説明

車両用パワーユニット

【課題】互いに締結された第1、第2ユニットケースを連結体により互いに連結した場合に、第1、第2ユニットケースの互いの対向面の間を通し、第1、第2ユニットケース内部の潤滑油が外部に向かって滲み出さないようにする。
【解決手段】第1締結具18が有する第1ボルト32の第1軸心31と平行に延びる仮想平面40を第2締結具20が有する第2ボルト37の第2軸心39が交差するようにする。連結体16の他端部19が、第2ボルト37の軸方向で互いに対面して第2ユニットケース12の一部分28を挟む一対の突片27,27を備える。第2ボルト37の第2軸心39上で、各突片27,27にそれぞれ第2ボルト37用のボルト孔41を形成すると共に、第2ユニットケース12の一部分28に第2ボルト37用の他のボルト孔42を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに締結される第1、第2ユニットケースに架設され、その各端部がそれぞれ上記ケースに締結される補強用等の連結体を備えた車両用パワーユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両用パワーユニットには、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、上記車両用パワーユニットは、互いの対向面が圧接するよう互いに締結される第1、第2ユニットケースと、これら第1、第2ユニットケースに架設される連結体と、この連結体の一端部を上記第1ユニットケースの外面に締結する第1締結具と、上記連結体の他端部を第2ユニットケースの外面に締結する第2締結具とを備えている。そして、上記連結体により、上記第1、第2ユニットケース同士の結合強度が向上させられている。
【0003】
上記の場合、第1ユニットケースと連結体の一端部との互いの各第1接触面と、第2ユニットケースと上記連結体の他端部との互いの各第2接触面とは互いにほぼ平行に延びており、また、上記第1、第2接触面にそれぞれ直交する上記第1、第2締結具の各軸心も互いにほぼ平行に延びている。
【特許文献1】実開平2−149317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した第1、第2ユニットケースに対する連結体の組み付け作業をする場合において、まず、上記第1ユニットケースに上記連結体の一端部を第1締結具により締結した場合、上記各構成部品の寸法誤差などに因り、上記第2ユニットケースと連結体の他端部との互いの各第2接触面同士の間に隙間が生じることがある。
【0005】
ここで、上記状態から、上記第2ユニットケースと連結体の他端部とを上記第2締結具により締結して、上記連結体の無理な変形を容認しつつ、上記第2接触面同士を互いに面接触させたとする。しかし、このようにした場合には、上記連結体に生じる内部応力に基づき、上記第1、第2ユニットケースの互いの対向面同士の間に剪断力が作用し、これら両対向面の間を通し、上記第1、第2ユニットケース内部の潤滑油が外部に向かって滲み出すおそれを生じて好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、互いに締結された第1、第2ユニットケースを連結体により互いに連結した場合に、上記第1、第2ユニットケースの互いの対向面の間を通し、これら第1、第2ユニットケース内部の潤滑油が外部に向かって滲み出さないようにすることである。
【0007】
請求項1の発明は、互いの対向面13,14が圧接するよう互いに締結される第1、第2ユニットケース11,12と、これら第1、第2ユニットケース11,12に架設される連結体16と、この連結体16の一端部17を上記第1ユニットケース11の外面に締結する第1締結具18と、上記連結体16の他端部19を第2ユニットケース12の外面に締結する第2締結具20とを備えた車両用パワーユニットにおいて、
上記第1締結具18が有する第1ボルト32の第1軸心31と平行に延びる仮想平面40を上記第2締結具20が有する第2ボルト37の第2軸心39が交差するようにし、上記連結体16の他端部19が、上記第2ボルト37の軸方向で互いに対面して上記第2ユニットケース12の一部分28を挟む一対の突片27,27を備え、上記第2ボルト37の第2軸心39上で、上記各突片27,27にそれぞれ上記第2ボルト37用のボルト孔41を形成すると共に、上記第2ユニットケース12の一部分28に上記第2ボルト37用の他のボルト孔42を形成し、上記各ボルト孔41,42のうちの少なくともいずれか一つのボルト孔を、上記第2ボルト37を遊嵌状に挿通させる挿通孔にし、上記連結体16の一端部17を上記第1ユニットケース11に第1締結具18により締結した後、上記連結体16の他端部19を上記第2ユニットケース12に第2締結具20により締結するようにしたことを特徴とする車両用パワーユニットである。
