説明

車両本体、特に陸上車両本体

本発明は、車両本体(1)、特に、乗客及び/又は商品の輸送に好適な陸上車両のための本体、更に特定すれば、好ましくは自動車の本体に関し、支持構造体(10)と、その支持構造体(10)に締結された膨張可能な複数の要素(20−26,30−36)と、を有する。側面ドア、背面ドア、フロントボンネット、ルーフ等を得るために従来型の車両の中に提供される金属性のパネルに替わり、膨張可能な要素(20−26,30−36)を使用するために、本発明に従った車両本体(10)の全体の重量を軽減することが可能であり、その結果、本体を組み込まれた車両の燃料消費を軽減することが可能である。更に、車両本体(1)の膨張可能な要素(20−26,30−36)は、事故の際に、改善された安全を保証する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、車両本体に関し、とりわけ、乗客や商品を意図した陸上車両に関する。
【0002】
乗客や商品の移送を意図した陸上車両、とりわけ、車やバン等の自動車は、いたるところに広く普及している。
【0003】
一般に、そのような車両は、推進システムの要素と伝送システムの要素が締結されるシャーシと、主要な機能が内部空間(運転スペース)と外部環境とを分ける本体と、を備える。
【0004】
車両本体は、普通、金属製の支持構造と、横方向のドア、背面ドア、フロントボンネット、ルーフ等の類似の要素を得るためにその支持構造物に接続される、これも金属製の複数のパネルと、を備える。
【0005】
既知の車両では、車両の内部にあって移送される人々や商品の安全を保障する必要から、車両本体の製造では、高い構造的強度を有する材料を利用することとなり、その結果、高い重量を有する材料を利用することとなる。
【0006】
例を挙げれば、車の重量は1,000kgから、20,000kgになることもある。
【0007】
自動車が関係するとき、このことは、それの推進のための高い燃料消費を暗に示す。
【0008】
高い燃料消費は、経済的な視点と環境汚染の視点から、かなりの難点であることは明らかである。
【0009】
本発明の主要な目的は、減じられた重量の車両本体を提供することによって、上述した難点を克服することであり、車両本体を運搬する車両の燃料消費を減少させることを可能にする。
【0010】
本発明の他の目的は、事故の際に、その中にあって移送される乗客や商品のための高い安全を保障する車両本体を提供することである。
【0011】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、保持された特許請求の範囲に述べられるように、本発明に従った車両本体によって達成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の車両本体は、金属製の支持構造物と、その支持構造物に締結された複数の膨張可能な要素と、を備える。
【0013】
側面ドア、背面ドア、フロントボンネット、ルーフ等の類似の要素のための従来からの車両で使用される金属製のパネルが、膨張可能な要素で置きかえられるという事実のおかげで、本発明の車両本体の全体重量は、従来型の車両に対してかなりに減じられる。
【0014】
有利なことに、この膨張可能な要素は、衝撃ショックをダンパし、その結果、事故の際に、車両内にあって輸送される乗客及び商品の安全を保障する。
【0015】
その膨張可能な要素は、支持構造体の内側及び外側のいずれかに適用されることが可能である。
【0016】
本発明の実施形態によれば、本発明の車両本体は、互いに分離し独立した複数の膨張可能な要素を備える。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、その膨張可能な要素は、単一の膨張した本体として作られ、この実施形態によれば、膨張可能な要素は、複数の部分に分割され、ヒンジとして作動する溶接部によって互いに分離される。ヒンジは、一部分が他の部分に対して相対的に旋回することを可能にする。
【0018】
本発明の更になる特徴と有利性は、添付された図を参照して限定されない実施例を考慮すれば、本発明のいくつかの実施形態の以下の詳細な記述から、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の車両本体の支持構造体の概観図である。
【図2】本発明の第1の好適な実施形態の車両本体の概観図である。
【図3】本発明の第2の好適な実施形態の車両本体の概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照すれば、本発明の車両本体の支持構造体10が示される。
【0021】
支持構造体10は、金属でできており、複数の実質的に垂直のロッド12と、複数の実質的に水平のロッド14と、を備え、車両の重量とその中の乗客の重量とを支持することが可能な3次元の剛性を有するフレームを構成するために、相互に締結される。
【0022】
車両の機構系要素、電気要素、光学要素、内部の仕上げ要素が、支持構造体10に接続される。
【0023】
次に、図2を参照すれば、本発明によれば、車両本体1は、複数の膨張可能な要素20−26を備え、空気や他の気体で満たされ、支持構造体10に締結され、支持構造体10のロッド12,14間にパネルを形成する。
【0024】
更に特定すれば、その膨張可能な要素は、車両本体1の背面ドアやバンパ等の他の類似の要素と同様に、車両1の側面ドア(要素20,22)、フロントボンネット(要素24)、ルーフ(要素26)を作るのに使われる。
【0025】
その膨張可能な要素20−26は、複合プラスチック材料で作られた一対の壁で形成され、気密性を有する本体を形成するためにそれらの周辺に沿って溶接されている、気密性を有する本体は、所望の形状と圧力が得られるまでその中に空気や他の気体を注入することで膨張される。
【0026】
好ましくは、その膨張可能な要素の膨張工程は、その車両本体の製造プロセスの間に、いったん起こりその間ずっと起こる。
【0027】
それにもかかわらず、代替例として、膨張可能な要素にアクセスする手段が提供され、その中に含まれる空気や他の気体の量が、また、首尾よく変化することが可能になる。
【0028】
図2に示される実施形態では、膨張可能な要素20−26は、支持構造体10の外側に締結される。
【0029】
更に、図2の実施形態では、膨張可能な要素20−26は、単一の本体として作られる。
【0030】
その単一の本体は、複数の部分の中で、溶接によって分けられ、その結果、互いに、旋回可能に加えられる。各部分がそれぞれの機能(側面ドア、フロントボンネット、背面ドア等)のそれぞれの機能を実行することを可能にし、支持構造体10への締結を意図したゾーンの制限を少なくすることを可能にする、溶接は提供される。
