説明

車両用ウインドウシェード装置

【課題】シェードの巻き取りに連動して蓋をより完全に閉じることができるようにすること。
【解決手段】車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置20である。車両用ウインドウシェード装置20は、ウインドウシェード22と、ウインドウシェード22を巻き取る巻取装置60と、ウインドウシェード22の先端側に取付けられたステイ24と、ウインドウシェード22の引出用スリット32hを有するフレーム30と、引出用スリット32hに開閉可能に設けられた蓋50と、蓋50を開く方向に付勢する付勢部材とを有する。巻取装置60により巻き取られるウインドウシェード22に取付けられたステイ24の動きは、伝達部材40によって蓋50を閉じる方向への力として伝達される。蓋50、ステイ24、伝達部材40のうちの少なくとも一つに、ステイ24の動きと蓋50の動きとの誤差を吸収する誤差吸収機構が組込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のサイドウインドウ等を覆う車両用ウインドウシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用ウインドウシェード装置として特許文献1に開示のものがある。特許文献1では、ウィンドウシェードシートを引出すための引出スリットに回転可能な蓋が取付けられている。この蓋は圧縮ばねにより、開放位置に付勢されている。また、ウィンドウシェードシートに結合された作動要素のオーバーストロークによって作動アームを動かすことによって、蓋を閉成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−136881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、ウィンドウシェードシートの巻き取り時に、作動要素が作動アームを押すことで蓋を閉じる構成としているため、ウィンドウシェードシートの位置と蓋の位置とが略1対1で連動している。このため、ウィンドウシェードシートの完全巻取位置と、蓋の全閉位置とがずれてしまうと、ウインドウシェードを完全に巻き取った場合にも、蓋が全閉しないといった問題が生じ得る。
【0005】
そこで、この発明は、シェードの巻き取りに連動して蓋をより完全に閉じることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1の態様は、車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、前記ウインドウシェードの引出方向側端部に取付けられたステイと、前記ウインドウシェードを引出収納可能に巻き取る巻取装置と、前記巻取装置を内部に配設すると共に、前記ウインドウシェードの引出収納方向に間隙部を有するケースと、前記間隙部を覆うと共に、前記ステイが摺動可能な引出用スリットを有するフレームと、前記引出用スリットに開閉可能に設けられた蓋と、前記蓋を開く方向に付勢する付勢部材と、前記巻取装置により巻き取られるウインドウシェードに取付けられたステイの動きを、前記蓋にそれを閉じる方向への力として伝達する伝達部材とを備え、前記蓋、前記ステイ及び前記伝達部材のうちの少なくとも一つに、前記ステイの動きと前記蓋の動きとの誤差を吸収する誤差吸収機構が組込まれているものである。
【0007】
第2の態様は、第1の態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記伝達部材は、前記ウインドウシェードの引出及び収納方向に沿って移動可能に設けられ、前記ウインドウシェードの巻き取りにより前記ステイにより押されて前記ウインドウシェードの収納方向側に移動する可動体と、前記可動体が前記ウインドウシェードの収納方向側に移動することにより前記蓋を閉じる方向に移動させると共に、前記可動体が前記ウインドウシェードの引出方向側に移動することにより前記蓋が開く方向への移動することを許容するように、前記蓋と前記可動体とを連結する連結部材とを有する。
【0008】
