説明

車両用アクセサリ取付具

【課題】単純な構成部材で、アクセサリ部材を簡便に装脱着可能とする車両用アクセサリ取付具を提供する。
【解決手段】車両1の内装材には上面視略L字状に湾曲形成される凹溝部7が、凹設形成されている。
この凹溝部7の開口部8は、水平延設方向略全長に亘り、略同一の縦断面形状となるように開口形成されて、インストルメントパネル側凹溝7aに2個、ドア側凹溝7bに1個、合計3個のテーブル部材10を取付ける取付具本体9…が挿入されて、上面視略三角形形状の各頂点に、配置されている。
取付具本体9は、アクセサリ嵌着凹部9aが、凹設形成された球体形形状を呈し、テーブル部材10のテーブル本体11の前辺11a及び側辺11bに設けられた嵌着部11c…に嵌着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の主に車室内に装着されるアクセサリ部材の取付に用いられてなる車両用アクセサリ取付具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車室内には、ドアトリム部材等、車室内内装材に、アクセサリ部材としての板状のテーブル部材を収納可能とするものが知られている(特許文献1,2等参照)。
【0003】
このように構成された従来の車両用テーブル部材では、収納状態から引き出された板状のテーブル本体が、別途設けられている固定機能によって、車室内のドアトリム部材若しくは、ステアリングホイールに係止されて固定されるように構成されている。
【0004】
また、車室内の運転席前方に位置するステアリングホイールに、アクセサリ部材としてのテーブル部材が、装脱着可能となるように設けられるものが知られている(特許文献3参照)。
【0005】
このような従来のステアリングホイールに装着されるデーブル部材では、このテーブル本体を所望の角度で、前記ステアリングホイールに固定させる固定機能部材が、天板釣り腕部材等によって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−83461号
【特許文献2】特開2001−27792号
【特許文献3】実用新案登録第30664343号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の車両用アクセサリ取付具では、前記収納状態からテーブル本体を引き出す引出し収納機構に加えて、車室内のドアトリム部材若しくは、ステアリングホイール等に前記テーブル本体を係止又は固定する固定機能部材を設けなければならず、構造が複雑となってしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、単純な構成部材で、アクセサリ部材を簡便に装脱着可能とする車両用アクセサリ取付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の車両用アクセサリ取付具では、車両側壁に凹設形成された凹溝部に対して、開口部から挿抜可能な弾性材から構成されると共に、アクセサリ部材を前記車両側壁に取り付ける取付具本体と、該取付具本体に形成されて、前記アクセサリ部材の嵌着部が挿入されるアクセサリ嵌着凹部とを有する車両用アクセサリ取付具である。
【0010】
前記アクセサリ嵌着凹部は、前記取付具本体が、前記凹溝部に装着された状態で、開口部に位置する。
【0011】
そして、該取付具本体の前記アクセサリ嵌着凹部が、前記アクセサリ部材の嵌着部の外形寸法よりも小さい内形寸法に形成されて、前記嵌着部が、該アクセサリ嵌着凹部に嵌着された状態では、前記凹溝部の内側面に対して、該取付具本体の外側面が、圧接される車両用アクセサリ取付具を特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両側壁に凹設形成された凹溝部の開口部から、弾性材から構成される前記取付具本体が、容易に挿抜される。
【0013】
前記取付具本体が、前記凹溝部内に装着された状態で、前記開口部側に位置している前記アクセサリ嵌着凹部に、前記アクセサリ部材の嵌着部が挿入されて嵌着されると、該取付具本体が膨らみ、前記凹溝部の内側面に対して、該取付具本体の外側面が、圧接される。
【0014】
このため、単純な構成部材で、前記アクセサリ部材を簡便に装脱着可能として、車両側壁に対する取付強度を容易に向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態の車両用アクセサリ取付具で、取付具本体によって、テーブル部材を車室内に装着した構成を説明する図2中A部に相当する位置での模式的な斜視図である。
