説明

車両用シートの電動操作装置

【課題】車両用シートに配備される電動機能の数を増やしても、電動操作装置の設置スペースを広げることなくこれらの作動操作を行えるようにする。
【解決手段】車両用シート1に配備された複数の電動機能を作動操作するための電動操作装置6である。車両用シート1への着座者が着座した姿勢状態で操作ができる車両用シート1の外部位置に複数の電動機能を操作するための操作部10が配設されている。操作部10は軸回動操作及び径方向へのスライド移動操作が可能な構成とされ、電動操作装置6は操作部10の回動位置の切替えによって操作対象となる電動機能が選択される電動機能モード切替構造でかつ操作部10の径方向へのスライド位置の切替えによって上記選択された電動機能が作動操作される作動制御構造となっている。操作部10はその押込み操作によって軸回動操作により選択される電動機能が切替えられる切替構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの電動操作装置に関する。詳しくは、車両用シートに配備された複数の電動機能を個別に作動操作することのできる車両用シートの電動操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートには、シートバックの傾き角度やシートクッションの前後スライド位置を電動で調整可能な電動機能が配備されているものがある。これらの電動機能は、例えばシートクッションのアウター側部に配設されたスイッチによって作動操作されるようになっている。
ここで、下記特許文献1には、上述したスイッチの配置構造の一例が開示されている。この開示では、シートバックやシートクッションの姿勢位置を個々に調整できるようにするために、調整対象を切替える切替スイッチと、調整対象を前後や上下に移動調整する調整スイッチと、が別個に配設されている。
【特許文献1】特開2004−288393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記開示の従来技術では、切替用のスイッチと調整用のスイッチというように、複数のスイッチが必要となる。したがって、このようなスイッチ構造では、調整対象の数を増やすことにより、かかる設置スペースも増大してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、車両用シートに配備される電動機能の数を増やしても、電動操作装置の設置スペースを広げることなくこれらの作動操作を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートの電動操作装置は次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、車両用シートに配備された複数の電動機能を作動操作するための車両用シートの電動操作装置である。車両用シートへの着座者が着座した姿勢状態で操作ができる車両用シートの外部位置に、複数の電動機能を操作するための操作部が配設されている。操作部は、軸回動操作が可能で、かつ、径方向へのスライド移動操作も可能な機構として構成されている。車両用シートの電動操作装置は、操作部の軸回動操作による回動位置の切替えが複数の電動機能の中から操作対象となる電動機能が選択される電動機能モード切替構造となっており、操作部の径方向へのスライド移動操作によるスライド位置の切替えが操作対象として選択された電動機能が作動操作される作動制御構造となっている。更に、操作部は、その軸回動操作の中心軸線方向での押込み操作も可能な機構として構成されている。車両用シートの電動操作装置は、操作部の押込み操作による移動動作が、操作部の軸回動操作により選択される電動機能を、車両用シートに配備された位置調整機能に関連した電動機能を含む第1の電動機能と、この第1の電動機能以外の第2の電動機能とに切替える電動機能ジャンル切替構造となっている。操作部の押込み操作構造には、操作部を押込み操作された押込位置から押込み操作される前の初期位置まで附勢によって移動させることのできるリターン手段が設けられている。
ここで、「車両用シートに配備された位置調整機能」としては、例えばシートバックの背凭れ角度やシートクッションの前後スライド位置を電動で調整できるようにするリクライニング装置やスライド装置等の位置調整を行う電動機能が挙げられる。なお、上述した位置調整機能以外の電動機構としては、例えばランバーサポート、マッサージ用のバイブレータ、ベンチレータ及びシートヒータ等の着座時の快適性を向上させるために配される電動機能が挙げられる。また、電動機能について、「作動操作」とは、電動機能のON/OFFの切替えや出力の強弱の調整、作動方向の切替えなどの操作のことである。
この第1の発明によれば、操作部の軸回動操作によって回動位置の切替えを行うことにより、車両用シートに配備された複数の電動機能の中から操作対象となる電動機能が選択される。そして、操作部の径方向へのスライド移動操作によってスライド位置の切替えを行うことにより、操作対象として選択された電動機能が作動操作される。すなわち、1つの操作部の操作によって、電動機能の選択とその作動操作の双方を行うことが可能となる。そして、操作部を押込み操作することにより、操作部の軸回動操作によって選択される電動機能が、位置調整機能に関連した電動機能を含む第1の電動機能とこの第1の電動機能以外の第2の電動機能との間で相互に切替えられる。この操作部は、押込位置まで押込み操作された状態でその操作力が解除されることにより、リターン手段によって、押込み操作が行われる前の初期位置まで戻される。
【0006】
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、操作部の押込み操作による電動機能ジャンル切替構造は、操作部の押込み操作を行う前の初期状態では、操作部の軸回動操作により選択される電動機能が第1の電動機能となるように設定されており、操作部の押込み操作を行うことによって第2の電動機能に切替えられる構成となっている。操作部の押込み操作によって第2の電動機能に切替えられた状態では、操作部に対する操作が一定時間放置されることによって初期状態である第1の電動機能に切替えられた状態に戻される構成となっている。
この第2の発明によれば、操作部の押込み操作を行うことにより、その軸回動操作により選択される電動機能が、第1の電動機能から第2の電動機能に切替えられる。そして、この第2の電動機能に切替えられた状態で、操作部に対する操作が一定時間放置されることにより、軸回動操作によって選択される電動機能が、初期状態すなわち第1の電動機能に切替えられた状態に戻される。
【0007】
次に、第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、操作部は、車両用シートの横幅方向のアウター側となる側面部位置に配設されている。そして、操作部は、車両用シートの横幅方向のインナー側に向けて押込み操作されるように構成されている。
この第3の発明によれば、操作部は、車両用シートとそのアウター側となる窓側に位置するドアトリム等の側壁部材との間の狭い隙間に配設される。しかし、この狭い隙間の中でも、操作部をインナー側に向けての押込む操作を行うことによって、第1の電動機能と第2の電動機能との切替えを行うことができる。
【0008】
次に、第4の発明は、上述した第1から第3のいずれかの発明において、複数の電動機能の中には、車両用シートへの着座時の快適性を向上させる快適性向上機能に関連した電動機能が含まれている。操作部の径方向へのスライド移動操作方向は、車両用シートの前後方向と上下方向とにスライド移動操作される向きに設定されている。操作部の径方向へのスライド移動操作による快適性向上機能に関連した電動機能の作動操作は、次のように構成されている。すなわち、操作部を車両用シートの上下方向にスライド移動させる操作によって、操作対象となる快適性向上機能に関連した電動機能のON/OFFの切替えが行えるように構成されている。そして、操作部を車両用シートの前後方向にスライド移動させる操作によって、操作対象となる快適性向上機能に関連した電動機能の出力の強弱或いは作用部位の切替えが行えるように構成されている。
ここで、「車両用シートへの着座時の快適性を向上させる快適性向上機能」としては、例えばランバーサポート、マッサージ用のバイブレータ、ベンチレータ及びシートヒータ等の着座時の快適性を向上させる電動機能が挙げられる。
この第4の発明によれば、操作部を車両用シートの上下方向にスライド移動させる操作を行うことにより、快適性向上機能に関連した電動機能のON/OFFの切替えが行える。また、操作部を車両用シートの前後方向にスライド移動させる操作を行うことにより、操作対象となる快適性向上機能に関連した電動機能の出力の強弱或いは作用部位の切替えが行える。
【0009】
