説明

車両及びリフトアームアセンブリ

リフトアームアセンブリを備えた車両であって、キャビン(2)を有するシャシー構造体(1)及び、回転台(9)によって垂直軸線(Y)を中心として回転可能なようにシャシー構造体の上部上に固定されるリフトアームアセンブリ(5)とを含む。移送姿勢に折り畳むことを目的として、リフトアームゼンブリ(5)は、キャビン(2)の後方に二つの姿勢で置かれるような寸法にされ、当該移送姿勢ではリフトアームアセンブリ(5)は、車両の長手方向軸に平行に前方、又は後方に延びる。救助車両において、リフトアームアセンブリ(5)はまた、リフトアームアセンブリ(5)の端部に固定された少なくとも1つのアーム(8)を含み、前記アーム(8)はキャビン(2)の上部上の待機姿勢にまで外方に伸ばすことができる。リフトアームアセンブリ(5)は、第二アーム(7)の端部に固定され、垂直方向に回転するように配置された第三アーム(8)を含み、その結果、第三アーム(8)は、リフトアームアセンブリ(5)の移送姿勢において第二アームの下方、又はその近傍に向きを変えることが可能であり、回転台(9)もまた、リフトアームアセンブリ(5)が前記移送姿勢にある時に、第二アーム(7)の中央部の下に置かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフトアームアセンブリを備えた車両及びリフトアームアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車輪で動くシャシーはリフトアームアセンブリ、すなわち、ブームアセンブリ、クレーン、又はつり上げ装置を搭載しており、様々な目的に使用されている。特に救助を目的とするものでは、車両シャシーに載せたリフトアームアセンブリが知られている。
【0003】
従来例として、特許文献1、2に係る車両では、リフトアームアセンブリには人を持ち上げるのに適したケージが搭載されており、一方、特許文献3、4には、人を持ち上げるためのケージが搭載されている救助車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3498474号
【特許文献2】特開昭61−267700号公報
【特許文献3】米国特許第3252542号
【特許文献4】特開昭62−65899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の装置、特にリフトアームアセンブリについては用途が限られており、幾つもの異なった目的の為に用いるには問題がある。しかしながら、容易に装置を改良し、又は、使用目的を変えることができるようにするべく、様々な要求に合わせ得るようにすることが必要であろう。
【0006】
従来のリフトアームアセンブリは様々な用途に合わせて設計されてはおらず、それらは主として一つの使用目的についてのみに適している。
【0007】
本発明の一つの目的は、様々な異なる用途に適するリフトアームアセンブリの解決案を開示することである。可能な使用例としては、防火用および救助用の車両、建設業におけるつり上げ装置台およびつり上げ装置、さらに軍事用途が含まれる。
【0008】
本発明の車両およびリフトアームアセンブリは、様々な作業に適用することが可能であり、その中でも人の救助および消火、並びに冷却、洗浄、およびつり上げ作業、建設、修理、および他の作業を例として挙げることができる。
【0009】
リフトアームアセンブリを備える本発明の車両は、請求項1に示される。リフトアームを備える本発明の救助用車両は、請求項8に示される。リフトアームアセンブリを備える本発明の車両は、請求項13に示される。本発明のリフトアームアセンブリは、請求項15に示される。
【0010】
本発明のさらに詳細な実施形態は、他の請求項に開示される。
【0011】
本発明の一態様におけるリフトアームアセンブリの特別な利点は特に移送の観点からのその適切な寸法および形状にある。車両がキャビンを含み、リフトアームアセンブリがキャビンの後方に置かれる場合、リフトアームアセンブリは二つの異なる移送姿勢に回転させることができ、このことは異なる作業の場合に有用である。
