車両用ドア
【課題】ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との間の距離が一定でない場合に、ドアシールのアウタリップ部を安定して折り曲げることを可能にするとともに、ドアシールの見栄えの悪化やシール性の悪化を防ぐことを可能にする。
【解決手段】ドアシール23の変化部42における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離b1が、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1よりも長く設定されるとともに、変化部42におけるアウタリップ部52の車内12側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝71が設けられ、折曲げ溝71の形成方向に延長線L1を引くときに、アウタリップ部52の車外側面52bと延長線L1の交点P1からアウタリップ部52の先端52aまでの距離c1を、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1に略同一とする。
【解決手段】ドアシール23の変化部42における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離b1が、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1よりも長く設定されるとともに、変化部42におけるアウタリップ部52の車内12側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝71が設けられ、折曲げ溝71の形成方向に延長線L1を引くときに、アウタリップ部52の車外側面52bと延長線L1の交点P1からアウタリップ部52の先端52aまでの距離c1を、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1に略同一とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に設けられたドア開口部と、ドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、ドア本体に取付けられ、ドア開口部の縁部に当接するドアシールと、を備える車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアは、ドアサッシュに、意匠面の幅が略一定で、車両前後方向に沿って略直線状に延びる直線部と、直線部に連続して直線部よりも意匠面の幅が広く、且つドアガラスの外形状に沿って略円弧状に湾曲した湾曲部と、を有し、直線部におけるアウタリップ部に比べ、湾曲部におけるアウタリップ部が、意匠面の幅の変化に追従して長くなるよう形成され、且つ直線部におけるアウタリップ部の基端側の肉厚に比べ、湾曲部におけるアウタリップ部の基端側の肉厚が厚肉となるよう形成されたドアシールが設けられている。
【0003】
この車両用ドアによれば、湾曲部におけるアウタリップ部の変形を防止することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、車両用ドアには、ドアパネルの前端縁の内面に段部が設けられ、この段部にリテーナが設けられ、このリテーナにドアシールが取付けられる。このドアシールは、リテーナに取付けられる基底部と、基底部に一体に形成され、フロントピラーに弾接するアウタリップ部及び中空シール部と、アウタリップ部の先端部に車内側に凹状に設けられた湾曲部と、湾曲部の凹部側中程に設けられる折り曲げ用の切り溝と、から構成される。
【0005】
この車両用ドアによれば、アウタリップ部及び中空シール部が干渉することがなく、中空シール部の断面積を大きく設定することが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−127756公報
【特許文献2】実公平7−51374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1の車両用ドアには、リアドアサッシュの横辺部に取付けられるドアシールのアウタリップ部の形状が、リアドアサッシュの意匠面の幅の変化に追従して長手方向で変化するように形成されることが開示されている。
特許文献2の車両用ドアには、アウタリップ部の車内側に折り曲げ用の切り溝(折曲げ溝)を設けることが開示されている。
【0008】
ドアサッシュを複数の車種で流用する場合、特許文献1の車両用ドアのようにドアサッシュの意匠面の長さを変えてドアサッシュの縁部とドア開口部との間の隙間を一定に保つことは困難である。すなわち、ドア開口部の形状に合わせてドアサッシュの意匠面の長さを設定することができず、ドアサッシュの縁部とドア開口部との間の隙間が一定ではない場合がある。
【0009】
この場合、アウタリップ部の端部が車体開口部に当接されるので、アウタリップ部の長さはドアサッシュの縁部とドア開口部との隙間の長さに合わせて決定される。アウタリップ部をサッシュの縁部を基点として折り曲げると、アウタリップ部の倒れ込み量が変わってくる。従って、車体開口部への当接位置も変わってしまい、見栄えが悪くなるとともに、シール性が悪化する恐れがある。
【0010】
例えば、特許文献2の車両用ドアのように、アウタリップ部の裏面に折曲げ溝を設けることが考えられる。しかし、特許文献2の車両用ドアでは、アウタリップ部の長さが異なることが考慮されていないので、改善する余地が残る。
【0011】
本発明は、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との間の距離が一定でない場合に、ドアシールのアウタリップ部を安定して折り曲げることができ、ドアシールの見栄えの悪化やシール性の悪化を防ぐことができる車両用ドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、車体に設けられたドア開口部と、ドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、ドア本体に取付けられ、ドア開口部の縁部に当接するドアシールと、を備える車両用ドアにおいて、ドア本体に、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との間の距離が一定な一般部と、一般部に連なるとともに一般部から離れるに連れてドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が長くなる変化部と、を備え、ドアシールに、一般部から変化部に亘って連続的に形成されドア本体に支持されるシール基部と、シール基部からドア開口部の縁部側へ延出され、先端がドア開口部の縁部へ当接するアウタリップ部と、アウタリップ部とシール基部との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部と、を備え、変化部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離が、一般部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離よりも長く設定されるとともに、変化部におけるアウタリップ部の車内側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝が設けられ、折曲げ溝の形成方向に延長線を引くときに、アウタリップ部の車外側面と延長線の交点からアウタリップ部の先端までの距離を、一般部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離に略同一とすることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、シール基部に、座ぐり部の近傍に且つドア本体の裏面側に突出するとともにドア本体の裏面に当接する当接部を備え、当接部の突出長さが、一般部よりも変化部の方が長く形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、当接部の突出長さが、変化部では一般部から離れるに連れて長くなるように形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、変化部が、一般部からドア本体のコーナに向けて設けられる部位であり、ドアシールのドア本体のコーナ取付部位に、ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、変化部における当接部の突出長さが、一般部側からインサート部材に向かうに連れて長く形成され、インサート部材のインサート範囲ではコーナに向かうに連れて短く形成されたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、座ぐり部の深さを、一般部での深さよりも変化部での深さを浅く形成することを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、座ぐり部の深さが、変化部では一般部から離れるに連れて浅くなるように形成されることを特徴とする。
【0018】
請求項7に係る発明は、変化部が、一般部からドア本体のコーナに向けて設けられる部位であり、ドアシールのドア本体のコーナ取付部位に、ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、変化部における座ぐり部の深さが、一般部側からインサート部材に向かうに連れて浅く形成され、インサート部材のインサート範囲ではコーナに向かうに連れて深く形成されたことを特徴とする。
【0019】
請求項8に係る発明は、ドア本体に、車外側にドアシールの一部を覆うガーニッシュが設けられ、ドアシールに、ガーニッシュに当接するガーニッシュ当接部が設けられるとともに、インサート部材が、ガーニッシュ当接部が設けられている範囲に設けられたことを特徴とする。
