説明

車両用ホーンの取付構造

【課題】シャッタ装置の開閉に影響されずに車外へホーンの音を出すことを可能にするとともに、前面開口からホーンが視認されることを防止することを可能にする。
【解決手段】車体11の前面に設けられる前面開口25と、前面開口25の車両後方に位置する冷却装置34と、前面開口25と冷却装置34との間に設けられたシャッタ装置38と、前面開口25とシャッタ装置38とを連結する筒状のダクト37とを備え、ダクト37の外側にホーン35を設けるとともに、ダクト37のホーン35と対向する位置に開口部41を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前面に設けられ走行風を取り入れる前面開口と、この前面開口の車体後方に配置される冷却装置と、前面開口から周囲に警告音を発生するホーンと、を備えた車両用ホーンの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ホーンの取付構造は、車体前部の上及び下ラジエータ支持部材に跨ってラジエータを設け、ラジエータよりも高さが低く且つ幅が大きいコンデンサをラジエータの前部に一部ラジエータとオーバーラップして設け、これらのラジエータ、コンデンサ及び上部ラジエータ支持部材で囲まれた空間部にホーンを配置したものである。
【0003】
この車両用ホーンの取付構造によれば、ホーンがラジエータグリルなどの前面開口から見えて外観上違和感をが生ずること回避することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、車両用ホーンの取付構造には、合成樹脂製のフロントグリルに凹部を設け、この凹部にホーンの前面側を車両の前方に向けてはめ込み、フロントグリル自体にホーンを取付けるようにしたものがある。
【0005】
この車両用ホーンの取付構造によれば、音の伝達に際して障害物のない位置に配置でき、音圧が減衰することを防止することが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
さらに、車両用ホーンの取付構造には、車体前面にラジエータに空気を流入させるグリル開口を設け、車体側にラジエータを設置する筐体を設け、筐体に、グリル開口部に向けて開口する空気流通路を形成し、筐体に空気流通路を開閉するシャッタ装置を設けたものもある。
【0007】
この車両用ホーンの取付構造によれば、ラジエータに当てる空気の量を調整することが可能である(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許2528539号公報
【特許文献2】実開昭56−108936号公報
【特許文献3】特開2007−1503公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の車両用ホーンの取付構造では、ラジエータ、コンデンサ及び上部ラジエータ支持部材で囲まれた空間部の前面はボンネットなどの遮蔽壁で塞がれている。
このため、ホーンの音がエンジンルーム内にこもる虞があった。
【0010】
特許文献2の車両用ホーンの取付構造では、フロントグリルに凹部を設け、この凹部にホーンの前面側を車両の前方に向けてはめ込み、フロントグリル自体にホーンが取付けられている。
このため、ホーンがフロントグリルの格子から見える虞があり、デザイン上好ましいとはいえなかった。
【0011】
特許文献3の車両用ホーンの取付構造では、ラジエータからグリル開口までの間に、シャッタ装置及び空気流通路が設けられている。
このため、ホーンを車体前面且つ中央付近に配置することが困難であるとともに、ホーンの音がシャッタ装置の開閉に影響されることもあった。
【0012】
本発明は、シャッタ装置の開閉に影響されずに車外へホーンの音を出すことできる車両用ホーンの取付構造を提供することを課題とする。また、前面開口からホーンが視認されることを防止できる車両用ホーンの取付構造を提供することを課題とする。