説明

車両用シート

【課題】後面衝突時の衝撃エネルギーが加わった際、シートが撓み変形することにより衝撃エネルギーを吸収する車両用シートにおいて、シートの変形量(後傾する角度)を規制することが可能な車両用シートを提供する。
【解決手段】 車幅方向に離隔して車両上方に延びる側方構成部材15、16を有して構成されたシートバックフレーム1と、このシートバックフレーム1に連結部材21、22を介して連結され、乗員を支持する受圧部材20と、側方構成部材15、16に配設されるとともに、連結部材21、22と連結され、受圧部材20に加わった所定の衝撃荷重により回動して受圧部材20を後方へ移動させる衝撃低減部材30と、を備え、側方構成部材15、16には、衝撃荷重が加わったときに変形する脆弱部150と、この脆弱部150の一部を挟み込む位置に配設されて脆弱部150の変形量を規制する規制部40と、が更に備えられており、脆弱部150及び規制部40は、衝撃低減部材30の回動中心32よりも上方に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに係り、特に後面衝突時等の衝撃エネルギーを吸収する際、大きく後傾しすぎることのない車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車などの車両後部が追突されたり、後退走行時に大きく衝突したりするなど、いわゆる後面衝突の際には、着座している乗員が慣性力によって急激に後方移動すると共に、乗員の上体が後傾する。
【0003】
一般に、車両用シートのシートバックは、金属製のシートバックフレームにクッション材を載置し、表皮材で被覆した構成であるが、後面衝突時等は、上記のように乗員が急激に後方移動するため、この動きに対してシートバックの変形量が十分でなく、乗員の身体に加わる荷重を効率的に軽減できない場合がある。また、シートバックに大きな荷重が加わるため、シートバックが不具合を起こしてしまう虞がある。
【0004】
このような問題を解消するために、特許文献1では、シートバックフレームの上部に後ろ向きの荷重が加わった場合、サイドフレーム(特許文献1では「サイドメンバ」と記載されている)が曲がる構成とし、後方移動時に乗員に加わる荷重を緩和する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4200580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で開示されたシートバックフレームは、後面衝突時等、乗員の後方移動に伴って後方への荷重が加わると、サイドフレームが屈曲し、シートバックフレームによって後方移動の衝撃エネルギーが吸収される。しかし、特許文献1のシートバックフレームは、サイドフレームの変形箇所(屈曲箇所)を限定して変形させることが不可能であるため、サイドフレームの上下方向にわたって何れかの点において屈曲する。その結果、屈曲点を限定することができないため、シートバックフレーム全体に衝撃エネルギーが伝達され、衝撃エネルギーの吸収効率が低下し、安定して衝撃エネルギーを緩和することが難しい。
【0007】
そこで、本出願人は、シートバックフレームを変形させることにより衝撃エネルギーを吸収する技術に関し、可撓性のくびれ部を下部フレームに形成することにより、後面衝突時等、衝撃エネルギーが加わった際にくびれ部を優先的に屈曲させ、衝撃エネルギーを効率よく吸収する技術を提案している(特願2010−273867)。このように、シートバックフレームの変形箇所を限定することにより、効率よく衝撃エネルギーを吸収することが可能となる。
【0008】
そして、上記技術において、シートバックフレームが後傾するように変形する際、加わる衝撃エネルギーの大きさに依存して、後傾する角度が大きくなりすぎ、乗員の着座姿勢が変化して着座感が損なわれる虞があるという問題点があった。
したがって、上記のように、衝撃荷重が加わった際にシートバックフレーム(シート)が撓み変形して後傾する車両用シートにおいて、撓み量を規制し、シートバックフレーム(シート)の変形量(後傾する角度)を制御することが可能な技術が求められていた。
【0009】
本発明の目的は、衝突時、特に後面衝突時の衝撃エネルギーが加わった際、シートが撓み変形することにより衝撃エネルギーを吸収する車両用シートにおいて、シートの変形量(後傾する角度)を規制することが可能な車両用シートを提供することにある。また、本発明の他の目的は、衝突時、特に後面衝突時の衝撃エネルギーが加わった際、シートの撓み変形量を制御することにより、乗員の着座姿勢に与える影響が軽減される車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、本発明の車両用シートによれば、車幅方向に離隔して車両上方に延びる側方構成部材を有して構成されたシートバックフレームと、該シートバックフレームに連結部材を介して連結され、乗員を支持する受圧部材と、少なくとも一方の前記側方構成部材に配設されるとともに、前記連結部材と連結され、前記受圧部材に加わった所定の衝撃荷重により回動して前記受圧部材を後方へ移動させる衝撃低減部材と、を備え、前記側方構成部材には、所定の衝撃荷重が加わったときに変形する脆弱部と、該脆弱部の一部を挟み込む位置に配設されて前記脆弱部の変形量を規制する規制部と、が更に備えられており、前記脆弱部及び前記規制部は、前記衝撃低減部材の回動中心よりも上方に配設されていることにより解決される。
【0011】
このように、車両用シートにおいて、衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱部を備えることにより、車両用シートに後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際、脆弱部を起点として車両用シートの一部が変形し、衝撃エネルギーを吸収することができる。
そして、脆弱部の変形量を規制するように、脆弱部を挟み込む位置に対向する規制部が形成されているので、一定の位置(形状)まで脆弱部が変形すると、対向する規制部が接触し、これにより脆弱部がさらに大きく変形しないように押し止められる。したがって、脆弱部の変形量が一定値よりも大きくなることなく、その結果、シートの変形量が一定値以下になるように規制(制御)することができる。
また、上記のように、衝撃荷重が加わった際、シートの変形量が大きくなりすぎることがないように規制されるため、乗員の着座姿勢に与える影響が軽減される。
更に、本発明においては、脆弱部及び規制部は、衝撃低減部材の回動中心が配設される位置よりも上方の位置に配設される。
このように構成されているため、車両用シートに後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際、脆弱部を起点として車両用シートの一部が変形しても、この変形により、衝撃低減部材の回動中心が移動することがなくなる。
つまり、車両用シートに後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際には、脆弱部を起点として車両用シートの上方部分が後方へと傾倒することとなるが、衝撃低減部材の回動中心は、脆弱部よりも下方に配設されているため、この回動中心は変形(後傾)とともに移動することがなく、このため、衝撃低減部材の作動が阻害されることがない。
よって、本発明に係る構成によれば、脆弱部が潰れることによる衝撃低減部材の作動効率低下を有効に防止することができる。
【0012】
このとき、請求項2のように、前記衝撃低減部材は、上方に係止される可撓性ワイヤである上方連結部材と、下方に係止される可撓性ワイヤである下方連結部材とを介して前記シートバックフレームに連結され、前記衝撃低減部材は前記下方連結部材と連結されるとともに、前記側方構成部材に回動中心により軸支されたリンクとして前記側方構成部材に対して回動可能に構成されていると好適である。
このように、受圧部材と側方構成部材との間に配設される連結部材が可撓性ワイヤで構成されることにより、乗員の後方移動時、受圧部材が後方へ荷重を受けるとワイヤが撓む(又は、屈曲していたものが伸びる)ことによって受圧部材の後方移動量を更に大きくすることができる。
そして、この連結部材であるワイヤは側方構成部材に回動可能に軸支された衝撃低減部材に連結されているが、衝撃低減部材は脆弱部よりも下方に軸支されているため、脆弱部の作動が衝撃低減部材の作動に与える影響を少なくすることができる。
つまり、上記、乗員の後方移動時に、受圧部材が後方へ荷重を受けてワイヤが撓むことにより、受圧部材の後方移動量を更に大きくするという効果を阻害することなく、脆弱部が潰れることによる衝撃吸収効果をも有効に奏することができる。
【0013】
更にこのとき、請求項3のように、前記シートバックフレームには、乗員の腰部が後方へ侵入する動きを阻止する腰部侵入阻止部材が更に備えられており、前記衝撃低減部材の回動中心は、前記腰部進入阻止部材よりも上方に位置するように配設されると好適である。
このように構成されていると、後面衝突時、乗員が後方移動する際に、この腰部進入阻止部材によって乗員の腰部の後方移動が阻止される。
このため、乗員の上体は、腰部(つまり、胴部の下方)が後方移動を行わずに腰部進入阻止部材に保持された状態となる。その一方で、乗員の頸部から胸部付近(つまり、胴部上方)は後方へと移動し、乗員の上体は後傾することとなる。したがって、乗員の胴部下方に比して、胴部上方は大きく後方へ移動することとなる。
この結果、乗員を受圧部材に効率良く沈み込ませることが可能となり、乗員の胴部上方をシートバック側に大きく入り込ませ、乗員の頭部を効率良くヘッドレストに支持させることが可能となる。よって、乗員の頸部への負担を大きく低減させることができる。
また、本発明においては、衝撃低減部材の回動中心が、腰部進入阻止部材よりも上方に位置するよう構成されている。このため、腰部進入阻止部材の腰部保持効果によって乗員の上体が腰部を中心として後方へ回動して受圧部材に沈み込む力が、衝撃低減部材の作動効率を向上させることとなる。
【0014】