【0020】
請求項9に係る発明は、インサート部材が、ドア本体の縁部からドア開口部に向かって、ガーニッシュ当接部の位置まで延設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両用ドアに、車体に設けられたドア開口部と、ドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、ドア本体に取付けられ、ドア開口部の縁部に当接するドアシールと、を備える。
ドア本体に、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との間の距離が一定な一般部と、一般部に連なるとともに一般部から離れるに連れてドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が長くなる変化部と、を備える。
ドアシールに、一般部から変化部に亘って連続的に形成されドア本体に支持されるシール基部と、シール基部からドア開口部の縁部側へ延出され、先端がドア開口部の縁部へ当接するアウタリップ部と、アウタリップ部とシール基部との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部と、を備える。
変化部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離が、一般部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離よりも長く設定される。
変化部におけるアウタリップ部の車内側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝が設けられ、折曲げ溝の形成方向に延長線を引くときに、アウタリップ部の車外側面と延長線の交点からアウタリップ部の先端までの距離を、一般部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離に略同一とした。すなわち、アウタリップ部の車外側面におけるアウタリップ部の折曲げ基点を、一般部と変化部とで略同一にすることができるので、ドアシールの見栄えの悪化やシール性の悪化を防ぐことができる。
また、一般部では座ぐり部を基点としてアウタリップ部を安定して折り曲げることができる。
【0022】
請求項2に係る発明では、シール基部に、座ぐり部の近傍に且つドア本体の裏面側に突出するとともにドア本体の裏面に当接する当接部を備え、当接部の突出長さが、一般部よりも変化部の方が長く形成された。すなわち、当接部によって変化部における座ぐり部近傍の剛性を高めることができるので、変化部において座ぐり部を基点としてアウタリップ部が折り曲げられることを抑制できる。
当接部の反力によってドアシールがドア本体の裏面から離れる側に力を受ける。当接部の突出長さが、一般部よりも変化部の方が長く形成されたので、変化部において反カをより大きく受けることができる。従って、変化部におけるアウタリップ部が座ぐり部を基点として折り曲げられることを抑制することができる。
【0023】
請求項3に係る発明では、当接部の突出長さが、変化部では一般部から離れるに連れて長くなるように形成される。すなわち、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が長くなるに連れて、当接部の突出長さも長くなるように設定されたので、必要以上に当接部の長さが長くなることを抑制できる。
また、一般部から変化部への当接部の長さの変化を緩やかにできるので、ドア本体と当接部とを確実に当接させることができる。なお、急激に当接部の長さを変化させると当接部とドア本体との間に隙間ができる恐れがある。
【0024】
請求項4に係る発明では、変化部が、一般部からドア本体のコーナに向けて設けられる部位である。ドアシールのドア本体のコーナ取付部位に、ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、変化部における当接部の突出長さが、一般部側からインサート部材に向かうに連れて長く形成され、インサート部材のインサート範囲ではコーナに向かうに連れて短く形成された。すなわち、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が大きく離れるコーナ近傍を、インサート部材によって剛性を高めているので、予期しないアウタリップ部の倒れ込み(座ぐり部を基点とした倒れ込み)を抑制することができる。
また、インサート部材が設けられるインサート部分から当接部の突出長さを戻していくので、例えば、コーナを境にしてドアシールの延びる方向が変わるときに、変わった部分の一般部に連続的に接続することができる。
【0025】
請求項5に係る発明では、座ぐり部の深さを、一般部での深さよりも変化部での深さを浅く形成する。すなわち、変化部における座ぐり部近傍の剛性を高めることができるので、変化部において座ぐり部を基点としてアウタリップ部が折り曲げられることを抑制できる。
また、座ぐり部の深さ自体が浅くなることから、アウタリップ部の剛性が増し、アウタリップ部の全体的な倒れ込みを抑制することができる。
【0026】
請求項6に係る発明では、座ぐり部の深さが、変化部では一般部から離れるに連れて浅くなるように形成されるので、必要以上に座ぐり部の深さが浅くなることを抑制できる。
【0027】
請求項7に係る発明では、変化部が、一般部からドア本体のコーナに向けて設けられる部位である。ドアシールのドア本体のコーナ取付部位に、ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、変化部における座ぐり部の深さが、一般部側からインサート部材に向かうに連れて浅く形成され、インサート部材のインサート範囲ではコーナに向かうに連れて深く形成された。すなわち、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が大きく離れるコーナ近傍を、インサート部材によって剛性を高めているので、予期しないアウタリップ部の倒れ込み(座ぐり部を基点とした倒れ込み)を抑制することができる。
また、インサート部材が設けられる部位から座ぐり部の深さを戻していくので、例えば、コーナを境にしてドアシールの延びる方向が変わるときに、変わった部分の一般部に連続的に接続することができる。
【0028】
請求項8に係る発明では、ドア本体に、車外側にドアシールの一部を覆うガーニッシュが設けられる。ドアシールに、ガーニッシュに当接するガーニッシュ当接部が設けられるとともに、インサート部材が、ガーニッシュ当接部が設けられている範囲に設けられた。すなわち、ガーニッシュ当接部によって、ガーニッシュとドアシールとの間の隙間を塞ぐことができる。
さらに、ガーニッシュによって車内側に押されてしまう範囲にインサート部材が設けられているので、必要以上にインサート部材を大きくすることなく、ドアシールの倒れ込みを防止できる。
【0029】
請求項9に係る発明では、インサート部材が、ドア本体の縁部からドア開口部に向かって、ガーニッシュ当接部の位置まで延設されたので、インサート部材で直接ガーニッシュ当接部の車内側を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る車両用ドアが採用された車両を示す側面図である。
【図2】図1の2部拡大図である。
【図3】図2に示された車両用ドアを車室側から見た側面図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】図2の7−7線断面図である。
【図8】図2の8−8線断面図である。
【図9】図2の9−9線断面図である。
【図10】図2に示された車両用ドアのドアシールの側面図である。
【図11】図10に示された車両用ドアのドアシールの形状変化を示すグラフである。
【図12】本発明に係る実施例2の車両用ドアのドアシールの断面図である。
【図13】図12に示された車両用ドアのドアシールの形状変化を示すグラフである。
【図14】本発明に係る実施例3の車両用ドアのドアシールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0032】
図1〜図4に示されたように、車両10は、車体11に、乗員が乗降するドア開口部14と、このドア開口部14に設けられるウェザーストリップ15と、このウェザーストリップ15を介してドア開口部14を開閉自在に覆う車両用ドア20と、が設けられる。
【0033】
車両用ドア20は、車体11の後部に設けられる後部ドアであり、ドア開口部14を開閉自在に覆うドア本体21と、ドア本体21を昇降するドアガラス22と、ドア本体21に取付けられ、ドア開口部14の縁部14aに当接するドアシール23と、からなる。
【0034】
ドア本体21は、アウタパネル25及びインナパネル(不図示)からなるドアパネル27と、このドアパネル27の上部に設けられるドアサッシュ28と、ドアパネル27とドアサッシュ28に亘って設けられ、ドアガラス22をスライド自在に支持するランチャンネル29と、ドアサッシュ28の前サッシュ34を車外側から覆う前ガーニッシュ31と、ドアサッシュ28の後サッシュ35を車外側から覆う後ガーニッシュ32(以下、単に「ガーニッシュ32」と記載する)と、からなる。
詳細にはガーニッシュ32は、ドア本体21に設けられる部材であり、後述するドアシール23の一部を、車外側から覆う部材である。
なお、ドア本体21の前コーナ部38は、前ガーニッシュ31の上部前角部が相当し、ドア本体21の後コーナ部39(以下「コーナ39」と記載する)は、ガーニッシュ32の上部後角部が相当する。
【0035】
なお、ドアサッシュ28は、略コ字状に形成された枠体であり、車体前方に設けられる前サッシュ34と、車体後方に設けられる後サッシュ35と、これらの前及び後サッシュ34,35の先端同士を繋ぐ上サッシュ36と、から構成される。