次に、第5の発明は、上述した第1から第4のいずれかの発明において、スライド方向検知手段と、軸回動位置検知手段と、押込み動作検知手段と、出力手段と、を有する。スライド方向検知手段は、操作部がスライド移動操作された径方向を検知する。軸回動位置検知手段は、操作部が軸回動操作された軸回動操作位置を検知する。押込み動作検知手段は、操作部が押込み操作された押込み動作を検知する。出力手段は、スライド方向検知手段、軸回動位置検知手段及び押込み動作検知手段により検知された検知情報に基づいて、車室内に配備された車載モニター又は音声スピーカに操作部による電動機能の作動操作状態を画像又は音声として出力させる。これにより、車両用シートへの着座者が車載モニター又は音声スピーカに出力される画像又は音声によって、操作部による電動機能の作動操作状態を視覚又は聴覚により認識できるようになっている。
この第5の発明によれば、スライド方向検知手段、軸回動位置検知手段或いは押込み動作検知手段によって操作部の各操作が検知されると、係る検知情報に基づいて、電動機能の作動操作状態が車載モニター又は音声スピーカに画像又は音声として出力される。これにより、車両用シートへの着座者が電動機能の作動操作状態を視覚又は聴覚により認識することが可能となる。
【0010】
次に、第6の発明は、上述した第5の発明において、操作部による電動機能の作動操作状態は、操作部の操作が行われた際に出力手段によって車載モニター又は音声スピーカに割込画像又は割込音声として出力されるようになっている。
この第6の発明によれば、車載モニター又は音声スピーカに出力される電動機能の作動操作状態に関する画像又は音声は、操作部の操作が行われた際に割込画像又は割込音声として出力される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、操作部の軸回動操作によって車両用シートに配備された複数の電動機能の中から操作対象を選択し、そして、そのまま操作部を径方向にスライド移動させることにより、その選択された電動機能の作動操作を行うことができる。したがって、車両用シートに配備される電動機能の数を増やしても、操作部の軸回動操作により選択される操作対象の設定数を増やすことでこれに対応することができるため、電動操作装置の設置スペースを広げることなくこれらの作動操作を行えるようにすることができる。そして、操作部の押込み操作を行うことによって、その軸回動操作によって選択される電動機能を第1の電動機能と第2の電動機能との間で切替えることができるため、係る設置スペースを広げることなく操作部の軸回動操作により選択される操作対象の設定数を大幅に増やすことができる。また、操作部は、その押込み操作前の位置と押込み操作力の解除後の位置とが同じ位置にくるように構成されているため、操作部の押込み操作を常に同じ感覚で行うことができる。
更に、第2の発明によれば、操作部を押込み操作した後に係る操作を一定時間放置することにより、軸回動操作によって選択される電動機能が第1の電動機能となる初期状態に戻すことができる。したがって、操作部の操作を一定時間放置した状態では、軸回動操作によって選択される電動機能が常に初期状態に戻っているものとして、そのジャンルの選択状態の確認を容易に行うことができる。
更に、第3の発明によれば、第1の電動機能と第2の電動機能との切替えが操作部の押込み操作によって行われるため、操作部が車両用シートとドアトリム等の側壁部材との間の狭い隙間に配設されていても係る切替え操作を容易に行うことができる。
更に、第4の発明によれば、操作部によって快適性向上機能に関連した電動機能のON/OFFの切替えや出力の強弱或いは作用部位の切替えを行う操作を、車両用シートの上下方向や前後方向へのスライド移動操作として割り当てることにより、係る操作感覚をイメージし易くして作動操作の判断をより簡単に行うことができる。
更に、第5の発明によれば、車両用シートへの着座者が電動機能の作動操作状態を車載モニターや音声スピーカによって視覚や聴覚によって認識できるようにしたことにより、各電動機能の選択や作動操作の判断をより簡単に行うことができる。
更に、第6の発明によれば、電動機能の作動操作状態を操作部の操作時に車載モニターや音声スピーカに割込画像や割込音声として出力させるようにしたことにより、通常時は車載モニターや音声スピーカに地図情報等の主画像や音楽等の主音声を出力させて使用することができる。そして、操作部の操作時には、これらに電動機能の作動操作状態に関する画像又は音声を割り込ませるかたちで出力させて使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
始めに、実施例1の車両用シートの電動操作装置について、図1〜図14を用いて説明する。
ここで、図1には、車両用シート1を車両窓側の後方側から見た斜視図が表されている。同図に示されるように、車両用シート1は、背凭れ部となるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト4と、を有する。そして、車両用シート1の横幅方向の両側面部には、シートバック2とシートクッション3との連結構造部分を被覆するシールド5が取付けられている。そして、このシールド5の取り付けられた車両窓側(紙面内右側:アウター側)の側面部位置には、外観視円筒形状の操作部10を備えた電動操作装置6が配設されている。この操作部10を備えた電動操作装置6は、シートクッション3の前後方向の中央部の辺りに配設されており、操作部10の円筒形状をシールド5の外側(窓側)に突出させた状態で配設されている。この操作部10の配設位置は、車両用シート1への着座者が着座した姿勢状態で操作を行える位置となっている。詳しくは、操作部10は、車両用シート1とそのアウター側となる車体100のドア110側(窓側)に位置するドアトリム111(側壁部材)との間の狭い隙間に配設されている。したがって、操作部10の操作は、この狭い隙間に手を入れて行われるようになっている。
【0014】
この車両用シート1には、上述した電動操作装置6の操作部10によって作動操作を行うことのできる電動機能が複数配備されている。具体的には、図2に示されるように、シートバック2の背凭れ角度やシートクッション3の前後スライド位置などの調整を電動で行えるようにする位置調整機能が電動機能として配備されている。また、図3に示されるように、マッサージ用のバイブレータKやベンチレータMやシートヒータJ等の着座時の快適性を向上させることのできる快適性向上機能も電動機能として配備されている。ここで、図2に示した位置調整機能に係る電動機能が本発明の第1の電動機能に相当し、図3に示した快適性向上機能に係る電動機能が本発明の第2の電動機能に相当する。
【0015】
ここで、車両用シート1に配備されている電動機能を、図2や図3を参照しながら順に説明していく。
先ず、図2を参照し、前述した位置調整機能のうち、シートバック2に関連して配備された電動機能について説明する。すなわち、シートバック2には、その上部に取付けられたヘッドレスト4を昇降移動させることのできるヘッドレスト昇降装置Aが内部に配設されている。そして、シートバック2には、乗員の背中の上体部分を支持する上側部分2Aを下側部分2Bに対して前折れ移動させることにより、上体の背凭れ姿勢を起こし上げることのできるシートバック中折れ装置Bが内部に配設されている。更に、シートバック2には、その横幅方向の両側脇部分2C,2Cを前方に向けて内側に寄せるかたちで変形移動させることにより、乗員の体を両脇側から支持できるようにするサイドサポート装置Cが内部に配設されている。更に、シートバック2には、乗員の腰部の支持強度を高めるべく内部に配設された受板部Daの高さ位置や前後位置を移動させることにより、乗員の体格に合わせた腰部のサポートを可能とするランバーサポート装置Dが配設されている。更に、シートバック2には、シートクッション3に対する起立角度を変動させることにより、背凭れ角度の調整を行うリクライニング装置Eが配設されている。
次に、位置調整機能のうち、シートクッション3に関連して配備された電動機能について説明する。すなわち、シートクッション3には、その前側部分3Aを後側部分3Bに対して前後方向や上下方向に移動させることにより、乗員の体格に合わせてシートクッション3の前後長さを調整したり前側部分3Aの座面の高低を調整したりすることのできるクッション前部可動装置Fが内部に配設されている。更に、シートクッション3の下部には、車両フロア面に対するシートクッション3(車両用シート1全体)の高さ位置を変動させることのできるリフター装置Gが配設されている。このリフター装置Gは、車両フロア上に設置された移動台Gcとシートクッション3とを連結するリンク機構部GaがアクチュエータGbの作動によって起倒回動操作されるようになっている。更に、シートクッション3の下部には、シートクッション3(車両用シート1全体)を車両フロア面に対して車両前後方向にスライド移動させることのできるスライド装置Hが配備されている。このスライド装置Hは、上述した移動台Gcの下面側に設置されたアッパレールHaが車両フロア面上に設置されたロアレールHbに対して車両前後方向にスライド移動可能に嵌め込まれた構成となっており、アクチュエータHcの作動によってアッパレールHaが前後にスライド移動操作されるようになっている。