また、このとき、請求項4のように、前記規制部は、前記脆弱部を挟み込む位置に形成される二つの対向部を備え、該二つの対向部間の距離は、前記脆弱部の前記規制部によって挟まれる方向の幅よりも小さく形成されるよう構成されていると好適である。
このように、規制部において脆弱部を挟み込む位置に形成される二つの対向部間の距離が、脆弱部の幅(規制部によって挟み込まれる方向における幅)よりも小さくなるように形成されることにより、衝撃荷重が加わり、脆弱部が変形した際、規制部の対向部同士が当接しやすくなる。対向部間の距離が脆弱部の幅よりも大きく形成されているか、ほぼ同等の大きさに形成されていると、衝撃荷重が特に大きい場合には、規制部によって脆弱部の変形(屈曲)が押し止められるよりも先に脆弱部が完全に屈曲してしまうことがあり、変形量(屈曲量)を規制することが難しい。しかし、上記構成とすることにより、脆弱部が完全に変形(屈曲)するよりも前に規制部によってその変形が押し止められ、脆弱部の変形量をより正確に一定値以下に規制(制御)することができる。
また、規制部の対向部同士の距離に依存して、規制部同士が接触するタイミングを設定することができる。
【0015】
また、このとき、請求項5のように、前記側方構成部材は、車幅方向に離隔して車両上方に複数延びるとともに、前記側方構成部材の下端側はリクライニングシャフトにより架橋されており、前記脆弱部は、複数の前記側方構成部材に各々備えられ、一方の前記脆弱部が形成された部位と、一方の前記脆弱部が形成された側の前記側方構成部材の前記リクライニングシャフトとの連結部位と、の距離は、他方の前記脆弱部が形成された部位と、他方の前記脆弱部が形成された側の前記側方構成部材の前記リクライニングシャフトとの連結部位と、の距離と、同じとなるように構成されていると好適である。
このように、車体幅方向に離隔して各々起立する側方構成部材に脆弱部が各々形成されるが、上記構成をとれば、例えば、通常のシートであれば、車体フロアからの高さが同じとなる位置に脆弱部を形成することができる(通常のシートでは、リクライニングシャフトは、車体フロアに対して水平に配設される)。
よって、衝撃荷重が加わった際の側方構成部材の変形位置制御が容易となる。
【0016】
また、具体的には、請求項6のように、前記側方構成部材は、下方に位置して着座フレームと連結されるサイドフレームと、該サイドフレームの上方から車両上方へ向けて延出する上部フレームとを有して構成されており、前記脆弱部及び前記規制部は、前記サイドフレーム、及び、前記上部フレームうち、前記サイドフレームの上方から車両上方へ向けて立ち上がっている位置の少なくともいずれか一方に配設されていると好適である。
このように構成されていると、サイドフレーム若しくは/及び上部フレームにおいて、衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱部を備えることにより、車両用シートに後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際、この脆弱部を起点としてサイドフレーム若しくは/及び上部フレームが変形し、衝撃エネルギーを吸収することができる。
そして、脆弱部の変形量を規制するように、脆弱部を挟み込む位置に対向する規制部が形成されているので、一定の位置(形状)まで脆弱部が変形すると、対向する規制部が接触し、これにより脆弱部がさらに大きく変形しないように押し止められる。したがって、脆弱部の変形量が一定値よりも大きくなることなく、その結果、サイドフレーム若しくは/及び上部フレームの変形量(屈曲量)が一定値以下になるように規制(制御)することができる。
また、上記のように、衝撃荷重が加わった際、サイドフレーム若しくは/及び上部フレームの変形量が大きくなりすぎることがないように規制されるため、乗員の着座姿勢に与える影響が軽減される。
【0017】
このとき、更に具体的には、請求項7のように、前記規制部は、前記脆弱部を上下方向に挟み込む位置に形成され、前記脆弱部上方に配設される第1の規制部を構成する第1の対向部と、前記脆弱部の下方に配設される第2の規制部を構成する第2の対向部とは、前記脆弱部に対して相対向するように配設されており、前記第1の対向部の少なくとも一部と前記第2の対向部の少なくとも一部とは、前記側方構成部材の変形量が所定量に達すると互いに当接し、前記側方構成部材の変形量を規制するよう構成されていると好適である。
このように構成されていると、効果的に脆弱部の変形量を規制することができる。
【0018】
さらに、詳細な構成としては、請求項8のように、前記脆弱部は、溝状に形成された凹部若しくは孔部として形成されており、前記第1の対向部と前記第2の対向部との距離は、前記凹部若しくは前記孔部の開口部であって前記第1の対向面と前記第2の対向面とで挟み込まれる位置に整合する位置の幅よりも小さくなるように構成されていると好適である。
このように構成されていると、脆弱部が屈曲した場合、脆弱部を挟み込んで配設された規制部同士(第1の規制部と第2の規制部)が接触しやすくなり、一定の位置で脆弱部の変形を押し止めるようにすることができる。
【0019】
このとき、請求項9のように、前記第1の対向面及び前記第2の対向面は、前記側方構成部材が変形した際に当該変形を誘引した作用力を他方へ伝達する一方側の車幅方向の距離が、前記側方構成部材が変形した際に当該変形を誘引した作用力を伝達される側の車幅方向の距離よりも小さくなるように構成されていると好適である。
【0020】
このように構成されていると、第1の規制部及び第2の規制部のうち、一方を他方よりも幅広に形成することができ、衝撃荷重が加わった際、例えばシートバックフレームがねじれ変形した場合であっても、第1の規制部及び第2の規制部が当接しやすくなる。つまり、一方を幅広に形成しておくことにより、複雑な入力荷重に起因してシートバックフレームがねじれるように後方へ傾倒した場合であっても、第1の規制部と第2の規制部とが接触するため、シートバックフレームの変形量を効果的に制御することができる。
【0021】
また、溶接作業等により、両規制部を上部フレームに取着する際、一方を幅広な形状としているため、厳密に取り付け位置を規定しなくともよい。例えば、一方の規制部に対して他方の規制部の取着位置が水平方向(左右方向)に若干ずれた場合であっても、どちらかの規制部が幅広に形成されているため、シートバックフレームの後傾時、第1の規制部と第2の規制部とを当接させることができる。その結果、両規制部の取着作業時、厳密に正確な位置決めをする必要がないため、作業性が向上する。
【0022】
また、請求項10のように、前記第1の規制部及び前記第2の規制部は、前記第1の対向面及び前記第2の対向面が対向した状態で連結されて一体形成されていると好適である。
このように、上下方向に並設される第1の規制部及び第2の規制部を一体で成形することによって、両対向面間の距離を高い精度で設定することができる。また、両規制部を上部フレームに取着する際、締結(接合)箇所を削減可能であるため、製造工程にかかるコストを削減することができる。
【0023】
また、このとき、請求項11のように、前記第1の規制部及び前記第2の規制部には、外側へ延出する締結部が少なくとも一つ形成されていると好適である。
このように構成されていると、溶接等の手段を用いて規制部を取着するのではなく、締結手段によって両規制部を上部フレームに取着することができる。よって、車両用シートの設計に合わせて両規制部を任意で取り外すことができる。また、締結部をそれぞれ第1の規制部、第2の規制部に形成することにより、第1の規制部及び第2の規制部の剛性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、車両用シートにおいて衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱部と、その脆弱部の変形量を規制する規制部を備えているため、シートの変形量が所定値以上に大きくなることがないように規制することができる。また、シートの変形量を制御することにより、乗員の着座姿勢に与える影響を軽減することができる。
また、脆弱部が潰れることによる衝撃低減部材の作動効率低下を有効に防止することができる。
請求項2の発明によれば、受圧部材の後方移動量を更に大きくするという効果を阻害することなく、脆弱部が潰れることによる衝撃吸収効果をも有効に奏することができる
請求項3の発明によれば、腰部進入阻止部材を備えることによって、乗員の上体が腰部を中心として後方へ回動して受圧部材に沈み込む力により、衝撃低減部材の作動効率を向上させることができる。
請求項4の発明によれば、規制部の対向部同士の幅が、脆弱部の幅よりも小さく形成されているため、脆弱部が完全に変形(屈曲)するよりも先に規制部によって脆弱部の変形が押し止められるため、効果的に脆弱部の変形量を制御することができる。
請求項5の発明によれば、側方構成部材の変形位置を制御することが容易となる。
請求項6の発明によれば、衝撃荷重が加わった際、上部フレームの変形量が大きくなりすぎることがないように規制されるため、乗員の着座姿勢に与える影響が軽減される。
請求項7の発明によれば、効果的に脆弱部の変形量を規制することができる。
請求項8の発明によれば、脆弱部が屈曲した場合、規制部同士が接触しやすくなり、一定の位置で脆弱部の変形を押し止めるようにすることができる。
請求項9の発明によれば、複雑な入力荷重に起因してシートバックフレームがねじれるように後方へ傾倒した場合であっても、シートバックフレームの変形量を効果的に制御することができる。
請求項10の発明によれば、両対向面間の距離を高い精度で設定することができるとともに、締結(接合)箇所を削減可能であるため、製造工程にかかるコストを削減することができる。
請求項11の発明によれば、車両用シートの設計に合わせて両規制部を任意で取り外すことができるとともに、第1の規制部及び第2の規制部の剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るシートフレームの前面側の概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るシートフレームの側面説明図である。
【図4】脆弱部の第1改変例を示す説明図である。
