説明

車両フロアのカバー構造

【課題】フロアカーペットと車体部材との間に生じるデッドスペースを有効に利用しながら、フロアカーペットの開口から車体部材に設けられた車体番号を確認することができる、車両フロアのカバー構造を提供する。
【解決手段】車体部材5に設置されたベース部材10と、ベース部材10に支持され、車体部材5に設けられた所定の表示記号4の上方に位置する開口3を備えたフロア部材2と、開口3を開閉可能に覆う蓋部材22を有し、ベース部材10に取り付けられたカバー部材20と、を有し、ベース部材10およびカバー部材20のいずれか一方が、開口3に対応する位置に収納空間7を形成する箱状部11であって、開口3を通じて所定の表示記号4を外部に露出させるように構成された箱状部11を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両フロアのカバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロアには、様々な理由で開口が形成され、それを塞ぐためのカバーが設けられている。
【0003】
例えば、車室内の運手席付近のフロアカーペットには、フレームやシャーシなどの車体部材に刻印された車体番号を確認するための開口が形成されている。このような開口には、通常は閉鎖し、車体番号を確認するときにのみ開放する開閉可能なカバーが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4593407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車体番号が刻印される箇所は、車種やボディタイプによって異なっている。そのため、場合によっては、フロアカーペットの開口付近の、フロアカーペットと車体部材との間には、デッドスペースとなる空間が生じてしまう。しかしながら、この種の開口カバーは、車体番号の確認を最優先に構成されているため、これまで、このようなデッドスペースを利用することに着目して構成されたものは開示されていない。
【0006】
そこで本発明は、フロアカーペットと車体部材との間に生じるデッドスペースを有効に利用しながら、フロアカーペットの開口から車体部材に設けられた車体番号を確認することができる、車両フロアのカバー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の車両フロアのカバー構造は、車体部材に設置されたベース部材と、ベース部材に支持され、車体部材に設けられた所定の表示記号の上方に位置する開口を備えたフロア部材と、開口を開閉可能に覆う蓋部材を有し、ベース部材に取り付けられたカバー部材と、を有し、ベース部材およびカバー部材のいずれか一方が、開口に対応する位置に収納空間を形成する箱状部であって、開口を通じて所定の表示記号を外部に露出させるように構成された箱状部を有している。
【0008】
このような車両フロアのカバー構造では、フロア部材と車体部材との間のデッドスペースとなる空間に、フロアカーペットの開口からアクセス可能な収納空間を形成することができる。この収納空間を形成する箱状部が、フロアカーペットの開口を通じて車体番号を外部に露出させるように構成されていることで、フロア下のデッドスペースを有効に利用しながら、必要に応じて車体番号の確認も行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、フロアカーペットと車体部材との間に生じるデッドスペースを有効に利用しながら、フロアカーペットの開口から車体部材に設けられた車体番号を確認することができる、車両フロアのカバー構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の車両フロアのカバー構造が適用されるフロアカーペットカバーの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’線に沿った断面図である。
【図3】本発明の車両フロアのカバー構造が適用されるフロアカーペットカバーの第2の実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の車両フロアのカバー構造が適用されるフロアカーペットカバーの第3の実施形態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本明細書では、本発明の車両フロアのカバー構造について、車室内のフロアカーペット(フロア部材)に設けられた開口を覆うためのフロアカーペットカバーに適用された場合を例に挙げて説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態におけるフロアカーペットカバーを概略的に示す斜視図である。図1(a)は、本実施形態のフロアカーペットカバーが、フロアカーペットに形成された開口を閉鎖している状態を示しており、図1(b)は、開口を開放している状態を示している。
【0014】
フロアカーペットカバー1は、ベース部材10と、ベース部材10に取り付けられ、フロアカーペット2に形成された開口3を開閉可能に覆うカバー部材20と、から構成されている。カバー部材20は、図1(b)に示すように、開口3の周縁に沿って枠状に形成された枠部材21と、枠部材21に対してヒンジ状に連結され、開口3を開閉可能に覆う蓋部材22と、を有している。本実施形態では、枠部材21は、開口3に合わせて矩形状に形成されているが、任意の形状であってもよい。
【0015】
次に、本実施形態のフロアカーペットカバー1の、ベース部材10およびカバー部材20の構成について説明する。
【0016】
図2は、本実施形態のフロアカーペットカバーを概略的に示す断面図であり、図1のA−A’線に沿った断面を示している。
【0017】
ベース部材10は、車体番号(所定の表示記号)4が刻印された車体部材5上に設置され、フロアカーペット2を支持している。すなわち、ベース部材10は、フロアカーペット2と車体部材5との間の空間(デッドスペース)に設けられている。また、ベース部材10には、フロアカーペット2の開口3に対向する開口を備えた箱状部11が形成されている。したがって、ベース部材10の箱状部11は、開口3に対向する位置に、後述する収納空間7を形成している。
【0018】
一方、カバー部材20は、枠部材21がビス6などの締結部材によってベース部材10に固定され、それにより、ベース部材10に取り付けられている。枠部材とベース部材との固定は、クリップ止めや溶融接着などの手段によって行われていてもよい。また、カバー部材20の蓋部材22は、上述したように、連結部材23によって枠部材21にヒンジ状に連結されているが、枠部材21の開口を開閉可能に覆うようになっていればよく、例えば、枠部材21にスライド状に取り付けられていてもよい。
