車両用乾燥装置
【課題】濡れ物を効率良く乾燥させることができる車両用乾燥装置を提供する。
【解決手段】車両用乾燥装置1は、濡れた傘20を乾燥させるために使用されるものであり、傘入れ2と、乾燥手段とを備えている。乾燥手段は、ファンケース31と、二つの送風ファン32、33とを備えている。送風ファン32、33はファンケース31内に配置されており、エンジンルーム12内で発生した熱気Bと外気Cとを取り込んで得られた混合エアAを乾燥風として傘入れ2内に送るように構成されている。
【解決手段】車両用乾燥装置1は、濡れた傘20を乾燥させるために使用されるものであり、傘入れ2と、乾燥手段とを備えている。乾燥手段は、ファンケース31と、二つの送風ファン32、33とを備えている。送風ファン32、33はファンケース31内に配置されており、エンジンルーム12内で発生した熱気Bと外気Cとを取り込んで得られた混合エアAを乾燥風として傘入れ2内に送るように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、例えば、濡れた傘を乾燥させるために使用される車両用乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、傘を車室内に入れておくために、例えば特許文献1に記載されているような傘入れが提案されている。この傘入れは、インストルメントパネル1に設けられているエア吹出口のルーバ2にホルダ4が取り付けられている。このホルダ4には、傘ケース5が着脱自在に装着されている。これにより、傘入れは、ドアの開閉や乗降の邪魔されずに最適な状態で設置することが可能になっている。
【特許文献1】特許第3726195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の傘入れは、濡れた傘を収容した場合に、傘から垂れる水滴で車室内が濡れてしまう。そこで、エア吹出口から吹き出される空調風を利用して傘を乾燥させることが考えられるが、空調風が冷風の場合には、傘を乾燥させることが難しかった。
【0004】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、濡れ物を効率良く乾燥させることができる車両用乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本件発明の請求項1に記載の車両用乾燥装置は、車室内に配置されたケース状の物入れと、この物入れ内に収容された濡れ物を乾かす乾燥手段とを備えている車両用乾燥装置であって、前記乾燥手段は、ダクトを用いて少なくともエンジンルーム及び前記物入れに接続されたファンケースと、このファンケース内に配置され、少なくとも前記エンジンルーム内で発生した熱気を取り込んで、これを乾燥風として前記物入れ内に送って前記濡れ物を乾かす送風ファンと、を備えていることを特徴としている。
【0006】
かかる構成において、請求項1に記載の車両用乾燥装置は、空調風に関係なく濡れ物を確実に乾燥させることが可能になる。
【0007】
また、請求項2に記載の車両用乾燥装置は、請求項1に記載の車両用乾燥装置において、前記乾燥手段は、前記ファンケースが、さらにダクトを介して車外に連通され、前記送風ファンが、前記熱気と外気とを取り込んで、これらを前記乾燥風として前記物入れ内に送るものであって、さらに、前記ファンケースと前記物入れとを接続する前記ダクト内の前記乾燥風の温度を検出する温度センサと、この温度センサによって得られた前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度であるか否かを判断する乾燥適温判断手段と、この乾燥適温判断手段により前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度でないと判断した場合には、前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度になるように前記熱気と前記外気の送風量の割合を調整する送風温度調整手段と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
かかる構成において、請求項2に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。
【0009】
また、請求項3に記載の車両用乾燥装置は、請求項2に記載の車両用乾燥装置において、前記乾燥手段は、さらに、前記物入れ内の温度及び湿度を検出する温度湿度センサと、この温度湿度センサによって得られた前記物入れ内の温度及び湿度に基づいて前記濡れ物の乾燥状態を判断する乾燥判断手段と、この乾燥判断手段により前記濡れ物が乾燥していると判断した場合には、前記送風ファンの駆動を停止して前記濡れ物の乾燥処理を終了させるファン駆動停止手段と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
かかる構成において、請求項3に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物の乾燥処理に要する時間を最小限に抑えることが可能になる。
【0011】
また、請求項4に記載の車両用乾燥装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用乾燥装置において、前記物入れは、車室内に向けて形成された開口部を有し、この開口部を介して内部に前記濡れ物を収容する物入れ本体と、この物入れ本体の内部に前記濡れ物が収容された状態で前記開口部を密閉するための蓋とを備え、前記乾燥手段は、前記蓋が前記物入れ本体の前記開口部を密閉した状態で前記濡れ物を乾かすように構成されていることを特徴としている。
【0012】
かかる構成において、請求項4に記載の車両用乾燥装置は、物入れが密閉されていない車両用乾燥装置に比べて乾燥風が車室内に漏れないので、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。
【0013】
また、請求項5に記載の車両用乾燥装置は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用乾燥装置において、前記物入れは、少なくとも、当該物入れ内に送られた前記乾燥風によって前記濡れ物から吹き飛ばされた水滴を車外に排出するための排出口を備えていることを特徴としている。
【0014】
かかる構成において請求項5に記載の車両用乾燥装置は、物入れに排出口が備えられていない車両用乾燥装置に比べて物入れ内の湿度の低下が速くなるので、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本件発明の請求項1に記載の車両用乾燥装置は、少なくともエンジンルーム内で発生した熱気を利用して濡れ物を乾かすようにした。これにより、請求項1に記載の車両用乾燥装置は、空調風に関係なく濡れ物を確実に乾燥させることが可能になる。よって、請求項1に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物を効率良く乾燥させることができる。
【0016】
また、本件発明の請求項2に記載の車両用乾燥装置は、乾燥風の温度が濡れ物の乾燥に適した温度になるように熱気と外気の送風量の割合を調整するようにした。これにより、請求項2に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。よって、請求項2に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物をさらに効率よく乾燥させることができる。
【0017】
また、本件発明の請求項3に記載の車両用乾燥装置は、物入れ内の温度及び湿度から濡れ物が乾燥していると判断した場合には、ファンの駆動を停止するようにした。これにより、請求項3に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物の乾燥処理に要する時間を最小限に抑えることが可能になる。よって、請求項3に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物の乾燥処理効率を高めることができる。
【0018】
また、本件発明の請求項4に記載の車両用乾燥装置は、物入れを密閉した状態で濡れ物を乾かすようにした。これにより、請求項4に記載の車両用乾燥装置は、物入れが密閉されていない車両用乾燥装置に比べて乾燥風が車室内に漏れないので、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。よって、請求項4に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物をさらに効率良く乾燥させることができる。