さらに、エンジンルーム内にホーンの音がこもることを防止でき、ホーンの音をクリアで高級感のある音にすることができる車両用ホーンの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る車両用ホーンの取付構造の発明は、車体の前面に設けられる前面開口と、前面開口の車両後方に位置する冷却装置と、前面開口と冷却装置との間に設けられたシャッタ装置と、前面開口とシャッタ装置とを連結する筒状のダクトとを備え、ダクトの外側にホーンを設けるとともに、ダクトのホーンと対向する位置に開口部を設けることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、開口部に格子部を設け、格子部が、車両幅方向に延び、車体前後方向に所定間隔で並べられる複数の格子から構成され、格子が、ホーンと対向するとともに、ダクトの外方から内方に向かって車両前方に傾斜する傾斜面を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明は、開口部に格子部を設け、格子部が、ダクトの内面と面一に設けられることを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記シャッタ装置を第1のシャッタ装置と呼ぶときに、開口部を覆う第2のシャッタ装置を設け、第2のシャッタ装置が、ホーンの作動時に開口部を開放するとともに、ホーンの非作動時には開口部を遮断することを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、前記ダクトを第1のダクトと呼ぶときに、開口部とホーンとを連結する第2のダクトを備え、第2のダクトが弾性部材から形成されることを特徴とする。
【0018】
請求項6に係る発明は、前面開口が、フロントグリルに設けられるグリル開口であり、フロントグリルが、車両幅方向中央部が最も車両前方に位置するような凸形状に形成され、シャッタ装置からフロントグリルまでのダクトの長さは、車両幅方向中央が車幅方向両端部よりも長く形成され、ホーンが、車両幅方向中央に設けられることを特徴とする。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記ホーンを第1のホーンと呼ぶときに、第1のホーンに加えて第2のホーンとを備え、ダクトに、車両上下方向に対抗する上部壁及び下部壁を備え、第1のホーンが、上部壁または下部壁のいずれか一方の外方に設けられるとともに、第2のホーンが、上部壁または下部壁のいずれか他方の外方に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車体の前面に設けられる前面開口と、前面開口の車両後方に位置する冷却装置と、前面開口と冷却装置との間に設けられたシャッタ装置と、前面開口とシャッタ装置とを連結する筒状のダクトとを備える。ダクトの外側にホーンを設けるとともに、ダクトのホーンと対向する位置に開口部を設けた。
前面開口とシャッタ装置とを連結する筒状のダクトに、且つダクトのホーンと対向する位置に開口部を設けたので、その開口部から筒状のダクトを経由してホーンの音を外部に出すことができる。すなわち、シャッタ装置の開閉に影響されずに、ホーンの音を外部に出すことができる。
また、開口部から筒状のダクトを経由してホーンの音を外部に出すことができるので、ホーンの音を反響させることが可能となる。すなわち、ダクト内で反響させることで、ホーンの音をクリアで高級感のある音にすることができる。
さらに、ダクトの外側にホーンを設けたので、前面開口からホーンを隠すことができ、車両の外観性の向上を図ることができる。
【0021】
請求項2に係る発明では、開口部に格子部を設けたので、格子部によりホーンをさらに見えにくくすることができる。
格子部が、車両幅方向に延び、車体前後方向に所定間隔で並べられる複数の格子から構成され、格子が、ホーンと対向するとともに、ダクトの外方から内方に向かって車両前方に傾斜する傾斜面を備えるので、傾斜面でホーンから発生された音を車両前方に向けることができる。これにより、ホーンの音圧の低下を最小限に止め、ホーンの音を外部に出すことができる。
【0022】
請求項3に係る発明では、格子部が、ダクトの内面と面一に設けられたので、前面開口からシャッタ装置に向かって流れる空気の流れを円滑に流すことができる。すなわち、空気の巻き込みによる渦流を防止することができる。
【0023】
請求項4に係る発明では、前記シャッタ装置を第1のシャッタ装置と呼ぶときに、開口部を覆う第2のシャッタ装置を設け、第2のシャッタ装置が、ホーンの作動時に開口部を開放するとともに、ホーンの非作動時には開口部を遮断するようにした。すなわち、第2のシャッタ装置によって、ホーンの非作動時には開口部を塞ぐことができるので、前面開口から第2のシャッタ装置へと流れる空気の巻き込みを確実に防止できる。
また、ホーンの非作動時には開口部を塞ぐことができるので、ホーンの非作動時にはホーンを完全に覆う役目もなす。
【0024】
請求項5に係る発明では、前記ダクトを第1のダクトと呼ぶときに、開口部とホーンとを連結する第2のダクトを備え、第2のダクトが弾性部材から形成されるので、ホーンと第2のダクトとの密着性の向上を図ることができる。これにより、第2のダクト外にホーンの音がもれることを防止することができる。なお、第2のダクトが弾性部材から形成されるので、仮に、ホーンの振動面である前面に接触したとしても、ホーンの振動を阻害することはない。
