説明

車両用前照灯

【課題】車両用前照灯による占有スペースを抑制する。
【解決手段】車両用前照灯において、発光モジュール14は、発光素子20と、発光素子20の点灯を制御する制御回路部42と、が一体的に構成される。制御回路部42は、発光素子20よりも灯具前方において、発光素子20が発する光のうちロービーム用配光パターンの形成に用いられる光の進路を避けるよう、シェード部の下方に配置される。このとき発光素子20は、主光軸Ax2が灯具光軸Ax1に対し垂直となり、且つ発光部が制御回路部42よりも主光軸Ax2方向に突出するよう配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関し、特に、光源の点灯を制御する制御回路部を含む発光モジュールを備えた車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を光源として車両用前照灯に利用する技術が知られている。ここで、このような発光素子と実装基板との電気的接続手段の少なくとも1つが、発光素子から見て照射方向を通過するよう設けられた光源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−32661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両用前照灯において複雑な点灯制御が要求される場合が生じている。このような場合、上述のように発光素子が直接実装される実装基板とは別に、発光素子の点灯を制御する制御回路が設けられる。しかしながら、車両内部におけるスペースも限りがあり、車両用前照灯による占有スペースの削減要求も強くなっている。このため、この制御回路をどのように配置するかは車両用前照灯による占有スペースの抑制という観点において極めて重要である。
【0005】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両用前照灯による占有スペースを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯は、光源と、光源の点灯を制御する制御回路部と、が一体的に構成された発光モジュールと、光源が発した光を反射して集光する反射面を有するリフレクタと、を備える。制御回路部は、光源よりも灯具前方に配置される。
【0007】
車両用前照灯では、光源よりも灯具前方にリフレクタなどの光学部材やシェードなどが通常配置されている。このような部材と制御回路部との干渉を回避するために制御回路部を光源よりも灯具後方に配置する場合、制御回路部が光源よりも灯具後方に突出するよう配置され、車両用前照灯による占有スペースの抑制が困難となり得る。この態様によれば、制御回路部を光源よりも灯具前方に配置できるため、光源より灯具後方への制御回路部の突出を回避できる。このため、制御回路部による占有スペースの増大を抑制することができる。
【0008】
制御回路部は、光源よりも灯具前方において、光源が発する光のうち配光パターンの形成に用いられる光の進路を避けて配置されてもよい。
【0009】
制御回路部を光源よりも灯具前方に配置すると、その影や反射光により配光パターンが影響を受ける可能性がある。この態様によれば、配光パターンの形成に用いられる光の進路を避けて制御回路部が配置されることで、光源よりも制御回路部を灯具前方に配置することにる配光パターンへの影響を回避できる。
【0010】
発光モジュールは、制御回路部の少なくとも一部を覆うカバーをさらに有してもよい。カバーは、光源が発した光の一部を遮光することで配光パターンの縁部を形成するシェード部を有してもよい。
【0011】
この態様によれば、制御回路部のカバーとシェードとを別々に設ける場合に比べ、部品点数を削減することができる。このため、部品管理をさらに容易なものとすることができる。
【0012】
光源は、主光軸が灯具光軸に対し垂直となり、且つ発光部が制御回路部よりも主光軸方向に突出するよう配置されてもよい。
【0013】
この態様によれば、主光軸が灯具光軸に対し垂直となることで、リフレクタを介してより適切に配光パターンを形成することができる。また、発光部が制御回路部よりも主光軸方向に突出するよう設けられることで、発光部の灯具前方正面に制御回路部が位置することを回避でき、配光パターンの影響を回避できる。
【0014】
発光モジュールは、ワイヤコネクタが結合可能に設けられた固定コネクタを含んでもよい。固定コネクタは、光源よりも灯具前方において光の進路を避けて配置され、且つワイヤコネクタが光の進路を避けた領域で光の進路に近づく方向に動かされて結合可能に設けられていてもよい。
【0015】
