説明

車両用ピラー構造

【課題】部品点数を低減することができる車両用ピラー構造を提供することを目的とする。
【解決手段】ピラーパネル30と、ピラーパネル30の車室内側に取り付けられるとともに、その側端部25に配設されコネクタ14が配置されるコネクタ配置部21を有するピラーガーニッシュ20と、ピラーパネル30とピラーガーニッシュ20との間をシールするシール材22と、を備える車両用ピラー40構造であって、シール材22は、ピラーガーニッシュ20の側端部25において、コネクタ配置部21より内方に配設されるとともに、ピラーガーニッシュ20に隣接するリヤウインドウ13に設けられたデフォッガ16に接続されるコネクタ14から延出する配線15が、シール材22とピラーパネル30とにより挟持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ピラー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、快適な車内環境を実現するために、車両走行時における車室内の静粛性の更なる向上が求められている。特許文献1には、車両用ピラーにおいて、ピラーインナパネル及びピラーアウタパネル(ピラーパネル)の車室内側のパネル面を覆って設けられるピラートリム(ピラーガーニッシュ)として、ピラーガーニッシュの裏面にピラーパネルのフランジ部と嵌め合い係合する段部が形成された係合部を有するものが開示されている。このような車両用ピラー構造では、ピラーガーニッシュの側縁部裏面に設けた段部にピラーパネルのフランジ部が嵌め合い係合されて引っかかる状態になり、この嵌め合い係合による引っかかりにより、ピラーガーニッシュの側縁部の動きが規制されて、走行時に、ピラーガーニッシュの側縁部が振動することを抑えるとのことである。また、当該振動に起因する異音の発生を抑制するとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−260486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、車室内の防音性を高めるためには、例えばシートに着座した乗員の耳の近くに進入する騒音を抑制することが効果的であることが知られている。車両用ピラーは、車両のシートに着座した乗員の頭部付近に位置することが一般的である。このため、走行音等の騒音が車両用ピラーを構成するピラーガーニッシュとピラーパネルとの間の空間を通過し、ピラーガーニッシュの側端部から車室内に進入することを抑制することが、車室内の防音性を高めるうえで効果的である。
【0005】
騒音がピラーガーニッシュとピラーパネルとの間の空間を通過し、ピラーガーニッシュの側端部から車室内に進入することを抑制するためには、ピラーガーニッシュの側端部に防音材を配設することが考えられる。一方、ピラーガーニッシュに隣接するリヤウインドウまたはサイドウインドウにはデフォッガ等の導電部が設けられ、当該導電部に接続されたコネクタが付設されている場合がある。このような場合には、リヤウインドウまたはサイドウインドウとピラーガーニッシュとを車両に組み付けた状態では、コネクタがピラーガーニッシュの側端部に配置されることとなり、防音材がコネクタに干渉し、両部材の配置上の問題が生じる場合がある。
【0006】
また、コネクタからは配線が延出して、電源や他の回路等に接続されている。このとき、配線にコネクタを脱落させるような外力が掛かることを抑制し、また、配線の揺動による異音の発生を抑制するために、配線をピラーパネル等の所定箇所に固定する必要がある。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、車室内の防音性を向上するとともに、ピラーガーニッシュに隣接するウインドウに付設されたコネクタから延出する配線をピラーパネルに固定するための部材の部品点数を低減し、または、当該部材を廃止することができる車両用ピラー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の車両用ピラー構造は、ピラーパネルと、前記ピラーパネルの車室内側に取り付けられるとともに、その側端部に配設されコネクタが配置されるコネクタ配置部を有するピラーガーニッシュと、前記ピラーパネルと前記ピラーガーニッシュとの間をシールするシール材と、を備える車両用ピラー構造であって、前記シール材は、前記ピラーガーニッシュの側端部において、前記コネクタ配置部より内方に配設されるとともに、前記ピラーガーニッシュに隣接するウインドウに設けられた導電部に接続される前記コネクタから延出する配線が、前記シール材と前記ピラーパネルとにより挟持されるところに特徴を有する。
【0009】
本発明においては、シール材がコネクタ配置部より内方に配設されるから、コネクタとシール材が干渉することがない。このため、コネクタの配置を変更することなくシール材を配置して、ピラーガーニッシュとピラーパネルとの間をシールすることができ、ピラーガーニッシュとピラーパネルとの間を通過し、ピラーガーニッシュの側端部から車室内に音が進入することを抑制することができる。さらに、コネクタから延出する配線は、シール材とピラーパネルとにより挟持されるから、配線をピラーパネルに固定するための別の固定部材の部品点数を低減し、または、別の固定部材を廃止することができる。
