説明

車両の荷物積み卸し記録装置

【課題】 本発明は、車両の荷物の積み卸しを記録する車両の荷物積み卸し記録装置に関し、車両の荷物積み卸し状態を自動的に記録することを目的とする。
【解決手段】 車両の荷室に積み卸しされる識別情報付きの荷物の識別情報を検出する荷物検出手段と、前記荷室に積み込まれた前記荷物の識別情報を記憶する記憶手段と、前記荷物検出手段で検出された識別情報が前記記憶手段に記憶されている場合には荷卸しと判断し前記記憶手段から識別情報を消去し、記憶されていない場合には荷積みと判断し前記記憶手段に識別情報を記憶させる判断手段と、前記判断手段で判断された荷卸しおよび荷積みを記録する記録手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷物の積み卸しを記録する車両の荷物積み卸し記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された車両運行データに記録された車両の全運行時間のうちから荷積みや荷卸しが実質的に行われた作業時間のみの合計時間を演算する装置が知られている。
【特許文献1】特開平11−283172号公報
【特許文献2】特開2001−19167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の装置では、ドライバーの釦操作により車両の荷物積み卸し状態を記録しており、ドライバーに多大な負担がかかり、また、釦の押し間違え等により正確な記録が困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、車両の荷物積み卸し状態を自動的に記録することができる車両の荷物積み卸し記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の車両の荷物積み卸し記録装置は、車両の荷室に積み卸しされる識別情報付きの荷物の識別情報を検出する荷物検出手段と、前記荷室に積み込まれた前記荷物の識別情報を記憶する記憶手段と、前記荷物検出手段で検出された識別情報が前記記憶手段に記憶されている場合には荷卸しと判断し前記記憶手段から識別情報を消去し、記憶されていない場合には荷積みと判断し前記記憶手段に識別情報を記憶させる判断手段と、前記判断手段で判断された荷卸しおよび荷積みを記録する記録手段とを有することを特徴とする。
【0006】
請求項2の車両の荷物積み卸し記録装置は、請求項1記載の車両の荷物積み卸し記録装置において、前記車両の荷室のドアの開閉状態を検出するドア開閉検出手段を有し、前記判断手段は前記ドアが開とされている時に荷卸しおよび荷積みの判断を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項3の車両の荷物積み卸し記録装置は、請求項1または請求項2記載の車両の荷物積み卸し記録装置において、前記判断手段は、前記記憶手段に記憶される識別情報が存在しない時に空車と判断し、前記記録手段に空車と記録することを特徴とする。
【0008】
請求項4の車両の荷物積み卸し記録装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の車両の荷物積み卸し記録装置において、前記判断手段の判断結果を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の荷物積み卸し記録装置では、車両の荷室に識別情報付きの荷物を積み卸しする時に、荷物検出手段により荷物の識別情報が検出される。また、荷室に積み込まれた荷物の識別情報が記憶手段に記憶される。そして、判断手段は、荷物検出手段で検出された識別情報が記憶手段に記憶されている場合には荷卸しと判断し記憶手段から識別情報を消去し、記憶されていない場合には荷積みと判断し記憶手段に識別情報を記憶させる。そして、判断手段で判断された荷卸しおよび荷積みが記録手段に記録される。従って、車両の荷物積み卸し状態を自動的に記録することができる。
【0010】
請求項2の車両の荷物積み卸し記録装置では、荷室開閉検出手段により車両の荷室の開閉状態を検出し、判断手段は荷室が開とされている時にのみ荷卸しおよび荷積みの判断を行うようにしたので、荷物の積み卸しが行われる荷室の開時にのみ必要な判断を行うことができる。
【0011】
請求項3の車両の荷物積み卸し記録装置では、判断手段は、記憶手段に記憶される識別情報が存在しない時に空車と判断し記録手段に空車と記録するようにしたので、空車状態を確実に記録することができる。
【0012】
請求項4の車両の荷物積み卸し記録装置では、表示手段に判断手段の判断結果を表示するようにしたので、荷物の積み卸し状態を容易,確実に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明が適用されるトラックからなる車両11を示している。車両11の運転室13には、デジタルタコグラフ15が配置されている。デジタルタコグラフ15には、本発明の車両の荷物積み卸し記録装置の一実施形態が組み込まれている。
