説明

車両用ランプのオートレベリングシステム

【課題】 車両の傾きを高い精度で検出し、視認性を確保した適正な照明を行うことを可能にしたオートレベリングシステムを提供する。
【解決手段】 車両の前輪又は後輪位置における車高を検出して車体のピッチ角を求める車高センサSH及び車体ピッチ角演算部11と、車体の傾きを参照ピッチ角として検出するための傾斜センサSD及び参照ピッチ角演算部12と、車体ピッチ角を参照ピッチ角で補正するピッチ角補正手段13とを備え、レベリング制御信号出力部14は補正した補正ピッチ角に基づいてレベリング機構2を制御してランプ光軸LAのレベリング制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両用ランプ、特にヘッドランプの照射方向を車体の傾きに対応して上下方向に制御するオートレベリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の乗員数の変化や積載する貨物の変化等によって車体のピッチ角、すなわち車体の前後が上下方向に傾いたときの水平方向に対する傾き角が変化すると、ヘッドランプのランプ光軸はこのピッチ角変化に伴って上下方向に変化されてしまい自車が走行する前方の路面を適正に照明できなくなる。これを回避するために車体のピッチ角の変化を検出し、検出したピッチ角変化を相殺するようにヘッドランプのランプ光軸を上下方向に制御するオートレベリングシステムが提案されている。このようなオートレベリングシステムとして、例えば特許文献1では、自動車の前輪又は後輪位置における車体の路面からの高さを検出する車高センサを設け、この車高センサで検出した車高に基づいて車体の前後方向の傾き角であるピッチ角を求め、得られたピッチ角に基づいてヘッドランプのランプ光軸をレベリング制御している。
【0003】
この特許文献1の技術では、前輪又は後輪のいずれか一方における車高を検出するだけで車体のピッチ角が得られるので、従前のように前輪と後輪の両方における車高を検出してピッチ角を求める技術に比較して車高センサの数やこれにつながる配線数を低減でき、構成の簡略化を図るとともに配置スペースやコストの点で有利なものになる。
【0004】
また、特許文献2のように、車体に加速度センサ等からなる傾斜センサを設け、この傾斜センサにより車体の傾斜角、すなわちピッチ角を検出し、このピッチ角に基づいてヘッドランプのランプ光軸をレベリング制御するようにした技術も提案されている。この特許文献2の技術においては、傾斜センサは車高センサに比べて小型かつ低コストに構成できるので、自動車に配設する際の配置スペースを低減する上で極めて有利なものになる。
【特許文献1】特開平10−226271号公報
【特許文献2】特開2002−337600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、検出した車高を予め一義的に設定した関係式に適用して車体のピッチ角を演算する構成となっているので、車両の様々な走行態様に必ずしも適合しない場合があり、検出するピッチ角に誤差が生じることがある。例えば、図6(a)のように、自動車CARの後輪RWにおける車高hrを車高センサで検出してピッチ角を得るようにした構成のときに、乗員や荷物が自動車CARの後部に集中して車体の後部の車高hrが低くなった場合と、図6(b)のように乗員や荷物が自動車CARの前後に均等に加えられて車体の前部と後部の車高hrが同時に低くなった場合とを区別することが難しい。すなわち、前者の場合には車体の前部が上方を向くように傾斜して適正なピッチ角が得られるとしても、後者の場合には車体全体の車高が均等に低くなって車体が殆ど傾斜しないのにもかかわらず前者と同じピッチ角が演算されてしまうことになる。そのため、後者の場合にも前者と同様にランプ光軸を下方に偏向するレベリング制御が行われてしまい、自車の前方領域を照明した際の視認性が低下するという問題が生じてしまう。
【0006】
特許文献2の技術は車体の傾斜に伴って生じる傾斜センサ、すなわち加速度センサでの重力加速度の変化から車体のピッチ角を得ている。この傾斜センサにより検出されるピッチ角は車高から演算されるピッチ角に比較して高い精度が得られると考えられるが、現在提供されている傾斜センサでは未だピッチ角を広い角度範囲にわたって高い精度で検出することは難しく、傾斜センサで検出したピッチ角のみで適正なレベリング制御を実現することは難しいのが現状である。
【0007】
