説明

車両室内構造

【課題】 車載機器の操作パネルに対する操作性を低下させることなく、その下方に配置された物品収納部に対して運転席および助手席から容易に物品の出し入れを行うことができる車両室内構造を提供する。
【解決手段】 インストルメントパネル(1)の車幅方向中央部に車載機器の操作パネル(2)を有し、前記操作パネルを除く前記インストルメントパネルの下部(13、14)が逆傾斜面で構成される一方、前記操作パネルの下部(22)が前記逆傾斜面に対して車両室内側に張出し、その下方に位置したセンターコンソール(5)の前端部に物品収納部(51)を有する車両室内構造において、前記操作パネル下部(22)が、下端中央に向け漸次幅狭になる略円弧状または略逆三角形状に形成され、前記操作パネル下部の両側面(22a)が、車幅方向中央側に向けて逆傾斜面で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内構造に関し、さらに詳しくは、インストルメントパネルの下方に位置したセンターコンソール前端部に物品収納部を有する車両室内構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネルには、計器類や空調やオーディオなどの車載機器の操作パネルが配設される他に、グローブボックス、カップホルダー、コインホルダーなどの様々な物品収納部が設けられている。特に、インストルメントパネル中央の操作パネル下部は、広い収納スペースは確保し難いものの、運転席および助手席から手の届く位置にあることから、小物入れやカップホルダーなどに利用されてきた。しかし、操作パネル下部の小物入れは着座位置からの視認性が悪く、物品の出し入れを行い難い問題があった。
【0003】
一方、缶飲料や紙コップなどの保持を目的としたカップホルダーは、奥まった低位置に設置することはできないので、特許文献1、2では、カップホルダーを操作パネルに引き出し式として構成し、センターコンソールの上方に引き出して使用することが開示されている。しかし、近年、ペットボトルの使用頻度が増加するなかで、このようなカップホルダーにペットボトルのような高さのある飲料容器を挿立すると、ペットボトルの上部が操作パネル面の手前に位置して操作に支障を来すことになる。
【0004】
【特許文献1】特許第3303490号公報
【特許文献2】実開昭63−139040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、インストルメントパネル中央に配置された車載機器の操作パネルに対する操作性を低下させることなく、その下方に配置された物品収納部に対して運転席および助手席から容易に物品の出し入れを行うことができる車両室内構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来技術の有する課題を解決するため、本発明は、インストルメントパネル(1)の車幅方向中央部に車載機器の操作パネル(2)を有し、前記操作パネルを除く前記インストルメントパネルの下部(13、14)が逆傾斜面で構成される一方、前記操作パネルの下部(22)が前記逆傾斜面に対して車両室内側に張出し、その下方に位置したセンターコンソール(5)の前端部に物品収納部(51)を有する車両室内構造において、前記操作パネル下部(22)が、下端中央に向け漸次幅狭になる略円弧状または略逆三角形状に形成され、前記操作パネル下部の両側面(22a)が、車幅方向中央側に向けて逆傾斜面で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両室内構造は、上記のように構成されているので、操作パネル下部の車幅方向中央側に向けて逆傾斜した両側面(22a)により、操作パネル下部の空間を利用して設置された物品収納部および該収納部内の物品を、運転席および助手席に着座した乗員が容易に視認でき、物品を確認しながら容易に出し入れできる。操作パネル下部の下端は幅狭になっているが、下端を除けば本来の幅が確保されており、特に、操作パネル下部が円弧状である場合には、側面が平行な場合と殆ど差のないパネル面積を確保できる。
【0008】
また、前記物品収納部が、車幅方向に並設された左右一対の飲料容器挿立用凹部(51、51)であり、前記操作パネル下部の下面(22b)が、前記凹部に挿立した飲料容器(9、9)の上方に位置している態様では、凹部に挿立した飲料容器を、運転席および助手席に着座した乗員が容易に視認でき、かつ、操作パネル下部の逆傾斜した両側面とインストルメントパネル下部の逆傾斜面との間の空間を通じて、それぞれの側から容易に挿脱できる。また、飲料容器は、操作パネルの下方に挿立されるため、飲料容器がパネル面の操作の妨げとなることがない。さらに、飲料容器の取り出しには、飲料容器を持ち上げながら斜め側方かつ後方に傾倒させる必要があるため、車両が凹凸のある路面を走行してバウンドし、飲料容器が上方に跳ね上がっても、その挙動のみでは抜脱し難い利点がある。
