説明

車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型

【課題】車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型の提供。
【解決手段】コア成形部を備えるコア金型と、前記コア成形部と組み合わされるキャビティ成形部を備えるキャビティ金型と、からなる車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型において、前記コア金型及び前記キャビティ金型の内部には、前記コア成形部と前記キャビティ成形部の高さ方向に沿って移動自在に設けられる第1及び第2作動部と、前記第1作動部の一方の面に一体に設けられて前記コア成形部に載置されるハブコアを固定する固定治具と、を備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型に係り、さらに詳しくは、成形金型にインサートされたハブコアに発泡ポリプロピレン(EPP:Expanded Polypropylene)素材を一体に成形する車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の操向ハンドル(steering wheel)は、操向ギアと連結された操向軸の一方の先端部に取り付けられて、操向ハンドルの回転量が操向軸を介して操向ギアに伝わることにより、ホイールを回動させるようになっている。
【0003】
図1は、従来の車両用ステアリングホイールを示す分解斜視図である。
図1を参照すると、従来のステアリングホイールは、ハブ12と、スポーク14と、リム16と、からなるコア10と、コア10の外側に形成された発泡ポリプロピレン(EPP)18フォームと、を備える。かような発泡ポリプロピレン(EPP)フォームは、上フォーム18aと下フォーム18bとからなり、発泡成形工程によってそれぞれ製造される。
次いで、上フォーム18aと下フォーム18bをコア10のリム16の上側及び下側から組み付けて発泡ポリプロピレン(EPP)フォーム付きステアリングホイールを製作する。
【0004】
かような従来の車両用ステアリングホイールは、上フォーム18aと下フォーム18bを別々に製作し、上フォーム18aと下フォーム18bを接着するといった工程が追加されて生産性が低下するという問題点がある。
また、発泡ポリプロピレン(EPP)を上フォーム18aと下フォーム18bによって成形すると、成形断面が不均一になって接着剤が均一に塗布できない結果、上フォーム18aと下フォーム18bの接着が正常に行われず、しかも、成形されたステアリングホイールの接着部分が外部からの圧力によって開いてしまうという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハブコアと発泡ポリプロピレン(EPP)を一体に成形することにより、作業工程を減少させて生産性を向上させ、製造コストを節減する他、成型品の均一性及び品質を向上させることのできる車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記及びその他の本発明の目的を達成するために、本発明は、コア成形部を備えるコア金型と、前記コア成形部と組み合わされるキャビティ成形部を備えるキャビティ金型と、からなる車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型において、前記コア金型及び前記キャビティ金型の内部には、前記コア成形部と前記キャビティ成形部の高さ方向に沿って移動自在に設けられる第1及び第2作動部と、前記第1作動部の一方の面に一体に設けられて前記コア成形部に載置されるハブコアを固定する固定治具と、を備えてなることを特徴とする車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型を提供する。
【0007】
前記コア金型及び前記キャビティ金型の底面と、前記第1及び第2作動部の他方の面との間には、複数の弾性部材が円周方向に沿って隔設されて前記第1及び第2作動部を弾持することを特徴とする。
【0008】
前記コア金型及び前記キャビティ金型の底面と向かい合う前記第1及び第2作動部の他方の面には、前記弾性部材の一方の端部が収まるように複数の収容溝が円周方向に沿って隔設されることを特徴とする。
【0009】
前記第1及び第2作動部の一方の端部は、前記コア成形部及び前記キャビティ成形部の一方の端部よりも突設されることを特徴とする。
【0010】
前記コア金型及び前記キャビティ金型の底面の所定の位置には、前記弾性部材の他方の端部が挿入または収容されるように複数の収容溝または突部が円周方向に沿って隔設されることを特徴とする。
【0011】
前記第1作動部の一方の面の所定の位置には、円周方向に沿って前記固定治具から所定の間隔だけ離れて複数の支持部が配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施の形態によれば、第1作動部及び第2作動部によって面合わせのパーティングライン(Parting Line)を形成してハブコアとEPP素材を一体に成形することにより、作業工程を減少させて生産性を向上させ、しかも、製造コストを節減する他、成型品の均一性と品質を向上させるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の車両用ステアリングホイールを示す分解斜視図。
【図2】本発明の一実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型を概略的に示す断面図。