第3の態様は、第2の態様に係る車両用ウインドウシェード装置であって、前記誤差吸収機構は、前記ウインドウシェードの巻き取りにより前記蓋が開くまで前記ステイが前記可動体を押した状態で、前記可動体が前記ステイの移動経路から退避するように姿勢変更可能に配設される構成とされている。
【0009】
第4の態様は、第1〜第3のいずれかの態様に係るウインドウシェード装置であって、前記蓋は、前記フレームに対してスライド移動可能に取付けられているものである。
【発明の効果】
【0010】
第1の態様によると、巻取装置により巻き取られるウインドウシェードに取付けられたステイの動きが、伝達部材を介して、蓋にそれを閉じる方向への力として伝達されるため、シェードの巻き取りに連動して蓋を閉じることができる。この際、前記蓋、前記ステイ及び前記伝達部材のうちの少なくとも一つに、前記ステイの動きと前記蓋の動きとの誤差を吸収する誤差吸収機構が設けられているため、ステイの動きに連動して蓋がより完全に閉じられるように設定することができる。
【0011】
第2の態様によると、前記ウインドウシェードの巻き取りにより前記ステイにより押されて可動体がウインドウシェードの収納方向側に移動する。これにより、連結部材を介して前記蓋が閉じる方向に移動される。また、ウインドウシェードを引出すと、可動体が前記ウインドウシェードの引出方向側に移動することにより前記蓋が開く方向への移動することを許容されるので、蓋は付勢部材の付勢力によって開かれる。
【0012】
第3の態様によると、ウインドウシェードの巻き取りにより前記蓋が開くまで前記ステイが前記可動体を押した状態で、前記可動体が前記ステイの移動経路から避けた位置に待避するため、ステイの移動量と蓋の移動量との誤差を吸収し、蓋がより完全に閉じられるようにすることができる。
【0013】
第4の態様によると、開いた状態で蓋の突出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】車両用ウインドウシェード装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】蓋が閉じた状態における蓋の開閉構成を示す説明図である。
【図3】蓋が開いた状態における蓋の開閉構成を示す説明図である。
【図4】図3の一部透過説明図である。
【図5】蓋の開閉動作を示す説明図である。
【図6】蓋の開閉動作を示す説明図である。
【図7】蓋の開閉動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態に係る車両用ウインドウシェード装置について説明する。
【0016】
<車両用ウインドウシェード装置の全体構成>
図1は車両用ウインドウシェード装置20の全体構成を示す斜視図である。ここでは、車両用ウインドウシェード装置20が後部座席のサイドウインドウ10を覆う場合を想定して説明する。もっとも、車両用ウインドウシェード装置は、その他、荷室側方のサイドウインドウ、リアウインドウ等を覆うものであってもよい。
【0017】
この車両用ウインドウシェード装置20は、サイドウインドウ10の一側に沿って延在するパネル部分に組込まれている。ここでは、車両用ウインドウシェード装置20は、サイドウインドウ10の下方に存在するドアパネル18の上側部に組込まれている。そして、車両用ウインドウシェード装置20からウインドウシェード22がサイドウインドウ10の車室側面に沿って引出されることにより、当該ウインドウシェード22がサイドウインドウ10を遮蔽及び開放可能に覆う構成とされている。
【0018】
この車両用ウインドウシェード装置20は、ウインドウシェード22と、ステイ24と、巻取装置60と、フレーム30とを備えている。
【0019】
ウインドウシェード22は、メッシュ状の布、樹脂シート等の材料を裁断、縫製等して形成されたシート状の部材である。ここでは、ウインドウシェード22は、対象となるサイドウインドウ10と略同じ大きさ及び形状に形成され、当該サイドウインドウ10の全体を遮蔽できるようになっている。もっとも、ウインドウシェード22は、対象となるウインドウの一部を遮蔽する形状及び大きさ、或は、複数のウインドウを一括して遮蔽可能な形状及び大きさに形成されていてもよい。
【0020】