【0019】
また、本件発明の請求項5に記載の車両用乾燥装置は、物入れが排出口を備えたものとした。これにより、請求項5に記載の車両用乾燥装置は、物入れに排出口が備えられていない車両用乾燥装置に比べて物入れ内の湿度の低下が速くなるので、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。よって、請求項5に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物をさらに効率良く乾燥させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0021】
図1は、本件発明の一実施の形態を示す車両前部10の模式図である。この車両前部10には、本件発明の車両用乾燥装置1が設けられている。この車両用乾燥装置1は、濡れた傘20を乾燥させるために使用されるものであり、傘入れ2と、乾燥手段とを備えている。
【0022】
まず、傘入れ2について説明する。この傘入れ2は、インストルメントパネル11の下部に設けられている。図2は、傘入れ2の模式断面図である。傘入れ2はケース状に形成されており、傘入れ本体21と、蓋22とを備えている。
【0023】
傘入れ本体21は円筒状に形成されている。この傘入れ本体21は、傘収容部23と、エア充填部24とを備えている。
【0024】
傘収容部23は、傘入れ本体21の中央部分に設けられている。この傘収容部23は、傘20の手持ち部20a(図1参照)以外の部分を収容するように形成されている。
【0025】
傘収容部23の上面には、開口部231が設けられている。この開口部231は、車室内I(図1参照)へ向けて形成されている。傘収容部23の周壁には、複数の送風穴232が設けられている。
【0026】
傘収容部23の下端部233は、下方に突出している。下端部233の先端には、排出口234が設けられている。この排出口234には、排出用ダクト84の一端が接続されている(図1参照)。排出用ダクト84の他端は車外Oへ抜けるように構成されている。
【0027】
エア充填部24は、混合エアAが満たされる部分である。混合エアAとは、エンジンルーム12(図1参照)から発生する熱気Bと、車外Oの外気Cとが混合された空気である。また、エア充填部24は、傘入れ本体21において傘収容部23の外周部分を構成している。エア充填部24の上部の周壁には、混合エアAの流入口241が設けられている。この流入口241には送風用ダクト83の一端が接続されている。
【0028】
一方、蓋22は、C字状に形成されている。この蓋22は、傘入れ本体21の上面に、水平にスライド移動可能に設けられている。蓋22の中央部分には傘20の挿通口221が設けられている。この挿通口221は、使用時に傘入れ本体21の開口部231と重なるように形成されている。そして、蓋22は、濡れた傘20を挿通口221に通して傘入れ本体21の内部に収容した状態で、傘入れ本体21の開口部231を密閉するように構成されている。
【0029】
また、蓋22がC字状に形成されていることにより、蓋22の一方側の部分には挟み込み口222が設けられている。挟み込み口222は、傘20の手持ち部20a(図1参照)が入るように形成されている。そして、蓋22の両端部223、223が、挟み込み口222に入った傘20の手持ち部20aを挟持するように構成されている。
【0030】
次に、乾燥手段について説明する。乾燥手段は、図1に示すように、ファン装置3と、操作部4と、送風用ダクト用温度センサ5と、傘入れ用温度湿度センサ6と、制御装置7とを備えている。
【0031】
ファン装置3は、図3に示すように、ファンケース31と、外気用送風ファン32と、熱気用送風ファン33とを備えている。
【0032】
まず、ファンケース31について説明する。ファンケース31内には、送風路311が形成されている。この送風路311の入口側の部分は二つに分かれており、外気用送風路311aと、熱気用送風路311bとから構成されている。外気用送風路311aは、外気吸い込み用ダクト81を介して車外O(図1参照)に連通されている。熱気用送風路311bは、熱気吸い込み用ダクト82を介してエンジンルーム12(図1参照)に接続されている。また、送風路311の出口側の部分311cは、送風用ダクト83を介して傘入れ2のエア充填部24の流入口241(図2参照)に接続されている。
【0033】
次に、二つの送風ファン32、33について説明する。外気用送風ファン32は、外気用送風路311a内に配置されており、さらに制御装置7に接続されている。外気用送風ファン32は、車外Oの外気Cを取り込んで送風路311の出口側の部分311cに送るように構成されている。
【0034】
一方、熱気用送風ファン33は、熱気用送風路311b内に配置されており、さらに制御装置7に接続されている。この外気用送風ファン32は、エンジンルーム12内で発生した熱気Bを取り込んで送風路311の出口側の部分311cに送るように構成されている。
【0035】
この二つの送風ファン32、33によって、送風路311の出口側の部分311cには、熱気Bと外気Cとによって混合エアAが生成される。二つの送風ファン32、33は、この混合エアAを乾燥風として、送風用ダクト83を用いて、傘入れ2のエア充填部24内に送るように構成されている。
【0036】
図1に示すように、操作部4は、インストルメントパネル11においてハンドル13の下側に設けられている。この操作部4には、乾燥開始スィッチ41(図4参照)が設けられている。
【0037】
送風用ダクト用温度センサ5は、送風用ダクト83内に設けられている。この送風用ダクト用温度センサ5は、送風用ダクト83内を通る乾燥風(混合エアA)の温度を検出するものである。
【0038】
傘入れ用温度湿度センサ6は、図2にも示すように、傘入れ2のエア充填部24内に設けられている。この傘入れ用温度湿度センサ6は、エア充填部24内の温度及び湿度を検出するものである。
【0039】
制御装置7は、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の動作を制御するものである。図4は、制御装置7のブロック図である。なお、本件発明にかかる制御手段等は、この制御装置7に備えられている。この制御装置7は、乾燥ON/OFFブロック71を中心にして構成されている。
【0040】
乾燥ON/OFFブロック71は、エンジンの回転状態、イグニッションスィッチの状態、乾燥開始スィッチ41の状態、傘入れ2内の温度及び湿度等に基づいて、車両用乾燥装置1のON/OFF処理を行うものである。
【0041】
乾燥ON/OFFブロック71の入力側には、エンジン状態取得ブロック72の出力側と、イグニッションスィッチ状態取得ブロック73の出力側と、乾燥開始スィッチ状態取得ブロック74の出力側と、乾燥状態判断ブロック75の出力側とが接続されている。
【0042】
エンジン状態取得ブロック72の入力側には、車両ネットワーク通信システム14を介してエンジン制御ユニット15が接続されている。エンジン状態取得ブロック72は、エンジン制御ユニット15から入力されるエンジン回転数に基づいて、エンジンの状態信号(回転中または停止中)を乾燥ON/OFFブロック71に出力するように構成されている。
【0043】
イグニッションスィッチ状態取得ブロック73の入力側には、イグニッションスィッチ16が接続されている。イグニッションスィッチ状態取得ブロック73は、イグニッションスィッチ16から入力されるON/OFF信号に基づいて、イグニッションスィッチ16の状態信号(ONまたはOFF)を乾燥ON/OFFブロック71に出力するように構成されている。
【0044】
乾燥開始スィッチ状態取得ブロック74の入力側には、操作部4の乾燥開始スィッチ41が接続されている。乾燥開始スィッチ状態取得ブロック74は、乾燥開始スィッチ41から入力されるON/OFF信号に基づいて、乾燥開始スィッチ41の状態信号(ONまたはOFF)を乾燥ON/OFFブロック71に出力するように構成されている。
【0045】
乾燥状態判断ブロック75の入力側には、傘入れ用温度湿度センサ6が接続されている。乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から入力される検出値に基づいて、傘入れ2内の乾燥状態の信号(乾燥完了または乾燥未完了)を乾燥ON/OFFブロック71に出力するように構成されている。
【0046】
一方、乾燥ON/OFFブロック71の出力側は、送風ファン制御ブロック76の入力側に接続されている。送風ファン制御ブロック76の出力側には、送風ファン32が接続されている。送風ファン制御ブロック76は、乾燥ON/OFFブロック71から入力される制御信号に基づいて、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の動作を制御するように構成されている。
