説明

車両用シート

【課題】シートの部品点数の増加を極力抑えつつ、送風装置のエアを着座側に送ることにある。
【解決手段】起立状態のシートバック6上部に、ヘッドレスト8を取付けるとともに、送風装置20のエアを、シートクッション又はシートバック6の流路部24を通じて外部に流出する構成の車両用シート2において、流路部24の開口部25をシートバック6上部に形成するとともに、シートバック6を臨むヘッドレスト8一側に、開口部25から流出した送風装置20のエアを着座側に案内する案内部14を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置を備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用シートとして、特許文献1に開示の車両用シートが公知である。この車両用シートは、基本構成(シートクッション,シートバック,ヘッドレスト)と、送風装置と、複数のダクト部材(蛇腹状の管部材)を有する。
シートバックは、シートクッションに対して起立可能に連結する部材である。またヘッドレスト(略矩形の部材)は、通気性を有する材質にて構成されており、例えばヘッドレスト下部から吹入れられる気体を着座側に吹き出すことができる。そして送風装置は、遠心式の送風機構(装置軸方向から外気を吸気しつつ遠心方向に送風する機構)を有する。
【0003】
公知技術では、シートクッション下部に送風装置を取付けたのち、送風装置から延びたダクト部材(比較的径小)をシートバック上部にまで配索する。
そして起立状態のシートバック上部にヘッドレストを取付けるとともに、シートバックとヘッドレストの間に、別のダクト部材(比較的径大)を配索する。こうすることで送風装置のエアを、複数のダクト部材により、ヘッドレスト内に導きつつ着座側(乗員頭部)に送ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−225539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで公知技術では、比較的径大のダクト部材(シートの基本構成とは異なる部材)を用いて、シートバックとヘッドレストを連通する。このため公知技術の構成は、シートの部品点数削減の観点から、すんなり採用できる構成ではなかった。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートの部品点数の増加を極力抑えつつ、送風装置のエアを着座側に送ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用シートは、シートクッションと、シートクッションに起立可能に連結するシートバックと、シートクッション又はシートバックに内蔵の送風装置を有する。
そして起立状態のシートバック上部に、ヘッドレストを取付けるとともに、送風装置のエアを、シートクッション又はシートバックの流路部を通じて外部に流出する。この種のシート構成では、シートの部品点数の増加を極力抑えつつ、送風装置のエアを着座側に送れることが望ましい。
【0007】
そこで本発明では、流路部の開口部をシートバック上部に形成するとともに、シートバックを臨むヘッドレスト一側に、開口部から流出された送風装置のエアを着座側に案内する案内部を設けることとした。
本発明では、ヘッドレスト(シートの基本構成)に案内部を形成することで、シートの部品点数の増加を極力抑えつつ、送風装置のエアを着座側に送ることができる。
【0008】
第2発明の車両用シートは、第1発明の車両用シートであって、シート前後方向及び幅方向における案内部の寸法が、開口部の開口寸法よりも大きく設定される。そして案内部が、開口部に対面可能な傾斜部位を有するとともに、傾斜部位が、シート後方から着座側に向かうにつれてしだいにシートバックから離間する。
本発明では、案内部の寸法を比較的大きく設定したことで、送風装置のエアを、極力拡散させることなく(比較的多量に)着座側に送ることができる。このとき傾斜部位により、送風装置のエア(比較的多量のエア)を整流しつつ着座側に送ることができる。
【0009】
第3発明の車両用シートは、第1発明又は第2発明の車両用シートにおいて、上述の開口部を阻止部材で被覆する。そして阻止部材に、開口部よりも開口寸法の小さい通気孔を設けて、送風装置のエアの通過を許容することとした。
