説明

車両用操作システム

【課題】 複数の文字が配列表示される文字入力画面において、上下左右に移動可能なカーソルの移動先が容易に分かるようにする車両用操作システムを提供する。
【解決手段】 車両用操作システム1000において、表示器5の表示面500上において、カーソル80Aにより選択中の文字8aを中心とする上下左右4方向のうち、該選択中の文字8aに隣接する隣接文字9cが存在する隣接方向のいずれかに、選択可能な隣接文字9c(9a)が0又は2以上特定される所定選択画面100が表示された際に、制御部10は、選択可能な隣接文字9c(9a)が0又は2以上特定される隣接方向側において、当該隣接方向に対応する方向に操作手段を操作することによりカーソル80Aが次に移動する先の文字8bを、当該隣接方向毎に特定し、特定された次の移動先文字8bを示す移動先表示部80Bを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示器の表示面上に選択的に操作入力可能となる複数の選択領域を表示し、それら選択領域を択一的にカーソル選択するための操作が可能な操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の操作装置として、ユーザーの前方に位置する表示装置の表示面上に、入力候補となる複数の文字を複数行複数列にて配列した文字入力画面(アルファベット入力画面や50音文字入力画面等)を表示し、表示面上に設けられたタッチパネルへのタッチ入力によって、表示された各文字を順次入力するものが知られている。また、近年においては、文字入力画面上の各文字を、ユーザーの手元に配置された操作部を操作して遠隔的に入力する操作装置も開発されており、この場合の遠隔操作部として、表示面上にて配列表示されている文字上にてカーソルを上下左右に順次移動させるために、十字状4方向に操作可能な十字方向操作部を設けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−50768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような十字方向操作部を設けた場合には、カーソルの次の移動先となる文字がどれなのかが分かりづらい場合がある、という問題がある。
【0005】
例えば、上記のような文字入力画面においては、ユーザーが文字を順次入力していくと、入力された入力文字列を先頭に含む文字列を、記憶装置中の辞書データから検索し、その検索した文字列において当該入力文字列に続く文字を取得し、取得できた文字を選択可能、それ以外の文字を選択不可とする技術がある(特許文献1)。この場合、十字方向操作部でカーソル移動を行うと、カーソルは、選択不可の文字をスキップする。カーソル位置に隣接した真上、真下、真横の文字が選択不可の文字の場合、スキップ後、どの文字にカーソルが移動するのか分かりづらい。例えば、図25の文字入力画面98に示すように、カーソル80Aが「よ」の位置にある状態で十字方向操作部を右方向に操作した場合に、カーソル80Aが右側へ移動することは分かるものの、具体的にどこに移動するのかがわかりにくい。即ち、少し離れているが同じ行にある「く」にカーソル80Aが移動することも考えられるし、右側で最も近い位置にある「み」にカーソル80Aが移動することも考えられ、カーソル80Aの移動先を1つに絞り込むことができない。このため、意図しない文字にカーソル80Aが移動してしまうなど、入力に時間がかかってしまうことがある。
【0006】
また、例えば、アルファベット入力画面において多くみられるような、パソコンのキーボードと同様、隣接する行同士で文字の配列を並び方向にずらした画面がある。この場合、文字が単純に格子状配列される場合よりも特徴的なデザイン性をもたせることができるし、パソコン操作に慣れたものにとっては使い勝手がよいというメリットが得られる。ところが、十字方向操作部を上下に動かした時のカーソルの移動先が分かりづらい。例えば、図26の文字入力画面99に示すように、カーソル80Aが「G」の位置にある状態で十字方向操作部を下方向に操作した場合、カーソル80Aが「V」に移動するのか「B」に移動するのかが分からない。このため、意図しない側の文字にカーソル80Aが移動してしまうなど、入力に時間がかかってしまうことがある。
【0007】
つまり、カーソル位置の上下左右4方向側にて隣接する選択可能な文字が、それぞれの方向で1つだけ存在する場合には、カーソルの次の移動先は、その隣接する文字となるため分かりやすいが、隣接する文字が選択可能ではないために遠くの別の文字にスキップしてしまう場合(図25)や、隣接する選択可能な文字が複数存在する場合(図26)に、カーソルの次の移動先がわかりにくくなるのである。
【0008】
本発明の課題は、複数の文字が配列表示される文字入力画面において、上下左右に移動可能なカーソルの次の移動先が容易に分かるようにする車両用操作システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の車両用操作システムは、
表示面上に複数の文字を配列表示する表示手段と、配列表示された各文字上にてカーソルを順次移動させることにより1つの文字を選択する選択操作と選択中の文字に対する決定入力操作とが可能な操作手段と、決定入力された文字を順次受け付ける入力受付手段と、を備える車両用操作システムにおいて、
前記操作手段は、前記表示面上の上下左右4方向のそれぞれに対応する操作が可能に構成され、前記表示面上のカーソルを、該カーソルが選択中の文字から、当該操作に対応する方向側の選択可能な文字に移動可能であり、
前記表示手段は、前記表示面上において、前記カーソルが選択中の文字を中心とする上下左右4方向のいずれかに、該カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する所定選択画面を表示可能であり、
前記所定選択画面内にて、前記カーソルが選択中の文字を中心とする上下左右4方向のうち、該カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、当該隣接方向に対応する方向に前記操作手段が操作された場合に前記カーソルが移動する先である移動先文字を特定する移動先特定手段を備え、
特定された前記移動先文字を示す移動先表示を前記表示手段に対し実施させる移動先表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明は、表示面上において、カーソル選択中の文字に対しその上下左右4方向のいずれかにおいて隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上特定される所定選択画面を表示可能な表示手段を備えることが前提となる発明であり、この所定選択画面が表示される場合に、選択可能な隣接文字が0又は2以上特定された側においてカーソルの次の移動先が明示される。これにより、ユーザーは、カーソルの次の移動先を把握することができるから、意図しない文字にカーソルを移動させてしまい、入力に時間がかかるといった問題を防止できる。なお、ここでいう「文字」とは、言語の伝達手段として使われる符号であり、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、数字、空白、濁点、半濁点、句読点、長音符などの記号を含むが、リターンキーや戻るボタン、各種変換キー等の機能実行ボタンは含まれない。
【0011】
本発明における移動先表示は、配列表示される前記複数の文字のうち、カーソルの次の移動先となる文字を残余の文字よりも相対的に強調する強調表示の形でなされるものとできる。これにより、カーソルの次の移動先がより一層分かりやすくなる。この強調表示は、例えば、配列表示される前記複数の文字のうち、カーソルの次の移動先となる文字に対する表示内容及び表示領域のいずれか又は双方の表示状態を、残余の文字と異なるような表示状態とする形でなされてもよいし、カーソルの次の移動先となる文字を指し示す方向指示図形を表示する形でなされてもよい。
【0012】
本発明における前記移動先表示は、前記移動先文字のうち、前記カーソルが選択中の文字に対する上下左右4方向のいずれかの方向にて隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上特定される隣接方向側の移動先文字を、残余の側にて前記カーソルの移動先となる前記隣接文字よりも強調する形でなされるものとできる。これにより、移動先が分かりにくいものほど表示面上で強調されるので、ユーザーはより一層カーソルの移動先をより明確に把握できる。特に、カーソルの次の移動先が隣接文字をスキップした先にあるような場合、移動先(スキップ先)の文字が離れていると、それを探すのに時間がかかってしまう可能性があるが、そうした文字が強調されていれば、時間をかけることなく見つけ出すことが可能となる。
【0013】
また、本発明においては、カーソルにより選択中の文字を、残余の文字よりも相対的に強調して表示するカーソル文字強調表示制御手段を備えることができる。これにより、現在のカーソル位置も容易に認識可能となる。
【0014】
