説明

車両用パネルのローラーヘミングシステム

【課題】
車両用パネルのローラーヘミングシステムを開示する。
【解決手段】
アウターパネル及びインナーパネルをセッティングしたパーツをローディングするメリッジジグ、第1ハンドリングロボットのアーム先端に着脱可能に設置され、前記メリッジジグにローディングされたパーツを複数のクランピング手段で規制する規制パッド、互いに中心で交差する複数の運搬レール、車種別に仕様が異なるパーツに対応して前記複数の運搬レールのうちの設定された運搬レールに配置され、前記運搬レール上で前記中心と初期位置との間で往復移動可能に装着されて、前記規制パッドに規制されたパーツが定着する複数のヘミングダイ、及び前記各々のヘミングダイに対応して配置され、前記パーツの周縁をヘミング加工するヘミングローラーユニットが装着される複数のヘミングロボット、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用パネルのローラーヘミングシステムに係り、より詳しくは、車両のテールゲート及びフードなどのパーツをヘミング加工するための車両用パネルのローラーヘミングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車製造工程の第一段階では、多様な種類のプレス装備を通して製品パネルを生産した後、生産された製品パネルを車体工場に移して、製品パネルの各部分を組み立てる過程を経て、ホワイトボディー(Body in white;B.I.W)形態の車体を形成する。
【0003】
車体のパネルは、多様な種類のプレス装備を通して一定の形態に加圧成型された後、トリミング(Trimming)、せん孔(Piercing)、フランジング(Flanging)、ヘミング(Hemming)などのプレス工程で切断されたり、ホール加工されたり、折り曲げられたり、曲げられるなどの加工作業を経る。
【0004】
そして、車両のドア、フード、トランクリード、ホイールアーチ、フェンダなどの端部は、ヘミング工程によって処理されて、ヘミングによる接合強度不足を補完するために、局部的な部分に熔接面を確保して、フェイス溶接作業を通して接合強度を確保する。
【0005】
また、ヘミング作業時に、インナーパネルの周縁を内側にフランジング及びクリンチング成型した後、クリンチング成型された隙間にヘミングシーラーを塗布して、インナーパネルを挟んだ状態でヘミング作業を行う。この時、ヘミングシーラーは、塗布工程を経て加熱及び硬化されて、接着性能を発揮するようになる。
【0006】
現在までのヘミング方式は、プレスタイプの専用機に当該パネルの金型を装着し、金型の内部にアウターパネル及びインナーパネルを投入後、プレス金型を下降させて、パネルの端部を折りたたんで結合する方式が大部分である。
【0007】
このようなヘミング方式の場合、パネルの形態と類似した形態の高価な金型を製作しなければならないので、初期設備投資が大きい短所があった。また、プレスボディーの大きさが非常に大きいため、工場内部でのレイアウト構成に不利な点がある。
【0008】
また、多車種量産ラインの場合には、車種に応じて金型を変更しながらヘミング工程を行わなければならないが、金型交換による多くの時間及び労力を要するので、生産性が低下する。(例えば特許文献1参照)
【0009】
このような問題を解消するために、最近は、ロボットを利用したローラーヘミング方式が主に適用されているが、これは、多車種大量生産が難しいという限界があり、パネルを移送、ローディング、及び規制するなどの設備が複雑で、作業時間が過多にかかり、初期投資額が増加する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平02−6022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記のような点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ロボットを利用したローラーヘミング方式で多車種別に仕様が異なるパネル(以下、パーツという)を短時間に高速でヘミング加工することができるようにした、車両用パネルのローラーヘミングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記したような目的を達成するための本発明の実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムは、アウターパネル及びインナーパネルをセッティングしたパーツをローディングするメリッジジグ、第1ハンドリングロボットのアーム先端に着脱可能に設置され、前記メリッジジグにローディングされたパーツを複数のクランピング手段で規制する規制パッド、互いに中心で交差する複数の運搬レール、車種別に仕様が異なるパーツに対応して前記複数の運搬レールのうちの設定された運搬レールに配