【0047】
さらに、送風ファン制御ブロック76の入力側には、混合エア適温判断ブロック77の出力側が接続されている。混合エア適温判断ブロック77の入力側には、混合エア温度取得ブロック78の出力側が接続されている。さらに、混合エア温度取得ブロック78の入力側には、送風用ダクト用温度センサ5が接続されている。
【0048】
混合エア温度取得ブロック78は、送風用ダクト用温度センサ5から入力される検出値に基づいて、送風用ダクト83内の混合エアAの温度信号を混合エア適温判断ブロック77に出力するように構成されている。
【0049】
混合エア適温判断ブロック77は、混合エアAの温度が傘20の乾燥に適した温度であるか否かを判断して、その判断結果の信号を送風ファン制御ブロック76に出力するように構成されている。送風ファン制御ブロック76は、その判断結果の信号に基づいて、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の動作を制御するように構成されている。
【0050】
以上のように構成されている車両用乾燥装置1において、濡れた傘20の乾燥処理を説明する。まず、乗員は、傘入れ2の蓋22を開けて、傘20の手持ち部20a以外の部分を傘収容部23内に入れる。次に、乗員は、蓋22をスライドさせて、両端部223、223で傘20の手持ち部20aを挟み込みながら蓋22を閉める。
【0051】
次に、制御装置7による制御処理を図5のフローチャートを中心にして説明する。この制御処理は、乗員がイグニッションスィッチ16をONにすると、それを乾燥ON/OFFブロック71が判断することにより開始される。
【0052】
乾燥ON/OFFブロック71は、エンジン状態取得ブロック72からエンジンが回転中か停止中かを判断する(ステップSA)。乾燥ON/OFFブロック71は、エンジンが回転中であると判断した場合には(ステップSAの判断結果がYES)、乾燥開始スィッチ状態取得ブロック74から乾燥開始スィッチ41がONかOFFかを判断する(ステップSB)。
【0053】
乾燥ON/OFFブロック71は、乾燥開始スィッチ41がONであると判断した場合には(ステップSBの判断結果がYES)、傘20の乾燥処理(ステップSC)と、傘20の乾燥状態判断処理(ステップSD)とを行って制御処理を終了する。なお、制御処理の途中でエンジンが停止したり、乾燥開始スィッチ41がOFFにされた場合にも制御処理が終了する。以下に、乾燥処理と乾燥状態判断処理について詳しく説明する。
【0054】
図6は、乾燥処理を示すフローチャートである。乾燥ON/OFFブロック71は、乾燥開始スィッチ41がONであると判断した場合には(図5のステップSBの判断結果がYES)、送風ファン制御ブロック76に駆動開始の制御信号を出力する。これにより、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33は駆動を開始する。送風ファン32、33は、図3に示すように、外気吸い込み用ダクト81と熱気吸い込み用ダクト82とを介して、ファンケース31内に熱気Bと外気Cとを取り込んで混合エアAを生成する。そして、送風ファン32、33は、この混合エアAを乾燥風として、送風用ダクト83を介して傘入れ2のエア充填部24内に送る(ステップSC1)。
【0055】
エア充填部24内に送られた混合エアAは、複数の送風穴232から傘収容部23内に入ることによって傘20の乾燥処理が開始される。具体的には、傘20に付着している水滴が混合エアAによって蒸発したり吹き飛ばされる。図1に示すように、吹き飛ばされた水滴は、混合エアAと共に、傘収容部23の排出口234から排出用ダクト84を通って車外に排出される。
【0056】
このようにして傘20の乾燥処理が開始されると、混合エア温度取得ブロック78は、送風用ダクト用温度センサ5から送風用ダクト83内の混合エアAの温度を取得して、その温度信号を混合エア適温判断ブロック77に出力する(ステップSC2)。
【0057】
混合エア適温判断ブロック77は、混合エアAの温度が傘20の乾燥に適した温度であるか否かを判断する(ステップSC3)。この傘20の乾燥の適温範囲は、傘20の乾燥実験等から取得されたデータに基づいて決められる。
【0058】
混合エア適温判断ブロック77は、混合エアAの温度が傘20の乾燥に適した温度であると判断した場合には(ステップSC3の判断結果がYES)、送風ファン制御ブロック76にその判断結果の信号を出力する。送風ファン制御ブロック76は、この判断結果に基づいて送風ファン32、33の動作状態をそのまま維持する。
【0059】
一方、混合エア適温判断ブロック77は、混合エアAの温度が傘20の乾燥に適していない温度であると判断した場合には(ステップSC3の判断結果がNO)、その判断結果の信号を送風ファン制御ブロック76に出力する。送風ファン制御ブロック76は、この判断結果の信号に基づき、熱気Bと外気Cの送風量の割合を調整する制御信号を送風ファン32、33に出力する。送風ファン32、33は、この制御信号により動作が制御される。その結果、混合エアAの温度が、傘20の乾燥に適した温度に補正される(ステップSC4)。
【0060】
ここで、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の動作の制御方法を説明する。図7は、平均的な気候の地域における送風ファン32、33の回転数と混合エアAの温度との関係を示す説明図である。混合エアAの温度を上昇させたい場合には、熱気Bの送風量を外気Cの送風量よりも多く設定する。すなわち、熱気用送風ファン33の回転数を高く設定して、外気用送風ファン32の回転数を低く設定する。また、混合エアAの温度を下降させたい場合には、外気Cの送風量を熱気Bの送風量よりも多く設定する。すなわち、熱気用送風ファン33の回転数を低く設定して、外気用送風ファン32の回転数を高く設定する。
【0061】
図8は、暑い地域における送風ファン32、33の回転数と混合エアAの温度との関係を示す説明図である。暑い地域では、そうでない地域に比べて外気Cの温度が高いので、熱気Bの送風量の割合を少なくする。すなわち、熱気用送風ファン33の回転数を図7の場合よりも低く設定する。また、混合エアAの温度を下降させたい場合には、外気Cの送風量の割合を多くする。すなわち、外気用送風ファン32の回転数を図7の場合と同様に高く設定する。
【0062】
図9は、寒い地域における送風ファン32、33の回転数と混合エアAの温度との関係を示す説明図である。寒い地域では、そうでない地域に比べて外気Cの温度が低いので、外気Cの送風量の割合を少なくする。すなわち、外気用送風ファン32の回転数を図7の場合よりも低く設定する。また、混合エアAの温度を上昇させたい場合には、熱気Bの送風量の割合を多くする。すなわち、熱気用送風ファン33の回転数を図7の場合と同様に高く設定する。
【0063】
このようにして混合エアAの温度が傘20の乾燥に適した温度に補正されると、制御装置7はこの状態を維持したままで乾燥状態判断処理を行う。図10は、乾燥状態判断処理を示すフローチャートである。乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から傘入れ2内の温度及び湿度を取得する(ステップSD1)。次に、乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から取得した温度及び湿度が共に乾燥完了範囲内にあるか否かを判断する(ステップSD2)。
【0064】
ここで、乾燥完了範囲の考え方について図11を用いて説明する。傘20が濡れていると、水滴(水分)によって傘入れ2内の湿度が高くなる。また、水滴により傘入れ2内の温度も低下する。傘20が乾燥してくると水滴がなくなるので、傘入れ2内の湿度が低くなる。また、水滴がなくなることにより傘入れ2内の温度が混合エアAの適温(傘20の乾燥に適した温度)よりも高い状態となる。したがって、傘20の乾燥完了の判断は、傘入れ2内の湿度が閾値Haよりも低く、且つ、傘入れ内の温度が閾値Taよりも高くなる場合となる。ここで、湿度の閾値Haは、傘20が完全に乾いた状態のときの湿度である。また、温度の閾値Taは、混合エアAの適温と同じ温度である。
【0065】
このような考え方に基づいて、乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から取得した温度及び湿度が共に乾燥完了範囲外であると判断した場合には(ステップSD2の判断結果がNO)、ステップSD2の判断結果がYESになるまで、傘20の乾燥処理を継続する。
【0066】