本発明における前記所定選択画面は、前記カーソルが選択可能な選択可能文字と選択不可能な選択不可文字とを表示するとともに、前記カーソルが選択中の文字を中心とする上下左右4方向のいずれかの方向にて隣接する隣接文字が前記選択不可文字とされた画面であり、本発明における操作手段は、上記操作により、前記カーソルが選択中の文字から、該選択中の文字に隣接する前記選択不可文字をスキップし、当該選択不可文字側に位置する選択可能な文字へと前記カーソルを移動させるものととできる。カーソルの次の移動先が、カーソル位置に隣接する文字をスキップした位置であったとしても、本発明ではその移動先が明確に示されるから、操作性に優れる。
【0015】
本発明においては、辞書データとして複数種の文字列を記憶する辞書データ記憶手段と、前記辞書データに含まれる文字列から、前記入力受付手段が順次受け付けた文字からなる入力文字列を含む辞書文字列を検索し、当該辞書文字列において当該入力文字列の次に続く候補文字を検索する検索手段と、前記表示手段に対し、配列表示される前記複数の文字のうち、前記候補文字のみを前記選択可能文字として設定し、残余の文字を前記選択不可文字として設定する選択制限設定手段と、
を備えて構成できる。この構成によると、カーソル位置に隣接する文字が選択不可となることがあり、その文字がスキップされる形でカーソル移動がなされる場合があるが、本発明では、スキップした先にある移動先の文字が明確に示される。
【0016】
本発明の移動先特定手段は、カーソル選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、該カーソル選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、該カーソル選択中の文字からの距離がより近い位置にある文字を優先する形で、当該隣接方向側における移動先文字を決定するものとできる。
【0017】
本発明の移動先特定手段は、カーソル選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、該カーソル選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、該カーソル選択中の文字が属する行により近い行に含まれる文字を優先する形で、当該隣接方向側における移動先文字を決定するものとできる。
【0018】
本発明の移動先特定手段は、カーソル選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、該カーソル選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、カーソル選択中の文字が属する列により近い列に含まれる文字を優先する形で、当該隣接方向側における移動先文字を決定するものとできる。
【0019】
本発明においては、表示手段の表示面上において、カーソル位置に対する優先側を定めた優先方向情報を記憶する優先方向記憶手段を備えることができる。この場合、移動先特定手段は、カーソル選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、カーソル選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、優先方向情報により定められた優先側の文字を優先する形で、当該隣接方向側における移動先文字を決定するものとできる。
【0020】
上記した記憶手段と検索手段と選択制限手段とを備える構成において、本発明の移動先特定手段は、カーソル選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、カーソル選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、入力受付手段により既に受け付けられた入力文字列の後につなげて得られる文字列を含む辞書文字列を辞書データに基づいて検索し、検索ヒット数が最も多かった、入力文字列の後に続く文字を優先する形で、当該隣接方向側における移動先文字を決定するものとできる。
【0021】
本発明において、所定選択画面に配列表示される複数の文字は、複数の行又は複数の列から形成されており、該複数の行又は列を形成する文字列のうち、第一の文字列とこれに隣接する第二の文字列は、該第一の文字列に属する各文字と該第二の文字列に属する各文字とが配列方向に互いにずれて位置していてもよい。この場合、カーソル位置の上下左右方向のいずれかにおいて、隣接する文字が複数存在するものがでてくることになるが、本発明によればカーソルの移動先が示されるから、誤ることなく操作ができる。
【0022】
本発明においては、所定選択画面を表示する場合に、前記カーソルにより前記第一の文字列に属する文字が選択された場合には、該第一の文字列と前記第二の文字列との間で、前記配列方向のずれがなくなるよう、該第一の文字列と該第二の文字列のいずれか又は双方を前記配列方向に移動させるズレ補正を実施するズレ補正手段を備えて構成することができる。この場合、移動先表示制御手段は、ズレ補正がなされた画面上にて、表示手段に対し移動先表示を実施させるものとできる。隣接する列同士又は隣接する行同士で、互いにズレがあるような表示は、デザイン的な特徴は出るものの、実際に操作する際にはカーソルの移動先を直感的に把握し難いものである。ところが、操作時にそのズレが補正されることにより、カーソルの移動先がより直感的に把握し易くなる。
【0023】
本発明においては、所定選択画面を表示する場合に、カーソル選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0となる隣接方向側において特定された移動先文字を、該カーソル選択中の文字側に接近させ、選択不可の文字上に重なって見えるように表示させる接近表示を、表示手段に対し実施する移動先文字移動手段を備えて構成することができる。この場合、移動先表示制御手段は、接近表示がなされた画面上にて、表示手段に対し移動先表示を実施させるものとできる。カーソル位置に隣接する文字が選択不可になる場合に、選択不可の文字をスキップしてカーソルが移動することで移動先が分かり難くなるのであるから、上記のように、移動先の文字を、カーソル位置により近いところまで移動させてこれば、カーソルの移動先をより直感的に把握し易くなる。
【0024】
また、本発明における移動先文字移動手段は、カーソル選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0となる隣接方向側において特定された移動先文字が、該カーソル選択中の文字の当該隣接方向側にて隣接する隣接文字上に重なって見えるように、表示手段に対し接近表示を実施させるものとできる。この構成によると、移動先の文字が、カーソル位置に隣接するところまで移動されるので、カーソルの移動先をより直感的に把握することができる。
【0025】
なお、本発明の移動先表示制御手段は、移動先表示として、選択中の文字に対し隣接する選択可能な隣接文字が1のみ特定される隣接方向側においても、当該隣接文字を次の移動先となる文字として示す表示を、表示手段に対し実施させてもよい。これにより、十字状4方向全てにおいてカーソルの移動先が示されるから、カーソルの移動先をより明確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態である車両用操作システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の操作入力システムが搭載された車両の車室内内観図。
【図3】本発明の操作入力システムに適用可能な操作部の第一例を簡略的に示す図。
【図4】文字入力画面の表示処理の流れを示すフローチャート。
【図5】カーソルの次の移動先を特定する処理の流れを示すフローチャート。
【図6】カーソル位置に隣接する選択可能文字が0又は2以上存在する側において、カーソルの次の移動先を決定する処理の流れを示すフローチャート。
【図7】決定入力処理の流れを示すフローチャート。
【図8】本発明の所定選択画面を示す第一の表示例。
【図9】本発明の所定選択画面を示す第二の表示例。
【図10】本発明の所定選択画面を示す第三の表示例。
【図11】本発明の所定選択画面を示す第四の表示例。
【図12】本発明の所定選択画面を示す第五の表示例。
【図13】本発明の所定選択画面を示す第六の表示例。
【図14】本発明の所定選択画面を示す第七の表示例。
【図15】本発明の所定選択画面を示す第八の表示例。
【図16】本発明の所定選択画面を示す第九の表示例。
【図17】本発明の所定選択画面を示す第十の表示例。
【図18】カーソル位置の上下左右に隣接する隣接文字が、上下左右のいずれかで複数存在する場合に、カーソルの次の移動先を決定する処理の流れを示すフローチャート。
【図19】カーソル位置の上下左右に隣接する隣接文字が、上下左右のいずれかで複数存在する場合に、複数の中から1つの隣接文字を決める処理の流れを示すフローチャートの第一例。
【図20】カーソル位置の上下左右に隣接する隣接文字が、上下左右のいずれかで複数存在する場合に、複数の中から1つの隣接文字を決める処理の流れを示すフローチャートの第二例。
【図21】移動先文字を移動させた上で強調表示する処理を示すフローチャートの第一例。
【図22】移動先文字を移動させた上で強調表示する処理を示すフローチャートの第二例。
【図23】カーソル位置に隣接する選択可能文字が0又は2以上存在する側において、カーソルの次の移動先を決定する処理であり、図6とは異なる処理の流れを示すフローチャート。