【0008】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明による効果は、次の如くである。
【0010】
請求項1の発明は、互いの対向面が圧接するよう互いに締結される第1、第2ユニットケースと、これら第1、第2ユニットケースに架設される連結体と、この連結体の一端部を上記第1ユニットケースの外面に締結する第1締結具と、上記連結体の他端部を第2ユニットケースの外面に締結する第2締結具とを備えた車両用パワーユニットにおいて、
上記第1締結具が有する第1ボルトの第1軸心と平行に延びる仮想平面を上記第2締結具が有する第2ボルトの第2軸心が交差するようにし、上記連結体の他端部が、上記第2ボルトの軸方向で互いに対面して上記第2ユニットケースの一部分を挟む一対の突片を備え、上記第2ボルトの第2軸心上で、上記各突片にそれぞれ上記第2ボルト用のボルト孔を形成すると共に、上記第2ユニットケースの一部分に上記第2ボルト用の他のボルト孔を形成し、上記各ボルト孔のうちの少なくともいずれか一つのボルト孔を、上記第2ボルトを遊嵌状に挿通させる挿通孔にし、上記連結体の一端部を上記第1ユニットケースに第1締結具により締結した後、上記連結体の他端部を上記第2ユニットケースに第2締結具により締結するようにしている。
【0011】
このため、上記第1、第2ユニットに対し連結体を組み付ける作業をする場合には、まず、上記連結体の一端部を上記第1ユニットケースに第1締結具により締結する。この際、上記各構成部品の寸法誤差などに因り、上記第2ユニットケースと連結体の他端部との間に、上記仮想平面の面方向での寸法誤差が生じたとしても、上記突片や第2ユニットケースの一部分に形成した挿通孔であるボルト孔と、この挿通孔に遊嵌状に挿通される上記第2締結具の第2ボルトとの間の多少のがたつきにより、上記寸法誤差が吸収される。また、上記した第2ユニットケースと連結体の他端部との間に、上記仮想平面に交差している上記第2ボルトの軸方向での寸法誤差が生じたとしても、上記各突片において、比較的に撓み易い厚さ方向での撓みにより、上記寸法誤差が吸収される。そして、この状態で、上記連結体の他端部を上記第2ユニットケースに第2締結具により締結すれば、上記連結体の組み付け作業が終わる。
【0012】
よって、上記した連結体の組み付け作業時に、上記第2ユニットケースと連結体の他端部との間に生じる寸法誤差は3次元的に吸収されることから、この組み付け作業時に、上記連結体が無理に変形させられて、これに内部応力が生じることは防止される。この結果、この連結体に生じる内部応力に基づき、上記第1、第2ユニットケースの互いの対向面の間に剪断力が作用することは防止されるため、これら両対向面の間を通し、上記第1、第2ユニットケース内部の潤滑油が外部に向かって滲み出すということは防止される。
【0013】
また、上記したように、連結体の突片はその厚さ方向で多少撓むことが求められるため、この突片の剛性を抑制する必要上、上記連結体の強度が不十分になるおそれがある。しかし、上記突片は上記第2ユニットケースの一部分を挟む一対が設けられているため、上記第2ユニットケースの一部分と連結体とによる連結強度は十分に確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の車両用パワーユニットに関し、互いに締結された第1、第2ユニットケースを連結体により互いに連結した場合に、上記第1、第2ユニットケースの互いの対向面の間を通し、これら第1、第2ユニットケース内部の潤滑油が外部に向かって滲み出さないようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0015】
即ち、車両用パワーユニットは、互いの対向面が圧接するよう互いに締結される第1、第2ユニットケースと、これら第1、第2ユニットケースに架設される連結体と、この連結体の一端部を上記第1ユニットケースの外面に締結する第1締結具と、上記連結体の他端部を第2ユニットケースの外面に締結する第2締結具とを備えている。
【0016】