【0012】
本発明の一態様によれは、リフトアームアセンブリの最外部は、それ以外の部分が主として移送姿勢のままである時に、キャビンの上方で向きを変えることができる。この最外部の待機姿勢は、様々な状況における消火活動の場合に、標的に向けて最外部から、消火のために例えば水を素早く放水することが可能となるため、特に有利である。
【0013】
本発明の一態様によれば、リフトアームアセンブリの最外部はリフトアームアセンブリの下側に、又はその近傍、例えばキャビンの上部から離れるように向きを変えることもできる。リフトアームアセンブリがコンパクトになり、必要であれば、キャビンよりも低いレベルに移動することさえ可能である。その場合の利点は、例えば車両の全高さはリフトアームアセンブリによって決定されることはなく、低い重心を保つことが可能であるということである。車体は例えば救助用車両に使用され、車体は各種道具、装置、および備品のための空間をキャビンの後方に有する。
【0014】
本発明の一態様によれば、リフトアームアセンブリの最外部はまた、車両の後方に向きを変えるので、人を吊り上げ、あるいは移動させるためのケージをこの最外部に固定することが可能である。それゆえ、折り畳まれたリフトアームアセンブリの最外部は垂直位置に向きを変えることができ、ケージを車両背部の後方の低位置に置くことも可能である。ケージによって車両の全長が増加するが、それによる欠点は車体を短くすることにより防止可能である。
【0015】
車両のホイールベースおよび車両自体は不必要に長くならず、車両は、低い重心の結果、扱いやすく、機敏に動き得る。リフトアームアセンブリの回転台は車輪軸の間に置かれ、有利な重量配分が得られる。
【0016】
本発明の一態様によれば、リフトアームアセンブリは、特に、その最外端部は迅速クランプ手段を備えており、それにより作業ケージもしくは救助ケージ、又はスプレー、吹き込み、もしくは吸入具、グリッパー、カッター、散布機械、もしくは進入具などの作業モジュールなどの必要とされる装置をそれらが必要な際に最外端部に固定することが可能である。迅速クランプ手段が救助および土木作業の両方において使用される作業モジュールに適用可能な場合は、柔軟な使用範囲が得られる。特別な利点は異種の作業のための様々な作業モジュールを含む車体を有する車両によって得られる。リフトアームアセンブリの寸法は、リフトアームアセンブリの最外部端部が取り付けまたは切り離しのためにこれらの作業モジュールまで届き、作業モジュールを手動で動かす必要がないような大きさである。作業モジュールはリフトアームアセンブリの下側に置くことができ、車両の全長は不必要に長くはならない。迅速クランプ手段は、必要であれば、ケージおよび作業モジュール内でも使用される。
【0017】
本発明の一態様において、リフトアームアセンブリの各部分の折り畳み角度は、橋梁下の作業でさえ可能な程広い。作業ケージをリフトアームアセンブリの最外部に固定し、橋梁下で実質的に水平な位置にもたらすことが可能である。その場合、リフトアームアセンブリの中心部は実質的に垂直位置にあり、回転台の上部に配置される、折り畳み基礎部は、90度を超えた十分な角度で方向を変えるように配置され、それにより中心部は車両の側部に十分に移動できる。
【0018】
本発明の幾つかの態様において、利点はリフトアームアセンブリの伸縮自在機能によって得られ、アームの届く範囲が十分に大きくなる。伸縮自在機能はリフトアームアセンブリの中心部に組み込まれ、それによって、最外部を車両からさらに遠ざけることが可能となる。移送姿勢において、伸縮自在構造は収縮状態にあり、従ってコンパクトでかつ短い構造が達成される。一態様において、例えば救助目的のために、伸縮自在の作業梯子はリフトアームアセンブリの部品の側部に装着される。
【0019】
