説明

車両位置検知システム

【課題】違法駐車車両を容易にかつ自動的に検知して確実に排除可能にした車両位置検知システムを得る。
【解決手段】上空側から地上を撮影した空撮画像501を取得して、空撮画像501から違法駐車の対象となる車両の位置を検知するために、空撮画像501を撮影するためのカメラ100を有するヘリ101と、空撮画像501に対応した地図データMを格納する地図データファイル510と、空撮画像501と地図データMとから車両を検知する処理装置102とを備えている。処理装置102は、空撮画像501と地図データMとの位置合わせを行う地図位置合わせ手段と、空撮画像501に存在する車両を検知する車両検知手段と、車両が駐車禁止領域に存在するか否かを判定する違法駐車判定手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空撮画像および地図を用いて違法駐車車両を検知する車両位置検知システムに関し、特に、空撮画像と地図データとを比較して違法駐車車両を検知するための新規な改良技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、違法駐車は、他者の迷惑になるので、直ちに検知して排除する必要がある。
従来から、違法駐車を検知するための車両位置検知システムとして、大きく分けて2通りの手法が提案されている。
【0003】
まず、第1の手法として、対象となる車両にGPSなどの位置測定手段を搭載し、その測定結果を利用する手法がある(たとえば、特許文献1参照)。
また、第2の手法として、特定の場所にカメラなどを設置し、映った画像の画像処理によって判定する手法がある(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
しかし、第1の手法では、対象となる車両からの位置情報を取得しなければ、第三者から検知することができず、第2の手法では、カメラなどを設置した特定の場所しか判定することができない。
【0005】
また、第2の手法のバリエーションとして、車両にカメラを搭載し、走行しながら画像を取得して判定する第3の手法も考えられるが、車両をすべての監視領域で走行させる必要があり、膨大なコストおよび手間を要することから実用的ではない。
つまり、従来の車両位置検知システムによれば、実用的な手法を用いて、不特定多数の車両を不特定多数の領域から判別することはできない。
【0006】
したがって、警察により違法駐車車両を検知する車両位置検知システムにおいては、多くの領域に存在する監視対象車両の位置を取得するために、第4の手法として、警官が街中を動き回り、目視によって違法駐車を判定している。
この場合、(1)警官に見つかりさえしなければ違法駐車の扱いにならない、(2)警官が見回り中に車両を移動させれば違法駐車の扱いにならない、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−243455号公報
【特許文献2】特開2008−152736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の車両位置検知システムにおいては、違法駐車車両の検知に適用する場合に、自車両が違法駐車をしているか否かを検知するために、上記第1の手法のように自車両で車両位置を測定する手法が考えられるが、警察などの第三者が車両位置を検知するためには、車両からの位置情報が利用できるとは限らず、結局、車両位置を検知することができないという課題があった。
【0009】
また、第2の手法によれば、判定領域を一部に固定することによって上記課題を解決しているものの、判定領域以外に位置する車両を判定することができないので、違法駐車車両を検知のためには、数多くの領域をカバーするために数多くの車両位置検知システムを設置する必要があり、コストアップを招くという課題があった。
【0010】
さらに、警察により違法駐車車両を検知する第4の手法においては、検知処理をできる限り対象者(違法駐車車両の持ち主)に気づかれないようにすることが望ましいが、対象者が検知作業に気づいた場合には、上記(2)のように、警官に見つかる前に車両を移動させ、検知作業の終了後にまた駐車するという回避行動が選択可能であり、結果として、違法駐車車両を排除することができないという課題があった。