【図24】カーソル位置に隣接する選択可能文字が0又は2以上存在する側において、カーソルの次の移動先を決定する処理であり、図6及び図23とは異なる処理の流れを示すフローチャート。
【図25】従来の文字入力画面を示す第一の表示例。
【図26】従来の文字入力画面を示す第二の表示例。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の操作装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
図1に、本発明の車両用操作システムの一実施形態をなすカーナビゲーション装置1000の構成を示す。カーナビゲーション装置1000は、位置検出器1、外部記憶装置2、操作部3、リモコンセンサ40、表示制御回路50と、これらが接続された制御部(制御回路)10を備えている。また、カーナビゲーション装置1000は、車載LAN6を介して他の車載機器7と接続しており、操作部3の操作によってカーナビゲーション装置1000、並びにこれら車載機器7を制御することができる。車載機器7としては、カーエアコン、カーオーディオ、通信装置等を例示できる。
【0029】
表示器5は、表示制御回路50を介して制御部10に接続されており、液晶ディスプレイ等の表示面500およびスピーカを有して構成される。制御部10から映像信号の入力があると、当該映像信号に基づく映像が表示面500上に表示される一方、制御部10から音声信号の入力があると、当該音声信号に基づく音声がスピーカから出力される。
【0030】
操作部3は、表示器5の表示面500の周囲に設けられた複数のメカニカルスイッチ及び当該表示面500に重ねて設けられたタッチパネル等の主操作部31の他に、表示器5とは別に設けられた遠隔操作部32を有する。それら操作部3に対し操作がなされると、対応する操作信号が制御部10に入力され、該制御部10は、入力された操作信号に対応する制御を実行する。
【0031】
本実施形態における表示器5は、表示面500上に複数の選択領域8を配列表示した選択入力画面100を表示可能な表示手段であり、制御部10は、選択入力画面100上に配列表示された選択領域8のいずれかに対応するタッチパネル31上の領域がタッチ操作されることにより、当該選択領域8に対する決定入力信号を受け付け、当該選択領域8に対応する制御を実行する。他方、遠隔操作部32(さらにはリモコン4)は、選択入力画面100上に配列表示された各選択領域8上にてカーソル80Aを順次移動させることにより1つの選択領域8を選択する選択操作と、カーソル選択中の選択領域8aに対する決定入力操作とが可能な操作手段である。選択入力画面100上に配列表示された複数の選択領域8の1つがターゲットに選ばれ、表示器5は、ターゲットとされた選択領域8aにカーソル80Aを表示して、他の選択領域8よりも強調して表示する。遠隔操作部32(さらにはリモコン4)によって、表示面500の上下左右4方向のいずれかの方向にカーソル80Aを移動させる選択操作がなされた場合には、当該操作に対応する方向側に位置する選択可能な選択領域8bへとターゲットが変更され、カーソル80Aが移動する。そして、いずれか1つの選択領域8がターゲットとされた状態(選択状態)で、遠隔操作部32やリモコン4等による所定の決定入力操作がなされると、制御部10は、そのときターゲットとされていた選択領域8に対する決定入力信号を受け付け、当該選択領域8に対応する制御を実行する。
【0032】
また、ここでの遠隔操作部32は、表示器5とは異なる位置に設けられており、複数種の操作方式による操作をそれぞれ独立に実施可能に構成された複合操作部として構成されている。ここでは、図3に示すように、表示面500上に多数配列表示される選択可能な選択領域8(9a)上を順次移動するカーソル80Aを上下左右4方向に移動するために、操作ノブ320を十字方向に移動(スライドや傾倒等)させる十字方向操作方式と、それら十字方向に直交する方向に操作ノブ320を押圧する押圧操作方式とが可能とされている。このように、1つの操作ノブ320にて複数の操作方式の操作が可能な複合操作部32は、特開2009−176432や特開2009−064638に見られるように周知であるから、その具体的な内部構成についての説明は省略する。
【0033】
また、ここでの遠隔操作部32は、操作ノブ320が予め定められた基準位置から予め定められた十字方向へのみに移動操作可能となるようガイドされる。ここでは特に、操作ノブ320が予め定められた基準位置を中心に車両前後方向と車両左右方向の4方向への操作が可能に構成され、それら操作方向のうち車両前後方向が表示器5の表示面500の上下方向に対応し、車両左右方向が表示器5の表示面500の左右方向に対応している。また、遠隔操作部32は、非操作状態にある場合には操作ノブ320が基準位置(中立位置)にて保持されるよう付勢手段(ばね部材等)や反力付与手段(反力モータ等)といった基準位置保持手段を備える。
【0034】
リモコンセンサ40は、ユーザーの操作に基づいて赤外線等による無線信号を送信するリモートコントロール端末(以下、リモコンと称する)4から受信した信号を制御部10に出力する。
【0035】
位置検出器1は、いずれも周知の地磁気センサ1a、ジャイロスコープ1b、車速センサ1c、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(GlobalPositioningSystem)のためのGPS受信機1Dを有し、これらのセンサ等1a〜1dの検出に基づいた現在位置情報を制御部10に出力する。これらのセンサ等1a〜1dは各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサを相補的に使用するように構成されている。なお精度によっては上述した内の一部で構成されていてもよく、更に図示しないステアリングの回転センサ、各駆動輪の車輪センサ等を有していてもよい。
【0036】
外部記憶装置2は、HDD(ハードディスクドライブ)等の不揮発性記憶媒体を備え、制御部10からの制御命令等に基づいて、この不揮発性記憶媒体に対してデータの読み出しおよび可能であればデータの書き込みの制御を行う。この不揮発性記憶媒体が記憶している情報としては、上記した位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データおよび目印データを含む各種データ、カーナビゲーション装置1000の動作のためのプログラム等がある。
【0037】
制御部10は、周知のマイクロコンピュータとして構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらを接続するバスラインを備える。制御部10は、ROMや外部記憶装置2から読み出したカーナビゲーション装置1000の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはROM、RAM、フラッシュメモリから情報を読み出し、RAM、フラッシュメモリに対して情報の書き込みを行い、I/Oを介して位置検出器1、操作部3、外部記憶装置2、表示制御回路50(表示器5)、リモコンセンサ40(リモコン4)等と信号の授受を行う。
【0038】
具体的には、この制御部10は、カーナビゲーション装置1000が起動するとき、ROMからブートプログラム、オペレーティングシステム(以下OSと記す)等を読み出して実行し、このOSに基づいたハードウェア制御およびプロセス管理を行う。OS上で動作するプロセスとしては、メニュープログラム、経路探索プログラム、地図表示プログラム、およびその他のプログラムがある。
【0039】
以下では、制御部10がプログラムを読み込んで実行する動作を、当該実行されるプログラムの動作であるとみなして説明する。
【0040】
メニュープログラムは、OS上で動作する各種プログラムを、そのプログラムの機能や目的別に階層的にメニュー表示し、そのメニュー表示されたものの中からユーザーが選択したプログラムの実行を開始させる。ユーザーの選択は、リモコンセンサ40を介したリモコン4、操作部3に対する選択操作や決定入力操作によって制御部10に入力された信号に基づいて制御部10が検出する。なお、上記メニュー表示を含む各種表示画面の表示は、外部記憶装置2に記憶された表示用データに基づいて表示され、制御部10がその表示制御を実施する。
【0041】
経路探索プログラムは、リモコン4により、あるいは操作部3により目的地の位置が入力されると、現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して誘導経路を形成し表示器5に表示させる。自動的に最適な経路を設定する手法としては、ダイクストラ法等が知られている。
【0042】
地図表示プログラムは、位置検出器1から入力された現在位置情報に基づく車両現在位置マークと、外部記憶装置2より読み出した地図データと、経路探索プログラムによって形成した誘導経路等の付加データとを重ねてその表示器5の表示面500に表示させる。
【0043】
本実施形態の経路探索プログラムは、目的地の入力方法の1つとして、目的地にある施設の名称の文字列を入力することが可能である。即ち、経路検索プログラムは、ユーザーによる目的地の名称の文字列入力を受けると、外部記憶装置2の地図データに予め含まれている、あるいは別途ユーザーによって作成されて外部記憶装置2に保存されている地点情報から当該名称を有する施設を検索し、検索の結果該当した施設への経路探索、経路表示を行う。このような機能を実現するために、経路検索プログラムは、ユーザーの入力文字列を容易にするための文字入力プログラムを利用するようになっている。
