説明

車両用充電部構造

【課題】外部電源と接続された充電プラグが接続される充電口21を、車両の外観のデザイン性や車両衝突時の車体性能を損なうことがなくかつ充電プラグのアクセス性が良好な位置に配設する。
【解決手段】充電口21を、車両の側部において、フロントドアと、該フロントドアの前側に配置されたフロントフェンダ3と、該フロントフェンダ3とルーフパネルとを繋ぐように配置されたフロントピラー4とにより囲まれた部位に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリを外部電源により充電するために、該外部電源と接続された充電プラグが接続される充電口を備えた車両用充電部構造に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
電動車両等の車両には、車両走行用モータを駆動するためのバッテリが搭載されており、このバッテリを、家庭用電源等の外部電源により充電可能にしたものがある。このように外部電源によりバッテリを充電可能な車両には、その充電のための充電口が設けられており、この充電口に、外部電源と接続された充電プラグが接続されて、その接続状態で外部電源によりバッテリが充電されることになる。
【0003】
上記充電口の配置としては、フロントフェンダの後部(例えば、特許文献1参照)や、フロントピラーの下部(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−166756号公報
【特許文献2】特開2010−023636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記充電口は、通常、蓋部材で覆われるが、充電口及び蓋部材が、特にフロントフェンダやフロントピラーに配設されている場合、内燃機関を有する車両では、そのような箇所に蓋部材が存在していないため、その蓋部材が目立ってしまい、車両の外観のデザイン性が低下する。また、充電口がフロントフェンダに配設されている場合には、車両の乗員が充電プラグを充電口に接続しようとする際に腰を屈める必要があり、充電プラグのアクセス性に問題がある。また、充電口がフロントピラーに配設されている場合には、フロントピラーに、通常、充電口を構成する部材が挿通される孔が形成されるため、フロントピラーの強度が低下し、車両衝突時の車体性能が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、充電プラグが接続される充電口を、車両の外観のデザイン性や車両衝突時の車体性能を損なうことがなくかつ充電プラグのアクセス性が良好な位置に配設しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、車両に搭載されたバッテリを外部電源により充電するために、該外部電源と接続された充電プラグが接続される充電口を備えた車両用充電部構造を対象として、上記充電口は、上記車両の側部において、フロントドアと、該フロントドアの前側に配置されたフロントフェンダと、該フロントフェンダとルーフパネルとを繋ぐように配置されたフロントピラーとにより囲まれた部位に配設されている、構成とした。
【0008】
すなわち、車両の側部においてフロントドアとフロントフェンダとフロントピラーとにより囲まれた部位には、充電口を設けない場合に例えば略三角形状の化粧板が設けられる場合があり、この化粧板の代わりに、充電口を覆う蓋部材を設けても、外観上の違和感はなく、蓋部材が目立つようなことはない。また、上記部位に対応する車体に、充電口を構成する部材が挿通される孔が形成されても、車両衝突時の車体性能への影響は殆どなく、しかも、車両衝突時に、充電口を構成する部材が破損することも殆どない。さらに、上記部位に充電口が配設されることで、車両の乗員が腰を屈めなくても略直立姿勢で充電プラグを充電口に接続することができるようになり、充電プラグのアクセス性が良好になる。
【0009】
また、内燃機関を有する車両を電動車両に改造する場合に、当該車両の側部においてフロントドアとフロントフェンダとフロントピラーとにより囲まれた部位に充電口を設けるとともに、該部位に固定されていた化粧板を蓋部材に変更すればよく、電動車両への改造が容易に行える。
【0010】
