説明

車両用シートのロック装置

【課題】部品点数を増やすことなく、簡単な構造でフック部材及びロック部材の振動による異音の発生を防ぐ。
【解決手段】第1貫通孔3aが第1軸部材11に挿入された状態で回動可能に支持され、ロック位置とロックオフ位置との間で回動するフォーク部材3を設ける。また、第2貫通孔4aが第2軸部材12に挿入された状態で回動可能に支持され、フォーク部材3に設けた係止部を係止せしめることで規制位置と規制解除位置の間で回動するロック部材4を設ける。第1軸部材11のフランジ部11bの隅角にコイル部21aの軸方向の付勢力に押圧された第1貫通孔3aの周縁角部が当接する第1被当接部(丸み部50)を一体形成すると共に、第2軸部材12のフランジ部12bの隅角にコイル部22aの軸方向の付勢力に押圧された第2貫通孔4aの周縁角部が当接する第2被当接部(丸み部51)を一体形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートバックに設けられて該シートバックを車体側部材に固定保持するシートバックのロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用シートにおいては、種々の使用形態が提案されており、例えば、シートバックを起倒可能とし、且つこれを起立状態で車体側部材に固定保持する構造のものが知られている。かかる構造のシートにおいては、シートバック側にロック装置を配置し、このロック装置のフォーク部材に、車体側部材に取り付けたストライカを係止してその姿勢を保持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-15892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォーク部材は、走行中などにストライカに加わる荷重を支持しているので、ストライカを回動可能に支持する軸部材の外周とフォーク部材の貫通孔内周との間の隙間が大きいと、走行中の振動等により異音が発生するという問題がある。
【0005】
そこで、このような異音を防止するために、寸法精度を上げて隙間を最小限にするようにしていたが、寸法精度には限界があり、完全に異音の発生を防止できなかった。また、樹脂ブッシュなどを追加して隙間を埋めることも考えられるが、この方法では、部品点数及び組立工数が増えるという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品点数を増やすことなく、簡単な構造でフック部材及びロック部材の振動による異音の発生を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、捩りコイルバネのコイル部の圧縮力を簡単な構造で利用できるようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、
車体側部材に設けられたストライカを案内する案内溝が形成され且つシート側部材に固定されたベース部材と、
一端側が上記ベース部材に取り付けられて他端側にフランジ部を有する第1及び第2軸部材と、
上記第1軸部材に挿入される第1貫通孔を有し、該第1貫通孔が該第1軸部材に挿入された状態で回動可能に支持され、上記ストライカを係入させて保持する保持溝を有し且つ該保持溝に上記ストライカを係入保持したロック位置と上記保持溝への上記ストライカの係入及び離脱を許容するロックオフ位置との間で回動するフォーク部材と、
コイル部が上記第1軸部材の外周に挿入された状態で、上記ベース部材と上記フォーク部材との間に配置され、上記コイル部に連続する一端が上記ベース部材に係止され、他端が上記フォーク部材に係止され、該フォーク部材を上記第1軸部材を中心に回動付勢させると共に、上記フォーク部材を上記フランジ部側へ押し付ける第1捩りコイルバネと、
上記第2軸部材に挿入される第2貫通孔を有し、該第2貫通孔が該第2軸部材に挿入された状態で回動可能に支持され、上記フォーク部材に設けた係止部を係止せしめることで上記フォーク部材のロック位置からロックオフ位置側への回動を規制する規制位置とロック位置からロックオフ位置への回動を許容する規制解除位置の間で回動するロック部材と、
