説明

車両後部構造

【課題】空気通路部の剛性を確保しつつ、空気通路部を流れる空気の乱れの発生を抑制することができる車両後部構造を得る。
【解決手段】リアバンパカバーの内側かつリアホイールハウスの車両後方側に、リアホイールハウス内の空気をリアバンパカバーの車両後部側に向けて排出する空気通路部としてのリアアウトレット20が設けられている。リアアウトレット20は、筒状体からなり、リアアウトレット20の縦壁20Aの内面には、リアホイールハウスの後端側の流入開口30から排出開口32に向けて連続して形成された複数のリブ34が設けられている。複数のリブ34によりリアアウトレット20が補強されると共に、流入開口30から流入した空気がリブ34に沿って排出開口32に流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、リアバンパとクォータパネルとによって形成された通路部を備え、リアホイールハウス内の空気を通路部によりリアバンパの車両後部に向けて排出する構造が開示されている。この構造では、リアホイールハウス内の空気をリアバンパの車両後部に向けて排出することで、車両後部に発生する渦を伴った乱流を小さくしている。また同時に、リアホイールハウス内に発生する乱流が車両側面部に放出され、車両側面に沿って流れる空気流を乱すことを抑制し、車両の空気抵抗を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−25369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、通路部を樹脂製のバンパカバーの内面を利用して形成している。バンパカバーは薄物で成形されており、剛性確保のためにリブを設ける必要がある。リブとしては、例えば車両側面視にてクロス状に交わるリブが設けられるが、このようなリブが存在する通路部内を空気が流れると、リブによって空気の乱れが発生し、スムーズな空気排出ができない可能性がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、空気通路部の剛性を確保しつつ、空気通路部を流れる空気の乱れの発生を抑制することができる車両後部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る車両後部構造は、リアバンパカバーの内側で、かつリアホイールハウスの車両後方側に設けられ、前記リアホイールハウス内の空気を前記リアバンパカバーの後部域に設けられた排出開口から車両後方へ排出する空気通路部と、前記空気通路部の内壁から突出して設けられ、又は内壁間に掛け渡される仕切り材として設けられ、前記空気通路部を補強すると共に、前記リアホイールハウスの後端側から前記排出開口に向けて連続して形成された整流部と、を有するものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の車両後部構造において、前記空気通路部は、前記リアバンパカバーの車両幅方向内側の車両本体と前記リアバンパカバーとの間に車両前後方向に沿って配置される筒状体であるものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の車両後部構造において、前記筒状体は、前端部に前記リアホイールハウス内の空気が流入する流入開口と、後端部に前記排出開口と、を備え、前記整流部は、前記筒状体の内壁に前記流入開口から前記排出開口まで車両前後方向に沿って連続して設けられたリブであるものである。
【0009】
請求項1記載の本発明によれば、リアバンパカバーの内側かつリアホイールハウスの車両後方側に設けられた空気通路部によって、リアホイールハウス内の空気がリアバンパカバーの後部域に設けられた排出開口から車両後方へ排出される。空気通路部には、空気通路部の内壁から突出し、又は内壁間に掛け渡される仕切り材として設けられ、リアホイールハウスの後端側から排出開口に向けて連続して形成された整流部が設けられている。この整流部により空気通路部を補強することで、空気通路部の剛性を確保しつつ、リアホイールハウスの後端側から排出開口に向けて連続した整流部に沿って空気が流れることで、空気通路部内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生が抑制される。このため、リアホイールハウス内の空気を空気通路部により排出開口に向けてスムーズに流すことが可能となる。
【0010】
請求項2記載の本発明によれば、空気通路部を車両本体とリアバンパカバーとの間に車両前後方向に沿って配置される別体の筒状体とすることで、排出開口がどの部位にあってもリアホイールハウス内の空気を確実に排出開口まで導くことができる。
【0011】
