説明

車両用シート

【課題】脆弱部の変形時に線状部材の干渉を回避し、脆弱部の変形の阻害や脆弱部に掛かる荷重の変動を抑制するとともに、線状部材自体の損傷についても抑える。
【解決手段】衝撃荷重が加わった際に変形する内方脆弱部17eを備えたシートバックフレーム1と、少なくとも一部がシートバックフレーム1の、内方脆弱部17eを備えた面に対向するように配索されたハーネスEとを有する車両用シートSにおいて、ハーネスHの、シートバックフレーム1の内方脆弱部17eを備えた面に対向した部分が、シートバックフレーム1の内方脆弱部17eを備えた面のうち、内方脆弱部17eが位置する部位から離間するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに係り、特に、衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱部と、脆弱部の変形量が所定量に達した際に互いに当接し合って変形量を規制する第1規制部及び第2規制部とをフレームに備えるとともに、当該フレームの脆弱部を備えた面に一部が対向するように線状部材が配索されている車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車などの車両後部が追突されたり、後退走行時に大きく衝突したりするなど、いわゆる後面衝突の際には、着座している乗員が慣性力によって急激に後方移動すると共に、乗員の上体が後傾する。
【0003】
また、一般的な車両用シートのシートバックは、金属製のシートバックフレームにクッション材を載置し、表皮材で被覆した構成であるが、後面衝突時等は、上記のように乗員が急激に後方移動するため、この動きに対してシートバックの変形量が十分でなく、乗員の身体に加わる荷重を効率的に軽減できない場合がある。その上、シートバックに大きな荷重が加わるため、シートバックが不具合を起こしてしまう虞がある。
【0004】
このような問題を解消するために、特許文献1では、シートバックフレームの上部に後ろ向きの荷重が加わった場合、サイドフレーム(特許文献1では「サイドメンバ」と記載されている)が曲がる構成とし、後方移動時に乗員に加わる荷重を緩和する技術が提案されている。つまり、特許文献1に開示されたシートバックフレームでは、後面衝突時等、乗員の後方移動に伴って後方への荷重が加わると、サイドフレームが屈曲し、その結果、シートバックフレームによって後方移動の衝撃エネルギーが吸収される。
【0005】
ただし、特許文献1に開示されたシートバックフレームでは、変形箇所をサイドフレームの所定箇所(屈曲箇所)に限定することが困難であり、シートバックフレームに後方への荷重が加わると、サイドフレームの上下方向において、何れかの部位が屈曲する。このように屈曲点を限定することができない結果、シートバックフレーム全体に衝撃エネルギーが伝達され、衝撃エネルギーの吸収効率が低下し、安定して衝撃エネルギーを緩和することが難しくなる。
【0006】
上記の問題を解消する方策として、本出願人は、例えばシートバックフレーム中に脆弱部(脆弱部については後述する)を設けることにより、後面衝突時等、衝撃エネルギーが加わった際に脆弱部を優先的に屈曲させ、衝撃エネルギーを効率よく吸収する技術を提唱している(特願2010−273867)。このように、シートバックフレームの変形箇所を限定すれば、効率よく衝撃エネルギーを吸収することが可能となる。
【0007】
また、上記の脆弱部が設けられたシートバックフレームは、衝撃エネルギーを吸収するにあたり、後傾するように変形するものであるが、その変形量(後傾量)は衝撃エネルギーの大きさに依存する。したがって、過大な衝撃エネルギーが作用すると、シートバックフレームの後傾する角度が大きくなりすぎ、乗員の着座姿勢が変化して着座感が損なわれる虞がある。かかる課題に対する対策として、シートバックフレームのうち、脆弱部を挟み込む位置に、脆弱部の変形量を規制する2つの規制部を備えることが考えられる。この2つの規制部は、脆弱部の変形量が所定量に達した時に互いに当接することにより、シートバックフレームの過度な変形(後傾)を回避することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4200580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、車両用シート中の所定部位の動きに連動して他の部位を動作させる等の目的から、車両用シートにケーブルやハーネスなどの線状部材を配索することがある。当該線状部材は、その一部がシートバックフレームのうち、脆弱部を備えた面に対向するように配索される場合もある。かかる場合、シートバックフレームに対して後方への衝撃エネルギーが掛かって脆弱部が変形し、その変形量が所定量に達して2つの規制部が互いに当接しようとした際、上記の線状部材が規制部間に挟まれることがある。このように線状部材が規制部間に挟まれてしまうと、脆弱部の変形が阻害されてしまったり、脆弱部に掛かる荷重が変動したりする。この結果、シートバックフレームは、衝撃エネルギーを適切に吸収することができなくなってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、脆弱部の変形時に線状部材の干渉を回避し、脆弱部の変形の阻害や脆弱部に掛かる荷重の変動を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱部を備えたフレームと、少なくとも一部が、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向するように配索された線状部材と、を有し、該線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記フレームの前記脆弱部を備えた面のうち、前記脆弱部が位置する部位から離間するように配置されていることにより解決される。
【0012】
このように線状部材のうち、フレームの脆弱部を備えた面に対向した部分が、当該面のうち、脆弱部が位置する部位から離間していれば、線状部材が脆弱部の変形に干渉するのを抑えることが可能となり、結果として、脆弱部の変形の阻害や脆弱部に掛かる荷重の変動が抑制されることになる。
【0013】
このとき、請求項2のように、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に設けられ、前記脆弱部の変形量が所定量に達した際に互いに当接し合って、前記変形量を規制する第1規制部及び第2規制部を更に有し、前記線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記第1規制部と前記第2規制部との間の隙間を避けた位置に配置されていると望ましい。このように、互いに当接し合う第1規制部と第2規制部との間に線状部材を引き回さないことにより、規制部間に線状部材が挟まれるのを回避することができる。これにより、脆弱部の変形に対する線状部材の干渉を効果的に抑制することが可能になる。
【0014】
また、請求項3のように、前記第1規制部及び前記第2規制部は、前記脆弱部を挟んで互いに対向した状態で、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に取り付けられた第1対向部材及び第2対向部材であると好ましい。かかる構成では、規制部の間に線状部材が挟まれることによって生じる脆弱部の変形阻害がより顕在化するので、本発明の効果がより有効なものとなる。
【0015】
また、請求項4のように、前記線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記第1対向部材及び前記第2対向部材のうち、いずれか一方の対向部材に固定されていると好適である。かかる構成によれば、バタツキ等によって線状部材の一部が規制部(第1対向部材及び第2対向部材)の間に入ってしまうのをより効果的に回避することが可能になる。
【0016】
さらに、請求項5のように、前記いずれか一方の対向部材に形成された貫通孔に係合するクリップ部材を有し、前記線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記貫通孔に係合した状態の前記クリップ部材により、前記いずれか一方の対向部材に固定されると好ましい。かかる構成によれば、いずれか一方の対向部材に線状部材を固定する際、比較的簡易な構成によって固定することが可能になる。すなわち、クリップ部材をいずれか一方の対向部材に形成された貫通穴に係合し、かかる状態のクリップ部材によって線状部材の固定を行うことが可能となる。
【0017】
また、請求項6のように、前記第1規制部及び前記第2規制部は、前記フレームの前記脆弱部を備えた面において、前記脆弱部を挟んで上下方向に沿って並ぶように配置されており、前記線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記フレームの前記脆弱部を備えた面中、前記第1規制部及び前記2規制部の配置位置の側方に位置する部位に固定されていると好ましい。かかる構成によれば、線状部材の、フレームの脆弱部を備えた面に対向した部分(特に、脆弱部周辺の部分)が、各規制部の配置位置から外れた位置に固定されるので、規制部の間に線状部材が挟まれるのをより効果的に回避することが可能になる。
【0018】
さらに、請求項7のように、前記線状部材は、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分が、前記脆弱部を跨ぐように配索されていると好適である。かかる構成では、線状部材が脆弱部を跨ぐように配索されていると、線状部材が脆弱部の変形に干渉する可能性が高まるので、脆弱部が位置する部位から線状部材を離間して、脆弱部の変形に対する線状部材の干渉を回避する構成がより有意義なものとなる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、脆弱部の変形が線状部材に干渉されるのを抑えることが可能となり、結果として、脆弱部の変形の阻害や脆弱部に掛かる荷重の変動が抑制されることになる。