リフトアームアセンブリの寸法は、前述した基礎部の長さ、いわゆる回転半径が中心部の長さのおよそ半分となるような大きさである。回転台は、リフトアームアセンブリおよび中心部の真ん中に置かれ、車両の全長は、リフトアームアセンブリが折り畳まれた状態であろうがあるいは異なる移送姿勢であろうが、変化しない。お互いに180度異なる二つの移送姿勢があり、この姿勢にあってはリフトアームアセンブリは、車両の長手方向に平行に置かれる。最外部は、中心部の長さの半分よりも短く、従って中心部の下に折り畳むことができ、回転台の方へ伸ばすことができる。最外部が中心部の側部で方向を変えることが出来る場合、最外部はわずかに長くなることができる。
【0020】
移送姿勢において、最外部はキャビンの後方に置かれるが、伸ばした状態では、キャビンの上部上に置かれる。必要であれば、リフトアームアセンブリの最外部以外の部分が折り畳まれた状態で、最も低く、移送姿勢にある時にも、最外部は、延長姿勢をとり得るように設計される。基礎部は移送姿勢では中心部の下に置かれ、リフトアームアセンブリは、それ自身をほぼ逆U字状に置くことも可能である。
【0021】
必要であれは、アームの届く範囲およびつりあげ能力の面から必要である場合は、車両は支持脚を備える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、本発明を、添付した図を参照してさらに詳細に説明する。
【図1】リフトアームアセンブリを備えた車両の概略原理およびリフトアームアセンブリの二つの移送姿勢を示す側面図である。
【図2】リフトアームアセンブリを備えた車両の概略原理およびリフトアームアセンブリの二つの移送姿勢を示す側面図である。
【図3】作業モジュールの配置の一例を示す側面図である。
【図4】作業モジュールの配置の別例を示す側面図である。
【図5】待機姿勢での救助車両およびリフトアームアセンブリを示す側面図である。
【図6】待機姿勢での救助車両およびリフトアームアセンブリを示す側面図である。
【図7】待機姿勢での救助車両およびリフトアームアセンブリを示す側面図である。
【図8】ケージの配置および取り扱いを示す側面説明図である。
【図9】ケージの配置および取り扱いを示す側面説明図である。
【図10】ケージの配置および取り扱いを示す側面説明図である。
【図11】梯子を備えるリフトアームアセンブリを展開した状態を示す側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1および図2に関して、本発明による車両は、その上部上にキャビン2が配置されたシャシー構造体1を含み、前記キャビンはシャシー構造体の前部に置かれる。キャビン2の位置、形状、および大きさは使用目的に応じて異なってもいが、図1はキャビン2を備えた従来のシャシー構造体1を示す。シャシー構造体1は所望の使用目的のために本発明のリフトアームアセンブリを備え、前記リフトアームアセンブリは箱体の上に置かれる。箱体は車両シャシーの上に置かれ、両者は一緒になってシャシー構造体1を形成する。図1の態様において、車体3も又、箱体の周りに置かれ、例えば救助任務のために必要な道具および装置を含む。車体3の部分に関して、従来の解決手段を利用することが可能である。シャシー構造体1は、車輪を備える2個,又は幾つかの車輪軸4も含む。車両でもある装置は、従来の方法でモーターおよび動力伝達装置を備える。シャシー構造体の箱体は、公知の方法で図7における支持脚14を備えてもよく、それらの脚は広範囲および大きい負荷で使用された場合に、車両を安定化し、支点を提供する。
【0024】
リフトアームアセンブリ5はシャシー構造体1の、上部に置かれ、前記リフトアームアセンブリは三つの部分、第一アーム6(以下、「基礎部」とする)、第二アーム7(以下、「中央部」とする)および第三アーム8(以下、「最外部」とする)を含む。リフトアームアセンブリ5は、垂直回転軸線Yの周りを回転台9により回転する。回転台9は必要なラグおよび結合構造を含み、よって水平方向回転軸線の周りを基礎部6が回転する時、基礎部6の第二端部が昇降し得るように、基礎部6の第一端部は回転台に固定される。基礎部6の垂直回転動作は、通常は、およそ90度である。
【0025】
基礎部の垂直回転動作は、それより大きく、例えば110度〜120度にすることも可能で、例えば、リフトアームアセンブリ5を用いて、リフトアームアセンブリを備えた車両が位置する橋の下に届くようにすることも可能である。