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、違法駐車車両を容易にかつ自動的に検知して確実に排除可能にした車両位置検知システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る車両位置検知システムは、上空側から地上を撮影した空撮画像を取得して、空撮画像から違法駐車の対象となる車両の位置を検知する車両位置検知システムであって、空撮画像を撮影するためのカメラを有する撮影手段と、空撮画像に対応した地図データを格納する地図データファイルと、空撮画像と地図データとから車両を検知する処理装置とを備え、処理装置は、空撮画像と地図データとの位置合わせを行う地図位置合わせ手段と、空撮画像に存在する車両を検知する車両検知手段と、車両が駐車禁止領域に存在するか否かを判定する違法駐車判定手段とを有するものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、空撮画像と地図データとを比較することにより、駐車禁止領域に存在する車両を容易にかつ自動的に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車両位置検知システムの全体を概略的に示す構成図である。
【図2】図1内の処理装置による駐車禁止領域の検知機能を示す説明図である。
【図3】図1内の処理装置の車両検知動作を示すフローチャートである。
【図4】図3内の領域判定処理を具体的に示すフローチャートである。
【図5】図1内の処理装置による違法駐車車両の検知機能を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る車両位置検知システムの全体を概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両位置検知システムの全体を概略的に示す構成図である。
図1において、車両位置検知システムは、空撮画像501を撮影するヘリコプタ(以下、「ヘリ」と略称する)101と、空撮画像501から車両の位置を検知する処理装置102とを備えている。
【0016】
ヘリ101は、地上の撮影領域500を撮影して空撮画像501を取得するカメラと、空撮画像501をヘリ位置・向き情報とともに送信する通信手段(図示せず)とを備えている。
処理装置102は、ヘリ101からの送信情報を受信する画像・位置受信機110と、空撮画像501に対応した地図データMが格納された地図データファイル510と、カメラ100に関する各種パラメータが格納されたカメラパラメータファイル511とを備えている。
【0017】
また、処理装置102は、プログラム機能として、空撮画像501と地図データMとの位置合わせを行う地図位置合わせ手段と、空撮画像501に存在する車両を検知する車両検知手段と、車両が駐車禁止領域に存在するか否かを判定する違法駐車判定手段とを備えている。
【0018】
これにより、画像・位置受信機110からの受信情報と、あらかじめ保持された各ファイル510、511内の地図データMおよびカメラパラメータCとを用いて、違法駐車中の監視対象車両を検知することができる。
さらに、処理装置102は、違法駐車中の車両(検知結果)を表示するための出力手段(図示せず)も備えている。
【0019】
次に、図2を参照しながら、図1に示したこの発明の実施の形態1による情報取得動作および地図位置合わせ動作について説明する。
図2は処理装置102による駐車禁止領域600の検知機能を示す説明図である。
ヘリ101は、上空から撮影領域500を撮影して、空撮画像501をリアルタイム情報として適宜に処理装置102に送信する。このとき、空撮画像501とともに、撮影時のヘリ位置・向き情報502を合わせて送信する。
【0020】
処理装置102は、画像・位置受信機110を経由して、空撮画像501およびヘリ位置・向き情報502を受け取る。
また、処理装置102は、地図データファイル510から、地図の表現する範囲(緯度経度など)と、駐車禁止領域情報と、上空から判別しやすい特徴的地物情報(陸橋などの位置および大きさ)とを、地図データMとして取り込む。
同様に、処理装置102は、カメラパラメータファイル511から、カメラ100の撮影仕様情報を、カメラパラメータCとして取り込む。
【0021】
処理装置102において、地図位置合わせ手段は、ヘリ位置・向き情報502から地図上の概略位置を把握したうえで、空撮画像501を画像処理して陸橋などの特徴的地物情報を検知し、空撮画像501と地図データMとの重ね合わせ処理を行う。
このとき、特徴的地物情報の画像内位置および大きさと、地図データM内の当該地物の位置、大きさから空撮画像501と地図データMとの位置関係を決定する。
【0022】
また、空撮画像501が示す範囲を決定するとともに、地図データMに含まれる駐車禁止領域情報と重ね合わせることにより、空撮画像501中の駐車禁止領域600(図2参照)を決定する。