【図4】A及びBは、本発明の他の実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を詳述する。図中、線の太さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜性のために誇張されていることもある。
また、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であり、使用者、運用者の意図または慣例によって変わり得る。このため、これらの用語の定義は、本明細書の全般に亘っての内容を踏まえてなされるべきである。
【0015】
実施形態
図2は、本発明の一実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型を示す斜視図であり、図3は、本発明の一実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型を概略的に示す断面図である。
本発明の一実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型100は、高い圧力とスチームを用いて、コア成形部112とキャビティ成形部122との組み合わせによって形成された成形空間の内部に充填されたEPP粒子を融着させることにより、後述するハブコア10のリム16に成形する。
【0016】
このようなハブコア10は、図1を参照すると、車両のステアリングコラムに連結されるハブ12と、前記ハブ12の円周に放射状に取り付けられるスポーク14と、前記スポーク14の端部に取り付けられる円形のリム16と、を備える。
図2及び図3を参照すると、本発明の一実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型100は、コア成形部112を備えるコア金型110と、コア成形部112と組み合わされるキャビティ成形部122を備えるキャビティ金型120と、を備える。
【0017】
コア金型110及びキャビティ金型120の内部には、コア成形部112とキャビティ成形部122の高さ方向に沿って移動自在に第1及び第2作動部114、124がそれぞれ配設される。
第1作動部114の一方の面には、コア成形部112に載置されるハブコア10を固定する固定治具116が一体に配設される。
【0018】
また、第1作動部114の一方の面の所定の位置、すなわち、固定治具116から所定の間隔だけ離れて複数の支持部118が配設され、支持部118は固定治具116に固定されて、コア成形部112に載置されているハブコア10のスポーク14を支持する。
【0019】
コア金型110及びキャビティ金型120の底面と、第1及び第2作動部114、124の他方の面との間には、第1及び第2作動部114、124がコア成形部112とキャビティ成形部122の高さ方向に沿って弾性移動するように第1及び第2作動部114、124を弾持する複数の弾性部材130が第1及び第2作動部114、124の円周方向に沿って配設される。
【0020】
これらの第1及び第2作動部114、124の他方の面、すなわち、コア金型110及びキャビティ金型120の底面と向かい合う他方の面には、弾性部材130の一方の端部が収まるように複数の収容溝132が第1及び第2作動部114、124の円周方向に沿って形成され、収容溝132は、第1及び第2作動部114、124が弾性部材130によって弾性移動するときに弾性部材130の位置を固定する。
ここで、収容溝132の底面には、弾性部材130の一方の端部が嵌まり込むように突出部132aが形成されることが好ましい。
【0021】
一方、第1及び第2作動部114、124の一方の端部は、コア成形部112及びキャビティ成形部122の一方の端部よりも突設されるが、これは、コア成形部112とキャビティ成形部122とが組み合されて形成された成形空間の内部にEPP粒子が充填されるときに所望の密度でEPP粒子が充填されるようにクラックフィル(Crack Fill)を形成し、コア成形部112とキャビティ成形部122の刃112a、122aが外部の衝撃によって破損されることを予防する。
【0022】
ここで、クラックフィルとは、粒子状のEPPが成形空間の内部に所望の密度で充填されるようにコア成形部112とキャビティ成形部122との間の間隔を4〜10mm隔ててEPP粒子を成形空間の内部に注入するためのものである。
【0023】
また、コア金型110及びキャビティ金型120の内部にコア成形部112とキャビティ成形部122の高さ方向に沿って弾性移動自在に設けられた第1及び第2作動部114、124の一方の端部が互いに当接して面合わせのパーティングラインが形成されるため、ハブコア10とEPP素材を一体に成形することができる。
加えて、ハブコア10を固定する固定治具116が第1作動部114と連動するように一体に結合されているため、成形の際にハブコア10のリム16が成形空間の中心に位置して、成形の際にリム16の上部と下部にEPP粒子が均一に成形される。
【0024】
図4A及び図4Bは、本発明の他の実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型を概略的に示す断面図である。
図4A及び図4Bを参照すると、コア金型110及びキャビティ金型120の底面の所定の位置には、弾性部材130の他方の端部が挿入または収容されるように複数の収容溝110a、120aまたは突出部110b、120bが円周方向に沿って隔設されて、弾性部材130の位置を固定する。
【0025】