【0010】
上記構成において、前記ピラーガーニッシュは、前記ピラーパネル側に突出するとともに、前記ピラーガーニッシュを前記ピラーパネルに取り付けるための取付突部をさらに備え、前記シール材は、前記取付突部に支持されるものとすることができる。
【0011】
このような構成によれば、シール材は取付突部に支持されるから、シール材がピラーガーニッシュに対して倒れることを抑制することができる。
【0012】
上記構成において、前記ピラーパネルは、前記ピラーガーニッシュ側に膨出する膨出部を有し、前記シール材は、前記ピラーガーニッシュの前記ピラーパネル側の面のうち、前記膨出部に当接する位置に配設されているものとすることができる。
【0013】
このような構成によれば、シール材はピラーパネルの膨出部に当接する位置に配置されているから、シール材のピラーガーニッシュからの突出高さを低減することができる。このため、シール材の材料低減に寄与するとともに、シール材がピラーガーニッシュに対して倒れることを抑制することができる。
【0014】
上記構成において、前記シール材は、前記ピラーガーニッシュの側端部に沿って前記取付突部の内方に配設されるとともに、当該ピラーガーニッシュの下端部から上端部に亘って延設されているものとすることができる。
【0015】
このような構成によれば、シール材はピラーガーニッシュの側端部に沿って取付突部の内方に配設されるとともに、当該ピラーガーニッシュの下端部から上端部に亘って延設されているから、ピラーガーニッシュの側端部から車室内への音の進入をピラーガーニッシュの下端部から上端部に亘って抑制することができ、防音性をより高くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車室内の防音性を向上するとともに、部品点数を低減することができる車両用ピラー構造を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用ピラーを備える車両の車室内の状態を示す斜視図。
【図2】図1のピラーガーニッシュの裏面における、シール材並びにコネクタ及び配線の配置を示す斜視図。
【図3】図2のピラーガーニッシュがピラーパネルに取り付けられる前の状態における、シール部と配線を示す断面図(図2のA−A線断面部分に対応)。
【図4】図2のピラーガーニッシュがピラーパネルに取り付けられている状態における、シール部と配線を示す断面図(図2のA−A線断面部分に対応)。
【図5】図2のピラーガーニッシュがピラーパネルに取り付けられている状態における、シール部とクリップ座を示す断面図(図2のB−B線断面部分に対応)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図5によって説明する。図1は、車両用ピラー40を備える車両10の車室内の状態を示す斜視図である。図2は、図1のピラーガーニッシュ20の裏面(車室外側面)20Aにおける、シール材22並びにコネクタ14及び配線15の配置を示す斜視図である。図3は、図2のピラーガーニッシュ20がピラーパネル30に取り付けられる前の状態における、シール材22と配線15を示す断面図であり、配線15に沿った断面を示している。図4は、図2のピラーガーニッシュ20がピラーパネル30に取り付けられている状態における、シール材22と配線15を示す断面図であり、配線15に沿った断面を示している。図5は、図2のピラーガーニッシュ20がピラーパネル30に取り付けられている状態における、シール材22と複数のクリップ座23を示す断面図である。
【0019】
車両10は、図1に示すように、リヤシート11の側方に配されるサイドウインドウ12と、リヤシート11の後方に配されるリヤウインドウ13と、を備えている。車両10は、サイドウインドウ12とリヤウインドウ13との間に車両用ピラー40が配されている。
【0020】
車両用ピラー40は、ピラーパネル30と、ピラーパネル30の車室内側に取り付けられるピラーガーニッシュ20と、ピラーパネル30とピラーガーニッシュ20との間をシールするシール材22と、を備える。なお、車両用ピラー40は、リヤシート11に着座している乗員の頭部のほぼ側方に配されている。
【0021】
ピラーパネル30は、図4に示すように、ピラーインナパネル31とピラーアウタパネル32とを備えており、ピラーインナパネル31及びピラーアウタパネル32の側縁に設けられたフランジ同士が互いに接合されフランジ部33が形成されるとともに、中空状に構成されている。
【0022】
ピラーインナパネル31のピラーガーニッシュ20側の面30Aには、車室内側(ピラーガーニッシュ側)に膨出する膨出部34が設けられている。なお、膨出部34は、ピラーパネル30の側端部に沿って延びる形で形成されており、上述したフランジ部33と隣接するものとされる。