この態様によれば、ワイヤコネクタ自体の影や反射光による配光パターンへの影響を抑制できる。また、ワイヤコネクタは、固定コネクタへ結合するときに動かされる方向における後部からワイヤが出るよう構成されている。このため、ワイヤコネクタが光の進路に近づく方向に動かされて固定コネクタに結合されることで、ワイヤコネクタから出されているワイヤを光の進路からより遠くに位置させることができる。ワイヤが柔軟性があり、外力によって光が進む領域に変形して進出する可能性がある。このようにワイヤを光の進路からより引き離すことで、ワイヤの進出によって配光パターンに影響が及ぶ可能性を抑制できる。
【0016】
光源を冷却するためのファンをさらに備えてもよい。制御回路部は、ファンの駆動を制御する機能をさらに有していてもよい。発光モジュールは、制御回路部にファンを接続するファンコネクタを有していてもよい。この態様によれば、ファン用の制御回路を、光源の点灯を制御する制御回路部と別に設ける必要がなくなる。このため、制御回路を配置するスペースを抑制することができる。
【0017】
発光モジュールは、光源の点灯制御に用いられる第1制御信号と、ファンの駆動制御に用いられる第2制御信号と、が入力される単一の入力コネクタをさらに有していてもよい。この態様によれば、単一の入力コネクタに、第1制御信号と第2制御信号とを出力する別の単一のコネクタを接続するだけで、第1制御信号および第2制御信号の双方の入力が可能となる。このため、第1制御信号用のコネクタと第2制御信号用のコネクタを設ける場合に比べ、組み立て工数を削減することができる。
【0018】
リフレクタを支持する支持部材をさらに備えてもよい。支持部材は、制御回路部が灯具前方に挿入されて収容される収容部と、制御回路部の挿入後に発光モジュールを灯具前方に当接させて固定する固定部と、を有していてもよい。この態様によれば、発光モジュールを灯具前方に挿入して固定するという簡易な工程で、支持部材に発光モジュールを取り付けることができる。このため、発光モジュールを簡易に着脱させることができ、組み立て性やメンテナンス性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車両用前照灯による占有スペースを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る車両用前照灯の構成を示す図である。
【図2】(a)は、第1の実施形態に係る発光モジュールの構成を示す斜視図であり、(b)は、第1の実施形態に係る発光モジュールの側面図である。
【図3】発光モジュールの構成を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態に係る発光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図5】第3の実施形態に係る発光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図6】第6の実施形態に係る車両用前照灯の構成を示す図である。
【図7】(a)は、第4の実施形態に係る発光モジュールの構成を示す斜視図であり、(b)は、第4の実施形態に係る発光モジュールの側面図である。
【図8】第5の実施形態に係る車両用前照灯の後方斜視図である。
【図9】発光モジュールを支持部材の収容部に挿入しているときの状態を示す図である。
【図10】発光モジュールを支持部材の固定部に固定したときの状態を示す図である。
【図11】コネクタユニットにファン側コネクタを取り付けた状態を示す図である。
【図12】第6の実施形態に係るヒートシンクを示す図である。
【図13】第7の実施形態に係るヒートシンクを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両用前照灯10の構成を示す図である。図1は、灯具光軸Ax1を含む鉛直面による車両用前照灯10の断面図を示している。車両用前照灯10は、いわゆるロービーム用配光パターンを形成するロービーム用光源として機能する。なお、車両用前照灯10がこれに限られないことは勿論であり、車両用前照灯10がハイビーム用配光パターンを形成するハイビーム光源として機能してもよい。
【0023】
車両用前照灯10は、投影レンズ12、発光モジュール14、リフレクタ16、およびシェード18を備える。投影レンズ12は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、その後側焦点面上に形成される光源像を反転像として灯具前方に投影する。
【0024】