【0036】
図1〜図10に示されたように、ドア本体21の上サッシュ36には、ドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの間の距離E1が一定な一般部41と、一般部41に連なるとともに一般部41から離れるに連れてドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの距離F1が長くなる変化部42と、を備える。
変化部42は、一般部41からドア本体21のコーナ39(ガーニッシュ32の上部後角部)に向けて設けられる部位である。
なお、図4〜図9において、ドアシール23のアウタリップ部52及び中空シール部54は、ドア開口部14に沿って変形される。また、ウェザーストリップ15も、ドア本体21のウェザーストリップ当接部47に沿って変形される。
【0037】
ドア本体21の上サッシュ36は、一般部41から変化部42に亘って、ドアシール23を保持するドアシール保持部45と、ランチャンネル29を保持するランチャンネル保持部46と、ウェザーストリップ15に当接するウェザーストリップ当接部47と、が設けられる。
【0038】
ドアシール23は、一般部41から変化部42に亘って連続的に形成されドア本体21に支持されるシール基部51と、シール基部51からドア開口部14の縁部14a側へ延出され、先端52aがドア開口部14の縁部14aへ当接するアウタリップ部52と、アウタリップ部52とシール基部51との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部53と、シール基部51からドア開口部14に膨出され、ドア開口部14に当接する中空シール部54と、からなる。
【0039】
さらに、ドアシール23のドア本体21の一般部41取付部位をドアシール一般部56、ドアシール23のドア本体21の変化部42取付部位をドアシール変化部57、ドアシール23のドア本体21のコーナ39取付部位をドアシールコーナ部58と呼ぶときに、ドアシールコーナ部58には、ガーニッシュ32に当接するガーニッシュ当接部61と、ドアシール23を補強するインサート部材62と、が設けられている。
インサート部材62は、ガーニッシュ当接部61が設けられている範囲に設けられる。 また、ドアシール一般部56は押出成形され、ドアシール変化部57とドアシールコーナ部58は型成形されている。
【0040】
シール基部51は、ドアサッシュ28のドアシール保持部45に保持される部分であり、座ぐり部53の近傍に且つドア本体21(上サッシュ36)の裏面21b側に突出するとともにドア本体21の裏面21bに当接する当接部65と、車外側に突出させた外突起66と、車内(車室)12側に突出させた内突起67と、車内12側に設けられる内凹部68と、車外側に設けられる外凹部69と、が形成される。
【0041】
図11(a),(b)に示されたように、当接部65の突出長さH1は、一般部41よりも変化部42の方が長く形成される。さらに、当接部65の突出長さH1は、変化部42では一般部41から離れるに連れて長くなるように形成される。
【0042】
図4及び図6に示されたように、アウタリップ部52は、変化部42における座ぐり部53から先端52aまでの距離b1が、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1よりも長く設定される。
また、アウタリップ部52は、変化部42における車内12側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝71が設けられる。
さらに、アウタリップ部52は、折曲げ溝71の形成方向に延長線L1を引くときに、アウタリップ部52の車外側面52bと延長線L1の交点P1からアウタリップ部52の先端52aまでの距離c1を、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1に略同一とする。なお、折曲げ溝71は、V溝(V字型の溝)である。また、延長線L1は、V字型の折曲げ溝71の頂点を通り、V字のなす角度を角度θ1,θ1で等角になるように引いた線分である。
【0043】
ここで、折曲げ溝71の形成方向とは、折曲げ溝71がインジェクション成形される場合には、折曲げ溝71を形成するための型形状の突出方向と同一となる。
【0044】
図11(a)にはドアシール23の当該部位に対する当接部65の突出長さH1、及びドアシール23の当該部位に対する座ぐり部53の深さD1が示される。なお、横軸はドアシール23の当該部位、縦軸は当接部65の突出長さH1及び座ぐり部53の深さD1である。図11(b)にはドアシール23の側面が示される。
図11(a),(b)に示されたように、変化部42におけるドアシール23の当接部65の突出長さH1は、一般部41側からインサート部材62に向かうに連れて長く形成され、インサート部材62のインサート範囲G1ではコーナ39に向かうに連れて短く形成され、コーナ39側の端部では、一般部41における突出長さと略同一となる。
さらに、座ぐり部53の深さD1は、一般部41での深さよりも変化部42での深さ浅く形成が浅く形成される。詳細には、座ぐり部53の深さD1が、変化部42では一般部41から離れるに連れて浅くなるように形成される。
【0045】
以下、実施例1の作用・効果を説明する。
図2、図4及び図6に示されたように、車両用ドア20では、車体11に設けられたドア開口部14と、ドア開口部14を開閉自在に覆うドア本体21と、ドア本体21に取付けられ、ドア開口部14の縁部14aに当接するドアシール23と、を備える。
【0046】
ドア本体21に、ドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの間の距離E1が一定な一般部41と、一般部41に連なるとともに一般部41から離れるに連れてドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの距離F1が長くなる変化部42と、を備える。
【0047】
ドアシール23に、一般部41から変化部42に亘って連続的に形成されドア本体21に支持されるシール基部51と、シール基部51からドア開口部14の縁部14a側へ延出され、先端52aがドア開口部14の縁部14aへ当接するアウタリップ部52と、アウタリップ部52とシール基部51との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部53と、を備える。
【0048】
変化部42における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離b1が、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1よりも長く設定される。
【0049】
変化部42におけるアウタリップ部52の車内12側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝71が設けられ、折曲げ溝71の形成方向に延長線L1を引くときに、アウタリップ部52の車外側面52bと延長線L1の交点P1からアウタリップ部52の先端52aまでの距離c1を、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1に略同一とした。すなわち、アウタリップ部52の車外側面52bにおけるアウタリップ部52の折曲げ基点を、一般部41と変化部42とで略同一にすることができるので、ドアシール23の見栄えの悪化やシール性の悪化を防ぐことができる。
【0050】
また、一般部41では座ぐり部53を基点としてアウタリップ部52を安定して折り曲げることができる。一般部41では折曲げ溝71を設けないので、ドアシール23の構造の複雑化を回避することができる。
【0051】
図6及び図11に示されたように、車両用ドア20では、シール基部51に、座ぐり部53の近傍に且つドア本体21の裏面21b側に突出するとともにドア本体21の裏面21bに当接する当接部65を備え、当接部65の突出長さH1が、一般部41よりも変化部42の方が長く形成された。すなわち、当接部65によって変化部42における座ぐり部53近傍の剛性を高めることができるので、変化部42において座ぐり部53を基点としてアウタリップ部52が折り曲げられることを抑制できる。
【0052】
当接部65の反力によってドアシール23がドア本体21の裏面21bから離れる側に力を受ける。当接部65の突出長さH1が、一般部41よりも変化部42の方が長く形成されたので、変化部42において反カをより大きく受けることができる。従って、変化部42におけるアウタリップ部52が座ぐり部53を基点として折り曲げられることができる。
【0053】
車両用ドア20では、当接部65の突出長さH1が、変化部42では一般部41から離れるに連れて長くなるように形成される。すなわち、ドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの距離F1が長くなるに連れて、当接部65の突出長さH1も長くなるように設定されたので、必要以上に当接部65の長さが長くなることを抑制できる。
【0054】
また、一般部41から変化部42への当接部65の長さの変化を緩やかにできるので、ドア本体21と当接部65とを確実に当接させることができる。なお、急激に当接部65の長さを変化させると当接部65とドア本体21との間に隙間ができる恐れがある。
【0055】
図2、図6及び図11に示されたように、車両用ドア20では、変化部42が、一般部41からドア本体21のコーナ39に向けて設けられる部位である。ドアシール23のドア本体21のコーナ取付部位(ドアシールコーナ部)58に、ドアシール23を補強するインサート部材62が設けられ、変化部42における当接部65の突出長さH1が、一般部41側からインサート部材62に向かうに連れて長く形成され、インサート部材62のインサート範囲G1ではコーナ39に向かうに連れて短く形成された。すなわち、ドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの距離F1が大きく離れるコーナ39近傍を、インサート部材62によって剛性を高めているので、予期しないアウタリップ部52の倒れ込み(座ぐり部53を基点とした倒れ込み)を抑制することができる。