以下、本発明の一実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型の作動を説明する。
まず、ハブコア10をコア金型110の第1作動部114に一体に配設された固定治具116に固定してコア成形部112にハブコア10を載置する。
次いで、キャビティ金型120をコア金型110に向かって移動させて第1作動部114と第2作動部124の一方の端部を当接させた後、コア成形部112とキャビティ成形部122の組み合わせによって形成された成形空間の内部にEPP粒子を充填する。
【0026】
成形空間の内部にEPP粒子が充填された後、キャビティ金型120をさらに移動させてコア金型110と型合わせし、成形空間の内部にスチームを供給しながら押し付けると、成形空間の内部に充填されたEPP粒子がハブコア10のリム16の外周面に融着成形される。
このとき、第1及び第2作動部114、124は、コア金型110とキャビティ金型120の内部に弾性移動し、これと同時に、第1及び第2作動部114、124の一方の端部が互いに当接して面合わせのパーティングラインが形成されるため、ハブコア10とEPP素材を一体に成形することができる。
【0027】
このため、本発明の一実施の形態による車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型によれば、第1作動部114と第2作動部124によって面合わせのパーティングラインを形成してハブコア10とEPP素材を一体に成形することにより、作業工程を減少させて生産性を向上させ、製造コストを節減する他、成型品の均一性と品質を向上させることができるという効果がある。
【0028】
以上、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を説明したが、当該技術分野における当業者であれば、特許請求の範囲に記載の本発明の技術的な思想から逸脱しない範囲内において、本発明を種々に修正及び変更することができるということが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0029】
10:ハブコア
12:ハブ
14:スポット
16:リム
110:コア金型
110a:収容溝
110b:突出部
112:コア成形部
112a:刃
114:第1作動部
116:固定治具
118:支持部
120:キャビティ金型
120a:収容溝
120b:突出部
122:キャビティ成形部
122a:刃
124:第2作動部
130:弾性部材
132:収容溝
132a:突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア成形部を備えるコア金型と、前記コア成形部と組み合わされるキャビティ成形部を備えるキャビティ金型と、からなる車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型において、
前記コア金型及び前記キャビティ金型の内部には、前記コア成形部と前記キャビティ成形部の高さ方向に沿って移動自在に設けられる第1及び第2作動部と、
前記第1作動部の一方の面に一体に設けられて前記コア成形部に載置されるハブコアを固定する固定治具と、
を備えてなることを特徴とする車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型。
【請求項2】
前記コア金型及び前記キャビティ金型の底面と、前記第1及び第2作動部の他方の面との間には、複数の弾性部材が円周方向に沿って隔設されて前記第1及び第2作動部を弾持することを特徴とする請求項1に記載の車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型。
【請求項3】
前記コア金型及び前記キャビティ金型の底面と向かい合う前記第1及び第2作動部の他方の面には、前記弾性部材の一方の端部が収まるように複数の収容溝が円周方向に沿って隔設されることを特徴とする請求項2に記載の車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型。
【請求項4】
前記第1及び第2作動部の一方の端部は、前記コア成形部及び前記キャビティ成形部の一方の端部よりも突設されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型。
【請求項5】
前記コア金型及び前記キャビティ金型の底面の所定の位置には、前記弾性部材の他方の端部が挿入または収容されるように複数の収容溝または突部が円周方向に沿って隔設されることを特徴とする請求項2に記載の車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型。
【請求項6】
前記第1作動部の一方の面の所定の位置には、円周方向に沿って前記固定治具から所定の間隔だけ離れて複数の支持部が配設されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ステアリングホイールEPP発泡フォーム成形金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2013−35270(P2013−35270A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88391(P2012−88391)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(511197899)ドンシン産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】