【0023】
リヤウインドウ13(ピラーガーニッシュに隣接するウインドウ)は、その側端部においてピラーパネル30のフランジ部33に取り付けられている。リヤウインドウ13の側端部には、ピラーガーニッシュ20と隣接する車室内側に、デフォッガ16(導電部)に接続されるコネクタ14が付設されている。配線15は、コネクタ14から延出して、ピラーパネル30のピラーガーニッシュ20側の面30Aの所定の箇所に配索されている。
なお、配線15は、コネクタ14とは反対側の端部において、例えば、電源(図示しない)に接続されている。これにより、配線15を介して、リヤウインドウ13に設置されたデフォッガ16に対して、電源から電力を供給可能となっている。
【0024】
ピラーガーニッシュ20は、合成樹脂材料、あるいは合成樹脂材料と天然繊維(ケナフなど)を混合した材料等を板状に成形してなる。ピラーガーニッシュ20には、図2に示すように、裏面20Aからピラーパネル30側に突出する形状のクリップ座23が設けられている。ピラーガーニッシュ20は、図5に示すように、クリップ座23に取り付けられたクリップ24を介して、ピラーパネル30の車室内側に取り付けられている。また、クリップ座23は、図2に示すように、ピラーガーニッシュ20の裏面20Aにおいてピラーガーニッシュ20の側端部25に沿って複数箇所に形成されている。
【0025】
ピラーガーニッシュ20とピラーパネル30とは隙間を空けて配されており、その間には、図4に示すように、空間Sが形成されている。ピラーインナパネル31において膨出部34が設けられた部分では、ピラーガーニッシュ20とピラーパネル30との離間距離Dが、膨出部34以外の一般部35より小さいものとされている。
【0026】
ピラーガーニッシュ20の裏面20Aには、リヤウインドウ13側の側端部25に、コネクタ14が配置されるコネクタ配置部21と、コネクタ配置部21より内方に配設され、ピラーガーニッシュ20とピラーパネル30との間をシールするシール材22が設けられている。すなわち、ピラーガーニッシュ20の側端面から中央部に向かって、コネクタ配置部21、シール材22の順で配列されている。
【0027】
コネクタ配置部21とピラーパネル30との離間距離は、コネクタ14の寸法より大きいものとされる。これにより、コネクタ配置部21とピラーパネル30との間にコネクタ14を配置可能な空間が確保されている。つまり、本実施形態におけるコネクタ配置部21は、ピラーガーニッシュ20の側端部において、シール材22よりも外方に配される箇所であって、コネクタ14を配置可能な部分とされる。
【0028】
また、コネクタ配置部21は、コネクタ14を車室内側から覆う状態で設けられている。なお、コネクタ配置部21は、コネクタ14と離間されている。これにより、例えば、乗客によって、ピラーガーニッシュ20が押圧され、ピラーガーニッシュ20が車室外側(コネクタ14側)に撓んだ場合などに、コネクタ配置部21がコネクタ14に当接する事態を抑制することができ、コネクタ14を保護することができる。
【0029】
シール材22は、図2に示すように、長手状(四角柱状)のポリウレタンまたはフェルト等の弾性を有する多孔質部材とされ、防音材として機能するものとされている。詳しくは、シール材22は、ピラーガーニッシュ20とピラーパネル30との間をシールすることにより空間Sからピラーガーニッシュ20の側端部25を介して車室内への音の透過を抑制する(透過損失特性を有する)とともに、シール材22に形成された孔内に吸収された音波を熱エネルギーに変換することにより吸音性に優れるものとされている。
【0030】
シール材22は、ピラーガーニッシュ20の側端部25に沿って、複数のクリップ座23のうち隣接する一つのクリップ座23(取付突部、符号23Aを付す)の内方に配設されるとともに、当該ピラーガーニッシュ20の下端部26から上端部27に亘って延設されている。シール材22の底面22Aは、図示しない接着層を介してピラーガーニッシュ20に固定されている。また、ピラーガーニッシュ20をピラーパネル30に取り付けた状態においては、シール材22におけるピラーパネル30との対向面22Bの一部(角部)がピラーパネル30の膨出部34の段部34Aに当接されている(図5参照)。これにより、シール材22は、対向面22Bがピラーパネル30に対して、位置決めされて固定される構成となっている。また、シール材22の側面22Cは、クリップ座23Aの立壁面23Bに当接されている。これにより、シール材22は、その側面22C側からクリップ座23Aに支持される構成となっている。
【0031】
シール材22は、図3に示すように、ピラーガーニッシュ20をピラーパネル30に取り付ける前の状態では、ピラーガーニッシュ20からの突出高さH(底面22Aからピラーパネル30との対向面22Bまでの高さ)が、ピラーパネル30に当接する部分において、当該部分におけるピラーガーニッシュ20とピラーパネル30との離間距離より大きいものとされている。詳しくは、シール材22のピラーガーニッシュ20からの突出高さHは、ピラーパネル30の膨出部34とピラーガーニッシュ20との離間距離Dより大きいものとされている。