一方、乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から取得した温度及び湿度が共に乾燥完了範囲内であると判断した場合には(ステップSD2の判断結果がYES)、乾燥ON/OFFブロック71に乾燥完了の制御信号を出力する。乾燥ON/OFFブロック71は、この制御信号に基づいて送風ファン制御ブロック76を介して送風ファン32に駆動停止信号を出力する。これにより送風ファン32は駆動を停止し、傘20の乾燥処理が終了する(ステップSD3)。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態の車両用乾燥装置1は、エンジンルーム内で発生した熱気Bと外気Cとを利用して傘20を乾かすようにした。これにより、車両用乾燥装置1は、空調風を利用した従来の車両用乾燥装置に比べて、空調風が冷風になっていても関係なく傘20を確実に乾燥させることが可能になる。よって、この車両用乾燥装置1は、傘20を効率良く乾燥させることができる。
【0068】
なお、本実施の形態の車両用乾燥装置1では、熱気Bと外気Cの両方を利用して傘20を乾かすようにしたが、少なくとも熱気Bを利用して傘20を乾かすようにしても良い。この場合の車両用乾燥装置であっても、傘20を効率良く乾燥させることができる。
【0069】
また、車両用乾燥装置1は、混合エアA(乾燥風)の温度が傘20の乾燥に適した温度になるように熱気Bと外気Cの送風量の割合を調整するようにした。これにより、車両用乾燥装置1は、傘20を早く乾燥させることが可能になるので、傘20をさらに効率よく乾燥させることができる。
【0070】
さらに、車両用乾燥装置1は、傘入れ2内の温度及び湿度から傘20が乾燥していると判断した場合には、送風ファン32の駆動を停止するようにした。したがって、車両用乾燥装置1は、傘20の乾燥処理に要する時間を最小限に抑えることが可能になるので、傘20の乾燥処理効率を高めることができる。
【0071】
また、車両用乾燥装置1は、傘入れ2を密閉した状態で傘20を乾かすようにした。これにより、車両用乾燥装置1は、傘入れ2が密閉されていない車両用乾燥装置に比べて、乾燥風が車室内Iに漏れないので、傘20を早く乾燥させることが可能になる。よって、車両用乾燥装置1は、傘20をさらに効率良く乾燥させることができる。
【0072】
また、車両用乾燥装置1は、物入れ2が排出口を備えていることから、物入れに排出口が備えられていない車両用乾燥装置に比べて物入れ内の湿度の低下が速くなるので、傘20を早く乾燥させることが可能になる。よって、車両用乾燥装置1は、傘20をさらに効率良く乾燥させることができる。
【0073】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0074】
例えば、本実施の形態では、傘入れ2をインストルメントパネル11の下部に設けたが、傘入れ2の設置場所はインストルメントパネル11の下部に限定する必要はなく、車室内Iであれば良い。また、傘入れ2の下端部233内に開閉弁を設けて、送風ファン32の駆動時に開閉弁を開けるように制御しても良い。そして、傘入れ2を使用していない時に開閉弁を閉状態にしておくことにより、車外Oからゴミや誇り等が入るのを防ぐことができる。また本実施の形態では、傘20を乾燥させる車両用乾燥装置1について説明したが、乾燥させる物は傘20に限定する必要はなく、靴等、他の物に本件発明を適用した場合でも、本実施の形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、本実施の形態では、二つの送風ファン32、33を用いて、その回転数の割合を変えることにより、熱気Bと外気Cの送風量の割合を調整していたが、熱気Bと外気Cの送風量の割合の調整方法は、本実施の形態に限定することはない、例えば、一つのファンを用いる場合には、双方の送風路311a、311bの入口側に開閉可能なドアをそれぞれ設け、各ドアを駆動させて双方の送風路311a、311bの開口量を調整することにより熱気Bと外気Cの送風量の割合(取り込み量の割合)を調整しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように本件発明の車両用乾燥装置は、濡れ物を効率良く乾燥させることができる。したがって、本件発明の車両用乾燥装置を、車室内で傘等の物を乾かす乾燥装置の技術分野で十分に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本件発明の一実施の形態を示す車両前部の模式図である。
【図2】同実施の形態を示す傘入れの模式平面図と模式縦断面図である。
【図3】同実施の形態のファン装置の模式図である。
【図4】同実施の形態の制御装置のブロック図である。
【図5】同実施の形態の制御装置による制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図5の乾燥処理を示すフローチャートである。
【図7】平均的な気候の地域における外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の回転数と混合エアの温度との関係を示す説明図である。
【図8】暑い地域における外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の回転数と混合エアの温度との関係を示す説明図である。
【図9】寒い地域における外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の回転数と混合エアの温度との関係を示す説明図である。
【図10】図5の乾燥状態判断処理を示すフローチャートである。
【図11】同実施の形態を示す乾燥完了範囲の考え方を示す説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1 車両用乾燥装置
2 傘入れ
5 送風ダクト用温度センサ
6 傘入れ用温度湿度センサ6
7 制御装置
12 エンジンルーム
20 傘
21 傘入れ本体
22 蓋
31 ファンケース
32 外気用送風ファン
33 熱気用送風ファン
81 外気吸い込み用ダクト
82 熱気吸い込み用ダクト
83 送風用ダクト
231 開口部
234 開口部(排出口)
A 混合エア
B 熱気
C 外気
I 車室内
O 車外
【技術分野】
【0001】
本件発明は、例えば、濡れた傘を乾燥させるために使用される車両用乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、傘を車室内に入れておくために、例えば特許文献1に記載されているような傘入れが提案されている。この傘入れは、インストルメントパネル1に設けられているエア吹出口のルーバ2にホルダ4が取り付けられている。このホルダ4には、傘ケース5が着脱自在に装着されている。これにより、傘入れは、ドアの開閉や乗降の邪魔されずに最適な状態で設置することが可能になっている。
【特許文献1】特許第3726195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の傘入れは、濡れた傘を収容した場合に、傘から垂れる水滴で車室内が濡れてしまう。そこで、エア吹出口から吹き出される空調風を利用して傘を乾燥させることが考えられるが、空調風が冷風の場合には、傘を乾燥させることが難しかった。
【0004】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、濡れ物を効率良く乾燥させることができる車両用乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本件発明の請求項1に記載の車両用乾燥装置は、車室内に配置されたケース状の物入れと、この物入れ内に収容された濡れ物を乾かす乾燥手段とを備えている車両用乾燥装置であって、前記乾燥手段は、ダクトを用いて少なくともエンジンルーム及び前記物入れに接続されたファンケースと、このファンケース内に配置され、少なくとも前記エンジンルーム内で発生した熱気を取り込んで、これを乾燥風として前記物入れ内に送って前記濡れ物を乾かす送風ファンと、を備えていることを特徴としている。
【0006】
かかる構成において、請求項1に記載の車両用乾燥装置は、空調風に関係なく濡れ物を確実に乾燥させることが可能になる。
【0007】
また、請求項2に記載の車両用乾燥装置は、請求項1に記載の車両用乾燥装置において、前記乾燥手段は、前記ファンケースが、さらにダクトを介して車外に連通され、前記送風ファンが、前記熱気と外気とを取り込んで、これらを前記乾燥風として前記物入れ内に送るものであって、さらに、前記ファンケースと前記物入れとを接続する前記ダクト内の前記乾燥風の温度を検出する温度センサと、この温度センサによって得られた前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度であるか否かを判断する乾燥適温判断手段と、この乾燥適温判断手段により前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度でないと判断した場合には、前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度になるように前記熱気と前記外気の送風量の割合を調整する送風温度調整手段と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