【図5】脆弱部の第2改変例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る上部フレームの後面衝突前の状態を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る上部フレームの後面衝突後の状態を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る車両用シートに乗員が着座した際の側面側説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る車両用シートにおける乗員の動きに関する説明図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る上部フレームの説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る上部フレームの説明図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る上部フレームの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることはもちろんである。また、本明細書において、乗物とは、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物、地上以外を移動する航空機や船舶など、シートを装着できる移動用のものをいうものとする。また通常の着座荷重とは、着座するときに生じる着座衝撃、乗物の急発進によって生じる加速時の荷重などを含むものである。また、後面衝突時の衝撃エネルギーとは、後面衝突時に生じる大きな荷重によるエネルギーであって、後方側からの乗物による大きな追突、後退走行時における大きな衝突等に伴うものであり、通常の着座時に生じる荷重と同様な荷重領域の荷重によるエネルギーは含まないものである。
また、左右方向とは、車両前方を向いた状態での左右方向を意味し、後述するシートバックフレーム1の幅方向と一致する方向である。また、前後方向とは、乗員が着座した状態での前後方向を意味する物である。
【0027】
図1乃至図9は本発明の実施形態に係るもので、図1は車両用シートの概略斜視図、図2はシートフレームの前面側の概略斜視図、図3はシートフレームの側面説明図、図4は脆弱部の第1改変例を示す説明図、図5は脆弱部の第2改変例を示す説明図、図6は上部フレームの後面衝突前の状態を示す説明図、図7は上部フレームの後面衝突後の状態を示す説明図、図8は車両用シートに乗員が着座した際の側面側説明図、図9は車両用シートにおける乗員の動きに関する説明図である。また、図10乃至図12は本発明の他の実施形態に係るもので、上部フレームの説明図である。
【0028】
<<車両用シートSの基礎構成>>
図1及び図2を参照して、実施形態に係る車両用シートSについて説明する。
車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1(背部)、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1(背部)及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、頭部の芯材(不図示)にクッションパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。また符号19は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーである。
【0029】
車両用シートSのシートフレームFは、図2で示すように、シートバックS1を構成するシートバックフレーム1、着座部S2を構成する着座フレーム2から構成されている。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部(不図示)で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
【0030】
リクライニング機構11は、少なくともリクライニング機構11の回動軸に沿ったリクライニングシャフト11aを備えており、リクライニングシャフト11aは、シートバックフレーム1(より詳細には、一対のサイドフレーム15)の下方に延設された一対のサイドフレーム15に設けられたサイドフレーム側シャフト貫通孔17cと着座フレーム2の後端部に形成されたシャフト挿通孔11cの連通孔からシートフレームFの側部に突出するように嵌通して配設されている。
【0031】
シートバックS1は、シートバックフレーム1に、上述のようにクッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。本実施の形態において、シートバックフレーム1は、図2で示すように、略矩形状の枠体となっており、サイドフレーム15と上部フレーム16と、下部フレーム架設部18とを備えている。
なお、このサイドフレーム15及び上部フレーム16(特に、上部フレーム16のうち、後述する上部フレーム立上部16A,16A)が、請求項記載の側方構成部材に相当する。
また、サイドフレーム15の下端側と下部フレーム架橋部18とは一体として構成されていてもよい。
【0032】
2本(一対)のサイドフレーム15は、シートバック幅を構成するため、左右方向に離間して配設され、上下方向に延在するように配設されている。
このサイドフレーム15の下端側には、衝撃荷重が加わったときに変形する脆弱部150と、この脆弱部150の一部を挟み込む位置に配設されて、脆弱部150の変形量を規制する規制部40と、が各々備えられている。
なお、この脆弱部150とは、穴部、凹部等により形成されたものである。
また、脆弱部150の形成位置は、当該位置に限られることはなく、後述する移動部材30を構成する軸部32の配設位置よりも上方であれば、どのような位置に形成されていてもよい。
【0033】
本実施形態において、両サイドフレーム15,15に各々形成された両脆弱部150,150は、水平面を基準に同じ高さとなる位置に形成されている。
つまり、本実施形態においては、一方のサイドフレーム15とリクライニングシャフト11aとの連結部(サイドフレーム側シャフト貫通孔17cの位置)と一方のサイドフレーム15に形成された脆弱部150の位置との距離が、他方のサイドフレーム15とリクライニングシャフト11aとの連結部(サイドフレーム側シャフト貫通孔17cの位置)と他方のサイドフレーム15に形成された脆弱部150の位置との距離と、同じになるように構成されている。
【0034】
換言すると、本実施形態においては、脆弱部150,150は、シートバックフレーム1の上下方向に延びる中心線に対して対称となる位置に各々形成されている。
このように構成することによって、衝撃荷重が加わった際のサイドフレーム15,15の変形位置制御が容易になる。
この周辺の構造に関しては、後に詳述する。
【0035】
なお、本実施形態においては、脆弱部150をサイドフレーム15に形成したが、これに限られることはなく、側方構成部材である上部フレーム16に構成されていてもよい。
この場合、この上部フレーム16のサイドフレーム15から延出するように左右方向に離隔して配設される部分(後述する「上部フレーム立上部16A」)に形成されているとよい。
【0036】
また、本実施形態においては、一対のサイドフレーム15の上端部側を連結する上部フレーム16が、サイドフレーム15から上方に延出している。
本実施形態に係る上部フレーム16は、一方のサイドフレーム15から上方に延設された後、屈曲し、他方のサイドフレーム15まで延設された略U字形状の部材であり、本実施形態においては、鋼製のパイプを屈曲されたものが使用されている。
なお、この上部フレーム16を構成する鋼製のパイプは、閉断面形状であればよく、例えば、断面形状が円形、矩形等のパイプが使用される。
本実施形態では、断面形状が円形のパイプを使用する。
【0037】
換言すれば、上部フレーム16は、この上部フレーム16のサイドフレーム15から延出するように左右方向に離隔して配設される部分(以下、「上部フレーム立上部16A」と記す)と、この左右方向に配置される上部フレーム立上部16A,16Aの上端側(着座フレーム2が配設される側と逆側)を架橋するように屈曲して延設されるピラー取付部16Bにより略U字形状に構成されている。
そして、上部フレーム16の上部フレーム立上部16Aは、サイドフレーム15の側板15aに対して上下方向に沿って一端部側(下端側:ピラー取付部16Bが延設される側と逆側)が重なるように配設され、この重なり部分においてサイドフレーム15に固着接合される。なお、本実施形態では上部フレーム16は断面円形の管状部材によって形成されているが、断面が矩形の管状部材としても良い。
【0038】
また、上部フレーム16の上方には、ヘッドレストS3が配設されている。ヘッドレストS3は、前述のように芯材(不図示)の外周部にクッションパッド材3aを設け、クッションパッド材3aの外周に表皮材3bを被覆して構成している。上部フレーム16には、ピラー支持部19aが配設されている。このピラー支持部19aには、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラー19(図1参照)がガイドロック(不図示)を介して取り付けられて、ヘッドレストS3が取り付けられるようになっている。なお、本実施形態ではシートバックS1とヘッドレストS3が別体となって形成されている例を示したが、シートバックS1とヘッドレストS3が一体となって形成されたバケットタイプとしても良い。
【0039】
シートバックフレーム1の一部を構成するサイドフレーム15は、図2で示すように、シートバックフレーム1の側面を構成する延伸部材であり、平板状の側板15aと、この側板15aの前端部(乗物前方側に位置する端部)からU字型に内側へ屈曲し、折り返した前縁部15bと、後端部からL字型に内側へ屈曲した後縁部15cとを有している。
【0040】
本実施形態の前縁部15bには、後縁部15c側へ張り出した突起部15dが形成されており、この突起部15dには、付勢手段としての引張りコイルばね35を係止するための係止部としての係止孔が形成されている。