上記第1締結具が有する第1ボルトの第1軸心と平行に延びる仮想平面を上記第2締結具が有する第2ボルトの第2軸心が交差するようにする。上記連結体の他端部が、上記第2ボルトの軸方向で互いに対面して上記第2ユニットケースの一部分を挟む一対の突片を備える。上記第2ボルトの第2軸心上で、上記各突片にそれぞれ上記第2ボルト用のボルト孔を形成すると共に、上記第2ユニットケースの一部分に上記第2ボルト用の他のボルト孔を形成する。
【0017】
上記各ボルト孔のうちの少なくともいずれか一つのボルト孔を、上記第2ボルトを遊嵌状に挿通させる挿通孔にする。上記連結体の一端部を上記第1ユニットケースに第1締結具により締結した後、上記連結体の他端部を上記第2ユニットケースに第2締結具により締結するようにしている。
【実施例】
【0018】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0019】
図において、符号1は、自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。なお、下記する左右とは、車両1の幅方向をいうものとする。
【0020】
上記車両1は、前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム2を有する車体3と、この車体3のサイドフレーム2に支持装置4により支持されて、車両1を走行駆動させるパワーユニット5とを備えている。
【0021】
上記パワーユニット5は、左右に並設される第1、第2ユニット8,9を備えている。この第1ユニット8は、その外殻を構成する金属製の第1ユニットケース11と、この第1ユニットケース11に内有される不図示の第1動力伝達機構とを備えている。上記第2ユニット9は、その外殻を構成する第2ユニットケース12と、この第2ユニットケース12に内有される不図示の第2動力伝達機構とを備えている。上記第1、第2ユニットケース11,12の互いの対向面13,14がシール材を介し互いに圧接するよう、これら第1、第2ユニットケース11,12同士が締結され、上記第1、第2動力伝達機構は互いに連動連結されている。
【0022】
上記支持装置4は、上記第1、第2ユニットケース11,12の各上面に架設される板金製の連結体16と、この連結体16の一端部17を上記第1ユニットケース11の外面に面接触させて締結する前後複数(3つ)の第1締結具18と、上記第1ユニットケース11の他端部19を上記第2ユニットケース12の外面に面接触させて締結する単一の第2締結具20と、上記連結体16を上記車体3のサイドフレーム2に支持させる支持具21とを備えている。上記連結体16の一端部17と他端部19とは互いに近傍に位置している。上記連結体16は、上記第1、第2ユニットケース11,12同士の結合強度を向上させる補強材として働き、かつ、上記第1、第2ユニットケース11,12を車体3に支持させる支持装置4の一部構成として働く。
【0023】
上記連結体16は、上記第1ユニットケース11の上面に面接触するよう設けられて、上記一端部17を構成する基板24と、この基板24から上方に向かって一体的に突出する前後一対の第1突片25,25と、これら第1突片25,25からそれぞれ車両1の幅方向で上記第2ユニットケース12側に向かって一体的に突出する一対の第2突片26,26と、これら第2突片26,26からそれぞれ下方に向かって一体的に突出し、上記他端部19を構成する一対の第3突片27,27とを備えている。それぞれの両第1〜第3突片25〜27同士は前後方向で互いに対面し、互いに平行に延びている。これら両第3突片27,27は、上記第2ユニットケース12の上面に一体的に突設されたこの第2ユニットケース12の一部分28である突出部を前後から挟んでいる。
【0024】
前記各第1締結具18は、上記基板24に直交する第1軸心31を有する第1ボルト32を備えている。これら各第1ボルト32は、上記各第1軸心31上で上記基板24に形成される複数(3つ)の第1ボルト孔33に挿通された後、上記各第1軸心31上で上記第1ユニットケース11に形成された螺子孔34に螺合している。上記各第1ボルト孔33は断面円形とされている。
【0025】
前記第2締結具20は、単一の第2ボルト37と、この第2ボルト37に螺合するナット38とを備えている。上記第2ボルト37の第2軸心39は、上記第1ボルト32の第1軸心31と平行に延びる仮想平面40にほぼ直交するよう交差し、かつ、上記各第3突片27に直交している。上記第2ボルト37は、上記第2軸心39上で上記各第3突片27と上記第2ユニットケース12の一部分28とにそれぞれ形成された第2ボルト孔41,42に挿通されている。この場合、上記各第2ボルト孔41,42は、それぞれ螺子無しで上記第2ボルト37を遊嵌状に、つまり、この第2ボルト37をその径方向でがたつきが生じるように、挿通させる挿通孔とされている。そして、上記各第2ボルト孔41,42を挿通した上記第2ボルト37の挿通後の部分に上記ナット38が螺合している。