【0025】
請求項6に係る発明では、前面開口が、フロントグリルに設けられるグリル開口であり、フロントグリルが、車両幅方向中央部が最も車両前方に位置するような凸形状に形成され、シャッタ装置からフロントグリルまでのダクトの長さは、車両幅方向中央が車幅方向両端部よりも長く形成され、ホーンが、車両幅方向中央に設けられる。
すなわち、ホーンをダクトの長さを一番長く稼ぐことのできる車両幅方向中央に設けたので、ホーンの音にダクトによる反響効果を最大限に付加することができる。
また、ダクトの一番長い部位に開口部を設けることで、ダクトの剛性低下を抑制することが可能となる。さらに、ホーンの取付けにおけるレイアウトの自由度が向上する。
【0026】
請求項7に係る発明では、前記ホーンを第1のホーンと呼ぶときに、第1のホーンに加えて第2のホーンとを備える。ダクトに、車両上下方向に対抗する上部壁及び下部壁を備え、第1のホーンが、上部壁または下部壁のいずれか一方の外方に設けられるとともに、第2のホーンが、上部壁または下部壁のいずれか他方の外方に設けられる。例えば、車両の外部から聞こえるホーンの音質を高めるために、音の異なる複数のホーンを取付けることがある。この時に、ダクトの対向する上部壁及び下部壁のそれぞれに分散してホーンを配置することができる。すなわち、ホーンの取付けスペースを確保することが容易となり、ホーンのレイアウトの自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る第1実施例の車両用ホーンの取付構造の分解斜視図である。
【図2】図1に示された車両用ホーンの取付構造の側面断面図である。
【図3】図1に示された車両用ホーンの取付構造の正面断面図である。
【図4】本発明に係る第2実施例の車両用ホーンの取付構造の側面断面図である。
【図5】図4に示された車両用ホーンの取付構造の作用説明図である。
【図6】本発明に係る第3実施例の車両用ホーンの取付構造の側面断面図である。
【図7】本発明に係る第4実施例の車両用ホーンの取付構造の側面断面図である。
【図8】図7に示された車両用ホーンの取付構造の要部説明図である。
【図9】本発明に係る第5実施例の車両用ホーンの取付構造の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0029】
図1に示されたように、車体11は、車体前後方向に延びる左右のフロントサイドフレーム14,14と、左右のフロントサイドフレーム14,14の先端に設けられるバルクヘッド15と、このバルクヘッド15の前面に設けられるシャッタ装置38と、このシャッタ装置38の前面に設けられたダクト37及びバンパ側ダクト27と、ダクト37の前面に設けられるフロントグリル16と、バンパ側ダクト27の前面に設けられるバンパフェイス19と、フロントグリル16の後方に配置されるホーン35と、を備える。
【0030】
バルクヘッド15は、車体幅方向に延ばされる上の横フレーム21と、車体幅方向に延ばされる下の横フレーム22と、上及び下の横フレーム21,22の左端部を繋ぐ左の縦フレーム23と、上及び下の横フレーム21,22の右端部を繋ぐ右の縦フレーム24と、からなる。
【0031】
フロントグリル16は、前面開口25の上部を構成するグリル開口31が形成されている。さらに、フロントグリル16は、車両幅方向中央部が最も車両前方に位置するような凸形状に形成されている。
ダクト(第1のダクト)37は、グリル開口31から冷却装置34(図2参照)まで延ばされた筒状のダクトである。
【0032】
バンパフェイス19は、前面開口25の下部を構成するバンパ側開口26を備える。
なお、前面開口25は、上部を構成するグリル開口31と、下部を構成するバンパ側開口26とから構成されている。すなわち、グリル開口31は前面開口25の一部である。
【0033】
図2、図3に示されたように、第1実施例の車両用ホーンの取付構造30は、グリル開口31と、ラジエータ32及びコンデンサ33を含む冷却装置34と、ホーン35と、ダクト(第1のダクト)37と、シャッタ装置(第1のシャッタ装置)38と、ダクト37に設けられる開口部41と、ダクト37に設けられる格子部43と、ダクト37に設けられる開口部側ダクト(第2のダクト)45と、から構成される。
【0034】
冷却装置34は、エンジン(不図示)を冷却する冷却水を冷やすラジエータ32と、エアコンディショナ(不図示)の冷媒を冷却するコンデンサ33と、から構成される。さらに、冷却装置34は、前面開口25の車両後方に位置する。
