車両側部構造
【課題】車両衝突時において、衝突エネルギを効率良く吸収することが可能な車両側部構造を提供すること。
【解決手段】ドア19が閉状態のとき、ステップ箱6の上板部34の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第2下面24に近接して対向する。また、可動ステップ部35の側板部48の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向する。
【解決手段】ドア19が閉状態のとき、ステップ箱6の上板部34の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第2下面24に近接して対向する。また、可動ステップ部35の側板部48の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭63−57141号公報には、第1ステップと、第1ステップよりも上方に設けられた第2ステップとを備えた車両用ステップが記載されている。この第2ステップの車両側と車両進行方向の前側と後側とは板体で覆われており、車体のフロアパネルとともに側方開口の収納箱を構成している。ドアの下端は、収納箱の開口部を覆うように第2ステップの縁部より若干下方まで延設され、ドアには、収納箱の開口部に当接して内部を外部からシールするウエザストリップが設けられている。
【0003】
【特許文献1】実開昭63−57141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両衝突時においては、車両の一部を積極的に変形させて衝突エネルギを吸収することが望ましい。
【0005】
しかし、上記車両用ステップのように第2ステップがウエザストリップを介して単にドアに当接している構造であると、例えば、第2ステップに車両前下方からの衝突荷重が入力した際に、第2ステップ全体がドアに対して上方へ相対的に移動してしまう場合がある。かかる場合、第2ステップが有効に変形せず、車両衝突時の衝突エネルギを十分に吸収できない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、車両衝突時において、衝突エネルギを効率良く吸収することが可能な車両側部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様に係る車両側部構造は、キャブとドアと略板状の外形を有するステップとを備える。
【0008】
ドアは、キャブの車幅方向外側の開口を開閉する。ステップは、車体側部に支持されて前後方向に延び、開口からキャブへ乗降する乗員の足場となる。ドアの下部は、ドアが開口を覆う閉状態のときに、ステップの車幅方向外端面に近接して対向するフランジ側面とステップの上面に近接して対向するフランジ下面とを有する。
【0009】
上記構成では、ドアが閉状態のとき、ドアの下部のフランジ側面及びフランジ下面は、ステップの車幅方向外端面及び上面にそれぞれ近接して対向する。車両衝突時において、ドアがステップ側へ移動すると、ドアの下部のフランジ側面及びフランジ下面がステップの車幅方向外端面及び上面とそれぞれ当接し、車幅方向外側及び上方への移動が規制された状態でステップが押圧されるので、ステップが確実に潰れ変形を起こす。従って、車両衝突時において、乗員の足場となるステップを所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0010】
また、本発明の第2の態様に係る車両側部構造は、第1の態様に係る車両側部構造であって、展開手段を備える。展開手段は、ステップを、前後方向に沿って起立する収納位置と車幅方向に沿って延びて足場として機能する展開位置との間で移動自在に車体側部に支持する。ドアが閉状態のとき、フランジ側面は、収納位置に設定されたステップの車幅方向外端面に近接して対向し、フランジ下面は、収納位置に設定されたステップの上面に近接して対向する。
【0011】
上記構成では、乗員がキャブへ乗降するとき、ステップが展開位置に設定されて足場として機能する。ドアが閉状態のとき、ステップが収納位置に設定されて前後方向に沿って起立し、ステップの車幅方向外端面及び上面が閉状態のドアのフランジ側面及びフランジ下面にそれぞれ近接して対向する。車両衝突時において、ドアがステップ側へ移動すると、ドアの下部のフランジ側面及びフランジ下面が収納位置のステップの車幅方向外端面及び上面とそれぞれ当接し、ステップが、前後方向に沿って起立した状態のまま押圧されるので、ステップを車幅方向に沿って延びた状態で配置した場合よりも上下方向に潰れ変形させることができる。従って、車両衝突時に車両に対して入力される衝突荷重のうち、上下方向の衝突荷重に対する衝突エネルギの吸収量を増大させることができる。
【0012】
また、本発明の第3の態様に係る車両側部構造は、キャブとドアと略板状の外形を有する第1のステップと略板状の外形を有する第2のステップと展開手段とを備える。
【0013】
ドアは、キャブの車幅方向外側の開口を開閉する。第1のステップは、車体側部に支持されて前後方向に延び、開口からキャブへ乗降する乗員の足場となる。第2のステップは、第1のステップよりも下方に配置される。展開手段は、第2のステップを、前後方向に沿って起立する収納位置と車幅方向に沿って延びて足場として機能する展開位置との間で移動自在に車体側部に支持する。
【0014】
ドアの下部は、ドアが開口を覆う閉状態のときに、第1のステップの車幅方向外端面又は収納位置に設定された第2のステップの車幅方向外端面の少なくとも一方に近接して対向するフランジ側面と、第1のステップの上面又は収納位置に設定された第2のステップの上面の少なくとも一方に近接して対向するフランジ下面とを有する。
【0015】
上記構成では、第1のステップよりも下方に第2のステップが配置されている。乗員がキャブへ乗降するとき、第2のステップは展開位置に設定されて足場として機能し、ドアが閉状態のとき、第2のステップは収納位置に設定されて前後方向に沿って起立する。車両衝突時において、ドアが第1のステップ及び収納位置の第2のステップ側へ移動すると、第1のステップの車幅方向外端面又は収納位置の第2のステップの車幅方向外端面の少なくとも一方がフランジ側面と当接し、第1のステップの上面又は収納位置の第2のステップの上面の少なくとも一方がフランジ下面と当接する。
【0016】
これにより、車体側部に支持された第1のステップ及び収納位置の第2のステップの車幅方向外側及び上方への移動が規制された状態で第1のステップ及び第2のステップが押圧されるので、第1のステップ及び第2のステップが確実に潰れ変形を起こす。従って、車両衝突時において、乗員の足場となる第1のステップ及び第2のステップを所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0017】
また、第2のステップは、前後方向に沿って起立した状態のまま押圧されるので、第2のステップを上下方向に潰れ変形させることができる。従って、車両衝突時に車両に対して入力される衝突荷重のうち、上下方向の衝突荷重に対する衝突エネルギを有効に吸収することができる。
【0018】
また、ドアが開状態のとき、乗員は展開位置の第1のステップ及び第2のステップを足場としてキャブへ容易に乗降することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車両衝突時において、衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は上昇位置のステップ箱を示す側面図、図2は下降位置のステップ箱を示す側面図、図3はステップ箱を示す斜視図である。図4は図3のA−A線断面図、図5はステップ箱の取付構造を示す斜視図、図6はステップ箱の取付構造を示す側面図である。図7はステップ箱昇降装置のブロック図、図8はステップ箱下降処理を示すフローチャート、図9はステップ箱上昇処理を示すフローチャートである。図10は前面衝突時におけるステップ箱の潰れた状態を示す図、図11はステップ箱の他の取付構造を示す上面図、図12〜図14はドアの他の態様を示す断面図である。なお、以下の説明において、前後方向は車両の進行方向前後を示し、内外方向は車幅方向の内外を示す。また、図6では前側ラックギア8、後側ラックギア9、前側ピニオンギア38、後側ピニオンギア、フレーム側固定板61及びFUP側固定板62の図示を省略している。
【0021】
図1、図2及び図5に示すように、本実施形態にかかるキャブオーバートラック1は、フレーム(車体側部)2と、クロスメンバ(車体側部)3と、フロントアンダーランプロテクタ(車体側部、以下FUPと称する)4と、キャブ5と、ステップ箱6と、ステップ箱昇降装置(展開手段)7と、前側ラックギア(展開手段)8と、後側ラックギア(展開手段)9等を備えている。
【0022】
フレーム2は、キャブオーバートラック1の車幅方向両側で車両前後方向に延びている。フレーム2の前端部分には、下方へ延びるパイプ10が固定されている。クロスメンバ3は、フレーム2の前端部に配置されて各フレーム2の前端部間を連結している。FUP4は、フレーム2及びクロスメンバ3の下方に配置されて車幅方向に延びている。また、クロスメンバ3及びFUP4の前方には、車幅方向に延びてクロスメンバ3及びFUP4の前端部を覆うフロントバンパ11が設けられている。
【0023】
パイプ10は、一端部10aと中間部10bと他端部10cとを有する。パイプ10は、フレーム2の車幅方向外側且つFUP4の後方に配置され、キャブオーバートラック1の前面衝突時において、後述するステップ箱6の後方への移動を規制する。一端部10aは、フレーム2の車幅方向外側面にブラケット12を介して固定されている。中間部10bは一端部10aの車幅方向外端から下方に延び、他端部10cは中間部10bの下端から車幅方向外側に延びている。
【0024】
キャブ5は、フロントパネル13と左右一対のサイドパネル14とフロアパネル15とルーフパネル(図示せず)とリアパネル16等を有し、フレーム2及びクロスメンバ3の上方に配置されて特に図示しないキャブマウントブラケット等によって下方から支持されている。
【0025】
フロントパネル13は、キャブオーバートラック1の前端を区画している。各サイドパネル14はそれぞれドア開口(開口)17を有し、フロントパネル13の車幅方向両端部に溶接等によってそれぞれ固着されて後方に延びている。また、サイドパネル14には、フェンダ18と略板状のドア19とが取り付けられている。フェンダ18は、サイドパネル14の後下部に取付固定されてタイヤ20の略上半分を覆っている。
【0026】
図4に示すように、ドア19は、外側面21と第1下面22と第1内側面(フランジ側面)23と第2下面(フランジ下面)24と第2内側面25とを有している。ドア19の前端部は、サイドパネル14の前端部にヒンジ(図示せず)等を介して回転自在に連結され、ドア19は、ドア開口17を覆う閉止位置と(図1参照)、この閉止位置の車幅方向外側でドア開口17を開放する開放位置との間を開閉移動する(図2参照)。
【0027】
ドア19が閉止位置のとき、外側面21は、ドア19の車幅方向外側で上下方向に延びている。第1下面22は、外側面21の下端から車幅方向内側に延び、第1内側面23は、第1下面22の車幅方向内端から上方に延びている。第2下面24は、第1内側面23の上端から車幅方向外側に延び、第2内側面25は、第2下面24の車幅方向内端から上方に延びている。
【0028】
図1及び図2に示すように、フロアパネル15は、フロア中央部26とフロア側部27とを有し、フロントパネル15の下端部から後方に延びて各サイドパネル14の下端部に固着されて車室の床面を形成している。
【0029】
フロア中央部26は、フロアパネル15の車幅方向中央部で前後方向に延びている。フロア側部27は、フロア中央部26の車幅方向両端から曲折して車幅方向外側に傾斜している。このフロア側部27の前端部には車幅方向内側に窪んだ凹部28が形成され、凹部28には前後方向に延びる略板状の固定ステップ板29が設けられている。固定ステップ板29は、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。
【0030】
ルーフパネルは、フロントパネル13の上端部から後方に延びて各サイドパネル14の上端部に固着されている。リアパネル16は、フロアパネル15の後端部から上方に延びて各サイドパネル14の後端部及びルーフパネルの後端部に固着されている。
【0031】
図1〜図6に示すように、ステップ箱6は、車幅方向外側が開口する略箱形状であり、FUP4とパイプ10との間に配置されている。ステップ箱6は、前板部30と側板部31と底板部32と後板部33と上板部(第1のステップ)34と可動ステップ部(第2のステップ)35等を有する。ステップ箱6は、ステップ箱昇降装置7によって固定ステップ板29の下方且つフロントバンパ11とフェンダ18との間に位置する上昇位置と、ドア19よりも下方に移動した下降位置との間を上下移動する。
