説明

車両感知器

【課題】安価な構成で、道路を通過する車両の種々の情報を取得することができる。
【解決手段】道路を通過する車両の高さを検出するための車両感知器であって、道路に向かって無線信号を送信し、送信した無線信号が反射した無線信号を受信するための送受信部51と、送受信部51によって受信された無線信号に基づいて、無線信号が反射した位置と送受信部との間の距離を測定するための距離測定部52と、距離測定部52の測定結果に基づいて、道路を通過する車両の高さを算出するための車高算出部52とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両感知器に関し、特に、少なくとも車両の高さを検出するための車両感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交通量、および車両による道路の占有率等を測定するために、道路を通過する車両を検知するための車両感知器が開発されている。
【0003】
このような車両感知器の一例として、たとえば、特開2003−317186号公報(特許文献1)には、以下のような遠赤外線式の車両感知器が開示されている。すなわち、道路上の監視範囲を通過する車両を検知する車両検知システムであって、検知対象が発する赤外線を感知するセンサと、このセンサから得られた入力レベル値を用いて、車両の有無を判定する車両有無判定手段とを備える。
【0004】
また、特開2007−164566号公報(特許文献2)には、以下のような画像式の車両感知器が開示されている。すなわち、停止線近傍の領域を含む画像データを周期的に取得する撮像手段と、上記画像データに基づいて車両等を検出するデータ処理手段と、上記車両等の検出に対応して感応信号を出力する出力手段とを含み、上記データ処理手段は、夜間は上記車両等の車幅を計測することにより上記車両等の車種を推定し、推定された車種に対応した上記車両等の存在領域を推定し、上記車両等を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−317186号公報
【特許文献2】特開2007−164566号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「定在波レーダの原理とその応用」、RFワールドNo.8 トランジスタ技術2009年12月号増刊、上保徹志著、pp.106-116、2009年12月1日発行
【非特許文献2】「ドップラー・センサを使ったスピード・ガンの製作」、RFワールドNo.5 トランジスタ技術2009年3月号増刊、漆谷正義著、pp.126-132、2009年3月1日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されているような遠赤外線式の車両感知器では、車両の台数および占有率を検出することが可能である一方で、各車両の速度および各車両の車種を検出することは困難である。また、特許文献2に記載されているような画像式の車両感知器では、車両の台数、占有率、各車両の速度および各車両の車種を検出することが可能である一方で、高価である。
【0008】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、安価な構成で、道路を通過する車両の種々の情報を取得することが可能な車両感知器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる車両感知器は、道路を通過する車両の高さを検出するための車両感知器であって、上記道路に向かって無線信号を送信し、送信した上記無線信号が反射した無線信号を受信するための送受信部と、上記送受信部によって受信された上記無線信号に基づいて、上記無線信号が反射した位置と上記送受信部との間の距離を測定するための距離測定部と、上記距離測定部の測定結果に基づいて、上記道路を通過する車両の高さを算出するための車高算出部とを備える。
【0010】
このような送受信部および距離測定部によって距離を測定する構成により、画像式の車両感知器と比べて安価となり、また、超音波式の車両感知器、遠赤外線式の車両感知器、およびドップラー式の車両感知器の各々と比べて車両に関する多くの情報を得ることができる。したがって、安価な構成で、道路を通過する車両の種々の情報を取得することができる。
【0011】
(2)好ましくは、上記車高算出部は、上記測定結果の示す距離が所定値未満である期間において上記距離測定部によって測定された上記距離に基づいて、上記道路を通過する車両の高さを算出する。
【0012】
このように、距離測定部による測定結果の示す距離が所定値未満である場合にのみ車両の高さを算出することにより、車両の高さの算出処理を効率的に行なうことができる。
【0013】
(3)より好ましくは、上記車高算出部は、上記測定結果の示す距離が所定値未満である期間において上記距離測定部によって測定された複数の上記距離のうちの最小値に基づいて、上記道路を通過する車両の高さを算出する。
【0014】
このような構成により、車両の高さの算出処理をさらに効率的に行ない、かつ車両の高さをより正確に算出することができる。
【0015】