【0023】
次に、図1および図2とともに、図3〜図5を参照しながら、駐車禁止領域600の決定後の車両検知動作および違法駐車判定動作について説明する。
処理装置102内の車両検知手段および違法駐車判定手段は、違法駐車中の車両が駐車禁止領域600に存在するか否かを判定する。
【0024】
図3は処理装置102による車両位置検知動作を示すフローチャートであり、図4は図3内の色判定処理(ステップS13)を具体的に示すフローチャートである。また、図5は処理装置102による違法駐車車両の検知機能を示す説明図である。
【0025】
図3および図4において、処理装置102は、駐車禁止領域600内に対して画像処理を行い、違法駐車の対象となる車両を検知する。
なお、図3の処理開始時においては、空撮画像501と、調査対象領域(駐車禁止領域600)と、処理装置102内にあらかじめ保持された車両判定用の閾値α、βとが、入力情報として取り込まれているものとする。
【0026】
また、図3および図4の車両位置検知フローは、「駐車禁止領域600に車両が存在しなければ、そこは道路の色(アスファルトの灰色)を示す」ことを想定した処理である。
【0027】
図3において、まず、空撮画像501の各画素の明度を計算し、空撮画像501の明度を用いて閾値αの補償計算を行い、以降の処理で用いられる補正閾値α’を算出する(ステップS11)。
ステップS11は、撮影状況に応じて画像状態(明度)が異なることから、その差異を吸収するための補償処理である。
【0028】
具体的には、閾値αとして「明度=255」に相当する値を初期設定しておき、空撮画像501の画素の明度の最大値Lmが「0<Lm≦255」であれば、以下の式(1)のように、補正閾値α’を算出する。
【0029】
α’=α×(Lm/255) ・・・(1)
【0030】
なお、明度の最大値Lmが「0」の場合は、空撮画像501の全体が真っ暗な状態を示していることから、車両の判別が不可能なので、車両位置検知処理の実行条件から除外する。
【0031】
続いて、空撮画像501の中から調査対象となる領域Xを選択して決定する(ステップS12)。
ステップS12においては、駐車禁止領域600の中から、車両位置検知処理(後述する)を実行していない部分を順次に選択していくものとする。
【0032】
また、選択する領域Xの大きさは、カメラパラメータCを用いて、空撮画像501内の画素数と地上での実際の大きさとの関係を計算し、両者の関係から、数メートル範囲(車両が入るくらいの大きさ)に設定されるものとする。
【0033】
次に、領域X内での車両の有無を判定するために、ステップS12で決定した領域Xと空撮画像501の各画素のRGB情報とを用いて、領域X内の色判定処理(ステップS13)を実行する。
ステップS13は、前述の通り、「駐車禁止領域600内に車両が存在しなければ道路の色を示す」という想定に基づく処理である。具体的には、領域X内の画素の色(RGB情報)にどれだけ灰色(アスファルトの色)が含まれるかを判定する。
【0034】
以下、図4を参照しながら、図3内の色判定処理(ステップS13)について具体的に説明する。この場合、フロー開始時に、補正閾値α’が入力情報として取り込まれる。
図4において、処理装置102は、まず、色判定カウンタ値pcの初期化「0クリア」を行う(ステップS21)。色判定カウンタ値pcは、最終的には図4(ステップS13)の色判定結果(返り値)となる。
【0035】
続いて、領域X内の未調査点の中から1つの画素(1点)を選択し(ステップS22)、選択点のRGB値(色情報)を取得して(ステップS23)、R、G、Bの各値のうちの最大値pmaxおよび最小値pminを取得する(ステップS24)。
【0036】
次に、pmax−pminの値を計算し、補正閾値α’(たとえば、α’=20)と比較して、以下の式(2)の関係が成立するか否かにより、領域X内の選択点が灰色であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0037】
pmax−pmin<α’ ・・・(2)
【0038】
ステップS25において、pmax−pmin<α’(すなわち、YES)と判定されれば、選択された画素は灰色に近い(RGB値の差が少ない)ものと見なし、色判定カウンタ値pcを「1」だけインクリメントして(ステップS26)、ステップS27に移行する。
一方、ステップS25において、pmax−pmin≧α’(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS26を実行せずにステップS27に移行する。
【0039】