【図2】実施の形態の車両用アクセサリ取付具が適用される自動車で、全体の構成を説明する車両の模式的な斜視図である。
【図3】実施の形態の車両用アクセサリ取付具で、取付具本体の上面図である。
【図4】実施の形態の車両用アクセサリ取付具で、取付具本体の正面図である。
【図5】実施の形態の車両用アクセサリ取付具で、取付具本体の側面図である。
【図6】実施の形態の車両用アクセサリ取付具で、車室内の内装材に凹設形成された凹溝部の構成を説明する模式的な斜視図である。
【図7】実施の形態の車両用アクセサリ取付具が用いられる車両で、ドアトリム部材に設けられた収納空間内に、取付具本体が収納されている様子を説明する模式的な斜視図である。
【図8】実施の形態の車両用アクセサリ取付具で、取付具本体を内装材に設けられた凹溝部に装着した様子を説明する模式的な斜視図である。
【図9】実施の形態の車両用アクセサリ取付具で、取付具本体を、テーブル部材と共に、凹溝部に装着する様子を説明する要部の図3のB−B線に沿った位置に相当する位置での縦断面図である。
【図10】実施の形態の車両用アクセサリ取付具で、取付具本体を、凹溝部に挿入する様子を説明する要部の縦断面図である。
【図11】実施の形態の車両用アクセサリ取付具で、取付具本体を、テーブル部材と共に、凹溝部に装着した様子を説明する要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の車両用アクセサリ取付具を図面に基づいて説明する。
【0017】
まず、図1乃至図11を用いて、全体の構成から説明すると、この実施の形態の車両用アクセサリ取付具が適用される図2に示す様な車両1では、車室2内に内装材の一つとしてのインストルメントパネル部材3が、車幅方向に長手方向を延設させて取り付けられている。
【0018】
この車両1のフロントピラー部6の後方に位置する側面側には、図1に示す様な開閉動作可能なドア部材5が設けられていて、このドア部材5の車室内側の側壁を覆う内装材の一つとしてのドアトリム部材4が、貼設されている。
【0019】
このドアトリム部材4の前端部4aは、前記インストルメントパネル部材3の端部3aに対して、前記ドア部材5が閉塞された状態で突き合わせられるように、隣接配置されて設けられている。
【0020】
そして、これらのインストルメントパネル部材3の端部3aと、ドアトリム部材4の前端部4aとの間に跨って、上面視略L字状に湾曲形成される凹溝部7が、凹設形成されている。
【0021】
この凹溝部7は、図9に示されるように、車両1側を凹状に凹ませると共に、車室2内側に開口部8が開口形成されて、水平延設方向略全長に亘り、略同一の縦断面形状となるように形成されている。
【0022】
また、前記インストルメントパネル部材3の端部3aと、ドアトリム部材4の前端部4aとの間では、前記ドア部材5が、図1に示す様に閉塞された状態で、前記端部3a側のインストルメントパネル側凹溝7a延設方向と、ドアトリム部材4の前端部4a側のドア側凹溝7b延設方向とが、前記フロントピラー部6の下方で略直交するように交わって、湾曲することにより円滑に連設されて、水平方向では、同一高さ位置に形成される一本の溝状を呈するように構成されている。
【0023】
この実施の形態では、更に、図1に示すように、前記凹溝部7が、各インストルメントパネル側凹溝7a及びドア側凹溝7bが円滑に連続することにより、略同一曲率半径に近い一本の曲線として、凹設形成されている。
【0024】
また、この実施の形態のインストルメントパネル側凹溝7aとドア側凹溝7bとによって構成される前記凹溝部7は、図9に示す様に、開口部8の車両上下方向寸法A1を、凹溝部7内の車両上下方向で、最も寸法が大きく設定されている中心部S1を通過する車両上下方向寸法Aよりも小さくなるように設定されている。
【0025】
これらの凹溝部7には、インストルメントパネル側凹溝7aに2個、ドア側凹溝7bに1個、合計3個のアクセサリ部材としてのテーブル部材10を前記車両1側に取り付ける取付具本体9…が挿入されて、上面視略三角形形状の各頂点に、各々位置するように配置されている。
【0026】
このうち、前記取付具本体9は、図3乃至図5に示す様に、球体中心Sを径方向の中心として、略球体形状を呈するように形成されていて、一側表面側から、アクセサリ嵌着凹部9aが、水平方向に長手方向を有して、長溝形状となるように凹設されている。
【0027】
このアクセサリ嵌着凹部9aは、図9に示す様に、無負荷状態で車両上下方向周縁部間の開口の内形寸法Bを有して断面略凹状に形成されると共に、このアクセサリ嵌着凹部9aが形成されている部分を除く外形形状が、球体形形状を呈するように構成されている。
