説明

車両用シートリクライニング装置

【課題】装置の大型化を伴うことなく装置の耐荷重性を向上させる。
【解決手段】ベース側ケース11とアーム側ケース12とで形成される部品収容スペース15の中央スペースに配置されたカム部材16と、部品収容スペース15内の外周スペースに配置され、カム部材16と連係されたロックツース17と、部品収容スペース15の外周スペースに配置され、カム部材16をロック保持位置側に付勢するロックスプリング20とを備え、ベース側ケース11の外周面にロックスプリング20の外形寸法より大きな突出部22を設け、突出部22を突設したベース側ケース11の内側面に凹部23を形成し、ロックスプリング20を凹部23と部品収容スペースとで形成されるスペースに配置すると共に、突出部22をベースブラケット2への取付用突起部として使用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションに対するシートバックの傾斜位置を調整する車両用シートリクライニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の車両用シートリクライニング装置として、特許文献1に開示されたものが提案されている。
【0003】
この車両用シートリクライニング装置100は、図8に示すように、シートクッション側の左右両端に固定された一対のベースブラケット101,(図示せず)と、シートバック側の左右両端に固定された一対のアームブラケット102,(図示せず)とを有する。各ベースブラケット101,(図示せず)に各アームブラケット102,(図示せず)が各センターシャフト103,(図示せず)を中心として回転自在に支持されている。左右一対のセンターシャフト103,(図示せず)間は、連結パイプ121を介して連結されている。又、一方のセンターシャフト103の一端側には、リクライニング操作レバー120が取り付けられている。
【0004】
センターシャフト103の外周側には渦巻きバネ104が配置されている。この渦巻きバネ104は、その一端がシートクッション側のベースブラケット101に、他端側がシートバック側のアームブラケット102に掛けられており、渦巻きバネ104のバネ力によってシートバックが前倒れ位置側に付勢されている。そして、左右のベースブラケット101,(図示せず)とアームブラケット102,(図示せず)との間には、リクライニングロック機構110,(図示せず)がそれぞれ配置されている。
【0005】
この各リクライニングロック機構110は、図9及び図10に示すように、ベースブラケット101に固定されたベース側円板ケース111と、アームブラケット102に固定され、内周に内周歯部113が形成されたアーム側円板ケース112と、双方の円板ケース111,112で形成された部品収容スペース内の外周側に収容された一対のロックツース114,114と、双方の円板ケース111,112で形成された部品収容スペース内の中央側に収容され、センターシャフト103が一体で回動可能に嵌合されたカム板115と、このカム板115を図9の反時計回転方向(ロック保持位置側)に付勢する一対のロックスプリング116,116とを備えている。各ロックツース114,114は、ベース側円盤ケース111に設けた支点114aを中心に揺動自在に支持されており、ロックツース114,114の外周には外周歯部117、117がそれぞれ形成されている。又、ベース側円板ケース111の部品収容スペース側には、各ロックツース114,114の前記揺動をガイドし、且つ、各ロックツース114,114側からの外力を受ける複数のツース受部118が一体に設けられている。
【0006】
上記構成において、リクライニングロック機構110は、ロックスプリング116,116のバネ力によってロックツース114,114の外周歯部117,117がアーム側円板ケース112の内周歯部113,113に噛み合い、これによってシートバックがシートクッションに対してロックされている。
【0007】
この状態にあって、ユーザがリクライニング操作レバー120を操作し、センターシャフト103をロックスプリング116,116のバネ力に抗して図9の時計回転方向に回転する。すると、カム板115がロックツース114,114をそれぞれ押圧し、各ロックツース114,114が支点114a,114aを中心として図9の反時計回転方向に回転し、各ロックツース114,114の外周歯部117,117が内周歯部113,113との噛み合いを解除する位置に変位する。これによって、リクライニングロック機構110のロックが解除される。
【0008】
ロック解除されると、渦巻きバネ104のバネ力によってシートバックが前倒れ位置に移動しようとする。ユーザが渦巻きバネ104のバネ力に抗して、又は、渦巻きバネ104のバネ力を利用してシートバックを所望の傾斜位置に変更する。シートバックを所望の傾斜位置にセットした後、ユーザがリクライニング操作レバー120から手を離す。すると、カム板115がロックスプリング116,116のバネ力によってロック保持位置側に回転し、この回転過程でカム板115がロックツース114,114をそれぞれ押圧し、各ロックツース114,114が支点114a,114aを中心として図9の時計回転方向に回転し、各ロックツース114,114の外周歯部117,117が内周歯部113,113に噛み合う位置に変位する。これによって、リクライニングロック機構110がロックされる。このようにしてシートバックの傾斜位置を自由に調整できる。