請求項3記載の本発明によれば、筒状体の内壁に、筒状体の前端部の流入開口から筒状体の後端部の排出開口まで車両前後方向に沿って連続してリブが設けられており、リブによって筒状体の剛性を確保しつつ、リブに沿って空気が流れることで、筒状体の内部を流れる空気の乱れ(乱流)の発生をより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両後部構造によれば、空気通路部の剛性を確保しつつ、空気通路部を流れる空気の乱れの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る車両後部構造が適用された車両を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る車両後部構造が適用された車両の後部を示す側面図である。
【図3】図2に示す車両後部構造に用いられるリアバンパカバーの内側のリアアウトレット付近の構成を示す斜視図である。
【図4】図2に示す車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図である。
【図5】図4に示すリアアウトレットを示す縦断面図である。
【図6】第2実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図である。
【図7】第3実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す縦断面図である。
【図8】第4実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図である。
【図9】第5実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す縦断面図である。
【図10】第5実施形態の変形例に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す部分断面図である。
【図11】(A)は、第6実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図であり、(B)は、第7実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図である。
【図12】(A)は、第8実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図であり、(B)は、第8実施形態の変形例に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図である。
【図13】第9実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図である。
【図14】第10実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアバンパカバーとインナパネルを示す斜視図である。
【図15】(A)は、第1比較例に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す縦断面図であり、(B)は、(A)中の2−2線に沿った断面図であって、リアアウトレットの内部を流れる空気の乱れを示す図である。
【図16】第2比較例に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す縦断面図であって、リアアウトレットの内部を流れる空気の乱れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜図5を用いて、本発明に係る車両後部構造の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印RRは車両後方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0015】
図1には、本実施形態に係る車両後部構造が適用される車両が斜視図にて示されている。図2には、本実施形態に係る車両後部構造が適用される車両の後部が側面図にて示されており、図3には、本実施形態に係る車両後部構造の構成が斜視図にて示されている。これらの図に示されるように、車両10の後部11には、車両下方側の後端部に樹脂製のリアバンパカバー12が取り付けられている。リアバンパカバー12は、車両10の後端部に車両幅方向に沿って配置される後面部12Aと、後面部12Aの車両幅方向両端部から車両前方側に延びる側面部12Bと、を備えている。車両10の後部11には、リアバンパカバー12の後面部12Aと側面部12Bとが交差する位置の上方側にリアコンビネーションランプ22が取り付けられている。なお、図2、図3では、車両10の一方の側部のリアバンパカバー12の側面部12Bのみが図示されており、車両10の他方の側部は左右対称であるので図示を省略する。
【0016】
車両10の後部11には、リアバンパカバー12の側面部12Bの車両前方側に、リアタイヤ14を格納するリアホイールハウス16が設けられている。リアバンパカバー12の側面部12Bの前端には、リアタイヤ14と対向する位置にフェンダライナー18が設けられている。フェンダライナー18は、リアタイヤ14の周面に沿って車両上下方向及び車両幅方向に湾曲して形成されている。
【0017】