上記車両用充電部構造において、上記フロントドアの前端近傍における上記充電口と略同じ高さ位置に、ドアミラーが配設されており、上記充電口は、上記充電プラグが、平面視で車幅方向内側に向かって車両後側に傾斜して延びた状態で、該充電口に接続されるように構成されている、ことが好ましい。
【0011】
このことにより、充電プラグが充電口に接続された状態にあるときに、乗員がフロントドアを開けたとしても、そのフロントドアのドアミラーと充電プラグとの干渉を出来る限り防止することができる。
【0012】
平面視での、上記充電口に接続された充電プラグの車幅方向に対する傾斜角は、全開にされた上記フロントドアのドアミラーが、該充電口に接続された上記充電プラグに当接しないような角度に設定されている、ことが好ましい。
【0013】
このようにすることで、充電プラグが充電口に接続された状態にあるときに、フロントドアを全開にしても、ドアミラーと充電プラグとの干渉を確実に防止することができる。
【0014】
上記車両用充電部構造において、上記充電口を覆う蓋部材を更に備え、上記蓋部材は、上記フロントピラーに開閉可能に軸支されている、ことが好ましい。
【0015】
このことで、蓋部材を、充電口の上側に開くことができる。この結果、開いた蓋部材とドアミラーとの干渉を防止することができるとともに、雨天時に蓋部材を開いたとしても、その開いた蓋部材により、雨滴が充電口に付着するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の車両用充電部構造によると、充電プラグが接続される充電口を、車両の側部においてフロントドアとフロントフェンダとフロントピラーとにより囲まれた部位に配設したことにより、充電口を、車両の外観のデザイン性や車両衝突時の車体性能を損なうことがなくかつ充電プラグのアクセスが良好な位置に配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用充電部構造が適用された電動車両の要部を示す側面図であり、左側フロントドアが全閉とされかつ左側ドアミラーが格納位置にある状態を示す。
【図2】図1のII−II線に相当する断面図であり、左側フロントドアが全閉とされかつ左側ドアミラーが展開位置にある状態を示す。
【図3】充電部及びその周囲を、左側フロントドアがない状態で示す側面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】左側フロントドアが全開にされかつ左側ドアミラーが展開位置にある状態を示す図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用充電部構造が適用された電動車両1(以下、車両1ともいう)の要部を示す。図1中、2は、車両1の左側側部に設けられた左側フロントドアであり、3は、車両1の左側側部における左側フロントドア2の車両前側に配置された左側フロントフェンダであり、4は、左側フロントフェンダ3と不図示のルーフパネルとを繋ぐように配置された左側フロントピラーである。以下、車両1についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。また、図1〜図3及び図5において、車両1の前側を矢印Frで示す。
【0020】
上記車両1は、モータによって走行するように構成されている。上記モータは、車両1の前部におけるモータルーム(内燃機関を有する車両のエンジンルームに相当する)内に配設されていて、車両1の車室フロアの下側に搭載されたバッテリ(例えばリチウムバッテリ等の二次電池)により駆動される。上記モータルームの上側は、ボンネット5によって覆われている。
【0021】
上記左側フロントフェンダ3は、上記モータルームの左側側方に位置していて、車両前端部から左側フロントドア2の直前に亘って車両前後方向に延びている。また、左側フロントピラー4は、左側フロントフェンダ3の後端上部と上記ルーフパネルの左前端部とを繋ぐように、左側フロントドア2の上縁部に沿って、車両後側に向かって上側に傾斜して延びている。
【0022】
上記左側フロントドア2の前端近傍(後述の充電口21と略同じ高さ位置)には、図1及び図2に示すように、左側ドアミラー7が設けられており、この左側ドアミラー7は、鏡体の反射面7a(図2参照)が車幅方向内側を向く格納位置と、該反射面7aが後側を向く展開位置(使用位置)との間で、鉛直方向に延びる軸回りに回動する電動格納式のものである。図1は、左側フロントドア2が全閉とされかつ左側ドアミラー7が格納位置にある状態を示し、図2は、左側フロントドア2が全閉とされかつ左側ドアミラー7が展開位置にある状態を示す。尚、図2では、左側ドアミラー7の内部の詳細を省略している。