かかる構成において、請求項2に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。
【0009】
また、請求項3に記載の車両用乾燥装置は、請求項2に記載の車両用乾燥装置において、前記乾燥手段は、さらに、前記物入れ内の温度及び湿度を検出する温度湿度センサと、この温度湿度センサによって得られた前記物入れ内の温度及び湿度に基づいて前記濡れ物の乾燥状態を判断する乾燥判断手段と、この乾燥判断手段により前記濡れ物が乾燥していると判断した場合には、前記送風ファンの駆動を停止して前記濡れ物の乾燥処理を終了させるファン駆動停止手段と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
かかる構成において、請求項3に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物の乾燥処理に要する時間を最小限に抑えることが可能になる。
【0011】
また、請求項4に記載の車両用乾燥装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用乾燥装置において、前記物入れは、車室内に向けて形成された開口部を有し、この開口部を介して内部に前記濡れ物を収容する物入れ本体と、この物入れ本体の内部に前記濡れ物が収容された状態で前記開口部を密閉するための蓋とを備え、前記乾燥手段は、前記蓋が前記物入れ本体の前記開口部を密閉した状態で前記濡れ物を乾かすように構成されていることを特徴としている。
【0012】
かかる構成において、請求項4に記載の車両用乾燥装置は、物入れが密閉されていない車両用乾燥装置に比べて乾燥風が車室内に漏れないので、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。
【0013】
また、請求項5に記載の車両用乾燥装置は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用乾燥装置において、前記物入れは、少なくとも、当該物入れ内に送られた前記乾燥風によって前記濡れ物から吹き飛ばされた水滴を車外に排出するための排出口を備えていることを特徴としている。
【0014】
かかる構成において請求項5に記載の車両用乾燥装置は、物入れに排出口が備えられていない車両用乾燥装置に比べて物入れ内の湿度の低下が速くなるので、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本件発明の請求項1に記載の車両用乾燥装置は、少なくともエンジンルーム内で発生した熱気を利用して濡れ物を乾かすようにした。これにより、請求項1に記載の車両用乾燥装置は、空調風に関係なく濡れ物を確実に乾燥させることが可能になる。よって、請求項1に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物を効率良く乾燥させることができる。
【0016】
また、本件発明の請求項2に記載の車両用乾燥装置は、乾燥風の温度が濡れ物の乾燥に適した温度になるように熱気と外気の送風量の割合を調整するようにした。これにより、請求項2に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。よって、請求項2に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物をさらに効率よく乾燥させることができる。
【0017】
また、本件発明の請求項3に記載の車両用乾燥装置は、物入れ内の温度及び湿度から濡れ物が乾燥していると判断した場合には、ファンの駆動を停止するようにした。これにより、請求項3に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物の乾燥処理に要する時間を最小限に抑えることが可能になる。よって、請求項3に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物の乾燥処理効率を高めることができる。
【0018】
また、本件発明の請求項4に記載の車両用乾燥装置は、物入れを密閉した状態で濡れ物を乾かすようにした。これにより、請求項4に記載の車両用乾燥装置は、物入れが密閉されていない車両用乾燥装置に比べて乾燥風が車室内に漏れないので、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。よって、請求項4に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物をさらに効率良く乾燥させることができる。
【0019】
また、本件発明の請求項5に記載の車両用乾燥装置は、物入れが排出口を備えたものとした。これにより、請求項5に記載の車両用乾燥装置は、物入れに排出口が備えられていない車両用乾燥装置に比べて物入れ内の湿度の低下が速くなるので、濡れ物を早く乾燥させることが可能になる。よって、請求項5に記載の車両用乾燥装置は、濡れ物をさらに効率良く乾燥させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0021】
図1は、本件発明の一実施の形態を示す車両前部10の模式図である。この車両前部10には、本件発明の車両用乾燥装置1が設けられている。この車両用乾燥装置1は、濡れた傘20を乾燥させるために使用されるものであり、傘入れ2と、乾燥手段とを備えている。
【0022】
まず、傘入れ2について説明する。この傘入れ2は、インストルメントパネル11の下部に設けられている。図2は、傘入れ2の模式断面図である。傘入れ2はケース状に形成されており、傘入れ本体21と、蓋22とを備えている。
【0023】
傘入れ本体21は円筒状に形成されている。この傘入れ本体21は、傘収容部23と、エア充填部24とを備えている。
【0024】
傘収容部23は、傘入れ本体21の中央部分に設けられている。この傘収容部23は、傘20の手持ち部20a(図1参照)以外の部分を収容するように形成されている。
【0025】
傘収容部23の上面には、開口部231が設けられている。この開口部231は、車室内I(図1参照)へ向けて形成されている。傘収容部23の周壁には、複数の送風穴232が設けられている。
【0026】
傘収容部23の下端部233は、下方に突出している。下端部233の先端には、排出口234が設けられている。この排出口234には、排出用ダクト84の一端が接続されている(図1参照)。排出用ダクト84の他端は車外Oへ抜けるように構成されている。
【0027】
エア充填部24は、混合エアAが満たされる部分である。混合エアAとは、エンジンルーム12(図1参照)から発生する熱気Bと、車外Oの外気Cとが混合された空気である。また、エア充填部24は、傘入れ本体21において傘収容部23の外周部分を構成している。エア充填部24の上部の周壁には、混合エアAの流入口241が設けられている。この流入口241には送風用ダクト83の一端が接続されている。
【0028】
一方、蓋22は、C字状に形成されている。この蓋22は、傘入れ本体21の上面に、水平にスライド移動可能に設けられている。蓋22の中央部分には傘20の挿通口221が設けられている。この挿通口221は、使用時に傘入れ本体21の開口部231と重なるように形成されている。そして、蓋22は、濡れた傘20を挿通口221に通して傘入れ本体21の内部に収容した状態で、傘入れ本体21の開口部231を密閉するように構成されている。
【0029】
また、蓋22がC字状に形成されていることにより、蓋22の一方側の部分には挟み込み口222が設けられている。挟み込み口222は、傘20の手持ち部20a(図1参照)が入るように形成されている。そして、蓋22の両端部223、223が、挟み込み口222に入った傘20の手持ち部20aを挟持するように構成されている。
【0030】
次に、乾燥手段について説明する。乾燥手段は、図1に示すように、ファン装置3と、操作部4と、送風用ダクト用温度センサ5と、傘入れ用温度湿度センサ6と、制御装置7とを備えている。
【0031】
ファン装置3は、図3に示すように、ファンケース31と、外気用送風ファン32と、熱気用送風ファン33とを備えている。
【0032】