リアバンパカバー12の側面部12Bの車両幅方向内側には、車両前後方向に沿って空気通路部の一例としてのリアアウトレット20が設けられている。リアアウトレット20は、リアバンパカバー12の側面部12Bとその車両幅方向内側の車両本体との間に配置されており、車両本体に図示しない取付具により固定されている。リアアウトレット20は、リアホイールハウス16の車両後方側に配置されている。
【0018】
図3及び図4に示されるように、リアアウトレット20は、筒状体からなり、車両幅方向に沿った断面が車両上下方向に長い矩形状に形成されている。すなわち、リアアウトレット20は、左右一対の縦壁20Aと、上下一対の横壁20Bと、を備えている。リアアウトレット20の前端部には、リアホイールハウス16内の空気が流入される流入開口30が形成されており、リアアウトレット20の後端部には、リアアウトレット20内を通った空気が排出される排出開口32が形成されている。
【0019】
フェンダライナー18には、リアアウトレット20の流入開口30とほぼ同じ形状の開口が設けられており、リアアウトレット20の流入開口30がフェンダライナー18の開口に連結されている(図2及び図3参照)。リアバンパカバー12の後面部12Aには、リアアウトレット20の排出開口32とほぼ同じ形状の開口が設けられており、リアアウトレット20の排出開口32が後面部12Aの開口に連結されている(図2参照)。すなわち、リアアウトレット20の流入開口30はフェンダライナー18の開口を介してリアホイールハウス16と連通している。また、リアアウトレット20の排出開口32はリアバンパカバー12の後面部12Aの開口を介して車両10の後部11の外部側と連通している。これによって、リアホイールハウス16内の空気が流入開口30からリアアウトレット20内に流入し、空気がリアアウトレット20内を通って排出開口32からリアバンパカバー12の後面部12Aの後方側に向けて排出されるようになっている。
【0020】
図3〜図5に示されるように、リアアウトレット20の左右一対の縦壁20Aの内面(内壁)には、流入開口30から排出開口32に向けて連続して形成された整流部の一例としての複数のリブ34が設けられている。リブ34は、リアアウトレット20の縦壁20Aの内面に対して直交する方向に突出する突起形状とされており、リアアウトレット20を補強すると共に、リアアウトレット20内の空気の流れを整流する。リブ34は、左右一対の縦壁20Aの上下に、それぞれ車両前後方向に沿って2本形成されている。複数のリブ34によってリアアウトレット20の剛性が確保されると共に、流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に連続して形成された複数のリブ34に沿って空気が流れることで、空気の流れの乱れ(乱流)の発生が抑制されるようになっている。
【0021】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0022】
リアバンパカバー12の側面部12Bの車両幅方向内側には、車両前後方向に沿って筒状のリアアウトレット20が設けられており、リアアウトレット20の前端部の流入開口30はフェンダライナー18の開口に連結されており、リアアウトレット20の排出開口32はリアバンパカバー12の後面部12Aの開口に連結されている。これによって、リアホイールハウス16内の空気が流入開口30からリアアウトレット20内に流入し、更に空気がリアアウトレット20内を通って排出開口32からリアバンパカバー12の後面部12Aの後方側(外部側)に排出される。
【0023】
その際、図5に示されるように、リアアウトレット20の縦壁20Aの内面には、流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に沿って連続した複数のリブ34が形成されており、リアアウトレット20内に流入した空気は複数のリブ34に沿って車両後方側に流れる。このため、リアアウトレット20内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生が抑制され、リアホイールハウス16と連通する流入開口30から排出開口32に向けてスムーズに空気を流すことができる。したがって、複数のリブ34により、リアアウトレット20の剛性を確保しつつ、リアアウトレット20内を流れる空気の乱れの発生を抑制することができる。
【0024】
また、リアバンパカバー12の側面部12Bの車両幅方向内側に、筒状体からなるリアバンパカバー12とは別体のリアアウトレット20を設けることで、排出開口32がリアバンパカバー12の後面部12Aのどの部位にあっても、リアホイールハウス16内の空気を確実に排出開口32まで導くことができる。
【0025】
図15(A)には、第1比較例に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレット200が縦断面図にて示されている。また、図15(B)には、図15(A)中の2−2線に沿ったリアアウトレット200が示されている。これらの図に示されるように、リアアウトレット200は、断面が矩形状の筒状体からなり、左右一対の縦壁20Aと上下一対の横壁20Bとを備えている。リアアウトレット200の縦壁20Aの内面には、車両側面視にてクロス状に交わる2本のリブ202が設けられており、このクロス状に交わる2本のリブ202が車両前後方向に3セット配置されている(図15(A)参照)。
