説明

車両用変速操作装置

【課題】車速段の切替の応答性の向上を図ることができる車両用変速操作装置を提供する。
【解決手段】複数の動作部材からなる動作部材群1と、セレクト方向(S1,S2方向及びシフト方向(C1,C2方向)に移動可能な切替係合体3と、切替係合体3をセレクト方向に移動させ、複数の動作部材群1のうち変速のためセレクトした所望の動作部材に切替係合体3を係合させるセレクトアクチュエータ5と、切替係合体3をシフト方向に移動させることにより、切替係合体3と係合する動作部材をシフト方向に移動させるシフトアクチュエータ6とを具備する。動作部材群1を構成する各動作部材は、ニュートラル位置においてシフト方向において歯位相を整合する整合歯部を備えている。切替係合体3は、ニュートラル位置において動作部材の整合歯部と噛合可能な係合歯部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に搭載される車両用変速操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の燃費向上、動力性能の向上を図るため、従来の歯車式の手動変速装置の自動化が進められている。特に、変速機の動力を伝達するクラッチ機構を2つ備え、且つ、変速機の入力軸も相当数備えるツインクラッチタイプのものが提案されている(特許文献1,2)。この場合、第1クラッチに第1入力軸を接続し、更に第1入力軸には車速の奇数車速段(1速用の駆動ギヤ、3速用の駆動ギヤ、5速用の駆動ギヤ)を接続している。第2クラッチに第2入力軸を接続し、更に第2入力軸には車速の偶数車速段(2速用の駆動ギヤ、4速用の駆動ギヤ、6速用の駆動ギヤ)を接続している。
【0003】
上記したツインクラッチタイプの車両用変速装置によれば、摩擦滑り方式の第1クラッチがクラッチ相手材に摩擦係合している状態で、1車速段から2車速段に切り替え変速するときには、第1クラッチを摩擦係合させつつ、第2クラッチをクラッチ相手材に摩擦係合させることにより、切替変速時に、1速用の駆動ギヤ及び2速用の駆動ギヤの双方から動力を受けることが可能となるため、第1入力軸,第2入力軸の双方から出力軸にトルク伝達が行われる。この結果、切替変速時おいて、出力軸へのトルクの伝達が遮断されることなく、変速が実行される。これによりトルク遮断を抑えつつ切替変速が実行される。
【0004】
これらのシフトコントロール機構の一つとして、セレクト方向において並設された複数の動作部材からなる動作部材群と、動作部材と摩擦係合可能であり且つセレクト方向及びシフト方向に移動可能な切替係合体と、切替係合体をセレクト方向に移動させ、複数の動作部材群のうち変速のためセレクトした所望の動作部材に切替係合体を係合させるセレクトアクチュエータと、切替係合体をシフト方向に移動させることにより、切替係合体と係合する動作部材をシフト方向に移動させるシフトアクチュエータとを具備する車両用変速操作装置が知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特開昭56−127842号公報
【特許文献2】DE3530017
【特許文献3】国際公開番号WO 01/84019
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図14は上記した特許文献3に係る従来技術を模式化したものである。図14に示すように、特許文献3に係る従来技術によれば、第1動作部材11wが矢印C1方向に移動すると、1車速段とされる。第1動作部材11wが矢印C2方向に移動すると、3車速段とされる。第2動作部材12wが矢印C2方向に移動すると、2車速段とされる。第2動作部材12wが矢印C1方向に移動すると、4速とされる。第3動作部材13wが矢印C2方向に移動すると、5車速段とされる。第3動作部材13wが矢印C1方向に移動すると、7車速段とされる。第4動作部材14wが矢印C2方向に移動すると、R車速段とされる。第4動作部材14wが矢印C1方向に移動すると、6車速段とされる。ここで、第1動作部材11w、第2動作部材12w、第3動作部材13w、第4動作部材14wは、インナーレバー部20wが嵌って係合する嵌合溝22wを備えている。
【0006】
図14は、インナーレバー部20wにより第1動作部材11wが矢印C1方向に移動し、1車速段に設定されている状態を模式的に示す。図14から理解できるように、1車速段から2車速段に切り替えるときには、第1動作部材11wが矢印C1方向に移動している状態において、インナーレバー部20wを矢印E2方向に移動させて中立位置(N)に戻す。その後、インナーレバー部20wを矢印E3方向に移動させ、第2動作部材12wの溝22wに位置させる。その後、インナーレバー部20wを矢印E4方向に移動させることにより第2動作部材12wを矢印C2方向に移動させる。
【0007】
この従来技術によれば、図14から理解できるように、インナーレバー部20wをニュートラル位置(N)に一旦戻す必要がある。よって、そのぶんインナーレバー部20wを移動させる移動距離が長くなる。このため移動操作に時間を要するため、車速段の切替に時間を要し、車速段の切替の応答性の向上には限界があった。