【0026】
回転台9は、リフトアームアセンブリの回転を360度、すなわち制限無しに可能にする。リフトアームアセンブリ5は図1および図2に示す二つの異なった位置に、車両に対して平行に方向を変換できる。
【0027】
中央部7の第一端部は、基礎部の第二端部に固定され、中央部7の第二端部は、中央部7が水平方向回転軸線の周りを回転する時に、昇降し得る。基礎部6および中央部7の間に、必要なラグおよび結合構造がある。
【0028】
最外部8の第一端部は中央部7の第二端部に固定され、最外部8の第二端部は、最外部8が水平方向回転軸線の周りを回転する時に、昇降し得る。最外部8と中央部7との間に、必要なラグおよび結合構造がある。動作のためには、異なる部品間には、例えば加圧流体で作動するシリンダーとして知られるアクチュエータが存在する。アクチュエータの更に詳細な配置はそれらの寸法と同様、可変であることは、当業者にとっては明白なことである。
【0029】
典型的には、中央部7は伸縮自在であり2、3個の動く延長部を有する3又は4個の部分を有する。寸法の一例としては、リフトアームアセンブリの横向方向の範囲は17〜20メートルであり、作動高さは23〜27メートルである。そのコンパクトな構造にかかわらず、リフトアームアセンブリ5は高強度であり一実施例によれば、その許容荷重は20トンメートルを超える。
【0030】
図1および2において、リフトアームアセンブリは移送姿勢であり、折り畳まれた状態で最も低い姿勢にある。図示態様において、リフトアームアセンブリ5の高さHはキャビン2と同一の高さであり、コンパクトな構造が達成される。移送姿勢に折り畳む目的のために、リフトアームアセンブリ5は、キャビン2の後ろで、上記の二つの位置に置かれるような寸法とされ、これらの位置ではリフトアームアセンブリ5は図2のように前方へ、または図1のように後方へと、車両の長手方向軸に平行に延びる。移送姿勢においては、最外部8および基礎部6のどちらも中央部7の上に置かれる。図2において、最外部8は水平な中央部7の下に、例えば、それに平行に折り畳まれる。基礎部6もまた、中央部7の下に、例えば、それに平行に折り畳まれる。お互いの関係においては、最外部8および基礎部6は、主として回転台9の反対両側に置かれ、それらは実質的に互いに平行に延びる。本発明の一態様において、最外部8は水平な中央部7に隣接して、例えば、それに平行に折り畳まれる。前記最外部8は図7および8に示される。最外部8の第一端部および基礎部6の第二端部は回転台9の反対両側に置かれる。
【0031】
リフトアームアセンブリの様々な使用態様に鑑み、並びに、移送姿勢に配置する目的から、リフトアームアセンブリ5は移送姿勢においてキャビン2からの回転軸線Yの自由な距離がリフトアームアセンブリ5の最外端部と前記回転軸線Yとの間の距離Rよりも大きいか、又は実質的に同一であるような寸法にされる。最外端部とは、最外部8が図1又は図8のような移送姿勢になっている場合に、特に中央部7の第二端部、又は最外部8の第一端部のことを意味する。外側端部とは、基礎部6の第二端部および中央部7の第一端部を意味し、回転軸線Yおよび回転台9はリフトアームアセンブリ5の中央および中央部7の中央の下に位置する。よって、移送姿勢におけるリフトアームアセンブリ5の全長は2Rである。このような寸法とすることによりリフトアームアセンブリ5を2つの異なる移送姿勢にもたらすことができるが、その場合でもリフトアームアセンブリは、キャビン2の後方に置かれたままであり、車両の全長Lは実質的に変化しない。
【0032】
他の部分の寸法例としては、基礎部6の長さは中央部7の長さの半分以下であり、最外部8の長さは中央部7の長さの半分より短い。図7又は図8の最外部8はわずかに長くてもよい。
【0033】