請求項2の発明によれば、規制部間に線状部材が挟まれるのを回避することができるため、脆弱部の変形に対する線状部材の干渉を効果的に抑制することが可能になる。
請求項3の発明によれば、規制部間に線状部材が挟まれることによって生じる脆弱部の変形阻害がより顕在化するので、本発明の効果がより有効なものとなる。
請求項4の発明によれば、バタツキ等によって線状部材の一部が規制部の間に入ってしまうのを効果的に回避することが可能になる。
請求項5の発明によれば、いずれか一方の対向部材への線状部材の固定を比較的容易に行うことが可能になる。
請求項6の発明によれば、線状部材の、フレームの脆弱部を備えた面に対向した部分(特に、脆弱部周辺の部分)が、各規制部の配置位置から外れた位置に固定されるので、規制部間に線状部材が挟まれるのをより効果的に回避することが可能になる。
請求項7の発明によれば、線状部材が脆弱部を跨ぐように配索されているため、線状部材が脆弱部の変形に干渉する可能性が高まるので、脆弱部が位置する部位から線状部材を離間して、脆弱部の変形に対する線状部材の干渉を回避する構成がより有意義なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るシートフレームの概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るシートフレームの背面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る下部フレーム基礎部の概略斜視図である。
【図5】図4のA−A線による断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る下部フレーム基礎部の後面衝突後の状態を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る下部フレームの後面衝突前の状態を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る下部フレームの後面衝突後の状態を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る脆弱部、規制部及び線状部材の位置関係を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る線状部材の固定手段を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る下部フレーム基礎部の説明図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る下部フレーム基礎部の説明図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る下部フレーム基礎部の説明図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る下部フレーム基礎部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。また、本明細書において、乗物とは、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物、地上以外を移動する航空機や船舶など、シートを装着できる移動用のものをいうものとする。また通常の着座荷重とは、着座するときに生じる着座衝撃、乗物の急発進によって生じる加速時の荷重などを含むものである。また、後面衝突時の衝撃エネルギーとは、後面衝突時に生じる大きな荷重によるエネルギーであって、後方側からの乗物による大きな追突、後退走行時における大きな衝突等に伴うものであり、通常の着座時に生じる荷重と同様な荷重領域の荷重によるエネルギーは含まないものである。
また、左右方向とは、車両前方を向いた状態での左右方向を意味し、後述するシートバックフレーム1の幅方向と一致する方向である。また、前後方向とは、乗員が着座した状態での前後方向を意味する物である。
【0022】
図1乃至図8は、本発明の実施形態に係るもので、図1は車両用シートの概略斜視図、図2はシートフレームの概略斜視図、図3はシートフレームの背面図、図4は下部フレーム基礎部の概略斜視図、図5は図4のA−A線による断面図、図6は下部フレーム基礎部の後面衝突後の状態を示す説明図、図7は下部フレームの後面衝突前の状態を示す説明図、図8は下部フレームの後面衝突後の状態を示す説明図、図9は脆弱部、規制部及び線状部材の位置関係を示す図、図10は線状部材の固定手段を示す図である。また、図11乃至図14は本発明の他の実施形態に係るもので、下部フレーム基礎部の説明図である。なお、図3乃至図8、図11乃至図14では、説明を分かり易くするために、線状部材(具体的には、ハーネスH)を省略して図示している。
【0023】
<<車両用シートSの基礎構成>>
以下では、本実施形態に係る車両用シートSについて図を参照しながら説明する。
車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1(背部)、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1(背部)及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、頭部の芯材(不図示)にパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。また符号19は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーである。
【0024】
車両用シートSのシートフレームFは、図2で示すように、シートバックS1を構成するシートバックフレーム1、着座部S2を構成する着座フレーム2から構成されている。
シートバックフレーム1は、本発明のフレームに相当するものであり、その構成については後述する。着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部(不図示)で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
【0025】
リクライニング機構11は、少なくともリクライニング機構11の回動軸に沿ったリクライニングシャフト11aを備えており、リクライニングシャフト11aは、シートバックフレーム1(より詳細には、一対のサイドフレーム15)の下方に延設された一対の下部フレーム基礎部17(メンバーサイド)に設けられたシャフト挿通孔17c(図4乃至図6参照)からシートフレームFの側部に突出するように嵌通して配設されている。
【0026】
シートバックS1は、シートバックフレーム1に、上述のようにクッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。本実施の形態において、シートバックフレーム1は、図2で示すように、略矩形状の枠体となっており、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレーム基礎部17と、下部フレーム架設部18とを備えている。
【0027】
2本(一対)のサイドフレーム15は、シートバック幅を構成するため、左右方向に離間して配設され、上下方向に延在するように配設されている。そして、一対のサイドフレーム15の上端部側を連結する上部フレーム16が、サイドフレーム15から上方に延出している。なお、上部フレーム16は、一方のサイドフレーム15から上方に延設された後、屈曲し、他方のサイドフレーム15まで延設されている。
【0028】
閉断面形状(たとえば、断面が円形、矩形等)の部材からなる上部フレーム16は、図2で示すように、略U字状に屈曲されている。そして、上部フレーム16の側面部16aは、サイドフレーム15の側板15aに対して上下方向に沿って一部が重なるように配設され、この重なり部分においてサイドフレーム15に固着接合される。なお、本実施形1では上部フレーム16は断面円形の管状部材によって形成されているが、断面が矩形の管状部材としてもよい。
【0029】
また、上部フレーム16の上方には、ヘッドレストS3が配設されている。ヘッドレストS3は、前述のように芯材(不図示)の外周部にパッド材3aを設け、パッド材3aの外周に表皮材3bを被覆して構成している。上部フレーム16には、ピラー支持部19aが配設されている。このピラー支持部19aには、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラー19(図1参照)がガイドロック(不図示)を介して取り付けられて、ヘッドレストS3が取り付けられるようになっている。なお、本実施形態ではシートバックS1とヘッドレストS3が別体となって形成されている例を示したが、シートバックS1とヘッドレストS3が一体となって形成されたバケットタイプとしてもよい。
【0030】
シートバックフレーム1の一部を構成するサイドフレーム15は、図2で示すように、シートバックフレーム1の側面を構成する延伸部材であり、平板状の側板15aと、この側板15aの前端部(乗物前方側に位置する端部)からU字型に内側へ屈曲し、折り返した前縁部15bと、後端部からL字型に内側へ屈曲した後縁部15cとを有している。
【0031】
本実施形態の前縁部15bには、後縁部15c側へ張り出した突起部15dが形成されており、この突起部15dには、付勢手段としての引張りコイルばね35を係止するための係止部としての係止孔が形成されている。そして、本実施形態のサイドフレーム15には、後述の移動部材30が係止されている。なお、移動部材30の構成、作用は後述する。
【0032】
ところで、本実施形態の車両用シートSには、車両用シートS中の所定部位の動きに連動して他の部位を動作させる等の目的から、線状部材としてのハーネスH(例えば、図9参照)が所定の配索経路にて配索されている。このハーネスHにより、車両用シートSのうち、ハーネスHの一端が締結された部位から、他端が締結された部位まで動力を伝達することが可能になる。例えば、折り畳み可能で、前後方向にスライド移動可能な車両用シートSにおいて、ハーネスHの一端がシートバックフレーム1に締結され、他端がスライド機構(不図示)に締結された構成では、シート折り畳み操作時にシートバックS1を前方に倒伏すると、ハーネスHを介してシートバックS1の動作が上記スライド機構に伝達される結果、スライド機構も動作するようになる(すなわち、シートのスライド移動が行われるようになる)。