発光モジュール14は、半導体発光素子であるLEDによって構成される発光素子20を有する。なお、発光素子20がLED以外の発光素子によって構成されていてもよくまた、発光素子20に代えて放電灯や白熱灯など他の光源が用いられてもよい。発光モジュール14は、発光素子20が主に上方に光を照射するよう配置される。
【0025】
リフレクタ16は、発光素子20が発した光を反射して集光する反射面16aを有する。リフレクタ16は、反射面16aが発光素子20に対向するよう発光素子20の上方に配置される。シェード18は、シェード部18aおよびダミー部18bを有する。シェード部18aは、灯具光軸Ax1を含む平面を有しロービーム用配光パターンの水平線付近のカットオフラインを形成する。なお、シェード部18aの形状は公知であるため説明を省略する。ダミー部18bは、外部から認識可能な意匠面を構成する意匠部材として機能する。
【0026】
図2(a)は、第1の実施形態に係る発光モジュール14の構成を示す斜視図であり、図2(b)は、第1の実施形態に係る発光モジュール14の側面図である。発光モジュール14は、パッケージ30、ヒートシンク32、アタッチメント34、およびファン36、カバー40、および制御回路部42を有する。
【0027】
パッケージ30は、発光素子20を有する。制御回路部42は、発光素子20の点灯を制御する。本実施形態では、制御回路部42は、プリント配線基板と、当該プリント配線基板に実装される電気部品や素子と、によって構成される。
【0028】
ヒートシンク32は、アルミニウムなど放熱性の高い放熱材料によって形成されている。ヒートシンク32は、放熱フィン32aを有し、発光素子20および制御回路部42が発する熱を放散させる。なお、ヒートシンク32は発光素子20の熱を放散させる第1ヒートシンクと、制御回路部42の熱を放散させる第2ヒートシンクとに分離されていてもよい。アタッチメント34は、ヒートシンク32の上面に取り付けられることで、パッケージ30をヒートシンク32の上面に装着する。
【0029】
ヒートシンク32の放熱フィン32aは、ヒートシンク32の下部に設けられる。放熱フィン32aは、灯具光軸Ax1と垂直な方向に延在するよう設けられる。ファン36は、放熱フィン32aにエアを吹き付けることができるよう、放熱フィン32aの下方においてヒートシンク32に取り付けられる。
【0030】
アタッチメント34には、固定コネクタ38が樹脂による一体成形によって一体的に固定されている。固定コネクタ38は、ワイヤコネクタが結合可能に設けられている。また、アタッチメント34には、制御回路部42を収容すべく下方に凹んだ回路収容部が設けられている。制御回路部42は、この回路収容部に収容される。制御回路部42が収容された後、アタッチメント34にカバー40が取り付けられる。なお、カバー40が削除されてもよい。また、カバー40に代えて、回路収容部に制御回路部42を収容した後、回路収容部に樹脂をモールドしてもよい。
【0031】
制御回路部42は、灯具光軸Ax1と垂直な方向の長さが、灯具光軸Ax1と平行な方向の長さよりも長くなっている。具体的には、灯具光軸Ax1と垂直な方向の長さが、灯具光軸Ax1と平行な方向の長さの2倍以上長くなっている。このように制御回路部42を設けることで、発光モジュール14の灯具光軸Ax1方向の長さを抑制でき、車両用前照灯10をさらに小型化することができる。
【0032】
アタッチメント34、制御回路部42、およびカバー40によってアタッチメントユニット33が構成される。第1の実施形態では、アタッチメント34をヒートシンク32に取り付ける前に、アタッチメント34に制御回路部42およびカバー40が予め取り付けられ、アタッチメントユニット33としてヒートシンク32に取り付けられる。これにより、アタッチメント34と制御回路部42とが一体的にヒートシンク32に装着され、同時に、ヒートシンク32との間にパッケージ30が挟持され装着される。
【0033】
このように発光モジュール14は、光源である発光素子20と、発光素子20の点灯を制御する制御回路部42と、が一体的に構成されている。これにより、発光モジュール14を車両用前照灯10に組み込むことで、発光素子20と制御回路部42とを同時に車両用前照灯10に取り付けることができる。このため、車両用前照灯10の組み立て工数を削減することができる。
【0034】
図3は、発光モジュール14の構成を示す断面図である。図3は、灯具光軸Ax1および主光軸Ax2の双方を含む平面による発光モジュール14の断面を示している。なお、主光軸Ax2とは、発光素子20の上面である主発光面の中心を通過する主発光面と垂直な軸をいう。
【0035】