【0032】
これにより、シール材22は、図5に示すように、ピラーガーニッシュ20をピラーパネル30に取り付けた状態では、ピラーガーニッシュ20の裏面20Aとピラーパネル30のピラーガーニッシュ20側の面30Aとに押圧されて、ピラーパネル30に当接する部分の突出高さHが離間距離Dと等しくなるように弾性変形するものとされている。そして、弾性変形したシール材22の弾発力により、ピラーパネル30との対向面22Bがピラーパネル30のピラーガーニッシュ20側の面30Aに密着し、ピラーガーニッシュ20とピラーパネル30との間のシール性が確保される。
【0033】
さらに、シール材22は、図4に示すように、配線15が配索された部分では、配線15の形状に倣って溝状に弾性変形するものとされている。そして、当該溝状に弾性変形したシール材22の弾発力により、ピラーパネル30とシール材22とで配線15が挟持される構成となっている。
【0034】
次に、車両用ピラー40の組み付け手順について説明する。
まず、ピラーパネル30並びにコネクタ14及び配線15を所定の箇所に配置する。続いて、シール材22を配したピラーガーニッシュ20をピラーパネル30に対して取り付ける。すると、シール材22がピラーパネル30のピラーガーニッシュ20側の面30Aの形状に倣って弾性変形して、ピラーガーニッシュ20とピラーパネル30との間がシールされるとともに、シール材22の一部が配線15の形状に倣って溝状に弾性変形して、シール材22とピラーパネル30とにより配線15が挟持される。以上のようにして、車両用ピラー40の組み付けが完了する。
【0035】
次に、本実施形態の車両用ピラー40における作用および効果について説明する。
本実施形態では、シール材22がコネクタ配置部21より内方に配設されるから、コネクタ14とシール材22が干渉することがない。このため、コネクタ14の配置を変更することなくシール材22を配置して、ピラーガーニッシュ20とピラーパネル30との間をシールすることができ、空間Sを通過し、ピラーガーニッシュ20の側端部25から車室内に音が進入することを抑制することができる。一般に、車室内の防音性を高めるためには、シートに着座した乗員の耳の近くに進入する騒音を抑制することが効果的であることが知られている。本実施形態では、車両用ピラー40は、リヤシート11に着座した乗員の耳の近くに配される部材であるから、車室内の防音性を高める効果が高い。
【0036】
さらに、本実施形態においては、コネクタ14から延出する配線15が、シール材22とピラーパネル30とにより挟持される構成とした。このため、配線15をピラーパネル30に固定するための別の固定部材の部品点数を低減し、または、別の固定部材を廃止することができる。具体的には、ピラーガーニッシュとピラーパネルとの間に配索される配線をピラーパネルに係止させる構成として、クリップ等の固定部材によって係止することが考えられる。しかしながら、本実施形態では、配線15の一部は、シール材22とピラーパネル30とにより挟持されるから、当該挟持箇所においてクリップ等の固定部材により配線15をピラーパネル30に対して係止する必要がない。
【0037】
また、シール材22はクリップ座23Aに支持されるから、シール材22がピラーガーニッシュ20に対して倒れることを抑制することができる。具体的には、長手状のシール材22は、ピラーガーニッシュ20をピラーパネル30に取り付ける前の状態、及び、ピラーガーニッシュ20をピラーパネル30に取り付ける過程において、当該シール材22の短手方向に倒れやすい。しかしながら、本実施形態では、既存のクリップ座23Aを用いて、シール材22をピラーガーニッシュ20の側端部25側から支持することにより、シール材22が、短手方向のうちピラーガーニッシュ20の側端部25側に倒れることを抑制することができる。
【0038】
また、シール材22はピラーパネル30の膨出部34に当接する位置に配されているから、シール材22のピラーガーニッシュ20からの突出高さHを低減することができる。すなわち、ピラーパネル30に元々形成されている膨出部34を利用することにより、膨出部34以外の箇所に当接させる構成と比べて、シール材22の突出高さHを低減することができる。このため、シール材22の材料低減に寄与するとともに、シール材22がピラーガーニッシュ20に対して倒れることを抑制することができる。
【0039】
また、シール材22は対向面22Bがピラーパネル30の膨出部34の段部34Aに当接されるから、シール材22の対向面22Bをピラーパネル30に対して位置決めした状態で固定することができる。
【0040】
また、シール材22はピラーガーニッシュ20の側端部25に沿ってクリップ座23Aの内方に配設されるとともに、当該ピラーガーニッシュ20の下端部26から上端部27に亘って延設されているから、ピラーガーニッシュ20の側端部25から車室内への音の進入をピラーガーニッシュ20の下端部26から上端部27に亘って抑制することができ、防音性をより高くすることができる。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0042】
