説明

車両挙動把握システム

【課題】 高速道路の出入口車線上部に少なくとも2台のカメラを設置し、当該カメラによって、通行する車両を撮像し、画像処理することにより、車両の位置、車両速度、車両の前後進など車両の挙動を検知する車両挙動把握システムを提供する。
【解決手段】 カメラエリア内に車両が進入すると、車両が検出される(S1)。次に、検出された車両の特長であるバンパーが検出される(S2)。次に、カメラから車両までの距離Ln、角度θn1、θn2が算出される(S3)。次に、距離Lnが検出されてからの所定時間T経過後、カメラから車両までの距離Lm、角度θm1、θm2が算出される。これらの値を元に、車両の速度V、及び車両の前進、後進が判定される。この判定の結果、速度オーバーの場合、及び車両の行方向が異なるとき、路側表示器6に警告が表示される(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路の入口などに設置される有料道路料金収受システムに関し、特に、有料道路の入口にカメラを設置して通過する車両の挙動を把握する車両挙動把握システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有料道路に設置されているETCシステムには、進入してくる車両を検知するために道路の両側に多数の光学式検知装置(以下、センサと称する。)を設置して車両の通過状態を検知している。この種の装置に車種判別装置が知られており、例えば、投光器と受光器との対が通行路の対抗する位置に設置された車両分離機、車高を検出するセンサ、車両の長さ(車長)を識別するためのセンサ、車種判別用踏み板などからなる車両検知部と、これらの検知情報を基に車種を判別する車種判別部(例えばCPU)からなる装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−99874号公報 (第6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の車両の通過状態検知では、基本的に該当するセンサを車両が遮ったかどうかの情報に基づいて、車両の位置を推定することになるため、車両の前後進、速度などを正確に把握するのは困難であった。
【0004】
また、道路事業者にとって、道路上に機器を多数設置する必要が生じることから多額の設備工事費用が発生していた。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、高速道路などの出入口車線上部に少なくとも2台のカメラを設置し、当該カメラによって、通行する車両を撮像し、得られた画像を処理することによって、従来困難であった車両の位置、車両の前後進、車両の速度など、当該車両の挙動を検知し、かつ、設置工事費用の低減が可能な車両挙動把握システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の車両挙動把握システムは、道路の上部で、当該道路に交わる2箇所に所定の間隔を有して設置され、通行する車両を撮像する2個の撮像手段と、この撮像手段によって撮像された車両の画像から、当該車両の特定箇所をそれぞれ抽出する画像抽出手段と、この画像抽出手段によって抽出された特定箇所の位置を、前記撮像手段の撮像中心からのずれ量としてそれぞれ算出するずれ量検知手段と、このずれ量検知手段によって検出された2個のずれ量から、前記撮像手段から前記車両の特定箇所までの距離を算出する演算手段と、前記車両が通過する2地点で、前記演算手段によって算出された前記距離により通行する車両の車両速度を検知する車両速度検知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2記載の車両挙動把握システムは、道路の上部で、かつ道路に交わる2箇所に所定の間隔を有して設置され、通行する車両を撮像する2個の撮像手段と、この撮像手段によって撮像された車両の画像から、当該車両の特定箇所をそれぞれ抽出する画像抽出手段と、この画像抽出手段によって抽出された特定箇所の位置を、前記撮像手段の撮像中心からのずれ量としてそれぞれ算出するずれ量検知手段と、このずれ量検知手段によって検出された2個のずれ量から、前記撮像手段から前記車両の特定箇所までの角度を算出する演算手段と、前記2地点で、前記演算手段によって算出された前記角度により通行する車両の前進又は後進を検知する前後進検知手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高速道路などの入口車線上部にカメラを少なくとも2台設置し、当該カメラによって、通行する車両を撮像し、得られた画像を処理することによって、従来困難であった車両の位置、車両の前後進、車両の速度など当該車両の挙動を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
