説明

車両周辺監視装置

【課題】不適切な周辺画像に対するユーザの不要なる注視を抑制可能な、車両周辺監視装置を提供する。
【解決手段】車載カメラ1により撮影された車両周辺の撮影画像から周辺画像を生成して表示するための車両周辺監視装置(ECU5)は、撮影画像を処理して画像の撮影状態を判定する撮影状態判定部53と、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、周辺画像の表示領域Aを注視しないことをユーザに促すユーザ案内部(画像制御部54、音声制御部55)とを備える。これにより、撮影画像を処理して画像の撮影状態が判定され、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、ユーザは、周辺画像の表示領域Aを注視しないことを促される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラにより撮影された車両周辺の撮影画像から周辺画像を生成して表示するための車両周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両周辺監視システムでは、露出オーバー、露出アンダー、輪郭ボケなど画像の撮影状態に応じて、車両周辺の安全確認に適さない周辺画像が表示される場合がある。例えば特開2011−29974号公報には、撮影画像に白飛びが生じた場合に、複数の画像フレームを用いて修正された周辺画像を表示するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−29974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなシステムでは、周辺画像の修正が不十分であっても、その周辺画像を表示するので、ユーザ(運転者)が車両周辺の安全確認に適さない周辺画像を注視してしまい、車両周辺の安全を適切に確認できなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、車両周辺の安全確認に適さない周辺画像に対するユーザの不要なる注視を抑制可能な車両周辺監視装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る車両周辺監視装置は、車載カメラにより撮影された車両周辺の撮影画像から周辺画像を生成して表示するための車両周辺監視装置であって、撮影画像を処理して画像の撮影状態を判定する撮影状態判定部と、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、周辺画像の表示領域を注視しないことをユーザに促すユーザ案内部とを備えて構成されている。
【0007】
この発明によれば、撮影画像を処理して画像の撮影状態が判定され、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、ユーザは、周辺画像の表示領域を注視しないことを促される。よって、車両周辺の安全確認に適さない周辺画像に対するユーザの不要なる注視を抑制することができる。ここで、例えば、撮影画像に発生した白飛びの強度、露出アンダーの強度、および輪郭ボケの強度のうち少なくとも1つが所定閾値を超える場合に、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定してもよい。なお、撮影状態が周辺画像の生成に適さない撮影画像とは、撮影画像に生じた露出オーバー、露出アンダー、輪郭ボケなどの撮影状態に起因して、その撮影画像に基づき車両周辺の安全確認に適した周辺画像を生成しえない撮影画像をいう。また、白飛び(露出オーバー)とは、撮影画像において、一定以上の明るさの被写体が真っ白に塗り潰されてしまう現象をいう。
【0008】
ユーザ案内部は、表示領域の注視を妨げる画像を用いて、表示領域を注視しないことを促してもよい。これにより、ユーザは、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、周辺画像の表示領域の注視を妨げる画像を用いて、表示領域を注視しないことを促される。よって、ユーザは、表示領域に一寸視線を移動させ、周辺画像の表示領域の注視を妨げる画像を眺めるだけで、周辺画像を注視する必要がないことを認識できる。ここで、周辺画像の表示領域の注視を妨げる画像は、表示領域を黒くする画像でもよく、表示領域を注視しないことを促す画像情報を含でもよい。
【0009】
ユーザ案内部は、周辺画像の表示領域の注視を妨げる音声情報を用いて、表示領域を注視しないことを促してもよい。これにより、ユーザは、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、周辺画像の表示領域の注視を妨げる音声情報を用いて、表示領域を注視しないことを促される。よって、ユーザは、表示領域に視線を移動させなくても、音声情報を聴き取るだけで、周辺画像を注視する必要がないことを認識できる。
【0010】