(4)より好ましくは、上記車両感知器は、さらに、上記車高算出部によって算出された上記車両の高さに基づいて、上記道路を通過する車両の種類を判別するための車種判別部を備える。
【0016】
このような構成により、車両の大型および小型等の種類を正確に判別することができる。
【0017】
(5)好ましくは、上記距離測定部は、所定の周期で上記距離を測定し、上記車両感知器は、さらに、上記測定結果の示す距離が上記所定値未満であるか否かを示す情報を上記所定の周期で出力するための通過中情報出力部を備える。
【0018】
このような構成により、車両が道路の所定領域に存在する時間を算出することができるため、占有率を算出することが可能となる。これにより、さらに多種類の車両情報を取得することができる。
【0019】
(6)好ましくは、上記送受信部は、上記道路に対して斜めに無線信号を送信する。
【0020】
このように、路面に対して斜めに無線信号を送信する構成により、送受信部を道路の真上に配置する必要がなくなるため、設置工事の簡易化を図り、工事費を低減し、また、道路周辺の美観を向上させることができる。また、ドップラー効果を利用して車両の速度を検出することが可能となる。
【0021】
(7)より好ましくは、上記車両感知器は、さらに、上記送受信部によって受信された上記無線信号に基づいて、上記道路を通過する車両の速度を測定するための速度測定部と、上記速度測定部によって測定された上記速度に基づいて、上記道路を通過する車両の長さを算出するための車長算出部と、上記車高算出部によって算出された上記車両の高さおよび上記車長算出部によって算出された上記車両の長さに基づいて、上記道路を通過する車両の種類を判別するための車種判別部とを備える。
【0022】
このような構成により、各車両の速度を測定することができるため、より多種類の車両情報を取得することができる。また、車速から車長を算出し、車高に加えて車長を車種の判別基準とすることにより、より正確かつ詳細に車種を判別することが可能となる。
【0023】
(8)好ましくは、上記送受信部は、上記道路に向かってミリ波帯の無線信号を送信する。
【0024】
このような構成により、たとえばレーザセンサと比べて、雪および霧等の悪天候下でも安定した検知動作を行なうことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、安価な構成で、道路を通過する車両の種々の情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る道路交通情報取得システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器の設置例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器におけるセンサ部の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器における車両情報処理部の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器が車高検出および車種判別を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器による車高算出方法を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器と、他のセンサ方式を採用する車両感知器との比較表である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器の他の設置例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る車両感知器におけるセンサ部の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る車両感知器における車両情報処理部の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0028】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る道路交通情報取得システムの構成を示す図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器の設置例を示す図である。
【0029】
図1および図2を参照して、道路交通情報取得システム301は、センター装置201と、ポール202と、車両感知器101とを備える。車両感知器101は、センサ部51と、車両情報処理部52とを備える。
【0030】
車両感知器101は、道路RDを通過する車両VEに関する情報である車両情報を生成し、この車両情報をセンター装置201へ送信する。より詳細には、センサ部51は、無線信号を道路RDへ向かって送信し、送信した無線信号が道路RDまたは道路RD上の車両VEにおいて反射した無線信号を受信する。ここで、センサ部51は、道路RDに対して斜めに無線信号を送信する。車両情報処理部52は、受信した無線信号に基づいて、車両感知器101から送信された無線信号が反射した位置とセンサ部51との間の距離を測定する。そして、車両情報処理部52は、測定した距離に基づいて、車両VEに関する情報を生成する。図2において、Aは、車両感知器101の感知範囲を示している。