置され、前記運搬レール上で前記中心と初期位置との間で往復移動可能に装着されて、前記規制パッドに規制されたパーツが定着する複数のヘミングダイ、及び前記各々のヘミングダイに対応して配置され、前記パーツの周縁をヘミング加工するヘミングローラーユニットが装着される複数のヘミングロボット、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記ローラーヘミングシステムは、前記ヘミングロボットのヘミングローラーユニットによってヘミング加工が完了したパーツを第2ハンドリングロボットによってローディングするように構成されたローディングジグをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
前記ローラーヘミングシステムは、車種別に仕様が異なるパーツに各々対応する前記規制パッドをローディングする複数のローディングダイをさらに含むことを特徴とする。
【0015】
前記ローラーヘミングシステムは、車種別パーツに各々対応する前記ヘミングダイを交換する交換ユニットをさらに含むことを特徴とする。
【0016】
前記ヘミングダイは、前記運搬レールに移送可能に装着されるベース部材、及び前記ベース部材上に設置されるダイ本体、を含むことを特徴とする。
【0017】
前記パーツがテールゲートである場合、前記ダイ本体には、前記規制パッドを規制するための一対の第1ピンクランパーが設置されることを特徴とする。

【0018】
前記パーツがフードである場合、前記ベース部材には、前記規制パッドを規制するための一対の第2ピンクランパーが設置される。
【0019】
前記ローラーヘミングシステムは、前記ベース部材に設置され、前記ダイ本体にローディングされたパーツを一時的に規制して、そのパーツを定位置に位置させるように構成された複数の補助クランピング手段をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
前記ローラーヘミングシステムは、前記ベース部材に設置され、前記パーツのコーナー部分をヘミングする複数のヘミングパンチをさらに含むことを特徴とする。
【0021】
前記ローラーヘミングシステムは、前記フードの周縁をヘミング加工する場合、前記パーツを上側から加圧する加圧ユニットをさらに含むことを特徴とする。
【0022】
前記加圧ユニットは、直立するように設置され、前記運搬レールの中心に延長されるポスト、前記運搬レールの中心に向かって前記ポストの端部に下向設置されて、移動可能に設置される作動ロッドが備えられた作動シリンダー、及び前記作動シリンダーの作動ロッドに設置されて、前記パーツを加圧する加圧パッド、を含むことを特徴とする。
【0023】
前記ローラーヘミングシステムは、前記規制パッド及び前記ヘミングダイに設置され、前記パーツを真空圧で吸着する複数の吸着ユニットをさらに含むことを特徴とする。
【0024】
前記ヘミングローラーユニットは、前記パーツの周縁をフリーヘミングする先行ローラー、そして前記先行ローラーに対応して上下方向に移動可能に設置され、前記パーツの周縁をファイナルヘミングする後行ローラー、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムを概略的に示したブロック構成図。
【図2】本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムを示した概略図。
【図3】本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用される規制パッドを示した斜視図。
【図4】本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用されるヘミングダイを示した斜視図。
【図5】本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用されるヘミングパンチを示した斜視図。
【図6】本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用されるヘミングローラーユニットを示した斜視図。
【図7】本発明の第2実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムを示した概略図。
【図8】本発明の第2実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用されるヘミングダイを示した斜視図。
【図9】本発明の第2実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用される規制パッドを示した斜視図。
【図10】本発明の第2実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用される加圧ユニットを示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は多様な形態に具現され、ここで説明する実施例に限定されない。
