説明

車両用方向指示装置

【課題】左折指示位置または右折指示位置に位置されたブラケットが中立位置へ戻される際に中立位置で止まり易くでき、しかも設置する際の制約が少なく、またユニットケース内に異物が侵入することを防止できるようにする。
【解決手段】ブラケット7が左折指示位置にある状態では((b−1))、節度ピース8は左折位置用山部10bにより押し込まれ、プッシャ42の上端部42bはカバー6から離間している((b−2))。この状態から、ブラケット7が中立位置方向へ回動されると、節度ピース8が中立位置用谷部10aに入り込むように突出し、プッシャ42はカム面40に押されて上昇し、上端部42bがカバー6の内面を摺動するようになる(a−1),(a−2))。これにより、ブラケット7の勢いが弱められ、ブラケット7は中立位置で止まり易くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左折指示位置または右折指示位置に位置されたブラケットが中立位置へ戻される際に中立位置で止まり易くした車両用方向指示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用方向指示装置においては、操作レバーにより回動操作されるブラケットが左折指示位置または右折指示位置に位置された状態で、ステアリングホイールがその指示方向とは反対方向へ回転されることに基づき、キャンセル機構を介してブラケットが中立位置方向へ戻される構成となっている。このとき、ブラケットが中立位置を通り越し、反対側のターンスイッチがオンしてしまうと、反対側のターンシグナルランプが点灯(いわゆる逆点灯)してしまうことがある。特に近年では、ユニットの小型化に伴いターンスイッチの接点部に余裕がなくなるなどの理由により、上記逆点灯が発生し易い状況にあり、その対策が望まれている。
【0003】
上記したような逆点灯に対処したものとして、特許文献1には次のようなものが開示されている。ブラケットの外面に凸部を設けると共に、ブラケットを収容するユニットケースのカバーに、片持ち状態の弾性変形可能なブレーキ用凸部を2個設け、ブラケットが中立位置にある状態では、ブラケットの凸部は二つのブレーキ用凸部間に位置し、ブラケットが左折指示位置に位置された状態では、凸部は一方のブレーキ用凸部を越えた位置に位置される。そして、キャンセル機構を介してブラケットが中立位置へ戻される方向へ回動されると、ブラケットの凸部が一方のブレーキ用凸部に当たり、このブレーキ用凸部を押し上げて通過する。このとき、凸部がブレーキ用凸部に当たることでブラケットの勢いが弱められ、ブラケットが中立位置で止まり易くなり、逆点灯の発生を防止できるというものである。
【特許文献1】特開2005−231402号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1のものでは、次のような欠点がある。ユニットケース側のカバーに設けられた2個のブレーキ用凸部は、ブラケット側の凸部が当たった際に上方へ変位して逃げる必要がある。このため、ユニットケースのカバーの上面側には、そのブレーキ用凸部が変位するためのスペースが必要となり、これが車両用方向指示装置を設置する際の制約となる。また、カバーには、ブレーキ用凸部の周りにそのブレーキ用凸部の弾性変形を可能にするためのスリット(開口部)が必要となるため、そのスリットからユニットケース内へ異物が侵入するおそれがある。
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、左折指示位置または右折指示位置に位置されたブラケットが中立位置へ戻される際に中立位置で止まり易くでき、しかも設置する際の制約が少なく、またユニットケース内に異物が侵入することを防止できる車両用方向指示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明の車両用方向指示装置は、ユニットケースと、このユニットケース内に配置され、操作レバーと共に中立位置を中心として左折指示位置と右折指示位置との間で回動可能に設けられたブラケットと、前記ユニットケースに設けられ、中立位置用谷部、左折位置用山部、及び右折位置用山部を有した節度山と、前記ブラケットに形成された収容部に移動可能で、かつ付勢手段により前記節度山側に付勢して設けられ、先端部が前記節度山の前記中立位置用谷部に入り込むことで前記ブラケットを前記中立位置に保持し、前記左折位置用山部及び前記右折位置用山部に乗り上げることで前記ブラケットを前記左折指示位置及び前記右折指示位置にそれぞれ保持する節度ピースと、前記ブラケットが前記左折指示位置または右折指示位置に位置された状態でステアリングホイールにより回転されるキャンセルカムが前記ブラケットの指示位置方向とは反対方向へ回転されることに基づき前記ブラケットを中立位置へ戻す方向への操作力を付与するキャンセル機構とを備えたものにおいて、前記節度ピースの外周部に設けられ、当該節度ピースの移動方向の先端部側が下降傾斜するカム面と、前記ブラケットに形成された開口部を通して、前記節度ピースの移動方向に対して交差する方向に移動可能に設けれ、一端部が前記カム面に当接するプッシャとを備え、前記ブラケットが前記左折指示位置または前記右折指示位置に位置された状態では、前記プッシャの他端部は前記ユニットケースから離間していて、前記ブラケットが前記左折指示位置または右折指示位置から中立位置方向へ戻る際に、前記節度ピースの移動に伴い前記プッシャの一端部が前記カム面により押され、当該プッシャの他端部が前記ユニットケース側へ突出しユニットケースに接触することでブラケットの勢いを弱める構成としたことを特徴とする。