次に、上記調査処理(ステップS22〜S26)を、領域X内のすべての画素(点)について実行したか否かを判定する(ステップS27)。
ステップS27において、領域X内のすべての画素について調査が完了した(すなわち、YES)と判定されれば、色判定カウンタ値pcの最終値を処理結果(返り値)として出力し、図4の処理フローを終了して、図3内のステップS14に移行する。
【0040】
一方、ステップS27において、領域X内に未調査の画素が存在する(すなわち、NO)と判定されれば、画素選択処理(ステップS22)に戻り、調査処理(ステップS22〜S26)を繰り返し実行する。
【0041】
図3に戻り、処理装置102内の車両検知手段および違法駐車判定手段は、ステップS13の判定結果である色判定カウンタ値pcと、領域X内の画素数Nとの比(pc/N)が閾値β(たとえば、β=0.7)以上であるか否かを判定する(ステップS14)。
ステップS14において、pc/N≧β(すなわち、YES)と判定されれば、今回の調査対象の領域Xを道路と判定し(ステップS15)、pc/N<β(すなわち、NO)と判定されれば、今回の調査対象の領域Xを駐車車両と判定する(ステップS16)。
【0042】
次に、上記車両位置検知処理および違法駐車判定処理(ステップS12〜S16)を、駐車禁止領域600内のすべての領域に対して実行したか否かを判定する(ステップS17)。
ステップS17において、駐車禁止領域600内のすべての領域に対して車両位置検知処理が完了した(すなわち、YES)と判定されれば、違法駐車車両が存在した領域Xを出力して、図3の処理フローを終了する。
【0043】
一方、ステップS17において、駐車禁止領域600内に未処理の領域が存在する(すなわち、NO)と判定されれば、領域選択処理(ステップS12)に戻り、車両位置検知処理(ステップS12〜S16)を繰り返し実行する。
【0044】
図3の処理により得られた車両位置検知情報(領域X)から、図5に示すように、違法駐車中の車両がどの位置に存在するかを判定することができる。
これにより、警察では、図5から車両の絶対位置を確認した後、直ちに駐車位置に動員させて、実際の車両を確認して違法駐車車両をすべて検挙することができる。
【0045】
このとき、上記処理(図3)により検知した車両と、実際に警官が現場に到達して検挙した車両とが同一である保証はないが、検挙した車両が違法駐車であることに代わりはないので、特に支障が生じることはない。
【0046】
なお、ここでは、言及しなかったが、車両位置検知結果の高精度化を目的として、上記車両位置検知処理に冗長性を付加し、時系列的に撮影された複数の空撮画像501から得られる「異なる空撮画像501内に存在する同一の駐車禁止領域600」のそれぞれに関して図3の処理を実行してもよい。
【0047】
すなわち、ヘリ101は、時系列的に複数の空撮画像501を撮影し、処理装置102内の車両検知手段および違法駐車判定手段は、複数の空撮画像501内の同一の駐車禁止領域600に対して、それぞれ図3および図4の調査を行い、同一の駐車禁止領域600内の同一の領域Xが「駐車中の車両」と判定された場合のみに、最終的に「違法駐車中の車両」であると判定する。
【0048】
この場合、複数の空撮画像501内の同一の駐車禁止領域600に関し、すべての処理で車両位置検知された場合のみに最終的な車両位置検知結果を出力し、一部のみで検知した場合には誤検知とみなして除外する(最終的な車両位置検知結果を出力しない)、という冗長手法が追加されることになる。
なぜなら、駐車車両を短時間に連続撮影した場合に車両が駐車中であれば、同一の領域X内で常に同一車両が検知される、ことを想定しているからである。
【0049】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1〜図5)に係る車両位置検知システムは、上空側から地上を撮影した空撮画像501を取得して、空撮画像501から違法駐車の対象となる車両の位置を検知するために、空撮画像501を撮影するためのカメラ100を有するヘリ101(撮影手段)と、空撮画像501に対応した地図データMを格納する地図データファイル510と、空撮画像501と地図データMとから車両を検知する処理装置102とを備えている。
【0050】
処理装置102は、空撮画像501と地図データMとの位置合わせを行う地図位置合わせ手段と、空撮画像501に存在する車両を検知する車両検知手段と、車両が駐車禁止領域600に存在するか否かを判定する違法駐車判定手段とを備えている。
【0051】