【0008】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、車速段の切替の応答性の向上を図ることができる車両用変速操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第1発明に係る車両用変速操作装置は、セレクト方向において並設された複数の動作部材からなる動作部材群と、各動作部材と係合可能であり且つセレクト方向及びシフト方向に移動可能な切替係合体と、切替係合体をセレクト方向に移動させ、動作部材群のうち変速のためセレクトした所望の動作部材に切替係合体を係合させるセレクト作動手段と、切替係合体をシフト方向に移動させることにより、切替係合体と係合する動作部材をシフト方向に移動させるシフト作動手段とを具備する車両用変速操作装置において、
動作部材群を構成する各動作部材は、ニュートラル位置においてシフト方向において歯位相を整合させた整合歯部を備えており、切替係合体は、動作部材の整合歯部に対して噛合可能な係合歯部を備えており、
各前記動作部材をニュートラル位置からシフト方向に移動させた状態において、シフト方向に移動させた各動作部材の整合歯部は、残りの前記動作部材の整合歯部に対して歯位相が整合することを特徴とするものである。
【0010】
第1発明に係る車両用変速操作装置によれば、係合歯部の歯ピッチは動作部材の整合歯部の歯ピッチと実質的に同一であり、整合している。変速操作の際に、切替係合体をセレクト方向に移動させれば、切替係合体の係合歯部を各動作部材の整合歯部にそれぞれ噛合させることができる。このためシフトの動作を短時間で行うことができ、応答性の向上を図ることができる。
【0011】
(2)第2発明に係る車両用変速操作装置は、セレクト方向において並設された複数の動作部材からなる動作部材群と、各動作部材と係合可能であり且つセレクト方向及びシフト方向に移動可能な切替係合体と、切替係合体をセレクト方向に移動させ、複数の動作部材群のうち変速のためセレクトした所望の動作部材に切替係合体を係合させるセレクトアクチュエータと、切替係合体をシフト方向に移動させることにより、切替係合体と係合する動作部材をシフト方向に移動させるシフトアクチュエータとを具備する車両用変速操作装置において、
動作部材群を構成する各動作部材は、ニュートラル位置においてシフト方向において歯位相を整合させた整合歯部を備えており、切替係合体は、動作部材の整合歯部と噛合可能な係合歯部を備えており、
各前記動作部材をニュートラル位置からシフト方向に移動させた状態において、シフト方向に移動させた各動作部材の整合歯部は、残りの前記動作部材の整合歯部に対して歯位相が整合することを特徴とするものである。
【0012】
第2発明に係る車両用変速操作装置によれば、係合歯部の歯ピッチは動作部材の整合歯部の歯ピッチと実質的に同一であり、整合している。変速操作の際に、切替係合体をセレクト方向に移動させれば、切替係合体の係合歯部を各動作部材の整合歯部にそれぞれ噛合させることができる。このためシフトの動作を短時間で行うことができ、応答性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シフトの動作を短時間で行うことができ、応答性の向上を図ることができる車両用変速操作装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
各動作部材のシフトストローク量の大きさは基本的には歯数の整数倍に設定されている実施形態を採用することができる。従って、(整数×歯数)に相当する距離となるように設定されている実施形態を採用することができる。従って、上記したシフトストローク量(mm)は、基本的には、整数×歯数×1歯の歯幅寸法(mm)に相当する距離となるように設定されている実施形態を採用することができる。この場合、動作部材がシフト方向に移動したとしても、各動作部材同士の整合歯部のシフト方向における位相(歯ピッチ)を合わせるのに有利である。なお、上記したシフトストローク量(mm)は、誤差を考慮すると、基本的には、整数×歯数×1歯の歯幅寸法(mm)に相当する距離×(0.9〜1.1)となるように設定されている実施形態を採用することができる。
【0015】
また、奇数段の車速段用の複数の駆動ギヤを備える第1入力軸に接続された摩擦係合式の第1クラッチと、偶数段の車速段用の複数の駆動ギヤを備える駆動ギヤを備える第2入力軸に接続された摩擦係合式の第2クラッチとを備えた複数クラッチを備えた車両変速装置に搭載される実施形態を採用することができる。
【0016】
切替係合体はロック部材を有しており、ロック部材は、動作部材群を構成する各動作部材の整合歯部に噛合するロック用歯部を有する実施形態を採用することができる。動作部材群を構成する各動作部材の整合歯部をロック用歯部によりロックできる。このため、外力等が作用するときであっても、動作部材群を構成する各動作部材の無用な移動を防止することができる。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
本発明の実施例を図面を参照して具体的に説明する。図面は本発明の技術的思想を説明するための概念図であり、細部の寸法、細部の角度等まで規定するものではない。
【0018】
図1はツインクラッチタイプの車両用変速装置に適用したスケルトン図を示す。図1に示すように、車両用変速装置は、クラッチ相手材550と摩擦係合する第1クラッチ201と、クラッチ相手材550と摩擦係合する第2クラッチ202と、第1クラッチ201に連結された内側の第1入力軸301と、第2クラッチ202に連結された外側の第2入力軸302と、第1入力軸301または第2入力軸302により回転される出力軸305とを有する。第2入力軸302は第1入力軸301を同軸的に収容する中空室304を有する。第1入力軸301には、奇数車速段の駆動ギヤ、つまり、1車速段用の駆動ギヤ401、3車速段用の駆動ギヤ403、5車速段用の駆動ギヤ405、7車速段用の駆動ギヤ407が接続されている。