【0026】
一般的に筒状のリアアウトレットは、空気の流入開口と排出開口があるダクト部であり、マッチ箱の外側のような形状をしているため、形状剛性が低い。例えば、車両の洗浄時等にリアバンパカバーが手押しされた際に、バンパカバーを介して筒状のリアアウトレットの側面が押されて凹んでしまう可能性がある。
【0027】
これに対して、第1比較例のリアアウトレット200では、車両側面視にてクロス状に交わるリブ202を複数配置することで、形状剛性を向上させることができるが、リアアウトレット200の内部を通過する風の流れを妨げる可能性がある。すなわち、図15(B)に示されるように、リアアウトレット200の流入開口30から排出開口32に向かって風が流れるときに、リアアウトレット200の縦壁20Aから突出する複数のリブ202に風が当たることで、乱流が発生してしまい(流れが渦を巻いてしまい)、整流効果が低下する。
【0028】
図16には、第2比較例に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレット210が縦断面図にて示されている。この図に示されるように、リアアウトレット210は、断面が矩形状の筒状体からなり、左右一対の縦壁20Aと上下一対の横壁20Bとを備えている。なお、図16では、車両側面視にて手前側の縦壁20Aは図示されていない。リアアウトレット210の縦壁20Aの内面には、複数のリブ212が車両前後方向に沿って間隔をおいて配置されている。また、複数のリブ212は、車両上下方向に2列に配置されている。言い換えると、複数のリブ212は、リアアウトレット210の流入開口30から排出開口32まで連続して形成されておらず、車両前後方向の複数箇所で離れて配置されている。
【0029】
このようなリアアウトレット210では、流入開口30から排出開口32に向かって風が流れるときに、車両前後方向に隣り合うリブ212の間に風が流れ込むことで、風の流れが乱れやすい(乱流が発生しやすい)。
【0030】
これに対して、本実施形態の車両後部構造では、図5に示されるように、リアアウトレット20の縦壁20Aの内面に、流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に沿って連続した複数のリブ34が形成されており、リアアウトレット20内に流入した空気は複数のリブ34に沿って車両前後方向にスムーズに流れる。このため、複数のリブ34により、リアアウトレット20の剛性を確保しつつ、リアアウトレット20内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生を抑制することができる。
【0031】
次に、図6を用いて、本発明に係る車両後部構造の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0032】
図6に示されるように、本実施形態の車両後部構造に用いられるリアアウトレット50は、断面が矩形状の筒状体からなり、左右一対の縦壁20Aと上下一対の横壁20Bとを備えている。リアアウトレット50の上下一対の横壁20Bの内面には、流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に沿って連続した整流部の一例としてのリブ52がそれぞれ設けられている。リブ52は、横壁20Bの内面に対して直交する方向に突出する突起形状とされており、リアアウトレット50を補強すると共に、リアアウトレット50内の空気の流れを整流する。また、左右一対の縦壁20Aの内面には、第1実施形態と同様に、流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に沿って連続した2本のリブ34がそれぞれ形成されている。
【0033】
このようなリアアウトレット50では、流入開口30からリアアウトレット50内に流入した空気は上下のリブ52と左右のリブ34に沿って車両前後方向にスムーズに流れる。このため、複数のリブ34、52により、リアアウトレット50の剛性を確保しつつ、リアアウトレット50内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生を抑制することができる。
【0034】
次に、図7を用いて、本発明に係る車両後部構造の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1及び第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0035】