【0035】
シャッタ装置38は、冷却装置34の前方に設けられる枠体51と、枠体51に閉鎖可能に取付けられた複数の上部シャッタ(シャッタ)52及び下部シャッタ53と、からなる。なお、シャッタ装置38は、グリル開口31と冷却装置34との間に設けられる構成に限定されず、ダクト37,27の冷却装置34側に設けられ、前面開口25から走行風を遮断する装置である。
【0036】
筒状のダクト37は、上部壁(壁部)37bにホーン35を臨ます開口部41が開けられている。さらに、シャッタ装置38からフロントグリル16までのダクト37の長さは、車両幅方向中央が車幅方向両端部よりも長く形成される。
開口部41には、格子部43が設けられるとともに、ホーン側ダクト(第2のダクト)45が一体的に延出される。
【0037】
ホーン側ダクト45は、ホーン35を臨ます一端45aから格子部43が設けられる他端45bに向けてメガホーン状に拡径される筒体である。従って、一端(縮径部)45aにホーン35の前面35aが臨まされ、他端(拡径部)45bにホーン35の音をグリル開口31(前面開口25)に向かわせる格子部43が設けられたものともいうことができる。
【0038】
格子部43は、複数の格子48で構成される。格子部43は、ダクト37の内面37aと面一に設けられる。詳細には、格子48の前端がダクト37の内面37aと面一に設定される。
【0039】
格子48は、車両幅方向に延び、車体前後方向に所定間隔で並べられる。さらに、格子48は、ホーン35と対向するとともに、ダクト37の外方から内方(車体11の上方から下方)に向かって車両前方に傾斜する傾斜面49を備える。従って、複数の格子48は、ホーン35の音を前面開口25(グリル開口31)に向かわせる複数のルーバであるということができる。なお、ダクト37の内側とは、シャッタ装置38が設けられる筒の内側であり、ダクト37の外側とは、筒の外側を意味する。
【0040】
ホーン35には、ステー57が設けられ、車幅方向中央(車両幅方向中央)にてバルクヘッド15の上の横フレーム21に、ボルト56で取付けられる。ホーン35は、前面開口25から周囲に警告音を発生する部品である。さらに、ホーン35の前面35aがホーン側ダクト45の一端45aに臨んでいる。
【0041】
図1〜図3に示されたように、車両用ホーンの取付構造30では、車体11の前面に設けられる前面開口25(グリル開口31)と、前面開口25の車両後方に位置する冷却装置34と、前面開口25と冷却装置34との間に設けられたシャッタ装置38と、前面開口25とシャッタ装置38とを連結する筒状のダクト37とを備える。ダクト37の外側にホーン35を設けるとともに、ダクト37のホーン35と対向する位置に開口部41を設けた。
【0042】
前面開口25とシャッタ装置38とを連結する筒状のダクト37に、且つダクト37のホーン35と対向する位置に開口部41を設けたので、その開口部41から筒状のダクト37を経由してホーン35の音を外部に出すことができる。すなわち、シャッタ装置38の開閉に影響されずに、ホーン35の音を外部に出すことができる。
【0043】
また、開口部41から筒状のダクト37を経由してホーン35の音を外部に出すことができるので、ホーン35の音を反響させることが可能となる。すなわち、ダクト37内で反響させることで、ホーン35の音をクリアで高級感のある音にすることができる。
【0044】
さらに、ダクト37の外側にホーン35を設けたので、前面開口25からホーン35を隠すことができ、車両の外観性の向上を図ることができる。
【0045】
車両用ホーンの取付構造30では、開口部41に格子部43を設けたので、格子部43によりホーン35をさらに見えにくくすることができる。
【0046】
格子部43が、車両幅方向に延び、車体前後方向に所定間隔で並べられる複数の格子48から構成され、格子48が、ホーン35と対向するとともに、ダクト37の外方から内方に向かって車両前方に傾斜する傾斜面49を備えるので、傾斜面49でホーン35から発生された音を車両前方に向けることができる。これにより、ホーン35の音圧の低下を最小限に止め、ホーン35の音を外部に出すことができる。
【0047】
車両用ホーンの取付構造30では、格子部43が、ダクト37の内面37aと面一に設けられたので、前面開口25からシャッタ装置38に向かって流れる空気の流れを円滑に流すことができる。すなわち、空気の巻き込みによる渦流を防止することができる。
【0048】