【0056】
また、インサート部材62が設けられるインサート部分から当接部65の突出長さH1を戻していくので、例えば、コーナ39を境にしてドアシール23の延びる方向が変わるときに、変わった部分の一般部41に連続的に接続することができる。
【0057】
図11に示されたように、車両用ドア20では、座ぐり部53の深さD1を、一般部41での深さよりも変化部42での深さを浅く形成する。すなわち、変化部42における座ぐり部53近傍の剛性を高めることができるので、変化部42において座ぐり部53を基点としてアウタリップ部52が折り曲げられることを抑制できる。
【0058】
また、座ぐり部53の深さD1自体が浅くなることから、アウタリップ部52の剛性が増し、アウタリップ部52の全体的な倒れ込みを抑制することができる。
【0059】
図11に示されたように、車両用ドア20では、座ぐり部53の深さD1が、変化部42では一般部41から離れるに連れて浅くなるように形成されるので、必要以上に座ぐり部53の深さD1が浅くなることを抑制できる。
【0060】
図2、図8及び図11に示されたように、車両用ドア20では、ドア本体21に、車外側にドアシール23の一部を覆うガーニッシュ32が設けられる。ドアシール23に、ガーニッシュ32に当接するガーニッシュ当接部61が設けられるとともに、インサート部材62が、ガーニッシュ当接部61が設けられている範囲(インサート範囲G1)に設けられた。すなわち、ガーニッシュ当接部61によって、ガーニッシュ32とドアシール23との間の隙間を塞ぐことができる。
【0061】
さらに、ガーニッシュ32によって車内12側に押されてしまう範囲にインサート部材62が設けられているので、必要以上にインサート部材62を大きくすることなく、ドアシール23の倒れ込みを防止できる。
【実施例2】
【0062】
図12及び図13に実施例2の車両用ドア100のドアシール103が示される。
図13(a)にはドアシール103の当該部位に対する座ぐり部113の深さD2が示される。なお、横軸はドアシール103の当該部位、縦軸は座ぐり部113の深さD2である。図13(b)にはドアシール103の車両用ドア100の側面図が示される。
ドアシール103は、図2及び図4に示された実施例1の車両用ドア20のドアシール23と略同一構成であり、ドアシール23に比べて、座ぐり部113の深さD2の変化を異なるようにしたものである。
【0063】
すなわち、変化部112が、一般部111からドア本体101のコーナ109に向けて設けられる部位であり、ドアシール103のドア本体101のコーナ取付部位をドアシールコーナ部108と呼ぶときに、ドアシールコーナ部108には、ドアシール103を補強するインサート部材102が設けられ、変化部112における座ぐり部113の深さD2が、一般部111側からインサート部材102に向かうに連れて浅く形成され、インサート部材102のインサート範囲G2ではコーナ109に向かうに連れて深く形成されたものである。
なお、コーナ109は、ガーニッシュ123の上部後角部が相当する。
【0064】
これにより、実施例2の車両用ドア100では、ドア本体101の縁部101aとドア開口部104の縁部104aとの距離F2が大きく離れるコーナ109近傍を、インサート部材102によって剛性を高めているので、予期しないアウタリップ部122の倒れ込み(座ぐり部113を基点とした倒れ込み)を抑制することができる。
【0065】
また、インサート部材102が設けられるインサート部分から座ぐり部113の深さD2を戻していくので、例えば、コーナ109を境にしてドアシール103の延びる方向が変わるときに、変わった部分の一般部111に連続的に接続することができる。
【実施例3】
【0066】
図14に実施例3の車両用ドア130のドアシール133が示される。ドアシール133は、図2及び図4に示された実施例1の車両用ドア20のドアシール23と略同一構成であり、ドアシール23に比べて、インサート部材132の高さを違えたものである。
【0067】
実施例3の車両用ドア130では、インサート部材132が、ドア本体131の縁部131aからドア開口部134の縁部134aに向かって、ガーニッシュ当接部141の位置まで延設された。これにより、インサート部材132で直接ガーニッシュ当接部141の車内側を支持することができる。
【0068】
尚、本発明に係る車両用ドアは、図1〜図14に第1〜第3実施例の車両用ドア20,100,130が示されたが、これらの実施例を適宜組み合わせることを妨げるものではない。
【0069】
また、本発明では第1〜第3実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
当接部65の突出長さH1が、インサート部材62のインサート範囲G1ではコーナ39に向かうに連れて短く形成される構成に限定されず、変化部42全域で、一般部41から離れるに連れて長くなるように形成されてもよい。変化部42の一部だけで長さが変化してその他の区間では一定長さとするようにしてもよい。
さらに、本発明に係る車両用ドアでは、図6に示されたように、折曲げ溝71は、延長線L1に対して角度θ1,θ1で等角に振り分けたV溝であったが、これに限るものではなく、U溝、コ字状の溝若しくは円弧溝等の凹状であればよい。
【0070】
本発明に係る車両用ドアは、図2に示されたように、後部ドアであったが、これに限るものではなく、前部ドアやスライドドアであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る車両用ドアは、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0072】
11…車体、12…車内、14…ドア開口部、14a…ドア開口部の縁部、20,100,130…車両用ドア、21…ドア本体、21a…ドア本体の縁部、21bドア本体の裏面…、23…ドアシール、32…ガーニッシュ、39…ドア本体のコーナ、41…一般部、42…変化部、51…シール基部、52…アウタリップ部、52a…アウタリップ部の先端、52bアウタリップ部の車外側面…、53…座ぐり部、58…コーナ取付部位(ドアシールコーナ部)、61…ガーニッシュ当接部、62…インサート部材、65…当接部、71…折曲げ溝、D1…座ぐり部の深さ、G1…インサート範囲、H1…当接部の突出長さ、L1…延長線、P1…交点。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に設けられたドア開口部と、ドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、ドア本体に取付けられ、ドア開口部の縁部に当接するドアシールと、を備える車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアは、ドアサッシュに、意匠面の幅が略一定で、車両前後方向に沿って略直線状に延びる直線部と、直線部に連続して直線部よりも意匠面の幅が広く、且つドアガラスの外形状に沿って略円弧状に湾曲した湾曲部と、を有し、直線部におけるアウタリップ部に比べ、湾曲部におけるアウタリップ部が、意匠面の幅の変化に追従して長くなるよう形成され、且つ直線部におけるアウタリップ部の基端側の肉厚に比べ、湾曲部におけるアウタリップ部の基端側の肉厚が厚肉となるよう形成されたドアシールが設けられている。
【0003】
この車両用ドアによれば、湾曲部におけるアウタリップ部の変形を防止することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、車両用ドアには、ドアパネルの前端縁の内面に段部が設けられ、この段部にリテーナが設けられ、このリテーナにドアシールが取付けられる。このドアシールは、リテーナに取付けられる基底部と、基底部に一体に形成され、フロントピラーに弾接するアウタリップ部及び中空シール部と、アウタリップ部の先端部に車内側に凹状に設けられた湾曲部と、湾曲部の凹部側中程に設けられる折り曲げ用の切り溝と、から構成される。
【0005】
この車両用ドアによれば、アウタリップ部及び中空シール部が干渉することがなく、中空シール部の断面積を大きく設定することが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−127756公報
【特許文献2】実公平7−51374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1の車両用ドアには、リアドアサッシュの横辺部に取付けられるドアシールのアウタリップ部の形状が、リアドアサッシュの意匠面の幅の変化に追従して長手方向で変化するように形成されることが開示されている。
特許文献2の車両用ドアには、アウタリップ部の車内側に折り曲げ用の切り溝(折曲げ溝)を設けることが開示されている。
【0008】
ドアサッシュを複数の車種で流用する場合、特許文献1の車両用ドアのようにドアサッシュの意匠面の長さを変えてドアサッシュの縁部とドア開口部との間の隙間を一定に保つことは困難である。すなわち、ドア開口部の形状に合わせてドアサッシュの意匠面の長さを設定することができず、ドアサッシュの縁部とドア開口部との間の隙間が一定ではない場合がある。
【0009】
この場合、アウタリップ部の端部が車体開口部に当接されるので、アウタリップ部の長さはドアサッシュの縁部とドア開口部との隙間の長さに合わせて決定される。アウタリップ部をサッシュの縁部を基点として折り曲げると、アウタリップ部の倒れ込み量が変わってくる。従って、車体開口部への当接位置も変わってしまい、見栄えが悪くなるとともに、シール性が悪化する恐れがある。