【特許文献1】特開2002−345586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、車両用シートリクライニング装置100には、耐荷重性を向上させたいという要請がある。しかし、前記従来技術では、厚さ方向のスペース的な制約があるため、ロックツース114をロック方向に付勢する付勢力を得るために、ロックスプリング116の巻き数を多くし、または板厚を厚くするなどしている。そのため、ロックツース114をガイドする複数のツース受部118の大きさが制限され、車両用シートリクライニング装置100の高強度化、および小型化の妨げになっている。
【0010】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、装置の大型化を伴うことなく耐荷重性を向上させることができる車両用シートリクライニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、シートクッション側ブラケット、またはシートバック側ブラケットのいずれか一方のブラケットに固定される円盤形状を有するベース側ケースと、他方のブラケットに固定され、円盤形状を有して同心状に形成された円形凹部の周縁に内周歯部を有し前記ベース側ケースに回転自在に組付けられるアーム側ケースと、前記ベース側ケースと前記アーム側ケースとの間に形成される部品収容スペースと、前記部品収容スペースを貫通しつつ、前記ベース側ケースの中央部と前記アーム側ケースの中央部とに回転自在に配置されるセンターシャフトと、前記部品収容スペース内で前記センターシャフトと一体で回転するように嵌合し、前記センターシャフトの回転によってロック保持位置とロック解除位置との間を移動するカム部材と、前記部品収容スペース内の前記カム部材よりも外周側に前記カム部材と連係して配置され、前記カム部材のロック保持位置では前記内周歯部に噛み合う噛み合い位置に位置し、前記カム部材のロック解除位置では前記内周歯部より離間する噛み合い解除位置に位置するロックツースと、前記部品収容スペースの前記カム部材よりも外周側に配置され、前記カム部材をロック保持位置側に付勢するロックスプリングとを備えた車両用シートリクライニング装置であって、前記ベース側ケースの外側面に突出する突出部と、前記突出部の位置に対応する前記ベース側ケースの内側面に凹部とを備え、前記ロックスプリングを前記凹部と前記部品収容スペースとで形成されるスペースに配置したことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の車両用シートリクライニング装置であって、前記突出部は、前記一方のブラケットに設けた孔に嵌合するとともに、この嵌合した突出部と前記一方のブラケットの孔の縁とを溶接することで固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、車両用シートリクライニング装置の幅を厚くすることなく、スプリング収容スペースを広く形成可能であるため、従来より幅広のロックスプリングを収容することができる。従って、従来より強いスプリング力が必要な場合でも従来と同じ巻き数と厚さにすることができ、ロックスプリングの大型化に伴う強度低下を防止できるとともに、装置の大型化を防止できる。又、従来と同じスプリング力を従来より少ない巻き数や板厚で確保できるため、ロックスプリングの収容面積が少なくて済み、その分ツース受部を大きな寸法とすることができることによって、大型化を伴うことなく耐荷重性を向上させることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、シートクッション側ブラケットとシートバック側ブラケットのいずれか一方のブラケットに設けられた孔と、突出部とを嵌合固定することで、接合部を大型化でき、取付強度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1〜図4は本発明の第1実施形態を示し、図1は車両用シートリクライニング装置の一部断面図、図2は図1のA矢視方向から見たリクライニングロック機構の正面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は図2のC−C線断面図である。
【0017】
この車両用シートリクライニング装置1は、図1に示すように、シートクッション側の左右両端に固定された一対のベースブラケット2,(図示せず)と、シートバック側の左右両端に固定された一対のアームブラケット3,(図示せず)とを有する。各ベースブラケット2,(図示せず)に各アームブラケット3,(図示せず)が各センターシャフト4,(図示せず)を中心として回転自在に支持されている。左右一対のセンターシャフト4,(図示せず)間は、連結パイプ5を介して連結されている。又、一方のセンターシャフト4の一端側には、リクライニング操作レバー6が取り付けられている。
【0018】