【0032】
前板部30は、フレーム2の車幅方向外側且つFUP4の後方に配置されてステップ箱6の前端を区画している。前板部30には、回転軸(展開手段)36と前側ピニオンギア(展開手段)38と上側プーリ(展開手段)40と下側プーリ(展開手段)42とが設けられている。
【0033】
回転軸36は前板部30を前後方向に貫通し、前板部30に対して回転自在に支持されている。前側ピニオンギア38は円形歯車であり、回転軸36の前端に連結されて前板部30の前面に対向配置されている。
【0034】
上側プーリ40は、回転軸36の後端に連結されて前板部30の後面に対向配置され、前側ピニオンギア38の回転に連動して回転する。下側プーリ42は、上側プーリ40の車幅方向内側下方に配置されて、前板部30の後面から後方に突出した軸によって回転自在に支持されている。上側プーリ40及び下側プーリ42にはベルト44が巻架されて、上側プーリ40の回転に連動して下側プーリ42が連動して回転する。
【0035】
側板部31は、前板部30の車幅方向内端から後方に延びている。底板部32は、後述するすのこ部34b,48bと同様にすのこ状に形成された平面部32a及び湾曲部32bを有し、前板部30の下端から後方に延びている。平面部32aは、側板部31の車幅方向外側で車幅方向に延びている。湾曲部32bは、平面部32aの車幅方向外端から車幅方向外側上方に向かって湾曲して延びている。
【0036】
後板部33は、底板部32の後端から上方に延びて側板部31の後端に固着されている。後板部33には、回転軸(展開手段)37と特に図示していない後側ピニオンギア(展開手段)と上側プーリ(展開手段)41と下側プーリ(展開手段)43とが設けられている。
【0037】
回転軸37は、後板部33を前後方向に貫通し、後板部33に対して回転自在に支持されている。後側ピニオンギアは円形歯車であり、回転軸37の後端に連結されて後板部33の前面に対向配置されている。
【0038】
上側プーリ41は、回転軸37の前端に連結されて後板部33の前面に対向配置され、後側ピニオンギアの回転に連動して回転する。下側プーリ43は、上側プーリ41の車幅方向内側下方に配置されて、後板部33の前面から前方に突出した軸によって回転自在に支持されている。上側プーリ41及び下側プーリ43にはベルト45が巻架されて、上側プーリ41の回転に連動して下側プーリ43が連動して回転する。
【0039】
上板部34は、板部34a及びすのこ部34bを有する。上板部34は、前板部30の上端から後方に延びて後板部33の上端に固着され、ステップ箱6が下降位置のとき、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。
【0040】
板部34aは、前後方向に沿って立設された金属製の略矩形板状部材であり、側板部31の板厚よりも薄く設定されている。板部34aは、前端及び後端が前板部30及び後板部33にそれぞれ固着され、上板部34の車幅方向外端を区画している。
【0041】
すのこ部34bは、前板部30に対して車幅方向内側後方に延びる金属製の複数の略矩形板状部材と、前板部30に対して車幅方向外側後方に延びる金属製の複数の略矩形板状部材とが格子状に並んで配置されて、複数の略正方形が区画形成されている。これら各板状部材が交差する各交差部は、溶接等によって接合されている。また、すのこ部34bの各板状部材は側板部31の板厚よりも薄く設定され、前端、後端及び車幅方向外端が、それぞれ前板部30、後板部33及び板部34aに接合されている。
【0042】
可動ステップ部35は、前板部46と底板部47と側板部48と後板部49と上板部50とを有し、展開位置のとき、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。可動ステップ部35は下側プーリ42,43と連結して、車幅方向に沿って延びる展開位置と、ステップ箱6の底板部32の車幅方向外側で前後方向に沿って起立する収納位置との間を回転移動する。
【0043】
可動ステップ部35の前板部46は下側プーリ42と連結し、収納位置のとき、ステップ箱6の前板部30の後面に対向配置される。底板部47は、前板部46の下端から後方に延びている。
【0044】
側板部48は、車幅方向外端を区画する平板部48aとこの平板部48aの車幅方向内側に形成されたすのこ部48bとを有し、前板部46の車幅方向外端から後方に延びて底板部47の車幅方向外端と固着している。
【0045】
平板部48aは金属製の板状部材であり、側板部31の板厚よりも薄く設定されている。すのこ部48bは、すのこ部34bと同様の形状に形成されている。すなわち、前板部46に対して後上方に延びる金属製の複数の略矩形板状部材と、前板部46に対して後下方に延びる金属製の複数の略矩形板状部材とが格子状に並んで配置されて複数の略正方形が区画形成され、各交差部が溶接等によって接合されている。また、すのこ部48bの各板状部材は側板部31の板厚よりも薄く設定されている。
【0046】
後板部49は、底板部47の後端から上方に延びて側板部48の後端と固着するとともに、ステップ箱6の後板部33の前面に対向配置されて下側プーリー43と連結している。上板部50は、前板部46の上端から後方に延びて側板部48及び後板部49の上端と固着している。上板部50の車幅方向の長さは、底板部47の車幅方向の長さよりも短く設定されている。
【0047】
図7に示すように、ステップ箱昇降装置7は、前側エアシリンダ51と後側エアシリンダ52と上昇スイッチ53と下降スイッチ54とドアセンサ55と音波センサ56と車速センサ57とCPU58等を有し、ステップ箱6を上昇位置と下降位置との間で上下移動させる。また、特に図示していないが、ステップ箱昇降装置7には、車両走行中においてステップ箱6を上昇位置に解除自在に保持しておくためのロック機構が設けられている。
【0048】
図5及び図6に示すように、前側エアシリンダ51は、前側シリンダ本体59と前側シャフト60とを有し、FUP4とステップ箱6との間に配置されている。
【0049】
前側シリンダ本体59は略円筒形状であり、フレーム側固定板61及びFUP側固定板62を介してフレーム2、クロスメンバ3及びFUP4に連結固定されている。
【0050】
前側シャフト60は略棒形状であり、前側シリンダ本体59内に上下移動自在に挿入されている。前側シャフト60は、前側シリンダ本体59内を上下移動することで前側エアシリンダ51全体が伸縮する。前側シャフト60の下端60aは、前側シャフト取付ブラケット63等を介してステップ箱6の前板部30の前面に連結固定されている。
【0051】
後側エアシリンダ52は、後側シリンダ本体64と後側シャフト65とを有し、ステップ箱6とパイプ10との間に配置されている。
【0052】
後側シリンダ本体64は略円筒形状であり、パイプ側固定板66を介してパイプ10の他端部10cに連結固定されている。後側シャフト65は略棒形状であり、後側シリンダ本体64内に上下移動自在に挿入されている。後側シャフト65は後側シリンダ本体64内を上下移動することで後側エアシリンダ52全体が伸縮する。後側シャフト65の下端65aは、後側シャフト取付ブラケット67を介してステップ箱6の後板部33の後面に連結固定されている。
【0053】
前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52は、CPU58に接続されてCPU58からの制御信号を受けて前側シャフト60及び後側シャフト65を上下移動させ、CPU58からの停止信号を受けてこの上下移動を停止する。また、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52は、前側シャフト60及び後側シャフト65が最下位置に移動したとき、すなわち、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52が上下方向に最も伸びた最伸状態のときに最下位置信号をCPU58に出力し、前側シャフト60及び後側シャフト65が最上位置に移動したとき、すなわち、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52が上下方向に最も縮んだ最縮状態のときに最上位置信号をCPU58に出力する。
【0054】
上昇スイッチ53及び下降スイッチ54は、乗員がキャブ5内へ乗降する際に乗員からの入力によってONとなるスイッチであり、ドア19の外側面21及び第2内側面25にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0055】
ドアセンサ55は、ドア19が開放位置のときに開信号をCPU58に出力し、閉止位置のときに閉信号をCPU58に出力する。
【0056】
音波センサ56は、例えば、ステップ箱6の底板部32に設けられている。音波センサは56、超音波を底板部32の下方に向けて送信し、被検出体に当たって反射された超音波を受信することにより底板部32から地上(又は底板部の下方の障害物等)までの距離Lを検出し、この距離LをCPU58に出力する。
【0057】
CPU58には、上昇スイッチ53からのON信号と、下降スイッチ54からのON信号と、ドアセンサ55からの開信号又は閉信号と、キャブオーバートラック1の車速Vを検出する車速センサ57からの車速信号と、音波センサ56からの距離Lとが入力する。CPU58は、上昇スイッチ53及び下降スイッチ54からのON信号と、ドアセンサ55からの開信号又は閉信号と、車速信号と、音波センサ56からの距離Lとに基づいて、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52を制御して、前側シャフト60及び後側シャフト65を上方移動又は下方移動させる。
【0058】
図5に示すように、前側ラックギア8は、前側空走部8aと前側作動部8bとを有し、FUP4に固定されている。前側空走部8aは略平板状に形成されて、前側エアシリンダ51よりも車幅方向外側且つ前側ピニオンギア38よりも車幅方向内側に配置されている。前側作動部8bは、前側空走部8aの下方に形成されるとともに、車幅方向外側面が歯切り加工されて凹凸状に形成されている。
【0059】
後側ラックギア9は、後側空走部9aと後側作動部(図示せず)とを有し、パイプ側固定板66に固定されている。後側空走部9aは略平板状に形成されて、後側エアシリンダ52よりも車幅方向外側且つ後側ピニオンギアよりも車幅方向内側に配置されている。後側作動部は、後側空走部9aの下方に形成されるとともに、車幅方向外側面が歯切り加工されて凹凸状に形成されている。
【0060】
図1、図3及び図4に示すように、ドア19が閉止位置に設定されたドア閉状態のとき、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52が最縮状態に設定されてステップ箱6が上昇位置に設定されるとともに、可動ステップ部35が収納位置に設定される。このドア閉状態において、ステップ箱6の上板部34の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第2下面24に近接して対向し、可動ステップ部35の側板部48の車幅方向外端面が第1内側面23に近接して対向する。このように、ドア閉状態のとき、ステップ箱6の車幅方向外側上部の開口がドア19の下部によって覆われ、ステップ箱6の車幅方向外側下部の開口が収納位置の可動ステップ部35によって覆われる。また、ドア閉状態のとき、前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアは、前側ラックギア8の前側空走部8a及び後側ラックギア9の後側空走部9aにそれぞれ対向する。
【0061】
前側シャフト60及び後側シャフト65が下方に移動すると、前側シャフト60及び後側シャフト65の下方移動に伴ってステップ箱6が下方へ移動し、前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアが前側ラックギア8及び後側ラックギア9に沿って下方へ移動する。
【0062】
前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアは、前側ラックギア8の前側空走部8a及び後側ラックギア9の後側空走部9aに沿って下方移動するときは回転せずに、前側作動部8b及び後側作動部に沿って下方移動するときに回転する。具体的には、前側ピニオンギア38が前側作動部8bに沿って下方移動すると、前側ピニオンギア38が車両前方から視て反時計回りに回転し、後側ピニオンギアは車両後方から視て時計回りに回転する。
【0063】