パッケージ30は、発光素子20、サブマウント基板50、および実装基板52を有する。発光素子20はサブマウント基板50に実装され、サブマウント基板50が実装基板52に実装される。実装基板52には給電のための導電性部材(図示せず)が設けられている。
【0036】
アタッチメント34は、導電性部材54が一体的に成形されている。導電性部材54は、ワイヤボンディングなどによって制御回路部42に接続されている。アタッチメント34は、ヒートシンク32に取り付けられることで導電性部材54が実装基板52の上記導電性部材に接触し、パッケージ30と制御回路部42とを導通させるよう設けられている。これにより、パッケージ30と制御回路部42とを簡易に導通させることができる。
【0037】
制御回路部42は、発光素子20よりも灯具前方に配置される。このとき制御回路部42は、発光素子20よりも灯具前方において、発光素子20が発する光のうち配光パターンの形成に用いられる光の進路を避けて配置される。具体的には、制御回路部42は、パッケージ30よりも灯具前方且つカバー40の下方に配置される。配光パターンの形成に用いられる光の進路は、カバー40の上に配置されるシェード18のシェード部18aよりさらに上方のため、カバー40の下方に制御回路部42を配置することで、配光パターンの形成に用いられる光の進路を避けた領域に制御回路部42を配置することができる。
【0038】
発光モジュール14は、発光素子20の主光軸Ax2が鉛直上方に向くように配置される。したがって発光モジュール14は、車両用前照灯10の灯具光軸Ax1と、発光素子20の主光軸Ax2とが直交するように配置される。これにより、リフレクタ16に効率的に光を照射することができる。このため、リフレクタ16を介してより適切にロービーム用配光パターンを形成することができる。
【0039】
また、発光素子20は、発光部が制御回路部42よりも主光軸Ax2方向に突出するよう配置される。発光部とは、発光素子20の主発光面と、主発光面を囲う側面とを含む。これにより、発光部の灯具前方正面に制御回路部42が位置することを回避でき、制御回路部42を灯具前方に配置することによる配光パターンの影響を回避できる。
【0040】
カバー40は、制御回路部42への異物の侵入などを防ぐため、回路収容部の上方の開口部の全部を覆うよう設けられている。したがってカバー40は、制御回路部42の全面を覆うように設けられている。なおカバー40は、制御回路部42の一部を覆うよう設けられていてもよい。
【0041】
カバー40の上方に、シェード18のシェード部18aが配置される。このため、カバー40は、発光素子20が配置された個所から一段低い個所にカバー40が設けられ、上面が灯具光軸Ax1よりも下方となるよう配置される。このように制御回路部42およびカバー40よりも高い位置に発光素子20の発光部を配置するために、ヒートシンク32は、パッケージ30が載置される部分が制御回路部42が載置される部分よりも上方に突出するよう設けられている。
【0042】
発光素子20より灯具前方においては、シェード部18aの上方が、ロービーム用配光パターンの形成のための光の進路となる。第1の実施形態では、制御回路部42および固定コネクタ38は、発光素子20よりも灯具前方において光の進路を避けるよう、このシェード部18aの上面より下方に配置される。これにより、制御回路部42または固定コネクタ38の影や反射光によるロービーム用配光パターンへの影響を回避することができる。
【0043】
また、固定コネクタ38は、ワイヤコネクタ58を結合させるとき、ワイヤコネクタ58が光の進路を避けた領域において、鉛直上方に動かされて結合できるよう、ワイヤコネクタ58を結合する結合部が下方に設けられている。なお、ワイヤコネクタ58の結合方向がこれに限られないことは勿論であり、ワイヤコネクタ58が光の進路を避けた領域で、光の進路に近づく他の方向に動かされて結合できるよう設けられていてもよい。
【0044】
ワイヤコネクタ58は、固定コネクタ38に結合される先端部の反対側からワイヤが出されるよう構成されている。このため、ワイヤコネクタ58が鉛直上方に動かされて固定コネクタ38に結合されることで、ワイヤコネクタ58から出されているワイヤを光の進路からより遠くに位置させることができ、ワイヤが変形し上方に進出することによって配光パターンに影響が及ぶ可能性を抑制できる。
【0045】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る発光モジュール100の構成を示す斜視図である。発光モジュール14に代えて発光モジュール100が設けられた以外は、車両用前照灯の構成は第1の実施形態に係る車両用前照灯10と同様である。以下、第1の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