(1)上記実施形態においては、シール材22におけるピラーパネル30との対向面22Bのうち一部が、ピラーパネル30の膨出部34に当接するものを例示したが、これに限られず、例えば、シール材22におけるピラーパネル30との対向面22Bの全面がピラーパネル30の膨出部34に当接するものとしてもよい。
【0043】
(2)上記実施形態においては、シール材22がクリップ座23Aに当接するものを例示したが、これに限定されない。例えば、シール材22がクリップ座23Aに当接されておらず、シール材22がクリップ座23A側に倒れようとする際に、クリップ座23Aに当接することで支持されるものであってよい。
【0044】
(3)上記実施形態においては、シール材22が長手状(四角柱状)のポリウレタンまたはフェルト等の弾性を有する多孔質部材であるものを例示したが、これに限られず、例えば、シール材は所望の防音性能を有する通気性の異なる2以上の層、または、異なる材質の2以上の部材で構成されていてもよい。
【0045】
(4)上記実施形態においては、車両用ピラーとして、サイドウインドウ12とリヤウインドウ13との間に配されるものを例示したが、これに限定されない。車両用ピラーとしては、例えば、車両における一方の側部において、車両前後方向に配列された2枚のサイドウインドウの間に配されるものを例示することができる。
【0046】
(5)上記実施形態においては、コネクタ14はリヤウインドウ13に付設されているものを例示したが、これに限られず、例えば、ピラーガーニッシュのコネクタ配置部に付設されるものであってもよい。
【0047】
(6)上記実施形態においては、コネクタ14が接続される導電部として、デフォッガ16を例示したが、これに限定されない。導電部は、ウインドウに設けられた導電可能な部品であればよく、例えば、ガラスアンテナなどを例示することができる。
【0048】
(7)上記実施形態においては、デフォッガ16と電源とを電気的に接続するためのコネクタ14及び配線15を例示したが、これに限定されない。コネクタ14及び配線15の用途は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…車両、11…リヤシート、12…サイドウインドウ、13…リヤウインドウ(ピラーガーニッシュに隣接するウインドウ)、14…コネクタ、15…配線、16…デフォッガ(導電部)、20…ピラーガーニッシュ、20A…裏面、21…コネクタ配置部、22…シール材、22A…底面、22B…対向面、22C…側面、23…クリップ座、23A…クリップ座(取付突部)、23B…クリップ座の立壁面、24…クリップ、25…側端部、26…下端部、27…上端部、30…ピラーパネル、30A…ピラーガーニッシュ側の面、31…ピラーインナパネル、32…ピラーアウタパネル、33…フランジ部、34…膨出部、34A…段部、35…一般部、40…車両用ピラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラーパネルと、前記ピラーパネルの車室内側に取り付けられるとともに、その側端部に配設されコネクタが配置されるコネクタ配置部を有するピラーガーニッシュと、前記ピラーパネルと前記ピラーガーニッシュとの間をシールするシール材と、を備える車両用ピラー構造であって、
前記シール材は、前記ピラーガーニッシュの側端部において、前記コネクタ配置部より内方に配設されるとともに、
前記ピラーガーニッシュに隣接するウインドウに設けられた導電部に接続される前記コネクタから延出する配線が、前記シール材と前記ピラーパネルとにより挟持されることを特徴とする車両用ピラー構造。
【請求項2】
前記ピラーガーニッシュは、前記ピラーパネル側に突出するとともに、前記ピラーガーニッシュを前記ピラーパネルに取り付けるための取付突部をさらに備え、
前記シール材は、前記取付突部に支持されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ピラー構造。
【請求項3】
前記ピラーパネルは、前記ピラーガーニッシュ側に膨出する膨出部を有し、
前記シール材は、前記ピラーガーニッシュの前記ピラーパネル側の面のうち、前記膨出部に当接する位置に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ピラー構造。
【請求項4】
前記シール材は、前記ピラーガーニッシュの前記側端部に沿って前記取付突部の内方に配設されるとともに、当該ピラーガーニッシュの下端部から上端部に亘って延設されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用ピラー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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