【0019】
第2入力軸302には、偶数車速段の駆動ギヤ、つまり、2車速段用の駆動ギヤ402、4車速段用の駆動ギヤ404、6車速段用の駆動ギヤ406が設けられている。出力軸305には従動ギヤ451,452,453,454,455,456,457,458等が設けられている。デフ500を介して駆動するドライブシャフト510には車輪511,512が設けられている。
【0020】
第1クラッチ201がクラッチ相手材550に摩擦係合すると、第1クラッチ201を介してエンジン側のクランクシャフト520と第1入力軸301とは連結される。この場合、エンジンのクランクシャフト520の回転駆動力は、第1クラッチ201を介して第1入力軸301に伝達され、第1入力軸301が回転する。
【0021】
これに対して第2クラッチ202がクラッチ相手材550に摩擦係合すると、第2クラッチ202を介してエンジンのクランクシャフト520と第2入力軸302は連結される。この場合、エンジンのクランクシャフト520の回転駆動力は第2クラッチ202を介して第2入力軸302に伝達され、第2入力軸302が回転する。
【0022】
切替変速時は、ハブスリーブ601または602を介して行われる。図1において、実線で示す経路100は、第1クラッチ201が繋がって車両が1車速段(1st)で走行するときにおけるトルクの伝達経路を示す。破線で示す経路150は、第2クラッチ202が繋がって車両が2車速段(2nd)で走行するときにおけるトルクの伝達経路を示す。
【0023】
上記したツインクラッチタイプの車両用変速装置によれば、例えば、1車速段から2車速段へと切り替えるとき、第1クラッチ201が摩擦係合している状態で第2クラッチ202を摩擦係合させる。これにより第1入力軸301の1車速段用の駆動ギヤ401を介して出力軸305へのトルク伝達を行ないつつ、第2入力軸302の2車速段用の駆動ギヤ402を介して出力軸305へのトルク伝達を行なうことができる。この結果、1車速段から2車速段へと切り替えるときであっても、エンジンのクランクシャフト520からの出力軸305に対するトルクの伝達の遮断を抑制しつつ、変速が実行される。
【0024】
これにより車速段の切替の際においても、トルク伝達を高効率で行うことができ、走行燃費の向上に有利となる。これは、第1クラッチ201及び第2クラッチ202の双方を介してトルク伝達したとしても、第1クラッチ201及び第2クラッチ202が摩擦板方式であるため、第1クラッチ201及び第2クラッチ202がクラッチ相手材550に対してスリップして、クラッチ相手材550との相対回転差を吸収できることに基づくものである。なお、1車速段から2車速段へと切り替が終了したら、第1クラッチ201の摩擦係合を解除しつつ、第2クラッチ202の摩擦係合を維持する。
【0025】
また、2車速段から3車速段へと切り替えるとき、第2クラッチ202が摩擦係合している状態で第1クラッチ201を摩擦係合させる。これにより第2入力軸302の2車速段用の駆動ギヤ402を介して出力軸305へのトルク伝達を行ないつつ、第1入力軸301の3車速段用の駆動ギヤ403を介して出力軸305へのトルク伝達を行なうことができる。なお、2車速段から3車速段へと切り替えが終了したら、第2クラッチ202の摩擦係合を解除しつつ、第1クラッチ201の摩擦係合を維持する。
【0026】
本実施例に係る車両用変速操作装置によれば、図2に示すように、変速装置のセレクト方向を矢印S1,S2方向とし、変速装置のシフト方向を矢印C1,C2方向とする。車速段によれば、図2に示すように、セレクト方向(矢印S1方向)において、1車速段、4車速段、7車速段、6車速段が並設されている。更に、3車速段、2車速段、5車速段、R車速段(後退)が並設されている。
【0027】
図2に示すように、シフト方向(矢印C1,C2方向)において1車速段と3車速段が並設され、4車速段と2車速段が並設され、7車速段と5車速段が並設され、6車速段とR車速段が並設されている。ただし、図2に示す車速段の形態はあくまでも例示であり、これに限定されるものではないことは勿論である。
【0028】
図3は車両用変速操作装置の要部を示す。車両用変速操作装置は、図3に示すように、セレクト方向(矢印S1,S2方向に並設された動作部材群1と、動作部材群1と係合可能な切替係合体3と、切替係合体3の主要素であるシフトアンドセレクトシャフト30をセレクト方向(矢印S1,S2方向)に移動させセレクトアクチュエータ5と、切替係合体3をシフト方向(矢印C1,C2方向)に移動させるシフトアクチュエータ6とを具備する。
【0029】
図3に示すように、動作部材群1は、複数の動作部材を備えており、つまり、第1動作部材11と第2動作部材12と第3動作部材13と第4動作部材14とを備えている。各動作部材11〜14はヘッドと一体となったシフトフォークである。本実施例によれば、図7から理解できるように、1車速段及び3車速段は第1動作部材11により規定される。4車速段及び2車速段は第2動作部材12により規定される。7車速段及び5車速段は第3動作部材13により規定される。6車速段及びR車速段は第4動作部材14により規定される。
【0030】