【0033】
そして、本実施形態では、シートバックフレーム1の上下方向に沿ってハーネスHが配索されている。より詳しく説明すると、図9に示すように、ハーネスHは、一端部側がサイドフレーム15の側板15aに沿って延出し、中途位置にてシートバックフレーム1の後面側に回り込んで当該後面(より具体的には、下部フレーム基礎部17における中間板17bの後面)と対向するように配索されている。すなわち、本実施形態において、ハーネスHは、少なくとも一部がシートバックフレーム1の後面に対向するように配索されている。
【0034】
<<受圧部材20の構成>>
シートバックフレーム1内(両側のサイドフレーム15の間)でシートバックフレーム1の内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える受圧部材としての受圧部材20が配設されている。
【0035】
本実施形態の受圧部材20は、樹脂を板状の略矩形状に形成した部材であり、クッションパッド1aと接する側の表面には滑らかな凹凸が形成されている。受圧部材20の裏側の上部側と下部側には、図2で示されるように、上方連結部材としてのワイヤ21及び下方連結部材としてのワイヤ22を係止するための爪部が形成されている。
【0036】
本実施形態の受圧部材20は、連結部材に支持されている。すなわち、連結部材としての2本のワイヤ21,22が両側のサイドフレーム15間に架設され、受圧部材20の裏側の上部側と下部側で、所定位置に形成された爪部によって受圧部材20と係合し、受圧部材20をクッションパッド1aの背面で、支持している。ワイヤ21,22は、ばね性を有するスチール線材から形成され、連結部である凹凸部が形成されている。
【0037】
特に本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、上方に位置するワイヤ21は、下方に位置するワイヤ22よりも細いワイヤで構成されている。これにより、受圧部材20は下方と比較して上方が後方へより移動しやすくなっている。
【0038】
また、ワイヤ22は太い線材で構成されるため、剛性が高く、通常の着座時は変形しにくい。したがって、通常の着座時、細い線材からなるワイヤ21によって支持される受圧部材20の上方は後方へ移動しやすく、太い線材からなるワイヤ22によって支持される受圧部材20の下方は大きく後方へ移動しない。その結果、通常の着座時においては受圧部材20の上方は適度に後方へ沈み込み、下方は乗員の身体を支持するため、着座感が損なわれることがない。
【0039】
さらに、ワイヤ21,22は凹凸部が形成されていることによって、所定以上の荷重(後述する衝撃低減部材の可動又は回動の荷重より大きな荷重)によって大きく変形し、受圧部材20が、より多くの移動量をもって後方へ動くように構成されている。
【0040】
図2で示すように、本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、上部側に係止されたワイヤ21の両端部は、両側のサイドフレーム15に設けられた軸支部21aに掛着されている。一方、下部側に係止されたワイヤ22の両端部は、左右のサイドフレーム15に装着された移動部材30に掛着されている。
【0041】
ワイヤ21よりも太い線材で構成されたワイヤ22は、上述のように変形しにくく、通常の着座時、受圧部材20の下方部分は後方へ移動しにくい。したがって、後面衝突時には十分な沈み込み量を確保するため、ワイヤ22の端部に移動部材30が取り付けられる。
【0042】
<<移動部材30の構成>>
衝撃低減部材としての移動部材30は、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときに、連結部材(ワイヤ22)を介して伝わる衝撃荷重により乗物後方に移動すると共に受圧部材20を後方へ移動させ、乗員を後方へ移動するものである。なお、「移動」とは、水平移動、回動等の動きを指す。本実施形態では、軸部32を回動軸として回動する移動部材30について説明する。この移動部材30の乗物後方への移動により受圧部材20を乗物後方へ大きく移動させることができ、その結果、乗員を後方へ移動させるため、乗員にかかる荷重を効率的に低減することができる。
【0043】
本実施形態の移動部材30は、図2で示すように、両側のサイドフレーム15の側板15aの内側に、回動軸としての軸部32を介して回動自在に軸支され、連結部材としての下方位置のワイヤ22を係止すると共に、ワイヤ22を付勢する付勢手段としてのばね(引張りコイルばね35)と連結されるものである。つまり、移動部材30は、付勢手段35と連結しており、連結部材としてのワイヤ22を介して受圧部材20をシートバックフレーム1の前方側に付勢するように構成されている。
そして、本実施形態の移動部材30は、回動可能な軸部32によって、サイドフレーム15の内側、より詳細には側板15aの一部がシート内側に膨出して形成された凸部15eに軸支されている。
【0044】
上述した移動部材30は、両側のサイドフレーム15に取り付けられており、両側にそれぞれ配設された移動部材30に、ワイヤ22の両端部が掛着されており、各々の移動部材30が個別に作動するように構成されている。
本実施形態では、移動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられており、これら両側に取り付けられた移動部材30は、互いに独立して移動(回動)するように構成されている。このため、荷重が左右方向に偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイドフレーム15に取り付けられた移動部材30が、各々独立して移動(回動)することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を後方へ沈み込ませることができる。
【0045】
(受圧部材20と移動部材30の作用効果)
以下、受圧部材20と移動部材30の構成及び作用を説明する。
乗員が着座した通常の着座時において、シートバックS1内のクッションパッド1a、受圧部材20、ワイヤ22を介して、移動部材30を後方移動(回動)させる張力が生じる。一方、引張りコイルばね35は、移動部材30をシートバックフレーム1の前方側へ移動(回動)させるように付勢している。ここで、移動部材30に連結されている引張りコイルばね35は、通常の着座時において生じる荷重領域では撓まない荷重特性を有しているため、移動部材30は常に初期位置に制止されている。つまり、移動部材30を移動(回動)させる力に抗して初期状態に復帰させる力が、通常の着座時に最も大きくなるように構成されている。
【0046】
そして、移動部材30に備えられた移動阻止部39は、移動部材30の移動(回動)後にサイドフレーム15の後縁部15cと当接して移動(回動)を阻止する当接部である。
移動部材30の移動阻止部39は移動部材30を外周方向に延出させて一体に形成されており、その当接面が移動(回動)後においてサイドフレーム15(より詳細には、後縁部15c)と当接するので、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときであっても、移動部材30の移動(回動)を安定して停止させることができる。
この移動阻止部39は、付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
【0047】
なお、本実施形態においては、移動部材30の移動阻止部39がサイドフレーム15に直接当接して移動(回動)を阻止するように構成されているが、移動阻止部39とサイドフレーム15との間に、当接時に発生する異音を消すために、移動部材30の移動(回動)停止の安定を阻害しない程度の厚さを有するラバーなどの消音部材を取り付けることもでき、このように構成すると、安定した移動(回動)阻止ができるとともに、消音効果が期待できる。
【0048】
常時において移動部材30は、サイドフレーム15(より詳細には、凸部15eの一部を切り欠いた部分)に当接し、引張りコイルばね35による上方向に加わる力を押し止め、移動部材30が前方に移動(回動)しすぎることがないように移動(回動)範囲を制限している。
【0049】
そして、後面衝突時においては、慣性で乗員が後方に移動しようとすると、この荷重が受圧部材20と、受圧部材20に係止されたワイヤ22を介して、移動部材30を後方に移動(回動)させる方向に張力がかかる。このときの張力は、移動部材30を初期位置に留めている引張りコイルばね35を伸長させ、移動部材30を後方に移動(回動)させるのに十分な荷重となる。
【0050】
移動部材30が移動(回動)を始める力の閾値は、通常の着座荷重よりも大きな値に設定されている。
ここで、移動部材30が移動(回動)を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。
【0051】
また、通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では移動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
【0052】
上述のように、移動部材30を後方に移動(回動)させることで、移動部材30に掛着されているワイヤ22が後方に移動し、それと共にワイヤ22に係止されている受圧部材20と、受圧部材20に支持されているクッションパッド1aが後方に移動し、乗員をシートバックS1内に沈み込ませることができる。
【0053】