コイル部が上記第2軸部材の外周に挿入された状態で、上記ベース部材と上記ロック部材との間に配置され、上記コイル部に連続する一端が上記ベース部材に係止され、他端が上記ロック部材に係止され、該ロック部材を上記第2軸部材を中心に回動付勢させると共に、上記ロック部材を上記フランジ部側へ押し付ける第2捩りコイルバネとを備え、
上記第1軸部材のフランジ部の隅角には、上記コイル部の軸方向の付勢力に押圧された上記第1貫通孔周縁角部が当接する第1被当接部が一体形成されていると共に、
上記第2軸部材のフランジ部の隅角には、上記コイル部の軸方向の付勢力に押圧された上記第2貫通孔周縁角部が当接する第2被当接部が一体形成されている。
【0009】
上記の構成によると、従来のように隙間管理を厳密に行わなくても、第1軸部材及び第2軸部材に第1及び第2被当接部を設けているので、第1捩りコイルバネのコイル部の圧縮力に押されたフック部材の第1貫通孔周縁角部が第1被当接部に当接してフック部材を確実に押さえ付け、第2捩りコイルバネのコイル部の圧縮力に押されたロック部材の第2貫通孔周縁が第2被当接部に当接してロック部材を確実に押さえ付けることにより、フック部材及びロック部材が軸方向及び軸方向に垂直な方向へずれることがなく、異音が発生しない。第1当接部は第1軸部材に、第2当接部は第2軸部材にそれぞれ一体に形成されているので、別部品を追加する必要はなく、部品点数や組立工数が増えることはない。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記第1及び第2被当接部は、第1軸部材及び第2軸部材のフランジ部の隅角にそれぞれ断面円弧状に形成されている。
【0011】
上記の構成によると、例えば、第1軸部材及び第2軸部材を削り出しにより成形する場合には、隅角の丸みの半径を従来よりも大きくするだけで第1及び第2被当接部が得られるので、製造が容易で製造コストが安い。
【0012】
第3の発明では、第1の発明において、
上記第1及び第2被当接部は、第1軸部材及び第2軸部材のフランジ部の隅角にそれぞれ形成された断面三角形状に形成されたテーパ部である。
【0013】
上記の構成によると、フランジ部の機械加工時や成型時に面取りを設けるだけで第1及び第2被当接部が形成されるので、製造が容易である。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、第1及び第2軸部材の隅角にテーパ部や丸み部などの第1及び第2被当接部を形成し、コイル部の圧縮力を利用してこれら第1及び第2被当接部に貫通孔周縁角部をそれぞれ強制的に当接させることにより、部品点数を増やすことなく、簡単な構造でフォーク部材及びロック部材のがたつきをなくし、振動による異音の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るシートバックのロック装置をシートバックに取り付けた状態を示す側面図である。
【図2】図1に示したロック装置のロック状態を拡大して示す側面図である。
【図3】図1に示したロック装置のロック解除状態を拡大して示す側面図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】図3のV−V断面図である。
【図6】変形例を示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0017】
図1〜図3に示すように、本実施形態のロック装置1は、シート側部材としてのリヤシートバック31の上面側に埋設配置されて、そのロック装置1に設けられたフォーク部材3によって、車体側部材30に設けられたストライカ7を係入保持することで、リヤシートバック31を立設状態で上記車体側部材30側に固定保持し、リヤシートバック31によって車室側とトランクルーム側を遮断するとともに、リヤシートとして使用できる状態にされる。
【0018】
ロック装置1の上部にはケース35が設けられ、ケース35の上側にロック解除部33が設けられている。ロック解除部33は、ケース35の上側に一体に接続された周壁36を備え、この周壁36の中には、ガイド壁37に囲まれて上下方向に移動可能に操作ノブ34が収容され、この操作ノブ34が操作ケーブル32に連結されている。操作ケーブル32が、ケース35内を下方に伸びて設けられ、ロック装置1に設けられたロック部材4の端部4bに接続されている。これにより、操作ノブ34を押すと、ロック装置1とストライカ7とのロック解除ができるようになっている。