本発明の目的は、車体が傾斜した場合と車体の全体の車高が変化した場合とを認識して適正なピッチ角を得ることができ、これにより視認性を確保した適正な照明を行うことを可能にしたオートレベリングシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用ランプのオートレベリングシステムは、車両の前輪又は後輪位置における車高を検出する車高センサの検出出力に基づいて車体のピッチ角を求め、得られた車体ピッチ角に基づいてランプ光軸を上下方向にレベリング制御する車両において、車両の傾きを参照ピッチ角として検出するための傾斜センサと、車体ピッチ角を参照ピッチ角で補正するピッチ角補正手段とを備え、補正した補正ピッチ角に基づいてランプ光軸のレベリング制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車高センサから得られる車体ピッチ角に誤差が生じていても、傾斜センサから得られる参照ピッチ角を利用して車体ピッチ角を補正することで誤差を解消ないし低減し、精度の高い車体ピッチ角を得ることができる。これにより、視認性を確保した適正な照明を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において、ピッチ角補正手段は、ピッチ角の補正に際し、車高センサから得られる車体ピッチ角と、傾斜センサから得られる参照ピッチ角との差が所定値以上のときに車体ピッチ角を変更する補正を行うことが好ましい。差が所定値よりも小さいときには車体ピッチ角の精度が高いと推測されるので補正を行う必要はなく、車体ピッチ角と参照ピッチ角との差が大きいときにのみ補正を行うことで車体ピッチ角の精度を高めることが可能になる。
【0011】
また、本発明において、補正を行うときの補正係数を車高センサで検出した車高に基づいて相違させることが好ましい。車高の違いによって検出する車体ピッチ角の誤差に差が生じるので、補正係数を車高に応じて変更することで各車高における車体ピッチ各の精度を高めることが可能になる。
【実施例1】
【0012】
次に、本発明の実施例1を説明する。図1は本発明を適用した自動車CARの全体構成図である。自動車CARの車体CBには車輪FWと後輪RWがサスペンション機構等により支持されており、乗員や荷物の積載状態が変化したときに車体の前後方向の傾き状態が変化され、車体のピッチ角が変化される。前記車体CBの前部の左右にはそれぞれヘッドランプHLが配設されている。ここではヘッドランプHLはランプボディ21と前面透明カバー22とでランプハウジング20が構成され、このランプハウジング20内にプロジェクタ型ランプ23が内装されている。このプロジェクタ型ランプ23は前後方向に傾倒可能なブラケット24に支持されており、レベリング機構2によって傾倒角度が制御できるように構成されている。すなわち、レベリング機構2は前記ランプボディ21の一部に固定され、レベリング制御信号が入力されたときに駆動ロッド2aを前後方向に進退移動する電磁ソレノイド構造あるいは電気モータ構造をしたアクチュエータとして構成されている。これにより、レベリング機構2は入力されるレベリング制御信号によってブラケット24の傾倒角度を変化させ、これに支持されたプロジェクタ型ランプ23を一体的に前後方向に傾倒させ、そのランプの光軸LAを上下方向に偏向制御して、いわゆるレベリング制御を行うようになっている。
【0013】
前記レベリング機構2には前記レベリング制御信号を生成して出力するレベリング制御装置1が接続されている。このレベリング制御装置1には1つの車高センサSHと1つの傾斜センサSDがそれぞれ接続されている。車高センサSHは前記後輪RWの車軸をサスペンション支持している車体CBの一部に固定されており、乗員や荷物の積載状態が変化して車体CBが前後方向に傾斜したときに生じる後輪位置での車高、通常では無積載状態の高さ位置から低下した車高を検出する。傾斜センサはここでは特定方向の加速度を検出する加速度センサで構成されており、この特定方向を鉛直方向に設定して重力加速度を検出するように構成する。車体CBが傾斜したときにこれに伴って加速度センサの特定方向が鉛直方向に対して傾斜されることになり、検出する重力加速度が変化される。
【0014】
前記レベリング制御装置1は、図2にブロック構成を示すように、前記車高センサSHで検出した後輪位置での車高hxから車体CBの傾斜角、すなわちピッチ角Phを演算する車体ピッチ角演算部11と、前記傾斜センサSDで検出した重力加速度から車体CBの傾斜角を参照ピッチ角Paとして求める参照ピッチ角演算部12と、検出した車体ピッチ角Phを参照ピッチ角Paで補正して補正ピッチ角Phhを求める補正ピッチ角演算部13と、この補正処理された補正ピッチ角Phhに基づいて前記ヘッドランプHLのランプ光軸LAの上下方向の偏向角を演算し、前記レベリング制御信号を前記レベリング機構2に出力するレベリング制御信号出力部14とを備えている。