移動部材30は、ワイヤ22を介して生じる張力に対し、上述したような移動(回動)特性を有しているために、後面衝突が生じた場合は確実に、且つ効率よく乗員をシートバックS1のクッションパッドに沈み込ませることができる。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置はシートバックS1に対して相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と乗員の頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減することができる。
【0054】
上記実施形態では、移動部材30を左右両側のサイドフレーム15に設けた例を示しているが、一方のサイドフレーム15のみに設ける構成としてもよい。この場合には、移動部材30が設けられていない側のサイドフレーム15には、ワイヤ21,22を直接係止するように構成することができる。
【0055】
<<下部フレームの構成>>
シートバックフレーム1の下部フレームは、下部フレーム基礎部17及び下部フレーム架設部18によって構成されている。下部フレーム基礎部17は、左右方向に離間して一対設けられており、それぞれは、車両用シートSの高さ方向において着座フレーム2とサイドフレーム15との間に配設されている。また、下部フレーム基礎部17は、サイドフレーム15の側板15aの下側に連結されており、特に本実施形態では、側板15aの下方を延長するように形成され、着座フレーム2との関係で支障のない範囲で延長されている。
【0056】
下部フレーム架設部18(メンバーセンター)は、左右方向に離間して配設された一対の下部フレーム基礎部17を連結するように形成され、下部フレーム基礎部17に対して当接して配設されている。
【0057】
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と下部フレーム基礎部17とが別部材で形成されているが、一体の板状フレーム等で形成してもよい。また、下部フレーム基礎部17と下部フレーム架設部18はそれぞれ別部材として形成された例を示すが、一体に形成された構成としてもよい。
【0058】
本発明の車両用シートSは、衝撃荷重が加わったときに変形する部位として、後述する孔部17k、内方脆弱部17e、側方脆弱部17mを有している。さらに、車両用シートSは、内方脆弱部17eの一部を挟み込む位置に配設されて脆弱部の変形量を規制する規制部40を備えている。以下では、特に下部フレームを構成する下部フレーム基礎部17において脆弱部及び規制部が形成された構成を説明する。なお、本明細書中において、「脆弱部」とは、後面衝突時等の所定以上の大きさの衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱性を備えた部分を示すものであり、穴部、凹部等により形成されたものである。
【0059】
(下部フレーム基礎部17の構成)
下部フレームを構成する下部フレーム基礎部17は、側方板17aと中間板17bとにより構成され、側方板17aは、上下方向(前後方向)に延びてサイドフレーム15の側板15aに接合されており、中間板17bは、側方板17aの後端部から略垂直に、サイドフレーム15の内側に向かって延出している。
【0060】
また、一対の下部フレーム基礎部17の側方板17aまたは中間板17bには、下部フレーム架設部18が接合されている。下部フレーム架設部18は、側方板17a及び中間板17bの両方に接合されていると取付剛性が向上するため好ましい。さらに、下部フレーム架設部18の側方端部が側方板17aに対して当接するように形成されていると、側方荷重に対して剛性が向上する。なお、本実施形態において、下部フレーム架設部18は中間板17bの前方に配設されているが、中間板17bの後方に配設されていてもよい。
【0061】
中間板17bには、上述したハーネスHをシートバックフレーム1に固定するためのハーネス取付け部17iが形成されている。このハーネス取付け部17iは、後方に膨出しており、その下部には、ハーネスHを固定するための固定孔17nが形成されている。ハーネスHの所定部分は、上記固定孔17nに係合するクリップ50にてシートバックフレーム1に固定される(図9参照)。また、中間板17bには、アクチュエータ等の他の部材をシートバックフレーム1に取り付けるための取付け孔17jが複数形成されている。以上のように、本実施形態では、ハーネス取付け部17iや取付け孔17jを中間板17bに設けることで、部材の取付けに関して省スペース化することができ、さらに部品点数を削減することができるという効果も奏する。
【0062】
側方板17aの下方には、リクライニングシャフト11aが挿通されるシャフト挿通孔17cが形成されており、側方板17aの下方には着座フレーム2がリクライニング機構11を介して配設されている。
【0063】
また、側方板17aにおいて、シャフト挿通孔17cの上方には、下部フレーム基礎部17をサイドフレーム15に取り付けるための取付け孔17dが複数形成されている。これに対応して、サイドフレーム15の下方には、側方板17aが重ねられた際に、取付け孔17dと整合する位置において孔が設けられている。そして、このサイドフレーム15に形成された孔と下部フレーム基礎部17の取付け孔17dとを貫通するようにボルト等の接合手段が貫通され、サイドフレーム15と下部フレーム基礎部17とが接合される。なお、複数形成された取付け孔17dはすべてサイドフレーム15に対して固定されている必要はなく、また、サイドフレーム15以外の部材が取り付けられる構成としてもよい。
【0064】
さらに、下部フレーム基礎部17は、図4に示すように、側方板17aと中間板17bとを連結する連結部17x上に形成される孔部17kと、孔部17kと連結するように中間板17b上に形成された内方脆弱部17eとを有している。また、下部フレーム基礎部17の側方板17aには、孔部17kと連結するように形成された側方脆弱部17mが形成されている。
【0065】
内方脆弱部17eは、本発明の脆弱部に相当し、後面衝突時の衝撃エネルギーを効率良く吸収するために中間板17bの後面に形成されたものである。換言すると、中間板17bの後面は、シートバックフレーム1のうち、脆弱部としての内方脆弱部17eを備えた面に相当することになる。この内方脆弱部17eは、所定以上の衝撃荷重に対して可撓性を備えており、断面略半円弧状となっており、前方へ凹んだ凹部により形成されている。また、内方脆弱部17eは、左右それぞれ(すなわち、シート幅方向の両端部の各々)に設けられており、一対のサイドフレーム15の内側に向かって延在するように形成されている。
【0066】
そして、内方脆弱部17eが中間板17bの後面に設けられていることにより、シートバックフレーム1は、後面衝突時等における衝撃エネルギーを吸収することが可能になる。具体的に説明すると、後面衝突時等において車両用シートSに着座した乗員が急激に後方へ移動すると、その衝撃荷重がシートバックフレーム1に作用する結果、内方脆弱部17eが上下方向に押しつぶされる。これにより、下部フレーム基礎部17が折曲するように変形し、この変形に伴い、シートバックフレーム1が後傾する。こうしたシートバックフレーム1の後傾変形によって上記の衝撃エネルギーが吸収されることになる。
【0067】
側方脆弱部17mは、下部フレーム基礎部17の側方板17aにおいて、内方脆弱部17eと同じ高さ位置で形成されており、側方板17aと中間板17bとの境界部分に形成された孔部17kから前方側へ水平方向に延設されている。なお、孔部17kから延設された側方脆弱部17mは、側方板17aの前後方向中央部まで延設されている。また、側方脆弱部17mは、内方脆弱部17eと同様に、断面略半円弧状で、後方から前方に向かって直線状に延在するように形成されている。換言すると、側方脆弱部17mは、前後方向に沿って延在し、サイドフレーム15の下方に形成された凹部である。
【0068】
また、側方脆弱部17mの幅(高さ方向の長さ)は、少なくとも内方脆弱部17eを構成する水平部17fの短手方向(上下方向)の幅よりも小さく形成するとよい。側方脆弱部17mの高さ方向の長さを水平部17fの短手方向(上下方向)の幅よりも小さく形成することにより、後面衝突時等の衝撃荷重がかかった際、水平部17fよりも先に側方脆弱部17mが変形しやすくなるため、上記のように孔部17kが衝撃荷重によって変形するのに伴い、側方脆弱部17mが上下方向に潰れるように変形する。このように、衝撃荷重が加わった際、下部フレーム基礎部17の側方板17aが、上下方向に撓み変形する結果、内方脆弱部17eがさらに変形しやすくなるため、衝撃エネルギーを確実に安定して吸収させることができる。また、本実施形態において、側方脆弱部17mは、直線状に形成された例を示したが、内方脆弱部17eのように、屈曲した形状としてもよい。
【0069】
さらに、側方板17aと中間板17bとの境界部である連結部17xには、各脆弱部(すなわち、内方脆弱部17e及び側方脆弱部17m)と連結した孔部17kが設けられている。そして、本実施形態では、孔部17k、内方脆弱部17e、側方脆弱部17mは、リクライニング機構11とサイドフレーム15との間(より詳細には、シャフト挿通孔17cと取付け孔17dとの間)に形成されている。すなわち、孔部17k、内方脆弱部17e及び側方脆弱部17mの各々は、リクライニング機構11よりも上方に形成されている。かかる構成により、シートバックフレーム1の下方がリクライニング機構11によって固定されるため、脆弱部よりも上方のシートバックフレーム1を後傾させ易くなる。
【0070】
また、孔部17k、内方脆弱部17e及び側方脆弱部17mの各々が着座フレーム2とサイドフレーム15との間に形成されているため、衝撃荷重が加わった際、各脆弱部の変形が着座フレーム2やサイドフレーム15により妨げられることがなく、効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0071】