【0023】
車両1の右側側部には、車両1の左側側部と同様に、右側フロントドア、右側フロントフェンダ及び右側フロントピラーが設けられており、これらの位置関係は、左側のものと同様である。また、右側フロントドア(左側フロントドア2の左側ドアミラー7と同様の位置)には、左側ドアミラー7と同様の構成の右側ドアミラーが設けられている。
【0024】
上記車両1の左側側部において左側フロントドア2と左側フロントフェンダ3と左側フロントピラー4とにより囲まれた部位(左側ドアミラー7の前側の部位)は、車両外の外部電源により上記バッテリを充電するための充電部11とされている。上記外部電源としては、本実施形態では、100V乃至200Vの家庭用電源であるが、家庭用電源よりも高電圧の急速充電器であってもよい。
【0025】
上記充電部11の最外側には、後述の充電口21を覆う、開閉可能な略三角形状の蓋部材12が配設されている。この蓋部材12は、化粧板(ガーニッシュ)を兼ねており、上記バッテリへの充電を行うときにのみ、開けた状態にし、それ以外のときには、全閉状態にして、充電部11の見栄えを良好にするものである。尚、車両1の右側側部において右側フロントドアと右側フロントフェンダと右側フロントピラーとにより囲まれた部位(車両1の左側側部における充電部11と同様の部位)には、略三角形状の化粧板が固定されている。これにより、蓋部材12が全閉とされているときには、車両1の左右両側部で外観上の相違はない。
【0026】
蓋部材12及び左側フロントドア2の前端部の車幅方向内側には、図2〜図4に示すように、左側フロントドア2の開閉ヒンジ部を支持する左側ヒンジピラー8が配設されている。この左側ヒンジピラー8は、前後方向に延びる左側サイドシル(図示せず)の前端部から上側に延びて左側フロントピラー4の前端部に繋がる。尚、図3では、左側フロントドア2の記載を省略しているとともに、蓋部材12を開いた状態にして、左側ヒンジピラー8(後述のアウタパネル8a)が見えるようにしている。
【0027】
図4に示すように、左側フロントピラー4は、車両外側のアウタパネル4aと、車両内側のインナパネル4bと、アウタパネル4a及びインナパネル4b間に配設されたレインフォースメント4cとを有している。また、左側ヒンジピラー8も、車両外側のアウタパネル8aと、車両内側のインナパネル8bと、アウタパネル8a及びインナパネル8b間に配設されたレインフォースメント8cとを有している。左側フロントピラー4のアウタパネル4a、インナパネル4b及びレインフォースメント4cは、左側ヒンジピラー8のアウタパネル8a、インナパネル8b及びレインフォースメント8cとそれぞれ一体形成されている。
【0028】
左側ヒンジピラー8のアウタパネル8aの外側の面は、左側フロントピラー4のアウタパネル4aの外側の面及び左側フロントフェンダ3の外側の面よりも車幅方向内側に位置している。そして、蓋部材12が全閉とされかつ左側フロントドア2が全閉状態にあるとき、蓋部材12の外側の面、左側フロントドア2の外側の面、左側フロントフェンダ3の外側の面、及び、左側フロントピラー4のアウタパネル4aの外側の面が、凹凸なく滑らかに繋がるようになされている。
【0029】
蓋部材12は、左側フロントピラー4に開閉可能に軸支されている。具体的には、図4に示すように、蓋部材12に、支持アーム13の一端部が取付固定されており、この支持アーム13の他端部が、左側フロントピラー4のアウタパネル4aの内側の面に固定された支持部材14に支持軸15を介して回動可能に取り付けられている。左側ヒンジピラー8のアウタパネル8aには、上記支持アーム13が通過する貫通孔8dが形成されている。また、左側フロントピラー4のレインフォースメント4cと左側ヒンジピラー8のレインフォースメント8cとの境界部には、蓋部材12が全閉とされているときに支持アーム13との干渉を避けるための貫通孔8eが形成されている。
【0030】