【0044】
具体的には、経路探索プログラムは、経路探索の目的地の文字列入力を受け付ける際に、文字入力プログラムを起動する。そして以下に詳述するように文字入力プログラムは、外部記憶装置2に記憶された所定の表示用データに基づいて表示器5の表示面500に、図8のような多数の入力候補文字を有する文字入力画面100を表示し、その上でユーザーの操作部3やリモコン4の操作に基づいて決定入力された文字を順次受け付けるとともに、順次受け付けた文字からなる入力文字列を特定し、特定した入力文字列を経路探索プログラムに出力して終了する。
【0045】
図4〜図7に、この文字列入力プログラムの動作のフローチャートを示す。文字列入力プログラムは、上記のように経路探索プログラムによって起動されると、図4の表示処理と図7の文字入力処理とが制御部10により実行され、表示器5の表示面500には、図8のような文字入力画面100(101)が表示される。
【0046】
図8の所定選択画面100(101)は、各々が同一の大きさ・形状を有し、各々が入力候補となる各文字の表示を有する複数の文字ボタン(選択領域8)が配列している入力候補文字部100bと、決定入力された文字が順次表示される入力文字列表示部100aとを有する。また、本実施形態における所定選択画面100(101)には、他にも、戻る操作部100d、修正操作部100e、完了操作部100fといった選択領域8を有する。なお、これらの他にも、現在表示中の入力候補文字に代えて50音のひらがなを文字ボタンとして表示させるかなボタン、現在表示中の入力候補文字に代えて50音のカタカナを文字ボタンとして表示させるカナボタン、現在表示中の入力候補文字に代えて英字(A、B、C、+、=等)を文字ボタンとして表示される英字ボタン、現在表示中の入力候補文字に代えて数字(0、1、2、3、4、5、6、7、8、9)を文字ボタンとして表示させる数記号ボタン等のような入力切替部を選択領域8として備えていてもよい。
【0047】
図8の入力候補文字部100bには、通常の50音表の様式で並べられた入力候補文字としての文字ボタン(選択領域8)がマトリクス状に表示されており、表示面500上でのこれらの文字ボタンの表示を利用して、ユーザーは文字を入力することができる。具体的には、図7の入力処理を制御部10が実行することで、ユーザーによる文字入力が可能となる。
【0048】
なお、以下において、文字の選択・決定入力とは、その文字に対応する選択領域8(文字ボタン)の選択・決定入力のことであり、文字に対する選択操作・決定入力操作とは、その文字に対応する選択領域8(文字ボタン)に対する選択操作・決定入力操作のことを意味するものとする。
【0049】
ここで、図7の文字入力処理(決定入力処理)について説明する。
【0050】
制御部10は、S11にて決定入力操作がなされたか否かを判定し、決定入力がなされたと判定された場合にはS12に進んで、図8の文字入力画面100において、決定入力操作時に選択されていた文字に対する決定入力を新たに受け付けるとともに(入力受付手段)、入力文字列表示部100aにおいて、既に入力された文字列の次に続く形で、新たに受け付けた文字を表示する。即ち、入力文字列表示部100a内のプロンプトが表示されている位置に決定入力がされた文字が表され、プロンプトはその表した文字の右側に移動されるような表示を表示器5に行わせる。
【0051】
続くS13では、既に入力された文字列の次に新たに受け付けた文字を続けた入力文字列を、外部記憶装置2が記憶する辞書データと比較し、当該入力文字列の次に文字列が続く辞書文字列を検索し、当該入力文字列の次に続く文字(候補文字)と続かない文字とのいずれか又は双方を特定する処理を、制御部10が行う。ここでは、外部記憶装置2が記憶する地点情報に含まれる地点の名称のうち、その名称を表す文字列が当該入力文字列から始まっているもの、又は当該入力文字列を含むものを制御部10のメモリ内の所定領域にリストアップし、リストアップした地点の名称のそれぞれについて、当該入力文字列の次に続く文字(候補文字)を抽出して、そのリストを制御部10のメモリ内に作成し、更には抽出されなかった文字のリストも当該メモリ中に作成する。そして、制御部10は、これらのリストを参照する形で、選択可能文字と選択不可文字とに分類し、選択可能・選択不可の設定を行う。即ち、当該入力文字列の次に続く文字(候補文字)があると判定された場合には(S14:Yes)、その文字をカーソル選択できない選択不可文字として設定する一方(S15)、残余の文字(当該入力文字列の次に続かない文字)をカーソル選択ができる選択可能文字として設定し(S16)、本処理を終了する。検索によって次に続かない文字がないと判定された場合には(S14:No)、全ての文字を選択可能文字として設定し(S16)、本処理を終了する。この処理は所定周期にて繰り返し実施される。
【0052】
なお、ここでの辞書データとは、外部記憶装置2が記憶する地点情報に含まれる地点の名称の集合に対応し、辞書文字列とは、辞書データがその要素として有するものであって、ここでは各地点の名称を表す文字列が対応する。また、次に続く文字とは、リストアップした地点の名称において、上記入力文字列の次に続く文字のことである。
【0053】
次に、図4の表示処理(移動先表示制御手段)について説明する。
【0054】
制御部10は、S1にて、文字入力画面100を初期表示するための初期設定を行い、ここでは、カーソル80Aの初期位置の設定や選択可能領域9a/選択不可領域9bの初期設定等がなされ、それらの設定情報が制御部10のメモリ内に記憶される。S2では、カーソル80Aの現在位置を、制御部10のメモリ内に記憶されたカーソル位置情報に基づいて特定する。S3では、配列表示された各選択領域8が選択可能領域9aと選択不可領域9bのいずれであるかを特定する。これらは、制御部10のメモリ内に作成される上記リストを参照し、選択可能文字の選択領域8を選択可能領域9a、選択不可文字の選択領域8を選択不可領域9bと特定する。S4では、特定されたカーソル80Aの現在位置の上下左右4方向のそれぞれにおけるカーソル80Aの次の移動先を、制御部10のメモリ内に記憶されるカーソル移動先情報に基づいて特定する。S4における移動先の特定処理(移動先特定手段)は、ここでは図5のようにして行う。
【0055】
図5において、S41では、制御部10がカーソル80Aの位置する選択領域8aの上下左右に隣接する選択領域(以下隣接選択領域という)9cを特定する。S42では、制御部10が、S41において特定した隣接選択領域9cとして、上下左右の各方向でそれぞれ1つの選択可能領域を特定しているか否かを判定する。ここでは、選択可能文字に対応する選択領域8が選択可能領域9a、選択不可文字に対応する選択領域8が選択不可領域9bであり、上記リストを参照して制御部10が判定する。カーソル80Aの現在位置の上下左右全ての隣接選択領域9cとして、選択可能領域9aがそれぞれ1つだけ特定されていればS43に進み、それらの選択領域9c(9a)を全て、カーソル80Aの次の移動先となる移動先選択領域8bとして決定・記憶する。他方、カーソル80Aの位置の上下左右方向に隣接する隣接選択領域9cとして、選択可能領域9aが1つだけ特定されなかった未特定方向がある場合には、S44にて、制御部10が、上記未特定方向側における移動先決定処理を、図6のようにして行い、移動先選択領域8bを1つ決定・記憶する一方、S45にて、残余の方向側(隣接選択領域9cとして選択可能領域9aが1つだけ特定された側)については、特定された1つの選択可能領域9aを移動先選択領域8bとしてそのまま決定・記憶し、本処理を終了する。なお、S43〜S45で決定された移動先選択領域8bは、カーソル移動先情報として制御部10のメモリ内に記憶される。
【0056】
図6は、上記未特定方向側において、移動先選択領域8bを決定・記憶する処理の一例である。ここでは、上記未特定方向ごとにこの処理が実行されて、各未特定方向側において移動先選択領域8bがそれぞれ1つ決定される。上記未特定方向における移動先選択領域8bは、上記未特定方向側に存在する選択可能領域9aのうち、カーソル80Aが現在位置する選択領域8aから当該未特定方向に続く行又は列に対し、より近い行又は列に存在する選択可能領域9aから優先的に決定される。即ち、上記未特定方向が左右方向のいずれか又は双方の場合は、上記未特定方向側に存在する選択可能領域9aのうち、カーソル80Aが現在位置する選択領域8aから当該未特定方向に続く行に対し、より近い行に存在する選択可能領域9aから優先的に決定され、上記未特定方向が上下方向のいずれか又は双方の場合は、上記未特定方向側に存在する選択可能領域9aのうち、カーソル80Aが現在位置する選択領域8aから当該未特定方向に続く列に対し、より近い列に存在する選択可能領域9aから優先的に決定される。
【0057】