【0027】
本発明を明確に説明するために、説明に不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似した構成要素については、同一な参照符号を付けた。
【0028】
また、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるので、本発明は必ずしも図面に示されたものに限定されず、多様な部分及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。
【0029】
図1は本発明の実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムを概略的に示したブロック構成図である。
【0030】
図1を参照すれば、本発明の実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステム100は、車体組み立て工場でテールゲート及びフードなどのパネル(以下、便宜上、パーツという)を成型するパネル成型工程に適用される。
【0031】
例えば、前記車両用パネルのローラーヘミングシステム100は、アウターパネル及びインナーパネルがセッティングされたパーツ1(図2参照)の周縁端部をヘミングローラーで折りたたんで結合するローラーヘミング工程に適用される。
【0032】
つまり、前記車両用パネルのローラーヘミングシステム100は、パーツ1のアウターパネル及びインナーパネルの周縁部分に沿って移動するヘミングローラーによってアウターパネルのフランジ部分をインナーパネルの先端に向かって折りたたんで、パーツ1の周縁部分をヘミング加工する。
【0033】
本発明の実施例による前記車両用パネルのローラーヘミングシステム100は、ロボットを利用したローラーヘミング方式で、多車種別に仕様が異なるパーツを短時間に高速でヘミング加工することができ、車種別に各々のローラーヘミングシステムを設置しなくてもよいので、投資額を節減することができる。
【0034】
図2は本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムを示した概略図である。
【0035】
図1及び図2を参照すれば、本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステム100は、基本的に、メリッジジグ10と、規制パッド20と、ローディングダイ30と、運搬レール40と、ヘミングダイ50と、ヘミングロボット60と、ローディングジグ80と、ヘミングダイ交換ユニット90とを含み、これを構成別に説明する。
【0036】
本発明の実施例で、前記メリッジジグ10は、作業室の床に設置されて、アウターパネル及びインナーパネルをセッティングしたパーツ1をローディングする機能を有する。
【0037】
以下では、前記パーツ1として、パネルに一定の大きさの開口を有するテールゲートを例示して説明する。
【0038】
前記メリッジジグ10は、車種に応じた多様な形態のパーツ1を定位置に位置させるアタッチメント装置として構成される。
【0039】
このようなメリッジジグ10は、当業界で公知の技術であるため、本明細書では、その構成に対するより詳細な説明は省略する。
【0040】
本発明の実施例で、前記規制パッド20は、メリッジジグ10にローディングされたパーツ1を規制した状態で、第1ハンドリングロボットR1によってヘミングダイ50に移送させるためのものである。
【0041】
前記規制パッド20は、車種別に多様な形態のパーツ1を全て規制することができるように構成されている。
【0042】
図3は本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用される規制パッドを示した斜視図である。
【0043】
図2及び図3を参照すれば、本発明の実施例による前記規制パッド20は、第1ハンドリングロボットR1のアーム先端にツールチェンジャー21によって着脱可能に設置される。
【0044】
そして、前記規制パッド20には、メリッジジグ10にローディングされたパーツ1を規制するための複数のクランピング手段23が備えられる。
【0045】
つまり、前記規制パッド20は、第1ハンドリングロボットR1のアーム先端にツールチェンジャー21によって結合された状態で、クランピング手段23によってパーツ1を固定する。そして、前記クランピング手段23によって固定されたパーツ1は、第1ハンドリングロボットR1によってヘミングダイ50に移送される。
【0046】
前記規制パッド20は、クランピング手段23で固定されたパーツ1がヘミングダイ50にローディングされた場合、第1ハンドリングロボットR1のアーム先端から分離される。