【0028】
更に、この実施の形態の取付具本体9では、球体の直径と略同一寸法で、車両上下方向に外形寸法Dを有していて、この取付具本体9に外力が加わらず、弾性変形していない所謂無負荷状態では、車両上下方向寸法Aと略同一寸法となるように構成されている。
【0029】
また、前記テーブル部材10の板状のテーブル本体11のうち、異なる車幅方向及び車両前後方向に延設されて、前記ドア部材5のヒンジ部近傍で、延設方向を略直交させる前辺11a及び側辺11bには、複数の嵌着部11c…が、設けられている。
【0030】
そして、これらのアクセサリ嵌着凹部9aには、これらの嵌着部11c…が各々挿入可能となるように、これらの嵌着部11c…の外形寸法である厚さ方向寸法Cよりも、上下方向の開口周縁部間で、小さい溝幅方向の内形寸法Bを有している。
【0031】
また、これらのアクセサリ嵌着凹部9aのうち、前記テーブル本体11が装着された図11に示す状態で、嵌着部11cの前端部が当接する底面部9bは、略球体状の取付具本体9の球体中心Sの位置よりも、深く位置するように凹設形成されている。
【0032】
この実施の形態では、上面視略三角形形状の各頂点に、各々位置することにより、板状の前記テーブル部材10のテーブル本体11の異なる方向に延設される前辺11a及び側縁11bの二辺に設けられた複数の嵌着部11c…が、前記取付具本体9…を、上面視略三角形形状の各頂点に、各々位置させるように支持している凹溝部7内の深い位置まで入り込んで保持される。
【0033】
しかも、この実施の形態では、前記前辺11a及び側縁11bが、前記凹溝部7に沿って、略同一曲率半径を有するように延設形成されている。
【0034】
そして、この取付具本体9は、図10に示す様に、各々前記アクセサリ嵌着凹部9aの車両上下方向開口部周縁間の内形寸法B1が、前記無負荷状態の内形寸法Bに比して、狭くなるように容易に弾性変形可能で、図中白抜き矢印に示す様に、近接方向に挟持される力が作用することにより撓み、開口部8の車両上下方向寸法A1以下まで、上下方向の外形寸法D1を圧縮変形可能に構成されている。
【0035】
従って、この取付具本体9が、ゴム材等の弾性材によって構成されている為、図9乃至図11に示す様に、前記車室2内側から前記開口部8を介して、前記凹溝部7内外に挿抜可能で、挿入時には、車両上下方向で、挿入及び抜出可能な一定の寸法まで、容易に圧縮変形可能である。
【0036】
更に、この実施の形態では、アクセサリ嵌着凹部9aのうち、前記底面部9bが、略球体状の取付具本体9の球体中心Sの位置よりも、深く位置するように凹設形成されている。
【0037】
このため、更に、挿入時には、車両上下方向へ容易に圧縮変形させることが出来る。
【0038】
次に、図11に示す様に、このような弾性材で構成されている前記取付具本体9のうち、小さい内形寸法Bを有している前記各アクセサリ嵌着凹部9a…に、やや大きな寸法Cを有する前記テーブル本体11の嵌着部11c…が、挿入される。
【0039】
前記アクセサリ嵌着凹部9aは、開口部8側に開口されて位置している。
【0040】
また、前記凹溝部7は、各インストルメントパネル側凹溝7a及びドア側凹溝7bを連続させて凹設形成されている。
【0041】
このため、前記各アクセサリ嵌着凹部9a…に、前記テーブル本体11の嵌着部11c…が、底面部9bに当接して止まるまで、挿入出来、この嵌着部11c…の挿入位置を、前記球体中心S及び最も寸法が大きく設定されている中心部S1よりも深い位置まで到達させることが出来るように構成されている。
【0042】
そして、図中上下方向矢印FUP及び矢印FDNで示すように、外形寸法である上下方向寸法S2が、図9に示す無負荷状態の上下方向の外形寸法Dよりも大きくなる方向に膨らんで拡開させる力が作用して、前記凹溝部7の内側面7c略全面に対して、この取付具本体9の外側面9cが、圧接されるように構成されている。
【0043】
更に、この実施の形態では、図6に示す様に、前記ドア部材5の車室2内側に貼設されるドアトリム部材4には、前記取付具本体9…を複数個収納可能な収納空間部13が、ドア部材5が閉塞された状態で、車両後方に向けて開口する取出開口部13aを有して、形成されている。
【0044】
この収納空間部13内には、図7に示すように、前記取付具本体9…を保持する引出収納部材14が、前記取出開口部13aから、車両前後方向に沿って、スライド摺動可能に設けられている。
【0045】