車両周辺監視装置は、複数の車載カメラにより撮影された複数の撮影画像を合成して周辺画像を生成する画像生成部をさらに備え、撮影状態判定部は、複数の撮影画像を処理して複数の画像の撮影状態を判定し、ユーザ案内部は、1以上の画像の撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、表示領域を注視しないことを促してもよい。これにより、1以上の画像の撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、ユーザは、表示領域を注視しないことを促される。よって、不適切な周辺画像に対するユーザの不要なる注視を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両周辺の安全確認に適さない周辺画像に対するユーザの不要なる注視を抑制可能な車両周辺監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】車両周辺監視システムを含む車両の概略を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両周辺監視システムの構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理を示すフロー図である。
【図4】第1の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理の一例を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理を示すフロー図である。
【図6】第2の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る車両周辺監視システムを含む車両10の概略について説明する。図1は、車両周辺監視システムを含む車両10の概略を示す平面図である。図1に示すように、車両10には、車載カメラ1(各種カメラ11、12、13a、13bの総称;図2参照)、車載照明2(各種ライト21、22、23a、23bの総称;図2参照)、車載モニタ3、車載スピーカ4、およびECU(Electronic Control Unit)5が設けられる。
【0015】
車載カメラ1は、CCDカメラ、魚眼カメラ、または広角カメラなどからなる、フロントカメラ11、リアカメラ12、サイドカメラ13(左サイドカメラ13a、右サイドカメラ13b)を含む。フロントカメラ11は、車両10の前面(フロントグリルなど)に設けられており、車両前方の状況を撮影する。リアカメラ12は、車両10の後面(リア部など)に設けられており、車両後方の状況を撮影する。サイドカメラ13は、車両10の側面(サイドミラーなど)に設けられており、車両側方の状況を撮影する。
【0016】
車載照明2は、フロントライト21、リアライト22、サイドライト23(左サイドライト23a、右サイドライト23b)を含む。フロントライト21は、車両10の前面(フロントグリルなど)に設けられており、車両10の走行時・停止時などに車両前方を照らす。リアライト22は、車両10の後面(リア部など)に設けられており、車両周辺監視に際して車両後方の照度が不足しているときに車両後方を照らす。サイドライト23は、車両10の側面(サイドミラーなど)に設けられており、車両周辺監視に際して車両側方の照度が不足しているときに車両側方を照らす。車載照明2の点灯・消灯は、ユーザ(運転者)操作に応じて行われてもよく、光センサ(不図示)などを用いて制御されてもよい。
【0017】
車載モニタ3は、運転席付近のコンソールパネルなどに設けられたLCDパネルなどであり、車両周辺監視用の画面、ナビゲーション用の画面などを表示する。車載スピーカ4は、運転席付近など、車両10の室内に設けられたスピーカであり、車両周辺監視用の音声情報、ナビゲーション用の音声情報などを出力する。ECU5は、ハードウェアおよびソフトウェアのうち少なくとも一つにより実装され、車両周辺監視機能、ナビゲーション機能を含む車両全体を制御する。
【0018】
つぎに、図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両周辺監視システムの構成について説明する。車両周辺監視システムは、車載カメラ1により撮影された車両周辺の撮影画像から周辺画像を生成して表示するシステムである。車両周辺監視システムは、上位システム(不図示)により制御される。図2は、本発明の実施形態に係る車両周辺監視システムの構成を示すブロック図である。図2に示すように、車両周辺監視システムは、車載カメラ1、車載モニタ3、車載スピーカ4、およびECU5を含む。なお、車載カメラ1、車載モニタ3、および車載スピーカ4については、図1の説明と重複するので省略する。
【0019】
ECU5は、画像記憶部51、画像生成部52、撮影状態判定部53、画像制御部54、音声制御部55、および照明制御部56を含む。画像制御部54および音声制御部55は、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、車載モニタ3における周辺画像の表示領域A(図4、図6参照)を注視しないことをユーザに促すユーザ案内部として機能する。