蓋部材12は、不図示の付勢部材(例えば、支持軸15の周囲に設けられた捩りコイルバネ)によって、開方向に回動するように付勢されている。この付勢部材による蓋部材12の回動は、例えば、支持アーム13が貫通孔8dの上縁部に当接することで規制されて、この規制状態(つまり、蓋部材12が完全に開いた状態)では、左側フロントフェンダ3の後端上部から左側フロントピラー4の下端部に亘る部分の側方に位置して、車両1の左側から見て、後側に向かって上側に傾斜して延びた状態となっている(図3及び図4参照)。そして、蓋部材12は、全閉状態にあるときには、不図示のロック機構によって閉状態にロックされるようになされている。このロックは、車両1の運転席の側方に設けられた解除レバーを乗員が操作することで解除され、この解除により蓋部材12が開状態となる。このような蓋部材12の開閉機構は、内燃機関を有する車両の燃料補給口を覆うリッドの周知の開閉機構と同様の構成である。
【0031】
上記充電部11には、上記外部電源と電源ケーブルを介して接続された充電プラグ41(図5参照)が接続される充電口21が配設されている。すなわち、充電口21は、車両1の左側側部において左側フロントドア2と左側フロントフェンダ3と左側フロントピラー4とにより囲まれた部位に配設されていることになる。また、左側フロントドア2の前端近傍における充電口21と略同じ高さ位置に、左側ドアミラー7が配設されていることになる。
【0032】
上記充電口21は、図2及び図3に示すように、絶縁性の樹脂により形成された筒状部材22を含む。この筒状部材22の外周面には、フランジ部22aが一体形成されている。筒状部材22の内側の孔は、充電プラグ41の筒状の先端部41a(図5参照)が嵌合する嵌合孔22bとされている。この嵌合孔22bの内部には、該嵌合孔22bに充電プラグ41の先端部41aが嵌合したときに、該先端部41aの内側に設けられた円筒形の端子が入り込む樹脂製の複数(5つ)のスリーブ23a〜23eが設けられている。スリーブ23a,23bには、充電プラグ41のプラス側及びマイナス側の電源端子がそれぞれ入り込み、スリーブ23cには、接地用の端子が入り込み、スリーブ23d,23eには、信号用の端子が入り込む。スリーブ23a,23b,23cの内径(外径)は、スリーブ23d,23eの内径(外径)よりも大きい。尚、図2では、スリーブ23a〜23eの記載を省略している。
【0033】
各スリーブ23a〜23eの内部には、図示は省略するが、充電プラグ41の各端子にそれぞれ設けられた雌プラグと電気的に接続される雄プラグが設けられている。スリーブ23a,23b内の雄プラグには電力ケーブルがそれぞれ接続され、スリーブ23c内の雄プラグには接地ケーブルが接続され、スリーブ23d,23e内の雄プラグには、信号線が接続されている。上記接地ケーブルは、左側ヒンジピラー8のインナパネル8b等(接地された車体部材であればどこでもよい)に接続される。上記電力ケーブル及び信号線は、左側ヒンジピラー8のインナパネル8bに設けた貫通孔(図示せず)から車室内に入り込んで車室フロアまで降下した後、車室フロア上を前側に延びて、ダッシュパネルに設けた貫通孔を通って上記モータルーム内に入り込む。上記モータルーム内には、車載充電器及び該車載充電器を制御するコントローラが設けられており、これら車載充電器及びコントローラに、上記電力ケーブル及び信号線がそれぞれ接続される。そして、上記車載充電器が、充電プラグ41及び上記電力ケーブルを介して入力した上記外部電源からの電力を、上記バッテリの充電に適した電圧になるように昇圧して、該バッテリを充電する。
【0034】
上記筒状部材22の嵌合孔22bの車幅方向外側の開口は、開閉自在な円形の中蓋25によって開放されたり閉塞されたりするようになされている。この中蓋25は、筒状部材22の外周面に回動可能に取り付けられているとともに、不図示の付勢部材によって開方向に回動するように付勢されている。一方、筒状部材22の外周面における、中蓋25の取付部分と径方向に対向する部分には、爪部材26が回動可能に取り付けられており、この爪部材26が、中蓋25に設けられた係合突起部25aと係合して、中蓋25の閉状態が保持される。爪部材26は、不図示の付勢部材によって筒状部材22の径方向内側へ回動するように付勢されている。そして、乗員が、上記バッテリを充電するべく充電プラグ41を充電口21に接続する際(つまり、筒状部材22の嵌合孔22bに充電プラグ41の先端部41aを嵌合させる際)に、爪部材26を筒状部材22の径方向外側へ押すことで、中蓋25を開状態にすることができる。また、上記バッテリへの充電が終了して充電プラグ41を充電口21から外した後において、中蓋25を閉じるときには、その閉じられる中蓋25の係合突起部25aによって爪部材26が筒状部材22の径方向外側へ回動させられ、中蓋25が完全に閉じられたときに、爪部材26が筒状部材22の径方向内側へ回動して係合突起部25aと係合した状態になる。こうして中蓋25を閉じた後に、蓋部材12を閉じることができるようになる。