ここで、図6の処理を、図8の文字入力画面101を用いて具体的に説明する。まずはS441にて、制御部10が、上記未特定方向側の選択領域8のうち、カーソル80A(81A)が位置する選択領域8aから当該未特定方向に続く行又は列に、選択可能領域(選択可能文字)9aが存在するか否かを判定する。存在する場合はS447に進み、それらの中で最もカーソル80Aの位置に近い位置の選択可能領域(選択可能文字)9aを特定し、これを移動先選択領域(移動先文字)8bとして決定・記憶して本処理を終了する。例えば、図8の場合、カーソル81Aは「よ」に位置しており、その下には選択可能文字9aが隣接するが、他の上・左・右の三方向には選択不可文字9bが隣接しているから、これら3方向が上記未特定方向側である。そして、カーソル81Aが位置する「よ」の右側(「や」〜「゜」の列よりも右側:「や」〜「゜」の列は含まない)において、「よ」と同一行の選択可能文字9aとして「く」と「う」が存在しているから、カーソル81Aが位置する「よ」に最も近い「く」が移動先文字8bに決定・記憶される。また、同様にして、カーソル81Aが位置する「よ」の左側の移動先文字8bには「ぅ」が決定・記憶される。他方、上記未特定方向側の選択領域8のうち、カーソル80A(81A)が位置する選択領域8aから当該未特定方向に続く行又は列に、選択可能領域(選択可能文字)9aが存在しない場合はS442に進む。
【0058】
S442では、上記未特定方向側の選択領域8のうち、カーソル80A(81A)が位置する選択領域8aから当該未特定方向に続く行又は列に隣接する行又は列に、選択可能領域(選択可能文字)9aが存在するか否かを判定する。存在する場合はS448に進み、それらの中で最もカーソル80Aの位置に近い位置の選択可能領域(選択可能文字)9aを特定し、それが複数なければ(S449:No)その選択可能領域(選択可能文字)9aを移動先選択領域(移動先文字)8bとして決定・記憶して本処理を終了する一方(S451)、複数ある場合には(S449:Yes)、予め定められた優先方向情報に基づく優先側の選択可能領域(選択可能文字)9aが移動先選択領域(移動先文字)8bに決定・記憶されて本処理を終了する(S450)。例えば、図8の場合、カーソル81Aの位置の上側(「う」〜「ょ」の行よりも上側:「う」〜「ょ」の行は含まない)において、「よ」と同一列に選択可能文字9aは存在しておらず、当該列に隣接する列に選択可能文字9aとして「り」と「ら」と「み」が存在しているから、カーソル81Aが位置する「よ」に最も近い「り」と「み」が移動先文字8bの候補に絞られる。ここでは、カーソル位置に対する「左上」と「右下」を優先側と定めた優先方向情報が外部記憶装置(優先方向記憶手段)2に予め記憶されているから、制御部10は、これを参照して、ここでは左上側に位置する「り」を移動先文字8bとして決定・記憶する。他方、S442にて、上記未特定方向側の選択領域8のうち、カーソル80A(81A)が位置する選択領域8aから当該未特定方向に続く行又は列に隣接する行又は列に、選択可能領域(選択可能文字)9aが存在しない場合はS443に進む。
【0059】
S443では、上記未特定方向側の選択領域8のうち、カーソル80Aが位置する選択領域8aまでの、表示面500上での距離(例えば、双方の選択領域8の重心位置間距離や、双方の選択領域8の外縁間に定められる最も短い距離)が最も近い選択可能領域(選択可能文字)9aを特定し、それが複数なければ(S444:No)、その選択可能領域(選択可能文字)9aを移動先選択領域(移動先文字)8bとして決定・記憶して本処理を終了する一方(S445)、複数ある場合には(S444:Yes)、上記優先方向情報に基づいて、予め定められている優先側の選択可能領域(選択可能文字)9aを移動先選択領域(移動先文字)8bとして決定・記憶して本処理を終了する(S446)。
【0060】
図4に戻る。制御部10は、S4にて、カーソル80Aの現在位置の上下左右4方向においてカーソル80Aの次の移動先をそれぞれ1つずつ特定すると、S5では、S2〜S4にて特定された情報に基づく制御信号を表示制御回路に出力し、表示器5の表示面500上に図8のような文字入力画面100を表示させる。
【0061】
図8の所定選択画面101(100)は、カーソル80A(81A)によって選択されている文字8aに対する上下左右4方向のうち、当該文字8aに隣接する隣接文字9cが存在する隣接方向のいずれかにおいて、選択可能な隣接文字9a(9c)が表示面500上で一つも特定されていない画面、即ち、該隣接方向のいずれかにおいて選択不可な隣接文字9b(9c)が特定される画面である。当該選択不可な隣接文字9b(9c)側に対応する方向に遠隔操作部32が操作されたときには、当該隣接文字9b(9c)がスキップされる形で、カーソル80A(81A)が、選択中の文字8aから当該選択不可文字9b(9c)側に位置する選択可能文字9aへと移動する。このときに移動先となる選択可能文字9a(移動先選択領域8b)は、上記図5の処理により決定される。
【0062】
また、図8の所定選択画面101(100)は、選択可能領域9aと選択不可領域9bを有し、これらを表示面500上で見分けることができるように表示させた選択制限画面である。図8の所定選択画面101では、選択可能文字9aが選択不可文字9bよりも相対的に強調されており、ここでは特に選択可能文字9aを通常表示とし、選択不可文字9bを通常表示よりも強調レベルの低い非強調表示とする形でそれぞれが識別可能に表示されている。
【0063】
さらに、図8の所定選択画面101(100)は、カーソル80A(81A)により選択中の文字8aを中心とする表示面500上の上下左右4方向のうち、選択可能な隣接文字9c(9a)が一つも特定されていない隣接方向側において、カーソル80Aの次の移動先となる移動先文字8bを明示するための移動先表示が実施された画面である。この移動先表示は、次の移動先となる選択可能文字9a(8b)が残余の選択可能文字9aよりも相対的に強調されるよう、移動先表示部80Bを表示する形でなされる。例えば、次の移動先となる選択可能文字8b(9a)に対し、その表示内容及びその表示領域(選択領域)のいずれか又は双方の表示状態を、残余の選択可能文字とは異なるような表示状態とする形で行う。図8の場合は、カーソル80Aの次の移動先となるの文字の選択領域8bにおいて、その輪郭線81Bが移動先表示部80Bであり、当該輪郭線81Bが赤色の太線で描画されるハイライト表示によって強調されている。
【0064】
また、図8の移動先表示では、カーソル81Aにて選択中の文字8aに対し選択可能な隣接文字9c(9a)が1のみ特定される隣接方向側(図8では下側)においても、当該隣接文字9c(9a)を次の移動先となる文字8bとして強調表示を実施している。即ち、カーソル80Aの現在位置の上下左右4方向全てにおいて、カーソル80Aの次の移動先選択領域8bを示している。
【0065】
また、図8の所定選択画面101(100)は、カーソル選択中の文字8a(9a)も、残余の選択可能文字9aよりも相対的に強調して表示されており、ここでは、カーソル選択中の文字の選択領域8aにおいて、その輪郭線81Aを青色の太線で描画したハイライト表示の形で、カーソル81A(80A)が表示されている。ただし、移動先の文字8bにおいて警告色として利用される赤が用いられているため、ここでは移動先の文字8bの方がカーソル選択中の文字8aよりも強調されている。なお、カーソル選択中の文字8aと移動先の文字8bとでは、少なくとも互いの見分けが付くように識別可能な形で表示される必要がある。なお、図8では、カーソル81Aと次の移動先8bを表示する移動先表示部81Bとをより明確に見分けることができるように色だけでなく太さを変えているが、色だけを変えてもよいし、逆に太さだけを変えてもよいし、他の方法で見分けが付くようにしてもよい。
【0066】
図4に戻る。S5にて文字入力画面100が表示された後には、続くS6にて、文字入力画面100の終了操作の有無を判定し、当該終了操作があった場合には本処理を終了し、無ければS7に進む。文字入力画面100の終了操作としては、別画面への強制切り替え操作や、文字入力の完了操作等、別画面へと遷移させる操作等である。例えば図8の所定選択画面101(100)における文字入力の完了操作は、例えば文字入力完了に対応する選択領域8である完了ボタン100fや、1つ前の画面に戻るための選択領域8であるボタン100dをカーソル選択した状態でなされる決定入力操作であり、当該操作がなされた場合には、現在までに順次入力された文字列を起動元のプログラム(本実施形態においては経路探索プログラム)に渡した上で、本処理は終了となる。
【0067】
S7では、制御部10がカーソル移動操作の有無を判定する。ここでは、遠隔操作部32(さらにはリモコン4)から入力される上下左右の十字方向操作の操作信号の有無に基づいて、制御部10が判定する。カーソル移動操作があった場合にはS8に進み、カーソル移動操作がなされた方向に対応する次の移動先文字8bにカーソル位置(ターゲット)が変更されるよう、制御部のメモリ内に記憶されたカーソル位置情報が更新されるとともに、再びS2〜S5の処理が実施されて、新たなカーソル位置に基づく文字入力画面100の表示が実施される。他方、カーソル移動操作がなかった場合にはS9に進む。
【0068】
S9では、制御部10が、カーソル選択中の文字8aに対する決定入力操作の有無を判定する。ここでは、操作部3から入力される決定入力操作(タッチパネルのタッチ操作や、遠隔操作部32(さらにはリモコン4)での決定入力操作)の操作信号の有無に基づいて、制御部が判定する。決定入力操作がなければS6に戻り、決定入力操作があった場合には、必要に応じてカーソル移動を行った上で、再びS2〜S9の処理が繰り返される。このような処理が繰り返されることにより、ユーザーによって順次文字が入力され、入力された文字列が最終的に経路探索プログラムに渡されることになる。