【0015】
車両11の荷室17には、荷室開閉センサ19、ICタグ認識装置21が設けられている。荷室開閉センサ19は、荷室17のドア(不図示)の開閉状態を検出する。ICタグ認識装置21は、荷室17内に積み卸しされる荷物23のICタグ25の情報を検出する。ICタグ25は、積み卸しされる全ての荷物23に貼着されている。ICタグ25には、荷物23の情報およびID番号が記憶されている。
【0016】
図2は、上述したデジタルタコグラフ15を示すブロック図である。
【0017】
デジタルタコグラフ15は、CPU27、カードインタフェース29、内部メモリ31、表示装置33、データバス35を有している。データバス35には、CPU27、カードインタフェース29、内部メモリ31、表示装置33が接続されている。
【0018】
CPU27には、荷室開閉センサ19およびICタグ認識装置21からの信号が入力される。
【0019】
カードインタフェース29には、記録媒体であるメモリカード37が挿脱される。メモリカード37には、車両11への荷物23の積み卸しが記録される。また、車両11の速度、時刻、走行距離等の運行データが記録される。
【0020】
内部メモリ31には、車両11の荷室17内に存在する荷物23のID番号等が記憶される。
【0021】
表示装置33は、車両11への荷物23の積み卸し状態を表示する。
【0022】
図3は、上述したデジタルタコグラフ15の動作を説明するフローチャートである。
【0023】
ステップS1:荷室開閉センサ19からの信号を入力し、荷室17が開放されているか否かを判断する。
【0024】
ステップS2:ICタグ認識装置21からの信号を入力し、ICタグ25が認識されたか否かを判断する。ICタグ25が貼着された荷物23が、ICタグ認識装置21を通過する毎にICタグ25の情報およびID番号が認識される。なお、複数の荷物23が同時に積み卸しされる場合には、複数の荷物23のICタグ25が同時に認識される。
【0025】
ステップS3:内部メモリ31に記憶されているID番号を読み込む。内部メモリ31には、現在荷室17内に存在する全ての荷物23のID番号が記憶されている。
【0026】
ステップS4:ステップS2で認識されたID番号が、内部メモリ31に記憶されているか否かを判断する。内部メモリ31に記憶されている荷物23がステップS2で認識された場合には、ステップS2で認識された荷物23は、荷卸しされる荷物23である。一方、内部メモリ31に記憶されていない場合には、ステップS2で認識された荷物23は、荷積みされる荷物23である。
【0027】
ステップS5:内部メモリ31に記憶されている場合には、内部メモリ31に記憶されているICタグ25の数をステップS2で認識された数だけカウントダウンする。
【0028】
ステップS6:荷卸しフラグを1にする。
【0029】
ステップS7:ステップS2で認識されたID番号を内部メモリ31の記憶から消去する。
【0030】
ステップS8:ステップS4において内部メモリ31に記憶されていない場合には、内部メモリ31に記憶されているICタグ25の数を1だけカウントアップする。
【0031】
ステップS9:荷積みフラグを1にする。
【0032】
ステップS10:ステップS2で認識されたID番号を内部メモリ31に記憶する。
【0033】
ステップS11:ステップS1において、荷室17が開放されていない場合には、荷物23の積み卸しが行われないため、荷積みフラグおよび荷卸しフラグを0にする。
【0034】
ステップS12:フラグの状態によって作業状態を判別する。すなわち、荷積みフラグ=0、荷卸しフラグ=0の時には作業なしと判断する。荷積みフラグ=1、荷卸しフラグ=0の時には荷積みと判断する。荷積みフラグ=0、荷卸しフラグ=1の時には荷卸しと判断する。荷積みフラグ=1、荷卸しフラグ=1の時には積み卸しと判断する。
【0035】
ステップS13:ステップS12で判別した作業状態を表示装置33に表示する。
【0036】
ステップS14:内部メモリ31に記憶されるICタグ25の数が0か否かを判断する。
【0037】
ステップS15:ICタグ25の数が0の場合には、表示装置33に空車表示をする。
【0038】
ステップS16:ICタグ25の数が0でない場合には、表示装置33に実車表示をする。
【0039】
ステップS17:メモリカード37に上述した作業状態情報を記録する。具体的には、例えば、時刻等とともに、荷積み、荷卸し、積み卸し、空車、実車等の状態が記録される。
【0040】