【0026】
上記各第3突片27に形成された第2ボルト孔41と、上記第2ユニットケース12の一部分28に形成された他の第2ボルト孔42とのうち、少なくともいずれか一方の断面は上記第1締結具18の軸方向に長い長孔形状とされている。なお、上記第2締結具20による締結に支障が生じない範囲で、上記各第2ボルト孔41,42のうち、少なくともいずれか一方を円形孔とし、その孔径を十分に大きくしてもよい。また、上記各第3突片27の各第2ボルト孔41と一部分28の第2ボルト孔42とのうちのいずれか一方を、第2ボルト37を密嵌状に嵌入させる嵌入孔にしてもよい。
【0027】
前記支持具21は、上記第2締結具20の第2軸心39とほぼ平行に延びる軸心45を有する円筒体46と、この円筒体46に内嵌されるゴム製で厚肉円筒形状の緩衝体47と、上記円筒体46の外面に突設され、前記サイドフレーム2に締結具48により締結される支持片49と、上記軸心45上に位置して上記各第1突片25に形成されたボルト孔50および緩衝体47に挿通され、上記円筒体46に対し上記緩衝体47を介し上記各第1突片25を支持するボルト51とを備えている。上記各第1突片25に形成されたボルト孔50の断面は、上記仮想平面40と平行で、上記第1締結具18の第1軸心31に直交する方向に長い長孔形状とされている。
【0028】
なお、以上は図示の例によるが、上記第1、第2ユニット8,9は前後に配置されたものであってもよく、これら第1、第2ユニット8,9のうち、いずれか一方はエンジンユニットであってもよい。
【0029】
また、上記連結体16の各第3突片27の各第2ボルト孔41のうちのいずれか一方の第2ボルト孔41を螺子孔にする一方、他方の第2ボルト孔41と上記第2ユニットケース12の一部分28の第2ボルト孔42とをそれぞれ前記挿通孔にしてもよい。この場合、上記第2ボルト37は、上記した他方の第2ボルト孔41と第2ボルト孔42とに順次遊嵌状に挿通させられた後、上記一方の第2ボルト孔41の螺子孔に螺合させられる。
【0030】
また、上記連結体16の各第3突片27の各第2ボルト孔41を上記挿通孔にする一方、上記一部分28の第2ボルト孔42を螺子孔にしてもよい。この場合、上記第2ボルト37は、各第3突片27の第2ボルト孔41にそれぞれ遊嵌状に挿通させられた後、上記一部分28の第2ボルト孔42にそれぞれ螺合させられる。
【0031】
上記構成によれば、第1締結具18が有する第1ボルト32の第1軸心31と平行に延びる仮想平面40を上記第2締結具20が有する第2ボルト37の第2軸心39が交差するようにし、上記連結体16の他端部19が、上記第2ボルト37の軸方向で互いに対面して上記第2ユニットケース12の一部分28を挟む一対の第3突片27,27を備え、上記第2ボルト37の第2軸心39上で、上記各第3突片27,27にそれぞれ上記第2ボルト37用の第2ボルト孔41を形成すると共に、上記第2ユニットケース12の一部分28に上記第2ボルト37用の他の第2ボルト孔42を形成し、上記各第2ボルト孔41,42のうちの少なくともいずれか一つの第2ボルト孔41,42を、上記第2ボルト37を遊嵌状に挿通させる挿通孔にしている。
【0032】
より具体的には、上記連結体16の各第3突片27の各第2ボルト孔41と上記第2ユニットケース12の一部分28の第2ボルト孔42とを共に上記第2ボルト37を遊嵌状に挿通させる挿通孔とし、もしくは、上記各第3突片27の各第2ボルト孔41のうちのいずれか一方の第2ボルト孔41を螺子孔にする一方、他方の第2ボルト孔41と上記一部分28の第2ボルト孔42とをそれぞれ上記挿通孔にし、もしくは、上記各第3突片27の各第2ボルト孔41を上記挿通孔にする一方、上記一部分28の第2ボルト孔42を螺子孔にしている。
【0033】
また、上記連結体16の一端部17を上記第1ユニットケース11に第1締結具18により締結した後、上記連結体16の他端部19を上記第2ユニットケース12に第2締結具20により締結するようにしている。
【0034】