発光モジュール100は、アタッチメント34に代えてアタッチメント102が設けられた以外は、第1の実施形態に係る発光モジュール14と同様に構成される。アタッチメント102は、固定コネクタ38に代えて固定コネクタ104が設けられる以外は、アタッチメント34と同様に構成される。したがって、アタッチメント102、制御回路部42、およびカバー40によってアタッチメントユニット101が構成され、アタッチメントユニット101がヒートシンク32に取り付けられる。
【0047】
固定コネクタ104は、アタッチメント102の左右の側面に各々1つずつ設けられる。固定コネクタ104は、シェード部18aの上面より下方の領域において、鉛直上方に動かされてワイヤコネクタが結合できるよう、ワイヤコネクタを結合する結合部が下方に設けられている。これにより、ワイヤコネクタを結合させるときにワイヤコネクタが光の進路を避けることができる。なお、ワイヤコネクタの結合方向がこれに限られないことは勿論であり、光の進路を避けた領域において光の進路に近づく他の方向に動かされて結合できるようワイヤコネクタが設けられていてもよい。このように固定コネクタ104がアタッチメント102の側面に設けられることで、発光モジュール100の灯具光軸Ax1方向の長さをさらに短くすることができる。
【0048】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る発光モジュール150の構成を示す斜視図である。発光モジュール14に代えて発光モジュール150が設けられた以外は、車両用前照灯の構成は第1の実施形態に係る車両用前照灯10と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
発光モジュール150は、アタッチメント34に代えてアタッチメント152が設けられた以外は、第1の実施形態に係る発光モジュール14と同様に構成される。アタッチメント152は、固定コネクタ38に代えて固定コネクタ154が設けられる以外は、アタッチメント34と同様に構成される。したがって、アタッチメント152、制御回路部42、およびカバー40によってアタッチメントユニット151が構成され、アタッチメントユニット151がヒートシンク32に取り付けられる。
【0050】
固定コネクタ154は、アタッチメント152の灯具後方の側面に2つ設けられる。固定コネクタ154は、ワイヤコネクタを結合させるとき、ワイヤコネクタが光の進路を避けることができるよう発光素子20よりも灯具後方の領域において、灯具前方に向かって水平にワイヤコネクタが動かされて結合できるよう、ワイヤコネクタを結合する結合部が灯具後方に設けられている。なお、ワイヤコネクタの結合方向がこれに限られないことは勿論である。このように、制御回路部42が発光素子20の灯具前方に設けられている一方、固定コネクタ154がアタッチメント152における発光素子20よりも灯具後方の側面に設けられることで、発光モジュール150の灯具光軸Ax1方向の長さを抑制する一方、固定コネクタ154にワイヤコネクタを接続しやすい構成を実現することができる。
【0051】
(第4の実施形態)
図6は、第6の実施形態に係る車両用前照灯200の構成を示す図である。図6は、灯具光軸Ax1を含む鉛直面による車両用前照灯200の断面図を示している。発光モジュール14に代えて車両用前照灯200が設けられ、シェード18に代えてダミー部材204が設けられた以外は、車両用前照灯の構成は第1の実施形態に係る車両用前照灯10と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
ダミー部材204は、第1の実施形態に係るシェード18からシェード部18aを削除した形状に形成され、外部から認識可能な意匠面を構成する意匠部材として機能する。発光モジュール202は、このダミー部材204の灯具後方に配置される。
【0053】
図7(a)は、第4の実施形態に係る発光モジュール202の構成を示す斜視図であり、図7(b)は、第4の実施形態に係る発光モジュール202の側面図である。発光モジュール202は、ヒートシンク32、アタッチメント34、およびカバー40に代えて、ヒートシンク210、アタッチメント212、およびカバー214がそれぞれ設けられた以外は、第1の実施形態に係る発光モジュール14と同様に構成される。
【0054】
ヒートシンク210は、パッケージ30が載置される部分が、制御回路部42が載置される部分よりも上方に突出するよう設けられている。しかし、パッケージ30が載置される部分と制御回路部42が載置される部分との段差は、第1の実施形態に係るヒートシンク32よりも低くなっている。