ここで、図7,図8から理解できるように、第1動作部材11が矢印C1方向に移動すると、1車速段に設定される。第1動作部材11が矢印C2方向に移動すると、3車速段に設定される。第2動作部材12が矢印C1方向に移動すると、4車速段に設定される。第2動作部材12が矢印C2方向に移動すると、2車速段に設定される。第3動作部材13が矢印C1方向に移動すると、7車速段とされる。第3動作部材13が矢印C2方向に移動すると、5車速段に設定される。第4動作部材14が矢印C1方向に移動すると、6車速段に設定される。第4動作部材14が矢印C2方向に移動すると、R車速段に設定される。
【0031】
図7及び図8に示すように、第1動作部材11、第2動作部材12、第3動作部材13、第4動作部材14は、ニュートラル位置(N)で、シフト方向(矢印C1,C2方向)における歯位相が互いに整合する整合歯部21〜24を備えている。
【0032】
即ち、図7,図8に示すように、第1動作部材11には、平行歯で形成された歯部21cをもつラック歯状の第1整合歯部21がシフト方向に延設されている。第2動作部材12には、平行歯で形成された歯部22cをもつラック歯状の第2整合歯部22がシフト方向に延設されている。第3動作部材13には、平行歯で形成された歯部23cをもつラック歯状の第3整合歯部23がシフト方向に延設されている。第4動作部材14には、平行歯で形成された歯部24cをもつラック歯状の第4整合歯部24がシフト方向に延設されている。
【0033】
図7は第1動作部材11〜第4動作部材14がニュートラル位置(N)にある状態を示す。ニュートラル位置(N)は、シフト方向である矢印C1,C2方向の中間位置を意味する。図7に示すように、第1動作部材11のラック歯状の第1整合歯部21、第2動作部材12のラック歯状の第2整合歯部22、第3動作部材13のラック歯状の第3整合歯部23、第4動作部材14のラック歯状の第4整合歯部24は、ニュートラル位置(N)では、シフト方向(矢印C1,C2方向)において歯形状の位相(歯ピッチ)は互いに整合している。
【0034】
従って本実施例においては、第1動作部材11の第1整合歯部21、第2動作部材12の第2整合歯部22、第3動作部材13の第3整合歯部23、第4動作部材14の第4整合歯部24は、ニュートラル位置(N)では、シフト方向(矢印C1,C2方向)において歯形状の歯位相(歯ピッチ)は互いに整合している。
【0035】
換言すると、図4,図5に示すように、第1動作部材11の第1整合歯部21の歯部21c、第2動作部材12の第2整合歯部22の歯部22c、第3動作部材13の第3整合歯部23の歯部23c、第4動作部材14の第4整合歯部24の歯部24cは、歯筋が互いに平行に形成されており、更に、ニュートラル位置(N)ではシフト方向(矢印C1,C2方向)において位相(歯ピッチ)及び歯形状は互いに同一であり、整合している。本明細書では、同一とは、比較的高い精度で同一性を有することを意味し、公差を有することを前提とする工業製品として同一性を有する物品として取り扱い得る形態を含む。
【0036】
図3に示すように切替係合体3は、第1動作部材11〜第4動作部材14を互いに独立させて動作させるものである。図3に示すように、切替係合体3は、シフト方向(矢印C1,C2方向)及びセレクト方向(矢印S1,S2方向)に移動可能なシフトアンドセレクトシャフト30と、シフトアンドセレクトシャフト30に同軸的に設けられた回転ピニオンギヤ状をなす係合歯部33とをもつ。係合歯部33は平行歯で形成された複数の歯部33cを有する。歯部33cの歯筋は、第1整合歯部21の歯部21c、第2整合歯部22の歯部22c、第3整合歯部23の歯部23c、第4整合歯部24の歯部24cの歯筋と互いに平行である。係合歯部33とシフトアンドセレクトシャフト30とは一体的に回動するように設定されている。シフトアンドセレクトシャフト30がこれの軸芯P1の回りで回動すると、回転ギヤ状をなす係合歯部33も軸芯P1の回りで回動する。
【0037】
係合歯部33に形成されている歯部33cは、第1整合歯部21に噛合可能であり、第2整合歯部22に噛合可能であり、第3整合歯部23に噛合可能であり、第4整合歯部24に噛合可能とされている。
【0038】
図3に示すように、シフトアンドセレクトシャフト30はセレクト方向(矢印S1,S2方向)に沿ってのびるように延設されている。シフトアンドセレクトシャフト30は、セレクト方向(矢印S1,S2方向)に沿って延設されたラック歯部31をもつ。
【0039】
図3に示すように、セレクト作動手段を構成するセレクトアクチュエータ5は、軸芯M1の回りで回転可能なモータ軸51をもつセレクトモータ52と、モータ軸51に形成されたピニオン歯53とを有する。ピニオン歯53はシフトアンドセレクトシャフト30のラック歯部31と噛合する。
【0040】
セレクトモータ52が駆動すると、ピニオン歯53がモータ軸51と共にモータ軸51の軸芯M1の回りで回動し、ラック歯部31がセレクト方向(矢印S1,S2方向)に移動し、ひいてはシフトアンドセレクトシャフト30が係合歯部33と共にセレクト方向(矢印S1,S2方向)に移動する。これによりシフトアンドセレクトシャフト30に搭載されている係合歯部33は、セレクト方向(矢印S1,S2方向)に移動することができ、第1整合歯部21、第2整合歯部22、第3整合歯部23、第4整合歯部24にそれぞれ対面して、第1整合歯部21、第2整合歯部22、第3整合歯部23、第4整合歯部24にそれぞれ噛合可能となるように設定されている。
【0041】