【0016】
次に、図3を参照し、快適性向上機能に関連して配備された電動機能について説明する。
すなわち、車両用シート1には、着座者の背部や腰部や大腿部等の接触面を暖めることのできるシートヒータJが内部に配設されている。このシートヒータJは、シートバック2の上側部分2Aや下側部分2B、それからシートクッション3の前側部分3Aや後側部分3Bに分かれて配設されており、図14において後述するように、その暖めの機能をさせる部位を使用目的に合わせて切替えられるようになっている。
そして、図3に戻って、車両用シート1には、シートクッション3への着座部位を振動させることによって、着座者に振動によるマッサージ効果を与えることのできるバイブレータKが内部に配設されている。
更に、車両用シート1には、シートバック2の背凭れ角度やシートクッション3の前後方向のスライド位置等の姿勢状態を予め登録された姿勢状態に切替えられるようにするシートメモリLが内部に配設されている。このシートメモリLは、予め登録された複数(例えば3つ)の登録内容の中から1つを選択することにより、車両用シート1の姿勢状態をその登録した姿勢状態に切替えることができる。なお、シートメモリLには、上述した位置調整機能に関連した電動機能に関するものばかりでなく、快適性向上機能に関連した電動機能のON/OFF状態やそれらの出力の強弱の状態なども登録できるようになっている。
更に、車両用シート1には、車内の空気を換気する通風器としてのベンチレータMが配設されている。更に、車両用シート1には、電動機能の操作対象を運転席側の車両用シート1と助手席側のシート(図示省略)との間で切替えるD・P切替えNが配設されている。
【0017】
これらの電動機能は、上述した円筒形状の操作部10を軸回動操作して回動位置を合わせることによって、操作対象となる電動機能が選択されるようになっている。そして、各電動機能は、操作対象となる電動機能が選択された状態で、操作部10を径方向にスライド移動させる操作を行うことにより、それらの作動操作が行われるようになっている。
また、各電動機能は、操作部10を軸回動操作の中心軸線方向に押込む操作を行うことにより、その軸回動操作によって選択される電動機能が、図2で示した位置調整機能に係る電動機能と、図3で示した快適性向上機能に係る電動機能と、の間でジャンルが切替えられるようになっている。詳しくは、操作部10の押込み操作を行う前の初期状態では、図11に示されるように、操作部10の軸回動操作によって選択される電動機能が、位置調整機能に係る電動機能(図2参照)の中から選択されるように設定されている。そして、操作部10の押込み操作を行うことにより、図13に示されるように、操作部10の軸回動操作によって選択される電動機能が、快適性向上機能に係る電動機能(図3参照)の中から選択されるように設定されている。なお、電動操作装置6は、操作部10の押込み操作をした後にその軸回動操作や径方向へのスライド移動操作を行わずに一定時間放置しておくと、始めの位置調整機能に係る電動機能が選択された状態(初期状態)に切替えられるようになっている。したがって、操作部10の押込み操作を行っても、その操作を行わずに一定時間放置することにより、常にその軸回動操作によって選択される電動機能が位置調整機能に係る電動機能の中から選択される状態になっているものとして、そのジャンルの選択状態を確認することができる。
以下、電動操作装置6の構成について具体的に説明する。
ここで、図4には電動操作装置6の内部構造が表されており、図5には電動操作装置6の分解斜視図が表されている。この電動操作装置6は、図5に示されるように、操作部10と、回転部材20と、スライド部材30と、外周リング40と、内周リング50と、基盤60とを有して構成されている。
なお、電動操作装置6の基本構造や基本原理は、特開2005−317377号公報等の文献に開示された公知のものであるため、以下では、本発明の特徴部分となる構成について詳しく説明する。
【0018】
先ず、操作部10について説明する。
すなわち、操作部10は、外観視円筒形状に形成されている。この操作部10は、回転部材20に嵌め込まれることによって車両用シート1に組み付けられており、軸回動操作や径方向へのスライド移動操作、更には軸回動操作の中心軸線方向に押込む押込み操作も可能な状態として構成されている。
詳しくは、図4に示されるように、操作部10は、その円筒の内底面側に形成された断面半月形状の嵌合溝10Aの内部に回転部材20の先端に形成された断面半月形状の嵌合部21(図5参照)が嵌め込まれることにより、回転部材20と一体的に連結されている。この操作軸10は、その円筒形状を成す周縁部位11がシールド5の外側面5aから浮いた状態で取り付けられている。これにより、操作軸10は、その軸回動操作時や径方向へのスライド移動操作時に、シールド5との間に摺動摩擦が起こらないようになっている。
【0019】
次に、回転部材20について説明する。
すなわち、回転部材20は、図5に示されるように、円柱形状の嵌合部21と、この嵌合部21の根元側に一体的に形成された円板形状の座板部22と、を有する。
詳しくは、嵌合部21は、その円柱形状の先端側の部位が部分的に半月形状に肉抜きされた形状となっており、この半月形状の部位が操作部10の嵌合溝10A(図4参照)に一体的に嵌め込まれるようになっている。したがって、回転部材20は、操作部10に嵌め込まれた状態では、操作部10と一体的となって軸回動操作されたり、径方向にスライド移動操作されたりするようになっている。
また、座板部22の図示上面側として表されている座面22Aには、電導体よりなる薄い曲板状の摺動子22Bが一体的に配設されている。この摺動子22Bは、その一部が座面22Aに固着されており、紙面上方に反り上がった形状状態に保持されている。この曲板状の摺動子22Bは、その上方に反り上がった先端側の部位が二股状に分かれた形状となっており、これらが座面22Aに向けて弾性的に撓み変形可能な構成となっている。この摺動子22Bは、図6に示されるように、嵌合部21の円周方向の1箇所にのみ配設されている。
また、座板部22の周縁側部位には、座面22Aから突出した環状の突縁22Cが形成されている。この突縁22Cは、図4に示されるように、回転部材20が後述するスライド部材30に組み付けられた状態では、段差部32の内側面32Aと当接する部位として構成されている。
この回転部材20は、電動操作装置6の組付け状態では、後述する内周リング50の底板部51に設けられた複数の圧縮ばねU・・によって、内周リング50に対して弾性支持されている。これにより、回転部材20は、突縁22Cをスライド部材30の段差部32の内側面32Aに当接させた状態として、摺動子22Bをこの内側面32Aに弾性的に圧接させた状態として保持される。そして、これにより、操作部10は、圧縮ばねU・・の附勢に抗してこれらを圧縮変形させる方向、すなわち軸回動操作の中心軸線方向に押込み操作できるように構成されている。そして、操作部10は、上記の押込み操作の操作力を解除することにより、圧縮ばねU・・の附勢によって、押込み操作を行う前の位置、すなわち、回転部材20の突縁22Cとスライド部材30の内側面32Aとが当接する位置まで戻されるようになっている。なお、圧縮ばねU・・は、それらの一端が内周リング50の底板部51に対して係着されており、他端を回転部材20の座板部22に対して当接させた構成となっている。これにより、圧縮ばねU・・は、回転部材20の径方向へのスライド移動には追従変形しない構成とされている。
【0020】
次に、図5に戻って、スライド部材30について説明する。
すなわち、スライド部材30は、段付きの円筒形状に形成されており、胴体部31と段差部32と径の絞られた首部33とを有した構成となっている。このスライド部材30は、図示された円筒形状の胴体部31に前述した回転部材20が下側の開口部分31Cから挿し込まれることによって、その円筒内部に回転部材20が組み込まれている。詳しくは、図4に示されるように、スライド部材30は、回転部材20の円柱形状の嵌合部21を首部33の上側の開口部分33Cから突出させた状態として、段差部32の内側面32Aに回転部材20の座板部22に形成された突縁22Cを当接させた状態に組み付けられている。
ここで、スライド部材30は、回転部材20に対して緩やかに嵌合される内径寸法に形成されている。これにより、スライド部材30は、回転部材20がその円筒内部に組み付けられた状態では、回転部材20の相対的な軸回動運動は許容するが、回転部材20の径方向へのスライド移動運動に対してはこれと一体的となって径方向にスライド移動するようになっている。詳しくは、スライド部材30は、回転部材20の座板部22に形成された突縁22Cを段差部32の内側面32Aに対して摺動させるかたちで回転部材20を軸回動させられるようになっている。