【0055】
アタッチメント212には、制御回路部42を収容すべく下方に凹んだ回路収容部が設けられている。制御回路部42は、この回路収容部に収容される。制御回路部42が収容された後、アタッチメント212にカバー214が取り付けられる。カバー214は、制御回路部42の上方全体を覆う。なお、カバー214は、制御回路部42の少なくとも一部を覆うよう設けられていてもよい。
【0056】
カバー214は、発光素子20が発した光の一部を遮光することで配光パターンの縁部を形成するシェード部214aを有する。すなわち、カバー214は、制御回路部42への異物の侵入などを抑制する機能と、ロービーム用配光パターンの縁部であるカットオフラインを画定する機能と、の双方を併せ持つ。これにより、制御回路部42のカバーとシェードとを別々に設ける場合に比べて部品点数を削減することができ、部品管理をさらに容易なものとすることができる。
【0057】
(第5の実施形態)
図8は、第5の実施形態に係る車両用前照灯300の後方斜視図である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。車両用前照灯300は、本体ユニット302を有する。本体ユニット302には、発光モジュールと上述の投影レンズ12((図示せず)が取り付けられる。
【0058】
本体ユニット302は、リフレクタ16、レンズホルダ306、支持部材308を有する。レンズホルダ306は円環状に形成され、このレンズホルダ306に投影レンズ12が嵌め込まれて固定される。リフレクタ16は、レンズホルダ306の上面に固定され、支持部材308に支持される。
【0059】
支持部材308は、固定部308a、収容部308b、吸気用開口部308c、および排気用ダクト308dを有する。収容部308bには、発光素子の点灯を制御する制御回路部が挿入されて収容される。固定部308aには、制御回路部の挿入後に発光モジュールが当接され固定される。吸気用開口部308cは、発光素子を冷却するためのファンの吸気口となる。第5の実施形態においても、ファンは下方から吸気して上方のヒートシンクにエアを吹き付ける。このため、吸気用開口部308cは、収容部308bの下方に設けられている。排気用ダクト308dは、当該ファンの排気孔となる。
【0060】
図9は、発光モジュール320を支持部材308の収容部308bに挿入しているときの状態を示す図である。発光モジュール320は、パッケージ30、制御回路部42、ヒートシンク322、コネクタユニット326、およびファン36を有する。
【0061】
ヒートシンク322は、アルミニウムなど放熱性の高い放熱材料によって形成されている。パッケージ30は、ヒートシンク322の上面に取り付けられる。ヒートシンク322は、放熱フィンを有し、パッケージ30の発光素子20および制御回路部42が発する熱を放散させる。放熱フィンは、ヒートシンク322の下部に設けられる。放熱フィンは、灯具光軸と平行に延在するよう設けられる。ファン36は、放熱フィンにエアを吹き付けることができるよう、放熱フィンの下方においてヒートシンク322に取り付けられる。
【0062】
第5の実施形態においても、制御回路部42は、発光素子20よりも灯具前方に配置される。一方、車両に搭載される車両用前照灯では、灯具後方から発光モジュール320の着脱が可能になることが一般的に求められる。このため、第5の実施形態では、収容部308bには、発光素子の点灯を制御する制御回路部42が灯具前方に挿入されて収容される。これにより、発光モジュール320を灯具後方から出し入れすることができる。
【0063】
図10は、発光モジュール320を支持部材308の固定部308aに固定したときの状態を示す図である。固定部308aには、収容部308bに制御回路部42が挿入された後、発光モジュール320が灯具前方に当接され固定される。具体的には、発光モジュール320には、横方向に突出する突出部328が設けられている。この突出部328に丸孔が設けられている。一方、固定部308aにはねじ穴が設けられている。突出部328が固定部308aに当接したときに、突出部328の丸孔を通じて固定部308aのねじ穴にねじ330が螺合されることで、発光モジュール320が支持部材308に固定される。なお、ねじ330に代えて他の締結具が用いられてもよい。
【0064】
このように制御回路部42の挿入方向と固定時の突き当て方向をともに灯具前方とすることで、発光モジュール320を灯具前方に移動させて突き当たったときにねじ330で固定する、という簡易な工程で発光モジュール320を支持部材308に固定することができる。
【0065】