センターシャフト4の外周側には渦巻きバネ7が配置されている。この渦巻きバネ7は、その一端がシートクッション側のベースブラケット2に、他端側がシートバック側のアームブラケット3に掛けられている。シートバックは、この渦巻きバネ7のバネ力によって前倒れ位置側に付勢されている。そして、左右のベースブラケット2,(図示せず)とアームブラケット3,(図示せず)との間には、リクライニングロック機構10,(図示せず)がそれぞれ配置されている。尚、一対のリクライニングロック機構10,(図示せず)は、同一構成であるため、一方のリクライニングロック機構10の構成のみを説明する。
【0019】
このリクライニングロック機構10は、図2〜図4に示すように、ベースブラケット2に固定された円盤形状を有するベース側ケース11と、アームブラケット3に固定され、外周面がベース側ケース11に形成した円形凹部の内周面に摺接する円盤形状を有し、同心状に形成された円形凹部の周縁に内周歯部14を有して、ベース側ケース11に回転自在に支持されたアーム側ケース12とを備え、双方のケース11,12間はこれらの外周で加締められたリング状のホルダ13によって軸方向に離脱しないように組付けされている。アーム側ケース12には、円形凹部の内周面の略全周に内周歯部14が一体に設けられている。ベース側ケース11とアーム側ケース12の各ブラケット2,3への固定構造については、下記する。
【0020】
組付けされた双方のケース11,12内には、アーム側ケース12の円形凹部において部品収容スペース15が形成されている。センターシャフト4は、双方のケース11,12の中央部に形成した孔内に回転自在に配置されつつ、部品収容スペース15を貫通している。
【0021】
部品収容スペース15の中央部には、カム部材16が収容されている。カム部材16には、センターシャフト4が貫通している。カム部材16は、センターシャフト4の外周に固定され、センターシャフト4の回転によってロック保持位置(図2、図3の位置)とロック解除位置との間を回転する。部品収容スペース15内で、且つ、カム部材16より外周側のスペースには、円周方向に180度の間隔を置いて一対のロックツース17が収容されている。
【0022】
各ロックツース17は、ベース側ケース11より部品収容スペース15側に向けて一体に突設されたツース支持部18を支点として揺動自在に支持されている。各ロックツース17は、外周歯部17aを有し、カム部材16と連係して外周歯部17aが内周歯部14に噛み合う噛み合い位置(図2、図3の位置)と外周歯部17aが内周歯部14より離間する噛み合い解除位置との間で変位する。各ロックツース17の両端の移動軌跡の周辺には、ベース側ケース11より部品収容スペース15側に向けて一体に突設された一対のツース受部19がそれぞれ配置されている。各一対のツース受部19は、各ロックツース17の噛み合い位置と噛み合い解除位置間の移動をガイドし、且つ、アーム側ケース12に作用する外力を各ロックツース17を介して受けるようになっている。つまり、各ツース受部19がアーム側ケース12とともに円周方向へ移動しようとするロックツース17を受止めることによってベース側ケース11に対するアーム側ケース12の回転を阻止して、ロック状態を維持する。
【0023】
又、部品収容スペース15内で、且つ、カム部材16よりも外周側のスペースには、円周方向において、ツース部材19の間の位置に一対のロックスプリング20が収容されている。各ロックスプリング20は、渦巻きバネであり、ベース側ケース11より一体に突設されたスプリング支持突起21によって内端である渦巻中心箇所が支持されている。各ロックスプリング20の外端である先端アームは、カム部材16に掛止されている。カム部材16は、この一対のロックスプリング20のスプリング力によって図3中において時計方向であるロック保持位置側に付勢されている。カム部材16のロック保持位置では、ロックスプリング20のスプリング力がカム部材16を介して一対のロックツース17に作用することによって外周歯部17aが内周歯部14に噛み合っている。
【0024】
また、ベース側ケース11の反部品収容スペース側である外側面には、シャフト孔11aの周囲に円形の取付突出部11bが円周方向に間隔を置いて配置されている。又、ベース側ケース11の外側面には、ロックスプリング20の外形より大きな一対の突出部22が取付突出部11bとともに円周方向に並んで設けられている。各突出部22の位置に対応するベース側ケース11の内側面には、図4に詳しく示すように、凹部23がそれぞれ形成されている。すなわち、取付突出部11bと突出部22はプレスによりベース側ケース11を半抜きすることで形成されるため、反対側面に略同形状の凹部が形成される。この各凹部23によって部品収容スペース15内のスプリング収容スペースが他のスペースよりも幅広(幅寸法D)に形成されている。つまり、ベース側ケース11の外側面側への突出を従来と同等に維持しつつ部品収容スペース15内のスプリング収容スペースの幅寸法Dが広く設定されている。そして、ロックスプリング20は、従来と同じ巻数と厚さであるが、幅広のものが収容されており、従来よりスプリング力が大きくなっている。
【0025】