まず、ファンケース31について説明する。ファンケース31内には、送風路311が形成されている。この送風路311の入口側の部分は二つに分かれており、外気用送風路311aと、熱気用送風路311bとから構成されている。外気用送風路311aは、外気吸い込み用ダクト81を介して車外O(図1参照)に連通されている。熱気用送風路311bは、熱気吸い込み用ダクト82を介してエンジンルーム12(図1参照)に接続されている。また、送風路311の出口側の部分311cは、送風用ダクト83を介して傘入れ2のエア充填部24の流入口241(図2参照)に接続されている。
【0033】
次に、二つの送風ファン32、33について説明する。外気用送風ファン32は、外気用送風路311a内に配置されており、さらに制御装置7に接続されている。外気用送風ファン32は、車外Oの外気Cを取り込んで送風路311の出口側の部分311cに送るように構成されている。
【0034】
一方、熱気用送風ファン33は、熱気用送風路311b内に配置されており、さらに制御装置7に接続されている。この外気用送風ファン32は、エンジンルーム12内で発生した熱気Bを取り込んで送風路311の出口側の部分311cに送るように構成されている。
【0035】
この二つの送風ファン32、33によって、送風路311の出口側の部分311cには、熱気Bと外気Cとによって混合エアAが生成される。二つの送風ファン32、33は、この混合エアAを乾燥風として、送風用ダクト83を用いて、傘入れ2のエア充填部24内に送るように構成されている。
【0036】
図1に示すように、操作部4は、インストルメントパネル11においてハンドル13の下側に設けられている。この操作部4には、乾燥開始スィッチ41(図4参照)が設けられている。
【0037】
送風用ダクト用温度センサ5は、送風用ダクト83内に設けられている。この送風用ダクト用温度センサ5は、送風用ダクト83内を通る乾燥風(混合エアA)の温度を検出するものである。
【0038】
傘入れ用温度湿度センサ6は、図2にも示すように、傘入れ2のエア充填部24内に設けられている。この傘入れ用温度湿度センサ6は、エア充填部24内の温度及び湿度を検出するものである。
【0039】
制御装置7は、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の動作を制御するものである。図4は、制御装置7のブロック図である。なお、本件発明にかかる制御手段等は、この制御装置7に備えられている。この制御装置7は、乾燥ON/OFFブロック71を中心にして構成されている。
【0040】
乾燥ON/OFFブロック71は、エンジンの回転状態、イグニッションスィッチの状態、乾燥開始スィッチ41の状態、傘入れ2内の温度及び湿度等に基づいて、車両用乾燥装置1のON/OFF処理を行うものである。
【0041】
乾燥ON/OFFブロック71の入力側には、エンジン状態取得ブロック72の出力側と、イグニッションスィッチ状態取得ブロック73の出力側と、乾燥開始スィッチ状態取得ブロック74の出力側と、乾燥状態判断ブロック75の出力側とが接続されている。
【0042】
エンジン状態取得ブロック72の入力側には、車両ネットワーク通信システム14を介してエンジン制御ユニット15が接続されている。エンジン状態取得ブロック72は、エンジン制御ユニット15から入力されるエンジン回転数に基づいて、エンジンの状態信号(回転中または停止中)を乾燥ON/OFFブロック71に出力するように構成されている。
【0043】
イグニッションスィッチ状態取得ブロック73の入力側には、イグニッションスィッチ16が接続されている。イグニッションスィッチ状態取得ブロック73は、イグニッションスィッチ16から入力されるON/OFF信号に基づいて、イグニッションスィッチ16の状態信号(ONまたはOFF)を乾燥ON/OFFブロック71に出力するように構成されている。
【0044】
乾燥開始スィッチ状態取得ブロック74の入力側には、操作部4の乾燥開始スィッチ41が接続されている。乾燥開始スィッチ状態取得ブロック74は、乾燥開始スィッチ41から入力されるON/OFF信号に基づいて、乾燥開始スィッチ41の状態信号(ONまたはOFF)を乾燥ON/OFFブロック71に出力するように構成されている。
【0045】
乾燥状態判断ブロック75の入力側には、傘入れ用温度湿度センサ6が接続されている。乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から入力される検出値に基づいて、傘入れ2内の乾燥状態の信号(乾燥完了または乾燥未完了)を乾燥ON/OFFブロック71に出力するように構成されている。
【0046】
一方、乾燥ON/OFFブロック71の出力側は、送風ファン制御ブロック76の入力側に接続されている。送風ファン制御ブロック76の出力側には、送風ファン32が接続されている。送風ファン制御ブロック76は、乾燥ON/OFFブロック71から入力される制御信号に基づいて、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の動作を制御するように構成されている。
【0047】
さらに、送風ファン制御ブロック76の入力側には、混合エア適温判断ブロック77の出力側が接続されている。混合エア適温判断ブロック77の入力側には、混合エア温度取得ブロック78の出力側が接続されている。さらに、混合エア温度取得ブロック78の入力側には、送風用ダクト用温度センサ5が接続されている。
【0048】
混合エア温度取得ブロック78は、送風用ダクト用温度センサ5から入力される検出値に基づいて、送風用ダクト83内の混合エアAの温度信号を混合エア適温判断ブロック77に出力するように構成されている。
【0049】
混合エア適温判断ブロック77は、混合エアAの温度が傘20の乾燥に適した温度であるか否かを判断して、その判断結果の信号を送風ファン制御ブロック76に出力するように構成されている。送風ファン制御ブロック76は、その判断結果の信号に基づいて、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の動作を制御するように構成されている。
【0050】
以上のように構成されている車両用乾燥装置1において、濡れた傘20の乾燥処理を説明する。まず、乗員は、傘入れ2の蓋22を開けて、傘20の手持ち部20a以外の部分を傘収容部23内に入れる。次に、乗員は、蓋22をスライドさせて、両端部223、223で傘20の手持ち部20aを挟み込みながら蓋22を閉める。
【0051】
次に、制御装置7による制御処理を図5のフローチャートを中心にして説明する。この制御処理は、乗員がイグニッションスィッチ16をONにすると、それを乾燥ON/OFFブロック71が判断することにより開始される。
【0052】
乾燥ON/OFFブロック71は、エンジン状態取得ブロック72からエンジンが回転中か停止中かを判断する(ステップSA)。乾燥ON/OFFブロック71は、エンジンが回転中であると判断した場合には(ステップSAの判断結果がYES)、乾燥開始スィッチ状態取得ブロック74から乾燥開始スィッチ41がONかOFFかを判断する(ステップSB)。
【0053】
乾燥ON/OFFブロック71は、乾燥開始スィッチ41がONであると判断した場合には(ステップSBの判断結果がYES)、傘20の乾燥処理(ステップSC)と、傘20の乾燥状態判断処理(ステップSD)とを行って制御処理を終了する。なお、制御処理の途中でエンジンが停止したり、乾燥開始スィッチ41がOFFにされた場合にも制御処理が終了する。以下に、乾燥処理と乾燥状態判断処理について詳しく説明する。
【0054】
図6は、乾燥処理を示すフローチャートである。乾燥ON/OFFブロック71は、乾燥開始スィッチ41がONであると判断した場合には(図5のステップSBの判断結果がYES)、送風ファン制御ブロック76に駆動開始の制御信号を出力する。これにより、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33は駆動を開始する。送風ファン32、33は、図3に示すように、外気吸い込み用ダクト81と熱気吸い込み用ダクト82とを介して、ファンケース31内に熱気Bと外気Cとを取り込んで混合エアAを生成する。そして、送風ファン32、33は、この混合エアAを乾燥風として、送風用ダクト83を介して傘入れ2のエア充填部24内に送る(ステップSC1)。
【0055】
エア充填部24内に送られた混合エアAは、複数の送風穴232から傘収容部23内に入ることによって傘20の乾燥処理が開始される。具体的には、傘20に付着している水滴が混合エアAによって蒸発したり吹き飛ばされる。図1に示すように、吹き飛ばされた水滴は、混合エアAと共に、傘収容部23の排出口234から排出用ダクト84を通って車外に排出される。
【0056】