なお、発光モジュール320の当接方向は、灯具前方に限られない。例えば発光モジュール320を支持部材308に対し下方に当て付けて固定してもよい。これにより、例えば上方からねじ止めすることで発光モジュール320を支持部材308に固定する、などが可能となる。
【0066】
図11は、コネクタユニット326にファン側コネクタ332を取り付けた状態を示す図である。コネクタユニット326は、ファン用コネクタ326aおよび入力コネクタ326bを有する。ファン用コネクタ326aは、ファン36に接続されたファン側コネクタ332が結合されることで、制御回路部42にファン36を接続する。第5の実施形態では、制御回路部42は、発光素子20の点灯を制御する機能だけでなく、ファン36の駆動を制御する機能も有する。このため、ファン36を駆動するための駆動回路を別途設ける場合に比べ回路を配置するためのスペースを抑制することができる。
【0067】
また、車両には、発光素子20の点灯およびファン36の駆動を制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)が設けられている。ECUからは、発光素子20の点灯制御に用いられる第1制御信号と、ファン36の駆動制御に用いられる第2制御信号と、を出力するための単一の出力コネクタが伸びている。入力コネクタ326bには、この出力コネクタが結合される。これにより、入力コネクタ326bには第1制御信号と第2制御信号とが単一のコネクタを介して入力される。このため、第1制御信号用のコネクタと第2制御信号用のコネクタを設ける場合に比べ接続が必要なコネクタの数を抑制でき、組み立て性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0068】
(第6の実施形態)
図12は、第6の実施形態に係るヒートシンク400を示す図である。なお、第6の実施形態に係る車両用前照灯は、上述のヒートシンクに代えてヒートシンク400が用いられた以外は、上述の実施形態に係る車両用前照灯と同様に構成される。
【0069】
ヒートシンク400は、アルミニウムなど放熱性の高い放熱材料によって形成されている。ヒートシンク400は、パッケージ30の発光素子20および制御回路部42が発する熱を放散させるさせるための放熱フィン400aを有している。放熱フィン400aは、矩形の外形を有するプレート部400bの一方の面に設けられている。第6の実施形態では、放熱フィン400aは、ファン36の軸Aから放射状に伸びる複数の直線のうち2つの直線で区切られる複数の区画の各々に配置され、当該区画の中でその区画を画定する直線に対し垂直に延在する。
【0070】
図12に示す例ではプレート部400bの中心にファン36の軸Aが位置する。プレート部400b、この軸Aから放射状に伸びる直線L1〜L4の4本の直線によって4つの区画P1〜P4の4つの区画に区切られる。直線L1〜L4は、軸Aから互いに直交するよう放射状に延在する。区画P1は、直線L1,L2によって矩形に画定される。区画P2は、直線L2,L3によって矩形に画定される。区画P3は、直線L3,L4によって矩形に画定される。区画P4は、直線L4,L1によって矩形に画定される。
【0071】
区画P1では、放熱フィン400aは、直線L1に垂直に延在する。区画P2では、放熱フィン400aは、直線L2に垂直に延在する。区画P3では、放熱フィン400aは、直線L3に垂直に延在する。区画P4では、放熱フィン400aは、直線L4に垂直に延在する。このように、それぞれが設けられた区画を画定する直線に対し垂直に延在するよう放熱フィン400aを形成することで、例えば一方向に放熱フィンを延在させる場合に比べ放熱効果が高いことが発明者の研究開発の結果明らかになっている。このため、このヒートシンク400を用いることで、発光素子20や制御回路部42が発する熱を適切に放散させることができる。
【0072】
(第7の実施形態)
図13は、第7の実施形態に係るヒートシンク500を示す図である。なお、第7の実施形態に係る車両用前照灯は、上述のヒートシンクに代えてヒートシンク500が用いられた以外は、上述の実施形態に係る車両用前照灯と同様に構成される。
【0073】
ヒートシンク500は、アルミニウムなど放熱性の高い放熱材料によって形成されている。ヒートシンク500は、パッケージ30の発光素子20および制御回路部42が発する熱を放散させるさせるための放熱フィン500aを有している。放熱フィン500aは、矩形の外形を有するプレート部500bの一方の面に設けられている。
【0074】