図1は、本発明の実施例1による車両挙動把握システムを搭載した自動料金収受システム(以下、ETC(Electronic Toll Collection)システムと称する。)の機器設置図である。入口車線1には、車両検知装置S1、進入表示器2、進入制御装置3A、車両検知装置S2、路側表示器6、発進制御装置5A、車両検知装置S4が設置され、車両制御装置4Aに接続される。また、車両30に搭載されている車載器(図示しない)と無線通信する路側無線装置21が、車両制御装置4Aに接続される。さらにこの路側無線装置21を設置する架台20には、この路側無線装置21の両側(道路の上部で、道路に交わる位置)にカメラ22A、22Bが設置される。
【0011】
出口車線10には、入口車線1に設置した機器と同様の機器が設置され、同様に車両制御装置(図示しない)に接続される。
【0012】
各車線毎に設けられた車両制御装置4Aの処理結果は、ETC処理装置に備えられた伝送装置によって上位局に送信される。以下、入口車線1にETCシステム機器を設置した場合を例に詳細に説明する。
【0013】
車両検知装置S1、S2、S4は、車両の位置を検出するための装置で、車線の路側に設置される。本実施例では、カメラが用いられている。
【0014】
進入表示器2は、車線へ車両を進入させるために、車両誘導案内をするための表示装置で、車線の路側に設置される。
【0015】
進入制御装置3Aは、車線へ車両を進入させるために、阻止棒3Bを使用して車両進入を制御するための装置で、入口車線1の路側に設置される。なお、ETCシステムでは、車両検知装置S1、進入制御装置3A、及び阻止棒3Bを省略して構成してもよい。ETCシステムでは、ノンストップで料金収受を行うことを目的としているため、通常、車両検知装置S1、進入制御装置3A、及び阻止棒3Bを必要としないが、ETC対応車両でない車両がETC対応車線に進入した場合など、別途料金収受が必要になり、ノンストップ処理ができない場合がある。このような場合には、車両検知装置S1、進入制御装置3A、及び阻止棒3Bにより、後続する車両の進入を阻止する必要がある。
【0016】
路側表示器6は、入口車線1内へ進入した車両に対して、処理結果を案内するための表示装置で、入口車線1の路側に設置される。
【0017】
発信制御装置5Aは、入口車線1内へ進入した車両に対して、阻止棒5Bを利用して車両退出を制御するための装置で、入口車線1の路側に設置される。
【0018】
ETC処理装置は、入口車線1に設置される各種機器の制御を行い、一連の料金収受業務を制御する装置である。
【0019】
路側無線装置21、カメラ22A、カメラ22Bは車線上部に設置された架台20に配置される。路側無線装置21は、車線上部の中央部に配置され、路側無線装置21の両側にカメラ22A及びカメラ22Bが配置される。
【0020】
路側無線装置21は、車両に搭載される車載器(図示しない)と無線による送受信可能なアンテナを搭載した無線装置で、車線上部から別途設定された送受信範囲をカバーするように当該アンテナの送受信方向が設定される。
【0021】
図2は、図1に示すETCシステムの機器構成図である。ETCシステムは、入口車線1に設置される装置、出口車線10に設置される装置、及び共用装置で構成される。
【0022】
入口車線1には、上述したように車両の進入を検知する装置、検知した車両の車載器と無線通信して料金を収受する装置、及び通行する車両を監視する装置が備えられている。
【0023】
車両の進入を検知する装置には、CCDなどの受光素子を有する車両検知装置S1、S2、S4が備えられており、通行する車両を撮像する。撮像された画像は、画像処理装置40に送信される。
【0024】
また、カメラ22A、22BもCCDなどの受光素子を有し、通行する車両を撮像した画像を画像処理装置40に送信する。
【0025】
画像処理装置40は、受信した画像からバンパーなど、車両の特定箇所を抽出する。さらに車両、及び車両のナンバーなどを切り出す場合もある。切り出された画像データは、データ処理装置41に送信される。
【0026】