ここで、図7には、図5に示されている円筒形状のスライド部材30を上側から見た内部形状が表されている。同図に示されるように、段差部32の内側面32Aには、電導体より成る面状の固定接点34A〜34Eと、同じく電導体より成る面状の共通接点35と、が面一状に一体的に配設されている。これら固定接点34A〜34Eは、内側面32Aの円周方向に沿った5箇所の位置に配置されている。また、共通接点35は、上記5箇所の位置に配置された固定接点34A〜34Eの径方向の内側を通って円周方向に輪を描く形状に形成されている。これら固定接点34A〜34Eや共通接点35は、互いが離間して配置されており、それぞれ、スライド部材30の胴体部31の内周面31Aを通って胴体部31の下縁側部位まで延びる構成となっている。
上記構成のスライド部材30は、図8に示されるように、回転部材20がその内部に組み付けられることにより、回転部材20の座面22A上に配設された摺動子22Bを段差部32の内側面32Aによって押圧しこれを弾性的に撓み変形させる。これにより、座面22A上に配設された摺動子22Bが、段差部32の内側面32Aに配設された共通接点35に対して弾性的に圧接された状態となる。そして、この状態で、回転部材20の軸回動操作を行うことにより、摺動子22Bは、上記共通接点35の形状に沿って円周方向に摺動し、共通接点35と常に圧接状態を維持したまま各固定接点34A〜34Eのいずれかに対して円周方向に位置合わせされる。ここで、図8には、摺動子22Bが固定接点34Bに位置合わせされてこれに圧接した状態が一例として表されている。これにより、固定接点34B及び共通接点35と摺動子22Bとが互いに通電可能な圧接状態となる。なお、回転部材20は、摺動子22Bと固定接点34A〜34Eのいずれかとが位置合わせされる各回動位置で、その回動操作力に対して一定の節度感が付与されるようになっている。これにより、回転部材20を上記した各回動位置に位置合わせする回動操作が簡単に行えるようになっている。
【0021】
次に、図5に戻って、外周リング40について説明する。
すなわち、外周リング40は、天板部41を有した円筒形状に形成されている。この外周リング40は、図示された円筒部42に前述した回転部材20やスライド部材30が下側の開口部分42Cから挿し込まれることによって、その円筒内部に回転部材20やスライド部材30が組み込まれている。詳しくは、図4に示されるように、外周リング40は、その天板部41の内側面41Aにスライド部材30の段差部32の外側面32Bを面当接させた状態として、スライド部材30の首部33を天板部41に形成された貫通孔41Cの孔内に位置させた状態に組み付けられている。
この外周リング40は、天板部41に形成された貫通孔41Cをシールド5に形成された貫通孔5cに合致させた状態に組み付けられている。また、外周リング40は、図5に示されるように、図示された円筒部42の下縁側部位に突出形成された2個の係合爪42D,42Dを後述する基盤60に貫通形成された係合孔61,61にそれぞれ嵌め込むことにより、各係合爪42D,42Dの係着によって基盤60に取り付けられるようになっている。この外周リング40は、図4に示されるように、前述した回転部材20やスライド部材30、後述する内周リング50をその円筒内部に組み込んだ状態で基盤60に対して取り付けられている。
ここで、外周リング40の円筒部42は、スライド部材30の胴体部31の円筒形状よりも大きな内径寸法を有して形成されている。また、天板部41に形成された貫通孔41Cも、その孔内に配置されたスライド部材30の首部33よりも大きな孔径を有して形成されている。これにより、外周リング40の円筒内部に組み込まれたスライド部材30が、円筒部42の内部で径方向にスライド移動させられるようになっている。詳しくは、スライド部材30は、その段差部32の外側面32Bを外周リング40の天板部41の内側面41Aに対して摺動させるかたちで径方向にスライド移動する。
【0022】
次に、図5に戻って、内周リング50について説明する。
すなわち、内周リング50は、底板部51を有した円筒形状に形成されている。この内周リング50は、その円筒部52の外径が外周リング40の円筒部42の内径よりも若干小さく形成されている。この内周リング50は、図示された外周リング40の円筒部42に下側の開口部分42Cから挿し込まれることによって、その円筒内部に組み込まれている。これにより、図4に示されるように、内周リング50は、底板部51と外周リング40の天板部41との間に前述したスライド部材30や回転部材20を挟み込んだ状態として組み付けられている。この内周リング50が組み付けられた状態では、スライド部材30は、図示された胴体部31の上下側の面を天板部41と底板部51とにそれぞれ面当接させた状態となっており、その径方向へのスライド移動時には、両当接面を摺動させるかたちでスライド移動するようになっている。ここで、内周リング50の円筒部52は、スライド部材30の胴体部31の円筒形状よりも大きな内径寸法を有して形成されている。したがって、内周リング50が外周リング40に組み付けられた状態においても、その円筒部52の内部でスライド部材30を径方向にスライド移動させられるようになっている。
ここで、内周リング50の円筒部52とスライド部材30の胴体部31との間には、4個の圧縮ばねR・・が設けられている。これら圧縮ばねR・・は、胴体部31を円筒部52の中心位置に向けて附勢するべく円周方向の4箇所の位置に均等配置されている。これにより、スライド部材30は、各圧縮ばねR・・の附勢に抗していずれかの径方向にスライドさせても、そのスライド移動操作をやめることによって、各圧縮ばねR・・の附勢によって円筒部52の中心位置に戻されるようになっている。
また、図4に示されるように、上記円筒部52と胴体部31との間には、4個のスライド検知スイッチT・・が設けられている。これらスライド検知スイッチT・・は、円筒部52に埋め込まれるかたちで設けられており、それらの先端部分を内周面52Aの径方向の内方に突出させるかたちで、円周方向の4箇所の位置に均等配置されている。ここで、4個のスライド検知スイッチT・・は、車両用シート1(図1参照)の前後方向を向く2箇所の位置と、上下方向を向く2箇所の位置とに配置されている。したがって、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前方、後方、上方或いは下方のいずれかの径方向にスライド移動させることにより、図9に示されるように、スライド部材30の胴体部31の外周面31Bを各スライド検知スイッチT・・のいずれか1つに押し当てることができる。
また、図8に示されるように、底板部51の内側面51Aには、電導体より成る定置接点53A〜53Eが面一状に一体的に配設されている。これら定置接点53A〜53Eは、底板部51に埋設されており、前述した固定接点34A〜34Eが配設された円周方向の5箇所の位置に配置されている。これら定置接点53A〜53Eは、底板部51の内側面51A上を摺動するスライド部材30の胴体部31の下縁側部位まで延びている各固定接点34A〜34Eと常に通電可能に当接するようになっている。詳しくは、各定置接点53A〜53Eは、スライド部材30が底板部51の内側面51A上を前後上下の各径方向にスライド移動しても常に各固定接点34A〜34Eと当接できるよう、当接面が面方向に広がって形成されている。なお、固定接点34A〜34Eと同じようにスライド部材30の胴体部31の下縁側部位まで延びている共通接点35の端部と当接する位置にも、各定置接点53A〜53Eと同じように定置接点(図示省略)が配設されている。
また、図4に示されるように、内周リング50の底板部51には、その内側面51Aから回転部材20の座板部22に向けて突出するかたちでプッシュスイッチSが設けられている。このプッシュスイッチSは、図10に示されるように、操作部10を圧縮ばねU・・の附勢に抗して中心軸線方向に押込む操作を行うことによって、回転部材20の座板部22に押し当てられる配置構成とされている。
【0023】
次に、図5に戻って、基盤60について説明する。
すなわち、基盤60は、板状に形成されており、その板厚方向に貫通形成された係合孔61,61に前述した外周リング40の係合爪42D,42Dが嵌め込まれることにより、外周リング40に組み付けられている。ここで、図4に示されるように、基盤60には、図示しない回線によって内周リング50の円筒部52に埋設された各スライド検知スイッチT・・やプッシュスイッチS、それから段差部32に埋設された各固定接点34A〜34E(図8参照)や共通接点35に対してそれぞれ電気的に接続される端子63が組み込まれている。この端子63は、各スライド検知スイッチT・・(図9参照)のいずれかが押下される操作部10の径方向へのスライド移動操作情報やプッシュスイッチS(図10参照)が押下される操作部10の押込み操作情報、それから回転部材20に配設された摺動子22Bが共通接点35と各固定接点34A〜34Eのいずれかとに通電可能に面接触する操作部10の軸回動操作位置情報を、図示しない制御部に情報伝達するようになっている。
【0024】