【0035】
図2に示すように、上記筒状部材22は、フランジ部22aにてブラケット31に取付固定され、このブラケット31は左側ヒンジピラー8のアウタパネル8aに取付固定されている。これにより、筒状部材22は、ブラケット31を介して左側ヒンジピラー8に取付固定されることになる。尚、左側ヒンジピラー8のアウタパネル8a及びレインフォースメント8cには、ブラケット31が嵌合する貫通孔8f,8gがそれぞれ形成されている。
【0036】
上記のように左側ヒンジピラー8に取付固定された筒状部材22の軸心Cは、平面視で、車幅方向内側に向かって後側に傾斜して延びている。この平面視での軸心Cの車幅方向に対する傾斜角をθとする。そして、充電プラグ41の先端部41aが筒状部材22の嵌合孔22bに嵌合した状態(充電プラグ41が充電口21に接続された状態)では、筒状の先端部41aの軸心が筒状部材22の軸心Cと一致して、充電プラグ41も、平面視で車幅方向内側に向かって後側に傾斜して延びることになる(図5参照)。すなわち、充電口21は、充電プラグ41が、平面視で車幅方向内側に向かって後側に傾斜して延びた状態で、該充電口21に接続されるように構成されている。
【0037】
平面視での、充電口21に接続された充電プラグ41の車幅方向に対する傾斜角は、上記軸心Cの傾斜角θと一致する。図5は、左側フロントドア2が全開にされかつ左側ドアミラー7が展開位置にある状態を示す。図5に示すように、充電プラグ41の上記傾斜角(つまり上記軸心Cの傾斜角θ)は、全開にされた左側フロントドア2の左側ドアミラー7が、格納位置に限らず、展開位置にあっても、充電口21に接続された充電プラグ41に当接しないような角度に設定されている。但し、これに限られるものではなく、例えば、左側ドアミラー7が格納位置にあるときにのみ、左側フロントドア2が全開にされても、左側ドアミラー7が充電プラグ41に当接しないように、上記傾斜角θを設定してもよい。或いは、左側フロントドア2が所定開度(例えば乗員が乗降可能な最小角度)だけ開いた状態で、展開位置にある左側ドアミラー7が充電プラグ41に当接しないように、上記傾斜角θを設定してもよい。
【0038】
したがって、本実施形態では、充電プラグ41が接続される充電口21を、車両1の左側側部において左側フロントドア2と左側フロントフェンダ3と左側フロントピラー4とにより囲まれた部位(充電部11)に配設したので、充電部11を、化粧板を兼ねる蓋部材12により、車両1の右側側部における上記化粧板と同様の外観にすることができ、また、上記部位における化粧板による外観処理は、内燃機関を有する車両においてもよく行われる処理であるため、化粧板を兼用する蓋部材12を設けても、外観上の違和感はなく、蓋部材12が目立つようなことはない。また、左側ヒンジピラー8のアウタパネル8a及びレインフォースメント8cには、ブラケット31が嵌合する貫通孔8f,8gがそれぞれ形成されるが、これら貫通孔8f,8gの位置は、車両1の衝突時の車体性能への影響が殆どない位置であり、車両1の衝突時の車体性能を損なうようなことはなく、しかも、車両1の衝突時に、充電口21を構成する筒状部材22等が破損することも殆どない。さらに、充電部11の高さ位置が、車両1の乗員が腰を屈めなくても略直立姿勢で充電プラグ41を充電口21に接続することができる高さ位置にあり、充電プラグ41のアクセス性が良好になる。よって、充電口21を、車両1の外観のデザイン性や車両1の衝突時の車体性能を損なうことがなくかつ充電プラグ41のアクセスが良好な位置に配設することができる。
【0039】
また、内燃機関を有する車両を電動車両に改造する場合に、当該車両の左側側部において左側フロントドアと左側フロントフェンダと左側フロントピラーとにより囲まれた部位(又は、上記車両の右側側部において右側フロントドアと右側フロントフェンダと右側フロントピラーとにより囲まれた部位)を充電部11として、該部位に充電口21を設けるとともに、該部位に固定されていた化粧板を蓋部材12に変更すればよく、電動車両への改造が容易に行える。
【0040】