さらに、前述したように、後面衝突時等における衝撃エネルギーの吸収は、内方脆弱部17eが上下方向に押しつぶされることで下部フレーム基礎部17が折曲し、この折曲変形に伴ってシートバックフレーム1が後傾することによって達成される。したがって、内方脆弱部17eは、下部フレームを構成する部材の中でも、特にサイドフレーム15の下方に備えられる下部フレーム基礎部17に形成されていると好適である。また、後面衝突時の衝撃エネルギーを吸収するため、下部フレーム基礎部17を十分に折曲させることができれば、内方脆弱部17eは、後方に凹むように凹設された構成としてもよい。さらに、通常の着座荷重に耐えられる強度を備えていれば、内方脆弱部17eを変形しやすくするため、内方脆弱部17eを構成する部分の板厚のみを薄く形成してもよい。
【0072】
また、内方脆弱部17eの配設位置については、下部フレーム架設部18と重ならない位置であって、下部フレーム架設部18よりも上方に形成されていると好ましい。このように内方脆弱部17eを下部フレーム架設部18と重ならない位置に設けた構成とすると、後傾する方向の荷重がシートバックフレーム1に加わった際に、内方脆弱部17eの変形が下部フレーム架設部18により妨げられることがないため好適である。
【0073】
さらに、上記の孔部17kと、内方脆弱部17eと、側方脆弱部17mとは、全て同一高さに形成されていると好ましい。このように孔部17k、内方脆弱部17e、側方脆弱部17mが同じ高さに形成されれば、シートバックフレーム1を特に安定して後傾(変形)させることができ、効率よく衝撃エネルギーを吸収させることができる。
【0074】
なお、上記の内方脆弱部17e及び側方脆弱部17mは、下部フレーム基礎部17に対してプレス加工等を行うことにより形成される。また、孔部17kは、下部フレーム基礎部17上に内方脆弱部17e及び側方脆弱部17mを形成した後に切削して形成してもよいし、予め孔部17kを形成した後、内方脆弱部17e及び側方脆弱部17mを形成してもよい。
【0075】
(内方脆弱部17eの構成)
内方脆弱部17eの構成について説明すると、内方脆弱部17eは、下部フレーム(より詳細には、下部フレーム架設部18)の長手方向(シート幅方向)に沿って延在された水平な部分(水平部17f)と、水平部17fの長手方向の一端側に形成された屈曲部17gと、屈曲部17gから斜め上方に傾斜して延在する傾斜部17hとを備えている。
【0076】
先ず、水平部17fについて説明すると、水平部17fは、後面衝突等、シートバックフレーム1に対して所定の衝撃荷重(通常の着座時以上の大きな衝撃荷重)が加わった際に撓むことができ、上下方向に潰れるように変形する(図6参照)。このように水平部17fが上下方向に潰れるように変形する結果、後傾荷重を安定して効率よく吸収することができる。さらに、水平部17fはシート幅方向、すなわち下部フレーム架設部18の長手方向に沿って延設されているため、左右方向の荷重が加わった場合であっても、その稜線部分で荷重を受け止めることが可能であり、下部フレーム基礎部17のシート幅方向の荷重に対する剛性が極めて向上する。
【0077】
一方、水平部17fについては、その長手方向における屈曲部17gと対向する側の端部が、孔部17kによって切り欠かれている。換言すると、水平部17fは、中間板17bと側方板17aの境界部分、すなわち孔部17kが形成された部分まで延設されている。一方、中間板17bと側方板17aの境界部分、すなわち連結部17xには、孔部17kが形成されている。この孔部17kは、脆弱部(内方脆弱部17e及び側方脆弱部17m)よりも小さい衝撃荷重により変形するように形成されたものである。
【0078】
以上のように、本実施形態では、孔部17kと内方脆弱部17eの水平部17fとが、互いに連結するように形成されている。このように内方脆弱部17eと孔部17kとが連結するように形成されているため、後面衝突時等の衝撃荷重が下部フレーム基礎部17に加わった際、後述するように、孔部17kを起点として下部フレーム基礎部17の内方脆弱部17eが変形することにより、衝撃エネルギーを吸収する。
【0079】
ここで、下部フレーム基礎部17は、側方板17aの後端部からシート方向内側に向かって中間板17bが折り曲げられて形成されており、この折曲部(連結部17x)によって上下方向の荷重に対する剛性を備えている。したがって、衝撃荷重の大きさに依存して、下部フレーム基礎部17が上下方向において変形し難くなり、衝撃エネルギーを効率よく吸収することが難しくなる場合がある。
【0080】
これに対して、本実施形態では、孔部17kが中間板17bと側方板17aとの境界部分(連結部17x)に形成されており、後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際、孔部17kが脆弱部(内方脆弱部17e及び後述の側方脆弱部17m)と比較して変形しやすく形成されているため、初めに孔部17kが上下方向に潰れるように変形することができる。この結果、下部フレーム基礎部17は、その上方が後傾するように変形することができ、効率よく後傾荷重のエネルギーを吸収することが可能となる。
【0081】
なお、本実施形態では、内方脆弱部17eの変形の起点として、内方脆弱部17eと連結する孔部17kを挙げたが、当該起点は必ずしも穴によって形成されていなくてもよい。変形の起点となる上で、内方脆弱部17eや側方脆弱部17mよりも小さい衝撃荷重により変形するように形成されていればよく、例えば、内方脆弱部17eや側方脆弱部17mよりも薄厚状に形成された構成や、深く凹んだ凹部によって形成された構成としてもよい。
【0082】
また、衝撃荷重に対して孔部17kを内方脆弱部17eや側方脆弱部17mよりも変形しやすくするために、孔部17kの幅(高さ方向の大きさ)については、少なくとも水平部17fまたは側方脆弱部17mの短手方向(上下方向)の幅と同等、或いはそれよりも若干大きく形成するとよい。孔部17kの高さ方向の大きさを水平部17fの上下方向の幅と同等、或いはそれよりも大きく形成することにより、後面衝突時等の衝撃荷重がかかった際、水平部17fよりも先に孔部17kが変形しやすくなるため、孔部17kを起点として、内方脆弱部17eを変形させることができる。
【0083】
次に、傾斜部17hについて説明すると、傾斜部17hは、内方脆弱部17eのうち、水平部17fから屈曲部17gを介して延設された部分であり、中間板17bの側方板17a,17a(一対の下部フレーム基礎部17,17に備えられた側方板17a,17a)に挟まれた部分の上下方向端部まで延設されている。換言すると、傾斜部17hは、左右方向においてシート内側に備えられる中間板17bの上端部または下端部まで延設されている。本実施形態では、傾斜部17hがシート内側に向かうに従って上方に傾斜するように屈曲され、中間板17bの傾斜した上端部まで延設された構成を示している。
【0084】
このように、内方脆弱部17eを水平部17fのみからなる水平な直線状に延設した構成とするのではなく、屈曲部17gを備え、略水平方向以外の方向、すなわち斜め方向に延設された部分(傾斜部17h)を備えた構成とすることにより、屈曲部17g及び傾斜部17h周辺において、下部フレーム基礎部17の剛性が向上する。したがって、後面衝突等によりシートバックフレーム1が後傾して変形する荷重が加わった場合、水平部17fが特に変形しやすくなり、効率よく衝撃エネルギーを吸収させることができる。
【0085】
また、本実施形態では、傾斜部17hを中間板17bの上端まで延設することにより、内方脆弱部17eが全体として屈曲し易くなっている。なお、傾斜部17hは、水平部17fに対して略垂直に形成されていてもよいが、水平部17fに対して傾斜して形成されていると好ましい。すなわち、水平部17fに対して、傾斜部17hは、鋭角又は鈍角を成す構成であると好ましい。水平部17fに対して、傾斜部17hを略垂直に形成すると、シートバックフレーム1に対して後傾する荷重が加わった際に、傾斜部17hによって中間板17bの後傾荷重に対する剛性が向上し、水平部17fは後傾荷重により変形しにくくなる。一方、水平部17fに対して傾斜部17hが鋭角又は鈍角を成す構成とすると、適度に中間板17bが変形し、水平部17fを屈曲させることができる。
【0086】
なお、屈曲部17g及び傾斜部17hは、水平部17fの延出方向端部のうち、孔部17kが形成されている側の端部とは反対側の端部と隣接している。つまり、水平部17fの中でも屈曲部17g及び傾斜部17hから最も遠い位置(すなわち、剛性が比較的高くなく、撓み変形しやすい位置)に孔部17kが形成されるため、衝撃荷重が加わった際に孔部17kが変形しやすくなり、それに伴って水平部17fを変形させて衝撃エネルギーを吸収させることができる。
【0087】
(規制部40の構成)
以下、規制部40の構成について説明する。規制部40は、後面衝突時等の衝撃荷重がシートバックフレーム1に加わった際に内方脆弱部17eの変形量を規制するものであり、内方脆弱部17eの一部を挟み込む位置に配設されている。この規制部40は、中間板17bの後面において内方脆弱部17eを挟んで上下方向に沿って並ぶように配設された2つの規制部40から構成されている。そして、これら2つの規制部40は、内方脆弱部17eの変形量(換言すると、シートバックフレーム1の後傾量)が所定量に達した際に互いに当接することによって、上記の変形量を一定値以上に大きくならないように規制する(例えば、図6参照)。
【0088】
本実施形態では、上記2つの規制部40として、一対の対向部材41,42が設けられている。この一対の対向部材41,42は、いずれも略台形柱状の部材であり、内方脆弱部17eを挟んで互いに対向した状態で中間板17bの後面に溶接等の手段を用いて取り付けられている。一対の対向部材41,42のうち、内方脆弱部17eの上方に位置する対向部材は、第1対向部材41であり、本発明の第1規制部に相当する。他方、内方脆弱部17eの下方に位置する対向部材は、第2対向部材42であり、本発明の第2規制部に相当する。
【0089】
前述したように、2つの規制部40としての一対の対向部材41,42は、脆弱部としての内方脆弱部17eの屈曲が大きくなると、図6に示すように互いに当接し合って、下方に備えられた第2対向部材42が上方に備えられた第1対向部材41を押し止めるようになる。
【0090】