上記構成の電動操作装置6は、操作部10を軸回動させる操作や径方向にスライド移動させる操作によって、操作対象となる電動機能を切替えたり作動操作したりすることができる。また、操作部10を押込む操作を行うことにより、操作部10の軸回動操作によって選択される電動機能を、図11に示されている位置調整機能に関連した電動機能から、図13に示されている快適性向上機能に関連した電動機能に切替えることができる。
ここで、図11には、操作部10の軸回動操作による電動機能のモード切替構造が模式的に表されている。また、図12には、操作部10の径方向へのスライド移動操作による各電動機能の作動制御構造が模式的に表されている。これらの図に示されている5つのポジションP1〜P5は、操作部10をその回動位置に合わせることにより、図8において前述した摺動子22Bと各固定接点34A〜34Eとが通電可能に面接触する回動位置となっている。
ここで、各ポジションP1〜P5の配置設定について説明すると、ポジションP1は、操作部10の指標部位12がシートバック2のある方向、すなわち車両用シート1(図1参照)の上方かつ若干後方を向く回動位置に設定されている。また、ポジションP2は、後述するポジションP3との間のほぼ中間の回動位置に設定されている。また、ポジションP3は、操作部10の指標部位12がシートクッション3のある方向、すなわち車両用シート1(図1参照)の前方を向く回動位置に設定されている。また、ポジションP4は、操作部10の指標部位12が前述したシートバック2の方を向くポジションP1よりも更に車両用シート1(図1参照)の後方側に向けられた回動位置に設定されている。また、ポジションP5は、操作部10の指標部位12が前述したシートクッション3の方を向くポジションP3よりも更に車両用シート1(図1参照)の下方側に向けられた回動位置に設定されている。
【0025】
先ず、図11に示されるように、操作部10の押込み操作が行われる前の初期状態で、操作部10の指標部位12がシートバック2の方を向くポジションP1の回動位置に合わされた状態では、その軸回動操作位置情報に基づいて、位置調整機能に関連した電動機能であるリクライニング装置Eとヘッドレスト昇降装置Aとが操作対象として選択された状態となる。
そして、この状態で、図12に示されるように、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前方側、すなわち紙面右方側に向けて径方向にスライド移動させると、リクライニング装置Eが電動操作されて、シートバック2の背凭れ角度が操作部10の操作方向と同じ前倒し方向に変動する。すなわち、上記のスライド移動操作を行うと、その移動先にあるスライド検知スイッチT(図9参照)が押下され、係るスライド移動操作情報に基づいてリクライニング装置Eが電動操作される。そして、操作部10のスライド移動操作をやめると、操作部10が操作前の中心位置に戻されて、リクライニング装置Eの作動が停止する。また、操作部10を車両用シート1(図1参照)の後方側、すなわち図12の紙面左方側に向けて径方向にスライド移動させると、係るスライド移動操作情報に基づいて、シートバック2の背凭れ角度が操作部10の操作方向と同じ後倒し方向に変動する。
また、操作部10を車両用シート1(図1参照)の上方側、すなわち図12の紙面上方側に向けて径方向にスライド移動させると、係るスライド移動操作情報に基づいてヘッドレスト昇降装置Aが電動操作され、ヘッドレスト4の高さ位置が操作部10の操作方向と同じ上方向に押し上げられる。そして、操作部10のスライド移動操作をやめると、操作部10が操作前の中心位置に戻されて、ヘッドレスト昇降装置Aの作動が停止する。また、操作部10を車両用シート1(図1参照)の下方側、すなわち図12の紙面下方側に向けて径方向にスライド移動させると、係るスライド移動操作情報に基づいて、ヘッドレスト4の高さ位置が操作部10の操作方向と同じ下方向に引き下げられる。
【0026】
また、図11に戻って、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がポジションP2の回動位置に合わされると、その軸回動操作位置情報に基づいて、ランバーサポート装置Dが操作対象として選択された状態となる。
そして、この状態で、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前後側や上下側に向けて径方向にスライド移動させると、係るスライド移動操作情報に基づいてランバーサポート装置Dが電動操作される。これにより、乗員の腰部を支持する受板部Daの位置が操作部10の操作方向と同じ前後或いは上下方向に移動操作される。
なお、操作部10のスライド移動操作をやめることによってランバーサポート装置Dの作動が停止することは、前述した操作構造と同じである。
【0027】
また、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がシートクッション3の方を向くポジションP3の回動位置に合わされると、その軸回動操作位置情報に基づいて、スライド装置Hとリフター装置Gとが操作対象として選択された状態となる。
そして、この状態で、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前方側或いは後方側に向けて径方向にスライド移動させると、係るスライド移動操作情報に基づいてスライド装置Hが電動操作される。これにより、車両フロア面に対するシートクッション3(車両用シート1全体)の位置が操作部10の操作方向と同じ前方或いは後方へのスライド移動によって変動する。
また、操作部10を車両用シート1(図1参照)の上方側或いは下方側に向けて径方向にスライド移動させると、係るスライド移動操作情報に基づいてリフター装置Gが電動操作される。これにより、車両フロア面に対するシートクッション3(車両用シート1全体)の高さ位置が操作部10の操作方向と同じ上方或いは下方に昇降移動操作される。
なお、操作部10のスライド移動操作をやめることによってスライド装置Hやリフター装置Gの作動が停止することは、前述した操作構造と同じである。
【0028】
また、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がシートバック2よりも後方側を向いた位置にあるポジションP4の回動位置に合わされると、その軸回動操作位置情報に基づいて、シートバック中折れ装置Bとサイドサポート装置Cとが操作対象として選択された状態となる。
そして、この状態で、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前方側或いは後方側に向けて径方向にスライド移動させると、係るスライド移動操作情報に基づいてシートバック中折れ装置Bが電動操作される。これにより、シートバック2の乗員の背中の上体部分を支持する上側部分2Aが下側部分2Bに対して操作部10の操作方向と同じ前方向に移動して前折れ変動したり、前折れ移動した位置から後方向に戻される移動が行われたりする。
また、操作部10を車両用シート1(図1参照)の上方側或いは下方側に向けて径方向にスライド移動させると、係るスライド移動操作情報に基づいてサイドサポート装置Cが電動操作される。これにより、シートバック2の横幅方向の両側脇部分2C,2Cが前方に向けて内側に寄せるかたちで変形移動したり、前方に変形移動した位置から後方向に戻される移動が行われたりする。
なお、操作部10のスライド移動操作をやめることによってシートバック中折れ装置Bやサイドサポート装置Cの作動が停止することは、前述した操作構造と同じである。
【0029】
また、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がポジションP5の回動位置に合わされると、その軸回動操作位置情報に基づいて、クッション前部可動装置Fが操作対象として選択された状態となる。
そして、この状態で、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前後側や上下側に向けて径方向にスライド移動させると、係るスライド移動操作情報に基づいてクッション前部可動装置Fが電動操作される。これにより、シートクッション3の前側部分3Aが後側部分3Bに対して操作部10の操作方向と同じ前後方向や上下方向に移動操作される。
なお、操作部10のスライド移動操作をやめることによってクッション前部可動装置Fの作動が停止することは、前述した操作構造と同じである。
【0030】
次に、操作部10の押込み操作を行うと、図13に示されるように、操作部10の軸回動操作によって選択される電動機能が、同図に示されている快適性向上機能に関連した電動機能に切替えられる。
そして、この操作部10の押込み操作後に、操作部10の指標部位12がシートバック2の方を向くポジションP1の回動位置に合わされた状態では、その軸回動操作位置情報に基づいて、快適性向上機能に関連した電動機能であるシートヒータJが操作対象として選択された状態となる。