さらに、本実施形態では、全開にされた左側フロントドア2の左側ドアミラー7が、充電口21に接続された充電プラグ41に当接しないように、筒状部材22の軸心Cが、平面視で、車幅方向内側に向かって後側に傾斜して延びているので、充電プラグ41が充電口21に接続された状態にあるときに、乗員が左側フロントドア2を開けたとしても、左側ドアミラーと充電プラグ41との干渉を確実に防止することができる。また、充電プラグ41が充電口21に接続された状態にあるときに、車両1の乗員が左側フロントドア2を開けて乗降したり物を出し入れしたりすることもでき、乗員の利便性を向上させることができる。
【0041】
さらにまた、本実施形態では、蓋部材12が左側フロントピラー4に開閉可能に軸支されていることで、蓋部材12は、充電口21の上側に開くことになり、これにより、蓋部材12を、左側ドアミラー7と干渉することなく開くことができるとともに、雨天時に蓋部材12を開いたとしても、その開いた蓋部材12により、雨滴が充電口21に付着するのを防止することができる。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、充電口21を、車両1の左側側部において左側フロントドア2と左側フロントフェンダ3と左側フロントピラー4とにより囲まれた部位に配設したが、充電口21を、車両1の右側側部において右側フロントドアと右側フロントフェンダと右側フロントピラーとにより囲まれた部位に配設してもよく、車両1の左右両側に配設してもよい。充電口21を車両1の左右両側に配設した場合、車両1の乗員は、その両側の充電口21のうち、充電プラグ41を接続し易い充電口21を選択することができ、車両1をバッテリ充電のために停止したときの車両1の向きの自由度が増大する。
【0044】
また、上記実施形態では、本発明を電動車両1に適用した例を示したが、これに限らず、例えばプラグインハイブリッド車両に本発明を適用してもよい。
【0045】
上記実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、車両に搭載されたバッテリを外部電源により充電するために、該外部電源と接続された充電プラグが接続される充電口を備えた車両用充電部構造に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 車両
2 左側フロントドア
3 左側フロントフェンダ
4 左側フロントピラー
7 左側ドアミラー
11 充電部
12 蓋部材
21 充電口
41 充電プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリを外部電源により充電するために、該外部電源と接続された充電プラグが接続される充電口を備えた車両用充電部構造であって、
上記充電口は、上記車両の側部において、フロントドアと、該フロントドアの前側に配置されたフロントフェンダと、該フロントフェンダとルーフパネルとを繋ぐように配置されたフロントピラーとにより囲まれた部位に配設されていることを特徴とする車両用充電部構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両用充電部構造において、
上記フロントドアの前端近傍における上記充電口と略同じ高さ位置に、ドアミラーが配設されており、
上記充電口は、上記充電プラグが、平面視で車幅方向内側に向かって車両後側に傾斜して延びた状態で、該充電口に接続されるように構成されていることを特徴とする車両用充電部構造。
【請求項3】
請求項2記載の車両用充電部構造において、
平面視での、上記充電口に接続された充電プラグの車幅方向に対する傾斜角は、全開にされた上記フロントドアのドアミラーが、該充電口に接続された上記充電プラグに当接しないような角度に設定されていることを特徴とする車両用充電部構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用充電部構造において、
上記充電口を覆う蓋部材を更に備え、
上記蓋部材は、上記フロントピラーに開閉可能に軸支されていることを特徴とする車両用充電部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−144095(P2012−144095A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2435(P2011−2435)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】