本発明では、流路部(開口部)を阻止部材で被覆して、流路部への異物侵入を極力阻止することにより、(異物侵入が原因の)送風装置の破損を極力防止又は低減できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る第1発明によれば、シートの部品点数の増加を極力抑えつつ、送風装置のエアを着座側に送ることができる。また第2発明によれば、送風装置のエアを着座側に効率良く送ることができる。そして第3発明によれば、異物侵入が原因の送風装置の破損を防止又は低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両用シートの一部分解斜視図である。
【図2】シートバックを破断して示す車両用シート一部の概略側面図である。
【図3】シートバック一部とヘッドレストの概略斜視図である。
【図4】シートバック一部の断面図である。
【図5】(a)は、ロック機構の分解斜視図であり、(b)は、サポート部材の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図5を参照して説明する。各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付す。
図1の車両用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、シート骨格をなすフレーム部材(4F,6F,8F)と、シート外形をなすクッション材(4P,6P,8P)と、クッション材に被覆の表皮材(4S,6S,8S)とを有する。
なお本実施例では、別の車両用シート(図示省略)を、車両用シート2の後方位置に配置することがある。
【0013】
本実施例では、シートバック6を、シートクッション4に起倒可能に連結する。つぎに起立状態のシートバック6上部に、ヘッドレスト8(詳細後述)を昇降可能に取付けるとともに、シートバック6内に、送風装置20(詳細後述)を配設する。
そして送風装置20のエアを、シートバック6の流路部24を通じて外部に流出したのち着座側に送る。この種のシート構成では、シートの部品点数の増加を極力抑えつつ、送風装置20のエアを着座側に送れることが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成により、シートの部品点数の増加を極力抑えつつ、送風装置20のエアを着座側に送ることとした。以下、各構成について詳述する。
【0014】
[ヘッドレスト]
ヘッドレスト8は、シートバック6上部に昇降可能に取付けられる部材(略長方形状)であり、一対のステー部材11,12と、案内部14(傾斜部位16)を有する(図1〜図3を参照)。
本実施例のヘッドレスト8は、シートバック6に対する昇降動作により、第一状態と第二状態の間で変位可能である。
第一状態のヘッドレスト8は、シートバック6に近接して配置する(図2の実線状態を参照)。また第二状態のヘッドレスト8は、第一状態よりもシートバック6から離間して配置する(典型的に30mm〜40mm離間する。図2の二点破線状態を参照)。
【0015】
そして一対のステー部材(第一ステー部材11、第二ステー部材12)はともに棒状の部材である(図1を参照)。本実施例では、一対のステー部材11,12をシート幅方向に並列させて、ヘッドレスト8下部に配設する。
ここで第一ステー部材11は、複数の係合溝(第一係合溝18f,第二係合溝18s)を有する。第一係合溝18fと第二係合溝18sは、ともに第一ステー部材11途中の凹み部位であり、ロック機構30(後述)に係合可能である。そして第一係合溝18fが、第一ステー部材11の上部(ヘッドレスト8寄り)に形成されるとともに、第二係合溝18sが、第一ステー部材11の下部に形成される。
【0016】
(案内部・傾斜部位)
案内部14は、送風装置20のエアを着座側に案内する部位であり、傾斜部位16を有する(図2及び図3を参照)。
本実施例の案内部14は、ヘッドレスト8下部(シートバック6を臨むヘッドレスト8一側)に形成された凹み部位であり、一対のステー部材11,12の間に配置する。
ここで案内部14は、略矩形状(下方視)をなしており、長さ寸法L1(シート前後方向の寸法)及び幅寸法W1(シート幅方向の寸法)が、開口部25(後述)の開口寸法よりも大きく設定される。
そして傾斜部位16は、シート前後に傾斜する傾斜面(縦断面視)であり、案内部14の底面に形成されてシートバック6に対面配置する。本実施例の傾斜部位16は、シート後方から前方(着座側)に向かうにつれてしだいにシートバック6から離間する。
【0017】
[シートバック]
シートバック6は、基本構成(6F,6P,6S)と、送風装置20と、流路部24と、阻止部材26と、ロック機構30を有する(図1〜図3を参照)。
クッション材6Pは、シート外形をなす略長方形状の部材であり、ポリウレタンフォームなどの弾性力を有する樹脂にて形成できる。また表皮材6Sは、クッション材6Pを被覆可能な袋状部材であり、布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)にて形成できる。