【0009】
また、本発明において、前記操作パネル下部の下側に、前記左右一対の飲料容器挿立用凹部の中間部上方に位置させてアクセサリーソケット(23)が設けられている態様では、高さのあるペットボトルに対応すべく飲料容器挿立用凹部の上部に確保された空間を有効利用できる利点がある。
【0010】
さらに、本発明において、前記左右一対の飲料容器挿立用凹部のさらに前方に第2の物品収納部(52)が配設されている態様では、飲料容器挿立用凹部のさらに前方のスペースを有効利用でき、かつ、操作パネル下部の逆傾斜した両側面によって、操作パネル下方の奥まった位置であっても比較的良好な視認性が維持され、かつ採光も得られるので、小物入れやダストボックスとして利用する上で有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に図を用いて、本発明の詳細を説明する。
図1は、本発明に係る車両室内構造を実施したインストルメントパネル1付近を室内後方から見た図である。図において、インストルメントパネル1の中央には、オーディオや空調などの車載機器の操作を行うための操作パネル2が配置され、その運転席3側には、計器類を集中装備したメータークラスター11が配設されている。メータークラスター11の下方には、図示しないステアリングコラムを挿通する開口部12が設けられ、開口部12周囲の下側には、別体のロアカバー13が装着されている。一方、操作パネル2の助手席4側下部には、回転開閉式のグローブボックス14が設けられている。
【0012】
図示例のインストルメントパネル1は、操作パネル2やメータークラスター11を除く本体部が、丸みを帯びて車幅方向に延在する略半円筒状(コッペパン形状)を基調とした意匠形状に形成されており、インストルメントパネル1本体下部の意匠面を構成するロアカバー13およびグローブボックス14の意匠面は、図2に示されるように、前下方に湾曲した逆傾斜面(円弧状面)で構成されている。
【0013】
操作パネル2は、上記インストルメントパネル本体部(1)を車両前後方向に貫通する円筒状体の底面として、車両室内後方から見て略円形に形成されており、インストルメントパネル1全体としては、本体部(1)と操作パネル部(2)との相貫体による「円」を基調とした意匠形状をなしている。
【0014】
これに伴い、操作パネル2の下部22は、図2に示されるように、インストルメントパネル本体下部の逆傾斜面、すなわち、ロアカバー13およびグローブボックス14の意匠面に対して車両室内側に張出しており、操作パネル下部22の両側面22aは、車幅方向中央側に向けて湾曲した逆傾斜面(円弧状面)をなしている。
【0015】
なお、操作パネル2の中央部にオーディオ操作部が配設され、その上部21には空調空気の吹出口(吹出ルーバー)が設けられ、下部22には空調操作部が配設されている。これら3部分で構成された操作パネル2は、乗員が操作し易いように後上方に向けて仰角が設けられ、操作パネル下部22の下面(22b)は、図2に示すように、後上方に向けて上昇する傾斜面となっている。また、室内後方から見て下に凸の円弧状をなす操作パネル下部22の下端部22bには、図2および図3に示すように、車載電源を外部機器の電源として利用するためのサービスコンセント23が設けられている。
【0016】
一方、図2に示すように、運転席3と助手席4との間のフロア面上には、シフトレバー6とパーキングレバー7とが前後に並設されるとともに、それらの機構部を覆うセンターコンソール5が配設されている。操作パネル下部22の下方まで延設されたセンターコンソール5の前端部には、ペットボトルなどの飲料容器9を挿立するドリンクホルダーとして使用可能な一対の凹部51、51が車幅方向に並設され、さらにそれらの前方には、小物入れやダストボックスとして利用可能な凹部52が配設されている。センターコンソール5は、好ましくは樹脂成形品で構成され、上記各凹部51、52は、センターコンソール5と一体成形され、それらに対する物品の挿脱と成形時における型抜きを容易にするために、各凹部51、52の内側面には、上方に向けて拡開する勾配が設けられている。
【0017】
上記凹部51、51と操作パネル下部22の下端部22bとの間には、凹部51、51に挿立した飲料容器9、9(500mlのペットボトル)の上端が、操作パネル下部22の下方に収まるような充分な間隔が設定されており、これにより、凹部51、51に挿立した飲料容器9により操作パネル2の前面が塞がれることがなく、操作パネル2の操作性が損なわれることがない。
【0018】