地図データファイル510内の地図データMは、特徴的地物情報(陸橋位置など)を含み、処理装置102内の地図位置合わせ手段は、空撮画像501内の特徴的地物情報と地図データM内の特徴的地物情報との照合によって位置合わせを行う。
【0052】
また、地図データMは、駐車禁止領域情報(駐車禁止領域600)を含み、処理装置102内の車両検知手段は、空撮画像501と駐車禁止領域600とが重なる部分に存在する車両のみを検知し、違法駐車判定手段は、車両検知手段により検知された車両のみを違法駐車車両と判定する。
【0053】
また、車両検知手段および違法駐車判定手段は、駐車禁止領域情報から決定される駐車禁止領域600内に、駐車禁止領域がすべて調査されるように、車両の大きさに対応した領域Xを順次に設定し、領域X内の各画素について、RGB情報の各値の最大値pmaxと最小値pminとの差を算出して、差(pmax−pmin)が補正閾値α’よりも小さい画素の個数(色判定カウンタ値pc)を計数し、領域X内で計数された個数が所定数よりも小さい(pc/N<β)場合に、領域を駐車中の車両と判定する。
【0054】
このように、空撮画像501と地図データMとを比較することにより、駐車禁止領域600に存在する車両を容易にかつ自動的に検知することができる。
また、ヘリ101などで上空から地上を撮影し、空撮画像501と地図データMを用いて違法駐車中の車両を検知するので、調査対象となる車両に気づかれずに処理を行うことができる。
【0055】
また、地図データMには、位置情報(地図の示す範囲の緯度経度情報など)のみならず、駐車禁止領域600の情報もあらかじめ含まれているので、処理装置102において、空撮画像501と地図データMとのマッチングを取ることにより、空撮画像501内の駐車禁止領域600を容易に判別して決定することができる。
【0056】
また、空撮画像501内の駐車禁止領域600のみに対して画像処理を実行することにより駐車中の車両を判別するので、判別された駐車車両が違法駐車車両であることを直ちに判定することができる。
【0057】
また、図5のように、車両を判別した位置を地図と重ね合わせることにより、実際に車両が存在する絶対位置を知ることができる。
この結果、違法駐車中の車両および絶対位置を判別した後に、その場所に警官が同時に到達すれば、逃走回避されることなく違法駐車中の車両を確実に検挙することが可能となる。
【0058】
さらに、ヘリ101は送信手段(通信手段)を備え、処理装置102は画像・位置受信機110(通信手段)を備えているので、ヘリ101から処理装置102に対して、空撮画像501をリアルタイムに送信することができ、迅速な車両位置検知処理を実現することができる。
【0059】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1)では、ヘリ101から処理装置102に対し、通信手段を介して適宜に空撮画像501およびヘリ位置・向き情報502を送信したが、図6のように、ヘリ101に記録媒体200を搭載し、複数の空撮画像501を記録媒体200に格納して、撮影終了後に、処理装置102Aにおいてまとめて処理してもよい。
【0060】
図6はこの発明の実施の形態2に係る車両位置検知システムの全体を概略的に示す構成図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
【0061】
この場合、ヘリ101において、空撮画像501およびヘリ位置・向き情報502を一旦まとめて記録媒体200に記録しておき、撮影終了後に、処理装置102Aにおいて、記録媒体200内のデータ(複数の空撮画像501を含む)が、地図データMおよびカメラパラメータCとともに、まとめて処理される。
【0062】
この発明の実施の形態2(図6)によれば、ヘリ101および処理装置102Aにおいて、通信手段(画像・位置受信機110など)が不要になるので、全体のシステム構成が簡易化されるが、リアルタイム性が低下するので、撮影終了の直後に、前述の車両位置検知処理を実行することが望ましい。
【0063】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2(図1、図6)では、上空側のヘリ101(画像取得用の撮影手段)とは別の場所(地上側)に処理装置102を設置したが、各ファイル510、511とともに処理装置102をヘリ101に搭載し、最終的な車両位置検知結果のみを地上側に送信するように構成してもよい。
【0064】
この場合、ヘリ101側の搭載機材が増えるものの、膨大なデータ量からなる空撮画像501を地上側に送信する必要がないので、ヘリ101側から地上側への送信情報が測定結果のみに軽減されるという効果がある。
【0065】
実施の形態4.