そしてフレーム部材6Fは、アーチ状の枠部材(図示省略)であり、一対のサポート部材(第一サポート部材21、第二サポート部材22)を有する。一対のサポート部材21,22は、ともに筒状の中空部材であり、それぞれ対応するステー部材11,12を挿設可能な孔部Hを有する。そして第一サポート部材21は、ロック機構30(後述)を有しており、第一ステー部材11に係合できる。
本実施例では、一対のサポート部材21,22を、所定間隔をあけてシート幅方向に並列させつつ(対応するステー部材に対面可能としつつ)、フレーム部材6F上部に配設する。そしてフレーム部材6F上にクッション材6Pを配置しつつ、クッション材6Pを表皮材6Sで被覆する。
【0018】
(送風装置)
本実施例の送風装置20は、中空の箱体(短尺な円筒状)であり、送風機構を内蔵する(図1及び図2を参照)。
送風機構として、例えば遠心式の機構(装置軸方向から吸気しつつ遠心方向に送風する機構)を使用できる。この種の送風機構として、多翼ファン(シロッコファン)、プレートファン、ターボファン、翼形ファン、リミットロードファンを例示できる。
本実施例では、シートバック6内(略中央)に送風装置20を配置しつつ、フレーム部材6F等に固定する。そして送風装置20のエアを、流路部24(後述)を通じてヘッドレスト8側(外部)に流出する構成とする。
【0019】
(流路部・開口部)
流路部24は、起立状態のシートバック6を基準として、シート上下に延びる通路(エアが通過可能な通路)であり、開口部25を有する(図1〜図3を参照)。
開口部25は、上方視で略矩形の開口(長さ寸法L2、幅寸法W2)であり、シートバック6上部(一対のサポート部材の間)に形成される。
本実施例では、流路部24の一側が送風装置20に連通するとともに、流路部24の他側(開口部25)がシートバック6上部に開口することで、送風装置20のエアをヘッドレスト8側に流出できる。
ここで流路部24の形成方法は特に限定しない。例えばクッション材6Pに、シート上下に延びる第一貫通孔24fを設ける。そして表皮材6Sの上部(第一貫通孔24fを臨む位置)に第二貫通孔24sを設けることにより、第一貫通孔24fと第二貫通孔24sにより流路部24を形成できる。
また流路部24は、クッション材6Pと表皮材6Sに貫通孔をそれぞれ設けたのち、これら各貫通孔にダクト部材(蛇腹状の管部材、図示省略)を挿入することで形成できる。
【0020】
(阻止部材)
阻止部材26は、平板状の部材(正面視で略長方形状)であり、複数の通気孔26Hと、フランジ部27を有する(図4を参照)。フランジ部27は、阻止部材26(裏面)に立設する平板部分であり、阻止部材26の周縁に沿って形成できる。
また複数の通気孔26Hは、それぞれ阻止部材26の長手方向に延びる貫通孔であり、阻止部材26の短手方向に並列して形成できる。本実施例では、各通気孔26Hの開口寸法が、流路部24の開口寸法よりも小さく設定されることで、流路部24に対する異物の侵入を極力阻止できる。
そして本実施例では、開口部25を阻止部材26で覆いつつ、表皮材6S(第二貫通孔24s)の縁部をフランジ部27に縫着して、シートバック6上部に阻止部材26を取付ける。
【0021】
なお阻止部材26の材質は特に限定しないが、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン,塩化ビニル樹脂,ポリエチレン)、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂)を例示できる。
ここで阻止部材26を、可撓性を有する素材で構成することにより、シート外形に沿った湾曲状に変形させることができる(見栄えのよいシート構成となる)。例えば阻止部材26を、ゴム(天然ゴム,合成ゴム)やエラストマ等で形成することにより適度な可撓性を付与できる。
【0022】
[ロック機構]
ロック機構30は、第一ステー部材11と第一サポート部材21の相対移動を規制する機構であり、プレート部32と、付勢部材38を有する(図5を参照)。付勢部材38は、コイルバネ状の部材であり、その一端側がプレート部32に固定される。
またプレート部32(平板状)は、挿通部33と、操作部34と、係止部35を有する。挿通部33は、プレート部32略中央の貫通孔(上方視で略矩形状)であり、第一サポート部材21への組付けにより孔部Hの一部となる。
また操作部34は、プレート部32前端の凸部位であり、第一サポート部材21の外形に倣った形状を有する。そして係止部35は、プレート部32後端の返し部分(断面視で略横J字状)であり、第一サポート部材21内部(略矩形の切欠き部分)に係止できる。