【0019】
本実施形態では、フロアカーペット2下のベース部材10の箱状部11によって、フロアカーペット2の開口3からアクセス可能な収納空間7が形成されている。収納空間7は、車体番号4の上方に位置しており、必要に応じて開口3から車体番号4を確認(視認)できるようになっている必要がある。そのために、収納空間7を形成する箱状部11は、車体番号4に対向し、開閉可能に構成された底面部12を有している。
【0020】
底面部12は、連結部材13によって、箱状部11の一方の側面部14にヒンジ状に連結されている。箱状部11の他方の側面部15には、底面部12の先端と係合する係合孔16が設けられている。底面部12の先端と係合孔16とを係合させることで、底面部12を収納空間7を形成する位置(閉鎖位置)に保持することができ、その係合を解除することで、底面部12を開放して、開口3を通じて車体番号4を外部に露出させることが可能となる。
【0021】
底面部を閉鎖位置に保持する構成は、上述の構成に限定されるものではなく、例えば、底面部を下方から支持する突起が他方の側面部に設けられていてもよい。また、底面部は、車体番号を露出させ視認できるようになっていればよく、カバー部材の蓋部材と同様に、スライド開閉するように側面部に取り付けられていてもよい。
【0022】
このように、本実施形態のフロアカーペットカバーによれば、フロアカーペットと車体部材との間の、デッドスペースとなる空間に、フロアカーペットの開口からアクセス可能な収納空間を形成することができる。この収納空間を形成する、ベース部材の箱状部は、車体番号に対向する底面部が開閉可能に構成され、フロアカーペットの開口を通じて車体番号を外部に露出させることができる。このような収納空間が設けられていることで、車両フロア下のデッドスペースを有効に利用できるだけでなく、必要に応じて収納空間の底面部を開放して、車体番号の確認も行うことができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態におけるフロアカーペットカバーを概略的に示す断面図であり、図1に対応する図である。
【0024】
本実施形態は、第1の実施形態に対して、ベース部材の箱状部の構成を変更した変形例である。具体的には、本実施形態の箱状部17は、第1の実施形態とは異なり、固定された底面部18を有しているが、その底面部18は、透明な材料で形成されている。これ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0025】
このように、本実施形態では、車体番号4に対向する、収納空間7の底面部18が透明になっていることで、底面部18を開放するといった面倒な作業をすることなく、必要に応じて底面部18の下の車体番号4を視認することが可能となる。
【0026】
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態におけるフロアカーペットカバーを概略的に示す断面図であり、図1に対応する図である。
【0027】
本実施形態は、第1の実施形態に対して、カバー部材(とそれに伴うベース部材)の構成を変更した変形例である。
【0028】
第1の実施形態では、収納空間7を形成する箱状部がベース部材10に形成されていたが、本実施形態では、カバー部材20に形成されている。すなわち、本実施形態のカバー部材20は、枠部材24に連結された箱状部25を有している。箱状部25は、カバー部材20がベース部材10に取り付けられたときに開口3内に挿入されており、これにより、フロアカーペット2の開口3に対応する位置に収納空間7を形成している。これに応じて、枠部材24には、カバー部材20がベース部材10に対して着脱可能となるように、ベース部材10の取り付け孔などに係合する係合部26が設けられている。これ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0029】
このように、本実施形態のフロアカーペットカバー1は、収納空間7を形成するカバー部材20自体をベース部材10から取り外すことができ、収納空間7の下の車体番号4を確認できるようになっている。このことは、収納空間7内の収納物を取り出すといった面倒な作業をする必要がない点で有利である。
【符号の説明】
【0030】
1 フロアカーペットカバー
2 フロアカーペット
3 開口
4 車体番号
5 車体部材
7 収納空間
10 ベース部材
11,17,25 箱状部
12,18 底面部
20 カバー部材
21,24 枠部材
22 蓋部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体部材に設置されたベース部材と、
前記ベース部材に支持され、前記車体部材に設けられた所定の表示記号の上方に位置する開口を備えたフロア部材と、
前記開口を開閉可能に覆う蓋部材を有し、前記ベース部材に取り付けられたカバー部材と、
を有し、
前記ベース部材および前記カバー部材のいずれか一方が、前記開口に対応する位置に収納空間を形成する箱状部であって、前記開口を通じて前記所定の表示記号を外部に露出させるように構成された箱状部を有する、
車両フロアのカバー構造。
【請求項2】
前記ベース部材が前記箱状部を有し、
前記箱状部が、前記フロア部材の前記開口に対向する開口部と、前記所定の表示記号に対向し、開閉可能に構成された底面部とを有する、請求項1に記載の車両フロアのカバー構造。
【請求項3】
前記ベース部材が前記箱状部を有し、
前記箱状部が、前記フロア部材の前記開口に対向する開口部と、前記所定の表示記号に対向し、透明な材料で形成された底面部とを有する、請求項1に記載の車両フロアのカバー構造。
【請求項4】
前記カバー部材が、前記箱状部を有するとともに、前記ベース部材から取り外し可能であり、
前記箱状部は、前記カバー部材が前記ベース部材に取り付けられたときに前記開口内に挿入されている、請求項1に記載の車両フロアのカバー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−250689(P2012−250689A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127188(P2011−127188)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(390031451)株式会社林技術研究所 (83)
【Fターム(参考)】