図3に示すように、シフト作動手段を構成するシフトアクチュエータ6は、軸芯M2のまわりで回転可能なモータ軸61をもつシフトモータ62と、モータ軸61に伝達部材66を介して繋がれた歯部63cをもつ回動ピニオン63と、回動ピニオン63の回動によりシフト方向(矢印C1,C2方向)に揺動する歯部64cをもつ揺動体64とを有する。揺動体64はシフトアンドセレクトシャフト30に連結されている。シフトアクチュエータ6のシフトモータ62が駆動すると、回動ピニオン63が回動し、揺動体64が揺動し、シフトアンドセレクトシャフト30はシフト方向(矢印C1,C2方向)に回動するようになっている。
【0042】
図4は、第1動作部材11がニュートラル位置(N)に設定されている状態を示す。ニュートラル位置(N)ではシフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33は、第1動作部材11の第1整合歯部21のうちシフト方向の中央21cに噛合している。図4及び図5から理解できるように、ニュートラル位置(N)から1車速段(1st)に設定するには、シフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33をこの位置に維持したまま、ピニオンギヤに相当する係合歯部33をこれの軸芯P1の回りで矢印A1方向に回動させ、ピニオンラック構造により、第1動作部材11を矢印C1方向にシフト移動させる。即ち、シフトアンドセレクトシャフト30のピニオンに相当する係合歯部33と、第1動作部材11のラック歯に相当する第1整合歯部21との噛み合いにより、第1動作部材11は矢印C1方向に移動してシフト移動する。これにより1車速段に設定される。
【0043】
また、図4に示すニュートラル位置(N)から3車速段(3RD)に設定するには、シフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33をこの位置に維持したまま、係合歯部33をこれの軸芯P1の回りで矢印A2方向に回動させ、第1動作部材11を矢印C2方向にシフト移動させる。これにより3車速段(3RD)に設定される。
【0044】
ここで、第1動作部材11がニュートラル位置(N)から1車速段に切り替わるときには、第1動作部材11が矢印C1方向へ移動するシフトストローク量SLの大きさは、基本的には、(整数×歯数)に相当する大きさとなるように設定されている。つまり、シフトストローク量SLの大きさは、基本的には、(整数×歯の歯幅寸法)の距離となるように設定されている。上記したシフトストローク量(mm)は、基本的には、整数×歯数×1歯の歯幅寸法(mm)に相当する距離となるように設定されている。よってシフト時において第1動作部材11は歯数の整数相当ぶん矢印C1方向にシフトして移動する。また第1動作部材11がニュートラル位置(N)から3車速段に切り替わるときには、第1動作部材11が矢印C2方向へ移動するシフトストローク量SLは、整数×歯数となるように設定されている。よってシフト時において第1動作部材11は歯数の整数相当ぶん矢印C2方向にシフトして移動する。
【0045】
なお、この場合、動作部材がシフト方向に移動したとしても、各動作部材同士の整合歯部のシフト方向における位相(歯ピッチ)を合わせるのに有利である。上記したシフトストローク量(mm)は、誤差を考慮すると、基本的には、整数×歯数×1歯の歯幅寸法(mm)に相当する距離×(0.9〜1.1)となるように設定することができる。
【0046】
同様に、第2動作部材12がニュートラル位置(N)から4車速段に切り替わるときには、第2動作部材12の矢印C1方向へのシフトストローク量SLは、整数×歯数となるように設定されている。また第2動作部材12がニュートラル位置(N)から2車速段に切り替わるときには、第2動作部材12の矢印C2方向へのシフトストローク量SLは、整数×歯数となるように設定されている。なお、第3動作部材13,第4動作部材14についても同様である。
【0047】
従って本実施例によれば、動作部材11をニュートラル位置からシフト方向に移動させたとき、シフト方向に移動させた動作部材11の整合歯部21は、ニュートラル位置にある残りの動作部材12〜14の整合歯部22〜24に対して歯位相(歯ピッチ)が整合する。同様に、動作部材12をニュートラル位置からシフト方向に移動させたとき、シフト方向に移動させた動作部材12の整合歯部22は、ニュートラル位置にある残りの動作部材11,13,14の整合歯部21,23,24に対して歯位相(歯ピッチ)が整合する。
【0048】
同様に、動作部材13をニュートラル位置からシフト方向に移動させたとき、シフト方向に移動させた動作部材13の整合歯部23は、ニュートラル位置にある残りの動作部材11,12,14の整合歯部21,22,24に対して歯位相(歯ピッチ)が整合する。同様に、動作部材14をニュートラル位置からシフト方向に移動させたとき、シフト方向に移動させた動作部材14の整合歯部24は、ニュートラル位置にある残りの動作部材11,12,13の整合歯部21,22,23に対して歯位相(歯ピッチ)が整合する。
【0049】
図8は、第1動作部材11が矢印C1方向に移動して1車速段(1st)に設定されている状態を示す。ここで、1車速段(1st)から2車速段(2nd)に変速するときについて図8,図9を参照して説明する。図8に示すように、第1動作部材11が矢印C1方向に移動して1車速段(1st)に設定されている状態で、シフトアンドセレクトシャフト30が矢印S1方向に直動的に移動する。この結果、シフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33は、第1動作部材11の第1整合歯部21に噛合する形態(図8参照)から、第2動作部材12の第2整合歯部22に噛合する形態(図9参照)に切り替わる。