【0020】
画像記憶部51は、車載カメラ1により撮影された車両周辺の撮影画像を記憶する。撮影画像は、車両10の前方、後方、または側方の画像など画像の種別、および画像の撮影時点を示す情報と共に画像データとして記憶される。
【0021】
画像生成部52は、車載モニタ3の表示領域Aに表示する表示画像を車両周辺の撮影画像から生成する。画像生成部52は、車両10の走行状況またはユーザ操作に応じて、画像生成に用いる撮影画像などを画像記憶部51から読み出し、周辺画像などを生成する。例えば、降車時には、車両側方の安全確認を促すために、サイド画像が生成され、駐車時には、車両周囲の安全確認を促すために、全周囲画像が生成される。ここで、全周囲画像は、車両10の前方、後方、および側方の画像を合成して生成され、フロント画像、リア画像、およびサイド画像は、それぞれ車両10の前方、後方、および側方の画像から生成される。また、画像生成部52は、詳細を後述するように、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、表示領域Aの注視を妨げる画像を生成する。
【0022】
撮影状態判定部53は、撮影画像を処理して画像の撮影状態を判定する。撮影状態判定部53は、車両10の走行状況またはユーザ操作に応じて、撮影状態の判定に用いる撮影画像を画像記憶部51から読み出し、色成分処理、輝度成分処理などの画像処理を施す。ここでは、一例として、撮影画像に生じた白飛びの強度に基づき撮影状態を判定する場合について説明するが、露出アンダー、輪郭ボケなどの強度に基づき判定してもよい。
【0023】
白飛びの強度は、撮影画像の全画素に占める白色(R成分、G成分、B成分の各値が255)に近い画素の割合から求められる。同様に、撮影画像の全画素に占める高輝度成分(成分値が255に近いY成分)の画素の割合、または輝度成分を反転させた上で、撮影画像の全画素に占める低輝度成分(成分値の反転値が0に近いY成分)の画素の割合から求められる。なお、白飛びの強度は、白色に近い領域などの画素数の割合のみから求められてもよく、画素数を白色の程度に応じて重み付けして求められてもよい。
【0024】
そして、撮影状態判定部53は、白飛びの強度を所定閾値と比較し、所定閾値を超えた場合に、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定する。あるいは、車両10の前方、後方、および側方の画像について、色成分または輝度成分を比較し、画像間における成分特性の相違が所定閾値を超えるかに基づき撮影状態が判定されてもよい。
【0025】
画像制御部54は、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、表示領域Aの注視を妨げる画像を用いて、表示領域Aを注視しないことを促す。画像制御部54は、撮影状態の判定結果を取得し、周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、表示領域Aの注視を妨げる画像を表示するように画像生成部52を制御する。
【0026】
画像制御部54は、例えば、車載モニタ3の表示領域Aを黒くする画像を生成し、画像信号として車載モニタ3に供給するように画像生成部52を制御する。これに代えてまたはこれに加えて、画像制御部54は、例えば、表示領域Aを注視しないことを促す所定の画像情報を含む画像(安全確認に適さない周辺画像を伴ってもよい。)を生成し、画像信号として車載モニタ3に供給するように画像生成部52を制御する。所定の画像情報は、安全確認に適した周辺画像を生成中であることを示すメッセージなどであり、記憶部(不図示)などから読み出され、画像信号として車載モニタ3に供給される。
【0027】
音声制御部55は、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、表示領域Aの注視を妨げる音声情報を用いて、表示領域Aを注視しないことを促す。音声制御部55は、撮影状態の判定結果を取得し、周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、表示領域Aの注視を妨げる音声情報を出力するように車載スピーカ4を制御する。所定の音声情報は、適切な周辺画像を生成中であることを示すメッセージおよび効果音のうち少なくとも一方などであり、記憶部(不図示)などから読み出され、音声信号として車載スピーカ4に供給される。
【0028】
照明制御部56は、車両周辺の照明状況またはユーザ操作に応じて、図1に示した車載照明2、つまりフロントライト21、リアライト22、左・右サイドライト23a、23bそれぞれの点灯・消灯を制御する。例えば、車両周辺の照度が不足している状況において、降車時には、車両側方、特に降車位置周辺の状況を示すサイド画像を撮影するために、左・右サイドライト23a、23bが点灯され、駐車時には、撮影画像から車両周囲の状況を示す全周囲画像を撮影するために、フロントライト21、リアライト22、左・右サイドライト23a、23bが点灯される。
【0029】