これら前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアの回転に伴って上側プーリ40,41及び下側プーリ42,43が回転し、起立した状態の可動ステップ部35は、下側プーリ42,43を軸としてステップ箱6に対して車幅方向外側へ回転移動して展開位置に設定される。なお、本実施形態では、ステップ箱6の下方移動に伴って、起立した可動ステップ部35の上板部50がドア19の下端よりも下方に移動したときに、可動ステップ部35の車幅方向外側への回転移動が開始するように前側作動部8b及び後側作動部を配置している。
【0064】
図2、図4〜図6に示すように、可動ステップ部35が展開位置のとき、可動ステップ部35の上板部50は、ステップ箱6の上板部34の車幅方向外端よりも車幅方向外側で起立し、底板部47は、ステップ箱6の側板部31の車幅方向内側面に対向している。可動ステップ部35の側板部48は車幅方向に延び、平板部48aがステップ箱6の湾曲部32bの車幅方向外側上端部と接触して下方から支持されている。可動ステップ部35が展開位置に設定されたとき、展開位置の可動ステップ部35と下降位置のステップ箱6の上板部34と固定ステップ板29とが階段状に並んでキャブ5へ乗降する際の乗員の足場として機能する。
【0065】
次に、CPU58が実行する処理を、ステップ箱下降処理とステップ箱上昇処理とに分けて説明する。なお、特に図示していないが、CPU58の記憶部(メモリ)には、車速Vを順次記憶する車速記憶領域と距離Lを順次記憶する距離記憶領域とが設けられている。
【0066】
ステップ箱下降処理では、図8に示すように、下降スイッチ54からON信号が入力したか否かを判断する(ステップS1)。下降スイッチ54からON信号が入力したと判断した場合(ステップS1:Yes)、車速記憶領域から最新の車速Vを読み出し、車速Vが0km/hであるか否か、すなわち、キャブオーバートラック1が停止しているか否かを判定する(ステップS2)。車速Vが0km/hであると判定すると(ステップS2:Yes)、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に制御信号を出力して(ステップS3)、前側シャフト60及び後側シャフト65を下方移動させる。
【0067】
次に、ステップS4に進み、距離記憶領域から最新の距離Lを読み出す(ステップS4)。そして、距離Lが3cmを超えているか否か、すなわち、ステップ箱6の底板部32が地上から十分に離れているか否かを判定し(ステップS5)、距離Lが3cmを超えていると判定した場合(ステップS5:Yes)には、最下位置信号が入力したか否かを判断する(ステップS6)。そして、最下位置信号が入力したと判断した場合(ステップS6:Yes)には、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に停止信号を出力し(ステップS7)、前側シャフト60及び後側シャフト65の下方移動を停止させて本処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS1において、下降スイッチ54からON信号が入力していない場合(ステップS1:No)には、ドアセンサ55から開信号が入力したか否かを判断する(ステップS8)。そして、開信号が入力したと判断した場合(ステップS8:Yes)には、ステップS2に進み、開信号が入力していないと判断した場合(ステップS8:No)には、ステップS2〜ステップS7の処理を実行せずに本処理を終了する。
【0069】
また、ステップS2において、車速Vが0km/hを超えていると判定した場合(ステップS2:No)、すなわち、キャブオーバートラック1が走行中である場合には、ステップS3〜ステップS7の処理を実行せずに本処理を終了する。
【0070】
さらに、ステップS5において、距離Lが3cm以下であると判定した場合(ステップS5:No)、すなわち、ステップ箱6の底板部32が地上に接近している場合には、ステップS7に進み、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に停止信号を出力する。
【0071】
また、ステップS6において、最下位置信号が入力していないと判断した場合(ステップS6:No)には、ステップS4へ戻り、距離記憶領域から距離Lを読み出す。
【0072】
ステップ箱上昇処理では、図9に示すように、上昇スイッチ53からON信号が入力したか否かを判断する(ステップS11)。上昇スイッチ53からON信号が入力したと判断した場合(ステップS11:Yes)、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に制御信号を出力し(ステップS12)、前側シャフト60及び後側シャフト65を上方移動させる。
【0073】
次に、ステップS13に進み、最上位置信号が入力したか否かを判断する(ステップS13)。そして、最上位置信号が入力したと判断した場合(ステップS13:Yes)には、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に停止信号を出力し(ステップS14)、本処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS11において、上昇スイッチ53からON信号が入力していない場合(ステップS11:No)には、ドアセンサ55から閉信号が入力したか否かを判断する(ステップS15)。そして、閉信号が入力したと判断した場合(ステップS15:Yes)には、ステップS12に進み、閉信号が入力していないと判断した場合(ステップS15:No)には、ステップS12〜ステップS14の処理を実行せずに本処理を終了する。
【0075】
このように、本実施形態によれば、上板部34よりも下方に可動ステップ部35が配置されている。乗員がキャブ5へ乗降するとき、可動ステップ部35は展開位置に設定されて足場として機能し、ドア19が閉状態のとき、可動ステップ部35は収納位置に設定されて前後方向に沿って起立する。そして、ドア19が閉状態のとき、上板部34の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第2下面24に近接して対向する。また、側板部48の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向する。前面衝突時(特にオフセット衝突時)において、ドア19が、上板部34及び側板部48側へ移動すると、上板部34の車幅方向外端面及び側板部48の車幅方向外端面が第1内側面23と当接し、上板部34の上面が第2下面24と当接する。
【0076】
これにより、フレーム2、クロスメンバ3及びFUP4によって支持された上板部34及び可動ステップ部35の車幅方向外側及び上方への移動が規制される。さらに、パイプ10によって、ステップ箱6、すなわち、上板部34及び可動ステップ部35の後方への移動が規制される。このような状態で上板部34及び可動ステップ部35が前板部30によって後方に向かって押圧されるため、上板部34及び可動ステップ部35が確実に潰れ変形する。
【0077】
具体的には、図10に示すように、前面衝突時において、前板部30に対して前方からの衝突荷重Fが加わると、側板部31が、変形の初期段階において局所的な曲げ変形が生じて略く字状に変形する。一方、上板部34では、側板部31の板厚よりも薄く設定された板部34a及びすのこ部34bの板状部材の交差部間でそれぞれ座屈的な細かい変形が生じる。また、側板部48においても、上板部34と同様に、平板部48a及びすのこ部48bの各板状部材に座屈的な細かい変形が生じる。さらに、底板部32においても、上板部34と同様に座屈的な細かい変形が生じる。このように、車両衝突時において、上板部34、側板部48及び底板部32は、局所的に変形することなく前後方向に効率良く潰れる。
【0078】
従って、前面衝突時において、乗員の足場となる上板部34及び可動ステップ部35を所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0079】
また、すのこ部34b,48bにおいて、複数の板状部材を格子状に並べて配置するとともに各板状部材の交差部を接合しているため、前面衝突時に各板状部材が交差部間で座屈的な細かい変形を起こし、上板部34及び側板部48に局所的な曲げ変形が生じることがない。このため、上板部34及び側板部48を単に板状部材で形成した場合よりも、衝突エネルギをより効率良く吸収することができる。
【0080】
さらに、ステップ箱6の底板部32をすのこ状に形成しているため、上板部34及び側板部48とともに底板部32が潰れ変形する。従って、ステップ箱6の底板部32を所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0081】
また、車両衝突時において、可動ステップ部35は起立した状態であるため、上下方向の衝突荷重に応じて可動ステップ部35を上下方向に潰れ変形させることができる。従って、車両衝突時に入力される衝突荷重のうち、上下方向の衝突荷重に対する衝突エネルギを有効に吸収することができる。
【0082】
また、車両走行時において、ステップ箱6の車幅方向外側がドア19の下部と収納位置の可動ステップ部35とによって覆われるため、ステップ箱6の車幅方向外側が開口した状態で走行する場合に比べて、キャブオーバートラック1の空気抵抗を低減することができる。
【0083】
また、ステップ箱6が下降位置のとき、展開位置の可動ステップ部35と下降位置のステップ箱6の上板部34と固定ステップ板29とが階段状に並んで乗員の足場として機能するため、乗員がキャブ5へ乗降する際の乗降性を向上させることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、すのこ部34b,48bが、複数の板状部材を格子状に並べて配置して複数の略正方形を区画形成したものである場合を説明したが、例えば、複数の略六角形を区画形成するように複数の板状部材を並べて配置したものであってもよい。
【0085】
また、すのこ部34b,48bのすべての交差部を接合する場合に限られず、接合していない箇所があってもよい。すなわち、上述したすのこ部34b,48bの変形を起こすことが可能な範囲で交差部を適宜接合すればよい。
【0086】
さらに、上板部34と側板部48とにすのこ部34b,48bを設けずに、単に平板状の部材で形成してもよい。
【0087】
また、上昇スイッチ53又は下降スイッチ54からのON信号に基づいてステップ箱6を移動させているが、例えば、ドア19の開閉に連動してキャブ5の室内灯を点灯・消灯させる室内灯スイッチ(図示せず)からの信号に基づいてステップ箱6を移動させてもよい。あるいは、電波送信又は赤外線送信するリモートコントローラからの信号に基づいてステップ箱6を移動させてもよい。リモートコントローラからの信号に基づいてステップ箱6を移動させる場合には、リモートコントローラからの信号を受信する受信機をキャブオーバートラック1に設けるとよい。
【0088】
また、音波センサ56によって底板部32から地上(又は底板部よりも下方の障害物等)までの距離Lを検出する場合に限られず、赤外線センサやレーザーセンサによって距離Lを検出してもよい。
【0089】
さらに、ステップ箱6が下方移動する際、底板部32が地上等に接触する前にステップ箱6の移動を停止しているが、例えば、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に生じる負荷を検出するセンサを設け、このセンサによって底板部32と地上等との接触による負荷を検出した後で、ステップ箱6を3cm程度上方移動させて停止してもよい。
【0090】
また、後側シリンダ本体59を、パイプ側固定板66を介してパイプ10の他端部10cに連結固定した場合を説明したが、図11に示すように、FUP4から後方に延びるステー68をステップ箱6よりも車幅方向内側に設けて、このステー68の後端にパイプ側固定板66を固着してもよい。
【0091】
また、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52をステップ箱6の前後に配置する場合に限られず、ステップ箱6の車幅方向内側に配置してもよい。
【0092】
さらに、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52によってステップ箱6を上下移動する場合に限られず、ステップ箱6の前後に設けられた油圧シリンダ又はリニアモータによって移動してもよい。
【0093】
また、前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアにゼンマイバネを連結し、このゼンマイバネの付勢力によって収納位置の可動ステップ部35の起立状態を保持してもよい。
【0094】
また、ドア19が閉状態のときに、上板部34の車幅方向外端面及び側板部48の車幅方向外端面と第1内側面23とが接触するとともに、上板部34の車幅方向外側上面と第2下面24とが接触するようにしてもよい。