【0031】
センター装置201は、車両感知器101から受信した車両情報に基づいて、渋滞情報等の交通情報を生成する。
【0032】
ポール202は、たとえば道路RDの脇に設置される。センサ部51は、たとえばポール202の先端部付近に設置される。
【0033】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器におけるセンサ部の構成を示す図である。
【0034】
図3を参照して、センサ部51は、測定信号送信部11と、測定信号受信部12と、通信部13とを含む。
【0035】
センサ部51は、測距センサであり、たとえばミリ波センサである。測定信号送信部11は、道路RDに向かってミリ波帯の無線信号、すなわち8GHz〜300GHzの帯域における周波数を有する無線信号を測定信号として送信する。また、測定信号送信部11は、たとえば、測定信号を送信したタイミングを示す送信タイミング信号を通信部13へ出力する。
【0036】
測定信号受信部12は、測定信号送信部11によって送信された測定信号が反射した測定信号を受信し、たとえば、測定信号を受信したタイミングを示す受信タイミング信号を通信部13へ出力する。
【0037】
通信部13は、測定信号送信部11から受けた送信タイミング信号および測定信号受信部12から受けた受信タイミング信号を、たとえばポール202内の配線を介して車両情報処理部52へ出力する。
【0038】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器における車両情報処理部の構成を示す図である。
【0039】
図4を参照して、車両情報処理部52は、通信部14と、距離測定部15と、車高算出部16と、車両情報生成部(車種判別部,通過中情報出力部,通過台数情報出力部)17と、車両情報送信部18とを含む。
【0040】
通信部14は、通信部13から送信タイミング信号および受信タイミング信号を受けて、これらの信号を距離測定部15へ出力する。
【0041】
距離測定部15は、通信部14から受けた送信タイミング信号および受信タイミング信号に基づいて、センサ部51と、測定信号送信部11から送信された測定信号が反射した位置との間の距離を測定し、測定した距離を示す距離情報を出力する。たとえば、距離測定部15は、測定信号送信部11が測定信号を送信してから測定信号受信部12が測定信号を受信するまでの時間に基づいて、当該距離を測定する。また、距離測定部15は、たとえば「定在波レーダの原理とその応用」、RFワールドNo.8 トランジスタ技術2009年12月号増刊、上保徹志著、pp.106-116、2009年12月1日発行(非特許文献1)に記載された方法によって当該距離を測定してもよい。
【0042】
車高算出部16は、距離測定部15から受けた距離情報に基づいて、車両感知器101によって検知された車両VEの高さを算出し、算出した高さを示す車高情報を出力する。
【0043】
車両情報生成部17は、車高算出部16から受けた車高情報に基づいて、車両感知器101によって検知された車両VEの種類を判別し、少なくとも判別した車種を示す車両情報を生成して出力する。
【0044】
車両情報送信部18は、車両情報生成部17から受けた車両情報をセンター装置201へ送信する。
【0045】
[動作]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器が車高検出および車種判別を行なう際の動作について説明する。
【0046】
車両感知器101では、センサ部51を用いて対象物までの距離を測定する。ここで、センサ部51を用いた測距精度は、たとえば10cm単位程度である。
【0047】
車両感知器101による車高検出方法を要約して説明すると、以下のようになる。すなわち、車両感知器101の感知範囲Aに車両が存在しない時には、車両感知器101は、道路RDの路面までの距離を測定することになる。一方、車両が感知範囲Aを通過中のタイミングでは、測定距離がセンサ部51から路面までの距離よりも短くなる。そして、車両感知器101は、車両ごとに最も短い距離を検出することにより、各車両の高さを検出する。
【0048】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器が車高検出および車種判別を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。図6は、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器による車高算出方法を示す図である。
【0049】
図5および図6を参照して、まず、距離測定部15は、センサ部51から送信された測定信号が反射した位置とセンサ部51との間の距離Lを測定する(ステップS1)。この距離Lは、車両感知器101の感知範囲Aに車両VEが存在する時にはセンサ部51から車両VEまでの距離となり、車両感知器101の感知範囲Aに車両VEが存在しない時にはセンサ部51から道路RDの路面までの距離となる。ここで、センサ部51および距離測定部15は、たとえば20ミリ秒ごとに距離Lを検出するので、図5に示す処理は20ミリ秒ごとに行われる。