図5の態様は最外部8の機能を示しており、リフトアームアセンブリ5の移送姿勢において、最外部8は待機姿勢、すなわち最外部8がキャビン2の上部上に置かれる位置にまで外方に伸ばすことができる。よって、最外部8は、中央部7の延長部として機能し、例えば中央部7に平行である。移送姿勢において、リフトアームアセンブリ5の全高は、図1に示すように高さHに一致するか、又はそれよりも高いかのいずれかである。特に、救助車両の場合には、最外部8が待機姿勢にあれば火事現場において、最初に最外部8の向きを変える必要はなく迅速な消火作業が可能となる。最外部8は必要なスプレージェット16を発生させる、例えば遠隔操作される水圧銃として知られるスプレー装置11を含む。リフトアームアセンブリ5は消火マストとして機能する。
【0034】
リフトアームアセンブリ5を図1又は2に示すような高さが制限される移送姿勢に動かすために、最外部8は、リフトアームアセンブリ5の他の部分が最も低い位置(最大高さHおよび移送姿勢)にあっても、最外部8がキャビンの上を回転し、キャビン2の上の方向に向きを変えることができるような形状10を有する。形状10は例えば、折り返し、角度曲げ、カーブ、折り曲等であり、又は形状10は最外部8が延長状態の場合に、最外部8の中央部7を更に高く、キャビン2の上方に持ち上げるような中央部7と最外部8との間の結合構造でもよい。図6に示すまっすぐな外部8が使用される場合、移送姿勢における全高さがHであるなら、中央部7はわずかに立ち上っていなければならない。もし、リフトアームアセンブリ5の全高さがこれを超える場合は、アームアセンブリ5は、最外部8が伸ばされた状態で低い移送姿勢であってもよい。
【0035】
消化活動は、リフトアームアセンブリ5が回転軸線Yの周りを回転し、又は持ち上げられた状態で継続することもできる。そのためには、恐らく支持脚14を使用することが必要となる。
【0036】
図3の態様において、リフトアームアセンブリを備えた車両は、1つ又はそれ以上の交換可能な作業モジュール12も含む。図5に応じた吊り手のようなリフト部材19も例えば中央部7の端部に固定されることができ、そのリフト部材によって、例えばバンドなどにより火事現場でも様々な負荷を吊り上げ、移送することが可能となる。作業モジュール12および救助用又は作業用ケージは、同一の作業の異なる実施段階に関連するものか、あるいはこれらによって車両を全く別の作業で使用することができる。作業モジュール12は、図6、8、9又は10に示されるように、ケージ15と同様に、車体3の前部または後部に置かれる。
【0037】
図5および6の態様は救助用車両に特に適しており、救助ケージ15は、最外部8に例えば迅速クランプにより固定されることができる。好ましくは、最外部8は、作業モジュール12及び/又はケージ15のために、迅速クランプ手段を備える。
【0038】
図10に関して、シャシー構造体1および車体3は中央部7と同じ程には後方には延びていず、従って最外部8は、リフトアームアセンブリ5の残りの部分は移送姿勢にあるものの、車両の後ろにほぼ垂直に位置せしめられ得る。また車体3は小型なので後方部に置かれるケージ15によって、車両の長さが長くなることはない。車体3はまた、ケージ15を収容する溝や凹部を含んでもよい。これにより作業モジュール12又はケージ15を車両の後方でも最外部8に固定することが可能になる。よって、ケージ15を、車両に近づけ、車両の後部下方にもたらすこともでき、それによりケージへの出入りが容易になる。
【0039】
本発明の一態様において、ケージ15は、図8および9に示されるリフトアームアセンブリ5の移送姿勢においても、最外部8に結合され得る。よって、ケージ15は、リフトアームアセンブリ5の側、例えば車体3の上に保持され、移送される。
【0040】
図11は、中央部7の伸縮自在部7aおよび7bが外方に伸ばされている本発明の一態様を示す。梯子はリフトアームアセンブリ5側に固定され、その第一部分17は基礎部6に固定され、第二延長部18は中央部7に、延長部18の伸縮部18a及び18bは中央部7の伸縮自在延長部7a及び7bに固定される。部分18、18a及び18bはお互い関連して伸縮自在に動く。必要であれば、救助用ケージ15は、最外部8に固定される。梯子を直線状に伸ばすことが可能であり、各部分はおよそ180度回転する。
【0041】