本実施例では、第一サポート部材21の途中にプレート部32を挿入して、第一サポート部材21(切欠き部分)に係止部35を係止する。このとき挿通部33が、第一サポート部材21内に配置し、操作部34が、第一サポート部材21の外に配置する。つぎに第一サポート部材21内に付勢部材38の他端を固定して、プレート部32を、第一サポート部材21から突出する方向に付勢する。
【0023】
そして第一ステー部材11を挿入する際には、第一サポート部材21内側に操作部34を押圧することにより(ロック解除動作により)、挿通部33を孔部Hに合わせる。これにより第一ステー部材11を孔部H(挿通部33)に挿入できる。
つぎに操作部34の押圧を緩めることで、付勢部材38によりプレート部32が第一サポート部材21から突出する。これにより挿通部33と孔部Hの位置がずれて、第一ステー部材11(第一係合溝18f又は第二係合溝18s)に挿通部33の内面が係合する。このように第一ステー部材11がロックされて、第一サポート部材21に対する相対移動が規制される。
【0024】
[ヘッドレストの取付け作業]
図1〜図3を参照して、ヘッドレスト8を、起立状態のシートバック6上部に昇降可能に取付ける。
本実施例では、一対のステー部材11,12を、それぞれ対応するサポート部材21,22に挿入する。このとき第一係合溝18f(ステー部材上部に配置)にロック機構30を係合させて、第一サポート部材21に対する第一ステー部材11の相対移動を規制する。こうすることでヘッドレスト8を、シートバック6に近接させて(第一状態で)取付けることができる。
ここで比較的大柄の乗員の場合、ヘッドレスト8を上方に変位させることができる。このとき第二係合溝18s(ステー部材下部に配置)にロック機構30を係合させて、第一サポート部材21に対する第一ステー部材11の相対移動を規制する。こうすることでヘッドレスト8を、シートバック6から離間させて(第二状態で)取付けることができる。
【0025】
[送風装置の作動]
図2及び図3を参照して、送風装置20を作動させて、同装置のエアを着座側に送る。
このとき本実施例では、送風装置20のエアが、流路部24を介して開口部25(シートバック6上側)から吹き出されたのち、ヘッドレスト8側に送られる。
このとき送風装置20のエアが、阻止部材26(比較的小径の通気孔26H)を通過することにより、収束されつつ(流速が増しつつ)ヘッドレスト8側に送られる(図2及び図4を参照)。このため上記構成によれば、エアの拡散による損失を極力生じることなく、送風装置20のエアをヘッドレスト8側に送ることができる。
【0026】
そして送風装置20のエアが、ヘッドレスト8下部に吹き当てられたのち、案内部14によって(シート後方等に極力漏れることなく)着座側に案内される。
このとき本実施例では、案内部14の寸法を比較的大きく設定したことで、送風装置20のエアを、極力拡散させることなく(比較的多量に)着座側に送ることができる。
さらに傾斜部位16により、送風装置20のエア(比較的多量のエア)を整流しつつ着座側に送ることで、エアの乱流化が原因の異音発生を極力防止又は低減できる。
このように本実施例では、送風装置20のエアを、ヘッドレスト8(案内部14)を介して着座側に送ることにより、乗員頭部又は首筋付近に効率良く当てることができる。
【0027】
ところで上述のシート構成では、乗員の体格差(大小等)によって、エアの向きを変更したいとの要請がある。
このとき本実施例では、ヘッドレスト8の状態変位により、案内部14の位置を上下動させることができる(図2を参照)。例えば比較的小柄の乗員の場合、ヘッドレスト8を第一状態として、送風装置20のエアを比較的下方に向けることにより、同乗員に向かってエアを効率良く送ることができる。また比較的大柄の乗員の場合、ヘッドレスト8を第二状態として、送風装置20のエアを比較的上方に向けることにより、同乗員に向かってエアを効率良く送ることができる。
そして本実施例では、ヘッドレスト8の位置調整と同時に、送風装置20のエアの風向きを調整できるため、利便性に優れる構成となる。
【0028】
以上説明したとおり本実施例では、ヘッドレスト8(シートの基本構成部材)に案内部14を形成することで、シートの部品点数の増加を極力抑えつつ、送風装置20のエアを着座側に送ることができる。
また本実施例では、シートバック6とヘッドレスト8の間に別部材(ダクト部材等)を配設する必要がない。このため車両用シート2の後方位置に別の車両用シート(図示省略)を配置した場合、別の車両用シート2からの前方視界を良好に確保できる。さらに本実施例では、別部材(ダクト部材等)を配設する必要がないため、シートの作製工程を簡略化することができる。