【0019】
ロック装置1は、周囲に適当な間隔をあけて複数の立壁部2aを備える板状部材からなるベース部材2を備え、このベース部材2は、略U字状に切り欠かれた案内溝10を備えている。ベース部材2には、上記フォーク部材3の他に後述するロック部材4が取り付けられるようになっている。
【0020】
ベース部材2の案内溝10を挟んで一方側には、第1軸部材11が固定されている。第1軸部材11は、例えば、図5に示すように、鋼材の削り出しにより形成され、円筒状の軸本体11aと、軸本体11aの一方の端部に設けられたフランジ部11bと、軸本体11aの他方の端部に設けられた嵌合部11cとを有する。本発明の特徴として、フランジ部11bと軸本体11aとの隅角には、断面円弧状の第1被当接部としての丸み部50が全周にわたり形成されている。この丸み部50は、削り出し工程において隅角に通常の半径よりもかなり大きな半径で丸み(R)をもたせることにより形成される。特に、第1貫通孔3aの周縁角部に面取りが形成されている場合には、周縁角部がまず丸み部50に当接するように、丸みの半径を大きくするとよい。
【0021】
フォーク部材3は、この第1軸部材11に回動自在に支持される板状部材よりなり、略U字形に切れ込む保持溝13とロック部材4側に係止される係止部15を備えている。このフォーク部材3は、図2に示すように、保持溝13が略垂直に向いた状態で且つ略水平方向に向いた状態の案内溝10と重合することで、保持溝13内にストライカ7を係入保持する「ロック位置」となる。一方、図3に示すように、フォーク部材3が「ロック位置」から矢印A方向へ回動して保持溝13が斜め上方に指向し保持溝13へのストライカ7に係入及び離脱が許容される「ロックオフ位置」となる。フォーク部材3は、この2つの位置に位置設定可能となっている。
【0022】
また、ベース部材2の案内溝10の溝底部10aには、緩衝ゴム部材6が取り付けられている。フォーク部材3が「ロック位置」に設定された状態においては、緩衝ゴム部材6が保持溝13に所定の重合幅をもって重合し、保持溝13に係入保持されたストライカ7は緩衝ゴム部材6の潰れ変形による弾性力で保持溝13の接触部13aに押し付けられている。また、フォーク部材3は、第1軸部材11の外側に巻かれた第1捩りコイルバネ21の弾性力による捩りモーメントによって常時矢印A方向へ回動するように付勢されている。それとともに、この第1捩りコイルバネ21のコイル部21aは、第1軸部材11の軸方向にも弾性力をもった状態で圧縮して配置されており、フォーク部材3をベース部材2に対して軸方向に離れる方向に付勢する作用を備えている。
【0023】
ベース部材2の案内溝10を挟んで他方側には、第2軸部材12が固定されている。第2軸部材12も図5に示すように鋼材の削り出しにより形成され、円筒状の軸本体12aと、軸本体12aの一方の端部に設けられたフランジ部12bと、軸本体12aの他方の端部に設けられた嵌合部12cとを有し、フランジ部12bと軸本体12aとの隅角には、断面円弧状の第2被当接部としての丸み部51が全周にわたり形成されている。これら丸み部50,51を例えば第1軸部材11及び第2軸部材12を機械加工の削り出しにより成形する場合、隅角の丸みの半径を従来よりも大きくするだけで成形できるので、製造が容易で製造コストが安い。
【0024】
一方、ロック部材4は、その一端側が第2軸部材12に回動自在に支持される板状部材よりなり、図2に示すように、第2軸部材12の外側に巻かれた第2捩りコイルバネ22の捩りモーメントによる弾性力によって常時矢印C方向へ回動するように付勢されている。それとともに、この第2捩りコイルバネ22のコイル部22aは、第2軸部材12の軸方向にも弾性力をもった状態で圧縮して配置されており、ロック部材4をベース部材2に対して軸方向に離れる方向に強いる作用を備えている。ロック部材4の係止受部17にフォーク部材3の係止部15を係止せしめることでフォーク部材3を上記「ロック位置」に位置決めし、フォーク部材3が「ロック位置」から矢印A方向へ回動するのを規制する「規制位置」(図2)と、操作ケーブル32によって第1捩りコイルバネ21の付勢力に抗してフォーク部材3が矢印D方向へ回動され、その係止受部17からフォーク部材3側の係止部15を離脱させてフォーク部材3の矢印A方向への回動を許容する「規制解除位置」(図3)の2つの位置間で回動可能とされる。