ステイ24は、上記ウインドウシェード22の引出方向側端部に取付けられている。ここでは、ウインドウシェード22は、巻取装置60によって巻き取られており、当該巻取装置60からウインドウシェード22に沿って上方に引出されるため、ウインドウシェード22の上側端部が引出方向側端部である。ステイ24は、ウインドウシェード22の上側の端縁部の長さ寸法に応じた長尺棒状部材に形成されている。また、このステイ24は、後述する引出用スリット32hを通じてフレーム30内に配設可能な厚み寸法に形成されている。ウインドウシェード22の巻き取り収納状態では、ステイ24はフレーム30内に配設されており、この状態から引出用スリット32hを通じてステイ24をフレーム30外に引出して上方に移動させることで、ウインドウシェード22がサイドウインドウ10に沿って引出されるようになっている。
【0021】
フレーム30は、樹脂等により形成された長尺状部材であり、サイドウインドウ10の一側に沿った位置、ここでは、ドアパネル18の上側部に取付けられている。このフレーム30は、サイドウインドウ10側に面する表面板部32を有しており、この表面板部32にサイドウインドウ10の一側縁部(ここでは下側の縁部)に沿って延びる細長い引出用スリット32hが形成されている。引出用スリット32hの長さ寸法は、ウインドウシェード22の幅寸法よりも大きく設定されており、上記ウインドウシェード22は、フレーム30内から引出用スリット32hを通ってサイドウインドウ10側に引出される。
【0022】
このフレーム30には、引出用スリット32hを開閉可能にする蓋50が設けられている。この蓋50は、ウインドウシェード22の引出及び収納に伴って自動的に開閉される。そのための構成については、後で詳述する。
【0023】
巻取装置60は、ウインドウシェード22を引出及び収納可能に巻き取るように構成されている。より具体的には、巻取装置60は、フレーム30の内側に取付けられた部材であり、上記ウインドウシェード22を巻き取り可能な巻取軸部62を有している(図2〜図4参照)。巻取軸部62は、フレーム30に対して回転可能に取付けられると共に、図示省略のコイルバネ等の付勢部材により回転付勢されている。
【0024】
上記ウインドウシェード22の一端部である基端部は、上記巻取軸部62に対して回転不能に連結固定されており、付勢部材による付勢力によって巻取軸部62が巻取方向に回転すると、ステイ24が引出用スリット32hを通ってフレーム30内に位置する状態となるまで、ウインドウシェード22が巻取軸部62に巻き取り収納される。また、この状態から上記ステイ24を引張ると、付勢部材の付勢力に抗して巻取軸部62が前記巻取方向とは逆方向に回転し、ウインドウシェード22が引出用スリット32hを通ってサイドウインドウ10に沿って引出される。
【0025】
また、本実施形態では、上記ウインドウシェード22を引出及び収納駆動するシェード駆動機構70を備えている。シェード駆動機構70は、上記ステイ24を巻取軸部62の軸に対して略平行姿勢を保った状態で当該巻取軸部62に対して接近及び離間移動させることで、ウインドウシェード22を引出及び収納する装置である。ここでは、シェード駆動機構70は、一対のアーム72と、一対のアームを進退駆動させるアーム駆動部74とを有している。
【0026】
一対のアーム72は、樹脂等で形成された長尺部材であり、上記引出用スリット32hを通ってサイドウインドウ10の車室側面に沿って延出するように、フレーム30に対して進退移動可能に支持されている。一対のアーム72の先端部は、ステイ24に連結されており、一対のアーム72が進退駆動されることによって、ステイ24が上記のように巻取軸部62に対して接近及び離間移動するようになっている。
【0027】
アーム駆動部74は、フレーム30の内側であってドアパネル18内に組込まれている。アーム駆動部74は、一対の案内部材76と、一対の線状ラック歯部材77と、ラック駆動部78とを有している。
【0028】
一対の案内部材76と一対の線状ラック歯部材77とは、それぞれ上記一対のアーム72に対応して設けられている。
【0029】
案内部材76は、直線部分76aと湾曲部分76bとを有しており、全体として略J字状形状を有している。一対の案内部材76の各直線部分76aは、それぞれ一対のフレーム30の下方に延在するように固定されており、アーム72をスライド移動可能に支持している。また、直線部分76a及び湾曲部分76bは線状ラック歯部材77を案内支持可能に構成されており、一対の湾曲部分76bは、一対の直線部分76a間で互いに重なるように延在している。