【0050】
次に、車高算出部16は、距離測定部15によって測定された距離Lと保持している路面距離L1とを比較する。車高算出部16は、距離Lが路面距離L1以上の場合であって(ステップS2でYES)、保持している通過中フラグがオフであるときには(ステップS3でNO)、道路RD上の感知範囲Aに車両VEが存在しないと判断し、距離Lをセンサ部51から路面までの距離として学習する。すなわち、車高算出部16は、路面距離L1の値を距離Lに変更する(ステップS13)。ここで、車両感知器101の起動直後は、路面距離L1には初期値が設定されている。この初期値は、たとえば十分に小さい値に設定される。
【0051】
一方、車高算出部16は、距離Lが路面距離L1未満の場合には(ステップS2でNO)、道路RD上の感知範囲Aに車両VEが存在すると判断し、通過中フラグをオンするか、あるいは通過中フラグのオン状態を継続する(ステップS14)。
【0052】
次に、車高算出部16は、距離測定部15によって測定された距離Lと保持している最小距離Lminとを比較し、距離Lが最小距離Lminより小さい場合には、最小距離Lminの値を距離Lに変更する(ステップS15)。ここで、車両感知器101の起動直後は、最小距離Lminには初期値が設定されている。この初期値は、たとえば十分に大きい値に設定される。
【0053】
また、車高算出部16は、距離Lが路面距離L1以上の場合であって(ステップS2でYES)、通過中フラグがオンであるときには(ステップS3でYES)、車両VEが道路RD上の感知範囲Aを通過したと判断し(ステップS4)、通過中フラグをオフする(ステップS5)。
【0054】
次に、車高算出部16は、最小距離Lminに基づいて、通過した車両VEの高さを算出する。具体的には、車高算出部16は、以下の式に従い、車高hを求める(ステップS6)。
h=H−Lmin×cosθ
ただし、図6に示すように、Hはセンサ部51の設置高さであり、事前に測定される値である。また、θは、ポール202に対するセンサ部51の設置角度すなわち測定信号の照射角度であり、事前に測定される値である。そして、Lは、センサ部51および距離測定部15によって検出された距離である。
【0055】
次に、車両情報生成部17は、車高hに基づいて、通過した車両VEの種類を判別する。具体的には、車両情報生成部17は、車高hがたとえば2m以上の場合には(ステップS7でYES)、通過した車両VEは大型車であると判断する(ステップS8)。一方、車両情報生成部17は、車高hがたとえば2m未満の場合には(ステップS7でNO)、通過した車両VEは小型車であると判断する(ステップS9)。
【0056】
次に、車両情報生成部17は、判別した車種、通過中フラグのオン/オフ等を示す車両情報を生成し、車両情報送信部18経由でセンター装置201に報告する(ステップS11)。
【0057】
次に、車両情報生成部17は、最小距離Lminを初期値にクリアすることにより、次に感知範囲Aを通過する車両VEの情報を取得する準備を行い、処理を終了する(ステップS12)。
【0058】
また、車両情報生成部17は、車高算出および車種判別を行なわない場合でも、図5に示す処理の最後に、少なくとも通過中フラグのオン/オフを示す車両情報を生成し、車両情報送信部18経由でセンター装置201に報告する(ステップS16)。このように、通過中フラグのオン/オフを定期的にセンター装置201へ報告することにより、センター装置201において車両の通過台数および占有率を算出することが可能となる。
【0059】
ところで、特許文献1に記載されているような遠赤外線式の車両感知器では、車両の台数および占有率を検出することが可能である一方で、各車両の速度および各車両の車種を検出することは困難である。また、特許文献2に記載されているような画像式の車両感知器では、車両の台数、占有率、各車両の速度および各車両の車種を検出することが可能である一方で、高価である。
【0060】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器では、センサ部51は測距センサであり、距離測定部15は、センサ部51における測定信号受信部12によって受信された無線信号に基づいて、無線信号が反射した位置とセンサ部51すなわち測定信号送信部11との間の距離を測定する。
【0061】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器と、他のセンサ方式を採用する車両感知器との比較表である。
【0062】
図7を参照して、センサ部51はたとえばミリ波センサであるが、他のセンサ方式としては、たとえば、超音波式の車両感知器と、画像式の車両感知器と、遠赤外線式の車両感知器と、ドップラー式の車両感知器とがある。
【0063】
超音波式の車両感知器では、媒体が超音波であり、アクティブ方式すなわち自ら何らかの信号を発し、また、安価である。そして、検出結果としては、車両の通過台数が得られ、また、占有率すなわち所定期間において感知範囲Aに1または複数の車両が存在した総時間の割合が得られる。この占有率から、車両の平均速度が得られる。
【0064】
