説明

車両用ランプ装置

【課題】LED基板に取付けられるハーネス類の絡み防止を図る。
【解決手段】LED発光素子の搭載されたLED基板15の一方の面側にLED発光素子を形成する発光部11を設けるとともに、当該発光部11への電力供給を担うハーネス5を上記LED基板15のもう一方の面側である裏面側から上記LED発光素子を形成する発光部11の設けられた表面側へと配設する。上記LED基板15の裏面側に円筒状の係合部155を設けるとともに、上記ハーネス5の一部であって上記LED基板15の裏面側に配設される部分のところに円環状の保持部55を設ける。この円環状の保持部55を上記LED基板15の裏面側に設けられた円筒状の係合部155のところに係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLED素子を有する車両用ランプ装置に関するものであり、特に、上記複数のLED素子への電力供給に用いられるハーネスの、その取付構造(組付構造)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用ランプ装置、特に複数のLEDを用いた車両用ランプ装置は、例えば特開2008−71512号公報記載のものの如く、複数のLEDを搭載したLED基板を基礎に、当該LED基板を保持するハウジング、更には上記LEDへ電力を供給するためのハーネス等から成り立っているものである。そして、上記LED基板の裏面側には上記ハーネス類が束ねられた状態で収納されるようになっているものである。
【特許文献1】特開2008−71512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来のものにおいては、本車両用ランプ装置の組立に当って、まず、基板とハーネス類との一体化されたものにおいて、ハーネス類を基板の裏面側に丸めた状態で一体化しておき、このようなハーネス類と基板との一体化された状態のものを所定のハウジング内へ収納して固定するようにしているものである。このような一体化作業において、上記ハーネス付き基板のハウジング内への収納作業は目くら作業にて行なわれるものであるため、その作業性が悪いだけではなく、ハーネス類をハウジング内に設けられた凸起部等に引掛けてしまい、ハーネス類の一部を傷めてしまう等の問題点がある。また、ハーネス類が不当に絡んでしまったりするおそれがある。このような問題点を解決するために、上記ハーネス類を所定の方法にて上記基板の表面側であって作業者の目の届くような所(位置)に予め固定しておくようにし、本ハーネス類付き基板のハウジング内への収納作業の効率化、延いては本車両用ランプ装置の組立作業の効率化を図るようにした車両用ランプ装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明である第一の発明においては、複数のLED発光素子の搭載されたLED基板を基礎に形成される車両用ランプ装置に関して、上記LED基板の一方の面側に上記LED発光素子を形成する発光部を設けるとともに、当該発光部への電力供給を担うハーネスを上記LED基板のもう一方の面側である裏面側に配設し、更に、上記LED基板の裏面側に係合部を設けるとともに、上記ハーネスの上記LED基板の裏面側に配設される部分のところに保持部を設け、この保持部を上記LED基板の裏面側に設けられた係合部のところに係合させるようにした構成を採ることとした。
【0005】
次に、請求項2記載の発明である第二の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記第一の発明と同じである。すなわち、本発明においては、複数のLED発光素子の搭載されたLED基板を基礎に形成される車両用ランプ装置に関して、上記LED基板の一方の面側に上記LED発光素子を形成する発光部を設けるとともに、当該発光部への電力供給を担うハーネスを上記LED基板のもう一方の面側である裏面側から上記LED発光素子の設けられた表面側へと配設し、更に、上記LED基板の裏面側に係合部を設けるとともに、上記ハーネスの一部であって上記LED基板の裏面側に配設される部分のところに保持部を設け、この保持部を上記LED基板の裏面側に設けられた係合部のところに係合させるようにした構成を採ることとした。
【0006】
次に、請求項3記載の発明である第三の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記第一の発明または第二の発明と同じである。すなわち、本発においては、請求項1または請求項2記載の車両用ランプ装置に関して、上記LED基板を収納するハウジング内に、その底面部側から柱状の凸起部を設け、この凸起部のところに、上記LED基板に設けられた係合部を係合させるようにした構成を採ることとした。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明である第一の発明について説明する。本発明によれば、上記構成を採ることにより、LED基板の裏面側には所定の形態からなる係合部が設けられるようになっており、この係合部のところに上記ハーネスに形成された保持部を係合させるようにしたので、目くら作業にて行なわれる組立作業(組付作業)を、円滑に、かつ、効率良く進めることができるようになる。更には、上記係合部のところにハーネスに設けられた保持部を係合させることによって、組付作業時にハーネスの一部が絡み付いてしまったりするような不都合の生ずるのを未然に防止することができるようになる。また、ハーネスに不当な引張力が加わったとしても、その引張力は、ハーネスに設けられた保持部を介して当該保持部の係合する係合部に入力され、ここで受け止められることとなる。その結果、ハーネスの連結されるLED発光素子等には不当な力が入力されず、LED発光素子は損傷等を受けるようなことがない。