そして、本実施形態のサイドフレーム15には、後述の移動部材30が係止されている。なお、移動部材30の構成、作用は後述する。
この移動部材30が、「衝撃低減部材」に相当する。
【0041】
サイドフレーム15下方(側板15a下方)は、下部フレーム架設部18によって架橋されている。下部フレーム架設部18(メンバーセンター)は、左右方向に離間して配設された一対のサイドフレーム15の下方(側板15a下方)を架橋連結するように形成されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15(側板15a下方)と下部フレーム架設部18がそれぞれ別部材として形成された例を示すが、一体に形成された構成としても良い。
【0042】
また、サイドフレーム15(側板15a下方)の下方には、リクライニングシャフト11aが挿通されるサイドフレーム側シャフト貫通孔17cが形成されており、この下方には着座フレーム2がリクライニング機構11を介して配設されている。
なお、本実施形態においては、サイドフレーム15の側板15aを一枚の板で構成した。
つまり、他の構成であるように、シートバックフレームの側方をサイドフレームと、サイドフレーム下端部に連結された下部フレーム基礎部とに分けた構成とせず、これらを一体とした構成とした。
このように一体として形成されていることによって、部品点数を削減することができ、コストを低減することができる。
【0043】
そして、本実施形態においては、下部フレーム架橋部18に、腰部進入阻害部材50が配設されている。
腰部進入阻害部材50は、所定厚さを有する金属板体を屈曲させることにより形成されており、その強度・硬度は、後面衝突時の荷重に耐えうるよう設計されている。
本実施形態に係る腰部進入阻止部材50は、中空の略角柱状に形成されており、その側面の一部が切り欠かれている。
つまり、腰部進入阻止部材50は、上方に上方面51、下方に下方面52、シートバックフレーム1の前方(乗員の着座側)に前方面53、シートバックフレーム1の後方に後方面54を有して構成されている。
【0044】
更に詳しく説明すると、上方面51は、車両フロアに対して略水平に配設される略矩形平板状部分であり、その上方面51の車両後方側端辺からは、下方向に垂下するように屈曲して後方面54が延設されている。
また、上方面51の車両前方側端辺からは、下方向に垂下するように屈曲して前方面53が延設されている。
更に、前方面53の下方側端辺からは、上方面51と略平行となるように車両後方側に屈曲して下方面52が延設されている。
また、下方面52の自由端辺側は、車両前方へ向けて湾曲しており、鉤状に形成されている。
【0045】
図2及び図3に示すように、腰部進入阻止部材50は、下部フレーム架橋部18の車両前方を向く面に取付けられる。
このとき、腰部進入阻止部材50は、その後方面54が下部フレーム架橋部18の車両前方を向く面に溶接されることにより取り付けられている。
また、腰部進入阻止部材50は、シートバックフレーム1の前方、すなわち乗員の着座側に向かって突出するように、下部フレーム架橋部18に取付けられる。このとき、リクライニングシャフト11aは、腰部進入阻害部材50の内部を貫通するように配設されるとともに、腰部進入阻害部材50とは当接しない位置に配設される。このため、リクライニングシャフト11aの回動時、腰部進入阻害部材50によって、その動きが阻害されることがなく、リクライニング機構を損なうことがない。
【0046】
<<受圧部材20の構成>>
シートバックフレーム1内(両側のサイドフレーム15の間)でシートバックフレーム1の内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える受圧部材としての受圧部材20が配設されている。
【0047】
本実施形態の受圧部材20は、樹脂を板状の略矩形状に形成した部材であり、クッションパッド1aと接する側の表面には滑らかな凹凸が形成されている。受圧部材20の裏側の上部側と下部側には、図2で示されるように、上方連結部材としてのワイヤ21及び下方連結部材としてのワイヤ22を係止するための爪部が形成されている。
【0048】
本実施形態の受圧部材20は、連結部材に支持されている。すなわち、連結部材としての2本のワイヤ21,22が両側のサイドフレーム15間に架設され、受圧部材20の裏側の上部側と下部側で、所定位置に形成された爪部によって受圧部材20と係合し、受圧部材20をクッションパッド1aの背面で、支持している。ワイヤ21,22は、ばね性を有するスチール線材から形成され、連結部である凹凸部が形成されている。
【0049】
特に本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、上方に位置するワイヤ21は、下方に位置するワイヤ22よりも細いワイヤで構成されている。これにより、受圧部材20は下方と比較して上方が後方へより移動しやすくなっている。
【0050】
また、ワイヤ22は太い線材で構成されるため、剛性が高く、通常の着座時は変形しにくい。したがって、通常の着座時、細い線材からなるワイヤ21によって支持される受圧部材20の上方は後方へ移動しやすく、太い線材からなるワイヤ22によって支持される受圧部材20の下方は大きく後方へ移動しない。その結果、通常の着座時においては受圧部材20の上方は適度に後方へ沈み込み、下方は乗員の身体を支持するため、着座感が損なわれることがない。
【0051】
さらに、ワイヤ21,22は凹凸部が形成されていることによって、所定以上の荷重(後述する衝撃低減部材の可動又は回動の荷重より大きな荷重)によって大きく変形し、受圧部材20が、より多くの移動量をもって後方へ動くように構成されている。
【0052】
図2で示すように、本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、上部側に係止されたワイヤ21の両端部は、両側のサイドフレーム15に設けられた軸支部21aに掛着されている。一方、下部側に係止されたワイヤ22の両端部は、左右のサイドフレーム15に装着された移動部材30に掛着されている。
【0053】
ワイヤ21よりも太い線材で構成されたワイヤ22は、上述のように変形しにくく、通常の着座時、受圧部材20の下方部分は後方へ移動しにくい。したがって、後面衝突時には十分な沈み込み量を確保するため、ワイヤ22の端部に移動部材30が取り付けられる。
【0054】
<<移動部材30の構成>>
衝撃低減部材としての移動部材30は、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときに、連結部材(ワイヤ22)を介して伝わる衝撃荷重により乗物後方に移動すると共に受圧部材20を後方へ移動させ、乗員を後方へ移動するものである。なお、「移動」とは、水平移動、回動等の動きを指す。本実施形態では、軸部32を回動軸として回動する移動部材30について説明する。この移動部材30の乗物後方への移動により受圧部材20を乗物後方へ大きく移動させることができ、その結果、乗員を後方へ移動させるため、乗員にかかる荷重を効率的に低減することができる。
なお、移動部材30が「衝撃低減部材」に相当し、軸部32が「回動中心」に相当する。
【0055】
本実施形態の移動部材30は、図2で示すように、両側のサイドフレーム15の側板15aの内側に、回動軸としての軸部32を介して回動自在に軸支され、下方位置のワイヤ22を係止すると共に、ワイヤ22を付勢する付勢手段としてのばね(引張りコイルばね35)と連結されるものである。つまり、移動部材30は、付勢手段35と連結しており、連結部材としてのワイヤ22を介して受圧部材20をシートバックフレーム1の前方側に付勢するように構成されている。
そして、本実施形態の移動部材30は、回動可能な軸部32によって、サイドフレーム15の内側、より詳細には側板15aの一部がシート内側に膨出して形成された凸部15eに軸支されている。
【0056】
上述した移動部材30は、両側のサイドフレーム15に取り付けられており、両側にそれぞれ配設された移動部材30に、ワイヤ22の両端部が掛着されており、各々の移動部材30が個別に作動するように構成されている。
本実施形態では、移動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられており、これら両側に取り付けられた移動部材30は、互いに独立して移動(回動)するように構成されている。このため、荷重が左右方向に偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイドフレーム15に取り付けられた移動部材30が、各々独立して移動(回動)することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を後方へ沈み込ませることができる。
【0057】
(受圧部材20と移動部材30の作用効果)
以下、受圧部材20と移動部材30の構成及び作用を説明する。
乗員が着座した通常の着座時において、シートバックS1内のクッションパッド1a、受圧部材20、ワイヤ22を介して、移動部材30を後方移動(回動)させる張力が生じる。一方、引張りコイルばね35は、移動部材30をシートバックフレーム1の前方側へ移動(回動)させるように付勢している。ここで、移動部材30に連結されている引張りコイルばね35は、通常の着座時において生じる荷重領域では撓まない荷重特性を有しているため、移動部材30は常に初期位置に制止されている。つまり、移動部材30を移動(回動)させる力に抗して初期状態に復帰させる力が、通常の着座時に最も大きくなるように構成されている。
【0058】
そして、移動部材30に備えられた移動阻止部39は、移動部材30の移動(回動)後にサイドフレーム15の後縁部15cと当接して移動(回動)を阻止する当接部である。
移動部材30の移動阻止部39は移動部材30を外周方向に延出させて一体に形成されており、その当接面が移動(回動)後においてサイドフレーム15(より詳細には、後縁部15c)と当接するので、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときであっても、移動部材30の移動(回動)を安定して停止させることができる。