【0010】
例えば、特許文献2の車両用ドアのように、アウタリップ部の裏面に折曲げ溝を設けることが考えられる。しかし、特許文献2の車両用ドアでは、アウタリップ部の長さが異なることが考慮されていないので、改善する余地が残る。
【0011】
本発明は、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との間の距離が一定でない場合に、ドアシールのアウタリップ部を安定して折り曲げることができ、ドアシールの見栄えの悪化やシール性の悪化を防ぐことができる車両用ドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、車体に設けられたドア開口部と、ドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、ドア本体に取付けられ、ドア開口部の縁部に当接するドアシールと、を備える車両用ドアにおいて、ドア本体に、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との間の距離が一定な一般部と、一般部に連なるとともに一般部から離れるに連れてドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が長くなる変化部と、を備え、ドアシールに、一般部から変化部に亘って連続的に形成されドア本体に支持されるシール基部と、シール基部からドア開口部の縁部側へ延出され、先端がドア開口部の縁部へ当接するアウタリップ部と、アウタリップ部とシール基部との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部と、を備え、変化部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離が、一般部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離よりも長く設定されるとともに、変化部におけるアウタリップ部の車内側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝が設けられ、折曲げ溝の形成方向に延長線を引くときに、アウタリップ部の車外側面と延長線の交点からアウタリップ部の先端までの距離を、一般部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離に略同一とすることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、シール基部に、座ぐり部の近傍に且つドア本体の裏面側に突出するとともにドア本体の裏面に当接する当接部を備え、当接部の突出長さが、一般部よりも変化部の方が長く形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、当接部の突出長さが、変化部では一般部から離れるに連れて長くなるように形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、変化部が、一般部からドア本体のコーナに向けて設けられる部位であり、ドアシールのドア本体のコーナ取付部位に、ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、変化部における当接部の突出長さが、一般部側からインサート部材に向かうに連れて長く形成され、インサート部材のインサート範囲ではコーナに向かうに連れて短く形成されたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、座ぐり部の深さを、一般部での深さよりも変化部での深さを浅く形成することを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、座ぐり部の深さが、変化部では一般部から離れるに連れて浅くなるように形成されることを特徴とする。
【0018】
請求項7に係る発明は、変化部が、一般部からドア本体のコーナに向けて設けられる部位であり、ドアシールのドア本体のコーナ取付部位に、ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、変化部における座ぐり部の深さが、一般部側からインサート部材に向かうに連れて浅く形成され、インサート部材のインサート範囲ではコーナに向かうに連れて深く形成されたことを特徴とする。
【0019】
請求項8に係る発明は、ドア本体に、車外側にドアシールの一部を覆うガーニッシュが設けられ、ドアシールに、ガーニッシュに当接するガーニッシュ当接部が設けられるとともに、インサート部材が、ガーニッシュ当接部が設けられている範囲に設けられたことを特徴とする。
【0020】
請求項9に係る発明は、インサート部材が、ドア本体の縁部からドア開口部に向かって、ガーニッシュ当接部の位置まで延設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両用ドアに、車体に設けられたドア開口部と、ドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、ドア本体に取付けられ、ドア開口部の縁部に当接するドアシールと、を備える。
ドア本体に、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との間の距離が一定な一般部と、一般部に連なるとともに一般部から離れるに連れてドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が長くなる変化部と、を備える。
ドアシールに、一般部から変化部に亘って連続的に形成されドア本体に支持されるシール基部と、シール基部からドア開口部の縁部側へ延出され、先端がドア開口部の縁部へ当接するアウタリップ部と、アウタリップ部とシール基部との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部と、を備える。
変化部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離が、一般部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離よりも長く設定される。
変化部におけるアウタリップ部の車内側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝が設けられ、折曲げ溝の形成方向に延長線を引くときに、アウタリップ部の車外側面と延長線の交点からアウタリップ部の先端までの距離を、一般部における座ぐり部からアウタリップ部の先端までの距離に略同一とした。すなわち、アウタリップ部の車外側面におけるアウタリップ部の折曲げ基点を、一般部と変化部とで略同一にすることができるので、ドアシールの見栄えの悪化やシール性の悪化を防ぐことができる。
また、一般部では座ぐり部を基点としてアウタリップ部を安定して折り曲げることができる。
【0022】
請求項2に係る発明では、シール基部に、座ぐり部の近傍に且つドア本体の裏面側に突出するとともにドア本体の裏面に当接する当接部を備え、当接部の突出長さが、一般部よりも変化部の方が長く形成された。すなわち、当接部によって変化部における座ぐり部近傍の剛性を高めることができるので、変化部において座ぐり部を基点としてアウタリップ部が折り曲げられることを抑制できる。
当接部の反力によってドアシールがドア本体の裏面から離れる側に力を受ける。当接部の突出長さが、一般部よりも変化部の方が長く形成されたので、変化部において反カをより大きく受けることができる。従って、変化部におけるアウタリップ部が座ぐり部を基点として折り曲げられることを抑制することができる。
【0023】
請求項3に係る発明では、当接部の突出長さが、変化部では一般部から離れるに連れて長くなるように形成される。すなわち、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が長くなるに連れて、当接部の突出長さも長くなるように設定されたので、必要以上に当接部の長さが長くなることを抑制できる。
また、一般部から変化部への当接部の長さの変化を緩やかにできるので、ドア本体と当接部とを確実に当接させることができる。なお、急激に当接部の長さを変化させると当接部とドア本体との間に隙間ができる恐れがある。
【0024】
請求項4に係る発明では、変化部が、一般部からドア本体のコーナに向けて設けられる部位である。ドアシールのドア本体のコーナ取付部位に、ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、変化部における当接部の突出長さが、一般部側からインサート部材に向かうに連れて長く形成され、インサート部材のインサート範囲ではコーナに向かうに連れて短く形成された。すなわち、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が大きく離れるコーナ近傍を、インサート部材によって剛性を高めているので、予期しないアウタリップ部の倒れ込み(座ぐり部を基点とした倒れ込み)を抑制することができる。
また、インサート部材が設けられるインサート部分から当接部の突出長さを戻していくので、例えば、コーナを境にしてドアシールの延びる方向が変わるときに、変わった部分の一般部に連続的に接続することができる。
【0025】
請求項5に係る発明では、座ぐり部の深さを、一般部での深さよりも変化部での深さを浅く形成する。すなわち、変化部における座ぐり部近傍の剛性を高めることができるので、変化部において座ぐり部を基点としてアウタリップ部が折り曲げられることを抑制できる。
また、座ぐり部の深さ自体が浅くなることから、アウタリップ部の剛性が増し、アウタリップ部の全体的な倒れ込みを抑制することができる。
【0026】