【0050】
その理由としては、前述したように、ニュートラル位置(N)からのシフトストローク量SLは、整数×歯数となるように設定されていること、また、シフト方向(矢印C1,C2方向)において第1整合歯部21〜第4整合歯部24の位相(歯ピッチ)及び歯形状は実質的に同一であり、シフト方向(矢印C1,C2方向)において互いに整合しているためである。
【0051】
この結果、第1動作部材11の第1整合歯部21から第2動作部材12の第2整合歯部22に切り替える操作は容易となる。しかもシフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33を矢印S1方向に直動するため、上記した図14に示す従来技術とは異なり、係合歯部33をニュートラル位置に逐一復帰させる操作を必要としない。よって、係合歯部33を移動させる移動距離も短くて済む。更に操作としても、係合歯部33を矢印S1方向に直動させる一つの操作で済む。このため車速段の切替に要する動作時間を短時間とすることができる。
【0052】
次に、シフトアクチュエータ6の駆動によりシフトアンドセレクトシャフト30及び係合歯部33を回動させ、図9に示すように、第2動作部材12をシフト方向(矢印C2方向)にシフト移動させる。これにより車速は2車速段(2nd)に切替変速される。
【0053】
このとき、図9に示すように、第1動作部材11を矢印C1方向に移動させたままの状態で、第2動作部材12を矢印C2方向に移動させるため、第1クラッチ201,第2クラッチ202がクラッチ相手材550に摩擦係合してクランクシャフト520に繋がれている限り、第1車速段の駆動ギヤ401を介して出力軸305にトルク伝達が行われると共に、第2車速段の駆動ギヤ402を介して出力軸305にトルク伝達されることになる。このように車速段の切替のときに、エンジンのクランクシャフト520から出力軸305へのトルクの伝達の遮断を抑制し、トルク伝達を高効率で行うことができ、切替変速時の違和感の低減、走行燃費の向上に適する。
【0054】
これは、前述したように第1クラッチ201及び第2クラッチ202の双方を介してトルク伝達したとしても、第1クラッチ201及び第2クラッチ202が摩擦板方式であり、スリップ可能とされていることに基づくものである。
【0055】
なお、1車速段から2車速段へと切り替わったら、第1クラッチ201の摩擦係合を解除しつつ、第2クラッチ202の摩擦係合を維持する。このように第1クラッチ201の摩擦係合が解除されると、第1クラッチ201に繋がる第1入力軸301の1車速段用の第1駆動ギヤ401を介して出力軸305へのトルク伝達は行われなくなる。そして第2クラッチ202が摩擦係合されているため、第2クラッチ202に繋がる第2入力軸302の2車速段用の第2駆動ギヤ402を介しての出力軸305へのトルク伝達は行なわれる。
【0056】
次に、2車速段(2nd)から3車速段(3RD)に変速するときについて、図9,図10を参照して説明する。図9は、第2動作部材12が矢印C2方向に移動して車速段が2車速段(2nd)に設定されている状態を示す。図9、図10に示すように、セレクトアクチュエータ5の駆動により、シフトアンドセレクトシャフト30及び係合歯部33が矢印S2方向に直動的に移動する。この結果、シフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33は、第2動作部材12の第2整合歯部22に噛合する形態(図9参照)から、第1動作部材11の第1整合歯部21に噛合する形態(図10参照)に切り替わる。このように第2動作部材12の第2整合歯部22から第1動作部材11の第1整合歯部21に移し替える操作は容易である。しかもシフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33を矢印S2方向に直動するため、変速切替に要する動作時間も短時間で済む。
【0057】
次に、シフトアクチュエータ6の駆動によりシフトアンドセレクトシャフト30を作動させ、図10に示すように、第1動作部材11をシフト方向(矢印C2方向)にシフト移動させる。これにより車速は3車速段(3RD)に切替えられる。
【0058】
このとき、図10に示すように、第2動作部材12を矢印C2方向に移動させたままの状態で、第1動作部材11を矢印C2方向に移動させるため、第1クラッチ201,第2クラッチ202がクラッチ相手材550を介してクランクシャフト520に繋がれている限り、第2車速段の駆動ギヤ402を介して出力軸305にトルク伝達が行われると共に、第3車速段の駆動ギヤ403を介して出力軸305にトルク伝達されることになる。このように、2車速段から3車速段へ車速段を切替えるとき、エンジンのクランクシャフト520から出力軸305へのトルクの伝達の遮断を抑制しつつ、車速段の切替が実行される。これにより2車速段から3車速段へ車車速段の切替の際においても、トルクの伝達の遮断を抑制しつつ、トルク伝達を効率よく行うことができる。
【0059】
これは、前述したように第1クラッチ201及び第2クラッチ202の双方を介してトルク伝達したとしても、第1クラッチ201及び第2クラッチ202が摩擦板方式であるため、第1クラッチ201及び第2クラッチ202がクラッチ相手材550に対してスリップできることに基づくものである。