【0030】
線状ラック歯部材77は、樹脂等、可撓性を有しかつ押込まれた場合に容易に屈曲しない線状部材により構成されており、その一面に凹凸が直線状に連なるように複数の歯が形成されている。線状ラック歯部材77の一端部は、案内部材76の直線部分76aでアーム72の基端部に連結されている。また、線状ラック歯部材77は、直線部分76aから湾曲部分76bを通るように案内されている。
【0031】
ラック駆動部78は、一対の直線部分76a間に設けられており、一対の湾曲部分76bのそれぞれで線状ラック歯部材77に噛合可能なラック用歯車(図示省略)と、当該歯車を回転駆動するモータ78aとを有している。モータ78aの回転駆動力は、傘歯車等の歯車、プーリー等を介して一対のラック用歯車を逆方向に回転駆動させる力として伝達される。そして、一対のラック用歯車が相互に逆方向に回転駆動されることによって、一対の線状ラック歯部材77が同期して進退駆動され、これにより、一対のアーム72が同期して進退駆動される。そして、一対のアーム72が進出駆動されることによって、ステイ24が巻取軸部62から離れる方向に移動し、ウインドウシェード22がサイドウインドウ10に沿って引出され、一対のアーム72が退避駆動されることによって、ステイ24が巻取軸部62に近づく方向に移動しつつ、付勢部材の付勢力によって巻取軸部62が巻取方向に回転してウインドウシェード22が当該巻取軸部62に巻き取り収納される。
【0032】
なお、ウインドウシェード22を引出及び収納駆動する構成は、上記例に限られない。例えば、モータ等の駆動によってワイヤを引張ることで、アームを進退駆動させるようにしてもよい。また、アームを進退駆動させる代りに、ウインドウの両側部に一対のレールを設け、ステイの両端部が当該レールに沿って移動駆動される構成であってもよい。また、ウインドウシェード22を引出及び収納駆動する構成が省略され、ステイに引出用の取っ手等を設け、手動によってウインドウシェードを引出及び収納する構成としてもよい。
【0033】
<蓋の開閉構成>
図2は蓋50が閉じた状態における蓋50の開閉構成を示す説明図であり、図3は蓋50が開いた状態における蓋50の開閉構成を示す説明図であり、図4は図3の一部透過説明図である。なお、図2〜図4は、図1のII−II線において車両用ウインドウシェード装置20を切断した部分の斜視図を示している。また、図5〜図7は、蓋50の開閉動作を示す説明図である。
【0034】
図1〜図7に示すように、この車両用ウインドウシェード装置20は、ウインドウシェード22の引出及び収納に連動して蓋50を開閉する構成として、付勢部材としてのコイルバネ56と、伝達部材40とを備えている。
【0035】
ここで、フレーム30におけるステイ24の動きについて説明しておく。すなわち、フレーム30は、表面板部32内側に第1内板部33A及び第2内板部33Bを有している。これら第1内板部33A及び第2内板部33Bは、引出されるウインドウシェード22を挟むようにして間隔を有して対向配置されている。これらの第1内板部33A及び第2内板部33Bは、表面板部32と一体形成されたものであってもよいし、別途組付られたものであってもよい。そして、ステイ24は、表面板部32の内側で、第2内板部33Bの内面に摺接しつつウインドウシェード22の引出及び収納方向に沿って移動するようになっている。上記第1内板部33A及び第2内板部33Bは、巻取装置60が内部に配設されたケースを構成している。そして、このケースに対してウインドウシェード22の引出収納方向側(つまり、第1内板部33A及び第2内板部33B間の上方隙間)に間隙部が形成されており、この間隙部を覆うようにしてフレーム30の表面板部32が設けられている。
【0036】
蓋50は、樹脂等により形成された部材であり、引出用スリット32hを閉塞可能な細長板状に形成されている。そして、蓋50の両端部がフレーム30の表面板部32の内側であって引出用スリット32hの両端部に形成されたガイド溝32g(図4参照)にスライド移動可能に支持されることと等により、引出用スリット32hの幅方向において表面板部32の内面に沿って、蓋50が引出用スリット32hを完全に閉塞する閉位置(図2参照)と、ウインドウシェード22を引出可能な程度に引出用スリット32hを開放させる開位置(ここでは、引出用スリット32hを完全に開いた位置、図3及び図4参照)との間で移動可能に配設されている。もっとも、蓋は、上記構成の他、フレームに固定されたガイドシャフトが当該蓋に挿通される構成等によって移動可能に支持される構成であってもよい。