又、この一対の突出部22と4箇所の取付突出部11bは、ベースブラケット2の各取付孔2aに挿入され、挿入された突出部22や取付突出部11bの箇所が溶接されることによってベース側ケース11がベースブラケット2に固定されている。つまり、一対の突出部22は、ベースブラケット2への取付用突出部として使用されている。
【0026】
アーム側ケース12の外周面には、シャフト孔12aの周囲に取付突出部12bが円周方向に間隔を置いて配置されている。取付突出部12bがアームブラケット3の取付孔3aに挿入され、挿入された取付突出部12bの箇所が溶接されることによってアーム側ケース12がアームブラケット3に固定されている。
【0027】
上記構成において、リクライニングロック機構10は、ロックスプリング20のバネ力によってロックツース17の外周歯部17aがアーム側ケース12の内周歯部14に噛み合っている。これによって、シートバックはシートクッションに対してロックされている。
【0028】
この状態にあって、ユーザがリクライニング操作レバー6を操作し、センターシャフト4をロックスプリング20のスプリング力に抗して図3の反時計回転方向に回転する。すると、カム部材16の2箇所の第1押圧部16aが一対のロックツース17のロック解除面をそれぞれ押圧し、各ロックツース17が各ツース支持部18を中心として図3の反時計回転方向に回転し、各ロックツース17の外周歯部17aが内周歯部14との噛み合いを解除する噛み合い解除位置に変位する。これによって、リクライニングロック機構10のロックが解除される。
【0029】
ロック解除されると、渦巻きバネ7のバネ力によってシートバックが前倒れ位置に移動しようとする。ユーザが渦巻きバネ7のバネ力に抗して、又は、渦巻きバネ7のバネ力を利用してシートバックを所望の傾斜位置に変更する。シートバックを所望の傾斜位置に位置させた後、ユーザがリクライニング操作レバー6から手を離す。すると、カム部材16が一対のロックスプリング20のスプリング力によってロック保持位置側に回転し、この回転過程でカム板16の2箇所の第2押圧部16bが一対のロックツース17のロック面をそれぞれ押圧し、各ロックツース17がツース支持部18を中心として図3の反時計回転方向に回転し、各ロックツース17の外周歯部17aが内周歯部14に噛み合う噛み合い位置に変位する。これによって、リクライニングロック機構10が再びロックされる。このようにしてシートバックの傾斜位置を自由に調整できる。
【0030】
以上、上記車両用シートリクライニング装置1では、ベース側ケース11の外側面に突出する突出部22を設け、この突出部22の位置に対応するベース側ケース11の内側面に凹部23を形成し、この凹部23と部品収容スペース15とで形成されるスプリング収容スペースにロックスプリング20を配置すると共に、突出部22を取付用突起部として使用した。従って、車両用シートリクライニング装置1の軸方向の幅を厚くすることなく、スプリング収容スペースを幅広に形成可能であるため、従来より幅広のロックスプリング20を収容することができる。従って、従来より強いスプリング力が必要な場合でも同じ巻数と厚さにすることができ、ロックスプリング20の大径化に伴うツース受部19の小型化やベース側ケース11の大型化を阻止できるため、車両用シートリクライニング装置の大型化を防止できる。
【0031】
この第1実施形態では、一対の突出部22は、センターシャフト4を中心として180度対向位置(円周方向の等間隔位置)に2つ設けられている。従って、ベース側ケース11とベースブラケット2との間に作用する回転モーメントをバランス良く等分に受けることができる。尚、この第1実施形態では、突出部22は、180度対向位置に2箇所設けたが、円周方向の等間隔位置の3箇所以上に設けても良いことはもちろんである。
【0032】
また、この第1実施形態では、ベース側ケース11をシートクッション側ブラケットであるベースブラケット2に固定し、アーム側ケース12をシートバック側ブラケットであるアームブラケット3に固定しているが、ベース側ケース11をアームブラケット3に固定し、アーム側ケース12をベースブラケット2に固定するようにしても良い。
【0033】
(第2実施形態)
図5及び図6は本発明の第2実施形態を示し、図5はリクライニングロック機構の正面図、図6は図5のD−D線断面図である。
【0034】
この第2実施形態に係るシートリクライニング装置は、前記第1実施形態に係るシートリクライニング装置と比較して基本的構造が全て同じであるため、同一構成箇所には同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成箇所のみを説明する。
【0035】
つまり、図5及び図6に示すように、第2実施形態に係るシートリクライニング装置のリクライニングロック機構10Aでは、ロックスプリング20Aを幅広とすることで小径化を図ったものであり、これによりベース側ケース11の外側面に一体に設けられる一対の突出部22Aは、前記第1実施形態のものよりも小さな寸法とされている。そのため、各突出部22Aの位置に対応するベース側ケース11の内側面には、前記第1実施形態のものよりも小さな凹部23Aが形成されている。つまり、部品収容スペース15内のスプリング収容スペースは、第1実施形態のものよりの小さなスペースとして形成されている。そして、部品収容スペース15には、従来と同じスプリング力であるが、従来より巻数が少ないロックスプリング20Aが収容されている。各突出部22Aが小さく設定されているため、ベースブラケット2の取付孔2aもこれに合わせて小さく設定されている。