図7に示されるように、本実施形態の車両後部構造に用いられるリアアウトレット60は、断面が矩形状の筒状体からなり、左右一対の縦壁20Aと上下一対の横壁20Bとを備えている。縦壁20Aの内面には、流入開口30から排出開口32に向けて連続した整流部の一例としての2本のリブ62が形成されている。2本のリブ62の長さは、リアアウトレット60の長手方向の全長より長く形成されており、本実施形態では、リブ62の車両前後方向の中間部62Aが車両上方側に凸状に湾曲した形状とされている。
【0036】
このようなリアアウトレット60では、流入開口30からリアアウトレット60内に流入した空気は、流入開口30から排出開口32に向けて連続したリブ62に沿って車両前後方向に流れる。このため、複数のリブ62により、リアアウトレット60の剛性を確保しつつ、リアアウトレット60内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生を抑制することができる。すなわち、リブ62は、リアアウトレット60の長手方向の最短距離で通さなくてもよく、流入開口30から排出開口32に向けて連続した形状であればよい。なお、本実施形態のリブ62に代えて、車両前後方向の中間部が車両下方側に凸状に湾曲したリブを設けてもよい。
【0037】
次に、図8を用いて、本発明に係る車両後部構造の第4実施形態について説明する。なお、前述した第1〜第3実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0038】
図8に示されるように、本実施形態の車両後部構造に用いられるリアアウトレット70は、筒状体からなり、左右一対の縦壁部72に内部側に突出するように屈曲した整流部の一例としての複数の突出部74が設けられている。突出部74は、車両幅方向に沿った断面が略ハット状に屈曲しており、突出部74は、流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に沿って連続して形成されている。複数の突出部74によりリアアウトレット70を補強すると共に、リアアウトレット70内の空気の流れを整流する。また、複数の突出部74が車両上下に略平行に配置されることで、車両正面視にて(車両前方側から見て)縦壁部72が凹凸形状に形成されている。
【0039】
このようなリアアウトレット70では、流入開口30からリアアウトレット70内に流入した空気は複数の突出部74に沿って車両前後方向にスムーズに流れる。このため、複数の突出部74によりリアアウトレット70の剛性を確保しつつ、リアアウトレット70内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生を抑制することができる。
【0040】
次に、図9を用いて、本発明に係る車両後部構造の第5実施形態について説明する。なお、前述した第1〜第4実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0041】
図9に示されるように、本実施形態の車両後部構造に用いられるリアアウトレット80は、断面が矩形状の筒状体からなり、左右一対の縦壁20Aと上下一対の横壁20Bとを備えている。左右一対の縦壁20Aの内面には、流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に沿って連続した整流部の一例としての上下2本のリブ82が形成されている。リアアウトレット80の縦壁20Aの外面の中央部には、他の部品(例えば、ベントダクト等)との干渉を避けるためにリアアウトレット80の内部側に窪んだ穴部86が設けられている。また、縦壁20Aの内面における穴部86の前後には、穴部86の上面86Aと連続するように前後一対のリブ84が設けられると共に、穴部86の下面86Bと連続するように前後一対のリブ84が設けられている。すなわち、穴部86の角部86Cとリブ84の位置を一致させ、穴部86の上面86A、下面86Bと面一になるように前後一対のリブ84が設けられている。
【0042】
このようなリアアウトレット80では、流入開口30からリアアウトレット80内に流入した空気は、流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に連続して配置されたリブ82と、穴部86の上面86A及び下面86Bと面一となるように配置された前後一対のリブ84に沿って車両前後方向に流れる。このため、複数のリブ82と穴部86の前後一対のリブ84により、リアアウトレット80の剛性を確保しつつ、リアアウトレット80内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生を抑制することができる。
【0043】
図10には、第5実施形態の変形例のリアアウトレット90の部分拡大図が示されている。図10に示されるように、リアアウトレット90の縦壁20Aの内面における穴部86の角部86Cの車両後方側(風の流れ方向排出側)に、穴部86の上面86Aに対して車両下方側に段差86Dを設けてリブ92を形成してもよい。段差86Dを設けることで、若干風の流れが乱れる可能性があるが、段差86Dの高さが低ければ支障はない。ただし、穴部86の上面86A又は下面86Bと面一になるように前後一対のリブ84を設けたほうが好ましい。
【0044】