つぎに、図3および図4を参照して、第1の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理について説明する。図3は、第1の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理を示すフロー図である。図4は、第1の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理の一例を示す図である。
【0030】
以下では、車両周辺の照度が不足している状況で搭乗者が降車するに際してサイド画像を表示する場合について説明する。ここで、サイドカメラ13がサイドライト23に近接していると、カメラ13に取り込まれる光源の光が強くなり、ゲイン調整などの処理を通じて適切な撮影状態が得られるまでに時間を要する。なお、以下では、サイドカメラ13の画像の撮影状態がサイドライト23により不適切となる場合について説明するが、自車両10の他の光源、または自車両10以外の他の光源(人工光源または自然光源)により車載カメラ1の画像の撮影状態が不適切となる場合についても、同様に説明される。
【0031】
図3に示す処理は、車両10の停車時にドアロックが解除操作されるなど、車両側方の安全確認を要する状況の発生が上位システムにより判定されると開始し、ドアが大きく開放されるなど、車両側方の安全確認を要する状況の解消が上位システムにより判定されると終了する。
【0032】
処理の開始に際して(ステップS11で「Yes」の場合)、照明制御部56は、左・右サイドライト23a、23bを点灯させる(ステップS12)。車載カメラ1は、少なくとも車両10の左右側方の画像の撮影を開始し(ステップS13)、画像記憶部51に供給する。
【0033】
撮影状態判定部53は、車両側方の撮影画像を読み出し、撮影画像を処理して画像の撮影状態を判定し(ステップS14)、判定結果を画像制御部54および音声制御部55のうち少なくとも一方に通知する。例えば、白飛びの強度を判定する場合、車両側方の画像の白飛びの強度が所定閾値を超えるかが判定される。なお、撮影状態は、左右側方の撮影画像のそれぞれについて判定されてもよく、例えば左右側方の撮影画像の平均的な特性として判定されてもよい。ここで、判定結果は、画像制御部54および音声制御部55の少なくとも一方に通知される。
【0034】
撮影状態が周辺画像の生成に適することを示す判定結果を通知された場合(ステップS15で「Yes」の場合)に、画像制御部54は、車両側方の撮影画像からサイド画像を生成し(ステップS16)、画像信号として車載モニタ3に供給する。車載モニタ3の表示領域Aには、周辺画像の生成に適すると判定された撮影画像から生成されたサイド画像が表示される(ステップS17)。例えば図4(a)に示すように、車両の左右側方の画像P3a、P3bの画像の撮影状態が周辺車両の生成に適すると判定される。この場合、車載モニタ3の表示領域Aには、周辺車両の生成に適すると判定された車両の左右側方の画像P3a、P3bから生成された左・右サイド画像P3a´、P3b´が表示される。サイド画像が表示された後に、処理の終了が判定されない場合(ステップS18で「No」の場合)、処理は、撮影状態の判定処理(ステップS14)に復帰する。
【0035】
一方、撮影状態が周辺画像の生成に適さないことを示す判定結果を通知された場合(ステップS15で「No」の場合)に、画像制御部54および音声制御部55のうち少なくとも一方は、表示領域Aを注視しないことをユーザに促す(ステップS21)。
【0036】
つまり、画像制御部54は、例えば、表示領域Aの全体を黒くする画像、および表示領域Aを注視しないことを促す所定の画像情報を含む画像のうち少なくとも一方を生成するように、画像生成部52を制御する。よって、ユーザは、表示領域Aに一寸視線を移動させ、表示領域Aの注視を妨げる画像を眺めるだけで、周辺画像を注視する必要がないことを認識できる。音声制御部55は、表示領域Aの注視を妨げる音声情報を出力するように車載スピーカ4を制御する。例えば図4(b)に示すように、車両の左右側方の画像P3a、P3bの撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定される。この場合、車載モニタ3の表示領域Aに、表示領域Aの全体を黒くする画像P4が表示され、車載スピーカ4からは、表示領域Aの注視を妨げる音声情報が出力される。よって、ユーザは、表示領域Aに視線を移動させなくても、音声情報を聴き取るだけで、周辺画像を注視する必要がないことを認識できる。
【0037】
表示領域Aを注視しないことが促される(ステップS21)と、処理は、撮影状態の判定処理(ステップS14)に復帰する。つまり、ユーザは、周辺画像の生成に適した撮影状態が達成されるまで、表示領域Aを注視しないことを促され続ける。これにより、安全確認に適さない周辺画像に対するユーザの不要なる注視を抑制することができる。
【0038】
処理の終了に際して(ステップS18で「Yes」の場合)、車載カメラ1は、車両10の左右側方の画像の撮影を終了し(ステップS19)、照明制御部56は、左・右サイドライト23a、23bを消灯させる(ステップS20)。