データ処理装置41は、受信した画像データをメモリ(図示しない)に記憶し、抽出された特定箇所の位置を撮像中心からのずれ量として算出するずれ量検知手段を有する。また、このずれ量検知手段によって検出された2個のずれ量から、撮像手段であるカメラから車両の特定箇所であるバンパーまでの距離及び角度を算出する演算手段を有する。さらに、車両が通過する2地点での上記ずれ量、距離、及び角度から通行する車両の車両速度検知手段、及び通行する車両の前進又は後進を検知する前後進検知手段を有する。
【0027】
一方、上述した車両、及び車両のナンバーを切り出した場合は、メモリに記憶されている標準画像データと似度法などによって比較し、車両の大きさ、車両の種類(車種)、車両のナンバーなどを認識する場合もある。この認識結果は、車両制御装置4Aに送信される。
【0028】
車両制御装置4Aは、受信したデータに基づき、車両の通過台数を計数する通過台数計数手段、及び車線に設定されている通行方向と異なるとき、当該車両の操作者(運転手)に対して警報を発する警報手段を制御する。なお、本実施例では、警報を発する手段として路側表示器6に警報表示を行う。同様に警報を音で通知することも可能である。
【0029】
検知した車両の車載器と無線通信して料金収受する装置には、路側無線装置21が備えられている。この路側無線装置21は、車両制御装置4Aと接続されており、車載器と無線通信した結果を車両制御装置4Aに送信する。また、車両制御装置4Aの指示に基づいて例えば通行料金を車載器に搭載されているICカードから徴収する。
【0030】
通行する車両を監視する装置には、監視カメラ42が備えられている。この監視カメラ42には、監視カメラ42の設置位置に対して車両の進入を監視す前部監視カメラと車両の退出を監視する後部監視カメラが備えられており、不正車両の進入を監視する。監視カメラ42の画像は、画像処理装置40に入力され、モニタ(図示しない)に表示される。操作員は、モニタ(図示しない)に表示された画像を目視確認できると共に、得られた画像を元に、例えば逆走する車両や想定外の動作を行う物体が検出された場合に警報を発するなどの処理を行ことができる。
【0031】
さらに、アイランド9に設置されたブース8には、ICカードリーダ装置8A、ブース内表示器8B,車線監視制御盤8Cが備えられている。
【0032】
ICカードリーダ装置8Aは、ETC対応車線に進入した車両の車載器との間の無線通信が失敗した場合などに、このICカードリーダ装置8Aによって再読み込みを行うことができる。
【0033】
ブース内表示器8B及び車線監視制御盤8Cは、自車線の監視及び他車線の監視及び操作を行うことができる。ETC対応車線における自車線の監視には、表示部と操作部が設けられており、表示部では、緊急表示、通行する車両の車種表示、通行する車両が違反車両の場合には違反車両表示を行うことができる。また、操作部には、ETC対応車線にETC非対応車両が進入した場合に通行券を特別に発行する通行券発行ボタンなどが備えられている。
【0034】
他車線の監視は、自車線の車線監視制御盤8Cから他車線の車線監視制御盤8Cnの監視を行うことである。
【0035】
図3は、カメラによる車両挙動把握システムを搭載した入口車線1の概略側面断面図である。図4は、図3の正面図である。図5は、図3の平面図で、カメラ22A、22Bと車両30の関係を表している。図3〜図5を参照して車両挙動システムの説明を行う。
【0036】
図3では、カメラ22Aが図示されているが、上述したように路側無線装置21の反対側にカメラ22B(図示しない)が設置され、架台20に固定されている。
【0037】
カメラ22Aの視野22A1の進行方向の視野L1はカメラ22Aの設置位置から例えば40mに設定される。この撮像範囲は、カメラの解像度と被写体である車両を検知する検知精度によって設定され、一義的に決定されるものではない。図示しないカメラ22Bの進行方向の撮像視野L2もカメラ22Bの設置位置から40mに設定される。カメラ22Aの出力信号22A2は画像処理装置40に入力される。同様にカメラ22Bの出力信号も画像処理装置40に入力される。
【0038】
図4は、図3の正面図で、架台20に設置したカメラ22A、22Bの車線と直行方向の視野22A1、22B1が示される。視野22A1、22B1は共に車線1内にある車両30を補足できる視野になるように光学レンズが選択され、かつ設定される。このように設定することによって、車両30が進入車線1の左右にずれた場合であっても、車両を検知することができる。
【0039】