車両およびそのリフトアームアセンブリはまた、制御装置を含み、それにより本発明に係るリフトアームアセンブリは所望位置に動かされる。制御装置としては、公知の制御装置を本件のリフトアームアセンブリに使用するために必要な変更を加えて使用することが可能である。制御装置は例えば、所望の方法でシリンダーを制御する。
【0042】
本発明は上記において開示された、本発明のいくつかの特別な適用例を示す実施例および態様に限定されるものではない。前述した様々な特性が、同一のリフトアームアセンブリおよび車両に関連する場合には多くの異なった作業に使える万能型基本バージョンが用意される。製造目的及びコスト面から、装置は基本機能を含み、かつ、リフトアームアセンブリは、様々な作業を行うことができる所定の基本形状を有することが望ましい。車両およびリフトアームアセンブリの他の装備は、例えば使用目的に左右される。この明細書において、車両という用語は、一般的に特に車輪で動く装置を意味し、例えば箱体又は車体及び本願のリフトアームアセンブリを備えた既成の車両シャシーを基本とする。装置は又、本目的のために作られた枠体および構造物を基本としてもよい。
【0043】
本発明は添付の請求項にしたがって変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフトアームアセンブリを備えた車両であって、キャビン(2)及び回転台(9)を有するシャシー構造体(1)と、前記回転台(9)によって垂直回転軸線(Y)を中心として回転可能となるようにシャシー構造体の上部上に固定されるリフトアームアセンブリ(5)とを含み、前記リフトアームアセンブリは、
前記回転台に固定され、垂直方向に回転するように配置された第一アーム(6)、および
前記第一アームの端部に固定され、前記リフトアームアセンブリが移送姿勢にあるときに、前記第一アームが第二アームの下方で回転可能となるように、垂直方向に回転するように配置された第二アーム(7)、
前記第二アームの端部に固定され、前記リフトアームアセンブリの移送姿勢において、前記第二アームの下方、又はその近傍に向きを変えることができるように、垂直方向に回転可能であり、キャビンの上部上の位置にまで外方に伸ばすことができ、かつ救助および作業ケージ(15)を備える第三アーム(8)、を含む車両において、
前記第二アームは伸縮自在であり、且つ
前記リフトアームアセンブリ(5)は移送姿勢に折り畳むことを目的として、前記リフトアームアセンブリ全体が前記キャビン(2)の後方に二つの移送姿勢で置かれるような寸法にされ、当該移送姿勢では前記リフトアームアセンブリは、車両の長手方向軸に平行に前方、又は後方に延び、且つ、前記移送姿勢におけるリフトアームアセンブリの高さは、キャビンの高さ(H)を超えるか、又は実質的に同一である、ことを特徴とするリフトアームアセンブリを備えた車両。
【請求項2】
前記第一アームおよび第二アームが、前記移送姿勢にある時にも、前記第三アームは、外方に伸びた前記姿勢を保持し得る形状(10)を有することを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記救助用または作業用ケージは、前記シャシー構造体の上に保持され、且つ、前記第一アームおよび前記第二アームが前記移送姿勢にある時に、前記第三アームに結合され得ることを特徴とする、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記キャビン(2)と前記回転軸線(Y)との間の自由距離は、前記リフトアームアセンブリ(5)が前記移送姿勢にある時に、前記リフトアームアセンブリ(5)の最外端部と前記回転軸線(Y)との間の自由距離(R)より大きいか、又は実質的に同一であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
前記リフトアームアセンブリ(5)が前記移送姿勢にある時に、前記回転台(9)は、第二アーム(7)の中央部の下に置かれることを特徴とする、請求項2又は3に記載の車両。
【請求項6】
1つ又は幾つかの交換可能な作業モジュール(12)が前記車両に置かれ、作業モジュールが迅速クランプ手段(13)を含む前記第三アーム(8)に固定され得ることを特徴とする、請求項2、3又は5に記載の車両。