【0047】
ここで、前記クランピング手段23は、クランピングシリンダー(図面に図示せず)によって作動して、パーツ1の周縁部分をクランピングさせることができるクランパー26を備えている。
【0048】
本発明の実施例で、前記ローディングダイ30は、図1及び図2に示しているように、車種別パーツ1に各々対応する規制パッド20をその上にローディングするためのものである。
【0049】
前記ローディングダイ30は、規制パッド20を単純に支持する支持ダイからなる。複数のローディングダイ30が使用されて、作業室の床でメリッジジグ10に近接して設置される。
【0050】
本発明の実施例で、前記運搬レール40は、図1及び図2に示しているように、作業室の床に十字形態に設置されて、設定された位置と十字の中心との間でヘミングダイ50を往復移動させる構造からなる。ここでは、複数の運搬レール40が十字形態に設置されたことを例示したが、これに限定されない。ただし、複数の運搬レール40が一つの交差点で交差するのが好ましい。
【0051】
前記運搬レール40は、複数の所定の幅を有するレールベース41を含み、前記レールベース41は、十字形態に交差する。前記レールベース41には、ヘミングダイ50を移動させるためのレール(図面に図示せず)が形成されている。
【0052】
本発明の実施例で、前記ヘミングダイ50は、図1及び図2に示しているように、規制パッド20に規制されたパーツ1が安着するヘミングジグとして構成される。
【0053】
ここで、各ヘミングダイ50は、車種別に仕様が異なるパーツ1に対応して複数の運搬レール40のうちの設定された運搬レール40に配置されて、運搬レール40上で前記十字の中心と初期位置との間で往復移動可能に装着される。
【0054】
この場合、前記ヘミングダイ50は、運搬レール40のレール(図面に図示せず)に結合されて、通常の駆動部(図面に図示せず)によってレールに沿って往復移動可能に装着される。
【0055】
このような駆動部は、モータ及びガーダなどを含み、当業者に公知であるので、本明細書で、その構成のより詳細な説明は省略する。
【0056】
図4は本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用されるヘミングダイを示した斜視図である。
【0057】
図2及び図4を参照すれば、本発明の実施例による前記ヘミングダイ50は、運搬レール40に移動可能に装着されるベース部材51と、前記ベース部材51上に設置されるダイ本体52とを含む。
【0058】
前記ベース部材51は、運搬レール40のレールベース41に移動可能に設置されて、ベース部材51の上面には、ダイ本体52を支持する支持ブロック53が設置されている。
【0059】
そして、前記ダイ本体52は、ベース部材51の支持ブロック53上に設置されて、ダイ本体52の上面周縁にパーツ1の周縁部分が安着する構造からなる。また、ダイ本体52の上面中央には、空間部が形成されている。
【0060】
本発明の実施例で、前記ダイ本体52には、前記規制パッド20を規制して、その規制パッド20を固定するためのロッキング手段である第1ピンクランパー27が設置されている。
【0061】
前記第1ピンクランパー27は、規制パッド20によってパーツ1がヘミングダイ50にローディングされる場合、前記パーツ1をロッキングすることができる構造からなる。
【0062】
前記第1ピンクランパー27は、クランピングシリンダー28によってダイ本体52に対して移動可能に設置される規制ピン54が備えられ、この規制ピン54は、図3(b)に示しているように、規制パッド20に形成された規制ホール29に嵌合されて、規制パッド20をクランピングする。
【0063】
このような第1ピンクランパー27は、当業界で公知のピンクランピング装置から構成されるので、本明細書で、その構成のより詳細な説明は省略する。
【0064】
一方、前記ベース部材51には、ダイ本体52にローディングされたパーツ1を一時的に規制して、そのパーツ1をダイ本体52の定位置に位置させるための複数の補助クランピング手段55が設置される。
【0065】
前記補助クランピング手段55は、ベース部材51の上面に装着されて、ダイ本体52の周縁に向かって延長される。
【0066】
第1装着具56aを通して設置される補助シリンダー56bが補助クランパー56cを作動させることによって、前記補助クランピング手段55は、ダイ本体52上にローディングされたパーツ1の周縁部分を補助クランパー56cによって一時的に規制するように構成される。
【0067】
そして、前記ベース部材51には、ダイ本体52にローディングされたパーツ1のコーナー部分をヘミングする複数のヘミングパンチ57が設置されている。
【0068】
図5に示しているように、第2装着具58aを通して設置されるパンチシリンダー58bがパンチブロック58cを作動させることによって、前記ヘミングパンチ57は、ダイ本体52にローディングされたパーツ1のコーナー部分をパンチブロック58cによってヘミングする。