また、画像式の車両感知器では、媒体が可視光線または近赤外線であり、パッシブ方式すなわち自らは信号を発さず、また、高価である。そして、検出結果としては、車両の通過台数が得られ、占有率が得られ、大型および小型等の車種が得られ、また、車両ごとの速度が得られる。
【0065】
また、遠赤外線式の車両感知器では、媒体が遠赤外線であり、パッシブ方式であり、安価である。そして、検出結果としては、車両の通過台数が得られ、また、占有率が得られる。
【0066】
また、ドップラー式の車両感知器では、媒体がマイクロ波であり、アクティブ方式であり、安価である。そして、検出結果としては、車両ごとの速度が得られる。
【0067】
これらのセンサ方式に対して、ミリ波センサであるセンサ部51では、媒体がミリ波であり、アクティブ方式であり、安価である。そして、検出結果としては、車両の通過台数が得られ、占有率が得られ、また、大型および小型等の車種が得られる。
【0068】
すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器は、画像式の車両感知器と比べて安価であり、また、超音波式の車両感知器、遠赤外線式の車両感知器、およびドップラー式の車両感知器の各々と比べて車両に関する多くの情報を得ることができる。
【0069】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器では、安価な構成で、道路を通過する車両の種々の情報を取得することができる。
【0070】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器では、車高算出部16は、距離測定部15による測定結果の示す距離が所定値すなわち路面距離L1未満である期間において距離測定部15によって測定された距離に基づいて、道路RDを通過する車両VEの高さを算出する。
【0071】
このように、距離測定部15による測定結果の示す距離が所定値未満である場合にのみ車両VEの高さを算出することにより、車両VEの高さの算出処理を効率的に行なうことができる。
【0072】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器では、車高算出部16は、距離測定部15による測定結果の示す距離が所定値未満である期間において距離測定部15によって測定された複数の距離のうちの最小値に基づいて、道路RDを通過する車両VEの高さを算出する。
【0073】
このような構成により、車両VEの高さの算出処理をさらに効率的に行ない、かつ車両VEの高さをより正確に算出することができる。
【0074】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器では、車両情報生成部17は、車高算出部16によって算出された車両VEの高さに基づいて、道路RDを通過する車両VEの種類を判別する。
【0075】
このような構成により、車両VEの大型および小型等の種類を正確に判別することができる。
【0076】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器では、距離測定部15は、所定の周期たとえば20ミリ秒の周期で距離を測定する。そして、車両情報生成部17は、距離測定部15による測定結果の示す距離が所定値すなわち路面距離L1未満であるか否かを示す情報を上記所定の周期で出力する。すなわち、車両情報生成部17は、通過中フラグのオン/オフを示す車両情報を生成する。
【0077】
このような構成により、車両が道路RDの所定領域に存在する時間を算出することができるため、占有率を算出することが可能となる。これにより、道路交通情報取得システム301において、さらに多種類の車両情報を取得することができる。
【0078】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器では、測定信号送信部11は、道路RDに向かってミリ波帯の無線信号を送信する。
【0079】
このような構成により、たとえばレーザセンサと比べて、雪および霧等の悪天候下でも安定した検知動作を行なうことができる。
【0080】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器の他の設置例を示す図である。
【0081】
本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器では、センサ部51は、路面に対して斜めに無線信号を送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。図8に示すように、センサ部51が道路RDの真上に配置されてもよい。また、図8において、センサ部51が路面に対して垂直に無線信号を送信する構成であっても、車両VEの高さを検出することが可能である。ただし、路面に対して斜めに無線信号を送信する構成により、センサ部51を道路RDの真上に配置する必要がなくなるため、設置工事の簡易化を図り、工事費を低減し、また、道路周辺の美観を向上させることができる。また、後述する本発明の第2の実施の形態に係る車両感知器のように、ドップラー効果を利用して車両VEの速度を検出することが可能となる。