【0069】
上記のような処理が繰り返されることで、文字入力画面100(101)には、例えば、カーソル80Aの移動や、次の移動先表示部80Bの変更、選択可能文字9aと選択不可文字9bの表示切り替え等が生じる。
【0070】
なお、本実施形態の車両用操作システム1000において、遠隔操作部32は、これらの主操作部31よりもユーザーの操作負担が小さくなるよう、予め定められた座席2により近い位置に補助操作部として配置される。ここでは、図2に示すように、運転席と助手席に座したユーザー(搭乗者)がそれら各座席の背もたれにもたれた着座状態のまま双方のユーザーが操作可能となる位置に設けられている。具体的にいえば、遠隔操作部32は、車両の左右両座席(ここでは運転席と助手席)の間に挟まれる領域(ここではセンターコンソール)Cに配置されている。他方、表示器5は、遠隔操作部32よりも車両前方側にて、それら双方の座席に座したユーザーから視認可能な形で配置されている。
【0071】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。以下、上記実施形態とは異なる実施形態について説明する。
【0072】
上記実施形態においては、文字入力画面100において、カーソル80Aの次の移動先となる文字8bを示しているが、同様の手法で、表示器5の表示面500上に表示される複数の選択領域8が複数行複数列にて配置した画面を所定選択画面として、カーソル80Aの次の移動先となる選択領域8を示すようにしてもよい。
【0073】
上記実施形態においては、図8に示すように、カーソル選択中の選択領域8aに対し上下左右で隣接する隣接選択領域9cが、表示面500上で1つだけ特定できる所定選択画面101において上記移動先表示を実施しているが、図9の所定選択画面104のように、カーソル選択中の選択領域8aに対し上下左右のいずれかで隣接する隣接選択領域9cが、表示面500上で2以上特定できる画面において、上記移動先表示を実施してもよい。図9の場合、複数の文字(選択領域)8が複数の行又は複数の列を形成する形で配列表示され、さらにデザイン的特徴を出すために、それら行又は列を形成する文字列のうち、第一の文字列とこれに隣接する第二の文字列との間で、それら双方の文字列に属する各文字の配列方向における位置関係を互いにずらした形で表示させている。具体的にいえば、表示器5の表示面500上において、上下方向における中間の横並びの文字列がその上下に隣接する横並びの文字列に対し、各文字の上下の位置関係がずれており、選択中の文字8aの上下に隣接する文字9cが2つ視認される。なお、ここでは、選択中の文字8aの上下方向において移動先となる文字8bが、選択中の文字8aに対する左上と右下で隣接する文字9cとされることが、予め固定的に定められており、カーソル移動に伴い移動先文字8bが順次変更されていく。図9の画面104におけるカーソル84A及び移動先表示部84Bの表示は、図8と同様である。
【0074】
ただし、上記のように、カーソル選択中の選択領域8aに対する上下左右方向のいずれかにて、隣接する選択可能な隣接選択領域9c(9b)が、表示面500上で2以上存在する所定選択画面が表示される実施形態において、それら2以上の隣接選択領域9c(9b)のどれをカーソル80Aの次の移動先選択領域8bに決定するかが固定的に定められていない場合は、図5の移動先特定処理を異なる処理にて実施する。例えば、図9のような所定選択画面104を表示する実施形態において、選択中の文字8aに対する上下にて隣接する1文字が固定的に定められていない場合や、図16や図17の所定選択画面101’,105’のように、配列する選択領域8の形状や並びが、配列された行や列にて異なったりずれている等、選択中の文字8aに対し隣接する1つの選択領域を一義に特定できなくなる場合である。例えば、図9において、各文字の選択領域8に対しスペース入力をする選択領域(スペースキー)8は幅広であり、これに隣接する隣接文字9cが複数となる。このため、このスペース入力をする選択領域8がカーソル80Aにより選択状態となった場合には、これら複数の隣接文字9cが全て移動先文字の候補となり、移動先を1つに絞りきれない。図16や図17の場合は特に、選択中の文字8aが、入力候補文字群を表示する入力候補文字部100bの端部の列又は行に位置する選択領域8であり、これに隣接する選択領域8には、各文字を入力するための選択領域8(文字ボタン9)だけでなく、文字入力とは異なる別機能を実行するための選択領域8(例えば符号101c〜100f等であり、図16と図17の場合は選択領域100c、100f)が隣接しており、これらの選択領域101d〜100f等は、入力候補文字部100bの各入力候補文字とは異なる形状、大きさ、配列を有している。このような場合は、例えば図18のような移動先特定処理を実行して、各隣接方向において隣接する選択領域9cの中から1つを特定する。
【0075】
図18では、まずはカーソル選択中の選択領域8aに対し上下左右4方向にて隣接する隣接選択領域9cを特定し(S41a)、それら隣接選択領域9cが存在する隣接方向のいずれかにおいて、選択可能な隣接選択領域9c(9a)が表示面500上で2以上特定される隣接方向の有無を判定する(S41b)。2以上特定される隣接方向がなければ、特定された各隣接選択領域9cをそのまま利用する形でS42以降の処理(図5のS42以降と同様)を実施し、2以上特定される隣接方向があれば、これを1つに特定する処理を実施する(S41c)。具体的には、図19のように、複数の隣接選択領域9c(9a)の中から、カーソル選択中の選択領域8aと上下方向または左右方向において対向する対向幅(双方の選択領域8において対向する辺の対向区間の長さ)が最も長い選択領域8を1つ特定し(S411)、特定された選択領域8を隣接する1つの選択領域9cとして決定してもよいし(S412)、図20のように、複数の隣接選択領域9cの中から、選択中の選択領域8aまでの距離(例えば、双方の選択領域8の重心位置間距離や、双方の選択領域8の外縁間に定められる最も短い距離)が最も短い1つの選択領域を特定し(S413)、特定された選択領域8を隣接する1つの選択領域9cとして決定してもよい(S414)。なお、図19及び図20の処理は、選択中の選択領域8aに対し複数の隣接選択領域9cが存在する隣接方向側においてそれぞれ実施される。隣接選択領域9cが1つ存在する側については当然その隣接選択領域9cが、隣接する1つの選択領域9cとして決定される。
【0076】
なお、上記実施形態における図9の所定選択画面104(100)では、選択不可文字9bが設定されず、全ての文字8が選択可能文字9aとされているが、図9においても図8のように選択不可文字9bが設定されるようにしてもよいし、逆に図8において選択不可文字9bが設定されないようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態においては、図8や図9の画面101,104のように、次の移動先を示す移動先表示部80Bの表示は、移動先選択領域8bの表示内容及びその表示領域(選択領域8)のいずれか又は双方の表示状態を、残余の文字8とは異なるような表示状態とする形でなされているが、例えば、図10及び図11の画面102,105のような所定選択画面を表示してもよい。図10及び図11の画面102,105では、カーソル82A,85A(80A)の次の移動先となる選択領域8bを指し示す方向指示図形(ここでは矢印図形)82B,85Bを移動先表示部80Bとして表示しており、ここでは方向指示図形(ここでは矢印図形)82B,85Bの指示方向前端が次の移動先となる選択領域8bに重なる形で表示されている。
【0078】
また、上記実施形態においては、図8や図9の所定選択画面101,104のように、表示面500上の全ての移動先選択領域8bにおいて同じ移動先表示部80Bが表示されているが、図12及び図13の所定選択画面101’,105’’のように、移動先選択領域8bのうち、カーソル選択中の選択領域8aに対し隣接する選択可能な隣接文字9c(9a)が、表示面500上で0又は2以上特定される隣接方向側の移動先選択領域8b2(8b)を示す移動先表示部81B2,85B2(80B)を、残余の側(選択中の文字8aに対し隣接する選択可能な隣接選択領域9c(9a)が表示面500上で1のみ特定される隣接方向側)の移動先選択領域8b1(8b)を示す移動先表示部81B1,85B1(80B)よりも強調して表示させてもよい。この場合、図5の移動先特定処理のS44にて決定された移動先選択領域8bと、S43及びS45にて決定された移動先選択領域文字8bとを識別する識別情報をRAM等の所定の記憶部に記憶し、図4の表示処理におけるS5にてその識別情報を参照することにより、S44にて決定された移動先選択領域8bを、S43及びS45にて決定された移動先選択領域8bよりも強調して表示する。
【0079】
また、上記実施形態においては、図8や図9の所定選択画面101,104のように、次の移動先となる文字8bの表示位置が変わることはなかったが、図14及び図15の所定選択画面のように、カーソル選択中の文字8aに対する上下左右4方向にて隣接する選択可能な隣接文字9c(9a)が表示面500上で0又は2以上特定される隣接方向において、次の移動先となる文字8bとして特定された文字を、選択中の文字8aに対する上下左右4方向にて隣接する位置に移動させて表示してもよい。