【0095】
さらに、ドア19の内側面に前後方向に延びる凹状の溝を形成して、ドア19が閉状態のときに、上板部34と溝とが嵌合するようにしてもよい。
【0096】
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0097】
図12はドア及びステップ箱を示す断面図である。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態のドア19の態様を変更するとともに、ステップ箱6の上板部34の車幅方向の長さを僅かに短くしたものである。他の構成については第1の実施形態と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
図12に示すように、ドア69は、外側面70と第1下面71と第1内側面72と第2下面73と第2内側面(フランジ側面)74と第3下面(フランジ下面)75と第3内側面76とを有している。
【0099】
ドア閉状態のとき、外側面70は、サイドパネル14の車幅方向外側面とともにキャブ5の車幅方向外端を区画する。第1下面71は、外側面70の下端から車幅方向内側に延び、第1内側面72は、第1下面22の車幅方向内端から上方に延びている。第2下面73は、第1内側面72の上端から車幅方向外側に延び、第2内側面74は、第2下面73の車幅方向内端から上方に延びている。第3下面75は、第2内側面74の上端から車幅方向外側に延び、第3内側面76は、第3下面75の車幅方向内端から車幅方向外側上方に向かって湾曲している。
【0100】
このドア閉状態において、上板部34の車幅方向外端面が第2内側面74に近接して対向するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第3下面75に近接して対向する。また、側板部48の車幅方向外端面が第1内側面72に近接して対向するとともに、上板部50の上面が第2下面73に近接して対向する。
【0101】
本実施形態では、前面衝突時において、ドア69が上板部34及び可動ステップ部35側へ移動すると、上板部34の車幅方向外端面が第2内側面74と当接するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第3下面75と当接する。さらに、側板部48の車幅方向外端面が第1内側面72と当接するとともに、上板部50の上面が第2下面73と当接する。すなわち、前面衝突時において、上板部34及び可動ステップ部35の上方への移動が、第3下面75及び第2下面73によって規制されるため、上板部34及び可動ステップ部35をより確実に潰れ変形させることができる。
【0102】
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0103】
図13はドア及びステップ箱を示す断面図である。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態のドア19及びステップ箱6の態様を変更し、可動ステップ部88の回転移動を手動で行う点で異なる。他の構成については第1の実施形態と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0104】
図13に示すように、ドア77は、外側面78と第1下面79と第1内側面(フランジ側面)80と第2下面(フランジ下面)81と第2内側面82とを有している。
【0105】
ステップ箱83は、前板部と側板部84と底板部85と後板部86と可動ステップ部(ステップ)87とを有する。
【0106】
前板部は、ステップ箱83の前端を区画している。側板部84は、前板部の車幅方向内端から後方に延びている。底板部85は、すのこ状に形成された平面部85aと湾曲部85bを有し、前板部の下端から後方に延びている。平面部85aは、底板部85の車幅方向内側上面を区画している。湾曲部85bは、平面部85aの車幅方向外端から車幅方向外側上方に向かって湾曲して延びている。後板部86は、底板部85の後端から上方に延びて側板部84の後端に固着されている。また、前板部及び後板部86には、回転軸(展開手段)92がそれぞれ設けられている。
【0107】
可動ステップ部87は、前板部88と底板部89と側板部90と後板部と上板部91とを有し、回転軸92によって回転自在に支持されている。可動ステップ部87は、車幅方向に沿って延びる展開位置と、ステップ箱83の底板部85の車幅方向外側で前後方向に沿って起立する収納位置との間で回転移動し、展開位置のときに、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。
【0108】
可動ステップ部87の前板部88は回転軸92と連結し、収納位置のとき、ステップ箱83の前板部の後面に対向配置される。底板部89は、前板部88の下端から後方に延びている。側板部90は、前板部88の車幅方向外端から後方に延びて底板部89の車幅方向外端と固着している。
【0109】
後板部は、底板部89の後端から上方に延びて側板部90の後端と固着するとともに、ステップ箱83の後板部86の前面に対向配置されて回転軸92と連結している。上板部91は、前板部88の上端から後方に延びて側板部90及び後板部の上端と固着している。上板部91の車幅方向の長さは、底板部89の車幅方向の長さよりも短く設定されている。
【0110】
本実施形態では、乗員がキャブ5へ乗降する際、ドア77を開放位置に設定するとともに、可動ステップ部87を手動により展開手段に設定して足場として機能させる。そして、乗員がキャブ5へ乗降し終わると、可動ステップ部87を手動により収納位置に設定するとともに、ドア77を閉止位置に設定する。
【0111】
このドア閉状態のとき、側板部90の車幅方向外端面がドア77の下部の第1内側面80に近接して対向し、上板部91の上面が第2下面81に近接して対向する。
【0112】
これにより、前面衝突時において、ドア77が可動ステップ部87側へ移動すると、ドア77の下部の第1内側面80及び第2下面81が側板部90の車幅方向外端面及び上板部91の上面とそれぞれ当接し、可動ステップ部87が起立した状態のまま押圧されるので、可動ステップ部87を車幅方向に沿って延びた状態で配置した場合よりも上下方向に潰れ変形させることができる。従って、車両衝突時に入力される衝突荷重のうち、上下方向の衝突荷重に対する衝突エネルギの吸収量を増大させることができる。
【0113】
次に、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0114】
図14はドア及びステップ箱を示す断面図である。なお、第4の実施形態は、第1の実施形態のドア19及びステップ箱6の態様を変更したものである。他の構成については第1の実施形態と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0115】
図14に示すように、ドア93は、外側面94と第1下面95と第1内側面96と第2下面97と第2内側面(フランジ側面)98とを有している。
【0116】
ドア93が閉止位置のとき、外側面94は、ドア93の車幅方向外側で上下方向に延びている。第1下面95は、外側面94の下端から車幅方向内側に延び、第1内側面96は、第1下面95の車幅方向内端から上方に延びている。第2下面97は、第1内側面96の上端から車幅方向外側に延び、第2内側面98は、第2下面97の車幅方向内端から上方に延びている。
【0117】
ステップ箱99は車幅方向外側が開口する略箱形状であり、前板部と側板部100と底板部と後板部101と上板部(ステップ)102とを有する。
【0118】
前板部は、ステップ箱99の前端を区画している。側板部100は、前板部の車幅方向内端から後方に延びている。底板部は、前板部の下端から後方に延びている。後板部101は、底板部の後端から上方に延びて側板部100の後端に固着されている。
【0119】
上板部102は金属製の略矩形板状部材であり、前板部の上端から後方に延びて後板部101の上端に固着され、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。
【0120】
本実施形態では、ドア93が閉状態のとき、ドア93の下部の第1内側面96及び第2下面97は、上板部102の車幅方向外端面及び車幅方向外側上面にそれぞれ近接して対向する。前面衝突時において、ドア93が上板部102側へ移動すると、ドア93の下部の第1内側面96及び第2下面97が上板部102の車幅方向外端面及び車幅方向外側上面とそれぞれ当接し、車幅方向外側及び上方への移動が規制された状態で上板部102が前板部によって後方に押圧されるので、上板部102が確実に潰れ変形を起こす。従って、前面衝突時において、乗員の足場となる上板部102を所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0121】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【産業上の利用可能性】
【0122】
ドアとステップを有する車両に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】上昇位置のステップ箱を示す側面図である。
【図2】下降位置のステップ箱を示す側面図である。
【図3】ステップ箱を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】ステップ箱の取付構造を示す斜視図である。
【図6】ステップ箱の取付構造を示す側面図である。
【図7】ステップ箱昇降装置のブロック図である。
【図8】ステップ箱下降処理を示すフローチャートである。
【図9】ステップ箱上昇処理を示すフローチャートである。
【図10】前面衝突時におけるステップ箱の潰れた状態を示す図である。
【図11】ステップ箱の他の取付構造を示す上面図である。
【図12】ドアの他の態様を示す断面図である。
【図13】ドアの他の態様を示す断面図である。
【図14】ドアの他の態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0124】
2 フレーム(車体側部)
3 クロスメンバ(車体側部)
4 フロントアンダーランプロテクタ(車体側部)
5 キャブ
7 ステップ箱昇降装置(展開手段)
8 前側ラックギア(展開手段)
9 後側ラックギア(展開手段)
17 ドア開口(開口)
19 ドア
23 第1内側面(フランジ側面)
24 第2下面(フランジ下面)
34 上板部(第1のステップ)
35 可動ステップ部(第2のステップ)
36 回転軸(展開手段)
37 回転軸(展開手段)
38 前側ピニオンギア(展開手段)
40 上側プーリ(展開手段)
41 上側プーリ(展開手段)
42 下側プーリ(展開手段)
43 下側プーリ(展開手段)
44 ベルト(展開手段)
45 ベルト(展開手段)
69 ドア
74 第2内側面(フランジ側面)
75 第3下面(フランジ下面)
77 ドア
80 第1内側面(フランジ側面)
81 第2下面(フランジ下面)
87 可動ステップ部(ステップ)
92 回転軸(展開手段)
93 ドア
96 第1内側面(フランジ側面)
97 第1下面(フランジ下面)
102 上板部(ステップ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭63−57141号公報には、第1ステップと、第1ステップよりも上方に設けられた第2ステップとを備えた車両用ステップが記載されている。この第2ステップの車両側と車両進行方向の前側と後側とは板体で覆われており、車体のフロアパネルとともに側方開口の収納箱を構成している。ドアの下端は、収納箱の開口部を覆うように第2ステップの縁部より若干下方まで延設され、ドアには、収納箱の開口部に当接して内部を外部からシールするウエザストリップが設けられている。
【0003】
【特許文献1】実開昭63−57141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両衝突時においては、車両の一部を積極的に変形させて衝突エネルギを吸収することが望ましい。
【0005】
しかし、上記車両用ステップのように第2ステップがウエザストリップを介して単にドアに当接している構造であると、例えば、第2ステップに車両前下方からの衝突荷重が入力した際に、第2ステップ全体がドアに対して上方へ相対的に移動してしまう場合がある。かかる場合、第2ステップが有効に変形せず、車両衝突時の衝突エネルギを十分に吸収できない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、車両衝突時において、衝突エネルギを効率良く吸収することが可能な車両側部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様に係る車両側部構造は、キャブとドアと略板状の外形を有するステップとを備える。