また本実施例では、案内部14の寸法を比較的大きく設定したことで、送風装置20のエアを、極力拡散させることなく(比較的多量に)着座側に送ることができる。このとき傾斜部位16により、送風装置20のエア(比較的多量のエア)を整流しつつ着座側に送ることができる。
そして本実施例では、流路部24に、異物の侵入を阻止する阻止部材26が設けられるため、(異物侵入が原因の)送風装置20の破損を極力防止又は低減できる。
このため本実施例によれば、シートの部品点数の増加を極力抑えつつ、送風装置20のエアを着座側に送ることができる。
【0029】
本実施形態の車両用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、ヘッドレスト8下部の凹み部位を案内部14として例示したが、案内部の構成を限定する趣旨ではない。例えば案内部として、ヘッドレスト下部から着座側に延びる孔部を形成してもよい。このとき孔部の径寸法を途中で小さくすることにより、エアの流速を増しつつ(収束しつつ)着座側に送ることができる。
(2)また本実施形態では、着座側から案内部14が露出する例を説明したが、案内部を非露出状態とすることもできる。例えば案内部の着座側を表皮材等(通気性を有する部材)で被覆することができる。
(3)また本実施形態では、直線状(断面視)の傾斜部位16を例示したが、傾斜部位16の形状を限定する趣旨ではない。例えば傾斜部位16として、湾曲状、屈曲状、階段状、ジグザグ状の傾斜部位16を例示できる。
【0030】
(4)また本実施形態では、平板状の阻止部材26を例示したが、通気性を備えた布帛製の阻止部材26や、貫通孔を有する皮革製の阻止部材26を使用することもできる。なおシート構成によっては、阻止部材を省略することもできる。
(5)また本実施形態では、筒状(同一径寸法)の流路部24を例示したが、流路部の形状等を限定する趣旨ではない。例えば流路部の途中で径寸法を狭小とすることで、エアの流速を高めることができる。
(6)また本実施形態では、ロック機構30の構成を例示したが、同機構の構成を限定する趣旨ではない。なおシート構成によっては、ロック機構を省略することもできる。
(7)また本実施形態では、シートバック6に送風装置20を内蔵する例を説明したが、シートクッションに送風装置を内蔵することもできる。この場合には、流路部を、シートクッションの送風装置からシートバック上部に配設することとなる。
【符号の説明】
【0031】
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
11 第一ステー部材
12 第二ステー部材
14 案内部
16 傾斜部位
20 送風装置
21 第一サポート部材
22 第二サポート部材
24 流路部
25 開口部
26 阻止部材
30 ロック機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、前記シートクッションに起立可能に連結するシートバックと、前記シートクッション又は前記シートバックに内蔵の送風装置を有し、
起立状態の前記シートバック上部に、ヘッドレストを取付けるとともに、前記送風装置のエアを、前記シートクッション又は前記シートバックの流路部を通じて外部に流出する構成の車両用シートにおいて、
前記流路部の開口部を前記シートバック上部に形成するとともに、前記シートバックを臨む前記ヘッドレスト一側に、前記開口部から流出した前記送風装置のエアを着座側に案内する案内部を設けた車両用シート。
【請求項2】
前記シート前後方向及び幅方向における前記案内部の寸法が、前記開口部の開口寸法よりも大きく設定され、
前記案内部が、前記開口部に対面可能な傾斜部位を有するとともに、前記傾斜部位が、前記シート後方から着座側に向かうにつれてしだいに前記シートバックから離間する請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記開口部を阻止部材で被覆するとともに、前記阻止部材に、前記開口部よりも開口寸法の小さい通気孔を設けて、前記送風装置のエアの通過を許容する請求項1又は2に記載の車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−52823(P2013−52823A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193695(P2011−193695)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】