【0080】
図14の場合は、選択中の文字8aに対する上下左右4方向にて隣接する選択可能な隣接文字9c(9a)が表示面500上で0となる隣接方向において、制御部10が、次の移動先に決定された文字8bを、該選択中の文字8aに接近させる接近表示を行い(移動先文字移動手段)、その上で、その文字8bに対する移動先表示部を表示している。ここでは、当該接近表示によって、選択中の文字8aに対し隣接する隣接文字9c上に重なる形で表示させている。これにより、次の移動先となる文字8bは、選択中の文字8aを中心に上下左右4方向に隣接する十字状配置の形となるので、遠隔操作部32の十字方向操作によるカーソル83A(80A)の移動先が非常に分かり易い。
【0081】
この場合、図5のS5において所定選択画面103(100)を表示する場合に、図21の処理を上下左右の各方向において実施する。即ち、制御部10が、まずは選択中の文字8aに対しカーソル83A(80A)を表示させ(S51)、当該文字8aに対し次の移動先文字8bが隣接した位置にない場合には(S52:Yes)、当該移動先文字8bを選択中の文字8aに隣接するよう図14の下図のように移動して(S54)、移動した後の当該移動先文字8bが示されるよう移動先表示部83B(80B)を表示させる(S55)。他方、選択中の文字8aに対し次の移動先文字8bが隣接した位置にある場合には(S52:No)、当該移動先文字8bを移動することはなく、その位置のままで当該移動先文字8bが示されるよう移動先表示部83B(80B)を表示させる(S53)。なお、図14の場合は、上図の画面103’から下図の画面103への画面遷移を表示面500上で表現することで、次の移動先文字8bはより一層分かり易くなる。
【0082】
図15の場合は、選択中の文字8aに対する上下左右4方向にて隣接する選択可能な隣接文字9c(9a)が表示面500上で2以上ある隣接方向において、該選択中の文字8aに対する当該隣接方向に、次の移動先に決定された文字8bのみが位置するよう、所定の行又は列がずれて表示されているため、移動先表示部80Bを表示する際にはそのズレをなくした形で表示するようにする。より具体的にいえば、図15の場合は、配列表示される多数の文字8が複数行又は複数列を形成する形で表示され、それら行又は列を形成する文字列のうち、第一の文字列とこれに隣接する第二の文字列との間で、それら双方の文字列に属する各文字8の配列方向の位置関係が互いにずれており、このとき制御部10は、第一の文字列に属する文字8が選択された場合に、該第一の文字列と第二の文字列との間で配列方向における位置関係のずれがなくなるよう、それら第一の文字列と第二の文字列のいずれか又は双方を配列方向に移動させる。これにより、カーソル選択中の文字8aを中心とする上下左右4方向のうち、該カーソル選択中の文字8aに隣接する隣接文字9c(9a)が存在する隣接方向において、選択可能な隣接文字9c(9a)が、それぞれ1ずつ特定されるようズレ補正を実施する(ズレ補正手段)。
【0083】
この場合、図5のS5において所定選択画面106(100)を表示する場合に、図22の処理を上下左右の各方向において実施する。即ち、制御部10は、まずは選択中の文字8aに対しカーソル86A(80A)を表示させ(S61)、入力候補文字のいずれかにカーソル86A(80A)がある場合には(S62:Yes)、選択中の文字8aの上下左右全方向において次の移動先の文字8bが1字だけ隣接するよう、所定の行又は所定の列をずらし(S64)、ずらされた後の当該移動先文字8bに対し移動先表示部86B(80B)を表示させる(S65)。図15では、表示面500上において、入力候補文字8が横並びした行が上下方向に3行並んでおり、中央の横並びの行の文字列が常に移動対象とされている。入力候補文字のいずれかがカーソル選択されていれば、中央の横並びの行が横方向に移動して、ズレが補正される。他方、入力候補文字8がカーソル選択されていなければ、隣接する次の移動先となる選択領域8bが示されるよう移動先表示部86B(80B)を表示させる(S53)。なお、図15の場合も、上図の画面106’から下図の画面106への画面遷移を表示面500上で表現することで、次の移動先となる選択領域8bはより一層分かり易くしている。
【0084】
上記実施形態における図6の処理は、図23や図24の処理に変更することもできる。図23の処理では、まず、制御部10が、カーソル80Aの位置に隣接する隣接選択領域9cのうち、選択可能領域9aが1つのみでなかった側(上記未特定方向側)において、カーソル80Aの位置に最も近い位置の選択可能領域9aを特定し(S461)、それが複数なければ(S462:No)、特定された選択可能領域9aを移動先選択領域8bとして決定・記憶して本処理を終了する一方(S464)、複数ある場合には(S462:Yes)、上記優先方向情報に基づいて、予め定められている優先側の選択可能領域9aを移動先選択領域8bとして決定・記憶して本処理を終了する(S463)。図24の処理では、まず、制御部10が、既に入力された入力文字列を先頭に含む辞書文字列を、外部記憶装置2中の辞書データから検索し(S471)、当該入力文字列の次に続く文字ごとに、検索された辞書文字列の数(検索ヒット数)を特定する。続いて、制御部10が、カーソル80Aの位置に隣接する隣接選択領域9cのうち、選択可能領域9aが1つのみでなかった側(上記未特定方向側)において、上記検索された文字列の数が最大となった選択可能領域9aを特定し、それが複数なければ(S473:No)、特定された選択可能領域9aを移動先選択領域8bとして決定・記憶して本処理を終了する一方(S475)、複数ある場合には(S473:Yes)、上記優先方向情報に基づいて、予め定められている優先側の選択可能領域9aを移動先選択領域8bとして決定・記憶して本処理を終了する(S474)。
【0085】
上記各実施形態においては、車両用操作システム1000としてカーナビゲーション装置を例示したが、必ずしもカーナビゲーション装置に限るものではなく、例えば携帯電話等であってもよい。すなわち、入力候補文字を表示する表示装置と、文字列の集合を含む辞書データを有する記憶装置とを有し、この表示装置に表示された入力候補文字を利用した文字の入力を順次受け付けるような装置であればよい。また、辞書データとしては、上記各実施形態においては地図データ中に含まれる地点の名称から成る集合を用いたが、必ずしもこのようなものに限らず、例えば、携帯電話の電話帳データに含まれる氏名または電話番号からなる集合であってもよい。すなわち、記憶装置に記憶された文字列の集合であれば足りる。
【0086】
上記各実施形態においては、表示器5に表示される入力候補文字8としてはかな50音を例示しているが、これはアルファベットでもよいし、数字、記号等であってもよい。すなわち、文字であればどのようなものでもよい。なお、ここでいう「文字」とは、言語の伝達手段として使われる符号であり、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、数字、空白、濁点、半濁点、句読点、長音符などの記号を含むが、リターンキーや戻るボタン、各種変換キー等の機能実行ボタンは含まれない。
【0087】
上記実施形態においては、移動先表示部80Bによって、カーソル80Aの次の移動先となる選択領域8bの全てに対し移動先表示部80Bを常に表示しているが、例えば、カーソル選択中の選択領域8aに対する上下左右4方向にて隣接する選択可能な隣接選択領域9c(9a)が表示面500上で2以上ある場合に限り、移動先表示部80Bを表示するようにしてもよい。また、この場合、選択中の選択領域8aに対する上下左右4方向にて隣接する選択可能な隣接選択領域9c(9a)が表示面500上で2以上ある隣接方向において、残余の隣接方向よりも移動先表示部80Bを相対的に強調して表示するようにしてもよい。また、隣接する選択可能な隣接選択領域9c(9a)が表示面500上で2以上ある隣接方向においてのみ、移動先表示部80Bを表示し、隣接する選択可能な隣接選択領域9c(9a)が表示面500上で1つだけある隣接方向においては、移動先表示部80Bを表示しないようにしてもよい。
【0088】
上記実施形態においては、本発明の操作手段として、図3に示すようなジョイスティック型の十字方向操作部32が例示されているが、表示器5の表示面500上における上下左右方向に対応した4方向操作が可能な操作部であれば、他の操作部でもよい。例えば、4つのプッシュボタンにて構成される十字キーでもよい。
【0089】
なお、上記実施形態においては、配列表示された各選択領域8のうち最端に位置する選択領域8をカーソル80Aが選択している状態で、当該最端位置のさらに先(最端位置が左端であれば左)に対応する方向に操作ノブ320を操作された場合には、カーソル80Aは、選択中の選択領域8aから、最端位置のさらに先とは逆方向側(最端位置が左端であれば右側)の選択領域8を指し示すようにすることができる。
【符号の説明】
【0090】
1000 車両用操作システム(カーナビゲーション装置)
1 位置検出器
2 外部記憶装置
3 操作部
31 主操作部(タッチパネル)
32 遠隔操作部(操作手段)
320 操作ノブ
4 リモコン(操作手段)
40 リモコンセンサ
5 表示器(表示手段)
50 表示制御回路
500 表示面
10 制御部
8 選択領域
8a カーソル選択中の選択領域
8b カーソルの次の移動先となる選択領域