【0037】
コイルバネ56は、蓋50を開方向に付勢する部材であり、ここでは、蓋50の両端部と、フレーム30の端部の内面部分のうち蓋50が開方向に移動する側の部分との間に伸張状態で設けられている(図4参照)。そして、このコイルバネ56の弾性復元力によって、蓋50を常時開方向に付勢している。
【0038】
伝達部材40は、巻取装置60によって巻き取られるウインドウシェード22に取付けられたステイ24の動きを、蓋50を閉じる方向への力として当該蓋50に伝達する部材として構成されている。
【0039】
ここでは、伝達部材40は、可動体42と、連結部材48とを有している。
【0040】
可動体42は、樹脂等で形成された部材であり、フレーム30内でウインドウシェード22の引出及び収納方向に沿って移動可能に配設されている。より具体的には、可動体42は、略直方体状に形成され、その一主面(引出されるウインドウシェード22側の面)に沿って受突部42aが突出形成されている。ウインドウシェード22の収納時におけるステイ24の動きは、受突部42aを介して可動体42に伝達される。
【0041】
この可動体42は、次の構成によって移動可能に支持されている。すなわち、フレーム30の第1内板部33Aに可動体42を移動可能に配設するための案内孔部33Ahが形成されている。この案内孔部33Ahの両側縁部に一対の可動体案内部34が設けられている。可動体案内部34は、ウインドウシェード22の引出及び収納方向に沿って延びる一対の壁部34aと、当該一対の壁部34aのうちウインドウシェード22の収納方向側に設けられた端壁部34bを有している。端壁部34bは、半円弧状に形成されており、一対の壁部34aの端部同士を連結している。そして、一対の壁部34a間に、ウインドウシェード22の引出及び収納方向に沿って延びる一定幅の溝34gが形成され、この溝34gはウインドウシェード22の収納方向側で端壁部34bによって閉塞されている。
【0042】
また、可動体42のうち上記一対の可動体案内部34に対向する各側面には、主ガイド突部43aが形成されると共に、当該主ガイド突部43aを挟むようにして一対の副ガイド突部43bが形成されている。主ガイド突部43aは、溝34g内に移動可能かつ回転可能に配設される円柱状の突部形状に形成されている。一対の副ガイド突部43bは、主ガイド突部43aに対して壁部34aの厚み寸法程度の間隔を有して突設され、上記壁部34aの外面及び端壁部34bの外周側弧状面に沿って移動可能な突部形状(ここでは円柱状の突部形状)に形成されている。
【0043】
そして、案内孔部33Ahのそれぞれの側縁部において、主ガイド突部43aが溝34g内に配設されると共に、一対の副ガイド突部43bが一対の壁部34aの外面に沿ってスライド移動可能に配設されることにより、可動体42が移動可能に支持されている。
【0044】
上記可動体42は、可動体案内部34のうちウインドウシェード22の収納方向側端部に位置する状態と、その位置よりも引出方向側の範囲にある状態とでは異なる挙動を示す。まず、後者の状態では、主ガイド突部43aと一対の副ガイド突部43bとのそれぞれの間に、直線状の壁部34aが挟込まれる状態が維持されるので、可動体42は、その受突部42aを、ウインドウシェード22の引出及び収納方向に沿って延在させた姿勢に維持される(図3、図4、図5及び図6参照、以下、単に受姿勢という)。また、前者の状態では、主ガイド突部43aは溝34gの端部に達し、一対の副ガイド突部43bは端壁部34bの外周面に沿って移動可能な位置に配設される。このため、可動体42は、主ガイド突部43aを中心として、一方の副ガイド突部43bを端壁部34bの外周面に沿って移動させるようにして、姿勢変更可能になる。具体的には、可動体42は、主ガイド突部43aを溝34gの端部に配設した状態のまま、受突部42aをウインドウシェード22の収納方向側に移動させるようにして姿勢変更可能になる(図2及び図7参照、以下、このように姿勢変更された状態を単に逃げ姿勢という)。