規制部40は、内方脆弱部17eを挟む位置において対向して配設される規制面41a,42aをそれぞれ有する一対の対向部材41,42を備えている。つまり、第1対向部材41は第2対向部材42に当接し、換言すると、第2対向部材42は第1対向部材41に当接し、内方脆弱部17eが屈曲する際、一定量以上屈曲しないように規制する規制面41a,42aがそれぞれ備えられている。なお、規制面41a,42aは、その面積が大きいほど、内方脆弱部17eの屈曲時、規制部40同士(すなわち、第1対向部材41及び第2対向部材42)が接触し易くなるため、シートバックフレーム1の変形量(後傾量)を規制することができる。
【0091】
このように上下方向に対向して配設される第1対向部材41、第2対向部材42からなる規制部40は、内方脆弱部17eを挟み込む位置に形成される規制面41a,42aをそれぞれ備えている。各規制面41a,42aは略水平面であり、規制面41a,42a間の距離は、内方脆弱部17eの幅(上下方向の長さ)よりも幾分小さくなっている。具体的に説明すると、第1対向部材41の規制面41aは、内方脆弱部17eの上側の淵よりも下方に位置する位置しており、第2対向部材42の規制面42aは、内方脆弱部17eの下側の淵よりも上方又は略同じ高さに位置している。なお、図5では、第2対向部材42の規制面42aが内方脆弱部17eの下側の淵と略同じ高さに配設された状態を図示している。
【0092】
すなわち、互いに対向し合う規制部40(第1対向部材41、第2対向部材42)間の距離は、上下方向(すなわち、2つの規制部40が並ぶ方向)における内方脆弱部17eの幅よりも小さく形成されている。より具体的に説明すると、対向する規制面41a,42a間の距離(図5中のα)と、内方脆弱部17eの上下方向の幅(図5中のβ)との大小関係が、α<βとなるように、第1対向部材41及び第2対向部材42の配置位置が設定されている。
【0093】
このような構成とすることにより、内方脆弱部17eが上下方向に屈曲した場合、図6のように、内方脆弱部17eの上下方向に配設された規制部40同士(第1対向部材41、第2対向部材42)が接触し易くなり、一定の位置で内方脆弱部17eの変形(潰れ)を押し止めるようにすることができる。
【0094】
なお、本実施形態では、第1対向部材41、第2対向部材42のいずれにおいても平面状の規制面41a,42aが形成された例を図示しているが、2つの対向部材41,42のうちの少なくとも一方の規制面41a(または規制面42a)が平面状に形成されていればよい。すなわち、第1対向部材41及び第2対向部材42のうち少なくとも一方に備えられた規制面41a(または規制面42a)が、平面状に形成されていればよい。
【0095】
このように、第1対向部材41及び第2対向部材42のうち、少なくとも一方の規制面41a(または規制面42a)を平面状とすることにより、内方脆弱部17eが屈曲した際、規制部40同士(第1対向部材41、第2対向部材42)が接触し易くなる。この結果、内方脆弱部17eの変形量が規制され、シートバックフレーム1の後傾量が所定量よりも大きくなることがない。
【0096】
また、内方脆弱部17eの変形量が所定量に達した際、第1対向部材41が適切に第2対向部材42の規制面42aに当接できるように、第2対向部材42の規制面42aは、少なくとも第1対向部材41の後端よりも後方に張り出している。このような構成とすることにより、第1対向部材41が第2対向部材42の規制面42aに対して強固に当接するため、第1対向部材41が第2対向部材42に対して滑ってずれてしまうことが抑制され、より安定して内方脆弱部17eの変形を押し止めることができる。
【0097】
上記構成とするためには、例えば、衝撃エネルギーが加わる前の状態(通常状態)において、第2対向部材42の規制面42aの後端が、第1対向部材41の規制面41aの後方端よりも後方に位置するようになっているとよい。
【0098】
なお、図5及び図6に示すように、第1対向部材41及び第2対向部材42については、中空に形成された構成とすると、車両用シートSを軽量化することができるため好ましいが、強度を十分に確保する観点では中実体であってもよい。また、軽量化のため、各規制面41a,42aには、図4に示すように孔が設けられていてもよい。
【0099】
また、規制部40は、内方脆弱部17eの近傍のみに備えられた例を示したが、孔部17kや側方脆弱部17mの近傍に備えられていてもよい。
【0100】
(下部フレーム基礎部17の作用効果)
後面衝突時の衝撃荷重が加わった際に下部フレーム基礎部17が変形する様子について、図7、図8を参照しながら説明する。
図7は、後面衝突時の衝撃荷重が下部フレーム基礎部17にかかった直後の様子である。このとき、シートバックフレーム1に対して、主として後傾する方向の荷重が加わるが、サイドフレーム15の下方、すなわち下部フレーム基礎部17に最も大きな荷重が加わる。
【0101】
そして、下部フレーム基礎部17に荷重が伝達されると、孔部17kを起点として、側方板17aに形成された側方脆弱部17mが上下方向に押しつぶされた形状に変形し、側方板17aがシート幅方向外側に広がるように変形する。このように、孔部17kを備え、さらに側方脆弱部17mを側方板17aに設けることにより、孔部17kを備えていない場合と比較して、側方板17aをシート幅方向外側に広がりやすくすることができる。
【0102】
上記のように、側方板17aがシート幅方向外側に広がるように変形した後、中間板17bに形成された内方脆弱部17e(より詳細には、水平部17f)が上下方向に押しつぶされるように変形し(図5、図6参照)、その結果、下部フレーム基礎部17の上方に備えられたサイドフレーム15が後傾し、シートバックフレーム1が変形する。
【0103】
このように、下部フレーム基礎部17において、内方脆弱部17e及び孔部17kだけでなく、側方脆弱部17mをさらに備えることにより、孔部17kを起点として下部フレーム基礎部17を段階的に変形し易くし、効率よく衝撃エネルギーを吸収させることができる。後面衝突時等は、シートバックフレーム1に対し複雑な入力荷重が加わるが、上記構成を備えることにより、特定の箇所(詳細には、内方脆弱部17eの水平部17f)を安定して変形させることができる。その結果、後面衝突時の衝撃エネルギーを下部フレーム基礎部17において効率よく吸収することが可能である。
【0104】
そして、上記のように内方脆弱部17eが屈曲する際、中間板17bに備えられた規制部40により、内方脆弱部17eの屈曲量が大きくなりすぎることがないように規制される。つまり、後面衝突時の衝撃荷重が加わった際、内方脆弱部17eが上下方向に押しつぶされるように屈曲してサイドフレーム15(さらには、シートバックフレーム1)が後傾するが、内方脆弱部17eが一定の範囲まで屈曲すると、一対の対向部材41,42同士が互いに接触し、内方脆弱部17eの屈曲量を規制する。したがって、一対の対向部材41,42を備えることにより、シートバックフレーム1の後傾量が大きくなりすぎることなく、後傾量を適当な大きさに設定することができる。
【0105】
さらに、移動部材30に連結された受圧部材20を備えることにより、車両用シートSは、後面衝突時等において、乗員を十分にシートバックS1に沈み込ませることができる。そして、下部フレーム(より詳細には、下部フレーム基礎部17)の内方脆弱部17eにおいて屈曲部17g及び傾斜部17hが形成されているため、中間板17bは適度な剛性を有している。したがって、受圧部材20をサイドフレーム15、上部フレーム16に対して乗員の身体を相対的に沈み込ませ易くなるため、後面衝突等による衝撃エネルギーを効率よくシートバックフレーム1へ伝達し、吸収させることが可能である。
その結果、下部フレーム基礎部17に形成された内方脆弱部17eや側方脆弱部17mを変形させ、さらに効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0106】
<<ハーネスの配索経路>>
本実施形態の車両用シートSには、前述したように、線状部材としてのハーネスHが所定の配索経路にて配索されている。特に、本実施形態において、ハーネスHは、シートバックフレーム1の上下方向に沿って配索されており、中途位置にてシートバックフレーム1の後面側に回り込んでいる。これにより、ハーネスHの一部がシートバックフレーム1の後面に対向している。さらに、本実施形態では、図9に示すように、ハーネスHのうち、シートバックフレーム1の後面に対向している部分(以下、対向部分ともいう)が、内方脆弱部17eを跨いでいる。
【0107】
ところで、発明が解決しようとする課題の項で説明したように、シートバックフレーム1に対して後方への衝撃エネルギーが掛かって内方脆弱部17eが変形する際、ハーネスHの対向部分が内方脆弱部17eに差し掛かって内方脆弱部17eの変形に干渉してしまう虞がある。また、本実施形態のように、内方脆弱部17eの変形量を規制するために一対の対向部材41,42を設けた場合、ハーネスHの対向部分が対向部材41,42間に挟まれてしまう虞がある。特に、ハーネスHの対向部分が内方脆弱部17eを跨ぐ構成においては、対向部材41,42間でのハーネスHの挟み込みが生じ易くなる。
【0108】
以上のように、ハーネスHが内方脆弱部17eに干渉するようになると、内方脆弱部17eの変形が阻害されてしまったり、内方脆弱部17eに掛かる荷重が変動したりする。このような状況では、内方脆弱部17eが適切に変形することができなくなってしまう結果、シートバックフレーム1が、衝撃エネルギーを適切に吸収することができなくなってしまう。また、ハーネスH自体も、対向部材41,42間に挟まれることによって損傷してしまう虞がある。
【0109】
これに対して、本実施形態では、ハーネスHが対向部材41,42間に挟まれてしまうのを回避するため、図9に示すように、ハーネスHの対向部分が、シートバックフレーム1の後面のうち、内方脆弱部17eが位置する部位から幾分離間するように配置され、さらに、第1対向部材41と第2対向部材42との間の隙間を避けた位置に配置されている。
【0110】