【0069】
本発明の実施例で、前記ヘミングロボット60は、図1及び図2に示しているように、ヘミングダイ50にローディングされたパーツ1の周縁部分をローラーヘミング方式でヘミング加工するためのものである。
【0070】
本発明の実施例では、複数のヘミングロボット60が備えられて、前記複数のヘミングロボット60は、各々のヘミングダイ50に対応して配置される。
【0071】
前記ヘミングロボット60は、多関節アームからなり、アーム先端には、パーツ1の周縁部分をヘミング加工するためのヘミングローラーユニット70(当業界ではローラーヘミングツールという)が装着される。
【0072】
図6は本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムに適用されるヘミングローラーユニットを示した斜視図である。
【0073】
図6を参照すれば、本発明の実施例による前記ヘミングローラーユニット70は、ツインローラーによってパーツ1の周縁部分をヘミング加工するものである。したがって、前記ヘミングローラーユニット70は、パーツ1の周縁をフリーヘミングする先行ローラー71と、パーツ1の周縁をファイナルヘミングする後行ローラー72とを含む。
【0074】
前記で、先行ローラー71は、垂直線上に対して一定の角度で傾斜して配置されて、ヘミングロボット60の加圧力によってパーツ1の周縁を加圧して、回転可能に設置される。
【0075】
そして、前記後行ローラー72は、先行ローラー71に対応して一定の角度で傾斜して配置されて、ヘミングシリンダー74によって上下方向に移動可能に設置されて、ヘミングシリンダー74の加圧力によってパーツ1の周縁を加圧して、回転可能に設置される。
【0076】
本発明の実施例で、前記ローディングジグ80は、図1及び図2に示しているように、ヘミングロボット60のヘミングローラーユニット70によってヘミング加工が完了したパーツ1をローディングするためのものである。
【0077】
前記ローディングジグ80は、車種に応じた多様な仕様のパーツ1を定位置に位置させるアタッチメント装置として構成される。
【0078】
このようなローディングジグ80は、当業界で公知であるので、本明細書で、その構成のより詳細な説明は省略する。
【0079】
一方、前記ローディングジグ80に対するパーツ1のローディングは、第2ハンドリングロボットR2によって行われる。
【0080】
つまり、第2ハンドリングロボットR2のアーム先端に装着されたアンローディングパッド87でパーツ1を規制した状態で、第2ハンドリングロボットR2によってパーツ1をローディングジグ80にローディングさせることができる。
【0081】
本発明の実施例で、前記ヘミングダイ交換ユニット90は、図1に示しているように、車種別パーツ1に各々対応するヘミングダイ50を交換するためのものである。
【0082】
このようなヘミングダイ交換ユニット90は、ヘミングダイ50を運搬レール40側に回転させるターンテーブル91と、ヘミングダイ50をクランピングしてターンテーブル91に移送する第3ハンドリングロボットR3とを含む。
【0083】
以下、本発明の第1実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステム100の作動を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0084】
まず、本発明の実施例では、アウターパネル及びインナーパネルをセッティングしたパーツ1(ここでは、前記パーツ1としてテールゲートが使用されることを例示した)がメリッジジグ10にローディングされた状態にある。
【0085】
そして、第1ハンドリングロボットR1のアーム先端には、ツールチェンジャー21によって当該車種のパーツ1に対応する規制パッド20が装着された状態にある。
【0086】
つまり、第1ハンドリングロボットR1は、ローディングダイ30の定位置に位置している規制パッド20をツールチェンジャー21によってそのアーム先端に結合させる。
【0087】
この状態で、第1ハンドリングロボットR1は、規制パッド20をメリッジジグ10側に移動させる。そうすると、前記規制パッド20は、クランピング手段23でパーツ1を固定する。
【0088】
続いて、前記第1ハンドリングロボットR1は、パーツ1を規制した規制パッド20をヘミングダイ50側に移動させる。
【0089】
こうする過程で、本発明の実施例では、当該車種のパーツ1に対応するヘミングダイ50を運搬レール40の設定された位置から十字の中心に移動させる。
【0090】
当該車種のパーツ1に対応するヘミングダイ50が運搬レール40の十字交差の中心に移動した後、前記第1ハンドリングロボットR1は、規制パッド20によってパーツ1をヘミングダイ50のダイ本体52にローディングさせる。