この移動阻止部39は、付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
【0059】
なお、本実施形態においては、移動部材30の移動阻止部39がサイドフレーム15に直接当接して移動(回動)を阻止するように構成されているが、移動阻止部39とサイドフレーム15との間に、当接時に発生する異音を消すために、移動部材30の移動(回動)停止の安定を阻害しない程度の厚さを有するラバーなどの消音部材を取り付けることもでき、このように構成すると、安定した移動(回動)阻止ができるとともに、消音効果が期待できる。
【0060】
常時において移動部材30は、サイドフレーム15(より詳細には、凸部15eの一部を切り欠いた部分)に当接し、引張りコイルばね35による上方向に加わる力を押し止め、移動部材30が前方に移動(回動)しすぎることがないように移動(回動)範囲を制限している。
【0061】
そして、後面衝突時においては、慣性で乗員が後方に移動しようとすると、この荷重が受圧部材20と、受圧部材20に係止されたワイヤ22を介して、移動部材30を後方に移動(回動)させる方向に張力がかかる。このときの張力は、移動部材30を初期位置に留めている引張りコイルばね35を伸長させ、移動部材30を後方に移動(回動)させるのに十分な荷重となる。
【0062】
移動部材30が移動(回動)を始める力の閾値は、通常の着座荷重よりも大きな値に設定されている。
ここで、移動部材30が移動(回動)を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。
【0063】
また、通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では移動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
【0064】
上述のように、移動部材30を後方に移動(回動)させることで、移動部材30に掛着されているワイヤ22が後方に移動し、それと共にワイヤ22に係止されている受圧部材20と、受圧部材20に支持されているクッションパッド1aが後方に移動し、乗員をシートバックS1内に沈み込ませることができる。
【0065】
移動部材30は、ワイヤ22を介して生じる張力に対し、上述したような移動(回動)特性を有しているために、後面衝突が生じた場合は効果的、且つ効率よく乗員をシートバックS1のクッションパッド1aに沈み込ませることができる。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置はシートバックS1に対して相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と乗員の頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減することができる。
【0066】
上記実施形態では、移動部材30を左右両側のサイドフレーム15に設けた例を示しているが、一方のサイドフレーム15のみに設ける構成としてもよい。この場合には、移動部材30が設けられていない側のサイドフレーム15には、ワイヤ21,22を直接係止するように構成することができる。
【0067】
(脆弱部150について)
本発明の車両用シートSには、衝撃荷重が加わったときに変形する脆弱部(以下で説明する脆弱部150)と、この脆弱部の一部を挟み込む位置に配設されて、脆弱部の変形量を規制する規制部(以下で説明する規制部40)と、が備えられている。以下では、特にサイドフレーム15,15に、脆弱部150,150及び規制部40,40が各々形成された構成を説明する。なお、本明細書中において、「脆弱部」とは、後面衝突時等の所定以上の大きさの衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱性を備えた部分を示すものであり、穴部、凹部等により形成されたものである。
【0068】
次いで、サイドフレーム15,15に各々形成される脆弱部150,150、及び各々配設される規制部40,40について説明する。
なお、図2に示すように、本実施形態においては、脆弱部150,150は、サイドフレーム15,15に各々形成されるが、左右同様の構成であるため、一方のみを例にとって説明する。
【0069】
また、本実施形態に係る脆弱部150は、移動部材30を構成する軸部32が配設される位置よりも上部に形成される。
このように構成されることによって、後面衝突時に脆弱部150が潰れてシートバックフレーム1が後方へ傾いたとしても、移動部材30の軸部32が後方に移動することがなく、移動部材の作動効率を阻害することがない。
【0070】
更に、本実施形態においては、脆弱部150,150は、水平面を基準に同じ高さとなる位置に形成されている。
つまり、本実施形態においては、一方のサイドフレーム15とリクライニングシャフト11aとの連結部(サイドフレーム側シャフト貫通孔17cの位置)と一方のサイドフレーム15に形成された脆弱部150の位置との距離が、他方のサイドフレーム15とリクライニングシャフト11aとの連結部(サイドフレーム側シャフト貫通孔17cの位置)と他方のサイドフレーム15に形成された脆弱部150の位置との距離と、同じになるように構成されている。
換言すると、本実施系形態においては、脆弱部150,150は、シートバックフレーム1の上下方向に延びる中心線に対して対称となる位置に各々形成されている。
このように構成すると、衝撃荷重が加わった際のサイドフレーム15,15の変形位置制御が容易になるという効果があり、好適に車両シートに適用することができる。
ただし、水平方向での両者の高さ関係はこれに限られることはなく、軸部32よりも上方であって、サイドフレーム15上若しくは上部フレーム立上部16Aに形成されていれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、どのような位置に形成することも可能である。
つまり、脆弱部150を、サイドフレーム15上に形成する場合には、移動部材30を構成する軸部32よりも上方に配設されていれば、サイドフレーム15上のどの位置に形成されていてもよい。
【0071】
上記の通り、脆弱部150は、サイドフレーム15の軸部32より上方に形成されているが、この形成位置は、サイドフレーム15を取り付けた際、車両後方となる側となる位置である。
本実施形態においては、この脆弱部150は、断面略半円弧状で、前方へ凹んだ凹部により形成されており、一対のサイドフレーム15の内側に向かって延在するように形成されている。換言すると、脆弱部150は、左右方向、すなわちシート幅方向に沿って、サイドフレーム15の内側に向かって凹むように形成された凹部(シート幅方向に沿って形成された溝)である。
【0072】
この脆弱部150は、サイドフレーム15上の鋼製当該部分を潰すことにより形成されていてもよいし、サイドフレーム15を構成する鋼製板体自体にプレス加工等を行うことにより上記のような構造を成形してもよい。
また、本実施形態においては、脆弱部150をシート幅方向に沿って、サイドフレーム15の内側に向かって凹むように形成された凹部(シート幅方向に沿って形成された溝)として構成したが、これに限られることはなく、例えば、シート幅方向に沿って、サイドフレーム15の内側に向かって延びる長孔(シート幅方向に沿って形成された長孔)として形成されていてもよい。
【0073】
この脆弱部150は、後面衝突等、シートバックフレーム1に対して所定の衝撃荷重(通常の着座時以上の大きな衝撃荷重)が加わった際に、撓むことができ、上下方向に潰れるように変形する(図7参照)。その結果、後傾荷重を安定して効率よく吸収することができる。また、脆弱部150はシート幅方向に沿って延設されているため、左右方向の荷重が加わった場合であっても、その稜線部分で荷重を受け止めることが可能であり、シート幅方向の荷重に対する剛性を向上させることができる。
【0074】
後面衝突時等、乗員が急激に後方へ移動する際、その衝撃荷重を受けることにより、脆弱部150が上下方向に押しつぶされる。このように、脆弱部150が押しつぶされると、サイドフレーム15は、その上方部(具体的には、脆弱部150が形成されている箇所よりも上方部)が車両後方へ折曲するように変形し、この変形に伴い、サイドフレーム15が後傾する。なお、通常の着座荷重に耐えられる強度を備えていれば、脆弱部150を変形しやすくするため、脆弱部150を構成する部分の構成板体のみを薄く形成しても良い。
【0075】
なお、本発明において、脆弱部150は、移動部材30を構成する軸部32よりも上方に形成されているため、脆弱部150が潰れてサイドフレーム15が後傾しても、移動部材30の作動が阻害されることがない。
さらに、脆弱部150がサイドフレーム15に形成されているため、衝撃荷重が加わった際、脆弱部150の変形が着座フレーム2により妨げられることがなく、効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0076】
(脆弱部150の第1改変例)
上記の実施形態においては、脆弱部150を、内側に向かって凹むように形成された凹部(シート幅方向に沿って形成された溝)として構成したが、これに限られることはなく、図4に示すように、脆弱部150を、孔部150aと凹溝部150bとで構成してもよい。
孔部150aは、側板15aと後縁部15cとの境界部(屈曲部)に穿たれた孔である。
また、凹溝部150bは、内側に向かって凹むように後縁部15cに形成された衝撃荷重に対して可撓性を備える凹部(シート幅方向に沿って形成された溝)として構成される。
この凹溝部150bは、その一端側(側板15aと後縁部15cとの境界部側端部)で孔部150aと連続するよう構成される。
このように構成されることによって、衝突エネルギーを受けた際、脆弱部150は潰れやすくなり、より効率良く衝撃エネルギーを吸収することが可能となる。
また、このとき、側板15aに突縁部150cが形成されていてもよい。