【0045】
上記ステイ24は、ウインドウシェード22の収納により可動体42を押してウインドウシェード22の収納方向に移動させるように構成されている。すなわち、ステイ24は、第2内板部33Bの内面に摺接しつつ移動する際に、少なくとも収納方向側の側縁部で、可動体42の受突部42aに当接可能な厚み寸法を有している。そして、ウインドウシェード22が収納され、ステイ24が表面板部32内に移動すると、ステイ24は、第2内板部33Bの内面に摺接しつつ可動体42の受突部42aを押込む。これにより、可動体42が押されて受姿勢のままウインドウシェード22の収納方向に移動する。そして、主ガイド突部43aが溝34gの端部に達すると、主ガイド突部43aを一定位置に位置させた状態のまま受突部42aをさらにウインドウシェード22の収納方向側に移動させるようにして、可動体42が逃げ姿勢に姿勢変更するようになっている。
【0046】
連結部材48は、蓋50と可動体42とを連結する部材であり、ここでは、連結部材48は、糸、樹脂ワイヤ或は金属ワイヤ等の線状部材である。連結部材としては、その他、樹脂フィルム等のフィルム部材等であってもよい。連結部材48の一端部は蓋50の基端側の側縁部に連結され、連結部材48の他端部は可動体42のうち主ガイド突部43a及び一対の副ガイド突部43bが並ぶ方向において主ガイド突部43aに対応する部分に連結されている。連結部材48の連結構成は、挟込み構成、ネジ止構成、結び付け構成等、周知構成を含む種々構成により実現される。この連結部材48は、表面板部32内側であって蓋50の内側空間を通って、蓋50と可動体42とを連結している。連結部材48は、蓋50が閉位置にある状態では蓋50と可動体42との間を直線状に延びている(図2及び図7参照)。また、蓋50が開位置にある状態では第1内板部33Aよりも引出用スリット32h側にあるコーナ部33Acに摺接して曲るように案内されている。コーナ部33Ac自体は、第1内板部33Aに対して別途取付けられた部材であってもよいし、第1内板部33Aの一部分であってもよい。そして、可動体42がウインドウシェード22の収納方向へ移動する力が、連結部材48とコーナ部33Acとの摺接部分で、蓋50を閉じる方向への力として変換されて蓋50に伝達されるようになっている。これにより、コイルバネ56の付勢力に抗して蓋50が閉じられるようになる。また、可動体42がウインドウシェード22の引出方向に移動すると、上記とは逆に、蓋50を閉じる方向へ移動させる力が解除され、当該蓋50が開く方向へ移動可能になる。これにより、コイルバネ56の付勢力によって蓋50が開くようになる。
【0047】
上記した蓋50の開閉構成には、ステイ24の動きと蓋50の動きとの誤差を吸収する誤差吸収機構が組込まれている。ここでは、伝達部材40に組込まれた次の構成によって誤差吸収機構が実現されている。
【0048】
すなわち、上記したように蓋50と可動体42とは連結部材48を介して連結しているため、通常の動作状態では、可動体42の位置と蓋50の位置とは略1対1で対応している。そして、蓋50が閉位置から開位置に移動する区間に対応する可動体42の移動区間では、当該可動体42は、可動体案内部34の一対の壁部34aに対応する区間に配設され、受姿勢に保たれる。このため、ウインドウシェード22の収納に伴ってステイ24が収納方向側に移動すると、当該ステイ24が可動体42を押し、ステイ24の移動に略1対1で連動して可動体42が収納方向側に移動する。これにより、コイルバネ56の付勢力に抗して蓋50が閉位置から開位置に移動する。
【0049】
蓋50が開位置に移動した状態では、可動体42は、溝34gの収納方向側端部に達し、逃げ姿勢に姿勢変更可能となる。そして、ウインドウシェード22のさらなる収納に伴ってステイ24が収納方向側に移動すると、ステイ24が可動体42の受突部42aを押す。これにより、可動体42は、主ガイド突部43aを溝34gの収納方向側端部に位置させた状態のままで、逃げ姿勢に姿勢変更する。この際、可動体42に対する連結部材48の連結箇所は、略一定位置に保たれている。このため、ステイ24の移動及び可動体42の姿勢変更に拘らず、連結部材48の引張り力はほとんど作用せず、従って、蓋50を上記閉位置よりもさらに移動させる力は抑制される。このように、蓋50が開くまでステイ24が可動体42を押した状態で、可動体42がステイ24の移動経路から退避するように逃げ姿勢に姿勢変更することで、誤差吸収が実現されている。