【0082】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器では、センサ部51における測定信号受信部12が、測定信号送信部11によって送信された測定信号が反射した測定信号の受信レベルを車両情報処理部52へ通知し、車両情報処理部52における距離測定部15が、センサ部51と、測定信号送信部11から送信された測定信号が反射した位置との間の距離を測定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえばセンサ部51が距離測定部15を含み、センサ部51において当該距離を測定する構成であってもよい。
【0083】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0084】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る車両感知器と比べて車両の速度を検出する機能を追加した車両感知器に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る車両感知器と同様である。
【0085】
本発明の第2の実施の形態に係る車両感知器102は、車両感知器101と比べて、センサ部51および車両情報処理部52の代わりにセンサ部61および車両情報処理部62を備える。
【0086】
車両感知器102におけるセンサ部61は、測距センサとしての機能に加えて、ドップラー式のセンサとしての機能も有している。すなわち、車両感知器102は、送信した無線信号の周波数と、この無線信号が反射した無線信号の周波数との差に基づいて、感知範囲Aを通過する車両VEの速度を検出する。車両感知器102は、たとえば「ドップラー・センサを使ったスピード・ガンの製作」、RFワールドNo.5 トランジスタ技術2009年3月号増刊、漆谷正義著、pp.126-132、2009年3月1日発行(非特許文献2)に記載の方法によって当該速度を検出する。
【0087】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る車両感知器におけるセンサ部の構成の一例を示す図である。
【0088】
図9を参照して、センサ部61は、測定信号送信部71と、測定信号受信部72と、通信部73とを含む。センサ部61は、路面に対して斜めに無線信号を送信し、たとえば図2または図8に示すように設置される。
【0089】
測定信号送信部71は、道路RDに向かってミリ波帯の無線信号を測定信号として送信する。また、測定信号送信部71は、たとえば、測定信号を送信したタイミングを示す送信タイミング信号を通信部73へ出力する。
【0090】
測定信号受信部72は、測定信号送信部71によって送信された測定信号が反射した測定信号を受信し、たとえば、測定信号を受信したタイミングを示す受信タイミング信号を通信部73へ出力する。
【0091】
また、測定信号受信部72は、測定信号送信部71によって送信された測定信号が反射した測定信号を受信し、受信した測定信号の周波数を検出し、検出した周波数と測定信号送信部71によって送信された測定信号の既知の周波数との差を示す検出信号を通信部73へ出力する。
【0092】
通信部73は、測定信号送信部11から受けた送信タイミング信号ならびに測定信号受信部72から受けた受信タイミング信号および検出信号を、たとえばポール202内の配線を介して車両情報処理部62へ出力する。
【0093】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る車両感知器における車両情報処理部の構成の一例を示す図である。
【0094】
図10を参照して、車両情報処理部62は、通信部74と、距離測定部75と、車高算出部76と、車両情報生成部77と、車両情報送信部78と、速度測定部79と、車長算出部80とを含む。
【0095】
通信部74は、通信部73から送信タイミング信号、受信タイミング信号および検出信号を受けて、送信タイミング信号および受信タイミング信号を距離測定部75へ出力し、検出信号を速度測定部79へ出力する。
【0096】
距離測定部75は、通信部74から受けた送信タイミング信号および受信タイミング信号に基づいて、センサ部61と、測定信号送信部71から送信された測定信号が反射した位置との間の距離を測定し、測定した距離を示す距離情報を出力する。
【0097】
車高算出部76は、距離測定部75から受けた距離情報に基づいて、車両感知器102によって検知された車両VEの高さを算出し、算出した高さを示す車高情報を出力する。
【0098】
速度測定部79は、通信部74から受けた検出信号に基づいて、車両感知器102によって検知された車両VEの速度を測定し、測定した速度を示す車速情報を出力する。
【0099】
車長算出部80は、速度測定部79から受けた車速情報に基づいて、車両感知器102によって検知された車両VEの進行方向の長さを算出し、算出した長さを示す車長情報を出力する。具体的には、車長算出部80は、以下の式に従い、車長Lcを算出する。
Lc=V×t−AL
ただし、Vは車速情報の示す車速であり、tは通過中フラグが連続してオンであった時間であり、ALは車両感知器102の感知範囲Aの車両進行方向における長さである。ここで、車長算出部80は、車高算出部76から通過中フラグを受けて、時間tを算出する。