この突縁部150cは、外側に張り出すように側板15aに形成された突縁(車両前後方向に沿って形成された断面略半円状の突縁)であり、その一端側(側板15aと後縁部15cとの境界部側端部)で孔部150aと連続するよう構成される。
このように、突縁部150cを更に備えると、より一層、衝突エネルギーを受けた際、脆弱部150は潰れやすくなり、より効率良く衝撃エネルギーを吸収することが可能となる。
【0077】
(脆弱部150の第2改変例)
図5に、サイドフレーム15の基端部に脆弱部150を形成する例を示す。
図5に示すように、脆弱部150は、孔部150aと、凹溝部150bと、突縁部150cとを少なくとも備えて構成される。
孔部150aは、側板15aの下端部(基端部)と後縁部15cの下端部(基端部)との境界部(屈曲部)に穿たれた孔である。
また、後縁部15cには、後面衝突時の衝撃エネルギーを効率良く吸収するため、所定以上の衝撃荷重に対して可撓性を備えた凹溝部150bが形成されている。
凹溝部150bは、断面略半円弧状で、前方へ凹んだ溝部として形成されており、一対のサイドフレーム15の内側に向かって延在するように形成されている。換言すると、凹溝部150bは、左右方向、すなわちシート幅方向に沿って、サイドフレーム15の内側に向かって凹むように形成された凹部である。
この凹溝部150bは、その一端側(側板15aと後縁部15cとの境界部側端部)で孔部150aと連続するよう構成される。
また、突縁部150cは、外側に張り出すように側板15aに形成された突縁(車両前後方向に沿って形成された断面略半円状の突縁)であり、その一端側(側板15aと後縁部15cとの境界部側端部)で孔部150aと連続するよう構成される。
【0078】
後面衝突時等、乗員が急激に後方へ移動する際、その衝撃荷重を受けることにより、凹溝部150bが上下方向に押しつぶされることにより、サイドフレーム15の基端部が折曲するように変形し、この変形に伴い、シートバックフレーム1が後傾する。したがって、凹溝部150bは、下部フレームを構成する部材の中でも、特にサイドフレーム15の下方に形成されていると好適である。
【0079】
サイドフレーム15は、この折曲部(側板15aと後縁部15cとの境界部分)によって上下方向の荷重に対する剛性を備えている。したがって、衝撃荷重の大きさに依存して、上下方向において変形しにくくなり、衝撃エネルギーを効率よく吸収することが難しい場合がある。しかし、孔部150aが、側板15aと後縁部15cとの境界部分に形成されており、後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際、孔部150aが、凹溝部150b及び突縁部150cと比較して変形しやすく形成されている。このため、初めに孔部150aが上下方向に潰れるように変形することができる。その結果、脆弱部150よりの上方が後傾するように変形するため、効率よく後傾荷重のエネルギーを吸収することが可能である。
【0080】
また、凹溝部150bは、車体フロアと水平に延設された水平部分から内側上方に屈曲して延設された傾斜部分(以下、「傾斜部150d」と記す)を備えていると好適である。
この傾斜部150dは、シート内側に向かうに従って上方に傾斜するように屈曲され、両サイドフレーム15,15下端側の架橋部分の傾斜した上端部まで延設された構成となっている。
【0081】
このように、凹溝部150bを水平な直線状にのみ延設した構成とするのではなく、屈曲させて、略水平方向以外の方向、すなわち斜め方向に延設された部分(傾斜部150d)を備えた構成とすることにより、屈曲部分及び傾斜部150d周辺において剛性が向上する。したがって、後面衝突等によりシートバックフレーム1が後傾して変形する荷重が加わった場合、凹溝部150bの水平部分が特に変形しやすくなり、効率よく衝撃エネルギーを吸収させることができる。
また、傾斜部150dを、両サイドフレーム15,15下端側の架橋部分上端部まで延設することにより、凹溝部150bを全体として屈曲させやすくなる。
【0082】
また、傾斜部150dは、水平部分に対して略垂直に形成されていてもよいが、水平部分に対して傾斜して形成されていると好ましい。すなわち、水平部分に対して、傾斜部150dは、鋭角又は鈍角を成す構成であると好ましい。
つまり、傾斜部150dを、水平部分に対して略垂直に形成すると、シートバックフレーム1に対して後傾する荷重が加わった際に、傾斜部150dによって後傾荷重に対する剛性が向上し、水平部分は変形しにくくなる。一方、水平部分に対して傾斜部150dが鋭角又は鈍角を成す構成とすると、後傾荷重により適度に変形し、水平部分を屈曲させることができる。
【0083】
凹溝部150bの水平部分は、傾斜部150dが形成された側の端部とは対向する側の端部において、孔部150aと連続している。従って、凹溝部150bの水平部分の中でも傾斜部150dから最も遠い位置(すなわち、剛性が比較的高くなく、撓み変形しやすい位置)に孔部150aが形成されることとなる。このため、衝撃荷重が加わった際に孔部150aが変形しやすくなり、それに伴って凹溝部150bの水平部分を変形させて衝撃エネルギーを効率良く吸収させることができる。
【0084】
(規制部40について)
次いで、図6及び図7により、規制部40について説明する。
上記のように脆弱部150が設けられたサイドフレーム15の後面には、さらに、脆弱部150を介して対向する規制部40(第1の規制部41、第2の規制部42)が備えられている。規制部40(第1の規制部41、第2の規制部42)は脆弱部150を挟むように対向してサイドフレーム15上に溶接等の手段を用いて取り付けられており、脆弱部150の上下においてそれぞれ設けられる。
【0085】
後面衝突時等の衝撃荷重がシートバックフレーム1に加わった際、脆弱部150が上下方向に潰れるようにしてサイドフレーム15の上方(具体的には、脆弱部150が形成されている箇所よりも上方部)が後方へ屈曲するが、規制部40は、図7に示すように、脆弱部150の潰れる量(すなわち、サイドフレーム15の後傾角度)が一定値以上に大きくならないように規制するために備えられる。
【0086】
すなわち、脆弱部150を介して対向して備えられる一対の規制部40は、サイドフレーム15に設けられた脆弱部150の屈曲が大きくなると、規制部40同士(第1の規制部41、第2の規制部42)が接触し、下方に備えられた第2の規制部42が上方に備えられた第1の規制部41を押し止めるように配設される。
【0087】
規制部40は、脆弱部150を挟む位置において対向して配設される規制面41a,42aをそれぞれ有する第1の規制部41及び第2の規制部42を備えている。つまり、第1の規制部41、第2の規制部42には、それぞれ対向して配設される規制部40(第1の規制部41または第2の規制部42)に当接し、脆弱部150が屈曲する際、一定量以上屈曲しないように規制する規制面41a,42aがそれぞれ備えられている。したがって、例えば、図4に示すように、第1の規制部41、第2の規制部42は、断面が略台形状の部材とするとよい。規制面41a,42aは、その面積が大きいほど、脆弱部150の屈曲時、規制部40同士(第1の規制部41、第2の規制部42)が接触しやすくなるため、シートバックフレーム1の変形量(後傾量)を規制することができる。
【0088】
このように、上下方向に対向して配設される第1の規制部41、第2の規制部42からなる規制部40は、脆弱部150を挟み込む位置に形成される二つの対向部としての規制面41a,42aをそれぞれ備えている。そして、これら二つの規制面41a,42a間の距離は、脆弱部150の高さ方向の幅(すなわち、第1の規制部41、第2の規制部42によって挟まれる方向の幅)よりも小さく形成されている。
【0089】
具体的には、上方に備えられる第1の規制部41の下端部(すなわち、規制面41a)は、脆弱部150の上端部よりも下方に配設される。一方、下方に備えられる規制部40の上端部(すなわち、規制面42a)は、脆弱部150の下端部よりも上方または略同じ高さに配設される。なお、図6において、下方に備えられる規制部40の規制面42aは、脆弱部150の下端部と略同じ高さに配設された状態を図示している。
【0090】
すなわち、対向する一対の規制部40(第1の規制部41、第2の規制部42)間の距離は、脆弱部150の一対の規制部40が並設される方向の幅よりも小さく形成されている。さらに換言すると、図6において、対向する規制面41a,42a間の距離αと、脆弱部150の上下方向の幅βは、α<βとなるように形成されている。
【0091】
このような構成とすることにより、脆弱部150が上下方向に屈曲した場合、図7のように、脆弱部150の上下方向に配設された規制部40同士(第1の規制部41、第2の規制部42)が接触しやすくなり、一定の位置で脆弱部150の変形を押し止めるようにすることができる。
【0092】
本実施形態においては、第1の規制部41、第2の規制部42のいずれにおいても平面状の規制面41a,42aが形成された例を図示しているが、少なくとも一方において、規制面41a(または規制面42a)が平面状に形成されているとよい。
すなわち、第1の規制部41及び第2の規制部42のうち少なくとも一方に備えられた規制面41a(または規制面42a)は、平面状に形成されている。
【0093】
このように、第1の規制部41または第2の規制部42のうち、少なくとも一方の規制面41a(または規制面42a)を平面状とすることにより、脆弱部150が屈曲した際、規制部40同士(第1の規制部41、第2の規制部42)が接触しやすくなる。その結果、脆弱部150の屈曲量が制限され、サイドフレーム15の変形量が規定値よりも大きくなることがない。
【0094】
図7に示すように、平面状に形成された規制面41a,42aを備えた規制部40は、衝撃荷重が加わることにより脆弱部150が変形し、第1の規制部41が第2の規制部42に当接する際、第1の規制部41が平面状に形成された規制面42aに当接するように形成されている。すなわち、脆弱部150の変形時、第1の規制部41が当接する第2の規制部42の規制面42aは、少なくとも第1の規制部41の後方側(すなわち、脆弱部150が形成された側とは反対側)の縁端よりもさらに後方(脆弱部150とは反対側)まで延設されている。このような構成とすることにより、第1の規制部41が平面状に形成された規制面42aに対して強固に当接するため、第1の規制部41が第2の規制部42に対して滑ってずれてしまうことが抑制され、より安定して脆弱部150の変形を押し止めることができる。