この引出収納部材14には、断面台形形状を呈する基台14cの上面側に形成された一対の略直線状の凹状保持枠14d,14dに挟まれて、車両前後方向に沿って一列に並べられた状態で、前記凹溝部7から取り外された前記取付具本体9…が、保持される収納凹部14aと、この収納凹部14aと一体に形成されて、乗員が把持することにより、この引出収納部材14をスライド摺動させるハンドル部14bとが設けられている。
【0046】
次に、この実施の形態の車両用アクセサリ取付具を用いたアクセサリの装脱着順序に沿って作用効果を説明する。
【0047】
この実施の形態の車両用アクセサリ取付具では、図2に示す様な車両1では、図6に示すように、前記ドア部材5の車室2内側に位置するドアトリム部材4に設けられた収納空間部13から、前記ハンドル部14bを把持して、車両後方へ前記引出収納部材14をスライド摺動させる。
【0048】
図7に示す様に、この引出収納部材14の基台14cの上面側では、一対の略直線状の凹状保持枠14d,14dに挟まれて、車両前後方向に沿って一列に並べられた状態で、前記複数の取付具本体9…が、この収納凹部14aに保持されている。
【0049】
これらの取付具本体9…が、前記収納凹部14aから取り出されて、図8に示す様に、インストルメントパネル部材3及びドアトリム部材4に設けられた凹溝部7に各々装着される。
【0050】
即ち、前記テーブル部材10よりも先行して、前記凹溝部7のインストルメントパネル側凹溝7aに2個、ドア側凹溝7bに1個、合計3個のアクセサリ部材としてのテーブル部材10を前記車両1側に取り付ける取付具本体9…が挿入されて、上面視略三角形形状の各頂点に、各々位置するように配置される。
【0051】
これらの取付具本体9は、図9に示す様に前記凹溝部7に挿入される際に、図10に示される様に、各々前記アクセサリ嵌着凹部9aの車両上下方向開口部周縁間の内形寸法B1が、前記無負荷状態の内形寸法Bに比して、狭くなるように弾性変形させる。
【0052】
この実施の形態の取付具本体9は、ゴム材等の弾性材によって構成されていて、しかも、前記アクセサリ嵌着凹部9aが水平方向に沿って凹溝状に形成されている為、挿入時には、車両上下方向で、挿入及び抜出可能な外形寸法D1(D1<A1)まで、容易に圧縮変形可能である。
【0053】
このため、図中白抜き矢印に示す様に、車両上下方向開口部周縁間の内形寸法B1(B>B1)まで、上下近接方向に挟持される力が作用することにより、容易に撓み、開口部8の車両上下方向寸法A1以下まで、上下方向の外形寸法D1が圧縮変形されて、挿入される。
【0054】
このように、前記取付具本体9のみの挿入後、上下近接方向に挟持される力を開放すると、前記各取付具本体9…は、前記凹溝部7内で、各々略無負荷状態の球形体形状まで、弾性回復して戻り、前記アクセサリ嵌着凹部9aの開口を、前記車室2内側に向けて仮保持される。
【0055】
この際、前記取付具本体9の上下方向の外形寸法D1(D1<A1)は、前記無負荷状態の外形寸法Dに近づく方向に復帰する。
【0056】
従って、図9に示す様に、前記アクセサリ嵌着凹部9aの内部で最大となる車両上下方向寸法Aよりも開口部8の車両上下方向寸法A1が小さくても、前記車室2内側から、この開口部8を介して、前記凹溝部7内外に、これらの取付具本体9…を容易に挿抜可能である。
【0057】
また、挿入後は、前記外形寸法D1が、開口部8の車両上下方向寸法A1よりも大きいので、脱落しにくく、充分な仮保持力を発揮出来る。
【0058】
このため、例えば、凹溝部7の開口部8を狭く設定して、底面部を物品が移動しにくいトレイ形状にする等、前記テーブル部材10が前記凹溝部7に装着されていない状態では、これらの凹溝部7が、小物の収納部として使用することも出来、格納された物品が走行中の振動によって、落下しにくい造形を与えることが出来る。
【0059】
次に、前記凹溝部7に所定の間隔を置いて、挿入された前記各取付具本体9…の各アクセサリ嵌着凹部9aに対して、前記テーブル部材10のテーブル本体11に設けられた各嵌着部11c…が、挿入される。
【0060】
前記各嵌着部11c…は、前記凹溝部7に沿って、円弧状に形成された前記前辺11a及び側縁11に設けられて凸状を呈していて、容易に、前端面部を底面部9bに当接させて、前記球体中心Sを押し込み、前記凹溝部7の最も寸法が大きく設定されている中心部S1の近傍若しくは更に、深い位置まで到達させる。
【0061】
この際、図11中上下方向矢印FUP及び矢印FDNで示すように、外形寸法である上下方向寸法S2が、図9に示す無負荷状態の外形寸法Dよりも大きくなる方向に膨らんで拡開させる力として作用して、前記凹溝部7の内側面7c略全面に対して、この取付具本体9の外側面9cが、対向する略全面で圧接される。