請求項6に係る発明では、座ぐり部の深さが、変化部では一般部から離れるに連れて浅くなるように形成されるので、必要以上に座ぐり部の深さが浅くなることを抑制できる。
【0027】
請求項7に係る発明では、変化部が、一般部からドア本体のコーナに向けて設けられる部位である。ドアシールのドア本体のコーナ取付部位に、ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、変化部における座ぐり部の深さが、一般部側からインサート部材に向かうに連れて浅く形成され、インサート部材のインサート範囲ではコーナに向かうに連れて深く形成された。すなわち、ドア本体の縁部とドア開口部の縁部との距離が大きく離れるコーナ近傍を、インサート部材によって剛性を高めているので、予期しないアウタリップ部の倒れ込み(座ぐり部を基点とした倒れ込み)を抑制することができる。
また、インサート部材が設けられる部位から座ぐり部の深さを戻していくので、例えば、コーナを境にしてドアシールの延びる方向が変わるときに、変わった部分の一般部に連続的に接続することができる。
【0028】
請求項8に係る発明では、ドア本体に、車外側にドアシールの一部を覆うガーニッシュが設けられる。ドアシールに、ガーニッシュに当接するガーニッシュ当接部が設けられるとともに、インサート部材が、ガーニッシュ当接部が設けられている範囲に設けられた。すなわち、ガーニッシュ当接部によって、ガーニッシュとドアシールとの間の隙間を塞ぐことができる。
さらに、ガーニッシュによって車内側に押されてしまう範囲にインサート部材が設けられているので、必要以上にインサート部材を大きくすることなく、ドアシールの倒れ込みを防止できる。
【0029】
請求項9に係る発明では、インサート部材が、ドア本体の縁部からドア開口部に向かって、ガーニッシュ当接部の位置まで延設されたので、インサート部材で直接ガーニッシュ当接部の車内側を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る車両用ドアが採用された車両を示す側面図である。
【図2】図1の2部拡大図である。
【図3】図2に示された車両用ドアを車室側から見た側面図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】図2の7−7線断面図である。
【図8】図2の8−8線断面図である。
【図9】図2の9−9線断面図である。
【図10】図2に示された車両用ドアのドアシールの側面図である。
【図11】図10に示された車両用ドアのドアシールの形状変化を示すグラフである。
【図12】本発明に係る実施例2の車両用ドアのドアシールの断面図である。
【図13】図12に示された車両用ドアのドアシールの形状変化を示すグラフである。
【図14】本発明に係る実施例3の車両用ドアのドアシールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0032】
図1〜図4に示されたように、車両10は、車体11に、乗員が乗降するドア開口部14と、このドア開口部14に設けられるウェザーストリップ15と、このウェザーストリップ15を介してドア開口部14を開閉自在に覆う車両用ドア20と、が設けられる。
【0033】
車両用ドア20は、車体11の後部に設けられる後部ドアであり、ドア開口部14を開閉自在に覆うドア本体21と、ドア本体21を昇降するドアガラス22と、ドア本体21に取付けられ、ドア開口部14の縁部14aに当接するドアシール23と、からなる。
【0034】
ドア本体21は、アウタパネル25及びインナパネル(不図示)からなるドアパネル27と、このドアパネル27の上部に設けられるドアサッシュ28と、ドアパネル27とドアサッシュ28に亘って設けられ、ドアガラス22をスライド自在に支持するランチャンネル29と、ドアサッシュ28の前サッシュ34を車外側から覆う前ガーニッシュ31と、ドアサッシュ28の後サッシュ35を車外側から覆う後ガーニッシュ32(以下、単に「ガーニッシュ32」と記載する)と、からなる。
詳細にはガーニッシュ32は、ドア本体21に設けられる部材であり、後述するドアシール23の一部を、車外側から覆う部材である。
なお、ドア本体21の前コーナ部38は、前ガーニッシュ31の上部前角部が相当し、ドア本体21の後コーナ部39(以下「コーナ39」と記載する)は、ガーニッシュ32の上部後角部が相当する。
【0035】
なお、ドアサッシュ28は、略コ字状に形成された枠体であり、車体前方に設けられる前サッシュ34と、車体後方に設けられる後サッシュ35と、これらの前及び後サッシュ34,35の先端同士を繋ぐ上サッシュ36と、から構成される。
【0036】
図1〜図10に示されたように、ドア本体21の上サッシュ36には、ドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの間の距離E1が一定な一般部41と、一般部41に連なるとともに一般部41から離れるに連れてドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの距離F1が長くなる変化部42と、を備える。
変化部42は、一般部41からドア本体21のコーナ39(ガーニッシュ32の上部後角部)に向けて設けられる部位である。
なお、図4〜図9において、ドアシール23のアウタリップ部52及び中空シール部54は、ドア開口部14に沿って変形される。また、ウェザーストリップ15も、ドア本体21のウェザーストリップ当接部47に沿って変形される。
【0037】
ドア本体21の上サッシュ36は、一般部41から変化部42に亘って、ドアシール23を保持するドアシール保持部45と、ランチャンネル29を保持するランチャンネル保持部46と、ウェザーストリップ15に当接するウェザーストリップ当接部47と、が設けられる。
【0038】
ドアシール23は、一般部41から変化部42に亘って連続的に形成されドア本体21に支持されるシール基部51と、シール基部51からドア開口部14の縁部14a側へ延出され、先端52aがドア開口部14の縁部14aへ当接するアウタリップ部52と、アウタリップ部52とシール基部51との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部53と、シール基部51からドア開口部14に膨出され、ドア開口部14に当接する中空シール部54と、からなる。
【0039】
さらに、ドアシール23のドア本体21の一般部41取付部位をドアシール一般部56、ドアシール23のドア本体21の変化部42取付部位をドアシール変化部57、ドアシール23のドア本体21のコーナ39取付部位をドアシールコーナ部58と呼ぶときに、ドアシールコーナ部58には、ガーニッシュ32に当接するガーニッシュ当接部61と、ドアシール23を補強するインサート部材62と、が設けられている。
インサート部材62は、ガーニッシュ当接部61が設けられている範囲に設けられる。 また、ドアシール一般部56は押出成形され、ドアシール変化部57とドアシールコーナ部58は型成形されている。
【0040】
シール基部51は、ドアサッシュ28のドアシール保持部45に保持される部分であり、座ぐり部53の近傍に且つドア本体21(上サッシュ36)の裏面21b側に突出するとともにドア本体21の裏面21bに当接する当接部65と、車外側に突出させた外突起66と、車内(車室)12側に突出させた内突起67と、車内12側に設けられる内凹部68と、車外側に設けられる外凹部69と、が形成される。
【0041】
図11(a),(b)に示されたように、当接部65の突出長さH1は、一般部41よりも変化部42の方が長く形成される。さらに、当接部65の突出長さH1は、変化部42では一般部41から離れるに連れて長くなるように形成される。
【0042】
図4及び図6に示されたように、アウタリップ部52は、変化部42における座ぐり部53から先端52aまでの距離b1が、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1よりも長く設定される。
また、アウタリップ部52は、変化部42における車内12側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝71が設けられる。
さらに、アウタリップ部52は、折曲げ溝71の形成方向に延長線L1を引くときに、アウタリップ部52の車外側面52bと延長線L1の交点P1からアウタリップ部52の先端52aまでの距離c1を、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1に略同一とする。なお、折曲げ溝71は、V溝(V字型の溝)である。また、延長線L1は、V字型の折曲げ溝71の頂点を通り、V字のなす角度を角度θ1,θ1で等角になるように引いた線分である。
【0043】
ここで、折曲げ溝71の形成方向とは、折曲げ溝71がインジェクション成形される場合には、折曲げ溝71を形成するための型形状の突出方向と同一となる。
【0044】
図11(a)にはドアシール23の当該部位に対する当接部65の突出長さH1、及びドアシール23の当該部位に対する座ぐり部53の深さD1が示される。なお、横軸はドアシール23の当該部位、縦軸は当接部65の突出長さH1及び座ぐり部53の深さD1である。図11(b)にはドアシール23の側面が示される。
図11(a),(b)に示されたように、変化部42におけるドアシール23の当接部65の突出長さH1は、一般部41側からインサート部材62に向かうに連れて長く形成され、インサート部材62のインサート範囲G1ではコーナ39に向かうに連れて短く形成され、コーナ39側の端部では、一般部41における突出長さと略同一となる。
さらに、座ぐり部53の深さD1は、一般部41での深さよりも変化部42での深さ浅く形成が浅く形成される。詳細には、座ぐり部53の深さD1が、変化部42では一般部41から離れるに連れて浅くなるように形成される。
【0045】
以下、実施例1の作用・効果を説明する。