【0008】
ドアは、キャブの車幅方向外側の開口を開閉する。ステップは、車体側部に支持されて前後方向に延び、開口からキャブへ乗降する乗員の足場となる。ドアの下部は、ドアが開口を覆う閉状態のときに、ステップの車幅方向外端面に近接して対向するフランジ側面とステップの上面に近接して対向するフランジ下面とを有する。
【0009】
上記構成では、ドアが閉状態のとき、ドアの下部のフランジ側面及びフランジ下面は、ステップの車幅方向外端面及び上面にそれぞれ近接して対向する。車両衝突時において、ドアがステップ側へ移動すると、ドアの下部のフランジ側面及びフランジ下面がステップの車幅方向外端面及び上面とそれぞれ当接し、車幅方向外側及び上方への移動が規制された状態でステップが押圧されるので、ステップが確実に潰れ変形を起こす。従って、車両衝突時において、乗員の足場となるステップを所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0010】
また、本発明の第2の態様に係る車両側部構造は、第1の態様に係る車両側部構造であって、展開手段を備える。展開手段は、ステップを、前後方向に沿って起立する収納位置と車幅方向に沿って延びて足場として機能する展開位置との間で移動自在に車体側部に支持する。ドアが閉状態のとき、フランジ側面は、収納位置に設定されたステップの車幅方向外端面に近接して対向し、フランジ下面は、収納位置に設定されたステップの上面に近接して対向する。
【0011】
上記構成では、乗員がキャブへ乗降するとき、ステップが展開位置に設定されて足場として機能する。ドアが閉状態のとき、ステップが収納位置に設定されて前後方向に沿って起立し、ステップの車幅方向外端面及び上面が閉状態のドアのフランジ側面及びフランジ下面にそれぞれ近接して対向する。車両衝突時において、ドアがステップ側へ移動すると、ドアの下部のフランジ側面及びフランジ下面が収納位置のステップの車幅方向外端面及び上面とそれぞれ当接し、ステップが、前後方向に沿って起立した状態のまま押圧されるので、ステップを車幅方向に沿って延びた状態で配置した場合よりも上下方向に潰れ変形させることができる。従って、車両衝突時に車両に対して入力される衝突荷重のうち、上下方向の衝突荷重に対する衝突エネルギの吸収量を増大させることができる。
【0012】
また、本発明の第3の態様に係る車両側部構造は、キャブとドアと略板状の外形を有する第1のステップと略板状の外形を有する第2のステップと展開手段とを備える。
【0013】
ドアは、キャブの車幅方向外側の開口を開閉する。第1のステップは、車体側部に支持されて前後方向に延び、開口からキャブへ乗降する乗員の足場となる。第2のステップは、第1のステップよりも下方に配置される。展開手段は、第2のステップを、前後方向に沿って起立する収納位置と車幅方向に沿って延びて足場として機能する展開位置との間で移動自在に車体側部に支持する。
【0014】
ドアの下部は、ドアが開口を覆う閉状態のときに、第1のステップの車幅方向外端面又は収納位置に設定された第2のステップの車幅方向外端面の少なくとも一方に近接して対向するフランジ側面と、第1のステップの上面又は収納位置に設定された第2のステップの上面の少なくとも一方に近接して対向するフランジ下面とを有する。
【0015】
上記構成では、第1のステップよりも下方に第2のステップが配置されている。乗員がキャブへ乗降するとき、第2のステップは展開位置に設定されて足場として機能し、ドアが閉状態のとき、第2のステップは収納位置に設定されて前後方向に沿って起立する。車両衝突時において、ドアが第1のステップ及び収納位置の第2のステップ側へ移動すると、第1のステップの車幅方向外端面又は収納位置の第2のステップの車幅方向外端面の少なくとも一方がフランジ側面と当接し、第1のステップの上面又は収納位置の第2のステップの上面の少なくとも一方がフランジ下面と当接する。
【0016】
これにより、車体側部に支持された第1のステップ及び収納位置の第2のステップの車幅方向外側及び上方への移動が規制された状態で第1のステップ及び第2のステップが押圧されるので、第1のステップ及び第2のステップが確実に潰れ変形を起こす。従って、車両衝突時において、乗員の足場となる第1のステップ及び第2のステップを所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0017】
また、第2のステップは、前後方向に沿って起立した状態のまま押圧されるので、第2のステップを上下方向に潰れ変形させることができる。従って、車両衝突時に車両に対して入力される衝突荷重のうち、上下方向の衝突荷重に対する衝突エネルギを有効に吸収することができる。
【0018】
また、ドアが開状態のとき、乗員は展開位置の第1のステップ及び第2のステップを足場としてキャブへ容易に乗降することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車両衝突時において、衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は上昇位置のステップ箱を示す側面図、図2は下降位置のステップ箱を示す側面図、図3はステップ箱を示す斜視図である。図4は図3のA−A線断面図、図5はステップ箱の取付構造を示す斜視図、図6はステップ箱の取付構造を示す側面図である。図7はステップ箱昇降装置のブロック図、図8はステップ箱下降処理を示すフローチャート、図9はステップ箱上昇処理を示すフローチャートである。図10は前面衝突時におけるステップ箱の潰れた状態を示す図、図11はステップ箱の他の取付構造を示す上面図、図12〜図14はドアの他の態様を示す断面図である。なお、以下の説明において、前後方向は車両の進行方向前後を示し、内外方向は車幅方向の内外を示す。また、図6では前側ラックギア8、後側ラックギア9、前側ピニオンギア38、後側ピニオンギア、フレーム側固定板61及びFUP側固定板62の図示を省略している。
【0021】
図1、図2及び図5に示すように、本実施形態にかかるキャブオーバートラック1は、フレーム(車体側部)2と、クロスメンバ(車体側部)3と、フロントアンダーランプロテクタ(車体側部、以下FUPと称する)4と、キャブ5と、ステップ箱6と、ステップ箱昇降装置(展開手段)7と、前側ラックギア(展開手段)8と、後側ラックギア(展開手段)9等を備えている。
【0022】
フレーム2は、キャブオーバートラック1の車幅方向両側で車両前後方向に延びている。フレーム2の前端部分には、下方へ延びるパイプ10が固定されている。クロスメンバ3は、フレーム2の前端部に配置されて各フレーム2の前端部間を連結している。FUP4は、フレーム2及びクロスメンバ3の下方に配置されて車幅方向に延びている。また、クロスメンバ3及びFUP4の前方には、車幅方向に延びてクロスメンバ3及びFUP4の前端部を覆うフロントバンパ11が設けられている。
【0023】
パイプ10は、一端部10aと中間部10bと他端部10cとを有する。パイプ10は、フレーム2の車幅方向外側且つFUP4の後方に配置され、キャブオーバートラック1の前面衝突時において、後述するステップ箱6の後方への移動を規制する。一端部10aは、フレーム2の車幅方向外側面にブラケット12を介して固定されている。中間部10bは一端部10aの車幅方向外端から下方に延び、他端部10cは中間部10bの下端から車幅方向外側に延びている。
【0024】
キャブ5は、フロントパネル13と左右一対のサイドパネル14とフロアパネル15とルーフパネル(図示せず)とリアパネル16等を有し、フレーム2及びクロスメンバ3の上方に配置されて特に図示しないキャブマウントブラケット等によって下方から支持されている。
【0025】
フロントパネル13は、キャブオーバートラック1の前端を区画している。各サイドパネル14はそれぞれドア開口(開口)17を有し、フロントパネル13の車幅方向両端部に溶接等によってそれぞれ固着されて後方に延びている。また、サイドパネル14には、フェンダ18と略板状のドア19とが取り付けられている。フェンダ18は、サイドパネル14の後下部に取付固定されてタイヤ20の略上半分を覆っている。
【0026】
図4に示すように、ドア19は、外側面21と第1下面22と第1内側面(フランジ側面)23と第2下面(フランジ下面)24と第2内側面25とを有している。ドア19の前端部は、サイドパネル14の前端部にヒンジ(図示せず)等を介して回転自在に連結され、ドア19は、ドア開口17を覆う閉止位置と(図1参照)、この閉止位置の車幅方向外側でドア開口17を開放する開放位置との間を開閉移動する(図2参照)。
【0027】
ドア19が閉止位置のとき、外側面21は、ドア19の車幅方向外側で上下方向に延びている。第1下面22は、外側面21の下端から車幅方向内側に延び、第1内側面23は、第1下面22の車幅方向内端から上方に延びている。第2下面24は、第1内側面23の上端から車幅方向外側に延び、第2内側面25は、第2下面24の車幅方向内端から上方に延びている。
【0028】
図1及び図2に示すように、フロアパネル15は、フロア中央部26とフロア側部27とを有し、フロントパネル15の下端部から後方に延びて各サイドパネル14の下端部に固着されて車室の床面を形成している。
【0029】
フロア中央部26は、フロアパネル15の車幅方向中央部で前後方向に延びている。フロア側部27は、フロア中央部26の車幅方向両端から曲折して車幅方向外側に傾斜している。このフロア側部27の前端部には車幅方向内側に窪んだ凹部28が形成され、凹部28には前後方向に延びる略板状の固定ステップ板29が設けられている。固定ステップ板29は、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。
【0030】
ルーフパネルは、フロントパネル13の上端部から後方に延びて各サイドパネル14の上端部に固着されている。リアパネル16は、フロアパネル15の後端部から上方に延びて各サイドパネル14の後端部及びルーフパネルの後端部に固着されている。
【0031】
図1〜図6に示すように、ステップ箱6は、車幅方向外側が開口する略箱形状であり、FUP4とパイプ10との間に配置されている。ステップ箱6は、前板部30と側板部31と底板部32と後板部33と上板部(第1のステップ)34と可動ステップ部(第2のステップ)35等を有する。ステップ箱6は、ステップ箱昇降装置7によって固定ステップ板29の下方且つフロントバンパ11とフェンダ18との間に位置する上昇位置と、ドア19よりも下方に移動した下降位置との間を上下移動する。
【0032】
前板部30は、フレーム2の車幅方向外側且つFUP4の後方に配置されてステップ箱6の前端を区画している。前板部30には、回転軸(展開手段)36と前側ピニオンギア(展開手段)38と上側プーリ(展開手段)40と下側プーリ(展開手段)42とが設けられている。
【0033】
回転軸36は前板部30を前後方向に貫通し、前板部30に対して回転自在に支持されている。前側ピニオンギア38は円形歯車であり、回転軸36の前端に連結されて前板部30の前面に対向配置されている。
【0034】
上側プーリ40は、回転軸36の後端に連結されて前板部30の後面に対向配置され、前側ピニオンギア38の回転に連動して回転する。下側プーリ42は、上側プーリ40の車幅方向内側下方に配置されて、前板部30の後面から後方に突出した軸によって回転自在に支持されている。上側プーリ40及び下側プーリ42にはベルト44が巻架されて、上側プーリ40の回転に連動して下側プーリ42が連動して回転する。
【0035】
側板部31は、前板部30の車幅方向内端から後方に延びている。底板部32は、後述するすのこ部34b,48bと同様にすのこ状に形成された平面部32a及び湾曲部32bを有し、前板部30の下端から後方に延びている。平面部32aは、側板部31の車幅方向外側で車幅方向に延びている。湾曲部32bは、平面部32aの車幅方向外端から車幅方向外側上方に向かって湾曲して延びている。
【0036】
後板部33は、底板部32の後端から上方に延びて側板部31の後端に固着されている。後板部33には、回転軸(展開手段)37と特に図示していない後側ピニオンギア(展開手段)と上側プーリ(展開手段)41と下側プーリ(展開手段)43とが設けられている。
【0037】
回転軸37は、後板部33を前後方向に貫通し、後板部33に対して回転自在に支持されている。後側ピニオンギアは円形歯車であり、回転軸37の後端に連結されて後板部33の前面に対向配置されている。
【0038】
上側プーリ41は、回転軸37の前端に連結されて後板部33の前面に対向配置され、後側ピニオンギアの回転に連動して回転する。下側プーリ43は、上側プーリ41の車幅方向内側下方に配置されて、後板部33の前面から前方に突出した軸によって回転自在に支持されている。上側プーリ41及び下側プーリ43にはベルト45が巻架されて、上側プーリ41の回転に連動して下側プーリ43が連動して回転する。
【0039】