【請求項7】
前記第一アームおよび前記第二アームが前記移送姿勢にある時に、前記救助用又は作業用ケージが前記車両の後方に位置するように、前記第三アームは車両の後方に向きを変え得ることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の車両。
【請求項8】
リフトアームアセンブリを備えた救助用車両であって、キャビン(2)、車体(3)及び回転台(9)を有するシャシー構造体(1)と、前記回転台(9)によって垂直回転軸線(Y)を中心として回転可能となるようにシャシー構造体の上部上に固定されたリフトアームアセンブリ(5)とを含み、前記リフトアームアセンブリは、
前記回転台に固定され、垂直方向に回転するように配置された第一アーム(6)、および
前記第一アームの端部に固定され、前記リフトアームアセンブリが移送姿勢にあるときに、前記第一アームが第二アームの下方で回転可能となるように、垂直方向に回転するように配置された第二アーム(7)、
前記第二アームの端部に固定され、前記リフトアームアセンブリの移送姿勢において、前記第二アームの下方、又はその近傍に向きを変えることができるように、垂直方向に回転可能であり、前記キャビンの上部上の待機姿勢にまで外方に伸ばすことができる第三アーム(8)、を含む車両において、
前記第二アームは伸縮自在であり、且つ
前記リフトアームアセンブリ(5)は移送姿勢に折り畳むことを目的として、前記リフトアームアセンブリ全体が前記キャビン(2)の後方に二つの移送姿勢で置かれるような寸法にされ、当該移送姿勢では前記リフトアームアセンブリは、車両の長手方向軸に平行に前方、又は後方に延び、且つ、前記移送姿勢におけるリフトアームアセンブリの高さは、キャビンの高さ(H)より低いか、又は実質的に同一であり、且つ
前記第三アームは、前記待機姿勢において用いられ得るスプレー装置(11)を備える、ことを特徴とするリフトアームアセンブリを備えた車両。
【請求項9】
前記第一アームおよび第二アームが、前記移送姿勢にある時にも、前記第三アームは、外方に伸びた前記待機姿勢を保持し得る形状(10)を有することを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項10】
前記車体は、迅速クランプ手段(13)を含む第三アームに固定され得る1つ又は幾つかの交換可能な作業モジュール(12)を含むことを特徴とする、請求項9に記載の車両。
【請求項11】
伸縮自在の梯子が、前記リフトアームアセンブリ(5)に隣接固定されることを特徴とする、請求項8,9又は10に記載の車両。
【請求項12】
前記第三アーム(8)は、車両の後方に向きを変えることが可能であり、それにより前記第一アームおよび前記第二アームが前記移送姿勢にある時に、ケージ(15)が、車両の後方に置かれる前記第三アーム(8)に固定され得ることを特徴とする、請求項8、9、10又は11のいずれかに記載の車両。
【請求項13】
リフトアームアセンブリを備えた車両であって、キャビン(2)及び回転台(9)を有するシャシー構造体(1)と、前記回転台(9)によって垂直回転軸線(Y)を中心として回転可能となるようにシャシー構造体の上部上に固定されるリフトアームアセンブリ(5)とを含み、前記リフトアームアセンブリは、
前記回転台に固定され、垂直方向に回転するように配置された第一アーム(6)、および
前記第一アームの端部に固定され、前記リフトアームアセンブリが移送姿勢にあるときに、前記第一アームが第二アームの下方で回転可能となるように、垂直方向に回転できるように配置された第二アーム(7)、
前記第二アームの端部に固定され、前記リフトアームアセンブリの移送姿勢において、前記第二アームの下方、又はその近傍に向きを変えることができるように、垂直方向に回転可能であり、キャビンの上部上の待機姿勢にまで外方に伸ばすことができる第三アーム(8)、を含む車両において、
前記第二アームは伸縮自在であり、且つ