【0091】
前記過程で、ダイ本体52の第1ピンクランパー27は、クランピングシリンダー28を作動させて規制ピン54を移動させ、規制ピン54は、パーツ1の開口を貫通して規制パッド20の規制ホール29に嵌合されて、規制パッド20を規制する。
【0092】
その後、前記第1ハンドリングロボットR1は、規制パッド20がダイ本体52にロッキングされた状態で、そのアーム先端から規制パッド20を分離する。
【0093】
その後、ヘミングダイ50のベース部材51に設置された複数の補助クランピング手段55を作動させることによって、ダイ本体52上にローディングされたパーツ1の周縁部分を補助クランパー56cによって一時的に規制して、パーツ1をそのダイ本体52の定位置に位置させる。
【0094】
パーツ1がダイ本体52の定位置に位置されると、ヘミングダイ50のベース部材51に設置された複数のヘミングパンチ57を作動させることによって、パーツ1のコーナー部分をパンチブロック58cによってヘミングする。
【0095】
これと同時に、ヘミングロボット60のアーム先端に装着されたヘミングローラーユニット70でパーツ1の周縁部分をヘミング加工する。
【0096】
ここで、前記ヘミングローラーユニット70は、先行ローラー71及び後行ローラー72からなるツインローラーを利用してパーツ1の周縁部分をヘミング加工する。
【0097】
つまり、前記後行ローラー72が上昇した状態で、先行ローラー71を利用してパーツ1の周縁部分をフリーヘミングする。続いて、後行ローラー72を下降させて、その後行ローラー72を利用してパーツ1の周縁部分をファイナルヘミングする。
【0098】
この過程で、前記ヘミングパンチ57は、パーツ1のコーナー部分をパンチブロック58cでヘミング加工する。
【0099】
したがって、本発明の実施例では、ヘミングロボット60のヘミングローラーユニット70によってアウターパネルのフランジ部分をインナーパネルの先端に折りたたんで、パーツ1の周縁部分をヘミング加工する。
【0100】
一方、パーツ1のヘミング加工が完了すると、第1ピンクランパー27の作動でダイ本体52から規制パッド20をアンロッキングして、パーツ1が規制された状態の規制パッド20を第1ハンドリングロボットR1でローディングダイ30にローディングさせる。
【0101】
そして、第2ハンドリングロボットR2のアーム先端に装着されたアンローディングパッド87でパーツ1を規制して、規制されたパーツ1を第2ハンドリングロボットR2によってローディングジグ80にローディングさせる。
【0102】
したがって、本発明の実施例では、当該車種のパーツ1を短時間に高速でヘミング加工することができる。
【0103】
その後、他の車種のパーツ1は、そのパーツ1に対応するヘミングダイ50を運搬レール40の十字の中心に移送させた後で行われる。
【0104】
一方、本発明の実施例では、4個のヘミングダイ50を使用することを例示した。一つのヘミングダイ50は、一つのパーツ1をヘミングするためのものであるので、本発明の実施例では、4個の互いに異なるパーツ1をヘミング加工することができる。しかし、加工しなければならないパーツ1の種類が4個を超える場合には、4個のパーツ1に対応するヘミングダイ50を利用してパーツ1をヘミングした後、ヘミングダイ交換ユニット90によって他のヘミングダイ50に交換することができる。
【0105】
本発明の実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステム100によれば、ヘミングロボットを利用したツインローラーヘミングを利用して互いに異なるパーツを短時間に高速でヘミング加工することができて、車種別パーツの共用化が可能であり、投資額を節減することができる。
【0106】
図7は本発明の第2実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステムを示した概略図である。
【0107】
図7を参照すれば、本発明の第2実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステム200は、前記第1実施例によるローラーヘミングシステム100と類似していて、フードなどのパーツ2をヘミング加工することができる構造からなる。
【0108】
つまり、前記パーツ2がフードである場合、図7及び図8に示しているように、ヘミングダイ150のベース部材151には、シリンダーによって作動するピンを利用して規制パッド120を規制する一対の第2ピンクランパー165が設置される。
【0109】
そして、前記規制パッド120には、図9に示しているように、規制端128が一体に突出するように形成され、この規制端128には、第2ピンクランパー165のピンが嵌合される規制ホール129が形成されている。
【0110】
このような第2ピンクランパー165は、当業界で公知であるので、本明細書で、その構成のより詳細な説明は省略する。