ここで、図14には、操作部10の操作によってシートヒーターJの作用部位が切替えられる様子が模式的に表されている。同図に示されるように、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前方側或いは後方側にスライド移動操作することにより、シートヒーターJの作用部位を、図示された4段階の設定モードの中から順次選択することができる。本実施例では、シートクッション3の前側部分3Aのみを暖めるモードと、シートクッション3の全体(前側部分3Aと後側部分3B)を暖めるモードと、シートクッション3の全体とシートバック2の下側部分2Bを暖めるモードと、シートクッション3及びシートバック2の全体(下側部分2Bと上側部分2A)を暖めるモードと、の4つのモードの中から選択できるようになっている。この設定モード数は、シートヒーターJを作用させる部位のアレンジによって増やしたり減らしたりする変更が可能である。
そして、上述したシートヒーターJの設定モードを選択したら、操作部10を車両用シート1(図1参照)の上方側にスライド移動操作する。これにより、シートヒーターJがON状態に切替えられ、上記設定モードに即した部位が暖められる。なお、シートヒーターJがON状態のときには、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前方側或いは後方側にスライド移動操作することにより、シートヒーターJを作動させた状態でその作用部位を切替えることができる。
そして、操作部10を車両用シート1(図1参照)の下方側にスライド移動操作することにより、シートヒーターJがOFF状態に切替えられる。
【0031】
また、図13に戻って、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がポジションP2の回動位置に合わされると、その軸回動操作位置情報に基づいて、バイブレータKが操作対象として選択された状態となる。
この状態では、操作部10を車両用シート1(図1参照)の上方側にスライド移動操作することにより、バイブレータKがON状態に切替えられる。そして、操作部10を下方側にスライド移動操作することにより、バイブレータKがOFF状態に切替えられる。また、バイブレータKのON状態で、操作部10を前後側にスライド移動操作することにより、前述したシートヒータJの設定モードを切替えるのと同じようにして、バイブレータKの強弱を段階的に調整することができる。
【0032】
また、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がポジションP3の回動位置に合わされると、その軸回動操作位置情報に基づいて、シートメモリLが操作対象として選択された状態となる。
この状態では、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前後側にスライド移動操作することにより、前述したシートヒータJの設定モードを切替えるのと同じようにして、予め登録された姿勢状態の中から所望の姿勢状態を選択することができる。そして、操作部10を上方側にスライド移動操作することにより、車両用シート1が選択された姿勢状態に切替えられる。そして、操作部10を下方側にスライド移動操作することにより、車両用シート1の姿勢状態が元の状態に戻される。
【0033】
また、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がポジションP4の回動位置に合わされると、その軸回動操作位置情報に基づいて、ベンチレータMが操作対象として選択された状態となる。
この状態では、操作部10を車両用シート1(図1参照)の上方側にスライド移動操作することにより、ベンチレータMがON状態に切替えられる。そして、操作部10を下方側にスライド移動操作することにより、ベンチレータMがOFF状態に切替えられる。また、ベンチレータMのON状態で、操作部10を前後側にスライド移動操作することにより、前述したシートヒータJの設定モードを切替えるのと同じようにして、ベンチレータMの強弱を段階的に調整することができる。
【0034】
また、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がポジションP5の回動位置に合わされると、その軸回動操作位置情報に基づいて、D・P切替えNが操作対象として選択された状態となる。
この状態では、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前後側にスライド移動操作することにより、前述したシートヒータJの設定モードを切替えるのと同じようにして、各電動機能の操作対象を、運転席側の車両用シート1か或いは助手席側のシート(図示省略)かに選択することができる。そして、操作部10を上方側にスライド移動操作することにより、電動機能の操作対象を、上記選択された運転席側の車両用シート1或いは助手席側のシートに変更することができる。
【0035】
なお、この電動操作装置6は、操作部10の押込み操作を行った後に、軸回動操作や径方向へのスライド移動操作等の操作を行うことなく一定時間(例えば10〜20秒)放置することにより、ジャンルの選択状態が位置調整機能に関連した電動機能に戻されるようになっている。このジャンルの選択状態を一定時間後に戻す制御は、例えば前述した各操作情報の伝達を受ける制御部(図示省略)にタイマー制御を設定することによって行うことができる。
【0036】
続いて、本実施例の使用方法を説明する。
すなわち、図1に示されるように、電動操作装置6の操作部10は、車両用シート1への着座者が着座した姿勢状態で操作を行える位置に配設されている。
そこで、先ず、車両用シート1に配備された何らかの電動機能を作動させる場合には、操作部10の軸回動操作を行うことによって、作動させたい電動機能を選択する。例えば、図11に示されるように、電動機能のジャンルの選択状態が位置調整機能に関連した電動機能となっている初期状態では、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がポジションP1の回動位置に合わされることによって、リクライニング装置Eとヘッドレスト昇降装置Aとが操作対象として選択された状態となる。
したがって、次に、操作対象として選択された電動機能を作動操作させるために、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前後方向や上下方向となる径方向にスライド移動させる。これにより、選択された各電動機能は、操作部10がスライド移動操作されたスライド移動操作情報に基づいて作動操作される。例えば、図11に示されるように、リクライニング装置Eとヘッドレスト昇降装置Aとが操作対象として選択された状態で操作部10のスライド移動操作を行うことにより、ヘッドレスト4の高さ位置或いはシートバック2の背凭れ角度位置が操作部10が操作された方向と同じ方向に移動操作されて位置調整を行うことができる。
また、操作部10の押込み操作を行うことにより、図13に示されるように、電動機能のジャンルの選択状態が快適性向上機能に関連した電動機能に切替えられる。そして、操作部10の軸回動操作によって指標部位12がポジションP1の回動位置に合わされることにより、シートヒータJが操作対象として選択された状態となる。
したがって、次に、操作対象として選択された電動機能を作動操作させるために、操作部10を車両用シート1(図1参照)の前後方向にスライド移動させる。これにより、シートヒーターJの作用部位を図14に示された4段階の設定モードの中から順次選択することができる。そして、操作部10を上方側にスライド移動操作することにより、上記設定モードに即した部位を暖めることができる。
【0037】
このように、本実施例の車両用シートの電動操作装置によれば、操作部10の軸回動操作によって車両用シート1に配備された複数の電動機能の中から操作対象を選択し、そして、そのまま操作部10を径方向にスライド移動させることにより、その選択された電動機能の作動操作を行うことができる。したがって、車両用シート1に配備される電動機能の数を増やしても、操作部10の軸回動操作により選択される操作対象の設定数を増やすことでこれに対応することができるため、電動操作装置6の設置スペースを広げることなくこれらの作動操作を行えるようにすることができる。また、操作部10を把持した手を持ち替えることなく、電動機能の操作対象を選択してそれを作動操作させるという一連の操作を行うことができる。したがって、一旦操作部10を把持すれば、他の操作スイッチを手探りで探し当てることなく全ての一連の操作を行うことができるため、係る操作を非常に簡便に行うことができる。
更に、操作部10をスライド移動させた方向にシートバック2やヘッドレスト4等のシート構成部材を移動操作することができるため、シート構成部材をイメージに即した方向に簡単に移動操作することができる。