【0060】
以下、3車速段から4車速段への切替のとき、4車速段から5車速段への切替のとき等においても、同様の操作が行われる。
【0061】
以上説明したように本実施例によれば、動作部材11〜14の整合歯部21〜整合歯部24への移し替え操作は容易となる。しかもシフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33を矢印S1または矢印S2方向に直動すれば良く、図4に示す従来技術と異なり、ニュートラル位置に逐一復帰させる必要がなく、移動距離も短くて済み、車速段の切替に要する動作時間も短時間で済む利点が得られる。
【0062】
(実施例2)
図11〜図13は実施例2を示す。実施例2は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。従って、実施例1と同様に、シフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33が第1動作部材11〜第4動作部材14の第1整合歯部21〜第4整合歯部24に移し替える操作は容易となる。しかもシフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33を矢印S1,S2方向に直動すれば良いため、図14に示す従来技術に比較して、移動距離も短くて済み、車速段の切替に要する動作時間も短時間で済む。
【0063】
以下、実施例1と異なる部位を中心として説明する。図11に示すように、切替係合体3は、シフトアンドセレクトシャフト30と、シフトアンドセレクトシャフト30の軸長方向の中間部位に回転可能に設けられた係合歯部33と、シフトアンドセレクトシャフト30に保持されたロック部材36とをもつ。係合歯部33は、シフトアンドセレクトシャフト30に対してシフトアンドセレクトシャフト30の軸芯P1の回りを回転可能である。これに対してロック部材36はシフトアンドセレクトシャフト30に対して外れないようにスナップリング37により固定的に保持されており、シフトアンドセレクトシャフト30と共に直動できるようになっている。
【0064】
ロック部材36は、係合歯部33のうち軸長方向の両側に配置されており、箱形状をなしており、シフトアンドセレクトシャフト30の軸長方向の途中部を外周側から覆っている。ロック部材36の表面には、シフトアンドセレクトシャフト30の軸芯P1方向と平行に延びる平行歯部38cをもつロック用歯部38が形成されている。ロック用歯部38の平行歯部38cの歯形状の位相(歯ピッチ)は、シフト方向(矢印C1,C2方向)において、第1動作部材11の第1整合歯部21、第2動作部材12の第2整合歯部22、第3動作部材13の第3整合歯部23、第4動作部材14の第4整合歯部24に対して整合している。故に、ロック用歯部38の位相(歯ピッチ)及び歯形状は、シフト方向(矢印C1,C2方向)において、第1動作部材11の第1整合歯部21、第2動作部材12の第2整合歯部22、第3動作部材13の第3整合歯部23、第4動作部材14の第4整合歯部24に対して同一であり、整合している。
【0065】
従ってロック部材36は、第1動作部材11の第1整合歯部21、第2動作部材12の第2整合歯部22、第3動作部材13の第3整合歯部23、第4動作部材14の第4整合歯部24と噛合する。この結果、ロック部材36は、第1動作部材11、第2動作部材12、第3動作部材13、第4動作部材14をその位置にロックするロック機構として機能することができる。
【0066】
図12から理解できるように、シフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33が第1動作部材11の第1整合歯部21に噛合しているときには、ロック部材36のロック用歯部38は、動作部材群1のうち、第1動作部材11以外の動作部材、つまり、第2動作部材12の第2整合歯部22、第3動作部材13の第3整合歯部23、第4動作部材14の第4整合歯部24に対してそれぞれ噛合している。故に、外力が作用するようなときであっても、第1動作部材11〜第4動作部材14の第1整合歯部21〜第4整合歯部24の矢印C1,C2方向への位相ずれは抑えられる。
【0067】
このため1車速段から2車速段に変速するとき、シフトアンドセレクトシャフト30をそのまま直接的に矢印S1またはS2方向に直動的に確実に移動させることができる。このようにシフトアンドセレクトシャフト30の係合歯部33が第1動作部材11の第1整合歯部21に噛合しているときには、ロック部材36のロック用歯部38は、動作部材群1のうち、第1動作部材11以外の第2動作部材12の第2整合歯部22、第3動作部材13の第3整合歯部23、第4動作部材14の第4整合歯部24に対してそれぞれ既に噛合しているため、1つの動作のみで変速可能な状態に移れる。
【0068】
(他の例)
上記した実施例は複数クラッチを備えた車両変速装置に適用されているが、これに限定されるものではない。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例、適用形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明はツインクラッチタイプ等の自動変速できる車両用変速装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ツインクラッチタイプの車両用変速装置に適用した適用形態を示すスケルトン図である。