図5は、図3の平面図で、車両30までの距離を測定する方法を説明する図である。本実施例では、カメラ22Aとカメラ22Bの間隔であるカメラ間隔Lpを4mに設定してある。例えば車両30のバンパー部30Aに相当する点Pまでの距離Lnを算出する方法を説明する。なお、点Pは、車両の特定箇所であるバンパー部30Aの中央に設定してある。
【0040】
カメラ間隔Lp、カメラから車両までの距離Ln、カメラの焦点距離f、カメラ22Aの撮像面22A2、カメラ22Bの撮像面22B2、点Pの撮像面での中心位置からの距離をそれぞれ、ずれ量Z1、ずれ量Z2、カメラの法線位置からの距離をXとするときの、カメラから車両までの距離Lnを算出する。なお、上記ずれ量Z1、Z2は、上述したようにずれ量検知手段としての画像処理手段40によって算出される。
【0041】
実施例では、カメラ22A、22Bの焦点距離fに比べてカメラ22A、22Bから車両までの距離Lnが十分大きいため、ほぼ焦点Fに結像される。
【0042】
従って、カメラ22A側の撮像によって式(1)、式(2)が成り立ち、かつ、カメラ22B側の撮像によって式(3)、式(4)が成り立つ。
Ln:f=X:Z1・・・・・・・・(1)
Ln=f・X/Z1・・・・・・・・(2)
Ln:f=(Lp−X):Z2・・・・(3)
X=(Lp・f−LnZ2)/f・・(4)
以上の結果得られた式(2)に式(4)を代入してカメラから車両までの距離Lnが式(5)によって算出される。
Ln=Lp・f/Z・・・・・・・・(5)
ただしZ=Z1+Z2・・・・・・・(6)
また、撮像位置Z1、Z2が算出されれば、焦点距離fから角度θn1、θn2が算出される。
【0043】
図6は、図3の平面図で、車両が進入方向に移動したときの状態を説明する図である。ここでは、カメラから車両30までの距離Lnであるときの状態から、車両30が図示矢印A方向に進入し、カメラから車両までの距離がLmになった状態を示している。
【0044】
ここで、例えば高速道路料金所のETC車線などにカメラ22A、22Bを設置する場合について、得られた式(5)の例を説明する。高速道路料金所のETC車線で、ETC対応車両が例えば40km/hで走行する場合であれば40m以上の車間距離が必要であると言われている。従って、カメラ22Aの視野22A1、及びカメラ22Bの視野22B2は、カメラから車両までの距離Lnを40mとした場合に1台の車両を補足できるように設定される。上述した例の場合、カメラから車両までの距離Ln=40mとなり、カメラ間隔Lp=4mに設定してあるから、f/Z=10となる。例えば、ずれ量Z=35mmとした場合、カメラ22A、22Bに使用されているレンズの焦点距離f=350mmとなる。
【0045】
また、車両が前進して、カメラから車両までの距離Lnが車両の検出限界であるLm(=3.46m)まで接近した場合には、f/Z=0.86となり、レンズの焦点距離f=30mmとなる。従って本実施例では、レンズの焦点距離が30mm〜350mmまで自動的に移動可能なレンズが使用される。
【0046】
上述したように、2個のカメラによって撮像された撮像位置からZ1、Z2を算出し、そのときの焦点距離fと2個のカメラ間隔Lpから、カメラから車両までの距離Lnが算出され、同様にカメラから車両までの距離Lmが算出される。さらに、撮像位置Z1、Z2から、角度θn1、θn2、θm1、θm2が算出される。
【0047】
角度θn1は、カメラ22Aの撮像視野に進入した車両の特徴箇所Pを検出したとき、この特徴箇所Pと前記撮像中心C1とを結ぶ線が撮像中心C1に対してつくる第1角度であり、同様に角度θm1は、角度θn1が検知されてから所定時間経過後に当該特徴箇所Pと前記撮像中心C1とを結ぶ線が撮像中心C1に対してつくる第2角度である。
【0048】
角度θn2は、カメラ22Bの撮像視野に進入した車両の特徴箇所Pを検出したとき、この特徴箇所Pと前記撮像中心C2とを結ぶ線が撮像中心C2に対してつくる第3角度であり、同様に角度θm2は、角度θn2が検知されてから所定時間経過後に当該特徴箇所Pと前記撮像中心C2とを結ぶ線が撮像中心C2に対してつくる第4角度である。
【0049】
実際には、カメラから車両までの距離Lnで角度θn1、θn2が同じタイミングで算出され、カメラから車両までの距離Lmで角度θm1、θm2が同時に算出される。本実施例では、特徴箇所Pがカメラ22で撮像した画像及びカメラ22Bで撮像した画像の両方で検知されるものとして説明したが、車両の走行位置、バンパー形状によっては、同時に検知されない場合も考えられる。そのため、何れか一方で検知された場合をもって特徴箇所Pが検知されたものとして上述した角度を算出しても同様の結果が得られる。