【0095】
上記構成とするためには、例えば、衝撃エネルギーが加わる前の状態(通常状態)において、第2の規制部42の規制面42aの後方側縁端部を、第1の規制部41の規制面41aの後方側縁端部よりも後方(脆弱部150とは反対側)となるように形成されているとよい。
【0096】
なお、図6及び図7に示すように、規制部40は中空に形成された構成とすると、車両用シートSを軽量化することができるため好ましいが、規制部40の強度を十分に確保するため、中実であっても良い。また、軽量化のため、各規制面41a,42aには、図6等に示すように、孔が設けられていてもよい。
【0097】
(サイドフレーム15の作用効果)
後面衝突時の衝撃荷重が加わった際に上部フレーム16が変形する様子について、図6、図7を参照して、以下説明する。
図6は、通常時であり、図7は後面衝突時の衝撃荷重がサイドフレーム15にかかった場合の変形の様子である。後面衝突時、シートバックフレーム1に対して、主として後傾する方向の荷重が加わる。
【0098】
そして、図7に示すように、サイドフレーム15に荷重が伝達されると、このサイドフレーム15に形成された脆弱部150が上下方向に押しつぶされるように変形し、その結果、サイドフレーム15の上方部(具体的には、脆弱部150の形成位置よりも上方部)が後傾し、シートバックフレーム1が変形する。
【0099】
そして、上記のように脆弱部150が屈曲する際、サイドフレーム15に備えられた規制部40により、脆弱部150の屈曲量が大きくなりすぎることがないように規制される。つまり、後面衝突時の衝撃荷重が加わった際、脆弱部150が上下方向に押しつぶされるように屈曲してサイドフレーム15(さらには、シートバックフレーム1)が後傾するが、脆弱部150が一定の範囲まで屈曲すると、一対の規制部40同士が互いに接触し、脆弱部150の屈曲量を規制する。したがって、規制部40を備えることにより、シートバックフレーム1の後傾量が大きくなりすぎることなく、後傾量を適当な大きさに設定することができる。
【0100】
また、本実施形態においては、腰部進入阻止部材50が備えられている。後面衝突時には、この腰部進入阻止部材50(前方面53)に乗員の腰部が衝突し、この腰部を中心として乗員の上体が後方へと回動する。
この上体の回動力で、移動部材30の作動効率が上がる。
つまり、この移動部材30に連結された受圧部材20を備えることにより、車両用シートSは、後面衝突時等において、乗員を十分にシートバックS1に沈み込ませることができる。
従って、受圧部材20をサイドフレーム15に対して乗員の身体を相対的に沈み込ませ、後面衝突等による衝撃エネルギーを効率よくシートバック1へ伝達し、吸収させることが可能である。
その結果、サイドフレーム15に形成された脆弱部150を変形させ、さらに効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0101】
(後面衝突時の相互効果)
上記の構成をふまえ、本実施形態における、腰部進入阻止部材50、移動部材30(重圧部材20)、脆弱部150、規制部40の位置関係及び作用効果について、図8及び図9を用いて説明する。
図8に示すように、腰部進入阻止部材50は、下部フレーム架橋部18の車両前方を向く面に取付けられる。
そして、本実施形態では、受圧部材20に連結された移動部材30の軸部32の位置は、この腰部侵入阻止部材50よりも上部に配設されるよう構成されており、脆弱部150は、軸部32より上部に配設されるよう構成されている。
【0102】
通常上体においては、図9(a)に示すように、乗員は着座している。
このように、通常は、乗員は、腰部を含む背面部をシートバックS1に当接させた状態で着座しており、その荷重はシートバックS1の後方側へ付加されている。
そして、後面衝突が発生し、車両後方より大きな衝撃を受けると、通常の着座状態よりも大きな衝撃荷重により乗員の上体が前方に押し出される。その後、上体胴部(肩より下方の部分)がシートバックS1に沈み込む速度よりも速い速度で頭部が後方へ向かい急激に傾倒する。その結果、頸部付け根(頸部と胴部との連結店)を軸として頸部が後方へ傾倒し、この運動により頸部は大きな負荷を受けることとなる。
【0103】
しかし、本実施形態においては腰部進入阻止部材50が備えられており、図9(b)に示すように、後面衝突時において、慣性で乗員が後方に移動しようとすると、この腰部進入阻止部材50により、乗員の腰部の後方移動を押しとどめることができる。つまり、乗員の上体が後方へ沈み込もうとすると、この腰部進入阻止部材50によって腰部が前方に押し戻される。
その結果、後面衝突時、乗員の胴部上方(胸部付近)の沈み込み量が相対的に大きくなり、上体が後傾する(臀部付近を軸として後方へ回動する)ことにより、頸部及び頭部が上体に連動して後方へ移動することとなる。その結果、乗員の胴部上方を効果的かつ適正に後方へ傾倒させてヘッドレストS3に保持させることができる。
【0104】
更に、本実施形態においては、移動部材30及び受圧部材20が備えられている。衝撃荷重を受けると、受圧部材20及びワイヤ22を介して、移動部材30を後方に移動(回動)させる方向に力が付加される。
そして、移動部材30を後方に移動(回動)させることで、移動部材30に掛着されているワイヤ22が後方に移動し、それと共にワイヤ22に係止されている受圧部材20と、受圧部材20に支持されているクッションパッド1aが後方に移動し、乗員をシートバックS1内に沈み込ませることができる。
このように乗員をシートバックS1内に沈み込ませることにより、乗員の頭部をヘッドレストS3に効果的に当接させることができ、頭部の後方移動は軽減される。
このとき、腰部進入阻止部材50が配設されることにより効率的に生じる上体の回転力により、移動部材30の作動効率は、腰部進入阻止部材50が無い場合に比して格段に良好なものとなる。
【0105】
また更に、本実施形態においては、脆弱部150が備えられているため、乗員が急激に後方へ移動する際、その衝撃荷重を受けることにより、この脆弱部150が上下方向に押しつぶされる。このように、脆弱部150が押しつぶされると、サイドフレーム15は、その上方部(具体的には、脆弱部150が形成されている箇所よりも上方部)が車両後方へ折曲するように変形し、この変形に伴い、サイドフレーム15が後傾し、後傾荷重を安定して効率よく吸収することができる。
【0106】
また、本実施形態においては、規制部40により、脆弱部150の屈曲量が大きくなりすぎることがないように規制される。したがって、規制部40を備えることにより、シートバックフレーム1の後傾量が大きくなりすぎることなく、後傾量を適当な大きさに設定することができる。
そして、この脆弱部150及び規制部40は、移動部材30の軸部32配設位置よりも上方に配設されるよう構成される。
このように構成されているため、脆弱部150が潰れてサイドフレーム15がこの部分から後方へ傾倒しても、移動部材30の回転軸である軸部32が後方へ移動することがなく、移動部材30の作動効率が低下し難くなる。
【0107】
<<他の実施形態>>
上記規制部40は、サイドフレーム15に固着接合されて取着された例を示したが、規制部の他の実施形態として、規制部140をサイドフレーム15と一体に成形した構成としてもよい。規制部140は、サイドフレーム15から後方へ突出するように形成されるとよい。
【0108】
サイドフレーム15と一体に成形された規制部140は、上記の規制部40と同様に、互いに対向する対向部、すなわち規制面141a,142aをそれぞれ有する第1の規制部141,第2の規制部142によって構成されている。なお、規制部140の作用効果は上記規制部40と同様であるので、その説明を省略する。
このように、規制部140をサイドフレーム15と一体に成形することにより、部品点数を削減することができるだけでなく、溶接等の作業を行う必要がないため、作業工程を短縮することができる。
【0109】
さらに他の実施形態として、図10のように、規制部240は、第1の規制部241と、第2の規制部242とが一体に成形され、その後、サイドフレーム15に取着された構成としてもよい。規制部240において、第1の規制部241と、第2の規制部242とは上下方向に連続して形成されており、脆弱部150の位置に、これと略同形状の凹部または穴等の開口部240aが形成されている。したがって、規制部240において、この開口部240aを形成することにより、衝撃荷重がシートバックフレーム1に加わった際、規制部240により、脆弱部150の変形が阻害されることがない。
【0110】
さらに、上下方向に並設される第1の規制部241及び第2の規制部242を一体で成形することにより、開口部240aの寸法、すなわち規制面241a,242a間の距離を高い精度で設定することができる。また、規制部240をサイドフレーム15に取着する際、締結(接合)箇所を削減可能であるため、製造工程にかかるコストを削減することができる。
【0111】
また、さらに他の実施形態として、図11に示す規制部340のように、第1の規制部341,第2の規制部342を別体に形成し、それぞれに締結手段を挿通する締結部341b,342bを形成した構成としてもよい。締結部341b,342bは、規制面341a,342aが形成されていない部分から、シート内側及び上方に向かってそれぞれ延設されており、サイドフレーム15の表面形状に沿うように平板状に形成されている。
【0112】
そして、締結部341b,342bには、締結手段を挿通可能なように、孔が形成されている。この孔を長孔とすることにより、第1の規制部341、第2の規制部342を取着する際、位置決めを容易にすることができる。
【0113】
このように、第1の規制部341、第2の規制部342においてそれぞれ締結部341b,342bを備えることにより、サイドフレーム15に取着する際、ボルト‐ナット等の締結手段を用いて規制部340を取着することができる。