車両用ホーンの取付構造30では、前面開口25が、フロントグリル16に設けられるグリル開口31であり、フロントグリル16が、車両幅方向中央部が最も車両前方に位置するような凸形状に形成され、シャッタ装置38からフロントグリル16までのダクト37の長さは、車両幅方向中央が車幅方向両端部よりも長く形成され、ホーン35が、車両幅方向中央に設けられる。
すなわち、ホーン35をダクト37の長さを一番長く稼ぐことのできる車両幅方向中央に設けたので、ホーン35の音にダクト37による反響効果を最大限に付加することができる。
また、ダクト37の一番長い部位に開口部を設けることで、ダクト37の剛性低下を抑制することが可能となる。さらに、ホーン35の取付けにおけるレイアウトの自由度が向上する。
【実施例2】
【0049】
図4に示されたように、第2実施例の車両用ホーンの取付構造60は、第1実施例の車両用ホーンの取付構造30(図2参照)の格子部43を第2のシャッタ装置73に置き換えたものである。
【0050】
車両用ホーンの取付構造60は、車体の前面に設けられ走行風を取り入れるグリル開口61と、このグリル開口61の車体後方に配置されるラジエータ62及びコンデンサ63を含む冷却装置64と、グリル開口61から周囲に警告音を発生するホーン65と、冷却装置64とグリル開口61との間に走行風を冷却装置64に案内するダクト(第1のダクト)67と、このダクト67の冷却装置64側に設けられ、冷却装置64の前方を開閉するシャッタ装置(第1のシャッタ装置)68と、ダクト67の上部壁(壁部)67bに開けられた開口部71と、この開口部71に設けられ、開口部71を開閉する第2のシャッタ装置73と、この開口部71に設けられ、ホーン65を臨ませる開口部側ダクト(第2のダクト)75と、からなる。
開口部側ダクト(第2のダクト)75は、ダクト(第1のダクト)67と一体的に形成される。第2のシャッタ装置73は複数のシャッタ74を備える。
【0051】
車両用ホーンの取付構造60では、一端(縮径部)75aにホーン65の前面65aが臨まされ、他端(拡径部)75bにホーン65の音を遮蔽するとともに、ダクト67の空気の流れを円滑にする第2のシャッタ装置73が設けられる。
【0052】
図5(a)に示されたように、ホーン65から警告音を発するときには、第2のシャッタ装置73は開放され、ホーン65の警告音は、遮蔽されることなく、複数の矢印a1の如くダクト67内に導かれる。図5(b)に示されたように、ホーン65から警告音の発生のない通常状態では、第2のシャッタ装置73は閉じられ、複数の矢印a2の如くグリル開口61(図4参照)からの空気を円滑に流すことができる。これにより、開口部71の近傍で起こる渦流を抑制することができる。
【0053】
すなわち、車両用ホーンの取付構造60では、開口部71を覆う第2のシャッタ装置73を設け、第2のシャッタ装置73が、ホーン65の作動時に開口部71を開放するとともに、ホーン65の非作動時には開口部71を遮断するようにした。すなわち、第2のシャッタ装置73によって、ホーン65の非作動時には開口部71を塞ぐことができるので、グリル開口(前面開口)61から第2のシャッタ装置73へと流れる空気の巻き込みを確実に防止できる。
また、ホーン65の非作動時には開口部71を塞ぐことができるので、ホーン65の非作動時にはホーン65を完全に覆う役目もなす。
【実施例3】
【0054】
図6に示されたように、第3実施例の車両用ホーンの取付構造80は、第1実施例の車両用ホーンの取付構造30(図2参照)の第2のダクトを弾性部材で形成された別体に置き換えたものである。
【0055】
車両用ホーンの取付構造80は、グリル開口81と、ラジエータ82及びコンデンサ83を含む冷却装置84と、ホーン85と、ダクト(第1のダクト)87と、シャッタ装置(第1のシャッタ装置)88と、開口部91と、この開口部91に設けられた格子部93と、開口部91に設けられ、ホーン85を臨ませる開口部側ダクト(第2のダクト)95と、からなる。
開口部側ダクト(第2のダクト)95は、ダクト(第1のダクト)87と別体で形成されるとともに、弾性部材で形成される。
【0056】
すなわち、車両用ホーンの取付構造80では、開口部91とホーン85とを連結する第2のダクト(開口部側ダクト)95を備え、第2のダクト95が弾性部材から形成されるので、ホーン85と第2のダクト95との密着性の向上を図ることができる。これにより、第2のダクト95外にホーン85の音がもれることを防止することができる。なお、第2のダクト95が弾性部材から形成されるので、仮に、ホーン85の振動面である前面85aに接触したとしても、ホーン85の振動を阻害することはない。
【実施例4】
【0057】