【0050】
図7は、本発明の実施例を説明するフローチャートである。
最初に、カメラエリア内に車両が進入すると、車両が検出される(S1)。
【0051】
次に、検出された車両の特長抽出が行われる。本実施例では、バンパーが検出される(S2)。
【0052】
次に、カメラから車両までの距離Lnが上述した方法によって算出される。本実施例では、車両のバンパー30Aまでの距離Ln、角度θn1、θn2が算出される(S3)。
【0053】
次に、Lnが検出されてからの所定時間T経過後、カメラから車両までの距離Lm、角度θm1、θm2を算出し、車両の速度Vを式(7)によって算出する。
V=(Ln−Lm)/T・・・・・・・(7)
V:車両速度(m/s)
Ln:カメラから車両までの距離(m)
Lm:Ln通過後、所定時間T経過したときのカメラから車両までの距離(m)
T:所定時間(S)
【0054】
また、角度θn1、θn2、θm1、θm2を式(8)及び式(9)に基づいて車両の前進、後進を判定する。すなわち、式(8)が成立する場合、車両は前進しており、式(9)が成立する場合、車両は後進していると判定される(S4)。ここで第1角度であるθn1と、第2角度であるθm1は第1比較手段を有するデータ処理装置41で比較される。同様に第3角度であるθn2と第4角度であるθm2は第2比較手段を有するデータ処理装置41で比較される。
【0055】
θn1>θm1又はθn2>θm2・・(8)
θn1<θm1又はθn2<θm2・・(9)
【0056】
次に、式(7)で算出された速度Vが制限速度Vsを超えていないか判定される(S5)。この判定の結果、速度がオーバーしている場合(S5のYES)、路側表示器6に速度オーバー警告が表示される(S6)。
【0057】
次に、車両30がカメラエリア(カメラ22A及びカメラ22Bの視野)外に退出したか判定される(S7)。この判定の結果、カメラエリア外に退出していない場合(S7のNo)、ステップS1に戻って再処理を行う。一方、カメラエリアから車両が退出している場合(S7のYES)、車両が通過したものと見なされ車両の通過台数がカウントされる(通過台数計数手段、S8)。
【0058】
なお、本実施例では、路側無線装置を設置する架台にカメラを取り付けたが必ずしもこれに限定するものではなく、専用の架台を設けてもよい。また、車両のバンパーを検出して車線における車両位置としたが、例えばナンバープレート位置を検出して車線における車両位置としても同様の結果が得られる。
【0059】
以上述べたように本発明によれば、車線の上部に所定間隔を設けてカメラを2台設置し、当該カメラで通行する車両を撮像し、得られた画像を処理することによって、車両の位置、車両の前後進、及び車両の速度を検出して判定することによって当該車両の挙動を検知することができる。また、路側無線装置設置架台を共用することにより、個別に車両検知装置を複数個設置する方式に比べて、設置工事費用の低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例による車両挙動把握システムを搭載したETCシステムの機器設置図。
【図2】図1に示すETCシステムの機器構成図。
【図3】カメラによる車両挙動把握システムを搭載した入口車線の概略側断面図。
【図4】カメラによる車両挙動把握システムを搭載した入口車線の概略正面図。
【図5】図3の平面図で、車両までの距離を測定する方法を説明する図。
【図6】図3の平面図で、車両が進入方向に移動したときの状態を説明する図。
【図7】本発明の実施例を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0061】
1 入口車線
5A 発信制御装置
5B 阻止棒
6 路側表示器
8 ブース
10 出口車線
20 架台
21 路側無線装置
22A カメラ
22A1 カメラ22Aの視野
22A2 カメラ22Aの撮像エリア
22B カメラ
22B1 カメラ22Bの視野
22B2 カメラ22Bの撮像エリア
30 車両
30A バンパー
40 画像処理装置
41 データ処理装置
42 監視カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の上部で、当該道路に交わる2箇所に所定の間隔を有して設置され、通行する車両を撮像する2個の撮像手段と、
この撮像手段によって撮像された車両の画像から、当該車両の特定箇所をそれぞれ抽出する画像抽出手段と、