【0114】
このように、溶接等の手段を用いて規制部340を取着するのではなく、締結部341b,342bを備え、締結手段によってサイドフレーム15に取着することにより、車両用シートSの設計に合わせて規制部340を任意で取り外すことができる。また、締結部341b,342bをそれぞれ第1の規制部341、第2の規制部342をそれぞれ形成することにより、第1の規制部341、第2の規制部342の剛性を向上させることができる。
【0115】
さらに他の実施形態として、図12に示す規制部440のように、第1の規制部441、第2の規制部442に備えられる規制面441aと、規制面442aとの幅が異なるように形成されていてもよい。上記の各実施形態では、上下に設けられる第1の規制部441及び第2の規制部442の左右方向の幅が等しくなるように形成された構成を図示したが、本実施形態のように、一方(特に下方に配設される規制部)の規制面の左右方向の幅を大きく形成してもよい。
【0116】
第1の規制部441の規制面441aの左右方向の幅(図12のaで示す長さ)は、第2の規制部442の規制面442aの左右方向の幅(図12のbで示す長さ)と異なるように形成されている。このとき、下方に配設される第2の規制部442の規制面442aの幅のほうが大きく形成されている。すなわち、a<bである。
【0117】
このように、規制部440を構成する第1の規制部441及び第2の規制部442のうち、一方を他方よりも幅広に形成することにより、衝撃荷重が加わった際、例えばシートバックフレーム1がねじれ変形した場合であっても、第1の規制部441及び第2の規制部442が当接しやすくなる。つまり、一方を幅広に形成しておくことにより、複雑な入力荷重に起因してシートバックフレーム1がねじれるように後方へ傾倒した場合であっても、第1の規制部441と第2の規制部442とが接触するため、シートバックフレーム1の変形量を制御することができる。
【0118】
また、溶接作業等により、規制部440をサイドフレーム15に取着する際、一方を幅広な形状とすることにより、厳密に取り付け位置を規定しなくともよい。例えば、第1の規制部441に対して第2の規制部442の取着位置が左右方向に若干ずれた場合であっても、第2の規制部442が幅広に形成されているため、シートバックフレーム1の後傾時、第1の規制部441を第2の規制部442に対して当接させることができる。その結果、規制部440の取着作業時、厳密に正確な位置決めをする必要がないため、作業性が向上する。
【0119】
このように、第1の規制部441と第2の規制部442とを異なる幅で形成することにより、複雑な入力荷重が加わってねじれ変形した場合等であっても、後傾量を制御しやすくなる。
【0120】
なお、上記各実施形態では、具体例として、後面衝突時について説明したが、本発明の構成は後面衝突時に限定されるもではなく、例えば、側面衝突時の衝撃エネルギーを吸収するための構成としても適用可能である。また、自動車のフロントシートのシートバックS1について説明したが、これに限らず、後部座席のシートバックについても、同様の構成を適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0121】
S 車両用シート
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
11a リクライニングシャフト
11c シャフト挿通孔
15 サイドフレーム(側方構成部材)
15a 側板
15b 前縁部
15c 後縁部
15d 突起部
15e 凸部
150 脆弱部
150a 孔部
150b 凹溝部
150c 突縁部
150d 傾斜部
16 上部フレーム(側方構成部材)
16A 上部フレーム立上部
16B ピラー取付部
17c サイドフレーム側シャフト貫通孔
18 下部フレーム架設部
19 ヘッドレストピラー
19a ピラー支持部
20 受圧部材
21 ワイヤ(連結部材、上方連結部材)
21a 軸支部
22 ワイヤ(連結部材、下方連結部材)
30 移動部材(衝撃低減部材)
32 軸部(回動中心)
35 引張りコイルばね
39 移動阻止部
40,140,240,340,440 規制部
240a 開口部
41,141,241,341,441 第1の規制部
41a,141a,241a,341a,441a 規制面(第1の対向部)
341b 締結部
42,142,242,342,442 第2の規制部
42a,142a,242a,342a,442a 規制面(第2の対向部)
342b 締結部
50 腰部進入阻止部材
51 上方面
52 下方面
53 前方面
54 後方面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に離隔して車両上方に延びる側方構成部材を有して構成されたシートバックフレームと、
該シートバックフレームに連結部材を介して連結され、乗員を支持する受圧部材と、
少なくとも一方の前記側方構成部材に配設されるとともに、前記連結部材と連結され、前記受圧部材に加わった所定の衝撃荷重により回動して前記受圧部材を後方へ移動させる衝撃低減部材と、を備え、
前記側方構成部材には、所定の衝撃荷重が加わったときに変形する脆弱部と、該脆弱部の一部を挟み込む位置に配設されて前記脆弱部の変形量を規制する規制部と、が更に備えられており、
前記脆弱部及び前記規制部は、前記衝撃低減部材の回動中心よりも上方に配設されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記衝撃低減部材は、上方に係止される可撓性ワイヤである上方連結部材と、下方に係止される可撓性ワイヤである下方連結部材とを介して前記シートバックフレームに連結され、
前記衝撃低減部材は前記下方連結部材と連結されるとともに、前記側方構成部材に回動中心により軸支されたリンクとして前記側方構成部材に対して回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記シートバックフレームには、乗員の腰部が後方へ侵入する動きを阻止する腰部侵入阻止部材が更に備えられており。
前記衝撃低減部材の回動中心は、前記腰部進入阻止部材よりも上方に位置するように配設されることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記規制部は、前記脆弱部を挟み込む位置に形成される二つの対向部を備え、
該二つの対向部間の距離は、前記脆弱部の前記規制部によって挟まれる方向の幅よりも小さく形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記側方構成部材は、車幅方向に離隔して車両上方に複数延びるとともに、前記側方構成部材の下端側はリクライニングシャフトにより架橋されており、
前記脆弱部は、複数の前記側方構成部材に各々備えられ、
一方の前記脆弱部が形成された部位と、一方の前記脆弱部が形成された側の前記側方構成部材の前記リクライニングシャフトとの連結部位と、の距離は、
他方の前記脆弱部が形成された部位と、他方の前記脆弱部が形成された側の前記側方構成部材の前記リクライニングシャフトとの連結部位と、の距離と、同じとなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記側方構成部材は、下方に位置して着座フレームと連結されるサイドフレームと、該サイドフレームの上方から車両上方へ向けて延出する上部フレームとを有して構成されており、
前記脆弱部及び前記規制部は、前記サイドフレーム、及び、前記上部フレームうち、前記サイドフレームの上方から車両上方へ向けて立ち上がっている位置の少なくともいずれか一方に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項7】
前記規制部は、前記脆弱部を上下方向に挟み込む位置に形成され、
前記脆弱部上方に配設される第1の規制部を構成する第1の対向部と、前記脆弱部の下方に配設される第2の規制部を構成する第2の対向部とは、前記脆弱部に対して相対向するように配設されており、
前記第1の対向部の少なくとも一部と前記第2の対向部の少なくとも一部とは、前記側方構成部材の変形量が所定量に達すると互いに当接し、前記側方構成部材の変形量を規制するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項8】
前記脆弱部は、溝状に形成された凹部若しくは孔部として形成されており、前記第1の対向部と前記第2の対向部との距離は、前記凹部若しくは前記孔部の開口部であって前記第1の対向面と前記第2の対向面とで挟み込まれる位置に整合する位置の幅よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の車両用シート。
【請求項9】
前記第1の対向面及び前記第2の対向面は、前記側方構成部材が変形した際に当該変形を誘引した作用力を他方へ伝達する一方側の車幅方向の距離が、前記側方構成部材が変形した際に当該変形を誘引した作用力を伝達される側の車幅方向の距離よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の車両用シート。
【請求項10】
前記第1の規制部及び前記第2の規制部は、前記第1の対向面及び前記第2の対向面が対向した状態で連結されて一体形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9いずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項11】
前記第1の規制部及び前記第2の規制部には、外側へ延出する締結部が少なくとも一つ形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項10いずれか1項に記載の車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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