図2、図4及び図6に示されたように、車両用ドア20では、車体11に設けられたドア開口部14と、ドア開口部14を開閉自在に覆うドア本体21と、ドア本体21に取付けられ、ドア開口部14の縁部14aに当接するドアシール23と、を備える。
【0046】
ドア本体21に、ドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの間の距離E1が一定な一般部41と、一般部41に連なるとともに一般部41から離れるに連れてドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの距離F1が長くなる変化部42と、を備える。
【0047】
ドアシール23に、一般部41から変化部42に亘って連続的に形成されドア本体21に支持されるシール基部51と、シール基部51からドア開口部14の縁部14a側へ延出され、先端52aがドア開口部14の縁部14aへ当接するアウタリップ部52と、アウタリップ部52とシール基部51との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部53と、を備える。
【0048】
変化部42における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離b1が、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1よりも長く設定される。
【0049】
変化部42におけるアウタリップ部52の車内12側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝71が設けられ、折曲げ溝71の形成方向に延長線L1を引くときに、アウタリップ部52の車外側面52bと延長線L1の交点P1からアウタリップ部52の先端52aまでの距離c1を、一般部41における座ぐり部53からアウタリップ部52の先端52aまでの距離a1に略同一とした。すなわち、アウタリップ部52の車外側面52bにおけるアウタリップ部52の折曲げ基点を、一般部41と変化部42とで略同一にすることができるので、ドアシール23の見栄えの悪化やシール性の悪化を防ぐことができる。
【0050】
また、一般部41では座ぐり部53を基点としてアウタリップ部52を安定して折り曲げることができる。一般部41では折曲げ溝71を設けないので、ドアシール23の構造の複雑化を回避することができる。
【0051】
図6及び図11に示されたように、車両用ドア20では、シール基部51に、座ぐり部53の近傍に且つドア本体21の裏面21b側に突出するとともにドア本体21の裏面21bに当接する当接部65を備え、当接部65の突出長さH1が、一般部41よりも変化部42の方が長く形成された。すなわち、当接部65によって変化部42における座ぐり部53近傍の剛性を高めることができるので、変化部42において座ぐり部53を基点としてアウタリップ部52が折り曲げられることを抑制できる。
【0052】
当接部65の反力によってドアシール23がドア本体21の裏面21bから離れる側に力を受ける。当接部65の突出長さH1が、一般部41よりも変化部42の方が長く形成されたので、変化部42において反カをより大きく受けることができる。従って、変化部42におけるアウタリップ部52が座ぐり部53を基点として折り曲げられることができる。
【0053】
車両用ドア20では、当接部65の突出長さH1が、変化部42では一般部41から離れるに連れて長くなるように形成される。すなわち、ドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの距離F1が長くなるに連れて、当接部65の突出長さH1も長くなるように設定されたので、必要以上に当接部65の長さが長くなることを抑制できる。
【0054】
また、一般部41から変化部42への当接部65の長さの変化を緩やかにできるので、ドア本体21と当接部65とを確実に当接させることができる。なお、急激に当接部65の長さを変化させると当接部65とドア本体21との間に隙間ができる恐れがある。
【0055】
図2、図6及び図11に示されたように、車両用ドア20では、変化部42が、一般部41からドア本体21のコーナ39に向けて設けられる部位である。ドアシール23のドア本体21のコーナ取付部位(ドアシールコーナ部)58に、ドアシール23を補強するインサート部材62が設けられ、変化部42における当接部65の突出長さH1が、一般部41側からインサート部材62に向かうに連れて長く形成され、インサート部材62のインサート範囲G1ではコーナ39に向かうに連れて短く形成された。すなわち、ドア本体21の縁部21aとドア開口部14の縁部14aとの距離F1が大きく離れるコーナ39近傍を、インサート部材62によって剛性を高めているので、予期しないアウタリップ部52の倒れ込み(座ぐり部53を基点とした倒れ込み)を抑制することができる。
【0056】
また、インサート部材62が設けられるインサート部分から当接部65の突出長さH1を戻していくので、例えば、コーナ39を境にしてドアシール23の延びる方向が変わるときに、変わった部分の一般部41に連続的に接続することができる。
【0057】
図11に示されたように、車両用ドア20では、座ぐり部53の深さD1を、一般部41での深さよりも変化部42での深さを浅く形成する。すなわち、変化部42における座ぐり部53近傍の剛性を高めることができるので、変化部42において座ぐり部53を基点としてアウタリップ部52が折り曲げられることを抑制できる。
【0058】
また、座ぐり部53の深さD1自体が浅くなることから、アウタリップ部52の剛性が増し、アウタリップ部52の全体的な倒れ込みを抑制することができる。
【0059】
図11に示されたように、車両用ドア20では、座ぐり部53の深さD1が、変化部42では一般部41から離れるに連れて浅くなるように形成されるので、必要以上に座ぐり部53の深さD1が浅くなることを抑制できる。
【0060】
図2、図8及び図11に示されたように、車両用ドア20では、ドア本体21に、車外側にドアシール23の一部を覆うガーニッシュ32が設けられる。ドアシール23に、ガーニッシュ32に当接するガーニッシュ当接部61が設けられるとともに、インサート部材62が、ガーニッシュ当接部61が設けられている範囲(インサート範囲G1)に設けられた。すなわち、ガーニッシュ当接部61によって、ガーニッシュ32とドアシール23との間の隙間を塞ぐことができる。
【0061】
さらに、ガーニッシュ32によって車内12側に押されてしまう範囲にインサート部材62が設けられているので、必要以上にインサート部材62を大きくすることなく、ドアシール23の倒れ込みを防止できる。
【実施例2】
【0062】
図12及び図13に実施例2の車両用ドア100のドアシール103が示される。
図13(a)にはドアシール103の当該部位に対する座ぐり部113の深さD2が示される。なお、横軸はドアシール103の当該部位、縦軸は座ぐり部113の深さD2である。図13(b)にはドアシール103の車両用ドア100の側面図が示される。
ドアシール103は、図2及び図4に示された実施例1の車両用ドア20のドアシール23と略同一構成であり、ドアシール23に比べて、座ぐり部113の深さD2の変化を異なるようにしたものである。
【0063】
すなわち、変化部112が、一般部111からドア本体101のコーナ109に向けて設けられる部位であり、ドアシール103のドア本体101のコーナ取付部位をドアシールコーナ部108と呼ぶときに、ドアシールコーナ部108には、ドアシール103を補強するインサート部材102が設けられ、変化部112における座ぐり部113の深さD2が、一般部111側からインサート部材102に向かうに連れて浅く形成され、インサート部材102のインサート範囲G2ではコーナ109に向かうに連れて深く形成されたものである。
なお、コーナ109は、ガーニッシュ123の上部後角部が相当する。
【0064】
これにより、実施例2の車両用ドア100では、ドア本体101の縁部101aとドア開口部104の縁部104aとの距離F2が大きく離れるコーナ109近傍を、インサート部材102によって剛性を高めているので、予期しないアウタリップ部122の倒れ込み(座ぐり部113を基点とした倒れ込み)を抑制することができる。
【0065】
また、インサート部材102が設けられるインサート部分から座ぐり部113の深さD2を戻していくので、例えば、コーナ109を境にしてドアシール103の延びる方向が変わるときに、変わった部分の一般部111に連続的に接続することができる。
【実施例3】
【0066】
図14に実施例3の車両用ドア130のドアシール133が示される。ドアシール133は、図2及び図4に示された実施例1の車両用ドア20のドアシール23と略同一構成であり、ドアシール23に比べて、インサート部材132の高さを違えたものである。
【0067】
実施例3の車両用ドア130では、インサート部材132が、ドア本体131の縁部131aからドア開口部134の縁部134aに向かって、ガーニッシュ当接部141の位置まで延設された。これにより、インサート部材132で直接ガーニッシュ当接部141の車内側を支持することができる。
【0068】
尚、本発明に係る車両用ドアは、図1〜図14に第1〜第3実施例の車両用ドア20,100,130が示されたが、これらの実施例を適宜組み合わせることを妨げるものではない。
【0069】
また、本発明では第1〜第3実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
当接部65の突出長さH1が、インサート部材62のインサート範囲G1ではコーナ39に向かうに連れて短く形成される構成に限定されず、変化部42全域で、一般部41から離れるに連れて長くなるように形成されてもよい。変化部42の一部だけで長さが変化してその他の区間では一定長さとするようにしてもよい。
