCに接続されてよい。回路基板10への電気的接続は、ターミナルコネクタ55により確立される。
【0054】
グラフ1はPTCストーンの抵抗対PTCストーンの実際の温度を表す。
グラフ2はPTCストーンの中を流れている電流対定電圧のためのPTCストーンの実際の温度を表す。
グラフ3はPCTストーンに電圧が付与された場合の、PTCストーンの実際の温度対時間を表わす。
グラフ4は、典型的な長方形の形づくられた制御信号を表す。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【符号の説明】
【0055】
1 洗浄液リザーバ
2 洗浄液ポンプ
3 車両の流体ヒータ
4 ノズル
5 吸水ポート
6 排水ポート
7 ホース
8 熱交換器
9 加熱部
10 制御基板
11 筺体
11a 本体
11b 第1エンドキャップ
11c 第2エンドキャップ
12 スナップ式コネクタ
13 管継手
14 ターミナルコネクタ
15,15a,15b,15c,15d 流体チャンネル
16a,16b シーリングカバー
17a 吸水口
17b 排水口
18 側面
19 フレーム
20 セラミックエレメント
21 カソード接触板
22 アノード接触板
23 隙間
24 熱交換コンパートメント
25 制御基板コンパートメント
26 フロントキャビティ
27 リアキャビティ
28 支持部材
29 MOSFET
30 金属片
31 制御部
32 スイッチング部
33 制御信号
34 サンプリングレジスタ
35 オペアンプ
36,37,38 レジスタ
50a,50b ブリッジング部材
51 シーリングリム
52 排水溝
53 吸水溝
54 位置決めウェブ
55 ターミナルコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの熱交換器(8)と、
少なくとも一つの電気的に作動する加熱部(9)と、
前記加熱部への電力供給を制御するための少なくとも一つの制御部と、
を備え、
前記熱交換器(8)は、前記流体を加熱するための少なくとも一つの流体チャンネル(15)を規定する少なくとも一つの熱的に導電性のボディを備え、
前記加熱部(9)は、前記熱交換器(8)の熱伝導性表面に取り付けられる、車両の流体ヒータ、特に自動車のウォーターヒータにおいて、
前記制御部は前記熱交換器(8)に熱的に接続されることを特徴とする車両の流体ヒータ。
【請求項2】
前記制御部はヒートシンクによって前記熱交換器(8)に接続されることを特徴とする請求項1に従った車両の流体ヒータ。
【請求項3】
前記ヒートシンクは熱的に伝導性の金属片(30)の形をとっていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに従った車両の流体ヒータ。
【請求項4】
前記制御部は前記熱交換器(8)に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに従った車両の流体ヒータ。
【請求項5】
前記制御部は加熱部(9)に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに従った車両の流体ヒータ。
【請求項6】
制御部は制御基板(10)の上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに従った車両の流体ヒータ。
【請求項7】
少なくとも一つの関連した加熱部(9)と制御部は、共通の筺体により被包されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに従った車両の流体ヒータ。
【請求項8】
前記制御部は、スイッチング部、好ましくはトランジスタ、より好ましくはMOSFETであり、前記ヒートシンクに熱的に伝導されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに従った車両の流体ヒータ。
【請求項9】
前記金属片は前記熱交換器(8)の熱伝導性表面に付着されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに従った車両の流体ヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−512085(P2012−512085A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541099(P2011−541099)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010920
【国際公開番号】WO2010/069355
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(511059368)コーテックス テクストロン シーブイエス リミテッド (3)
【出願人】(511145834)ディービーケー オメガ エレクトロニック テクノロジー(グアンジョウ)エルティーディー (2)
【Fターム(参考)】