【0031】
代替的には、膨張可能な要素20−26を、支持構造体10に独立して締結された別途の独立した要素として提供することも可能なことは明らかである。
【0032】
従来型の金属製のパネルに置き換えられた膨張可能な要素20−26の有効利用は、車両本体の重量の大幅な軽減を可能にし、その結果、同じ性能で、車両自体の燃料消費をかなりの軽減を可能にすることは当業者には明らかであろう。
【0033】
更に、膨張可能な要素20−26の提供は、また、衝突の際の車両本体の衝撃吸収能力を改善することを可能にする。
【0034】
実際、衝突の際、膨張可能な要素は、変形することが可能であり、その結果、衝撃を吸収する。
【0035】
更にまた、それらの大きさは、とりわけ、フロントバンパ及びリアバンパの領域で、大きな量の運動エネルギを効果的に吸収するのに充分な量を提供するために選択可能である。
【0036】
更に、本発明の好適な実施形態によれば、膨張可能な要素20−26は、ベント装置(不図示)を備えており、それは、仮に要素内部の圧力が設定された閾値を超えるのであれば、設定された量の空気や気体の放出を可能にするために充分に校正される。
【0037】
要素20−26のデフレーションは、衝撃を吸収するのに貢献し、同時に、車両のバウンドを減じる。
【0038】
それゆえに、本発明の車両本体は、事故の際に、増加した安全を保障し、車両自体の乗客及び事故に巻き込まれた他の車両に対する損壊を減少する。
【0039】
図3を参照すれば、本発明に従った車両本体1の代替の実施形態が示される。
【0040】
いくつかの実施形態は、側面ドア(要素30,32)、背面ドア(要素34)、フロントボンネット(要素36)、類似の要素を形成する膨張可能な要素30−36が、支持構造体10のロッドの内側に締結され、それの外側には締結されない、という点で、以前に図解した要素とは異なっている。
【0041】
また、この実施形態では、膨張可能な要素30−36は、互いに旋回可能に加えられた複数の部分の中で分割された単一の本体、或いは、個々が支持構造体10に締結された複数の別個の独立した要素、のいずれかとして、提供可能である。
【0042】
上述の記載から、本発明に従った車両本体は、上記した目的を達成することが可能であるということは明らかである。
【0043】
ここに提供された詳細な記載は、例として示され、特許請求の範囲によって特定される保護範囲を逸脱することなく、いくつかの変形や修正がなされることが可能であることもまた、明らかであろう。
【符号の説明】
【0044】
1:車両本体、10:支持構造体、12:垂直のロッド、14:水平のロッド、20,22:側面ドア、24:フロントボンネット、26:ルーフ、30,32:側面ドア、34:背面ドア、36:フロントボンネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性を有する3次元のフレームを形成するために、相互に締結された複数のロッド(12,14)を有する金属製の支持構造体を備えた車両本体(1)において、
空気又は他の気体で満たされ、前記支持構造体(10)に締結され、当該支持構造体(10)の前記ロッド(12,14)間にパネルを形成する複数の膨張可能な要素(20−26,30−36)を更に有する、車両本体(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の車両本体(1)において、
前記膨張可能な要素(20−26)は、前記支持構造体(10)の外側に締結される、車両本体(1)。
【請求項3】
請求項1に記載の車両本体(1)において、
前記膨張可能な要素(30−36)は、前記支持構造体(10)の内側に締結される、車両本体(1)。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両本体(1)において、
前記膨張可能な要素(20−26,30−36)は、気密性を有する本体を形成するために、複合プラスチック材料で作られ、それらの周辺に沿って一緒に溶接された一対の壁で形成され、設定された量の空気や他の気体をその中に出射することで膨張された、車両本体(1)。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両本体(1)において、
前記膨張可能な要素(20−26,30−36)は、分離した独立の要素として提供され、前記支持構造体(10)に独立して締結された、車両本体(10)。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両本体(1)において、
前記膨張可能な要素(20−26,30−36)は、単一の本体として提供され、旋回可能に互いに加えられた複数の部分の中で分割される、車両本体(1)。
【請求項7】
請求項6に記載の車両本体(1)において、
前記単一の本体は、溶接(28)によって前記複数の部分に分割される、車両本体(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両本体(1)において、
前記膨張可能な要素(20−26,30−36)は、ベント装置を備え、その中の圧力が設定された閾値を超えて増加したとき、設定された量の空気又は他の気体の出射を許容する、車両本体(1)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両本体(1)において、
前記膨張可能な要素は、側面ドア、背面ドア、フロントボンネット、ルーフ、バンパ、当該車両本体(1)の他の類似の要素を得るために使用される、車両本体(1)。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両本体を有する車両。
【請求項11】
請求項10に記載の車両において、
前記車両は、陸上車両、更に特定すれば、自動車である、車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−517373(P2012−517373A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548841(P2011−548841)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050637
【国際公開番号】WO2010/092547
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511194360)コンセプト・イン・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (1)
【Fターム(参考)】