具体的に説明すると、本実施形態のハーネスHは、シートバックフレーム1の高さ方向の上端部から、サイドフレーム15の側板15aに沿って垂れ下がり、内方脆弱部17eが形成されている位置よりもやや上方位置で内側に折れ曲がって、シートバックフレーム1の後側に回り込む。ハーネスHのうち、上記折れ曲り箇所からシートバックフレーム1の後側に回り込んだ部分は、水平方向に延出する。この際、ハーネルHは、シートバックフレームHの後面のうち、内方脆弱部17eが位置する部位から幾分後側に離間するように配索される。そして、ハーネスHは、水平方向に延出して規制部40(具体的には第1対向部材41)を越えた後に、内方脆弱部17eの屈曲部17gが形成された位置辺りで再度折れ曲がって下方に垂れ下がっている。
【0111】
以上のように、ハーネスHの対向部分が、シートバックフレーム1の後面のうち、内方脆弱部1が位置する部位から幾分離間していれば、ハーネスHの対向部分が内方脆弱部17eの変形に干渉するのを回避することが可能になる。また、規制部40間にハーネスHを引き回さないことにより、規制部40間にハーネスHが挟まれるのを回避することが可能となる。以上の結果、内方脆弱部17eの変形の阻害や内方脆弱部17eに掛かる荷重の変動が抑制され、さらに、ハーネスH自体の損傷についても抑えられることになる。
【0112】
また、本実施形態では、規制部40として第1対向部材41及び第2対向部材42が設けられている。つまり、本実施形態に係る2つの規制部40は、シートバックフレーム1の後面から後側に突出した部材であり、その間にハーネスHが嵌まり込んだ場合、当該ハーネスHは規制部40に挟まれ易くなってしまう。したがって、本実施形態のように規制部40として第1対向部材41及び第2対向部材42が設けられている場合、規制部40の間にハーネスHが挟まれることによって生じる内方脆弱部17eの変形阻害やハーネスH自体の損傷がより顕在化する。このため、規制部40間にハーネスHを引き回さないことによって規制部40間にハーネスHが挟まれるのを回避しようとする本発明の効果が、より有効なものとなる。
【0113】
さらに、本実施形態のように、ハーネスHの対向部分が内方脆弱部17eを跨ぐようにハーネスHが配索されている場合、ハーネスHは、規制部40間に挟まれ易くなる。つまり、ハーネスHの対向部分が内方脆弱部17eを跨ぐようにハーネスが配索されている場合、ハーネスHが内方脆弱部17eの変形に干渉する可能性が高まるので、内方脆弱部17eが位置する部位からハーネスHを離間して、内方脆弱部17eの変形に対するハーネスHの干渉を回避する構成がより有意義なものとなる。
【0114】
本実施形態に係るハーネスHの配索経路について詳しく説明すると、サイドフレーム15の側板15aに沿って垂れ下がっていた状態から折れ曲がってシートバックフレーム1の後側に回り込んだハーネスHは、第1対向部材41の後面上を通過するように配索されている。そして、本実施形態では、ハーネスHのうち、第1対向部材41の後面を通過する部分が当該後面上に固定されている。
【0115】
具体的に説明すると、第1対向部材41の後面中央部には、貫通孔41bが形成されている。この貫通孔41bには、図10に示すハーネス固定用クリップ50(以下、単にクリップ50)が係合する。クリップ50は、クリップ部材の一例であり、図10に示すように、クリップ50の下側先端部には、径方向に弾性変形可能な係合部51が備えられ、係合部51の上方位置には、ハーネスHを挿通するための挿通孔52aが形成された円筒部52が備えられ、クリップ50の上端部には略円盤状のキャップ部53が備えられている。
【0116】
係合部51は、通常状態で上記の貫通孔41bの径よりも僅かに大きい外径を有しており、円筒部52の外径は、貫通孔41bの径と略同じ径となっており、キャップ部53の径は、貫通孔41bの径よりも幾分大きくなっている。
【0117】
以上のような構成のクリップ50については、係合部51の外径を縮径させるように係合部51を弾性変形させながら、係合部51側から貫通孔41bに挿入される。そして、円筒部52が貫通孔41bに差し掛かるようになるまでクリップ50を挿入すると、係合部51が拡径して、以降、抜け止めとして機能するようになる。これにより、クリップ50が貫通孔41bに係合するようになる。そして、クリップ50が貫通孔41bに係合した状態で、円筒部52の挿通孔52aにハーネスHが挿通される。かかる状態に至ることにより、上記クリップ50は、第1対向部材41の後面上にハーネスH(特に、ハーネスHの対向部分)を固定するようになる。
【0118】
なお、クリップ50の構成については、第1対向部材41の貫通孔41bに係合してハーネスHを固定することが可能なものである限り、いかなる構成のものであってもよく、例えば、挿通孔52aを有する円筒部52の代わりに、円環状のバンドを備えたクリップ50であってもよい。
【0119】
以上のように本実施形態では、ハーネスHの対向部分を第1対向部材41に固定するので、シートバックフレーム1の後面中、内方脆弱部17eが位置する部位からハーネスHの対向部分を離間させることが可能になる。また、ハーネスHの対向部分が第1対向部材41に固定されているので、当該対向部分がバタツキ等によって規制部40の間に入ってしまうのを効果的に回避することが可能になる。また、ハーネスHと第1対向部材41との固定は、第1対向部材41の貫通孔41b係合した状態のクリップ50を用いて行われるので、比較的簡易な構成によってハーネスHを第1対向部材41に固定することが可能である。
【0120】
なお、上記の実施形態では、ハーネスHの対向部分を第1対向部材41の後面に固定することとしたが、第1対向部材41及び第2対向部材42のうち、いずれか一方の対向部材に固定されていればよく、ハーネスHの対向部分を第2対向部材42の後面に固定することとしてもよい。ただし、規制部40の間にハーネスHが挟み込まれるのを効果的に回避する観点で考えると、第1対向部材41及び第2対向部材42のうち、ハーネスHがサイドフレーム15の側板15a側からシートバックフレーム1の後側に回り込むのに折れ曲がっている箇所に近い方の対向部材に固定するのが望ましい。
【0121】
さらに、本実施形態では、ハーネスHが、内方脆弱部17eの屈曲部17gが形成された位置辺りで再度折れ曲がって下方に垂れ下がっている。一方で、屈曲部17gの屈曲方向の反対側(図3及び図4において下側)には、前述したハーネス取付け部17iが形成されている。ハーネス取付け部17iには、ハーネスHを固定するための固定孔17nが形成されており、当該固定孔17nには、前述した貫通孔41bと同様、クリップ50が係合する。そして、ハーネスHのうち、内方脆弱部17eの屈曲部17gが形成された位置辺りで再度折れ曲がった部位よりもやや下方に位置する部分が、固定孔17nに係合されたクリップ50によって、ハーネス取付け部17iに固定される。
【0122】
ここで、ハーネス取付け部17iは、シートバックフレーム1の後面(具体的には、中間板17bの後面)において、規制部40(具体的には、第1対向部材41及び第2対向部材42)の配置位置の側方に位置する部位である。したがって、本実施形態において、ハーネスHの対向部分は、シートバックフレーム1の後面中、第1対向部材41及び第2対向部材42の配置位置の側方に位置する部位に固定されることになる。これにより、ハーネスHの対向部分(特に、内方脆弱部17e周辺の部分)が、第1対向部材41及び第2対向部材42の配置位置から外れた位置に固定されるので、規制部40の間にハーネスHが挟まれるのをより効果的に回避することが可能になる。
また、ハーネス取付け部17iは、シートバックフレームの後面のうち、後方に膨出した部位であるので、かかるハーネス取付け部17iにハーネスHの対向部分を固定することにより、当該対向部分を、シートバックフレーム1の後面のうち、内方脆弱部17eが位置している部位から効果的に離間させることが可能になる。
【0123】
なお、中間板17bにおいて、内方脆弱部17eの屈曲部17gが屈曲する方向と反対側(すなわち、水平部17fと傾斜部17hによって形成される鈍角側)にハーネス取付け部17iを形成することにより、中間板17b上に凹凸形状が複数形成され、荷重に対する下部フレーム基礎部17の剛性(特に、屈曲部17g近傍の剛性)が向上する。その結果、後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際、内方脆弱部17e以外の箇所を屈曲させることなく、内方脆弱部17eの水平部17f、屈曲部17g、傾斜部17hが屈曲して衝撃エネルギーを吸収することができる。
また、後面衝突時の衝撃荷重によりサイドフレーム15を特に後傾させやすくするため、中間板17bの上方よりも下方において剛性を向上させる目的から、ハーネス取付け部17iは、屈曲部17gの上方ではなく、下方に設けると好適である。
【0124】
<<他の実施形態>>
上記の実施形態では、規制部40として、下部フレーム基礎部17の中間板17bに固着接合されて取着された第1対向部材41及び第2対向部材42を例に挙げて説明したが、規制部の変形例として、図11のように、規制部140を中間板17bと一体に成形した構成としてもよい。規制部140は、中間板17bから後方へ凹むように凹設されるようにして形成される。
【0125】
下部フレーム基礎部17と一体に成形された規制部140は、互いに対向する規制面141a,142aをそれぞれ有する第1規制部141,第2規制部142によって構成されている。各規制部141,142は、上記実施形態に係る規制部40と略同様の形状となっており、例えば、第1規制部141には、クリップ50を係合させるための貫通孔141bが形成されている。なお、規制部140の作用効果は、上記規制部40と同様であるので、その説明を省略する。以上のように、規制部140を下部フレーム基礎部17と一体に成形することにより、部品点数を削減することができるだけでなく、溶接等の作業を行う必要がないため、作業工程を短縮することができる。
【0126】
また、第2の変形例として、図12のように、規制部240は、貫通孔241bが形成された第1規制部241と、第2規制部242とが一体に成形され、その後、下部フレーム基礎部17の中間板17bに取着された構成としてもよい。規制部240において、第1規制部241と、第2規制部242とは上下方向に連続して形成されており、内方脆弱部17eの水平部17fに相当する(重なる)位置に、水平部17fと略同形状の凹部または穴等の開口部240aが形成されている。したがって、規制部240において、この開口部240aを形成することにより、衝撃荷重がシートバックフレーム1に加わった際、規制部240により、内方脆弱部17eの変形が阻害されることがない。