【0015】
このオートレベリングシステムにおけるレベリング制御動作の概略を図3のフローチャートを参照して説明する。自動車の乗員数の変化や積載荷物の変化等によって車体が傾斜すると後輪における車高が変化し、車高センサSHは車高hxを検出する(S11)。車体ピッチ角演算部11は、検出した車高hxに基づいて後述する手法で車体ピッチ角Phを演算する(S12)。一方、これと同時に車体の傾斜に対応して傾斜センサSDが加速度変化を検出すると(S13)、この検出値に基づいて参照ピッチ角演算部12は車体の傾斜角を参照ピッチ角Paとして演算する(S14)。そして、補正ピッチ角演算部13は、後述するように車体ピッチ角演算部11で検出された車体ピッチ角Phを参照ピッチ角演算部12で検出した参照ピッチ角Paを用いて補正処理を行う(S15)。次いで、レベリング制御信号出力部14は、現在レベリング機構2に出力している現在のレベリング制御信号からヘッドランプHLのランプ光軸LAの上下方向の角度を認識し、この認識したランプ光軸LAの角度と補正された補正ピッチ角Phhとに基づいて当該ランプ光軸LAが路面に対して所定の角度になるような新たなレベリング制御信号を生成してレベリング機構2に出力する(S16)。これにより、レベリング機構2はレベリング制御信号に基づいて動作され、ブラケット24を傾動してプロジェタク型ランプ23のランプ光軸LAを上下方向に偏向するレベリング制御を実行する(S17)。
【0016】
前記レベリング制御装置1の車体ピッチ角演算部11での演算動作について説明する。車体ピッチ角演算部11では、予め実測等に基づいて車高に対する車体ピッチ角の関係式を定義しており、検出した車高をこの関係式に適応して車体ピッチ角を求めている。図4はこの関係式を示す図であり、横軸は後輪位置での車高hxであるが、ここでは無積載時から低下した車高であり、縦軸は車体ピッチ角Phである。この関係式は、自動車における乗員や荷物の積載状態としてケース1からケース6を設定し、これら各ケース1〜6の車高に対する車体ピッチ角を図上にプロットし、その上でこれらの点に近似する直線の関係式として設定したものである。ここでは、それぞれ直線特性を有する2本の第1制御線CL1と第2制御線CL2とを組み合わせた関係式として設定している。したがって、車高センサで検出した車高をこれら第1制御線CL1又は第2制御線CL2に適用することで車体ピッチ角を得ることができる。
【0017】
ここで、ケース1は運転者が1人乗車した場合、ケース2は前席に2人が乗車した場合、ケース3は運転者と後席に2人又は3人乗車した場合、ケース4は定員が乗車した場合、ケース5は定員が乗車して後部トランクに荷物を積載した場合、ケース6はケース5のトランクに荷物を規定一杯に積載した場合である。このように、第1制御線CL1はケース1,2に近似する制御線となり、第2制御線CL2はケース3,6に近似する制御線となり、第1制御線CL1の傾きαは第2制御線CL2の傾きβよりも小さくなっており、両者は折点において接続された特性となる。しかし、ケース2,3においては各制御線に対して若干の誤差d2,d3が生じており、ケース4,5においてはそれよりも大きな誤差d4,d5が生じている。ケース6では誤差は無視できる。そのため、これらケース2,3,4,5においては、検出した車高hxを第1制御線CL1、第2制御線CL2に適用したときには車体ピッチ角Phは高めに検出されることになり、したがってこの車体ピッチ角Phをそのまま用いたレベリング制御ではヘッドランプHLのランプ光軸LAは適正方向よりも下方に下げ過ぎる制御が行われてしまうことになる。
【0018】
補正ピッチ角演算部13は、これらケース2,3,4,5における車体ピッチ角Phの誤差d2〜d5を参照ピッチ角Paを参照して補正することで、誤差を低減ないし解消した補正ピッチ角を得ている。補正ピッチ角演算部13では、図4に示した関係式について、同図に示すように、ケース2,3,4,5をそれぞれほぼ含む4つの領域A2,A3,A4,A5の各領域に分割する。これはケース2,3,4,5において第1制御線CL1、第2制御線CL2に対する誤差の値がそれぞれ相違しており、それぞれの誤差量がケース2からケース5になるのに従って徐々に大きくなっていることに基づいている。各分割した領域A2,A3,A4はそれぞれ領域の境界となる境界値としての車高h1とh2,h2とh3,h3とh4で挟まれる領域とし、領域A5は境界値h4以上の領域として設定している。因みに、ここでは境界値h1は車高「0」にしており、境界値h2は第1制御線CL1と第2制御線CL2の折点とし、境界値h3,h4はケース3と4、及びケース4と5の各中間値である。