【0008】
また、請求項2記載の発明である第二の発明のものにおいては、上記構成を採ることにより、ハーネス類の一部をLED基板の表面側に設けることができるようになり、基板裏面側の空間部を薄く形成させることができるようになる。その結果、ハウジング全体を薄い形状に形成させることができるようになり、車両用ランプ装置を狭い空間部内に設置することができるようになる。
【0009】
また、第三の発明のものにおいては、上記第一の発明または第二の発明のものに加えて、更に、ハウジング内へのLED基板等の組付作業(組込作業)が円滑に行なわれるようになる。すなわち、LED発光素子等の搭載されたLED基板のハウジング内への組付作業(組込作業)に当っては、上記ハウジング底面部側から突出するように設けられた凸起部のところに、当該凸起部をガイドとして、上記LED基板に設けられた係合部を係合させるようにすることによって、両者の結合作業、すなわち、組付作業が行なわれることとなる。このように、LED基板のハウジング内への組込作業(組付作業)が円滑に、かつ、効率良く進められることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図3を基に説明する。本実施の形態にかかるものは、図1に示す如く、発光体を形成するLED素子(LED発光素子)を複数個、その表面側に有する基板アセンブリ(以下基板ASS’Yと言う)1と、当該基板ASS’Y1を収納するハウジング2と、当該ハウジング2の開口部に設けられるものであって透明体からなるレンズ3と、からなことを基本とする車両用ランプ装置に関するものである。
【0011】
このような構成からなるものにおいて、本車両用ランプ装置の主要部を成す基板ASS’Y1周りの具体的構成について説明する。このものは、例えば図1に示す如く、円盤状の形態からなるものであって所定のプラスチック材にて形成されるLED基板15を基礎に形成されるようになっているものである。そして、このようなLED基板15には複数のLED発光素子等が搭載されるようになっているものである。具体的には、LED発光素子を形成する、その発光部11が複数個設けられるようになっている。そして、このようなLED発光素子の発光部11への電力供給を担うハーネス5が上記LED基板15のもう一方の面側である裏面側から上記LED発光素子の発光部11の設けられた表面側へと配設されるようになっているものである(図3参照)。なお、このハーネス5は、場合によっては上記LED基板15の裏面側のみに配設されるようになることもある。
【0012】
このような構成からなるものにおいて、上記LED基板15の裏面側には、例えば図2に示す如く、円筒状の凸起部からなる係合部155が設けられるようになっている。また、一方、上記ハーネス5の一部には、例えば図2に示す如く、円環状の保持部55が設けられるようになっている。そして、この円環状の保持部55は、上記LED基板15の裏面側に設けられた円筒状の係合部155のところに嵌め込まれ、ここに係合されるようになっているものである。これによって、ハーネス5のところに不当な引張り力等が加わったとしても、その引張り力はこの保持部55のところで受け止められ、LED発光素子の発光部11等のところには不当な力が伝播されないようになる。これによってLED発光素子等の保護が図られることとなる。また、このようなLED基板15の裏側に設けられた
円筒状の係合部155は、例えば図3に示す如く、上記ハウジング2内に設けられた凸起部25のところに嵌め込まれるようになっている。これによってLED基板15のハウジング2内への固定がなされるようになっているものである。
【0013】
すなわち、上記凸起部25は、上記基板ASS’Y1のハウジング2内への組込作業時におけるガイドの役目を担うようになっているものである。これによって、組込作業時におけるハーネス5の絡み防止等を図るようにしているものである。そして更に、このようにしてハウジング2内への基板ASS’Y1の組込作業が完了した後には、上記凸起部25に設けられた内径部255へのビス7によるネジ止め作業が行なわれるようになっている。これによって、上記基板ASS’Y1のハウジング2内における固定が行なわれることとなる。なお、このようにして組付けられた上記基板ASS’Y1の上面側には、透明体からなるカバー6が設けられるようになっている。これによって、上記基板ASS’Y1上に搭載されるLED発光素子等の保護が図られることとなる。また、このような構成からなるハウジング2の開口部21のところには、透明体からなるレンズ3が取付けられるようになっている(図1,図3参照)。このようなレンズ3の装着によって、上記発光部11から発せられる光は所定の範囲内にて均等な状態で拡散されることとなる。