上板部34は、板部34a及びすのこ部34bを有する。上板部34は、前板部30の上端から後方に延びて後板部33の上端に固着され、ステップ箱6が下降位置のとき、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。
【0040】
板部34aは、前後方向に沿って立設された金属製の略矩形板状部材であり、側板部31の板厚よりも薄く設定されている。板部34aは、前端及び後端が前板部30及び後板部33にそれぞれ固着され、上板部34の車幅方向外端を区画している。
【0041】
すのこ部34bは、前板部30に対して車幅方向内側後方に延びる金属製の複数の略矩形板状部材と、前板部30に対して車幅方向外側後方に延びる金属製の複数の略矩形板状部材とが格子状に並んで配置されて、複数の略正方形が区画形成されている。これら各板状部材が交差する各交差部は、溶接等によって接合されている。また、すのこ部34bの各板状部材は側板部31の板厚よりも薄く設定され、前端、後端及び車幅方向外端が、それぞれ前板部30、後板部33及び板部34aに接合されている。
【0042】
可動ステップ部35は、前板部46と底板部47と側板部48と後板部49と上板部50とを有し、展開位置のとき、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。可動ステップ部35は下側プーリ42,43と連結して、車幅方向に沿って延びる展開位置と、ステップ箱6の底板部32の車幅方向外側で前後方向に沿って起立する収納位置との間を回転移動する。
【0043】
可動ステップ部35の前板部46は下側プーリ42と連結し、収納位置のとき、ステップ箱6の前板部30の後面に対向配置される。底板部47は、前板部46の下端から後方に延びている。
【0044】
側板部48は、車幅方向外端を区画する平板部48aとこの平板部48aの車幅方向内側に形成されたすのこ部48bとを有し、前板部46の車幅方向外端から後方に延びて底板部47の車幅方向外端と固着している。
【0045】
平板部48aは金属製の板状部材であり、側板部31の板厚よりも薄く設定されている。すのこ部48bは、すのこ部34bと同様の形状に形成されている。すなわち、前板部46に対して後上方に延びる金属製の複数の略矩形板状部材と、前板部46に対して後下方に延びる金属製の複数の略矩形板状部材とが格子状に並んで配置されて複数の略正方形が区画形成され、各交差部が溶接等によって接合されている。また、すのこ部48bの各板状部材は側板部31の板厚よりも薄く設定されている。
【0046】
後板部49は、底板部47の後端から上方に延びて側板部48の後端と固着するとともに、ステップ箱6の後板部33の前面に対向配置されて下側プーリー43と連結している。上板部50は、前板部46の上端から後方に延びて側板部48及び後板部49の上端と固着している。上板部50の車幅方向の長さは、底板部47の車幅方向の長さよりも短く設定されている。
【0047】
図7に示すように、ステップ箱昇降装置7は、前側エアシリンダ51と後側エアシリンダ52と上昇スイッチ53と下降スイッチ54とドアセンサ55と音波センサ56と車速センサ57とCPU58等を有し、ステップ箱6を上昇位置と下降位置との間で上下移動させる。また、特に図示していないが、ステップ箱昇降装置7には、車両走行中においてステップ箱6を上昇位置に解除自在に保持しておくためのロック機構が設けられている。
【0048】
図5及び図6に示すように、前側エアシリンダ51は、前側シリンダ本体59と前側シャフト60とを有し、FUP4とステップ箱6との間に配置されている。
【0049】
前側シリンダ本体59は略円筒形状であり、フレーム側固定板61及びFUP側固定板62を介してフレーム2、クロスメンバ3及びFUP4に連結固定されている。
【0050】
前側シャフト60は略棒形状であり、前側シリンダ本体59内に上下移動自在に挿入されている。前側シャフト60は、前側シリンダ本体59内を上下移動することで前側エアシリンダ51全体が伸縮する。前側シャフト60の下端60aは、前側シャフト取付ブラケット63等を介してステップ箱6の前板部30の前面に連結固定されている。
【0051】
後側エアシリンダ52は、後側シリンダ本体64と後側シャフト65とを有し、ステップ箱6とパイプ10との間に配置されている。
【0052】
後側シリンダ本体64は略円筒形状であり、パイプ側固定板66を介してパイプ10の他端部10cに連結固定されている。後側シャフト65は略棒形状であり、後側シリンダ本体64内に上下移動自在に挿入されている。後側シャフト65は後側シリンダ本体64内を上下移動することで後側エアシリンダ52全体が伸縮する。後側シャフト65の下端65aは、後側シャフト取付ブラケット67を介してステップ箱6の後板部33の後面に連結固定されている。
【0053】
前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52は、CPU58に接続されてCPU58からの制御信号を受けて前側シャフト60及び後側シャフト65を上下移動させ、CPU58からの停止信号を受けてこの上下移動を停止する。また、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52は、前側シャフト60及び後側シャフト65が最下位置に移動したとき、すなわち、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52が上下方向に最も伸びた最伸状態のときに最下位置信号をCPU58に出力し、前側シャフト60及び後側シャフト65が最上位置に移動したとき、すなわち、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52が上下方向に最も縮んだ最縮状態のときに最上位置信号をCPU58に出力する。
【0054】
上昇スイッチ53及び下降スイッチ54は、乗員がキャブ5内へ乗降する際に乗員からの入力によってONとなるスイッチであり、ドア19の外側面21及び第2内側面25にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0055】
ドアセンサ55は、ドア19が開放位置のときに開信号をCPU58に出力し、閉止位置のときに閉信号をCPU58に出力する。
【0056】
音波センサ56は、例えば、ステップ箱6の底板部32に設けられている。音波センサは56、超音波を底板部32の下方に向けて送信し、被検出体に当たって反射された超音波を受信することにより底板部32から地上(又は底板部の下方の障害物等)までの距離Lを検出し、この距離LをCPU58に出力する。
【0057】
CPU58には、上昇スイッチ53からのON信号と、下降スイッチ54からのON信号と、ドアセンサ55からの開信号又は閉信号と、キャブオーバートラック1の車速Vを検出する車速センサ57からの車速信号と、音波センサ56からの距離Lとが入力する。CPU58は、上昇スイッチ53及び下降スイッチ54からのON信号と、ドアセンサ55からの開信号又は閉信号と、車速信号と、音波センサ56からの距離Lとに基づいて、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52を制御して、前側シャフト60及び後側シャフト65を上方移動又は下方移動させる。
【0058】
図5に示すように、前側ラックギア8は、前側空走部8aと前側作動部8bとを有し、FUP4に固定されている。前側空走部8aは略平板状に形成されて、前側エアシリンダ51よりも車幅方向外側且つ前側ピニオンギア38よりも車幅方向内側に配置されている。前側作動部8bは、前側空走部8aの下方に形成されるとともに、車幅方向外側面が歯切り加工されて凹凸状に形成されている。
【0059】
後側ラックギア9は、後側空走部9aと後側作動部(図示せず)とを有し、パイプ側固定板66に固定されている。後側空走部9aは略平板状に形成されて、後側エアシリンダ52よりも車幅方向外側且つ後側ピニオンギアよりも車幅方向内側に配置されている。後側作動部は、後側空走部9aの下方に形成されるとともに、車幅方向外側面が歯切り加工されて凹凸状に形成されている。
【0060】
図1、図3及び図4に示すように、ドア19が閉止位置に設定されたドア閉状態のとき、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52が最縮状態に設定されてステップ箱6が上昇位置に設定されるとともに、可動ステップ部35が収納位置に設定される。このドア閉状態において、ステップ箱6の上板部34の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第2下面24に近接して対向し、可動ステップ部35の側板部48の車幅方向外端面が第1内側面23に近接して対向する。このように、ドア閉状態のとき、ステップ箱6の車幅方向外側上部の開口がドア19の下部によって覆われ、ステップ箱6の車幅方向外側下部の開口が収納位置の可動ステップ部35によって覆われる。また、ドア閉状態のとき、前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアは、前側ラックギア8の前側空走部8a及び後側ラックギア9の後側空走部9aにそれぞれ対向する。
【0061】
前側シャフト60及び後側シャフト65が下方に移動すると、前側シャフト60及び後側シャフト65の下方移動に伴ってステップ箱6が下方へ移動し、前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアが前側ラックギア8及び後側ラックギア9に沿って下方へ移動する。
【0062】
前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアは、前側ラックギア8の前側空走部8a及び後側ラックギア9の後側空走部9aに沿って下方移動するときは回転せずに、前側作動部8b及び後側作動部に沿って下方移動するときに回転する。具体的には、前側ピニオンギア38が前側作動部8bに沿って下方移動すると、前側ピニオンギア38が車両前方から視て反時計回りに回転し、後側ピニオンギアは車両後方から視て時計回りに回転する。
【0063】
これら前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアの回転に伴って上側プーリ40,41及び下側プーリ42,43が回転し、起立した状態の可動ステップ部35は、下側プーリ42,43を軸としてステップ箱6に対して車幅方向外側へ回転移動して展開位置に設定される。なお、本実施形態では、ステップ箱6の下方移動に伴って、起立した可動ステップ部35の上板部50がドア19の下端よりも下方に移動したときに、可動ステップ部35の車幅方向外側への回転移動が開始するように前側作動部8b及び後側作動部を配置している。
【0064】
図2、図4〜図6に示すように、可動ステップ部35が展開位置のとき、可動ステップ部35の上板部50は、ステップ箱6の上板部34の車幅方向外端よりも車幅方向外側で起立し、底板部47は、ステップ箱6の側板部31の車幅方向内側面に対向している。可動ステップ部35の側板部48は車幅方向に延び、平板部48aがステップ箱6の湾曲部32bの車幅方向外側上端部と接触して下方から支持されている。可動ステップ部35が展開位置に設定されたとき、展開位置の可動ステップ部35と下降位置のステップ箱6の上板部34と固定ステップ板29とが階段状に並んでキャブ5へ乗降する際の乗員の足場として機能する。
【0065】
次に、CPU58が実行する処理を、ステップ箱下降処理とステップ箱上昇処理とに分けて説明する。なお、特に図示していないが、CPU58の記憶部(メモリ)には、車速Vを順次記憶する車速記憶領域と距離Lを順次記憶する距離記憶領域とが設けられている。
【0066】
ステップ箱下降処理では、図8に示すように、下降スイッチ54からON信号が入力したか否かを判断する(ステップS1)。下降スイッチ54からON信号が入力したと判断した場合(ステップS1:Yes)、車速記憶領域から最新の車速Vを読み出し、車速Vが0km/hであるか否か、すなわち、キャブオーバートラック1が停止しているか否かを判定する(ステップS2)。車速Vが0km/hであると判定すると(ステップS2:Yes)、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に制御信号を出力して(ステップS3)、前側シャフト60及び後側シャフト65を下方移動させる。
【0067】