【0050】
上記車両用ウインドウシェード装置20では、ウインドウシェード22が引出された状態では、コイルバネ56の付勢力によって蓋50が開位置に移動した状態となっている(図3〜図5参照)。可動体42は、連結部材48を介して蓋50に引張られるようにして、引出方向側に移動している。
【0051】
この状態で、巻取装置60の巻取力によってウインドウシェード22が収納され、ステイ24が引出用スリット32hを通って表面板部32内に移動すると、ステイ24が可動体42に当接し当該可動体42を収納方向に押込む(図6参照)。これにより、可動体42は、受姿勢を保ったまま、収納方向側に移動する。これにより、蓋50は、連結部材48を介して可動体42により引張られ、コイルバネ56の付勢力に抗して開位置から閉位置に向けて移動する。
【0052】
そして、可動体42が可動体案内部34の収納方向側端部に達した状態で、蓋50が閉位置に達する(図2及び図7)。この後、巻取装置60の移動力によってステイ24がさらに収納方向側に移動しても、可動体42は受姿勢から逃げ姿勢に姿勢変更するため、実質的には連結部材48を引張らない。このため、蓋50を閉位置に維持しつつ、ステイ24をさらに収納方向側に移動させることができる。
【0053】
なお、収納方向側でのステイ24の停止位置は、ステイ24をガイド支持するガイド溝32gの端部位置によって決まる。ステイ24は、蓋50が閉位置に達した状態で停止するように設定されていてもよい。もっとも、製造誤差、組付誤差等を考慮して蓋50をより確実に閉位置に移動させることができるように、蓋50が閉位置に達した状態からさらに収納方向側に移動した状態で、ステイ24が停止するように設定されていることが好ましい。
【0054】
以上のように構成された車両用ウインドウシェード装置20によると、巻取装置60により巻き取り収納されるウインドウシェード22に取付けられたステイ24の動きが、可動体42及び連結部材48を含む伝達部材40を介して蓋50を閉じる方向への力として伝達される。このため、ウインドウシェード22の巻き取りに連動して蓋50を閉じることができる。この際、伝達部材40に、ステイ24の動きと蓋50の動きとの誤差を吸収する誤差吸収機構が設けられている。ここでは、蓋50を閉位置に停止させた状態のままで、ステイ24をさらに収納方向側に移動させることができる上記誤差吸収機構が設けられている。従って、ステイ24の動きに連動して蓋50がより完全に閉じられるようにすることができる。
【0055】
特に、蓋50が閉位置に移動した状態から誤差吸収を行いつつステイ24をさらに収納方向側に移動させることができるようにしておけば、製造誤差、組付誤差に拘らず、蓋50をより完全に閉じるようにすることができる。
【0056】
また、ウインドウシェード22の巻き取りによって移動するステイ24によって押されて可動体42がウインドウシェード22の収納方向へ移動する。これにより、連結部材48を介して蓋50が閉じる方向に付勢される。また、逆に、ウインドウシェード22を引出すと、可動体42がウインドウシェード22の引出方向に移動することにより、蓋50が開位置へ移動することを許容される。すると、コイルバネ56の付勢力によって、蓋50が開位置に移動する。これにより、ウインドウシェード22の引出及び収納に連動して自動的に蓋50を開閉することができる。
【0057】
また、蓋50が開位置に移動するまでステイ24が可動体42を押した状態で、可動体42が受姿勢から逃げ姿勢に姿勢変更することで、ステイ24の移動量と蓋50の移動量との誤差を吸収して、蓋50がより完全に閉じられるようにしているため、閉じた状態で、蓋50及び可動体42に余分な負荷が作用し難い。また、弾性変形等による誤差吸収を行っていないので、疲労劣化等も生じ難い。
【0058】
また、蓋50がスライド移動して引出用スリット32hを閉じる構成であるため、蓋50が開いた状態で蓋50の外方への突出等を抑制できる。
【0059】