この画像抽出手段によって抽出された特定箇所の位置を、前記撮像手段の撮像中心からのずれ量としてそれぞれ算出するずれ量検知手段と、
このずれ量検知手段によって検出された2個のずれ量から、前記撮像手段から前記車両の特定箇所までの距離を算出する演算手段と、
前記車両が通過する2地点で、前記演算手段によって算出された前記距離により通行する車両の車両速度を検知する車両速度検知手段と、
を備えたことを特徴とする車両挙動把握システム。
【請求項2】
道路の上部で、かつ道路に交わる2箇所に所定の間隔を有して設置され、通行する車両を撮像する2個の撮像手段と、
この撮像手段によって撮像された車両の画像から、当該車両の特定箇所をそれぞれ抽出する画像抽出手段と、
この画像抽出手段によって抽出された特定箇所の位置を、前記撮像手段の撮像中心からのずれ量としてそれぞれ算出するずれ量検知手段と、
このずれ量検知手段によって検出された2個のずれ量から、前記撮像手段から前記車両の特定箇所までの角度を算出する演算手段と、
前記2地点で、前記演算手段によって算出された前記角度により通行する車両の前進又は後進を検知する前後進検知手段と、
を備えたことを特徴とする車両挙動把握システム。
【請求項3】
前記2個の撮像手段は、
撮像データを出力可能で同様の構造を備えたカメラで構成され、当該カメラからの光軸が並行、かつ当該カメラから撮像視野の遠端までの距離、及び近端までの距離が同一であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両挙動把握システム。
【請求項4】
前記車両の特定箇所は、
車両のバンパー部の中央であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両挙動システム。
【請求項5】
前記車両速度検知手段は、
前記撮像視野に進入した車両の特徴箇所を検出したときの前記撮像手段から前記車両の特定箇所までの距離から、所定時間経過後に当該特徴箇所を検出したときの前記撮像手段から前記車両の特定箇所までの距離を減算して移動距離を算出し、この移動距離と前記所定時間とから当該車両の車両速度を検知することを特徴とする請求項1記載の車両挙動把握システム。
【請求項6】
前記前後進検知手段は、
一方の撮像手段によって撮像された画像に基づいて、撮像視野に進入した車両の特徴箇所を検出したときの前記特徴箇所と前記撮像中心とを結ぶ線が当該撮像中心に対してつくる第1角度と、所定時間経過後に当該特徴箇所を検出したときの特徴箇所と前記撮像中心とを結ぶ線が当該撮像中心に対してつくる第2角度とを比較する第1比較手段と、
他方の撮像手段によって撮像された画像に基づいて、撮像視野に進入した車両の特徴箇所を検出したときの特徴箇所と前記撮像中心とを結ぶ線が当該撮像中心に対してつくる第3角度と、所定時間経過後に当該特徴箇所を検出したときの特徴箇所と前記撮像中心とを結ぶ線が当該撮像中心に対してつくる第4角度とを比較する第2比較手段と、
前記第1比較手段の結果、第1角度が第2角度より大であるか、又は前記第2比較手段の結果、第3角度が第4角度より大であるとき、当該が車両は前進であると判定し、前記第1比較手段の結果、第1角度が第2角度より小であるか、又は前記第2比較手段の結果、第3角度が第4角度より小であるとき、当該が車両は後進であると判定することを特徴とする請求項2記載の車両挙動把握システム。
【請求項7】
前記撮像視野に進入した車両が前記前後進検知手段によって前進であると判定され、かつ、当該車両の特徴箇所が前記通路上に設定された前記撮像視野の遠端で検知された後に、近端で検知され、さらに当該車両の撮像視野から消えたとき、車両が通過したものとみなし、車両の通過台数を加算する通過台数計数手段を、
さらに追加したことを特徴とする請求項2記載の車両挙動把握システム。
【請求項8】
車両の通行方向が設定されている通路において、
前記前後進検知手段によって検知した車両の進入方向が、当該通路に設定されている通行方向と異なるとき、当該車両の操作者に対して、警報を発する警報手段を
さらに追加したことを特徴とする請求項2記載の車両挙動システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−47875(P2007−47875A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228624(P2005−228624)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】