次に、ステップS4に進み、距離記憶領域から最新の距離Lを読み出す(ステップS4)。そして、距離Lが3cmを超えているか否か、すなわち、ステップ箱6の底板部32が地上から十分に離れているか否かを判定し(ステップS5)、距離Lが3cmを超えていると判定した場合(ステップS5:Yes)には、最下位置信号が入力したか否かを判断する(ステップS6)。そして、最下位置信号が入力したと判断した場合(ステップS6:Yes)には、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に停止信号を出力し(ステップS7)、前側シャフト60及び後側シャフト65の下方移動を停止させて本処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS1において、下降スイッチ54からON信号が入力していない場合(ステップS1:No)には、ドアセンサ55から開信号が入力したか否かを判断する(ステップS8)。そして、開信号が入力したと判断した場合(ステップS8:Yes)には、ステップS2に進み、開信号が入力していないと判断した場合(ステップS8:No)には、ステップS2〜ステップS7の処理を実行せずに本処理を終了する。
【0069】
また、ステップS2において、車速Vが0km/hを超えていると判定した場合(ステップS2:No)、すなわち、キャブオーバートラック1が走行中である場合には、ステップS3〜ステップS7の処理を実行せずに本処理を終了する。
【0070】
さらに、ステップS5において、距離Lが3cm以下であると判定した場合(ステップS5:No)、すなわち、ステップ箱6の底板部32が地上に接近している場合には、ステップS7に進み、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に停止信号を出力する。
【0071】
また、ステップS6において、最下位置信号が入力していないと判断した場合(ステップS6:No)には、ステップS4へ戻り、距離記憶領域から距離Lを読み出す。
【0072】
ステップ箱上昇処理では、図9に示すように、上昇スイッチ53からON信号が入力したか否かを判断する(ステップS11)。上昇スイッチ53からON信号が入力したと判断した場合(ステップS11:Yes)、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に制御信号を出力し(ステップS12)、前側シャフト60及び後側シャフト65を上方移動させる。
【0073】
次に、ステップS13に進み、最上位置信号が入力したか否かを判断する(ステップS13)。そして、最上位置信号が入力したと判断した場合(ステップS13:Yes)には、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に停止信号を出力し(ステップS14)、本処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS11において、上昇スイッチ53からON信号が入力していない場合(ステップS11:No)には、ドアセンサ55から閉信号が入力したか否かを判断する(ステップS15)。そして、閉信号が入力したと判断した場合(ステップS15:Yes)には、ステップS12に進み、閉信号が入力していないと判断した場合(ステップS15:No)には、ステップS12〜ステップS14の処理を実行せずに本処理を終了する。
【0075】
このように、本実施形態によれば、上板部34よりも下方に可動ステップ部35が配置されている。乗員がキャブ5へ乗降するとき、可動ステップ部35は展開位置に設定されて足場として機能し、ドア19が閉状態のとき、可動ステップ部35は収納位置に設定されて前後方向に沿って起立する。そして、ドア19が閉状態のとき、上板部34の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第2下面24に近接して対向する。また、側板部48の車幅方向外端面がドア19の下部の第1内側面23に近接して対向する。前面衝突時(特にオフセット衝突時)において、ドア19が、上板部34及び側板部48側へ移動すると、上板部34の車幅方向外端面及び側板部48の車幅方向外端面が第1内側面23と当接し、上板部34の上面が第2下面24と当接する。
【0076】
これにより、フレーム2、クロスメンバ3及びFUP4によって支持された上板部34及び可動ステップ部35の車幅方向外側及び上方への移動が規制される。さらに、パイプ10によって、ステップ箱6、すなわち、上板部34及び可動ステップ部35の後方への移動が規制される。このような状態で上板部34及び可動ステップ部35が前板部30によって後方に向かって押圧されるため、上板部34及び可動ステップ部35が確実に潰れ変形する。
【0077】
具体的には、図10に示すように、前面衝突時において、前板部30に対して前方からの衝突荷重Fが加わると、側板部31が、変形の初期段階において局所的な曲げ変形が生じて略く字状に変形する。一方、上板部34では、側板部31の板厚よりも薄く設定された板部34a及びすのこ部34bの板状部材の交差部間でそれぞれ座屈的な細かい変形が生じる。また、側板部48においても、上板部34と同様に、平板部48a及びすのこ部48bの各板状部材に座屈的な細かい変形が生じる。さらに、底板部32においても、上板部34と同様に座屈的な細かい変形が生じる。このように、車両衝突時において、上板部34、側板部48及び底板部32は、局所的に変形することなく前後方向に効率良く潰れる。
【0078】
従って、前面衝突時において、乗員の足場となる上板部34及び可動ステップ部35を所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0079】
また、すのこ部34b,48bにおいて、複数の板状部材を格子状に並べて配置するとともに各板状部材の交差部を接合しているため、前面衝突時に各板状部材が交差部間で座屈的な細かい変形を起こし、上板部34及び側板部48に局所的な曲げ変形が生じることがない。このため、上板部34及び側板部48を単に板状部材で形成した場合よりも、衝突エネルギをより効率良く吸収することができる。
【0080】
さらに、ステップ箱6の底板部32をすのこ状に形成しているため、上板部34及び側板部48とともに底板部32が潰れ変形する。従って、ステップ箱6の底板部32を所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0081】
また、車両衝突時において、可動ステップ部35は起立した状態であるため、上下方向の衝突荷重に応じて可動ステップ部35を上下方向に潰れ変形させることができる。従って、車両衝突時に入力される衝突荷重のうち、上下方向の衝突荷重に対する衝突エネルギを有効に吸収することができる。
【0082】
また、車両走行時において、ステップ箱6の車幅方向外側がドア19の下部と収納位置の可動ステップ部35とによって覆われるため、ステップ箱6の車幅方向外側が開口した状態で走行する場合に比べて、キャブオーバートラック1の空気抵抗を低減することができる。
【0083】
また、ステップ箱6が下降位置のとき、展開位置の可動ステップ部35と下降位置のステップ箱6の上板部34と固定ステップ板29とが階段状に並んで乗員の足場として機能するため、乗員がキャブ5へ乗降する際の乗降性を向上させることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、すのこ部34b,48bが、複数の板状部材を格子状に並べて配置して複数の略正方形を区画形成したものである場合を説明したが、例えば、複数の略六角形を区画形成するように複数の板状部材を並べて配置したものであってもよい。
【0085】
また、すのこ部34b,48bのすべての交差部を接合する場合に限られず、接合していない箇所があってもよい。すなわち、上述したすのこ部34b,48bの変形を起こすことが可能な範囲で交差部を適宜接合すればよい。
【0086】
さらに、上板部34と側板部48とにすのこ部34b,48bを設けずに、単に平板状の部材で形成してもよい。
【0087】
また、上昇スイッチ53又は下降スイッチ54からのON信号に基づいてステップ箱6を移動させているが、例えば、ドア19の開閉に連動してキャブ5の室内灯を点灯・消灯させる室内灯スイッチ(図示せず)からの信号に基づいてステップ箱6を移動させてもよい。あるいは、電波送信又は赤外線送信するリモートコントローラからの信号に基づいてステップ箱6を移動させてもよい。リモートコントローラからの信号に基づいてステップ箱6を移動させる場合には、リモートコントローラからの信号を受信する受信機をキャブオーバートラック1に設けるとよい。
【0088】
また、音波センサ56によって底板部32から地上(又は底板部よりも下方の障害物等)までの距離Lを検出する場合に限られず、赤外線センサやレーザーセンサによって距離Lを検出してもよい。
【0089】
さらに、ステップ箱6が下方移動する際、底板部32が地上等に接触する前にステップ箱6の移動を停止しているが、例えば、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52に生じる負荷を検出するセンサを設け、このセンサによって底板部32と地上等との接触による負荷を検出した後で、ステップ箱6を3cm程度上方移動させて停止してもよい。
【0090】
また、後側シリンダ本体59を、パイプ側固定板66を介してパイプ10の他端部10cに連結固定した場合を説明したが、図11に示すように、FUP4から後方に延びるステー68をステップ箱6よりも車幅方向内側に設けて、このステー68の後端にパイプ側固定板66を固着してもよい。
【0091】
また、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52をステップ箱6の前後に配置する場合に限られず、ステップ箱6の車幅方向内側に配置してもよい。
【0092】
さらに、前側エアシリンダ51及び後側エアシリンダ52によってステップ箱6を上下移動する場合に限られず、ステップ箱6の前後に設けられた油圧シリンダ又はリニアモータによって移動してもよい。
【0093】
また、前側ピニオンギア38及び後側ピニオンギアにゼンマイバネを連結し、このゼンマイバネの付勢力によって収納位置の可動ステップ部35の起立状態を保持してもよい。
【0094】
また、ドア19が閉状態のときに、上板部34の車幅方向外端面及び側板部48の車幅方向外端面と第1内側面23とが接触するとともに、上板部34の車幅方向外側上面と第2下面24とが接触するようにしてもよい。
【0095】
さらに、ドア19の内側面に前後方向に延びる凹状の溝を形成して、ドア19が閉状態のときに、上板部34と溝とが嵌合するようにしてもよい。
【0096】
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0097】
図12はドア及びステップ箱を示す断面図である。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態のドア19の態様を変更するとともに、ステップ箱6の上板部34の車幅方向の長さを僅かに短くしたものである。他の構成については第1の実施形態と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
図12に示すように、ドア69は、外側面70と第1下面71と第1内側面72と第2下面73と第2内側面(フランジ側面)74と第3下面(フランジ下面)75と第3内側面76とを有している。
【0099】
ドア閉状態のとき、外側面70は、サイドパネル14の車幅方向外側面とともにキャブ5の車幅方向外端を区画する。第1下面71は、外側面70の下端から車幅方向内側に延び、第1内側面72は、第1下面22の車幅方向内端から上方に延びている。第2下面73は、第1内側面72の上端から車幅方向外側に延び、第2内側面74は、第2下面73の車幅方向内端から上方に延びている。第3下面75は、第2内側面74の上端から車幅方向外側に延び、第3内側面76は、第3下面75の車幅方向内端から車幅方向外側上方に向かって湾曲している。
【0100】
このドア閉状態において、上板部34の車幅方向外端面が第2内側面74に近接して対向するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第3下面75に近接して対向する。また、側板部48の車幅方向外端面が第1内側面72に近接して対向するとともに、上板部50の上面が第2下面73に近接して対向する。
【0101】
本実施形態では、前面衝突時において、ドア69が上板部34及び可動ステップ部35側へ移動すると、上板部34の車幅方向外端面が第2内側面74と当接するとともに、上板部34の車幅方向外側上面が第3下面75と当接する。さらに、側板部48の車幅方向外端面が第1内側面72と当接するとともに、上板部50の上面が第2下面73と当接する。すなわち、前面衝突時において、上板部34及び可動ステップ部35の上方への移動が、第3下面75及び第2下面73によって規制されるため、上板部34及び可動ステップ部35をより確実に潰れ変形させることができる。
【0102】
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0103】