さらに、本発明に係る車両用ドアでは、図6に示されたように、折曲げ溝71は、延長線L1に対して角度θ1,θ1で等角に振り分けたV溝であったが、これに限るものではなく、U溝、コ字状の溝若しくは円弧溝等の凹状であればよい。
【0070】
本発明に係る車両用ドアは、図2に示されたように、後部ドアであったが、これに限るものではなく、前部ドアやスライドドアであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る車両用ドアは、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0072】
11…車体、12…車内、14…ドア開口部、14a…ドア開口部の縁部、20,100,130…車両用ドア、21…ドア本体、21a…ドア本体の縁部、21bドア本体の裏面…、23…ドアシール、32…ガーニッシュ、39…ドア本体のコーナ、41…一般部、42…変化部、51…シール基部、52…アウタリップ部、52a…アウタリップ部の先端、52bアウタリップ部の車外側面…、53…座ぐり部、58…コーナ取付部位(ドアシールコーナ部)、61…ガーニッシュ当接部、62…インサート部材、65…当接部、71…折曲げ溝、D1…座ぐり部の深さ、G1…インサート範囲、H1…当接部の突出長さ、L1…延長線、P1…交点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたドア開口部と、該ドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、前記ドア本体に取付けられ、前記ドア開口部の縁部に当接するドアシールと、を備える車両用ドアにおいて、
前記ドア本体は、該ドア本体の縁部と前記ドア開口部の縁部との間の距離が一定な一般部と、該一般部に連なるとともに該一般部から離れるに連れて前記ドア本体の縁部と前記ドア開口部の縁部との距離が長くなる変化部と、を備え、
前記ドアシールは、前記一般部から前記変化部に亘って連続的に形成され前記ドア本体に支持されるシール基部と、該シール基部から前記ドア開口部の縁部側へ延出され、先端が前記ドア開口部の縁部へ当接するアウタリップ部と、該アウタリップ部と前記シール基部との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部と、を備え、
前記変化部における前記座ぐり部から前記アウタリップ部の先端までの距離は、前記一般部における前記座ぐり部から前記アウタリップ部の先端までの距離よりも長く設定されるとともに、前記変化部における前記アウタリップ部の車内側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝が設けられ、
前記折曲げ溝の形成方向に延長線を引くときに、前記アウタリップ部の車外側面と前記延長線の交点から前記アウタリップ部の先端までの距離を、前記一般部における前記座ぐり部から前記アウタリップ部の先端までの距離に略同一とすることを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
前記シール基部は、前記座ぐり部の近傍に且つ前記ドア本体の裏面側に突出するとともに該ドア本体の裏面に当接する当接部を備え、
前記当接部の突出長さは、前記一般部よりも前記変化部の方が長く形成されることを特徴とする請求項1記載の車両用ドア。
【請求項3】
前記当接部の突出長さは、前記変化部では前記一般部から離れるに連れて長くなるように形成されることを特徴とする請求項2記載の車両用ドア。
【請求項4】
前記変化部は、前記一般部から前記ドア本体のコーナに向けて設けられる部位であり、
前記ドアシールの前記ドア本体のコーナ取付部位に、該ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、
前記変化部における前記当接部の突出長さは、前記一般部側から前記インサート部材に向かうに連れて長く形成され、前記インサート部材のインサート範囲では前記コーナに向かうに連れて短く形成されたことを特徴とする請求項3記載の車両用ドア。
【請求項5】
前記座ぐり部の深さは、前記一般部での深さよりも前記変化部での深さを浅く形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用ドア。
【請求項6】
前記座ぐり部の深さは、前記変化部では前記一般部から離れるに連れて浅くなるように形成されることを特徴とする請求項5記載の車両用ドア。
【請求項7】
前記変化部は、前記一般部から前記ドア本体のコーナに向けて設けられる部位であり、
前記ドアシールの前記ドア本体のコーナ取付部位に、該ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、
前記変化部における前記座ぐり部の深さは、前記一般部側から前記インサート部材に向かうに連れて浅く形成され、前記インサート部材のインサート範囲では前記コーナに向かうに連れて深く形成されたことを特徴とする請求項6記載の車両用ドア。
【請求項8】
前記ドア本体は、車外側に前記ドアシールの一部を覆うガーニッシュが設けられ、
前記ドアシールは、前記ガーニッシュに当接するガーニッシュ当接部が設けられるとともに、前記インサート部材は、前記ガーニッシュ当接部が設けられている範囲に設けられたことを特徴とする請求項4又は請求項7記載の車両用ドア。
【請求項9】
前記インサート部材は、前記ドア本体の縁部から前記ドア開口部に向かって、前記ガーニッシュ当接部の位置まで延設されたことを特徴とする請求項8記載の車両用ドア。
【請求項1】
車体に設けられたドア開口部と、該ドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、前記ドア本体に取付けられ、前記ドア開口部の縁部に当接するドアシールと、を備える車両用ドアにおいて、
前記ドア本体は、該ドア本体の縁部と前記ドア開口部の縁部との間の距離が一定な一般部と、該一般部に連なるとともに該一般部から離れるに連れて前記ドア本体の縁部と前記ドア開口部の縁部との距離が長くなる変化部と、を備え、
前記ドアシールは、前記一般部から前記変化部に亘って連続的に形成され前記ドア本体に支持されるシール基部と、該シール基部から前記ドア開口部の縁部側へ延出され、先端が前記ドア開口部の縁部へ当接するアウタリップ部と、該アウタリップ部と前記シール基部との間で且つ車外側に設けられた座ぐり部と、を備え、
前記変化部における前記座ぐり部から前記アウタリップ部の先端までの距離は、前記一般部における前記座ぐり部から前記アウタリップ部の先端までの距離よりも長く設定されるとともに、前記変化部における前記アウタリップ部の車内側に、車外に向けて凹となる折り曲げ用の折曲げ溝が設けられ、
前記折曲げ溝の形成方向に延長線を引くときに、前記アウタリップ部の車外側面と前記延長線の交点から前記アウタリップ部の先端までの距離を、前記一般部における前記座ぐり部から前記アウタリップ部の先端までの距離に略同一とすることを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
前記シール基部は、前記座ぐり部の近傍に且つ前記ドア本体の裏面側に突出するとともに該ドア本体の裏面に当接する当接部を備え、
前記当接部の突出長さは、前記一般部よりも前記変化部の方が長く形成されることを特徴とする請求項1記載の車両用ドア。
【請求項3】
前記当接部の突出長さは、前記変化部では前記一般部から離れるに連れて長くなるように形成されることを特徴とする請求項2記載の車両用ドア。
【請求項4】
前記変化部は、前記一般部から前記ドア本体のコーナに向けて設けられる部位であり、
前記ドアシールの前記ドア本体のコーナ取付部位に、該ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、
前記変化部における前記当接部の突出長さは、前記一般部側から前記インサート部材に向かうに連れて長く形成され、前記インサート部材のインサート範囲では前記コーナに向かうに連れて短く形成されたことを特徴とする請求項3記載の車両用ドア。
【請求項5】
前記座ぐり部の深さは、前記一般部での深さよりも前記変化部での深さを浅く形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用ドア。
【請求項6】
前記座ぐり部の深さは、前記変化部では前記一般部から離れるに連れて浅くなるように形成されることを特徴とする請求項5記載の車両用ドア。
【請求項7】
前記変化部は、前記一般部から前記ドア本体のコーナに向けて設けられる部位であり、
前記ドアシールの前記ドア本体のコーナ取付部位に、該ドアシールを補強するインサート部材が設けられ、
前記変化部における前記座ぐり部の深さは、前記一般部側から前記インサート部材に向かうに連れて浅く形成され、前記インサート部材のインサート範囲では前記コーナに向かうに連れて深く形成されたことを特徴とする請求項6記載の車両用ドア。
【請求項8】
前記ドア本体は、車外側に前記ドアシールの一部を覆うガーニッシュが設けられ、
前記ドアシールは、前記ガーニッシュに当接するガーニッシュ当接部が設けられるとともに、前記インサート部材は、前記ガーニッシュ当接部が設けられている範囲に設けられたことを特徴とする請求項4又は請求項7記載の車両用ドア。
【請求項9】
前記インサート部材は、前記ドア本体の縁部から前記ドア開口部に向かって、前記ガーニッシュ当接部の位置まで延設されたことを特徴とする請求項8記載の車両用ドア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−188073(P2012−188073A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55402(P2011−55402)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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