図11(A)には、第6実施形態の車両後部構造に用いられるリアアウトレットが示されている。この図に示されるように、リアアウトレット100の片側の縦壁20A(本実施形態では車両幅方向外側の縦壁20A)の内面にのみ、流入開口30から排出開口32に向けて連続した複数のリブ34を設けてもよい。また、本実施形態に代えて、車両幅方向内側の縦壁20Aの内面にのみ複数のリブ34を設けてもよい。
【0045】
図11(B)には、第7実施形態の車両後部構造に用いられるリアアウトレットが示されている。この図に示されるように、リアアウトレット110の一方の横壁20B(本実施形態では車両上方側の横壁20B)の内面にのみ、流入開口30から排出開口32に向けて連続したリブ52を設けてもよい。また、本実施形態に代えて、車両下方側の横壁20Bの内面にのみリブ52を設けてもよい。また、横壁20Bの車両幅方向の寸法によっては、車両前後方向に沿って複数のリブ52を設けてもよい。
【0046】
図12(A)には、第8実施形態の車両後部構造に用いられるリアアウトレットが示されている。なお、前述した第1〜第7実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0047】
図12(A)に示されるように、リアアウトレット120には、左右一対の縦壁20Aの間に架け渡される整流部の一例としての2枚の仕切り材122が設けられている。仕切り材122は、車両幅方向に沿って設けられると共に、リアアウトレット120の流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に連続して形成されている。2枚の仕切り材122は車両上下にほぼ平行に設けられており、上方側の仕切り材122の上側と、下方側の仕切り材122の下側と、2枚の仕切り材122の間が空気通路部となっている。2枚の仕切り材122により、リアアウトレット120を補強すると共に、リアアウトレット120内の空気の流れを整流する。
【0048】
このようなリアアウトレット120では、2枚の仕切り材122の間と上下に3つの空気通路部が設けられており、空気通路部を風が流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に流れる。このため、2枚の仕切り材122により、リアアウトレット120の剛性を確保しつつ、リアアウトレット120内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生を抑制することができる。
【0049】
また、図12(B)に示すリアアウトレット130のように、仕切り材122の枚数を一枚としてもよい。また、仕切り材122を車両上下に3枚以上設けてもよい。
【0050】
図13には、第9実施形態の車両後部構造に用いられるリアアウトレットが示されている。なお、前述した第1〜第8実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0051】
図13に示されるように、リアアウトレット140には、上下一対の横壁20Bの間に架け渡される整流部の一例としての仕切り材142が設けられている。仕切り材142は、車両上下方向に沿って設けられると共に、リアアウトレット140の流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に連続して形成されている。リアアウトレット140内では、仕切り材142の車両幅方向両側が空気通路部となっている。
【0052】
このようなリアアウトレット140では、仕切り材142の車両幅方向両側の空気通路部を風が流入開口30から排出開口32に向けて車両前後方向に流れる。このため、仕切り材142によりリアアウトレット140の剛性を確保しつつ、リアアウトレット140内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生を抑制することができる。
【0053】
なお、横壁20Bの車両幅方向の寸法によっては、仕切り材142を車両幅方向に2枚以上設けてもよい。
【0054】
次に、図14を用いて、本発明に係る車両後部構造の第10実施形態について説明する。なお、前述した第1〜第9実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0055】
図14に示されるように、本実施形態の車両後部構造150は、リアバンパカバー152と、リアバンパカバー152の車両幅方向内側に配置される車両本体としてのインナパネル160と、で空気通路部170が構成されている。リアバンパカバー152は、車両前後方向及び車両上下方向に配置された側壁部152Aを備えており、側壁部152Aには、車両幅方向内側に突出するように屈曲した整流部の一例としての複数の突出部154が形成されている。突出部154は、車両幅方向に沿った断面が略ハット状に屈曲しており、突出部154は、流入開口30から排出開口(図示省略)に向けて車両前後方向に沿って連続して形成されている。また、複数の突出部154が車両上下に略平行に配置されることで、車両正面視にて(車両前方側から見て)側壁部152Aが凹凸形状に形成されている。複数の突出部154によりリアバンパカバー152が補強される。側壁部152Aの上部には、車両前後方向に沿って接合面としての縦壁部156が形成されている。