図7に示されたように、第4実施例の車両用ホーンの取付構造100は、第1実施例の車両用ホーンの取付構造30(図2参照)の格子部43に換え、格子部113をもうけたもので、格子部113の複数の格子118a〜118eの角度をそれぞれ変え、ホーン105の音が確実にグリル開口101に指向するようにしたものである。
【0058】
車両用ホーンの取付構造100は、グリル開口101と、ラジエータ102及びコンデンサ103を含む冷却装置104と、ホーン105と、ダクト(第1のダクト)107と、シャッタ装置(第1のシャッタ装置)108と、開口部111と、この開口部111に設けられた格子部113と、開口部111に設けられ、ホーン105を臨ませる開口部側ダクト(第2のダクト)115と、からなる。
【0059】
車両用ホーンの取付構造100は、ホーン105から発生する音をグリル開口101へ指向するように、格子部113の複数の格子118a〜118eの角度をそれぞれ変えたものである。これにより、それぞれの格子118a〜118eがホーン105から発生する音をグリル開口101へ指向する偏向板の役目をなす。従って、複数の格子118a〜118eの傾斜面119a〜119eでホーン105から発生された音を確実に車両前方に向けることができる。なお、図8に示されるように、複数の格子118a〜118eのそれぞれの傾斜角(ダクト107の内面107aとそれぞれの格子118a〜118eとの狭角)をθ1〜θ5とするときに、傾斜角θ1〜θ5は、シャッタ装置108に近い側からグリル開口部101(図7参照)に近い側に向かうに連れて、小さく設定される(θ1<θ2<θ3<θ4<θ5)。
【実施例5】
【0060】
図9に示されたように、第5実施例の車両用ホーンの取付構造120は、第1実施例の車両用ホーンの取付構造30(図2参照)と比較し、二つのホーン125,126が設けられたものである。
【0061】
すなわち、車両用ホーンの取付構造120は、車体の前面に設けられ走行風を取り入れるグリル開口121と、このグリル開口121の車体後方に配置されるラジエータ122及びコンデンサ123を含む冷却装置124と、グリル開口121から周囲に警告音を発生する第1及び第2のホーン125,126と、冷却装置124とグリル開口121との間に走行風を冷却装置124に案内するダクト127と、このダクト127の冷却装置124側に設けられ、冷却装置124の前方を開閉するシャッタ装置128と、ダクト127の壁部(上及び下壁部)127b,127cに開けられた第1及び第2の開口部131,132と、第1及び第2の開口部131,132にそれぞれ設けられた第1及び第2の格子部133,134と、第1及び第2の開口部131,132にそれぞれ設けられ、第1及び第2のホーン125,126を臨ませる上及び下の開口部側ダクト135,136と、からなる。
【0062】
ダクト127は、車両上下方向に対抗する上部壁127b及び下部壁127cを備える。第1のホーン125が、上部壁127bの外方に設けられるとともに、第2のホーン126が、下部壁127cの外方に設けられる。
上及び下の開口部側ダクト135,136は、ダクト127と一体的に形成される。
【0063】
車両用ホーンの取付構造120は、第1のホーン125に加えて第2のホーン126とを備え、ダクト127に、車両上下方向に対抗する上部壁127b及び下部壁127cを備え、第1のホーン125が、上部壁127b又は下部壁127cのいずれか一方の外方に設けられるとともに、第2のホーン126が、上部壁127b又は下部壁127cのいずれか他方の外方に設けられたものといえる。
【0064】
車両用ホーンの取付構造120では、車両の外部から聞こえるホーンの音質を高めるために、音の異なる複数のホーン125,126を取付ける。この時に、ダクト127の対向する上部壁127b及び下部壁127cのそれぞれに分散して第1及び第2のホーン125,126を配置することができる。すなわち、第1及び第2のホーン125,126の取付けスペースを確保することが容易となり、第1及び第2のホーン125,126のレイアウトの自由度を向上させることができる。また、ホーン125,126の音をクリアで高級感のある音にすることができる。
【0065】
尚、本発明に係る車両用ホーンの取付構造30は、図1に示すように、ホーン35は、車幅方向中央(車両幅方向中央)に設けられたが、左右どちらかに寄せて配置することを妨げるものではない。
【0066】
本発明に係る車両用ホーンの取付構造30は、図2に示すように、ホーン35は、バルクヘッド15の上の横フレーム21に取付けられたが、これに限るものではなく、ダクト37側に取付けるものであってもよい。
【0067】
本発明に係る車両用ホーンの取付構造30は、図2に示すように、グリル開口31は前面開口25の一例であり、グリル開口31は、スカート部開口26を含んだものであってもよい。