前記リフトアームアセンブリ(5)は移送姿勢に折り畳むことを目的として、前記リフトアームアセンブリ全体が前記キャビンの後方に二つの移送姿勢で置かれるような寸法にされ、当該移送姿勢では前記リフトアームアセンブリは、車両の長手方向軸に平行に前方、又は後方に延び、且つ、前記移送姿勢におけるリフトアームアセンブリの高さは、前記キャビンの高さ(H)より低いか、又は実質的に同一である、ことを特徴とするリフトアームアセンブリを備えた車両。
【請求項14】
前記第三アームは、その端部に作業モジュールのための迅速クランプ手段(13)、スプレー装置(11)、又は救助用もしくは作業ケージ(15)を含むことを特徴とする、請求項13に記載の車両。
【請求項15】
リフトアームアセンブリ(5)を垂直回転軸線(Y)を中心として回転せしめ得る回転台(9)と、
前記回転台に固定され、垂直方向に回転するように配置された第一アーム(6)、
前記第一アームの端部に固定され、前記リフトアームアセンブリが移送姿勢にあるときに、前記第一アームが第二アームの下方で回転可能となるように、垂直方向に回転するように配置された第二アーム(7)、
前記第二アームの端部に固定され、前記リフトアームアセンブリの移送姿勢において、前記第二アームの下方、又はその近傍に向きを変えることができるように、垂直方向に回転可能であり、第二アーム(7)に対する延長部として機能する位置まで外方に伸ばすことができる第三アーム(8)、を含むリフトアームアセンブリにおいて、
前記第二アームは伸縮自在であり、且つ
移送姿勢に折り畳む目的のため、前記リフトアームアセンブリ全体は前記垂直回転軸線(Y)の周りを回転して各々が180度異なる二つの移送姿勢になるように配置されることを特徴とする、リフトアームアセンブリ。
【請求項16】
前記第三アームは、その端部に作業モジュール(12)、スプレー装置(11)、又は救助用もしくは作業用ケージ(15)のための迅速クランプ手段(13)を含むことを特徴とする、請求項15に記載のリフトアームアセンブリ。
【請求項17】
前記リフトアームアセンブリ(5)が前記移送姿勢にある時に、前記回転台(9)は、前記第二アーム(7)の中央部の下に置かれることを特徴とする、請求項15又は16に記載のリフトアームアセンブリ。
【請求項18】
前記第三アームは、該第三アームが前記第二アームに対する延長部として機能する位置まで外方に伸ばされる時に、前記第三アームを前記第二アームよりも高く持ち上げ得る形状(10)を有することを特徴とする、請求項15乃至請求項17のいずれかに記載のリフトアームアセンブリ。
【請求項19】
前記リフトアームアセンブリ全体が、前記シャシー構造体に含まれる前記キャビン(2)の後方で、車両の前期シャシー構造(1)の上部上に置かれ、かつ前記移送姿勢において前記リフトアームアセンブリの高さが前記キャビンの高さ(H)より小さいか、又は実質的に同一になるような寸法にされることを特徴とする、請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のリフトアームアセンブリ。
【請求項20】
前記第三アームは、前記キャビンの上部上の位置まで外方に伸ばされ得ることを特徴とする、請求項19に記載のリフトアームアセンブリ。
【請求項21】
前記リフトアームアセンブリは、前記シャシー構造体に含まれる前記キャビン(2)の後方で、前記車両の前記シャシー構造体(1)の上部上に置かれ、前記第三アームは前記キャビンの上部上の位置まで外方に伸ばされ得ることを特徴とする、請求項15乃至18のいずれかに記載のリフトアームアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−534176(P2010−534176A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517427(P2010−517427)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050435
【国際公開番号】WO2009/027575
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510021122)
【Fターム(参考)】