【0019】
図5は補正ピッチ角演算部での補正処理ステップS15での動作を説明するフローチャートである。補正ピッチ角演算部13は車体ピッチ角演算部11で検出した車体ピッチ角Phと参照ピッチ角演算部12で検出した参照ピッチ角Paとのピッチ角差を演算し、このピッチ角差を誤差しきい値Pthと比較する(S20)。この誤差しきい値Pthは前記ケース2〜5における誤差d2〜d5のうち、最小の誤差d2よりも小さい値である。そして、ピッチ角差が誤差しきい値Pthよりも小さいときには係数KをK=1に設定する(S21)。すなわち、車高センサSHから得られる車体ピッチ角Phと傾斜センサSDから得られる参照ピッチ角Paの差が少ないときには両者の検出精度が高いものと推測されるので、係数Kを「1」に設定する。この係数「1」は後述するようにステップS30において車体ピッチ角Phをそのまま補正ピッチ角Phhとし、レベリング制御の基にするものである。ここでは、第1制御線CL1と第2制御線CL2はケース1,ケース2に基づいて設定しているので、ケース1,ケース2の場合には車体ピッチ角Phと参照ピッチ角Paの差は零に近い値となり、係数Kは「1」になる。
【0020】
一方、ピッチ角差が誤差しきい値Pthよりも大きいときには、車体ピッチ角Phが実際のピッチ角に近いと推測される傾斜センサSDによる参照ピッチ角Paに対して無視できない誤差が存在していると考えられる。そこで、車体ピッチ角演算部11で検出した車体ピッチ角Phが領域A2〜A5のいずれの領域に属するかを判定する。ただ、本発明においては後輪の車高hxが0以上のときには補正処理を行わないので、先ず車高hxが0よりも小さいか否かを判定する(S22)。車高hxが0以上のときにはステップS20の場合と同様に係数KをK=1とする(S21)。車高hxが0よりも小さいときには、先ず、車高hxが境界値h2よりも大きくて車体ピッチ角Phが領域A2に入るか否かを判定し(S23)、この領域A2に含まれる場合には係数KをA=K2とする(S24)。そうでない場合には車高hxが境界値h3よりも大きくて車体ピッチ角Phが領域A3に入るか否かを判定し(S25)、領域A3に含まれる場合には係数KをK=K3とする(S26)。そうでない場合には、車高hxが境界値h4よりも大きくて車体ピッチ角Phが領域A4に入るか否かを判定し(S27)、領域A4に含まれる場合には係数KをK=K4とする(S28)。車高hxが境界値h4よりも小さくて車体ピッチ角Phが領域A4に含まれない場合には領域A5であるとし、係数KをK=K5とする(S29)。
【0021】
ここで、前記係数K2は、図4を参照すると、ケース2において得られるピッチ角P2と、このケース2の車高のときに第1制御線CL1で与えられるピッチ角P2’との比、すなわち、P2/P2’の値、あるいはこれに近い値に設定される。同様に、図示は省略するが、係数K3,K4,K5はそれぞれケース3,4,5における各ピッチ角P3,P4,P5と、その車高のときに第2制御線CL2で与えられるピッチ角P3’,P4’,P5’との比の値、あるいはこれに近い値である。因に、係数K3はK3=P3/P3’,係数K4はK4=P4/P4’,係数K5はK5=P5/P5’に設定される。図4ノ特性の場合には、各係数K2,K3,K4,K5は「1」よりも小さい値になる。
【0022】
しかる上で、図5に示したように、補正ピッチ角演算部13では、検出された車体ピッチ角PhにステップS22,S24,S26,S28,S29で得られた係数Kを乗算して補正ピッチ角Phhを演算する(S30)。例えば、ステップS22で得られた係数A=1のときには係数「1」であるので、車体ピッチ角Phはそのまま補正ピッチ角Phhとなる。すなわち、実質的な補正は行わない。ステップS24で得られた係数K=K2のときには、車体ピッチ角Phに係数K2を乗算した値が補正ピッチ角Phhとなる。係数K3,K4,K5の場合も同様である。これにより、各領域A2〜A5に分類された車高は、第1制御線CL1又は第2制御線CL2から得られるピッチ角に対してケース2〜5と第1,2制御線との間に生じる誤差d2〜d5に相当する分の補正が行われ、ケース2〜5のピッチ角により近い値の補正ピッチ角Phhに補正される。実施例1では、係数K2〜5はいずれも「1」よりも小さい値であるので、補正ピッチ角Phhは車体ピッチ角Phよりも小さい値となり、図4のケース2〜5に整合する車体ピッチ角となる。