【0111】
一方、本発明の第2実施例では、図7乃至図9に示しているように、パーツ2のアウターパネル及びインナーパネルの規制力を確保するための加圧ユニット210及び吸着ユニット230をさらに含む。つまり、前記加圧ユニット210及び吸着ユニット230は、ヘミングダイ150の補助クランピング手段155でパーツ2を整列した後、ヘミングロボット160によってパーツ2をヘミング加工する場合に使用される。
【0112】
前記加圧ユニット210は、ヘミングダイ150のダイ本体152にローディングされたパーツ2のインナーパネルを運搬レール140の十字の中心上側から加圧するためのものである。
【0113】
前記加圧ユニット210は、図10に示しているように、ベースフレーム219に構成されて、ポスト211と、作動シリンダー221と、加圧パッド225とを含む。
【0114】
前記ポスト211は、作業室のベースフレーム219に直立に設置される垂直フレーム213と、垂直フレーム213の上端に連結されて、運搬レール140の十字の中心上側に延長される水平フレーム215とからなる。
【0115】
前記作動シリンダー221は、運搬レール140の十字の中心に向かって水平フレーム215の端部に下向設置される。
【0116】
そして、前記加圧パッド225は、ダイ本体152上のパーツ2を実質的に加圧する部分であって、作動シリンダー221の作動ロッド222に設置される。
【0117】
吸着ユニット230は、図8及び図9に示しているように、ヘミングダイ150にローディングされたパーツ2のインナーパネル及びアウターパネルを真空圧で吸着するためのものである。
【0118】
このような吸着ユニット230は、規制パッド120及びダイ本体152に装着され、真空による吸着力でパーツ2のインナーパネル及びアウターパネルを吸着して、そのパーツ2の位置を固定する一対の真空カップを含む。
【0119】
ここで、複数の吸着ユニット230のうちの一部は、規制パッド120の周縁に沿って備えられて、パーツ2のインナーパネルを真空吸着し、他の一部は、ダイ本体152の内側に備えられて、パーツのアウターパネルを真空吸着する。
【0120】
したがって、本発明の第2実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステム200によれば、第1ハンドリングロボットR1の規制パッド120を利用してパーツ2がヘミングダイ150のダイ本体152にローディングされる時に、規制パッド120は、第2ピンクランパー165によってダイ本体152に固定される。
【0121】
この過程で、前記吸着ユニット230は、真空による吸着力でパーツ2のインナーパネル及びアウターパネルを吸着して、パーツ2を固定する。
【0122】
その後、作動シリンダー221によって作動ロッド222が下側方向に前進すれば、加圧ユニット210の加圧パッド225は、パーツ2の上側からパーツ2のインナーパネルを加圧する。
【0123】
本発明の第2実施例によれば、加圧ユニット210でパーツ2を加圧して、吸着ユニット230によってパーツ2を吸着することによって、ヘミングロボット160によってパーツ2をヘミング加工する場合に、パーツ2のアウターパネル及びインナーパネルに対する規制力を確保することができる。
【0124】
本発明の第2実施例による車両用パネルのローラーヘミングシステム200の残り構成及び作用は、前記第1実施例と同一であるので、より詳細な説明は省略する。
【0125】
本発明の実施例によれば、ヘミングロボットを利用したツインローラーヘミング方式で、車種別に仕様が異なるパーツを高速でヘミング加工することができ、パーツのアウターパネル及びインナーパネルに対する規制力を確保することができて、車種別パーツの共用化が可能であり、投資額を節減することができる。
【0126】
以上で、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、車両用パネルのローラーヘミングシステムの分野に適用できる。
【符号の説明】
【0128】
1、2 パーツ
10 メリッジジグ
20、120 規制パッド
23 クランピング手段
27 第1ピンクランパー
30 ローディングダイ
40、140 運搬レール
50、150 ヘミングダイ
51、151 ベース部材
52、152 ダイ本体
55、155 補助クランピング手段
57 ヘミングパンチ
60、160 ヘミングロボット
70 ヘミングローラーユニット
71 先行ローラー
72 後行ローラー
80 ローディングジグ
90 ヘミングダイ交換ユニット
128 規制端
165 第2ピンクランパー
210 加圧ユニット
211 ポスト
221 作動シリンダー
225 加圧パッド
230 吸着ユニット