このようにして傘20の乾燥処理が開始されると、混合エア温度取得ブロック78は、送風用ダクト用温度センサ5から送風用ダクト83内の混合エアAの温度を取得して、その温度信号を混合エア適温判断ブロック77に出力する(ステップSC2)。
【0057】
混合エア適温判断ブロック77は、混合エアAの温度が傘20の乾燥に適した温度であるか否かを判断する(ステップSC3)。この傘20の乾燥の適温範囲は、傘20の乾燥実験等から取得されたデータに基づいて決められる。
【0058】
混合エア適温判断ブロック77は、混合エアAの温度が傘20の乾燥に適した温度であると判断した場合には(ステップSC3の判断結果がYES)、送風ファン制御ブロック76にその判断結果の信号を出力する。送風ファン制御ブロック76は、この判断結果に基づいて送風ファン32、33の動作状態をそのまま維持する。
【0059】
一方、混合エア適温判断ブロック77は、混合エアAの温度が傘20の乾燥に適していない温度であると判断した場合には(ステップSC3の判断結果がNO)、その判断結果の信号を送風ファン制御ブロック76に出力する。送風ファン制御ブロック76は、この判断結果の信号に基づき、熱気Bと外気Cの送風量の割合を調整する制御信号を送風ファン32、33に出力する。送風ファン32、33は、この制御信号により動作が制御される。その結果、混合エアAの温度が、傘20の乾燥に適した温度に補正される(ステップSC4)。
【0060】
ここで、外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の動作の制御方法を説明する。図7は、平均的な気候の地域における送風ファン32、33の回転数と混合エアAの温度との関係を示す説明図である。混合エアAの温度を上昇させたい場合には、熱気Bの送風量を外気Cの送風量よりも多く設定する。すなわち、熱気用送風ファン33の回転数を高く設定して、外気用送風ファン32の回転数を低く設定する。また、混合エアAの温度を下降させたい場合には、外気Cの送風量を熱気Bの送風量よりも多く設定する。すなわち、熱気用送風ファン33の回転数を低く設定して、外気用送風ファン32の回転数を高く設定する。
【0061】
図8は、暑い地域における送風ファン32、33の回転数と混合エアAの温度との関係を示す説明図である。暑い地域では、そうでない地域に比べて外気Cの温度が高いので、熱気Bの送風量の割合を少なくする。すなわち、熱気用送風ファン33の回転数を図7の場合よりも低く設定する。また、混合エアAの温度を下降させたい場合には、外気Cの送風量の割合を多くする。すなわち、外気用送風ファン32の回転数を図7の場合と同様に高く設定する。
【0062】
図9は、寒い地域における送風ファン32、33の回転数と混合エアAの温度との関係を示す説明図である。寒い地域では、そうでない地域に比べて外気Cの温度が低いので、外気Cの送風量の割合を少なくする。すなわち、外気用送風ファン32の回転数を図7の場合よりも低く設定する。また、混合エアAの温度を上昇させたい場合には、熱気Bの送風量の割合を多くする。すなわち、熱気用送風ファン33の回転数を図7の場合と同様に高く設定する。
【0063】
このようにして混合エアAの温度が傘20の乾燥に適した温度に補正されると、制御装置7はこの状態を維持したままで乾燥状態判断処理を行う。図10は、乾燥状態判断処理を示すフローチャートである。乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から傘入れ2内の温度及び湿度を取得する(ステップSD1)。次に、乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から取得した温度及び湿度が共に乾燥完了範囲内にあるか否かを判断する(ステップSD2)。
【0064】
ここで、乾燥完了範囲の考え方について図11を用いて説明する。傘20が濡れていると、水滴(水分)によって傘入れ2内の湿度が高くなる。また、水滴により傘入れ2内の温度も低下する。傘20が乾燥してくると水滴がなくなるので、傘入れ2内の湿度が低くなる。また、水滴がなくなることにより傘入れ2内の温度が混合エアAの適温(傘20の乾燥に適した温度)よりも高い状態となる。したがって、傘20の乾燥完了の判断は、傘入れ2内の湿度が閾値Haよりも低く、且つ、傘入れ内の温度が閾値Taよりも高くなる場合となる。ここで、湿度の閾値Haは、傘20が完全に乾いた状態のときの湿度である。また、温度の閾値Taは、混合エアAの適温と同じ温度である。
【0065】
このような考え方に基づいて、乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から取得した温度及び湿度が共に乾燥完了範囲外であると判断した場合には(ステップSD2の判断結果がNO)、ステップSD2の判断結果がYESになるまで、傘20の乾燥処理を継続する。
【0066】
一方、乾燥状態判断ブロック75は、傘入れ用温度湿度センサ6から取得した温度及び湿度が共に乾燥完了範囲内であると判断した場合には(ステップSD2の判断結果がYES)、乾燥ON/OFFブロック71に乾燥完了の制御信号を出力する。乾燥ON/OFFブロック71は、この制御信号に基づいて送風ファン制御ブロック76を介して送風ファン32に駆動停止信号を出力する。これにより送風ファン32は駆動を停止し、傘20の乾燥処理が終了する(ステップSD3)。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態の車両用乾燥装置1は、エンジンルーム内で発生した熱気Bと外気Cとを利用して傘20を乾かすようにした。これにより、車両用乾燥装置1は、空調風を利用した従来の車両用乾燥装置に比べて、空調風が冷風になっていても関係なく傘20を確実に乾燥させることが可能になる。よって、この車両用乾燥装置1は、傘20を効率良く乾燥させることができる。
【0068】
なお、本実施の形態の車両用乾燥装置1では、熱気Bと外気Cの両方を利用して傘20を乾かすようにしたが、少なくとも熱気Bを利用して傘20を乾かすようにしても良い。この場合の車両用乾燥装置であっても、傘20を効率良く乾燥させることができる。
【0069】
また、車両用乾燥装置1は、混合エアA(乾燥風)の温度が傘20の乾燥に適した温度になるように熱気Bと外気Cの送風量の割合を調整するようにした。これにより、車両用乾燥装置1は、傘20を早く乾燥させることが可能になるので、傘20をさらに効率よく乾燥させることができる。
【0070】
さらに、車両用乾燥装置1は、傘入れ2内の温度及び湿度から傘20が乾燥していると判断した場合には、送風ファン32の駆動を停止するようにした。したがって、車両用乾燥装置1は、傘20の乾燥処理に要する時間を最小限に抑えることが可能になるので、傘20の乾燥処理効率を高めることができる。
【0071】
また、車両用乾燥装置1は、傘入れ2を密閉した状態で傘20を乾かすようにした。これにより、車両用乾燥装置1は、傘入れ2が密閉されていない車両用乾燥装置に比べて、乾燥風が車室内Iに漏れないので、傘20を早く乾燥させることが可能になる。よって、車両用乾燥装置1は、傘20をさらに効率良く乾燥させることができる。
【0072】
また、車両用乾燥装置1は、物入れ2が排出口を備えていることから、物入れに排出口が備えられていない車両用乾燥装置に比べて物入れ内の湿度の低下が速くなるので、傘20を早く乾燥させることが可能になる。よって、車両用乾燥装置1は、傘20をさらに効率良く乾燥させることができる。
【0073】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0074】
例えば、本実施の形態では、傘入れ2をインストルメントパネル11の下部に設けたが、傘入れ2の設置場所はインストルメントパネル11の下部に限定する必要はなく、車室内Iであれば良い。また、傘入れ2の下端部233内に開閉弁を設けて、送風ファン32の駆動時に開閉弁を開けるように制御しても良い。そして、傘入れ2を使用していない時に開閉弁を閉状態にしておくことにより、車外Oからゴミや誇り等が入るのを防ぐことができる。また本実施の形態では、傘20を乾燥させる車両用乾燥装置1について説明したが、乾燥させる物は傘20に限定する必要はなく、靴等、他の物に本件発明を適用した場合でも、本実施の形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、本実施の形態では、二つの送風ファン32、33を用いて、その回転数の割合を変えることにより、熱気Bと外気Cの送風量の割合を調整していたが、熱気Bと外気Cの送風量の割合の調整方法は、本実施の形態に限定することはない、例えば、一つのファンを用いる場合には、双方の送風路311a、311bの入口側に開閉可能なドアをそれぞれ設け、各ドアを駆動させて双方の送風路311a、311bの開口量を調整することにより熱気Bと外気Cの送風量の割合(取り込み量の割合)を調整しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように本件発明の車両用乾燥装置は、濡れ物を効率良く乾燥させることができる。したがって、本件発明の車両用乾燥装置を、車室内で傘等の物を乾かす乾燥装置の技術分野で十分に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本件発明の一実施の形態を示す車両前部の模式図である。