また、操作部10は、各ポジションP1〜P5に合わされる回動位置でその回動操作力に対して一定の節度感が付与されるようになっている。したがって、例えば、操作部10を目一杯一方側の回動方向に軸回動させて、そこから段階的に戻し方向に軸回動操作することにより、各ポジションP1〜P5で付与される節度感によって操作部10を狙いとする回動位置に簡単に合わせることができる。
そして、操作部10の押込み操作を行うことにより、その軸回動操作によって選択される電動機能を第1の電動機能である位置調整機能に関連した電動機能(図11参照)と第2の電動機能である快適性向上機能(図13参照)との間で切替えることができるため、係る設置スペースを広げることなく操作部10の軸回動操作により選択される操作対象の設定数を大幅に増やすことができる。また、操作部10は、その押込み操作前の位置と押込み操作力の解除後の位置とが同じ位置にくるように構成されているため、操作部10の押込み操作を常に同じ感覚で行うことができる。
更に、操作部10を押込み操作した後にその操作を一定時間放置することにより、軸回動操作によって選択される電動機能が第1の電動機能となる初期状態に戻すことができる。したがって、操作部10の操作を一定時間放置した状態では、軸回動操作によって選択される電動機能が常に初期状態に戻っているものとして、そのジャンルの選択状態の確認を容易に行うことができる。
更に、第1の電動機能と第2の電動機能との切替えが操作部10の押込み操作によって行われるため、操作部10が車両用シート1とドアトリム111(側壁部材)との間の狭い隙間に配設されていても係る切替え操作を容易に行うことができる。
更に、操作部10によって快適性向上機能に関連した電動機能のON/OFFの切替えや出力の強弱或いは作用部位の切替えを行う操作を、車両用シート1の上下方向や前後方向へのスライド移動操作として割り当てることにより、係る操作感覚をイメージし易くして作動操作の判断をより簡単に行うことができる。
【実施例2】
【0038】
続いて、実施例2の車両用シートの電動操作装置について、図15〜図17を用いて説明する。なお、以下の説明では、実施例1で説明した電動操作装置6と実質的に同じ構成及び作用を奏する箇所については説明を省略し、相違する箇所について異なる符合を付して詳しく説明をする。
すなわち、図15に示されるように、本実施例では、操作部10による電動機能の作動操作状態が、車室内に配備された車載モニター120や音声スピーカ112に画像や音声によって出力されるようになっている。
ここで、車載モニター120は、運転席側の車両用シート1の前方位置に配設されており、常時は地図情報を主画像として映し出すカーナビゲーションシステムの映像出力モニターとして構成されている。また、音声スピーカ112は、ドア110に取付けられており、カーナビゲーションシステムに連動させるなどして常時は音楽等の音声を主音声として出力する構成となっている。これら車載モニター120や音声スピーカ112は、図16の機能ブロック図に示されるように、ナビゲーション情報やテレビ放送などの操作表示機能を有するEMV(エレクトロマルチビジョンシステム)と接続されている。そして、このEMVには、ECU(電子制御装置)を介して操作部10による各種の操作情報が伝えられるようになっている。これにより、操作部10による電動機能の作動操作状態に関する画像や音声が、車載モニター120や音声スピーカ112(アンプを介して)に対して割込画像や割込音声として出力されるようになっている。なお、上記EMVやECUが本発明の出力手段に相当する。
【0039】
ここで、図17には、車載モニター120に電動機能の作動操作状態が割込画像として映し出された様子が一例として表されている。同図では、操作部10がポジションP1に合わされた状態で押込み操作が行われたときの作動操作状態が表されている。したがって、同図では、電動機能のジャンルの選択状態が、快適性向上機能に関連した電動機能に切替えられた状態となっている。
そして、操作部10がポジションP1に合わされているために、操作部10の絵柄位置の下側に、シートヒータJの作用部位を選択する4つの設定モードの絵柄が表示されている。また、この設定モードの表示位置の左側には左右方向の矢印に加えて「モード」の表示がされている。これにより、操作部10を同方向にスライド移動操作することによって設定モードの選択が行えるという操作方法を操作者が視覚によって認識できるようになっている。そして、この左右方向の矢印の表示位置の更に左側には、上下方向の矢印に加えて「ON」「OFF」の表示がされている。これにより、操作部10を同方向にスライド移動操作することによってシートヒータJのON/OFFの切替えが行えるという操作方法を操作者が視覚によって認識できるようになっている。
なお、同図には示されていないが、上記車載モニター120に表示されている各設定モードは、操作部10のスライド操作によって選択された項目(絵柄)が点灯するなどして強調表示されるようになっている。これにより、シートヒータJの現状の作動操作状態を操作者が視覚によって認識できるようになっている。
【0040】
そして、操作部10を軸回動操作によってポジションP2〜P5の回動位置にそれぞれ切替えることにより、車載モニター120に表示されている操作部10の絵柄も変化して、表示されている各ポジションP2〜P5の回動位置に対応して合わされた状態となる。そして、これに対応して、操作部10の絵柄位置の下側に表される絵柄も、バイブレータKやベンチレータMの出力の強弱を切替える「弱」「中」「強」の表示に変わったり、シートメモリLの登録項目である「1」「2」「3」の表示に変わったり、D・P切替えNの切替え対象である「D:運転席」「P:助手席」の表示に変わったりする。このように、各電動機能の作動操作状態や操作方法を、操作者が視覚によって認識できるようになっている。
なお、特に図には示していないが、上述した各電動機能の作動操作状態や操作方法を音声スピーカ112から音声によって出力するようにしてもよい。例えば、実施例1で示したスライド装置の作動操作が行われている作動中に、「シートスライド作動中!!」といった音声を出力することにより、スライド装置Hの作動操作状態を聴覚によって認識することができる。また、車両用シート1が移動中である旨の注意を他の乗員に喚起することもできる。
【0041】
ここで、図15に戻って、本実施例では、操作部10の形状が実施例1で示したような外観視円筒形状のものではなく、径方向に長細く延びる形状に形成されている。この操作部10は、その長細く延びる部分が操作者によって把持される把持部位10Bとして構成されており、その軸回動の中心位置に押ボタン10Cが設けられている。したがって、この操作部10は、把持部位10Bを把持する触感によって長細形状が向いている方向を捉えることができ、触感による方向感覚によって電動機能のモード選択を容易に行うことができる。
【0042】
このように、本実施例の車両用シートの電動操作装置によれば、車両用シート1への着座者が電動機能の作動操作状態を車載モニター120や音声スピーカ112によって視覚や聴覚によって認識できるようにしたことにより、各電動機能の選択や作動操作の判断をより簡単に行うことができる。
更に、電動機能の作動操作状態を操作部10の操作時に車載モニター120や音声スピーカ112に割込画像や割込音声として出力させるようにしたことにより、通常時は車載モニター120や音声スピーカ112に地図情報等の主画像や音楽等の主音声を出力させて使用することができる。そして、操作部10の操作時には、これらに電動機能の作動操作状態に関する画像又は音声を割り込ませるかたちで出力させて使用することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を2つの実施例によって説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。
例えば、上記各実施例では、ランバーサポート装置やサイドサポート装置について、操作部が径方向にスライド移動操作されたその操作の分だけ移動させる構成を示した。しかし、このような着座時の快適性を向上させる快適性向上機能として配備された機能に対しては、第2の電動機能として配備された快適性向上機能に関連した電動機能と同じように、操作部の径方向へのスライド移動操作によってON/OFFの切替えを行うようにしてもよい。すなわち、操作部が車両用シートの上方側にスライド移動操作されることによってサポート姿勢状態に切替えられ、下方側に操作されることによってサポート姿勢状態が解除されるというものである。なお、操作部を車両用シートの前後側にスライド移動操作することによって、その移動量の調整が行えるようになっていてもよい。
また、実施例2では、操作部の把持部位全体を長細形状に形成したものを示したが、実施例1の操作部にもこの構成を適用することができる。また、長細形状の中心部分に押ボタンを配した構成を示したが、実施例1の操作部と同じように長細形状全体が押込み操作されるようになっていてもよい。
また、操作部の軸回動操作による電動機能のモード選択が可能な切替え操作の段数が5段階に設定されたものを示したが、これは車両用シートに配備される電動機能の数に応じて段数を設定すればよい。