【0025】
また、図3に示す「規制解除位置」において、フォーク部材3の矢印A方向への回動が許容されるが、矢印A方向への回動し過ぎは、フォーク部材3の係止部15が、ベース部材2の立壁部2aに当接することで防止される。また、ロック部材4は第2捩りコイルバネ22によって矢印C方向へ回動するように付勢されているが、この方向への回動し過ぎは、フォーク部材3の回動当接部16によって防止される。具体的には、第1捩りコイルバネ21でフォーク部材3が常時矢印A方向へ回動するように付勢されており、且つフォーク部材3の回動当接部16がロック部材4の回動規制部14に当接することで、ロック部材4が図3に示す位置以上に矢印C方向に過回転することが規制される。
【0026】
組み立てる際には、まず、フォーク部材3の第1貫通孔3aに軸本体11aを挿入して、フランジ部11b側にセットし、軸本体11aの外周に第1捩りコイルバネ21のコイル部21aを配置して、コイル部21aを圧縮してベース部材2の貫通孔2cに嵌合部11cを嵌め込む。そして、嵌合部11cをかしめ等により僅かに拡径して確実に取り付ける。
【0027】
同様にロック部材4の第2貫通孔4aに軸本体12aを挿入して、フランジ部12b側にセットし、軸本体12aの外周に第2捩りコイルバネ22のコイル部22aを配置して、コイル部22aを圧縮してベース部材2の貫通孔2cに嵌合部11cを嵌め込む。そして、嵌合部11cをかしめ等により僅かに拡径して確実に取り付ける。
【0028】
第1捩りコイルバネ21及び第2捩りコイルバネ22のコイル部21a,22aは軸方向に圧縮して取り付けられるので、フォーク部材3及びロック部材4が常時第1軸部材11のフランジ部11b及び第2軸部材12のフランジ部12bの方向に付勢されるように取り付けられる。そして、第1貫通孔3aの周縁角部及び第2貫通孔4aの周縁角部がそれぞれ丸み部50,51に確実に当接する。
【0029】
第1捩りコイルバネ21の一端21bがベース部材2の立壁部2aに係止され、他端21cがフォーク部材3の係止部3bに係止されることで、第1捩りコイルバネ21はフォーク部材3を常時矢印A方向に付勢されるように取り付けられる。第2捩りコイルバネ22の一端22bがベース部材2の立壁部2aに係止され、他端22cがロック部材4の係止部4cに係止されることで、第2捩りコイルバネ22はロック部材4を常時矢印C方向に付勢されるように取り付けられる。
【0030】
−作動−
続いて、上述の如く構成されたロック装置1の作動等について説明する。
【0031】
図2は、ロック装置1のロック状態を示している。このロック状態では、フォーク部材3は、その保持溝13内にストライカ7を係入させた状態で、「ロック位置」に位置設定されるとともに、その係止部15がロック部材4の係止受部17に当接係合することで「ロック位置」に固定保持される。この場合、第1捩りコイルバネ21の弾性力によってフォーク部材3は矢印A方向に、第2捩りコイルバネ22の弾性力によってロック部材4は矢印C方向に、それぞれ付勢されているが、係止部15が係止受部17に当接係合しているのでフォーク部材3が矢印A方向にさらに回転することが規制される。
【0032】
また、ストライカ7は、ベース部材2の案内溝10の溝底部10aに取り付けられた緩衝ゴム部材6の潰れ変形に伴う弾性復元力によって、フォーク部材3側の保持溝13の接触部13aに当接されており、ストライカ7と保持溝13の間のガタ付きが防止される。
【0033】