図13はドア及びステップ箱を示す断面図である。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態のドア19及びステップ箱6の態様を変更し、可動ステップ部88の回転移動を手動で行う点で異なる。他の構成については第1の実施形態と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0104】
図13に示すように、ドア77は、外側面78と第1下面79と第1内側面(フランジ側面)80と第2下面(フランジ下面)81と第2内側面82とを有している。
【0105】
ステップ箱83は、前板部と側板部84と底板部85と後板部86と可動ステップ部(ステップ)87とを有する。
【0106】
前板部は、ステップ箱83の前端を区画している。側板部84は、前板部の車幅方向内端から後方に延びている。底板部85は、すのこ状に形成された平面部85aと湾曲部85bを有し、前板部の下端から後方に延びている。平面部85aは、底板部85の車幅方向内側上面を区画している。湾曲部85bは、平面部85aの車幅方向外端から車幅方向外側上方に向かって湾曲して延びている。後板部86は、底板部85の後端から上方に延びて側板部84の後端に固着されている。また、前板部及び後板部86には、回転軸(展開手段)92がそれぞれ設けられている。
【0107】
可動ステップ部87は、前板部88と底板部89と側板部90と後板部と上板部91とを有し、回転軸92によって回転自在に支持されている。可動ステップ部87は、車幅方向に沿って延びる展開位置と、ステップ箱83の底板部85の車幅方向外側で前後方向に沿って起立する収納位置との間で回転移動し、展開位置のときに、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。
【0108】
可動ステップ部87の前板部88は回転軸92と連結し、収納位置のとき、ステップ箱83の前板部の後面に対向配置される。底板部89は、前板部88の下端から後方に延びている。側板部90は、前板部88の車幅方向外端から後方に延びて底板部89の車幅方向外端と固着している。
【0109】
後板部は、底板部89の後端から上方に延びて側板部90の後端と固着するとともに、ステップ箱83の後板部86の前面に対向配置されて回転軸92と連結している。上板部91は、前板部88の上端から後方に延びて側板部90及び後板部の上端と固着している。上板部91の車幅方向の長さは、底板部89の車幅方向の長さよりも短く設定されている。
【0110】
本実施形態では、乗員がキャブ5へ乗降する際、ドア77を開放位置に設定するとともに、可動ステップ部87を手動により展開手段に設定して足場として機能させる。そして、乗員がキャブ5へ乗降し終わると、可動ステップ部87を手動により収納位置に設定するとともに、ドア77を閉止位置に設定する。
【0111】
このドア閉状態のとき、側板部90の車幅方向外端面がドア77の下部の第1内側面80に近接して対向し、上板部91の上面が第2下面81に近接して対向する。
【0112】
これにより、前面衝突時において、ドア77が可動ステップ部87側へ移動すると、ドア77の下部の第1内側面80及び第2下面81が側板部90の車幅方向外端面及び上板部91の上面とそれぞれ当接し、可動ステップ部87が起立した状態のまま押圧されるので、可動ステップ部87を車幅方向に沿って延びた状態で配置した場合よりも上下方向に潰れ変形させることができる。従って、車両衝突時に入力される衝突荷重のうち、上下方向の衝突荷重に対する衝突エネルギの吸収量を増大させることができる。
【0113】
次に、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0114】
図14はドア及びステップ箱を示す断面図である。なお、第4の実施形態は、第1の実施形態のドア19及びステップ箱6の態様を変更したものである。他の構成については第1の実施形態と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0115】
図14に示すように、ドア93は、外側面94と第1下面95と第1内側面96と第2下面97と第2内側面(フランジ側面)98とを有している。
【0116】
ドア93が閉止位置のとき、外側面94は、ドア93の車幅方向外側で上下方向に延びている。第1下面95は、外側面94の下端から車幅方向内側に延び、第1内側面96は、第1下面95の車幅方向内端から上方に延びている。第2下面97は、第1内側面96の上端から車幅方向外側に延び、第2内側面98は、第2下面97の車幅方向内端から上方に延びている。
【0117】
ステップ箱99は車幅方向外側が開口する略箱形状であり、前板部と側板部100と底板部と後板部101と上板部(ステップ)102とを有する。
【0118】
前板部は、ステップ箱99の前端を区画している。側板部100は、前板部の車幅方向内端から後方に延びている。底板部は、前板部の下端から後方に延びている。後板部101は、底板部の後端から上方に延びて側板部100の後端に固着されている。
【0119】
上板部102は金属製の略矩形板状部材であり、前板部の上端から後方に延びて後板部101の上端に固着され、キャブ5へ乗降する乗員の足場として機能する。
【0120】
本実施形態では、ドア93が閉状態のとき、ドア93の下部の第1内側面96及び第2下面97は、上板部102の車幅方向外端面及び車幅方向外側上面にそれぞれ近接して対向する。前面衝突時において、ドア93が上板部102側へ移動すると、ドア93の下部の第1内側面96及び第2下面97が上板部102の車幅方向外端面及び車幅方向外側上面とそれぞれ当接し、車幅方向外側及び上方への移動が規制された状態で上板部102が前板部によって後方に押圧されるので、上板部102が確実に潰れ変形を起こす。従って、前面衝突時において、乗員の足場となる上板部102を所望の変形モードで積極的に変形させて衝突エネルギを効率良く吸収することができる。
【0121】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【産業上の利用可能性】
【0122】
ドアとステップを有する車両に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】上昇位置のステップ箱を示す側面図である。
【図2】下降位置のステップ箱を示す側面図である。
【図3】ステップ箱を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】ステップ箱の取付構造を示す斜視図である。
【図6】ステップ箱の取付構造を示す側面図である。
【図7】ステップ箱昇降装置のブロック図である。
【図8】ステップ箱下降処理を示すフローチャートである。
【図9】ステップ箱上昇処理を示すフローチャートである。
【図10】前面衝突時におけるステップ箱の潰れた状態を示す図である。
【図11】ステップ箱の他の取付構造を示す上面図である。
【図12】ドアの他の態様を示す断面図である。
【図13】ドアの他の態様を示す断面図である。
【図14】ドアの他の態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0124】
2 フレーム(車体側部)
3 クロスメンバ(車体側部)
4 フロントアンダーランプロテクタ(車体側部)
5 キャブ
7 ステップ箱昇降装置(展開手段)
8 前側ラックギア(展開手段)
9 後側ラックギア(展開手段)
17 ドア開口(開口)
19 ドア
23 第1内側面(フランジ側面)
24 第2下面(フランジ下面)
34 上板部(第1のステップ)
35 可動ステップ部(第2のステップ)
36 回転軸(展開手段)
37 回転軸(展開手段)
38 前側ピニオンギア(展開手段)
40 上側プーリ(展開手段)
41 上側プーリ(展開手段)
42 下側プーリ(展開手段)
43 下側プーリ(展開手段)
44 ベルト(展開手段)
45 ベルト(展開手段)
69 ドア
74 第2内側面(フランジ側面)
75 第3下面(フランジ下面)
77 ドア
80 第1内側面(フランジ側面)
81 第2下面(フランジ下面)
87 可動ステップ部(ステップ)
92 回転軸(展開手段)
93 ドア
96 第1内側面(フランジ側面)
97 第1下面(フランジ下面)
102 上板部(ステップ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブと、
前記キャブの車幅方向外側の開口を開閉するドアと、
車体側部に支持されて前後方向に延び、前記開口から前記キャブへ乗降する乗員の足場となる略板状の外形を有するステップと、を備え、
前記ドアの下部は、該ドアが前記開口を覆う閉状態のときに、前記ステップの車幅方向外端面に近接して対向するフランジ側面と前記ステップの上面に近接して対向するフランジ下面とを有する
ことを特徴とする車両側部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両側部構造であって、
前記ステップを、前後方向に沿って起立する収納位置と車幅方向に沿って延びて前記足場として機能する展開位置との間で移動自在に前記車体側部に支持する展開手段を備え、
前記ドアが前記閉状態のとき、前記フランジ側面は、前記収納位置に設定されたステップの車幅方向外端面に近接して対向し、前記フランジ下面は、前記収納位置に設定されたステップの上面に近接して対向する
ことを特徴とする車両側部構造。
【請求項3】
キャブと、
前記キャブの車幅方向外側の開口を開閉するドアと、
車体側部に支持されて前後方向に延び、前記開口から前記キャブへ乗降する乗員の足場となる略板状の外形を有する第1のステップと、
前記第1のステップよりも下方に配置された略板状の外形を有する第2のステップと、
前記第2のステップを、前後方向に沿って起立する収納位置と車幅方向に沿って延びて前記足場として機能する展開位置との間で移動自在に前記車体側部に支持する展開手段と、を備え、
前記ドアの下部は、該ドアが前記開口を覆う閉状態のときに、前記第1のステップの車幅方向外端面又は前記収納位置に設定された第2のステップの車幅方向外端面の少なくとも一方に近接して対向するフランジ側面と、前記第1のステップの上面又は前記収納位置に設定された第2のステップの上面の少なくとも一方に近接して対向するフランジ下面とを有する
ことを特徴とする車両側部構造。
【請求項1】
キャブと、
前記キャブの車幅方向外側の開口を開閉するドアと、
車体側部に支持されて前後方向に延び、前記開口から前記キャブへ乗降する乗員の足場となる略板状の外形を有するステップと、を備え、
前記ドアの下部は、該ドアが前記開口を覆う閉状態のときに、前記ステップの車幅方向外端面に近接して対向するフランジ側面と前記ステップの上面に近接して対向するフランジ下面とを有する
ことを特徴とする車両側部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両側部構造であって、
前記ステップを、前後方向に沿って起立する収納位置と車幅方向に沿って延びて前記足場として機能する展開位置との間で移動自在に前記車体側部に支持する展開手段を備え、
前記ドアが前記閉状態のとき、前記フランジ側面は、前記収納位置に設定されたステップの車幅方向外端面に近接して対向し、前記フランジ下面は、前記収納位置に設定されたステップの上面に近接して対向する
ことを特徴とする車両側部構造。
【請求項3】
キャブと、
前記キャブの車幅方向外側の開口を開閉するドアと、
車体側部に支持されて前後方向に延び、前記開口から前記キャブへ乗降する乗員の足場となる略板状の外形を有する第1のステップと、
前記第1のステップよりも下方に配置された略板状の外形を有する第2のステップと、
前記第2のステップを、前後方向に沿って起立する収納位置と車幅方向に沿って延びて前記足場として機能する展開位置との間で移動自在に前記車体側部に支持する展開手段と、を備え、
前記ドアの下部は、該ドアが前記開口を覆う閉状態のときに、前記第1のステップの車幅方向外端面又は前記収納位置に設定された第2のステップの車幅方向外端面の少なくとも一方に近接して対向するフランジ側面と、前記第1のステップの上面又は前記収納位置に設定された第2のステップの上面の少なくとも一方に近接して対向するフランジ下面とを有する
ことを特徴とする車両側部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−105574(P2010−105574A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280747(P2008−280747)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】
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