【0127】
特に、上下方向に並設される第1規制部241及び第2規制部242を一体で成形することにより、開口部240aの寸法、すなわち規制面241a,242a間の距離を高い精度で設定することができる。また、規制部240を下部フレーム基礎部17の中間板17bに取着する際、締結(接合)箇所を削減可能であるため、製造工程にかかるコストを削減することができる。
【0128】
また、第3の変形例として、図13に示す規制部340のように、貫通孔341bが形成された第1規制部341と、第2規制部342とを別体に形成し、それぞれに締結手段を挿通する締結部341c,342cを形成した構成としてもよい。締結部341c,342cは、規制面341a,342aが形成されていない部分から、シート内側及び上方に向かってそれぞれ延設されており、下部フレーム基礎部17の中間板17bに沿うように平面状に形成されている。
【0129】
そして、締結部341c,342cには、締結手段を挿通可能なように、孔が形成されている。この孔を長孔とすることにより、第1規制部341、第2規制部342を取着する際、位置決めを容易にすることができる。
【0130】
このように、第1規制部341、第2規制部342においてそれぞれ締結部341c,342cを備えることにより、下部フレーム基礎部17の中間板17bに取着する際、ボルト‐ナット等の締結手段を用いて規制部340を取着することができる。そして、締結部341c,342cを備え、締結手段によって下部フレーム基礎部17に取着することにより、車両用シートSの設計に合わせて規制部340を任意で取り外すことができる。また、締結部341c,342cをそれぞれ第1規制部341、第2規制部342をそれぞれ形成することにより、第1規制部341、第2規制部342の剛性を向上させることができる。
【0131】
さらに第4の変形例として、図14に示す規制部440のように、第1規制部441に備えられる規制面441aの幅と、第2規制部442に備えられる規制面442aの幅とが異なるように形成されていてもよい。すなわち、前述の実施形態では、上下に設けられる第1規制部及び第2規制部の左右方向の幅が等しくなるように形成された構成を図示したが、本変形例のように、一方(特に下方に配設される規制部)の規制面の左右方向の幅を大きく形成してもよい。
【0132】
第1規制部441の規制面441aの左右方向の幅(図14のaで示す長さ)は、第2規制部442の規制面442aの左右方向の幅(図14のbで示す長さ)と異なるように形成されている。このとき、下方に配設される第2規制部442の規制面442aの幅の方が大きく形成されている。すなわち、a<bである。
【0133】
このように、規制部440を構成する第1規制部441及び第2規制部442のうち、一方を他方よりも幅広に形成することにより、衝撃荷重が加わった際、例えばシートバックフレーム1がねじれ変形した場合であっても、第1規制部441及び第2規制部442が当接し易くなる。つまり、一方を幅広に形成しておくことにより、複雑な入力荷重に起因してシートバックフレーム1がねじれるように後方へ傾倒した場合であっても、第1規制部441と第2規制部442とが接触するため、シートバックフレーム1の変形量を制御することができる。
【0134】
また、溶接作業等により、規制部440を下部フレーム基礎部17の中間板17bに取着する際、一方を幅広な形状とすることにより、厳密に取り付け位置を規定しなくともよい。例えば、第1規制部441に対して第2規制部442の取着位置が左右方向に若干ずれた場合であっても、第2規制部442が幅広に形成されているため、シートバックフレーム1の後継時、第1規制部441を第2規制部442に対して当接させることができる。その結果、規制部440の取着作業時、厳密に正確な位置決めをする必要がないため、作業性が向上する。
【0135】
このように、第1規制部441と第2規制部442とを異なる幅で形成することにより、複雑な入力荷重が加わってねじれ変形した場合等であっても、後傾量を制御し易くなる。また、第1規制部441を第2規制部442よりも幅広に形成した場合には、後傾量を制御し易くなるとともに、貫通孔441bを形成し易くなる。
【0136】
また、上記の各実施形態では、第1規制部及び第2規制部を備えたシートバックフレーム1を例に挙げて説明した。ただし、これに限定されるものではなく、第1規制部及び第2規制部を備えていない構成、例えば、脆弱部としての内方脆弱部17eのみを備えているシートバックフレーム1を有する車両用シートSについても、本発明は適用可能である。
【0137】
なお、上記各実施形態では、具体例として、後面衝突時について説明したが、本発明の構成は後面衝突時に限定されるものではなく、例えば、側面衝突時の衝撃エネルギーを吸収するための構成としても適用可能である。また、自動車のフロントシートのシートバックS1について説明したが、これに限らず、後部座席のシートバックについても、同様の構成を適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0138】
S 車両用シート
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
H ハーネス
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
11a リクライニングシャフト
15 サイドフレーム
15a 側板(フレーム側部)
15b 前縁部
15c 後縁部
15d 突起部
15e 凸部
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム基礎部
17a 側方板
17b 中間板
17c シャフト挿通孔
17d,17j 取付け孔
17e 内方脆弱部
17f 水平部
17g 屈曲部
17h 傾斜部
17i ハーネス取付け部
17k 孔部
17m 側方脆弱部
17n 固定孔
17x 連結部
18 下部フレーム架設部
19 ヘッドレストピラー
19a ピラー支持部
20 受圧部材
21 ワイヤ
21a 軸支部
22 ワイヤ
30 移動部材(衝撃低減部材)
32 軸部
35 引張りコイルばね(付勢手段)
39 移動阻止部
40,140,240,340,440 規制部
240a 開口部
41 第1対向部材
141,241,341,441 第1規制部
41a,141a,241a,341a,441a 規制面
41b,141b,241b,341b,441b 貫通孔
341c 締結部
42 第2対向部材
142,242,342,442 第2規制部
42a,142a,242a,342a,442a 規制面
342c 締結部
50 クリップ
51 係合部
52 円筒部
52a 挿通孔
53 キャップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱部を備えたフレームと、
少なくとも一部が、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向するように配索された線状部材と、を有し、
該線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記フレームの前記脆弱部を備えた面のうち、前記脆弱部が位置する部位から離間するように配置されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記フレームの前記脆弱部を備えた面に設けられ、前記脆弱部の変形量が所定量に達した際に互いに当接し合って、前記変形量を規制する第1規制部及び第2規制部を更に有し、
前記線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記第1規制部と前記第2規制部との間の隙間を避けた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記第1規制部及び前記第2規制部は、前記脆弱部を挟んで互いに対向した状態で、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に取り付けられた第1対向部材及び第2対向部材であることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記第1対向部材及び前記第2対向部材のうち、いずれか一方の対向部材に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記いずれか一方の対向部材に形成された貫通孔に係合するクリップ部材を有し、
前記線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記貫通孔に係合した状態の前記クリップ部材により、前記いずれか一方の対向部材に固定されることを特徴とする請求項4に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記第1規制部及び前記第2規制部は、前記フレームの前記脆弱部を備えた面において、前記脆弱部を挟んで上下方向に沿って並ぶように配置されており、
前記線状部材のうち、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分は、前記フレームの前記脆弱部を備えた面中、前記第1規制部及び前記2規制部の配置位置の側方に位置する部位に固定されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の車両用シート。
【請求項7】
前記線状部材は、前記フレームの前記脆弱部を備えた面に対向した部分が、前記脆弱部を跨ぐように配索されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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