特に、第1捩りコイルバネ21及び第2捩りコイルバネ22のコイル部21a,22aによって、フォーク部材3及びロック部材4が緩衝ゴム部材6の潰れ方向と直角な方向に付勢されているので、この方向のガタツキ及び異音を防止できる。特に、ストライカの係入方向のガタツキは緩衝ゴム部材6の弾性復元力で、この方向と直角な方向のガタツキは第1捩りコイルバネ21及び第2捩りコイルバネ22のコイル部21a,22aで付勢し、丸み部50,51に第1及び第2貫通孔3a,4aの周縁角部をそれぞれ圧接させることで防止しており、複雑な方向の振動も効果的に防止できる。本発明では、従来構造のロック装置のように制御部材を付設する必要がないので、極めて簡単且つ安価な構成によって、上記ロック装置1のガタ付き及びそれに起因する異音の発生を防止することができる。
【0034】
次にロックオフ状態を、図3に基づいて説明する。
【0035】
ロック装置1のロック状態を解除してロックオフ状態とし、リヤシートバック31の傾動操作を可能とするためには、操作ノブ34を押して操作ケーブル32を押し下げて、第2捩りコイルバネ22の弾性力に抗して、ロック部材4を矢印D方向に回転させて図2に示す「規制位置」から図3に示す「規制解除位置」に位置変更させる。この操作によって、図3に示すように、ロック部材4の係止受部17がフォーク部材3の係止部15から離脱され、フォーク部材3の矢印A方向への回動を許容することとなる。その結果、フォーク部材3は第1捩りコイルバネ21の弾性力によって矢印A方向へ回動する。最終的には、フォーク部材3の矢印A方向への回動が許容されるが、フォーク部材3の係止部15が、ベース部材2の立壁部2aに当接することでそれ以上の回転が防止される。このときに、ロック部材4の矢印C方向へ回動は、フォーク部材3の回動当接部16によって防止される。この状態で、保持溝13の開口部分がベース部材2側の案内溝10の開口部分に略重合して、保持溝13の案内部13bにストライカ7が当接可能な「ロックオフ位置」で保持される。すなわち、再度「ロック位置」にする場合には、シートバックを起こすことによってストライカ7が保持溝13の案内部13bを緩衝ゴム部材6の方向に押し込み、フォーク部材3を矢印B方向に回転すると共にロック部材4は矢印C方向に回転する。その結果、フォーク部材3の係止部15がロック部材4の係止受部に係合され、図2に示す状態になる。
【0036】
以上説明したように、ロック状態からのロックオフ動作、及びロックオフ状態からのロック動作が共に円滑且つ的確に行なわれ、ガタツキや異音が防止され、ロック装置1の作動上の信頼性が確保される。
【0037】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0038】
すなわち、上記実施形態では、第1及び第2被当接部は、丸み部50,51によって構成したが、図6に示すような断面三角形状に形成されたテーパ部150,151としてもよい。この場合には、丸み部50,51,150,151よりも当接面を外側に膨出させやすいので、より確実に周縁角部が当接する。
【0039】
また、上記実施形態では、第1及び第2軸部材を金属の削り出しによって丸み部50,51,150,151を形成しているが、樹脂成形品等で形成してもよい。その場合には、丸み部50,51,150,151は、全周ではなく、周方向に間隔をあけて設けてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、フォーク部材3が下方に配置されロック部材4が上方に配置されているが、この構成に限られるものではなく、例えば、フォーク部材3が上方に配置されロック部材4が下方に配置されて、操作ケーブル32を引き上げるようにして、ロック部材4をD方向に回転させてロック解除を行なうようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態の操作ノブ34は、1つの例に過ぎず、この構成に限られるものではない。操作ノブを引くことでロック解除できるように構成してもよく、操作ケーブル32は、リンク機構にしてもよい。
【0042】
なお、上記実施形態においては、起倒自在とされたシートにおいて、シートを起立姿勢で車体側へ固定するロック装置に本発明に係るロック装置1を適用したものを例として説明したが、本発明に係るロック装置はこのような構成のシートへの適用に限定されるものではなく、例えば、シートバックを前倒した際にロックするものに適用してもよく、またシート全体を車体側に着脱可能としたシートにおいてその着脱部位に適用したり、シートを構成するシートクッションとシートバックの何れかを車体側に着脱可能としたシートにおいてその着脱部位に適用したりすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ロック装置