【0036】
また、ロックスプリング20Aの占有面積が少なくて済むので、ツース受部19Aは、前記第1実施形態のものより大きな寸法に設定されている。図7では、第2実施形態のツース受部19Aを前記第1実施形態のツース受部19と比較し、大きい領域分だけハッチング表示している。
【0037】
したがって、従来と同じスプリング力を従来より少ない巻き数や板厚で確保できるため、ロックスプリング20Aの収容面積が少なくて済み、その分ツース受部19Aを大きな寸法とすることができ、大型化を伴うことなく耐荷重性を向上させることができる。
【0038】
この第2実施形態では、前記第1実施形態に較べて突出部22Aの寸法を小さく設定し、これによってツース受部19Aの寸法を大きく設定したが、ベース側ケース11及びアーム側ケース12の半径方向の寸法を小さく設定し、リクライニングロック装置の小型化を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、シートリクライニング装置の一部断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、図1のA矢視方向から見たリクライニングロック機構の正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、図1のB−B線断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、図2のC−C線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示し、リクライニングロック機構の正面図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示し、図5のD−D線断面図である。
【図7】第2実施形態のリクライニングロック機構にあって、第1実施形態のツース受部と較べて大きい領域分だけハッチング表示された正面図である。
【図8】従来例のシートリクライニング装置の一部断面図である。
【図9】従来例を示し、図8のE矢視方向から見たリクライニングロック機構の正面図である。
【図10】従来例を示し、図9のF−F線断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 車両用シートリクライニング装置
2 ベースブラケット
3 アームブラケット
4 センターシャフト
10,10A リクライニングロック機構
11 ベース側ケース
12 アーム側ケース
14 内周歯部
15 部品収容スペース
16 カム部材
17 ロックツース
17a 外周歯部
19,19A ツース受部
20,20A ロックスプリング
22,22A 突出部
23,23A 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション側ブラケット、またはシートバック側ブラケットのいずれか一方のブラケットに固定される円盤形状を有するベース側ケースと、
他方のブラケットに固定され、円盤形状を有して同心状に形成された円形凹部の周縁に内周歯部を有し前記ベース側ケースに回転自在に組付けられるアーム側ケースと、
前記ベース側ケースと前記アーム側ケースとの間に形成される部品収容スペースと、
前記部品収容スペースを貫通しつつ、前記ベース側ケースの中央部と前記アーム側ケースの中央部とに回転自在に配置されるセンターシャフトと、
前記部品収容スペース内で前記センターシャフトと一体で回転するように嵌合し、前記センターシャフトの回転によってロック保持位置とロック解除位置との間を移動するカム部材と、
前記部品収容スペース内の前記カム部材よりも外周側に前記カム部材と連係して配置され、前記カム部材のロック保持位置では前記内周歯部に噛み合う噛み合い位置に位置し、前記カム部材のロック解除位置では前記内周歯部より離間する噛み合い解除位置に位置するロックツースと、
前記部品収容スペースの前記カム部材よりも外周側に配置され、前記カム部材をロック保持位置側に付勢するロックスプリングとを備えた車両用シートリクライニング装置であって、
前記ベース側ケースの外側面に突出する突出部と、
前記突出部の位置に対応する前記ベース側ケースの内側面に凹部とを備え、
前記ロックスプリングを前記凹部と前記部品収容スペースとで形成されるスペースに配置したことを特徴とする車両用シートリクライニング装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用シートリクライニング装置であって、
前記突出部は、前記一方のブラケットに設けた孔に嵌合するとともに、この嵌合した突出部と前記一方のブラケットの孔の縁とを溶接することで固定されていることを特徴とする車両用シートリクライニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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