上述した荷物積み卸し記録装置では、ICタグ認識装置21で検出された荷物23のID番号が内部メモリ31に記憶されている場合には荷卸しと判断し内部メモリ31からID番号を消去し、記憶されていない場合には荷積みと判断し内部メモリ31にID番号を記憶させ、判断された荷卸し状態および荷積み状態をメモリカード37に記録するようにしたので、車両11の荷物23積み卸し状態を自動的に正確に記録することができる。
【0041】
また、荷室開閉センサ19により車両11の荷室17の開閉状態を検出し、荷室17が開とされている時にのみ荷卸しおよび荷積みの判断を行うようにしたので、荷物23の積み卸しが行われる荷室17の開時にのみ必要な判断を行うことができる。
【0042】
さらに、内部メモリ31に記憶されるICタグ25の数が0で、内部メモリ31に記憶されるID番号が存在しない時に空車と判断しメモリカード37に空車と記録するようにしたので、空車状態を確実に記録することができる。
【0043】
また、表示装置33に荷積み、荷卸し、積み卸し、空車、実車等の状態を表示するようにしたので、荷物23の積み卸し状態を容易,確実に知ることができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
【0044】
(1)上述した実施形態では、デジタルタコグラフを用いて説明したが、これに限らず、例えば、他の運行情報収集装置等でも良い。また、手動釦は、デジタルタコグラフに限らず、他の運行情報収集装置等に本発明を適用した場合には、他の運行情報収集装置等に設けても良い。
【0045】
(2)上述した実施形態では、全ての荷物23をICタグ25付きの荷物23にした例について説明したが、例えば、ICタグの付いていない荷物を扱う場合には、デジタルタコグラフに手動釦を設け、その荷物の積み卸し時に手動で操作するようにしても良い。
【0046】
(3)上述した実施形態では、荷室開閉センサ19によりドアの開閉を検出した例について説明したが、必ずしもドアの開閉を検出しなくても良い。
【0047】
(4)上述した実施形態では、荷物の識別情報としてICタグ付きの荷物のID番号を用いたが、これに限らず荷物が識別できる情報であれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態が適用されるデジタルタコグラフを備えた車両を示す説明図である。
【図2】図1のデジタルタコグラフを示すブロック図である。
【図3】図2のデジタルタコグラフの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
11 車両
15 デジタルタコグラフ
17 荷室
19 荷室開閉センサ
21 ICタグ認識装置
23 荷物
25 ICタグ
27 CPU
31 内部メモリ
33 表示装置
37 メモリカード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室に積み卸しされる識別情報付きの荷物の識別情報を検出する荷物検出手段と、
前記荷室に積み込まれた前記荷物の識別情報を記憶する記憶手段と、
前記荷物検出手段で検出された識別情報が前記記憶手段に記憶されている場合には荷卸しと判断し前記記憶手段から識別情報を消去し、記憶されていない場合には荷積みと判断し前記記憶手段に識別情報を記憶させる判断手段と、
前記判断手段で判断された荷卸しおよび荷積みを記録する記録手段と、
を有することを特徴とする車両の荷物積み卸し記録装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両の荷物積み卸し記録装置において、
前記車両の荷室の開閉状態を検出する荷室開閉検出手段を有し、前記判断手段は前記荷室が開とされている時に荷卸しおよび荷積みの判断を行うことを特徴とする車両の荷物積み卸し記録装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の車両の荷物積み卸し記録装置において、
前記判断手段は、前記記憶手段に記憶される識別情報が存在しない時に空車と判断し、前記記録手段に空車と記録することを特徴とする車両の荷物積み卸し記録装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の車両の荷物積み卸し記録装置において、
前記判断手段の判断結果を表示する表示手段を有することを特徴とする車両の荷物積み卸し記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−179453(P2009−179453A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20909(P2008−20909)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】