また、操作パネル2を円弧状としたことによるパネル面積の減少は僅かで、実質的に通常の矩形の操作パネルとほぼ同様のレイアウトが可能である。さらに、操作パネル下部22の下面に配設されたサービスコンセント23に対しても、図3に示すように、左右の飲料容器9、9の間に形成される空間を通じて比較的容易にアクセスできる。
【0019】
図2および図3に示されるように、凹部51、51に挿立した飲料容器9の上端と、操作パネル下部22の下面(22b)とのクリアランスは比較的小さいが、下端部22bに向けて円弧状に湾曲した両側面22aと、前下方に向けて逆傾斜したインストルメントパネル本体下部の意匠面(13、14)との間に画成される空間を通じて、運転席3側または助手席4側から飲料容器9を容易に挿脱できる。
【0020】
また、飲料容器9の取り出しには、飲料容器9を持ち上げながら斜め側方かつ後方に傾倒させる必要があるため、車両が凹凸のある路面を走行してバウンドし、飲料容器9が上方に跳ね上がっても、その挙動のみでは抜脱し難く、抜脱した飲料容器9が運転席3の足元に落下して運転操作の妨げとなる自体を回避できる。
【0021】
さらに、凹部51、51の前方に配置された凹部52は、運転席3および助手席4から奥まった位置にあるが、逆傾斜した操作パネル下部22の両側面22aによって視認性が比較的良好に維持されており、小物入れとしての利便性が損なわれることがない。また、凹部51、51に飲料容器9が挿立された状態では、凹部52は、飲料容器9により運転席3側および助手席4側から隠れてしまうが、凹部52をダストボックスとして利用する場合にも小物入れとして利用する場合にも、飲料容器9により意図的に隠せることはむしろ好都合であると言える。
【0022】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらに各種の変形および変更が可能である。
【0023】
例えば、上記実施形態では、操作パネル下部22が、下端部22bに向けて漸次幅狭になる円弧状に形成される場合を示したが、操作パネル下部22下端部22bに向けて漸次幅狭になる略逆三角形状(逆台形状、逆多角形状の場合も含む)に形成され、その両側面(22a)がより平面的な逆傾斜面で構成されていても良い。但し、操作面を広く確保するうえでは、上記実施形態のように円弧状のパネル形状が有利である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る車両室内構造を実施したインストルメントパネル付近を室内後方から見た図である。
【図2】本発明に係る車両室内構造を実施したインストルメントパネル付近を示す概略側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 インストルメントパネル
2 操作パネル
3 運転席
4 助手席
5 センターコンソール
6 シフトレバー
7 パーキングレバー
9 飲料容器(ペットボトル)
11 メータークラスター
12 開口部
13 ロアカバー(意匠面、逆傾斜面)
14 グローブボックス(意匠面、逆傾斜面)
22 下部(操作パネル下部、下面)
22a 側面(逆傾斜面、円弧状面)
22b 下端部(下面)
23 サービスコンセント
51 凹部(飲料容器挿立用凹部)
52 凹部(第2の物品収納部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルの車幅方向中央部に車載機器の操作パネルを有し、前記操作パネルを除く前記インストルメントパネルの下部が逆傾斜面で構成される一方、前記操作パネルの下部が前記逆傾斜面に対して車両室内側に張出し、その下方に位置したセンターコンソールの前端部に物品収納部を有する車両室内構造において、前記操作パネル下部が、下端中央に向け漸次幅狭になる略円弧状または略逆三角形状に形成され、前記操作パネル下部の両側面が、車幅方向中央側に向けて逆傾斜面で構成されていることを特徴とする車両室内構造。
【請求項2】
前記物品収納部が、車幅方向に並設された左右一対の飲料容器挿立用凹部であり、前記操作パネル下部の下面が、前記凹部に挿立した飲料容器の上方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の車両室内構造。
【請求項3】
前記操作パネル下部の下側に、前記左右一対の飲料容器挿立用凹部の中間部上方に位置させてアクセサリーソケットが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両室内構造。
【請求項4】
前記左右一対の飲料容器挿立用凹部のさらに前方に第2の物品収納部が配設されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両室内構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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