【0056】
インナパネル160は、車両幅方向に沿った断面が略ハット状に形成されており、車両上下に一対のフランジ部160Aを備えている。インナパネル160の中間部には、車両幅方向内側に突出するように縦壁部160Bが設けられており、縦壁部160Bには、車両幅方向外側に突出するように屈曲した整流部の一例としての複数の突出部162が形成されている。突出部162は、車両幅方向に沿った断面が略ハット状に屈曲しており、突出部162は、流入開口30から排出開口(図示省略)に向けて車両前後方向に沿って連続して形成されている。また、複数の突出部162が車両上下に略平行に配置されることで、車両正面視にて(車両前方側から見て)縦壁部160Bが凹凸形状に形成されている。複数の突出部162によりインナパネル160が補強される。
【0057】
インナパネル160の上側のフランジ部160Aとリアバンパカバー152の縦壁部156とは面接触状態で配置されて図示しない取付具により接合されると共に、インナパネル160の下側のフランジ部160Aとリアバンパカバー152の側壁部152Aとは面接触状態で配置されて図示しない取付具により接合されている。これにより、インナパネル160とリアバンパカバー152とで閉断面が形成されており、この閉断面の内部が空気通路部170とされている。
【0058】
このような車両後部構造150では、インナパネル160とリアバンパカバー152とで空気通路部170が形成されており、空気通路部170の省スペース化が可能である。また、流入開口30から空気通路部170に流入した空気は、流入開口30から排出開口(図示省略)に向けて車両前後方向に連続して配置された突出部154、162に沿って車両前後方向にスムーズに流れる。このため、突出部154、162によりリアバンパカバー152とインナパネル160の剛性を確保しつつ、空気通路部170内を流れる空気の乱れ(乱流)の発生を抑制することができる。
【0059】
なお、第1実施形態〜第9実施形態では、車両幅方向に沿った断面が車両上下方向に長い筒状のリアアウトレットを設けたが、リアアウトレットを構成する筒状体の形状は変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 車両
11 後部
12 リアバンパカバー
12A 後面部(後部)
16 リアホイールハウス
20 リアアウトレット(空気通路部)
20A 縦壁(内壁)
30 流入開口
32 排出開口
34 リブ(整流部)
50 リアアウトレット(空気通路部)
52 リブ(整流部)
60 リアアウトレット(空気通路部)
62 リブ(整流部)
70 リアアウトレット(空気通路部)
72 縦壁部(内壁)
74 突出部(整流部)
80 リアアウトレット(空気通路部)
82 リブ(整流部)
90 リアアウトレット(空気通路部)
100 リアアウトレット(空気通路部)
110 リアアウトレット(空気通路部)
120 リアアウトレット(空気通路部)
122 仕切り材(整流部)
130 リアアウトレット(空気通路部)
140 リアアウトレット(空気通路部)
142 仕切り材(整流部)
150 車両後部構造
152 リアバンパカバー
152A 側壁部(内壁)
154 突出部(整流部)
160 インナパネル(車両本体)
160B 縦壁部(内壁)
162 突出部(整流部)
170 空気通路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアバンパカバーの内側で、かつリアホイールハウスの車両後方側に設けられ、前記リアホイールハウス内の空気を前記リアバンパカバーの後部域に設けられた排出開口から車両後方へ排出する空気通路部と、
前記空気通路部の内壁から突出して設けられ、又は内壁間に掛け渡される仕切り材として設けられ、前記空気通路部を補強すると共に、前記リアホイールハウスの後端側から前記排出開口に向けて連続して形成された整流部と、
を有する車両後部構造。
【請求項2】
前記空気通路部は、前記リアバンパカバーの車両幅方向内側の車両本体と前記リアバンパカバーとの間に車両前後方向に沿って配置される筒状体である請求項1に記載の車両後部構造。
【請求項3】
前記筒状体は、前端部に前記リアホイールハウス内の空気が流入する流入開口と、後端部に前記排出開口と、を備え、
前記整流部は、前記筒状体の内壁に前記流入開口から前記排出開口まで車両前後方向に沿って連続して設けられたリブである請求項2に記載の車両後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−14283(P2013−14283A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149827(P2011−149827)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】