このため、上記第1、第2ユニット8,9に対し連結体16を組み付ける作業をする場合には、まず、上記連結体16の一端部17を上記第1ユニットケースに第1締結具18により締結する。この際、上記各構成部品11,12,16の寸法誤差などに因り、上記第2ユニットケース12と連結体16の他端部19との間に、上記仮想平面40の面方向での寸法誤差が生じたとしても、上記第3突片27,27や第2ユニットケース12の一部分28に形成した挿通孔である第2ボルト孔41,42と、この挿通孔に遊嵌状に挿通される上記第2締結具20の第2ボルト37との間の多少のがたつきにより、上記寸法誤差が吸収される。また、上記した第2ユニットケース12と連結体16の他端部19との間に、上記仮想平面40に交差している上記第2ボルト37の軸方向での寸法誤差が生じたとしても、上記各第3突片27において、比較的に撓み易い厚さ方向での撓みにより、上記寸法誤差が吸収される。そして、この状態で、上記連結体16の他端部19を上記第2ユニットケース12に第2締結具20により締結すれば、上記連結体16の組み付け作業が終わる。
【0035】
よって、上記した連結体16の組み付け作業時に、上記第2ユニットケース12と連結体16の他端部19との間に生じる寸法誤差は3次元的に吸収されることから、この組み付け作業時に、上記連結体16が無理に変形させられて、これに内部応力が生じることは防止される。この結果、この連結体16に生じる内部応力に基づき、上記第1、第2ユニットケース11,12の互いの対向面13,14の間に剪断力が作用することは防止されるため、これら両対向面13,14の間を通し、上記第1、第2ユニットケース11,12内部の潤滑油が外部に向かって滲み出すということは防止される。
【0036】
また、上記したように、連結体16の第3突片27はその厚さ方向で多少撓むことが求められるため、この第3突片27の剛性を抑制する必要上、上記連結体16の強度が不十分になるおそれがある。しかし、上記第3突片27は上記第2ユニットケース12の一部分28を挟む一対が設けられているため、上記第2ユニットケース12の一部分28と連結体16とによる連結強度は十分に確保される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】車両の部分斜視図である。
【図2】車両の部分背面図である。
【図3】車両の部分平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 車両
3 車体
4 支持装置
5 パワーユニット
8 第1ユニット
9 第2ユニット
11 第1ユニットケース
12 第2ユニットケース
13 対向面
14 対向面
16 連結体
17 一端部
18 第1締結具
19 他端部
20 第2締結具
21 支持具
24 基板
25 第1突片
26 第2突片
27 第3突片(突片)
28 一部分
31 第1軸心
32 第1ボルト
33 第1ボルト孔
34 螺子孔
37 第2ボルト
38 ナット
39 第2軸心
40 仮想平面
41 第2ボルト孔(ボルト孔)
42 第2ボルト孔(ボルト孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの対向面が圧接するよう互いに締結される第1、第2ユニットケースと、これら第1、第2ユニットケースに架設される連結体と、この連結体の一端部を上記第1ユニットケースの外面に締結する第1締結具と、上記連結体の他端部を第2ユニットケースの外面に締結する第2締結具とを備えた車両用パワーユニットにおいて、
上記第1締結具が有する第1ボルトの第1軸心と平行に延びる仮想平面を上記第2締結具が有する第2ボルトの第2軸心が交差するようにし、上記連結体の他端部が、上記第2ボルトの軸方向で互いに対面して上記第2ユニットケースの一部分を挟む一対の突片を備え、上記第2ボルトの第2軸心上で、上記各突片にそれぞれ上記第2ボルト用のボルト孔を形成すると共に、上記第2ユニットケースの一部分に上記第2ボルト用の他のボルト孔を形成し、上記各ボルト孔のうちの少なくともいずれか一つのボルト孔を、上記第2ボルトを遊嵌状に挿通させる挿通孔にし、上記連結体の一端部を上記第1ユニットケースに第1締結具により締結した後、上記連結体の他端部を上記第2ユニットケースに第2締結具により締結するようにしたことを特徴とする車両用パワーユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−214651(P2009−214651A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59205(P2008−59205)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】