【0068】
本発明に係る車両用ホーンの取付構造では、車両用ホーンの取付構造30,60,80,100,120が示されたが、これらの実施例を、適宜組み合わせることを妨げない。
【0069】
本発明に係る車両用ホーンの取付構造30,60,80,100,120において、グリル開口31,61,81,101,121は同一部品であり、ラジエータ32,62,82,102,122は同一部品であり、コンデンサ33,63,83,103,123は同一部品であり、ホーン35,65,85,105,125は同一部品であり、シャッタ装置38,68,88,108,128は同一構造である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る車両用ホーンの取付構造は、冷却装置と前面開口との間に走行風を前記冷却装置に案内するダクトを設け、このダクトの冷却装置側にシャッタ装置を設ける自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0071】
11…車体、25…前面開口、30,60,80,100,120…車両用ホーンの取付構造、31…グリル開口、34…冷却装置、35…ホーン、37…ダクト(第1のダクト)、37a…内面、38…シャッタ装置(第1のシャッタ装置)、41…開口部、43…格子部、48…格子、49…傾斜面、65…ホーン、68…シャッタ装置(第1のシャッタ装置)、71…開口部、73…第2のシャッタ装置、85…ホーン、87…ダクト(第1のダクト)、91…開口部、95…第2のダクト(開口部側ダクト)、125,126…第1及び第2のホーン、127…ダクト、127b,127c…上及び下部壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前面に設けられる前面開口と、前記前面開口の車両後方に位置する冷却装置と、前記前面開口と前記冷却装置との間に設けられたシャッタ装置と、前記前面開口と前記シャッタ装置とを連結する筒状のダクトとを備え、
前記ダクトの外側にホーンを設けるとともに、前記ダクトのホーンと対向する位置に開口部を設けることを特徴とする車両用ホーンの取付構造。
【請求項2】
前記開口部に格子部を設け、
前記格子部は、車両幅方向に延び、車体前後方向に所定間隔で並べられる複数の格子から構成され、
前記格子は、前記ホーンと対向するとともに、前記ダクトの外方から内方に向かって車両前方に傾斜する傾斜面を備えることを特徴とする請求項1記載の車両用ホーンの取付構造。
【請求項3】
前記開口部に格子部を設け、
前記格子部は、前記ダクトの内面と面一に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用ホーンの取付構造。
【請求項4】
前記シャッタ装置を第1のシャッタ装置と呼ぶときに、前記開口部を覆う第2のシャッタ装置を設け、
前記第2のシャッタ装置は、前記ホーンの作動時に前記開口部を開放するとともに、前記ホーンの非作動時には前記開口部を遮断することを特徴とする請求項1記載の車両用ホーンの取付構造。
【請求項5】
前記ダクトを第1のダクトと呼ぶときに、前記開口部と前記ホーンとを連結する第2のダクトを備え、
前記第2のダクトは、弾性部材から形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用ホーンの取付構造。
【請求項6】
前記前面開口は、フロントグリルに設けられるグリル開口であり、
前記フロントグリルは、車両幅方向中央部が最も車両前方に位置するような凸形状に形成され、前記シャッタ装置から前記フロントグリルまでのダクトの長さは、車両幅方向中央が車幅方向両端部よりも長く形成され、
前記ホーンは、車両幅方向中央に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両用ホーンの取付構造。
【請求項7】
前記ホーンを第1のホーンと呼ぶときに、前記第1のホーンに加えて第2のホーンとを備え、
前記ダクトは、車両上下方向に対抗する上部壁及び下部壁を備え、
前記第1のホーンは、前記上部壁又は下部壁のいずれか一方の外方に設けられるとともに、前記第2のホーンは、前記上部壁又は下部壁のいずれか他方の外方に設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の車両用ホーンの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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