また、操作部が押込み操作される前の初期状態で、快適性向上機能に関連した電動機能が選択されるようになっていても良い。また、各ジャンルの選択状態において、位置調整機能に関連した電動機能と快適性向上機能に関連した電動機能の双方が入り混じった構成となっているものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1の車両用シートの電動操作装置の概観斜視図である。
【図2】車両用シートに配備された第1の電動機能の作動概要を表した斜視図である。
【図3】車両用シートに配備された第2の電動機能の作動概要を表した斜視図である。
【図4】電動操作装置の内部構造を表した図1のIV−IV線断面図である。
【図5】電動操作装置の分解斜視図である。
【図6】図5で表した回転部材を上側から見た構成図である。
【図7】図5で表したスライド部材を上側から見た構成図である。
【図8】摺動子と固定接点とが合致した状態を表した電動操作装置の断面図である。
【図9】図8の状態から操作部を紙面内右方向にスライド移動させた状態を表した構成図である。
【図10】図8の状態から操作部を押込み移動させた状態を表した構成図である。
【図11】電動機能モード切替構造を模式的に表した構成図である。
【図12】作動制御構造を模式的に表した構成図である。
【図13】電動機能ジャンル切替構造を模式的に表した構成図である。
【図14】操作部の操作によってシートヒーターの作用部位を切替える様子を模式的に表した構成図である。
【図15】実施例2の車両用シートの電動操作装置の概観斜視図である。
【図16】電動操作装置の機能ブロック図である。
【図17】車載モニターに映し出された割込画像を表した構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1 車両用シート
2 シートバック
2A 上側部分
2B 下側部分
2C 側脇部分
3 シートクッション
3A 前側部分
3B 後側部分
4 ヘッドレスト
5 シールド
5a 外側面
5b 内側面
5c 貫通孔
6 電動操作装置
A ヘッドレスト昇降装置
B シートバック中折れ装置
C サイドサポート装置
D ランバーサポート装置
Da 受板部
E リクライニング装置
F クッション前部可動装置
G リフター装置
Ga リンク機構部
Gb アクチュエータ
Gc 移動台
H スライド装置
Ha アッパレール
Hb ロアレール
Hc アクチュエータ
J シートヒータ
K バイブレータ
L シートメモリ
M ベンチレータ
N D・P切替え
10 操作部
10A 嵌合溝
10B 把持部位
10C 押ボタン
11 周縁部位
12 指標部位
20 回転部材
21 嵌合部
22 座板部
22A 座面
22B 摺動子(軸回動位置検知手段)
22C 突縁
30 スライド部材
31 胴体部
31A 内周面
31B 外周面
31C 開口部分
32 段差部
32A 内側面
32B 外側面
33 首部
33C 開口部分
34A〜34E 固定接点(軸回動位置検知手段)
35 共通接点(軸回動位置検知手段)
40 外周リング
41 天板部
41A 内側面
41B 外側面
41C 貫通孔
42 円筒部
42C 開口部分
42D 係合爪
50 内周リング
51 底板部
51A 内側面
52 円筒部
52A 内周面
53A〜53E 定置接点(軸回動位置検知手段)
60 基盤
61 係合孔
63 端子
P1〜P5 ポジション
T スライド検知スイッチ(スライド方向検知手段)
S プッシュスイッチ(押込み動作検知手段)
R 圧縮ばね
U 圧縮ばね
100 車体
110 ドア
111 ドアトリム
112 音声スピーカ
120 車載モニター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートに配備された複数の電動機能を作動操作するための車両用シートの電動操作装置であって、
前記車両用シートへの着座者が着座した姿勢状態で操作ができる車両用シートの外部位置に前記複数の電動機能を操作するための操作部が配設されており、
該操作部は軸回動操作が可能で、かつ、径方向へのスライド移動操作も可能な機構として構成されており、該操作部の軸回動操作による回動位置の切替えが前記複数の電動機能の中から操作対象となる電動機能が選択される電動機能モード切替構造となっており、該操作部の径方向へのスライド移動操作によるスライド位置の切替えが前記操作対象として選択された電動機能が作動操作される作動制御構造となっており、
更に、前記操作部はその軸回動操作の中心軸線方向での押込み操作も可能な機構として構成されており、該操作部の押込み操作による移動動作が該操作部の軸回動操作により選択される電動機能を車両用シートに配備された位置調整機能に関連した電動機能を含む第1の電動機能と該第1の電動機能以外の第2の電動機能とに切替える電動機能ジャンル切替構造となっており、
該操作部の押込み操作構造には、該操作部を押込み操作された押込位置から押込み操作される前の初期位置まで附勢によって移動させることのできるリターン手段が設けられていることを特徴とする車両用シートの電動操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートの電動操作装置であって、
前記操作部の押込み操作による電動機能ジャンル切替構造は、該操作部の押込み操作を行う前の初期状態では該操作部の軸回動操作により選択される電動機能が前記第1の電動機能となるように設定されており、該操作部の押込み操作を行うことによって前記第2の電動機能に切替えられる構成となっており、
該操作部の押込み操作によって第2の電動機能に切替えられた状態では、該操作部に対する操作が一定時間放置されることによって初期状態である第1の電動機能に切替えられた状態に戻される構成となっていることを特徴とする車両用シートの電動操作装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用シートの電動操作装置であって、
前記操作部は車両用シートの横幅方向のアウター側となる側面部位置に配設されており、該操作部は車両用シートの横幅方向のインナー側に向けて押込み操作されるように構成されていることを特徴とする車両用シートの電動操作装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両用シートの電動操作装置であって、
前記複数の電動機能の中には、車両用シートへの着座時の快適性を向上させる快適性向上機能に関連した電動機能が含まれており、
前記操作部の径方向へのスライド移動操作方向は、車両用シートの前後方向と上下方向とにスライド移動操作される向きに設定されており、
該操作部の径方向へのスライド移動操作による前記快適性向上機能に関連した電動機能の作動操作は、該操作部を車両用シートの上下方向にスライド移動させる操作によって操作対象となる快適性向上機能に関連した電動機能のON/OFFの切替えが行えるように構成されており、該操作部を車両用シートの前後方向にスライド移動させる操作によって操作対象となる快適性向上機能に関連した電動機能の出力の強弱或いは作用部位の切替えが行えるように構成されていることを特徴とする車両用シートの電動操作装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両用シートの電動操作装置であって、
前記操作部がスライド移動操作された径方向を検知するスライド方向検知手段と、
前記操作部が軸回動操作された軸回動操作位置を検知する軸回動位置検知手段と、
前記操作部が押込み操作された押込み動作を検知する押込み動作検知手段と、
前記スライド方向検知手段、軸回動位置検知手段及び押込み動作検知手段により検知された検知情報に基づいて、車室内に配備された車載モニター又は音声スピーカに前記操作部による電動機能の作動操作状態を画像又は音声として出力させる出力手段と、を有し、
前記車両用シートへの着座者が前記車載モニター又は音声スピーカに出力される画像又は音声によって操作部による電動機能の作動操作状態を視覚又は聴覚により認識できるようになっていることを特徴とする車両用シートの電動操作装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用シートの電動操作装置であって、
前記操作部による電動機能の作動操作状態は、該操作部の操作が行われた際に前記出力手段によって車載モニター又は音声スピーカに割込画像又は割込音声として出力されるようになっていることを特徴とする車両用シートの電動操作装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−132904(P2008−132904A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321584(P2006−321584)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】