なお、上記実施形態では、連結部材48を介して蓋50を引張る可動体42が姿勢変更することで、誤差を吸収する構成としたが、誤差吸収機構としてはその他の構成を採用することができる。誤差吸収機構としては、例えば、上記のように可動体42を姿勢変更させる代りに、連結部材の全部又は一部をゴム或はコイルバネ等の弾性変形可能な構成として、当該弾性変形部分で誤差を吸収する構成としてもよい。また、誤差吸収機構は、必ずしも伝達部材40に設けられる必要はなく、ステイ或は蓋等に設けられていてもよい。例えば、例えば、ステイのうち蓋を閉じるように動作させる部分、蓋のうち閉方向への力を受ける部分等が弾性変形することで、誤差を吸収する構成としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、蓋50はスライド移動することで引出用スリット32hを開閉する構成としているが、必ずしもその必要はない。蓋が所定の軸周りに回転可能に取付けられることで、引出用スリットを開閉自在に覆う構成であってもよい。この場合、蓋を開く方向にねじりコイルバネ等の付勢部材を設け、連結部材の引張りにより蓋が閉じられるように、連結部材を配設すればよい。
【符号の説明】
【0061】
10 サイドウインドウ
20 車両用ウインドウシェード装置
22 ウインドウシェード
24 ステイ
30 フレーム
32 表面板部
32h 引出用スリット
34 可動体案内部
40 伝達部材
42 可動体
43a 主ガイド突部
43b 副ガイド突部
48 連結部材
50 蓋
60 巻取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆う車両用ウインドウシェード装置であって、
前記ウインドウを遮蔽可能なウインドウシェードと、
前記ウインドウシェードの引出方向側端部に取付けられたステイと、
前記ウインドウシェードを引出収納可能に巻き取る巻取装置と、
前記巻取装置を内部に配設すると共に、前記ウインドウシェードの引出収納方向に間隙部を有するケースと、
前記間隙部を覆うと共に、前記ステイが摺動可能な引出用スリットを有するフレームと、
前記引出用スリットに開閉可能に設けられた蓋と、
前記蓋を開く方向に付勢する付勢部材と、
前記巻取装置により巻き取られるウインドウシェードに取付けられたステイの動きを、前記蓋にそれを閉じる方向への力として伝達する伝達部材と、
を備え、
前記蓋、前記ステイ及び前記伝達部材のうちの少なくとも一つに、前記ステイの動きと前記蓋の動きとの誤差を吸収する誤差吸収機構が組込まれている、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記伝達部材は、
前記ウインドウシェードの引出及び収納方向に沿って移動可能に設けられ、前記ウインドウシェードの巻き取りにより前記ステイにより押されて前記ウインドウシェードの収納方向側に移動する可動体と、
前記可動体が前記ウインドウシェードの収納方向側に移動することにより前記蓋を閉じる方向に移動させると共に、前記可動体が前記ウインドウシェードの引出方向側に移動することにより前記蓋が開く方向への移動することを許容するように、前記蓋と前記可動体とを連結する連結部材と、
を有する車両用ウインドウシェード装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記誤差吸収機構は、前記ウインドウシェードの巻き取りにより前記蓋が開くまで前記ステイが前記可動体を押した状態で、前記可動体が前記ステイの移動経路から退避するように姿勢変更可能に配設される構成である、車両用ウインドウシェード装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ウインドウシェード装置であって、
前記蓋は、前記フレームに対してスライド移動可能に取付けられている、車両用ウインドウシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−156960(P2011−156960A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19991(P2010−19991)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】