【0039】
つぎに、図5および図6を参照して、第2の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理について説明する。なお、第2の実施形態に係る車両周辺監視システムは、図1および図2を参照して説明した第1の実施形態に係る車両周辺監視システムと同様に構成されている。図5は、第2の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理を示すフロー図である。図6は、第2の実施形態に係る車両周辺監視システムの処理の一例を示す図である。
【0040】
以下では、車両周辺の照度が不足している状況で駐車するに際して、全周囲画像を表示する場合について説明する。ここで、全周囲画像を構成する一部の画像の撮影状態が周辺画像の生成に適さないと、車両周辺の安全確認に適した全周囲画像を表示することができなくなる。
【0041】
図5に示す処理は、車両10が低速で後退するなど、車両周囲の安全確認を要する状況の発生が上位システムにより判定されると開始し、駐車ブレーキの操作により車両10が完全に停止されるなど、車両周囲の安全確認を要する状況の解消が上位システムにより判定されると終了する。
【0042】
処理の開始に際して(ステップS31で「Yes」の場合)、照明制御部56は、フロントライト21、リアライト22、および左・右サイドライト23a、23bを点灯させる(ステップS32)。車載カメラ1は、車両10の前方、後方、および左右側方の画像の撮影を開始し(ステップS33)、画像記憶部51に供給する。
【0043】
撮影状態判定部53は、車両10の前方、後方、および左右側方の撮影画像を読み出し、撮影画像を処理して画像の撮影状態を判定し(ステップS34)、判定結果を画像制御部54および音声制御部55のうち少なくとも一方に通知する。例えば、白飛びの強度を判定する場合、車両前方の画像の輝度と車両後方の画像の輝度との平均値、および車両左側方の画像の輝度と車両右側方の画像の輝度との平均値が求められる。そして、車両左右側方の画像の平均輝度値が所定閾値を超えるかが判定される。ここで、判定結果は、画像制御部54および音声制御部55の少なくとも一方に通知される。
【0044】
撮影状態が周辺画像の生成に適することを示す判定結果を通知された場合(ステップS35で「Yes」の場合)に、画像制御部54は、まず、車両前後方の画像の平均輝度値と車両左右側方の画像の平均輝度値の平均値をもって、車両10の前方、後方、および左右側方の画像の輝度を調整する(ステップS36)。そして、調整された4つの画像を合成して全周囲画像を生成し(ステップS37)、画像信号として車載モニタ3に供給する。車載モニタ3の表示領域Aには、周辺画像の生成に適すると判定された撮影画像から生成された全周囲画像が表示される(ステップS38)。
【0045】
例えば図6(a)に示すように、車両の左右側方の画像P3a、P3bの画像の撮影状態が周辺画像の生成に適すると判定される。この場合、車載モニタ3の表示領域Aには、周辺画像の生成に適すると判定された車両の前方、後方、および左右側方の画像P1、P2、P3a、P3bを合成して生成された全周囲画像P5が表示される。全周囲画像が表示された後に、処理の終了が判定されない場合(ステップS39で「No」の場合)、処理は、撮影状態の判定処理(ステップS34)に復帰する。
【0046】
一方、撮影状態が周辺画像の生成に適さないことを示す判定結果を通知された場合(ステップS35で「No」の場合)に、画像制御部54および音声制御部55のうち少なくとも一方は、表示領域Aを注視しないことをユーザに促す(ステップS42)。つまり、画像制御部54は、例えば、表示領域Aの全体を黒くする画像、および表示領域Aを注視しないことを促す所定の画像情報を含む画像のうち少なくとも一方を生成するように、画像生成部52を制御する。音声制御部55は、表示領域Aの注視を妨げる音声情報を出力するように車載スピーカ4を制御する。例えば図6(b)に示すように、車両の左右側方の画像P3a、P3bの撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定される。この場合、車載モニタ3の表示領域Aには、表示領域Aの全体を黒くする画像P4が表示され、車載スピーカ4からは、表示領域Aの注視を妨げる音声情報が出力される。
【0047】
表示領域Aを注視しないことが促される(ステップS42)と、処理は、撮影状態の判定処理(ステップS34)に復帰する。つまり、ユーザは、周辺画像の生成に適した撮影状態が達成されるまで、表示領域Aを注視しないことを促され続ける。これにより、安全確認に適さない周辺画像(全周囲画像)に対するユーザの不要なる注視を抑制することができる。
【0048】
処理の終了に際して(ステップS39で「Yes」の場合)、車載カメラ1は、車両10の前方、後方、および左右側方の画像の撮影を終了し(ステップS40)、照明制御部56は、フロントライト21、リアライト22、および左・右サイドライト23a、23bを消灯させる(ステップS41)。