R1、R2、R3 ハンドリングロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターパネル及びインナーパネルをセッティングしたパーツをローディングするメリッジジグ、
第1ハンドリングロボットのアーム先端に着脱可能に設置され、前記メリッジジグにローディングされたパーツを複数のクランピング手段で規制する規制パッド、
互いに中心で交差する複数の運搬レール、
車種別に仕様が異なるパーツに対応して前記複数の運搬レールのうちの設定された運搬レールに配置され、前記運搬レール上で前記中心と初期位置との間で往復移動可能に装着されて、前記規制パッドに規制されたパーツが定着する複数のヘミングダイ、及び
前記各々のヘミングダイに対応して配置され、前記パーツの周縁をヘミング加工するヘミングローラーユニットが装着される複数のヘミングロボット、を含む、車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項2】
前記ヘミングロボットのヘミングローラーユニットによってヘミング加工が完了したパーツを第2ハンドリングロボットによってローディングするように構成されたローディングジグをさらに含む請求項1に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項3】
車種別に仕様が異なるパーツに各々対応する前記規制パッドをローディングする複数のローディングダイをさらに含む請求項1に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項4】
車種別パーツに各々対応する前記ヘミングダイを交換する交換ユニットをさらに含む請求項1に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項5】
前記ヘミングダイは、
前記運搬レールに移送可能に装着されるベース部材、及び
前記ベース部材上に設置されるダイ本体、を含む請求項1に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項6】
前記パーツがテールゲートである場合、
前記ダイ本体には、前記規制パッドを規制するための一対の第1ピンクランパーが設置される請求項5に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項7】
前記パーツがフードである場合、
前記ベース部材には、前記規制パッドを規制するための一対の第2ピンクランパーが設置される請求項5に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項8】
前記ベース部材に設置され、前記ダイ本体にローディングされたパーツを一時的に規制して、そのパーツを定位置に位置させるように構成された複数の補助クランピング手段をさらに含む請求項5に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項9】
前記ベース部材に設置され、前記パーツのコーナー部分をヘミングする複数のヘミングパンチをさらに含む請求項8に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項10】
前記フードの周縁をヘミング加工する場合、前記パーツを上側から加圧する加圧ユニットをさらに含む請求項7に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項11】
前記加圧ユニットは、
直立するように設置され、前記運搬レールの中心に延長されるポスト、
前記運搬レールの中心に向かって前記ポストの端部に下向設置されて、移動可能に設置される作動ロッドが備えられた作動シリンダー、及び
前記作動シリンダーの作動ロッドに設置されて、前記パーツを加圧する加圧パッド、を含む請求項10に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項12】
前記規制パッド及び前記ヘミングダイに設置され、前記パーツを真空圧で吸着する複数の吸着ユニットをさらに含む請求項1に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。
【請求項13】
前記ヘミングローラーユニットは、
前記パーツの周縁をフリーヘミングする先行ローラー、そして
前記先行ローラーに対応して上下方向に移動可能に設置され、前記パーツの周縁をファイナルヘミングする後行ローラー、を含む、請求項1に記載の車両用パネルのローラーヘミングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−86181(P2013−86181A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90346(P2012−90346)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】