ヒートシンク500は、プレート部500bの一方の面に垂直に延在するロッド状に形成されている。放熱フィン500aは、複数の方向に複数の隙間が形成されるよう配置される。第7の実施形態では、放熱フィン500aは、上下方向と左右方向の2方向に複数の隙間が形成されるよう配置される。例えば放熱フィンを一方向に延在するよう形成すると、放熱フィンの間の隙間もまた一方向にのみ形成される。これに対し、このように複数の方向に複数の隙間が形成されるよう放熱フィン500aを形成することで、放熱フィン500aの周りのエアの流れを円滑なものとすることができる。このように放熱フィン500aを形成することで、例えば一方向に放熱フィンを延在させる場合に比べ放熱効果が高いことが発明者の研究開発の結果明らかになっている。このため、このヒートシンク500を用いることで、発光素子20や制御回路部42が発する熱を適切に放散させることができる。
【0075】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
【符号の説明】
【0076】
10 車両用前照灯、 14 発光モジュール、 16 リフレクタ、 16a 反射面、 18 シェード、 18a シェード部、 20 発光素子、 30 パッケージ、 32 ヒートシンク、 32a 放熱フィン、 33 アタッチメントユニット、 34 アタッチメント、 38 固定コネクタ、 40 カバー、 42 制御回路部、 58 ワイヤコネクタ、 100 発光モジュール、 104 固定コネクタ、 150 発光モジュール、 154 固定コネクタ、 200 車両用前照灯、 202 発光モジュール、 214 カバー、 214a シェード部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源の点灯を制御する制御回路部と、が一体的に構成された発光モジュールと、
前記光源が発した光を反射して集光する反射面を有するリフレクタと、
を備え、
前記制御回路部は、前記光源よりも灯具前方に配置されることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記制御回路部は、前記光源よりも灯具前方において、前記光源が発する光のうち配光パターンの形成に用いられる光の進路を避けて配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記発光モジュールは、前記制御回路部の少なくとも一部を覆うカバーをさらに有し、
前記カバーは、前記光源が発した光の一部を遮光することで前記配光パターンの縁部を形成するシェード部を有することを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記光源は、主光軸が灯具光軸に対し垂直となり、且つ発光部が前記制御回路部よりも前記主光軸方向に突出するよう配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記発光モジュールは、ワイヤコネクタが結合可能に設けられた固定コネクタを含み、
前記固定コネクタは、前記光源よりも灯具前方において前記光の進路を避けて配置され、且つ前記ワイヤコネクタが前記光の進路を避けた領域で前記光の進路に近づく方向に動かされて結合可能に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記光源を冷却するためのファンをさらに備え、
前記制御回路部は、前記ファンの駆動を制御する機能をさらに有し、
前記発光モジュールは、前記制御回路部に前記ファンを接続するファン用コネクタを有することを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項7】
前記発光モジュールは、前記光源の点灯制御に用いられる第1制御信号と、前記ファンの駆動制御に用いられる第2制御信号と、が入力される単一の入力コネクタをさらに有することを特徴とする請求項6に記載の車両用前照灯。
【請求項8】
前記リフレクタを支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記制御回路部が灯具前方に挿入されて収容される収容部と、前記制御回路部の挿入後に前記発光モジュールを灯具前方に当接させて固定する固定部と、を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−20935(P2013−20935A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2289(P2012−2289)
【出願日】平成24年1月10日(2012.1.10)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】