【0049】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る車両周辺監視装置によれば、撮影画像を処理して画像の撮影状態が判定され、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、ユーザは、周辺画像の表示領域Aを注視しないことを促される。これにより、車両周辺の安全確認に適さない周辺画像に対するユーザの不要なる注視を抑制することができる。
【0050】
また、ユーザは、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、周辺画像の表示領域の注視を妨げる画像を用いて、表示領域を注視しないことを促される。これにより、ユーザは、表示領域に一寸視線を移動させ、周辺画像の表示領域の注視を妨げる画像を眺めるだけで、周辺画像を注視する必要がないことを認識できる。
【0051】
また、ユーザは、撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、周辺画像の表示領域の注視を妨げる音声情報を用いて、表示領域を注視しないことを促される。よって、ユーザは、表示領域に視線を移動させなくても、音声情報を聴き取るだけで、周辺画像を注視する必要がないことを認識できる。
【0052】
また、1以上の画像の撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、ユーザは、表示領域を注視しないことを促される。よって、不適切な周辺画像に対するユーザの不要なる注視を抑制することができる。
【0053】
なお、前述した実施形態は、本発明に係る車両周辺監視装置の最良な実施形態を説明したものであり、本発明に係る車両周辺監視装置は、本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る車両周辺監視装置は、各請求項に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で本実施形態に係る車両周辺監視装置を変形し、または他のものに適用したものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…車載カメラ、2…車載照明、3…車載モニタ、4…車載スピーカ、5…ECU、51…画像記憶部、52…画像生成部、53…撮影状態判定部、54…画像制御部(ユーザ案内部)、55…音声制御部(ユーザ案内部)、56…照明制御部、A…表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載カメラにより撮影された車両周辺の撮影画像から周辺画像を生成して表示するための車両周辺監視装置であって、
前記撮影画像を処理して該画像の撮影状態を判定する撮影状態判定部と、
前記撮影状態が前記周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、前記周辺画像の表示領域を注視しないことをユーザに促すユーザ案内部と、
を備える車両周辺監視装置。
【請求項2】
前記ユーザ案内部が、前記周辺画像の表示領域の注視を妨げる画像を用いて、前記表示領域を注視しないことを促す、請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】
前記周辺画像の表示領域の注視を妨げる画像が、前記表示領域を黒くする画像である、請求項2に記載の車両周辺監視装置。
【請求項4】
前記周辺画像の表示領域の注視を妨げる画像が、前記表示領域を注視しないことを促す画像情報を含む、請求項2または3に記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】
前記ユーザ案内部が、前記周辺画像の表示領域の注視を妨げる音声情報を用いて、前記表示領域を注視しないことを促す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両周辺監視装置。
【請求項6】
複数の車載カメラにより撮影された複数の撮影画像を合成して周辺画像を生成する画像生成部をさらに備え、
前記撮影状態判定部が、前記複数の撮影画像を処理して該複数の画像の撮影状態を判定し、
前記ユーザ案内部が、1以上の画像の撮影状態が周辺画像の生成に適さないと判定された場合に、前記表示領域を注視しないことを促す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両周辺監視装置。
【請求項7】
前記撮影状態判定部が、前記撮影画像に生じた白飛びの強度が所定閾値を超える場合に、前記撮影状態が前記周辺画像の生成に適さないと判定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両周辺監視装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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