【図2】同実施の形態を示す傘入れの模式平面図と模式縦断面図である。
【図3】同実施の形態のファン装置の模式図である。
【図4】同実施の形態の制御装置のブロック図である。
【図5】同実施の形態の制御装置による制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図5の乾燥処理を示すフローチャートである。
【図7】平均的な気候の地域における外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の回転数と混合エアの温度との関係を示す説明図である。
【図8】暑い地域における外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の回転数と混合エアの温度との関係を示す説明図である。
【図9】寒い地域における外気用送風ファン32および熱気用送風ファン33の回転数と混合エアの温度との関係を示す説明図である。
【図10】図5の乾燥状態判断処理を示すフローチャートである。
【図11】同実施の形態を示す乾燥完了範囲の考え方を示す説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1 車両用乾燥装置
2 傘入れ
5 送風ダクト用温度センサ
6 傘入れ用温度湿度センサ6
7 制御装置
12 エンジンルーム
20 傘
21 傘入れ本体
22 蓋
31 ファンケース
32 外気用送風ファン
33 熱気用送風ファン
81 外気吸い込み用ダクト
82 熱気吸い込み用ダクト
83 送風用ダクト
231 開口部
234 開口部(排出口)
A 混合エア
B 熱気
C 外気
I 車室内
O 車外
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配置されたケース状の物入れと、この物入れ内に収容された濡れ物を乾かす乾燥手段とを備えている車両用乾燥装置であって、
前記乾燥手段は、
ダクトを用いて少なくともエンジンルーム及び前記物入れに接続されたファンケースと、
このファンケース内に配置され、少なくとも前記エンジンルーム内で発生した熱気を取り込んで、これを乾燥風として前記物入れ内に送って前記濡れ物を乾かす送風ファンと、
を備えていることを特徴とする車両用乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥手段は、
前記ファンケースが、さらにダクトを介して車外に連通され、前記送風ファンが、前記熱気と外気とを取り込んで、これらを前記乾燥風として前記物入れ内に送るものであって、さらに、
前記ファンケースと前記物入れとを接続する前記ダクト内の前記乾燥風の温度を検出する温度センサと、
この温度センサによって得られた前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度であるか否かを判断する乾燥適温判断手段と、
この乾燥適温判断手段により前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度でないと判断した場合には、前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度になるように前記熱気と前記外気の送風量の割合を調整する送風温度調整手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用乾燥装置。
【請求項3】
前記乾燥手段は、さらに、
前記物入れ内の温度及び湿度を検出する温度湿度センサと、
この温度湿度センサによって得られた前記物入れ内の温度及び湿度に基づいて前記濡れ物の乾燥状態を判断する乾燥判断手段と、
この乾燥判断手段により前記濡れ物が乾燥していると判断した場合には、前記送風ファンの駆動を停止して前記濡れ物の乾燥処理を終了させるファン駆動停止手段と、
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両用乾燥装置。
【請求項4】
前記物入れは、
車室内に向けて形成された開口部を有し、この開口部を介して内部に前記濡れ物を収容する物入れ本体と、
この物入れ本体の内部に前記濡れ物が収容された状態で前記開口部を密閉するための蓋とを備え、
前記乾燥手段は、前記蓋が前記物入れ本体の前記開口部を密閉した状態で前記濡れ物を乾かすように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用乾燥装置。
【請求項5】
前記物入れは、少なくとも、当該物入れ内に送られた前記乾燥風によって前記濡れ物から吹き飛ばされた水滴を車外に排出するための排出口を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用乾燥装置。
【請求項1】
車室内に配置されたケース状の物入れと、この物入れ内に収容された濡れ物を乾かす乾燥手段とを備えている車両用乾燥装置であって、
前記乾燥手段は、
ダクトを用いて少なくともエンジンルーム及び前記物入れに接続されたファンケースと、
このファンケース内に配置され、少なくとも前記エンジンルーム内で発生した熱気を取り込んで、これを乾燥風として前記物入れ内に送って前記濡れ物を乾かす送風ファンと、
を備えていることを特徴とする車両用乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥手段は、
前記ファンケースが、さらにダクトを介して車外に連通され、前記送風ファンが、前記熱気と外気とを取り込んで、これらを前記乾燥風として前記物入れ内に送るものであって、さらに、
前記ファンケースと前記物入れとを接続する前記ダクト内の前記乾燥風の温度を検出する温度センサと、
この温度センサによって得られた前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度であるか否かを判断する乾燥適温判断手段と、
この乾燥適温判断手段により前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度でないと判断した場合には、前記乾燥風の温度が前記濡れ物の乾燥に適した温度になるように前記熱気と前記外気の送風量の割合を調整する送風温度調整手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用乾燥装置。
【請求項3】
前記乾燥手段は、さらに、
前記物入れ内の温度及び湿度を検出する温度湿度センサと、
この温度湿度センサによって得られた前記物入れ内の温度及び湿度に基づいて前記濡れ物の乾燥状態を判断する乾燥判断手段と、
この乾燥判断手段により前記濡れ物が乾燥していると判断した場合には、前記送風ファンの駆動を停止して前記濡れ物の乾燥処理を終了させるファン駆動停止手段と、
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両用乾燥装置。
【請求項4】
前記物入れは、
車室内に向けて形成された開口部を有し、この開口部を介して内部に前記濡れ物を収容する物入れ本体と、
この物入れ本体の内部に前記濡れ物が収容された状態で前記開口部を密閉するための蓋とを備え、
前記乾燥手段は、前記蓋が前記物入れ本体の前記開口部を密閉した状態で前記濡れ物を乾かすように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用乾燥装置。
【請求項5】
前記物入れは、少なくとも、当該物入れ内に送られた前記乾燥風によって前記濡れ物から吹き飛ばされた水滴を車外に排出するための排出口を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用乾燥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−154800(P2009−154800A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337513(P2007−337513)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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