【0100】
車両情報生成部77は、車高算出部76から受けた車高情報および車長算出部80から受けた車長情報に基づいて、車両感知器102によって検知された車両VEの種類を判別し、少なくとも判別した車種を示す車両情報を生成して出力する。
【0101】
車両情報送信部78は、車両情報生成部77から受けた車両情報をセンター装置201へ送信する。
【0102】
このように、本発明の第2の実施の形態に係る車両感知器では、速度測定部79は、測定信号受信部12によって受信された無線信号に基づいて、道路RDを通過する車両VEの速度を測定する。車長算出部80は、速度測定部79によって測定された速度に基づいて、道路RDを通過する車両VEの長さを算出する。車両情報生成部77は、車高算出部76によって算出された車両VEの高さおよび車長算出部80によって算出された車両VEの長さに基づいて、道路RDを通過する車両VEの種類を判別する。
【0103】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る車両感知器では、各車両の速度を測定することができるため、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器と比べて、より多種類の車両情報を取得することができる。また、車速から車長を算出し、車高に加えて車長を車種の判別基準とすることにより、本発明の第1の実施の形態に係る車両感知器と比べて、より正確かつ詳細に車種を判別することが可能となる。
【0104】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
11 測定信号送信部
12 測定信号受信部
13 通信部
14 通信部
15 距離測定部
16 車高算出部
17 車両情報生成部(車種判別部,通過中情報出力部,通過台数情報出力部)
18 車両情報送信部
51 センサ部
52 車両情報処理部
61 センサ部
62 車両情報処理部
71 測定信号送信部
72 測定信号受信部
73 通信部
74 通信部
75 距離測定部
76 車高算出部
77 車両情報生成部
78 車両情報送信部
79 速度測定部
80 車長算出部
101 車両感知器
201 センター装置
202 ポール
301 道路交通情報取得システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を通過する車両の高さを検出するための車両感知器であって、
前記道路に向かって無線信号を送信し、送信した前記無線信号が反射した無線信号を受信するための送受信部と、
前記送受信部によって受信された前記無線信号に基づいて、前記無線信号が反射した位置と前記送受信部との間の距離を測定するための距離測定部と、
前記距離測定部の測定結果に基づいて、前記道路を通過する車両の高さを算出するための車高算出部とを備える、車両感知器。
【請求項2】
前記車高算出部は、前記測定結果の示す距離が所定値未満である期間において前記距離測定部によって測定された前記距離に基づいて、前記道路を通過する車両の高さを算出する、請求項1に記載の車両感知器。
【請求項3】
前記車高算出部は、前記測定結果の示す距離が所定値未満である期間において前記距離測定部によって測定された複数の前記距離のうちの最小値に基づいて、前記道路を通過する車両の高さを算出する、請求項2に記載の車両感知器。
【請求項4】
前記車両感知器は、さらに、
前記車高算出部によって算出された前記車両の高さに基づいて、前記道路を通過する車両の種類を判別するための車種判別部を備える、請求項2または3に記載の車両感知器。
【請求項5】
前記距離測定部は、所定の周期で前記距離を測定し、
前記車両感知器は、さらに、
前記測定結果の示す距離が前記所定値未満であるか否かを示す情報を前記所定の周期で出力するための通過中情報出力部を備える、請求項1から4のいずれかに記載の車両感知器。
【請求項6】
前記送受信部は、前記道路に対して斜めに無線信号を送信する、請求項1から5のいずれかに記載の車両感知器。
【請求項7】
前記車両感知器は、さらに、
前記送受信部によって受信された前記無線信号に基づいて、前記道路を通過する車両の速度を測定するための速度測定部と、
前記速度測定部によって測定された前記速度に基づいて、前記道路を通過する車両の長さを算出するための車長算出部と、
前記車高算出部によって算出された前記車両の高さおよび前記車長算出部によって算出された前記車両の長さに基づいて、前記道路を通過する車両の種類を判別するための車種判別部とを備える、請求項6に記載の車両感知器。
【請求項8】
前記送受信部は、前記道路に向かってミリ波帯の無線信号を送信する、請求項1から7のいずれかに記載の車両感知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−257814(P2011−257814A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129459(P2010−129459)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】