【0014】
このような構成を採ることにより、本実施の形態のものにおいては、ハーネス5の一部がLED基板15の表面側に設けられることとなり、基板裏面側の空間部を薄く、または少なく形成させることができるようになる。すなわち、図3におけるLの値を小さく形成させることができるようになり、ハウジング2全体を底の浅い形状に形成させることができるようになる。その結果、車両用ランプ装置を狭い空間部内に設置することができるようになる。また、LED基板15の裏面側には円筒状の係合部155が設けられるようになっており、この円筒状の係合部のところにハーネス5に形成された円環状の保持部55を係合させるようにしたので、目くら作業にて行なわれる組立作業(組付作業)が、円滑に、かつ、効率良く行なわれることとなる。
【0015】
また、上記円筒状の係合部155のところにハーネス5に設けられた円環状の保持部55を係合させることによって、組付作業時にハーネス5の一部が絡み付いてしまったりするような不都合の生ずるのを、未然に防止することができるようになる。また、ハーネス5に不当な引張力が加わったとしても、その引張力は、ハーネス5に設けられた保持部55を介して当該保持部55の係合する円筒状の係合部155に入力され、ここで受け止められることとなる。その結果、ハーネス5の連結されるLED素子等には不当な力が入力されず、LED発光素子を形成する発光部11は損傷等を受けるようなことがない。
【0016】
また、本実施の形態のものにおいては、上記ハウジング2内へのLED基板15等の組付作業(組込作業)に当って、上記ハウジング2の底面部側から突出するように設けられた円柱状の凸起部25を上記LED基板15に設けられた係合部155の内径部内へ嵌め込ませるようにすることによって、両者の結合作業、すなわち、組付作業が円滑に行なわれることとなる。このように、LED基板15のハウジング2内への組込作業(組付作業)が効率良く、かつ、確実に進められることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の全体構成を示す展開斜視図である。
【図2】本発明の主要部を成す基板へのハーネスの固定方法を示すものであって図1におけるA矢視図である。
【図3】本発明の全体構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 基板アセンブリ(基板ASS’Y)
11 発光部
15 LED基板
155 係合部
2 ハウジング
21 開口部
25 凸起部
255 内径部
3 レンズ
5 ハーネス
55 保持部
6 カバー
7 ビス





【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED発光素子の搭載されたLED基板を基礎に形成される車両用ランプ装置において、上記LED基板の一方の面側に上記LED発光素子を形成する発光部を設けるとともに、当該発光部への電力供給を担うハーネスを上記LED基板のもう一方の面側である裏面側に配設し、更に、上記LED基板の裏面側に係合部を設けるとともに、上記ハーネスの上記LED基板の裏面側に配設される部分のところに保持部を設け、この保持部を上記LED基板の裏面側に設けられた係合部のところに係合させるようにした構成からなることを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項2】
複数のLED発光素子の搭載されたLED基板を基礎に形成される車両用ランプ装置において、上記LED基板の一方の面側に上記LED発光素子を形成する発光部を設けるとともに、当該発光部への電力供給を担うハーネスを上記LED基板のもう一方の面側である裏面側から上記LED発光素子の設けられた表面側へと配設し、更に、上記LED基板の裏面側に係合部を設けるとともに、上記ハーネスの一部であって上記LED基板の裏面側に配設される部分のところに保持部を設け、この保持部を上記LED基板の裏面側に設けられた係合部のところに係合させるようにした構成からなることを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の車両用ランプ装置において、上記LED基板を収納するハウジング内に、その底面部側から柱状の凸起部を設け、この凸起部のところに、上記LED基板に設けられた係合部を係合させるようにした構成からなることを特徴とする車両用ランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−73620(P2010−73620A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242355(P2008−242355)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000105925)サカエ理研工業株式会社 (110)
【Fターム(参考)】