【図2】車速変速段を示す構成図である。
【図3】車両用変速操作装置のシフトアンドセレクトシャフト付近の要部の構成図である。
【図4】シフトアンドセレクトシャフトの係合歯部がニュートラル位置において第1動作部材の第1整合歯部に噛合している状態を示す構成図である。
【図5】シフトアンドセレクトシャフトの係合歯部がシフト位置において第1動作部材の第1整合歯部に噛合している状態を示す構成図である。
【図6】シフトアンドセレクトシャフト付近の構成図である。
【図7】第1動作部材〜第4動作部材がニュートラル位置に存在するときにおける構成図である。
【図8】第1動作部材をシフト方向に移動させたときにおける構成図である。
【図9】第1動作部材をシフト方向に移動させた状態で、第2動作部材をシフト方向に移動させた状態を示す構成図である。
【図10】第2動作部材をシフト方向に移動させた状態で、第1動作部材をシフト方向に移動させた状態を示す構成図である。
【図11】実施例2に係り、車両用変速操作装置のシフトアンドセレクトシャフト付近の要部の構成図である。
【図12】実施例2に係り、シフトアンドセレクトシャフトの係合歯部が第1動作部材の第1整合歯部に噛合している状態を示す構成図である。
【図13】実施例2に係り、シフトアンドセレクトシャフトの係合歯部及びロツク用歯部を示す構成図である。
【図14】従来技術に係る構成図である。
【符号の説明】
【0071】
図中、1は動作部材群、11は第1動作部材、12は第2動作部材、13は第3動作部材、14は第4動作部材、3は切替係合体、30はシフトアンドセレクトシャフト、33は係合歯部、36はロック部材、38はロック用歯部、5はセレクトアクチュエータ、52はセレクトモータ、6はシフトアクチュエータ、62はシフトモータを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セレクト方向において並設された複数の動作部材からなる動作部材群と、
各前記動作部材と係合可能であり且つセレクト方向及びシフト方向に移動可能な切替係合体と、
前記切替係合体をセレクト方向に移動させ、前記動作部材群のうち変速のためセレクトした所望の前記動作部材に前記切替係合体を係合させるセレクト作動手段と、
前記切替係合体をシフト方向に移動させることにより、前記切替係合体と係合する前記動作部材をシフト方向に移動させるシフト作動手段とを具備する車両用変速操作装置において、
前記動作部材群を構成する各前記動作部材は、ニュートラル位置においてシフト方向において歯位相を整合させた整合歯部を備えており、
前記切替係合体は、前記動作部材の前記整合歯部と噛合可能な係合歯部を備えており、
各前記動作部材をニュートラル位置からシフト方向に移動させた状態において、シフト方向に移動させた各動作部材の整合歯部は、残りの前記動作部材の整合歯部に対して歯位相が整合することを特徴とする車両用変速操作装置。
【請求項2】
セレクト方向において並設された複数の動作部材からなる動作部材群と、
各前記動作部材と係合可能であり且つセレクト方向及びシフト方向に移動可能な切替係合体と、
前記切替係合体をセレクト方向に移動させ、前記動作部材群のうち変速のためセレクトした所望の前記動作部材に前記切替係合体を係合させるセレクトアクチュエータと、
前記切替係合体をシフト方向に移動させることにより、前記切替係合体と係合する前記動作部材をシフト方向に移動させるシフトアクチュエータとを具備する車両用変速操作装置において、
前記動作部材群を構成する各前記動作部材は、ニュートラル位置においてシフト方向において歯位相を整合させた整合歯部を備えており、
前記切替係合体は、前記動作部材の前記整合歯部と噛合可能な係合歯部を備えており、
各前記動作部材をニュートラル位置からシフト方向に移動させた状態において、シフト方向に移動させた各動作部材の整合歯部は、残りの前記動作部材の整合歯部に対して歯位相が整合することを特徴とする車両用変速操作装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、各前記動作部材のシフト方向へのシフトストローク量は、整数×歯数となるように設定されていることを特徴とする車両用変速操作装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項において、奇数段の車速段用の複数の駆動ギヤを備える第1入力軸に接続された摩擦係合式の第1クラッチと、偶数段の車速段用の複数の駆動ギヤを備える第2入力軸に接続された摩擦係合式の第2クラッチとを備えた複数クラッチを備えた車両変速装置に搭載されていることを特徴とする車両用変速操作装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、前記切替係合体はロック部材を有しており、前記ロック部材は、前記動作部材群を構成する各前記動作部材の前記整合歯部に噛合するロック用歯部を有することを特徴とする車両用変速操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−29511(P2006−29511A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211946(P2004−211946)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】