2 ベース部材
3 フォーク部材
3a 第1貫通孔
3b 係止部
4 ロック部材
4a 第2貫通孔
7 ストライカ
10 案内溝
11 第1軸部材
11b フランジ部
12 第2軸部材
12b フランジ部
13 保持溝
21 捩りコイルバネ
21a コイル部
21b 一端
21c 他端
22 捩りコイルバネ
22a コイル部
22b 一端
22c 他端
30 車体側部材
31 リヤシートバック(シート側部材)
50 丸み部(第1被当接部)
51 丸み部(第2被当接部)
150,151 テーパ部(第1及び第2被当接部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部材に設けられたストライカを案内する案内溝が形成され且つシート側部材に固定されたベース部材と、
一端側が上記ベース部材に取り付けられて他端側にフランジ部を有する第1及び第2軸部材と、
上記第1軸部材に挿入される第1貫通孔を有し、該第1貫通孔が該第1軸部材に挿入された状態で回動可能に支持され、上記ストライカを係入させて保持する保持溝を有し且つ該保持溝に上記ストライカを係入保持したロック位置と上記保持溝への上記ストライカの係入及び離脱を許容するロックオフ位置との間で回動するフォーク部材と、
コイル部が上記第1軸部材の外周に挿入された状態で、上記ベース部材と上記フォーク部材との間に配置され、上記コイル部に連続する一端が上記ベース部材に係止され、他端が上記フォーク部材に係止され、該フォーク部材を上記第1軸部材を中心に回動付勢させると共に、上記フォーク部材を上記フランジ部側へ押し付ける第1捩りコイルバネと、
上記第2軸部材に挿入される第2貫通孔を有し、該第2貫通孔が該第2軸部材に挿入された状態で回動可能に支持され、上記フォーク部材に設けた係止部を係止せしめることで上記フォーク部材のロック位置からロックオフ位置側への回動を規制する規制位置とロック位置からロックオフ位置への回動を許容する規制解除位置の間で回動するロック部材と、
コイル部が上記第2軸部材の外周に挿入された状態で、上記ベース部材と上記ロック部材との間に配置され、上記コイル部に連続する一端が上記ベース部材に係止され、他端が上記ロック部材に係止され、該ロック部材を上記第2軸部材を中心に回動付勢させると共に、上記ロック部材を上記フランジ部側へ押し付ける第2捩りコイルバネとを備え、
上記第1軸部材のフランジ部の隅角には、上記コイル部の軸方向の付勢力に押圧された上記第1貫通孔周縁角部が当接する第1被当接部が一体形成されていると共に、
上記第2軸部材のフランジ部の隅角には、上記コイル部の軸方向の付勢力に押圧された上記第2貫通孔周縁角部が当接する第2被当接部が一体形成されている
ことを特徴とする車両用シートのロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートのロック装置において、
上記第1及び第2被当接部は、第1軸部材及び第2軸部材のフランジ部の隅角にそれぞれ断面円弧状に形成された丸み部である
ことを特徴とする車両用シートのロック装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用シートのロック装置において、
上記第1及び第2被当接部は、第1軸部材及び第2軸部材のフランジ部の隅角にそれぞれ断面三角形状に形成されたテーパ部である
ことを特徴とする車両用シートのロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−60156(P2013−60156A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201084(P2011−201084)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000151760)株式会社東洋シート (142)
【Fターム(参考)】