【0023】
このように補正により得られた補正ピッチ角Phhはレベリング制御信号出力部14に入力され、ここで補正ピッチ角Phhに基づくヘッドランプHLのランプ光軸LAのレベリング制御が行われる。このレベリング制御についての詳細な説明は省略するが、特に領域A2〜A5において、車高hxに基づいて第1制御線CL1及び第2制御線CL2から得られた車体ピッチ角Phに誤差が生じていても、実測から得られたケース2〜5のピッチ角と当該ケース2〜5の車高に基づいて第1,2制御線CL1,CL2から得られたピッチ角との比を用いて補正した補正ピッチ角は実際の車体ピッチ角に近い値に補正されるので、ランプ光軸LAのレベリング制御を高めることができる。これにより、車高センサSHで検出した車高に基づいて演算する車体ピッチ角Phに潜在している誤差を低減ないし解消し、実際の車体CBの傾斜に対応した適切なレベリング制御が実現でき、視認性の高い照明が実現できる。
【0024】
ここで、車高hxに基づいて車体ピッチ角Phを得るための関係式は実施例1、すなわち図4に示した関係式の場合に限られるものではない。また、自動車の車種の違いによって関係式の制御線の特性が相違するとともに、当該関係式から得られるピッチ角と、実測した複数の異なるケース(積載状態)でのピッチ角との間に生じる誤差が相違する場合があるので、実施例1の領域A2〜5の分割形態、例えば分割するための車高値や分割数、ならびに各領域における車体ピッチ角に乗算する係数K2〜5についても車種毎に適正な値に設定することが好ましいことは言うまでもない。
【0025】
実施例1では後輪位置に配置した車高センサに基づいて車体ピッチ角を検出しているが前輪位置に車高センサを配置してもよい。また、傾斜センサとして加速度センサを用いているが、他の原理に基づいて傾斜を検出するセンサを用いてもよい。特に、加速度センサは小型に構成できるので、実施例1のレベリング制御装置に内装することも可能であり、傾斜センサとレベリング制御装置との配線を不要にし、システムの小型化、簡易化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1のシステムの全体構成を示す概略図である。
【図2】レベリング制御装置のブロック構成図である。
【図3】実施例1のシステムの主要動作を説明するフローチャートである。
【図4】車体ピッチ角を検出する手法を説明する関係式を示す図である。
【図5】補正ピッチ角を演算する動作を説明するフローチャートである。
【図6】特許文献1における問題点を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0027】
1 レベリング制御装置
2 レベリング機構
11 車体ピッチ角演算部
12 参照ピッチ角演算部
13 補正ピッチ角演算部
14 レベリング制御信号出力部
CAR 自動車
CB 車体
SH 車高センサ
SD 傾斜センサ
hx 車高
Ph 車体ピッチ角
Pa 参照ピッチ角
Phh 補正ピッチ角



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前輪又は後輪位置における車高を検出する車高センサの検出出力に基づいて車体のピッチ角を求め、得られた車体ピッチ角に基づいてランプ光軸を上下方向にレベリング制御する車両において、前記車両の傾きを参照ピッチ角として検出するための傾斜センサと、前記車体ピッチ角を前記参照ピッチ角で補正するピッチ角補正手段とを備え、補正した補正ピッチ角に基づいて前記ランプ光軸のレベリング制御を行うことを特徴とする車両用ランプのオートレベリングシステム。
【請求項2】
前記ピッチ角補正手段は、前記車高センサから得られる車体ピッチ角と、前記傾斜センサから得られる参照ピッチ角との差が所定値以上のときに車体ピッチ角を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプのオートレベリングシステム。
【請求項3】
前記補正を行うときの補正係数を車高センサで検出した車高に基づいて相違させることを特徴とする請求項2に記載の車両用ランプのオートレベリングシステム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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