【0062】
このように、前記取付具本体9…が、前記凹溝部7内に装着された状態で、前記アクセサリ嵌着凹部9a…、に前記テーブル部材10の嵌着部11cが挿入されると、この取付具本体9が膨らみ、前記凹溝部7の内側面7cに対して、取付具本体9…の各外側面9c…が、圧接される。
【0063】
このため、単純な構成部材である取付具本体9…を用いて、前記テーブル部材10を簡便に装脱着可能とすることが出来ると共に、取付後は、球体形状を呈する取付具本体9…の各外側面9c…が、各々広い面積で圧接されて、車両側壁に対するテーブル部材10の取付強度を容易に向上させることが出来る。
【0064】
また、前記凹溝部7の最も寸法が大きく設定されている中心部S1に到達した球体中心Sを径方向の中心として、図10中上下方向矢印FUP及び矢印FDNで示すように、車両上下方向寸法Aと、略同一の寸法S2となるように、前記取付具本体9…を膨張させる。
【0065】
この為、中心部S1を通過する車両上下方向寸法S2よりも小さい車両上下方向寸法A1を、有する開口部8から、これらの取付具本体9…及びテーブル部材10が脱落する虞が少ない。
【0066】
しかも、この実施の形態では、前記凹溝部7が、連続形成されたインストルメントパネル側凹溝7aに2個、ドア側凹溝7bに1個、合計3個の取付具本体9…が挿入されて、上面視略三角形形状の各頂点に、各々位置することにより、板状の前記テーブル部材10のテーブル本体11の異なる方向に延設される前辺11a及び側縁11bの二辺に設けられた複数の嵌着部11c…が、前記取付具本体9…を、上面視略三角形形状の各頂点に、各々位置させるように支持されているので、更に、効率良く、取付強度を容易に向上させることが出来る。
【0067】
更に、この実施の形態では、前記取付具本体9…が、前記凹溝部7に装着された状態では、前記アクセサリ嵌着凹部9aが、開口部8側に開口して、凹溝長手方向を車両水平方向である各インストルメントパネル側凹溝7a及びドア側凹溝7bの延設方向に沿わせて、配置される。
【0068】
また、前記凹溝部7が、各インストルメントパネル側凹溝7a及びドア側凹溝7bを連続させることにより、略同一曲率半径に近い一本の曲線として、凹設形成されている。
【0069】
このため、前記各アクセサリ嵌着凹部9a…に、前記テーブル本体11の嵌着部11c…が、底面部9bに当接して止まるまで、前記凹溝部7の周縁等に干渉すること無く挿入出来る。
【0070】
更に、この嵌着部11c…の挿入位置を、前記球体中心S及び最も寸法が大きく設定されている中心部S1よりも深い位置まで到達させることが出来る。
【0071】
この実施の形態では、前記嵌着部11c…を構成する前辺11a及び側辺11bが、前記各凹溝部7に沿って湾曲形成されているので、更に、深い位置まで到達させることが出来る。
【0072】
そして、図中上下方向矢印FUP及び矢印FDNで示すように、外形寸法である上下方向寸法S2が、図9に示す無負荷状態の外形寸法Dよりも大きくなる方向に膨らんで、拡開させる力が作用して、前記凹溝部7の内側面7c略全面に対して、この取付具本体9の外側面9cが、圧接される。
【0073】
この実施の形態では、更に、前記嵌着部11c…が、底面部9bに当接して押圧するので、膨らんで拡開させる力を更に、球体である前記取付具本体9の外側面9cに略均等に、作用させることが出来、取付強度が更に向上する。
【0074】
更に、インストルメントパネル側凹溝7a及び、ドア側凹溝7bが、略同一の曲率半径を有する水平方向1本の凹溝部7として連続形成されているので、同一断面形状を呈し、前記取付具本体9…が装着される位置が、多少水平方向に相違していても、前記テーブル部材10を装着可能である。
【0075】
また、前記取付具本体9…を装着する位置の自由度及び、これらの取付具本体9…によって、支持するテーブル本体11の嵌着部11cが取り付けられる位置に、自由度を与えて、使用態様に応じて、テーブル本体11を車両水平方向である凹溝部7に沿わせて移動させる事も出来る。
【0076】
そして、この実施の形態では、3つの取付具本体9…が、前記凹溝部7のうち、略直交するインストルメントパネル側凹溝7aに2個、ドア側凹溝7bに1個、装着されて、各々前記アクセサリ嵌着凹部9a…によって、延設角度の異なる前辺11a及び側辺11bを保持するように構成されている。
【0077】
このため、前記取付具本体9…が、一直線上に並ぶものに比して、更に、取付強度を向上させることが出来る。