9a 選択可能領域
9b 選択不可領域
9c カーソル選択中の選択領域に対し隣接する選択領域
80A カーソル
80B 移動先表示部
100 所定選択画面
100a 入力文字列表示部
100b 入力候補文字部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面上に複数の文字を配列表示する表示手段と、配列表示された各文字上にてカーソルを順次移動させることにより1つの文字を選択する選択操作と選択中の文字に対する決定入力操作とが可能な操作手段と、決定入力された文字を順次受け付ける入力受付手段と、を備える車両用操作システムにおいて、
前記操作手段は、前記表示面上の上下左右4方向のそれぞれに対応する操作が可能に構成され、前記表示面上のカーソルを、該カーソルが選択中の文字から、当該操作に対応する方向側の選択可能な文字に移動可能であり、
前記表示手段は、前記表示面上において、前記カーソルが選択中の文字を中心とする上下左右4方向のいずれかに、該カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する所定選択画面を表示可能であり、
前記所定選択画面内にて、前記カーソルが選択中の文字を中心とする上下左右4方向のうち、該カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、当該隣接方向に対応する方向に前記操作手段が操作された場合に前記カーソルが移動する先である移動先文字を特定する移動先特定手段を備え、
特定された前記移動先文字を示す移動先表示を前記表示手段に対し実施させる移動先表示制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用操作システム。
【請求項2】
前記移動先表示は、配列表示される前記複数の文字のうち、前記移動先文字を残余の文字よりも相対的に強調する強調表示の形でなされる請求項1記載の車両用操作システム。
【請求項3】
前記強調表示は、配列表示される前記複数の文字のうち、前記移動先文字に対する表示内容及び表示領域のいずれか又は双方の表示状態を、残余の文字と異なるような表示状態とする形でなされる請求項2記載の車両用操作システム。
【請求項4】
前記強調表示は、前記移動先文字を指し示す方向指示図形を表示する形でなされる請求項2に記載の車両用操作システム。
【請求項5】
前記移動先表示は、前記移動先文字のうち、前記カーソルが選択中の文字に対する上下左右4方向のいずれかの方向にて隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上特定される隣接方向側の移動先文字を、残余の側にて前記カーソルの移動先となる前記隣接文字よりも強調する形でなされる請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項6】
前記所定選択画面は、前記カーソルが選択可能な選択可能文字と選択不可能な選択不可文字とを表示するとともに、前記カーソルが選択中の文字を中心とする上下左右4方向のいずれかの方向にて隣接する隣接文字が前記選択不可文字とされた画面であり、
前記操作手段は、前記操作により、前記カーソルが選択中の文字から、該選択中の文字に隣接する前記選択不可文字をスキップし、当該選択不可文字側に位置する選択可能な文字へと前記カーソルを移動させるものである請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項7】
辞書データとして複数種の文字列を記憶する辞書データ記憶手段と、
前記辞書データに含まれる文字列から、前記入力受付手段が順次受け付けた文字からなる入力文字列を含む辞書文字列を検索し、当該辞書文字列において当該入力文字列の次に続く候補文字を検索する検索手段と、
前記表示手段に対し、配列表示される前記複数の文字のうち、前記候補文字のみを前記選択可能文字として設定し、残余の文字を前記選択不可文字として設定する選択制限設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項6記載の車両用操作システム。
【請求項8】
前記移動先特定手段は、前記カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、該カーソルが選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、該カーソルが選択中の文字からの距離がより近い位置にある文字を優先する形で、当該隣接方向側における前記移動先文字を決定するものである請求項6又は請求項7に記載の車両用操作システム。
【請求項9】
前記移動先特定手段は、前記カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、該カーソルが選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、該カーソルが選択中の文字が属する行により近い行に含まれる文字を優先する形で、当該隣接方向側における前記移動先文字を決定するものである請求項6又は請求項7に記載の車両用操作システム。
【請求項10】
前記移動先特定手段は、前記カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、該カーソルが選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、該カーソルが選択中の文字が属する列により近い列に含まれる文字を優先する形で、当該隣接方向側における前記移動先文字を決定するものである請求項6又は請求項7に記載の車両用操作システム。
【請求項11】
前記表示手段の表示面上において、前記カーソルが位置に対する優先側を定めた優先方向情報を記憶する優先方向記憶手段を備え、
前記移動先特定手段は、前記カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、該カーソルが選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、前記優先方向情報により定められた優先側の文字を優先する形で、当該隣接方向側における前記移動先文字を決定するものである請求項6又は請求項7に記載の車両用操作システム。
【請求項12】
請求項7記載の要件を備え、
前記移動先特定手段は、前記カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0又は2以上存在する隣接方向側において、該カーソルが選択中の文字よりも当該隣接方向側に位置する文字のうち、前記入力受付手段により既に受け付けられた入力文字列の後につなげて得られる文字列を含む辞書文字列を前記辞書データに基づいて検索し、検索ヒット数が最も多かった、前記入力文字列の後に続く文字を優先する形で、当該隣接方向側における前記移動先文字を決定するものである請求項6又は請求項7に記載の車両用操作システム。
【請求項13】
前記所定選択画面に配列表示される複数の文字は、複数の行又は複数の列から形成されており、該複数の行又は列を形成する文字列のうち、第一の文字列とこれに隣接する第二の文字列は、該第一の文字列に属する各文字と該第二の文字列に属する各文字とが配列方向に互いにずれて位置している請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項14】
前記所定選択画面において、前記カーソルにより前記第一の文字列に属する文字が選択された場合には、該第一の文字列と前記第二の文字列との間で、前記配列方向のずれがなくなるよう、該第一の文字列と該第二の文字列のいずれか又は双方を前記配列方向に移動させるズレ補正を実施するズレ補正手段を備え、
前記移動先表示制御手段は、前記ズレ補正がなされた画面上にて、前記表示手段に対し前記移動先表示を実施させる請求項13記載の車両用操作システム。
【請求項15】
前記所定選択画面を表示する場合に、前記カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0となる隣接方向側において特定された前記移動先文字を、該カーソルが選択中の文字側に接近させ、選択不可の文字上に重なって見えるように表示させる接近表示を、前記表示手段に対し実施する移動先文字移動手段を備え、
前記移動先表示制御手段は、前記接近表示がなされた画面上にて、前記表示手段に対し前記移動先表示を実施させる請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項16】
前記移動先文字移動手段は、前記カーソルが選択中の文字に隣接する選択可能な隣接文字が0となる隣接方向側において特定された前記移動先文字が、該カーソルが選択中の文字の当該隣接方向側にて隣接する隣接文字上に重なって見えるように、前記表示手段に対し前記接近表示を実施させるものである請求項15記載の車両用操作システム。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−150410(P2011−150410A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9146(P2010−9146)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】