また、上記実施の形態1では、空撮画像501と地図データMとのマッチング用の「上空から見て判別しやすい特徴的地物情報」として、陸橋などを用いたが、他の地物情報を用いてもよい。また、単一の地物情報ではなく、ビルの並び状況や道路の広さなどの構造を利用してマッチングすることも可能である。
【0066】
実施の形態5.
さらに、上記実施の形態1(図3、図4)では、空撮画像501から車両を検知するために、領域X内の各画素の色を用いたが、他の画像認識技術を用いて立体的情報を取得することにより駐車車両を検知してもよい。
この場合、空撮画像501から立体的情報を直接取得することは難しいが、学習データに基づく判別手段を併用することにより適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
100 カメラ、101 ヘリ(撮影手段)、102、102A 処理装置、110 画像・位置受信機、200 記録媒体、501 空撮画像、502 ヘリ位置・向き情報、510 地図データファイル、511 カメラパラメータファイル、600 駐車禁止領域、C カメラパラメータ、M 地図データ、pc 色判定カウンタ値、pmax 最大値、pmin 最小値、X 領域、α’ 色判定用の補正閾値、β 駐車車両判定用の閾値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上空側から地上を撮影した空撮画像を取得して、前記空撮画像から違法駐車の対象となる車両の位置を検知する車両位置検知システムであって、
前記空撮画像を撮影するためのカメラを有する撮影手段と、
前記空撮画像に対応した地図データを格納する地図データファイルと、
前記空撮画像と前記地図データとから前記車両を検知する処理装置とを備え、
前記処理装置は、
前記空撮画像と前記地図データとの位置合わせを行う地図位置合わせ手段と、
前記空撮画像に存在する車両を検知する車両検知手段と、
前記車両が駐車禁止領域に存在するか否かを判定する違法駐車判定手段と
を有することを特徴とする車両位置検知システム。
【請求項2】
前記地図データは、特徴的地物情報を含み、
前記地図位置合わせ手段は、前記空撮画像内の特徴的地物情報と前記地図データ内の特徴的地物情報との照合によって位置合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載の車両位置検知システム。
【請求項3】
前記地図データは、前記駐車禁止領域情報を含み、
前記車両検知手段は、前記空撮画像と前記駐車禁止領域情報とが重なる部分に存在する車両のみを検知し、
前記違法駐車判定手段は、前記車両検知手段により検知された車両のみを違法駐車車両と判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両位置検知システム。
【請求項4】
前記車両検知手段および前記違法駐車判定手段は、
前記駐車禁止領域情報から決定される駐車禁止領域内に、前記駐車禁止領域がすべて調査されるように、前記車両の大きさに対応した領域を順次に設定し、
前記領域内の各画素について、RGB情報の各値の最大値と最小値との差を算出して、前記差が所定の閾値よりも小さい画素の個数を計数し、
前記領域内で計数された前記個数が所定数よりも小さい場合に、前記領域を駐車中の車両と判定することを特徴とする請求項3に記載の車両位置検知システム。
【請求項5】
前記撮影手段は、時系列的に複数の空撮画像を撮影し、
前記車両検知手段および前記違法駐車判定手段は、
前記複数の空撮画像内の同一の駐車禁止領域に対して、それぞれ前記調査を行い、
前記同一の駐車禁止領域内の同一の領域が駐車中の車両と判定された場合のみに、最終的に違法駐車中の車両であると判定することを特徴とする請求項4に記載の車両位置検知システム。
【請求項6】
前記撮影手段および前記処理装置は、それぞれ通信手段を有し、
前記空撮画像は、前記撮影手段から前記処理装置にリアルタイムに送信されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車両位置検知システム。
【請求項7】
前記撮影手段は、複数の空撮画像を格納する記憶媒体を有し、
前記処理装置は、前記記憶媒体に格納された複数の空撮画像に対してまとめて処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車両位置検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−70304(P2011−70304A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219296(P2009−219296)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、「ユビキタス空間情報基盤技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】