【0078】
しかも、テーブル部材10のテーブル本体11が使用されない状態では、前記引出収納部材14を用いて、前記取付具本体9…を、前記収納空間部13内に収納させることが出来、更に、使用利便性が良好である。
【0079】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態の車両用アクセサリ取付具に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0080】
即ち、前記実施の形態の車両用アクセサリ取付具では、自動車車室内のドアトリム及びインストルメントパネルに、アクセサリ部材としてのテーブル部材を装着する車両用アクセサリ取付具を示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、内装材としてのピラーインナ部材又は、座席背面部等、車体側に設けられる内装材に凹設形成される凹溝部に対して挿抜可能な弾性材から構成されるものであれば、異形球形状、半球形状若しくは、楔形形状等、どのような寸法、形状、数量及び材質の取付具本体9…であってもよい。
【0081】
しかも、この実施の形態では、テーブル部材10のテーブル本体11が使用されない状態では、前記引出収納部材14を用いて、前記取付具本体9…が、前記ドアトリム部材4に設けられた収納空間部13内に収納されるように構成しているが、特にこれに限らず、例えば、インストルメントパネル部材3等、内装部品のどの部分に、収納部空間を形成しても、前記取付具本体9…が収納可能な空間であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
前記実施の形態では、車両用アクセサリ取付具が適用される構成の一例として、自動車車室内のドアトリム及びインストルメントパネルに、アクセサリとしてのテーブル部材を装着する車両用アクセサリ取付具を示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、車両1側に装脱着可能なアクセサリ部材を装脱着する車両1であれば、電気自動車、ハイブリッドカー等、どのような自動車の車両用アクセサリ取付具として用いてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 車両
3 インストルメントパネル部材(内装材の一つ)
4 ドアトリム部材(内装材の一つ)
7 凹溝部
7c 内側面
8 開口部
9 取付具本体
9a アクセサリ嵌着凹部
10 テーブル部材(アクセサリ部材)
11 テーブル本体
11c 嵌着部
13 収納空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側壁に凹設形成された凹溝部の開口部から挿抜可能な弾性材から構成されて、アクセサリ部材の嵌着部が挿入されるアクセサリ嵌着凹部を有することにより、前記凹溝部内に装着された状態で、車両側壁に該アクセサリ部材を取り付ける取付具本体を有する車両用アクセサリ取付具であって、
前記取付具本体は、前記凹溝部に装着された状態で、前記アクセサリ嵌着凹部を、該開口部側に位置させると共に、該アクセサリ嵌着凹部の内形寸法を、前記アクセサリ部材の嵌着部の外形寸法よりも小さく形成することにより、該嵌着部が、前記アクセサリ嵌着凹部に嵌着された状態では、前記凹溝部の内側面に対して、該取付具本体の外側面が、圧接されることを特徴とする車両用アクセサリ取付具。
【請求項2】
前記取付具本体は、外形形状を球体形状とすることを特徴とする請求項1記載の車両用アクセサリ取付具。
【請求項3】
前記アクセサリ部材は、テーブル部材を構成する板状のテーブル本体であると共に、該テーブル本体の異なる方向に延設される少なくとも二辺に設けられた複数の嵌着部が、各々前記アクセサリ嵌着部へ挿入されて、前記車両側壁に設けられた凹溝部は、内装部材としてのインストルメントパネル部材及び、該インストルメントパネル部材の端部に隣接配置されるドアトリム部材に連設形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用アクセサリ取付具。
【請求項4】
前記取付具本体は、前記インストルメントパネル部材又は前記ドアトリム部材に形成される収納空間部内に、収納可能であることを特徴とする請求項3記載の車両用アクセサリ取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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