【0007】
上記した構成において、ブラケットが中立位置に位置された状態では、節度ピースの先端部が節度山の中立位置用谷部に入り込んでいる。この状態では、節度ピースの先端部が、ブラケットの収容部から節度山側へ最も突出した状態となっている。これに伴い、プッシャの一端部が節度ピースのカム面により押され、プッシャの他端部がユニットケース側へ突出しユニットケースに接触した状態となっている。
【0008】
ブラケットが中立位置から左折指示位置または右折指示位置へ回動されると、節度ピースの先端部が、節度山の斜面を摺動し、左折位置用山部または右折位置用山部に乗り上げた状態となる。この状態では、節度ピースの先端部は、節度山に押されて収容部側へ移動した状態となっている。これに伴い、プッシャの一端部が節度ピースのカム面の傾斜に沿って下がり、プッシャの他端部はユニットケースから離間した状態となる。
【0009】
そして、ブラケットが左折指示位置または右折指示位置にある状態からキャンセル機構により中立位置方向へ戻されると、節度ピースの突出方向への移動に伴いプッシャの一端部がカム面により押され、当該プッシャの他端部がユニットケース側へ突出し、ユニットケースに接触して摺動するようになる。これにより、ブラケットの勢いが弱められ、節度ピースの先端部は中立位置用谷部に留まり、ブラケットは中立位置で止まり易くなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、ブラケットが左折指示位置または右折指示位置から中立位置方向へ戻される際に、節度ピースの移動に伴いプッシャがユニットケースに接触して摺動することで、ブラケットの勢いが弱められ、ブラケットは中立位置で止まり易くなる。そして、ユニットケース側は、プッシャが摺動するだけであるので、ユニットケース側に弾性変形可能なブレーキ用凸部を設ける場合とは違い、ユニットケースの外面側に特別なスペースを必要とせず、設置の制約が少ない。また、ユニットケースには、ブレーキ用凸部を形成するような開口部を形成する必要がないので、ユニットケース内への異物の侵入も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
まず、図3において、給電用接続部を構成するロールコネクタ1は、図示しないステアリングホイールの下方に配置されるもので、ステアリングホイール側の電気部品へ給電する機能を有している。このロールコネクタ1は、周知のように、固定部と、ステアリングホイールと一体に回転する回転部との間に、ぜんまいばねのように巻かれたフラットケーブルが設けられた構成となっていて、その下部に、下方へ突出するキャンセルカム2が設けられている。このキャンセルカム2は、回転部に設けられていて、ステアリングホイールの回転に伴い図示しないステアリングシャフトの周りを回転されるようになっている。なお、図4,5において、Kは、キャンセルカム2が回転する範囲の回転軌跡を示している。
【0012】
さて、車両用方向指示装置のユニットケース3は、上記ステアリングホイールの下方で、かつ上記ロールコネクタ1の側方部に固定状態に設けられる。この場合、ユニットケース3は、図2にも示すように、中空状の下部ケース4と、この下部ケース4の底部に設けられたインシュレータ5と、下部ケース4の上面開口部に装着されたカバー6とから構成されている。
【0013】
ブラケット7は、図4にも示すように、上記ユニットケース3内に軸部7aを中心に図4中、矢印A方向へ回動可能に設けられている。このブラケット7の先端部側において、片側へ寄った部位に位置させて、先端が開口した収容部7b(図1の(a−2)参照))が形成されていて、この収容部7bに、節度ピース8と、この節度ピース8を外側へ付勢する節度スプリング(付勢手段)9とが設けられている。この場合、節度ピース8は、移動方向に長い角柱状をなすと共に先端部8aが先細状の曲面状をなしている。収容部7bも、その節度ピース8に合わせて断面が矩形状をなしている。上記下部ケース4の内部には、ターン用節度山(本発明の節度山)10(図1の(a−1)参照)が設けられていて、このターン用節度山10に、節度ピース8の先端部8aが摺動可能に圧接している。
【0014】
ターン用節度山10には、中立位置用谷部10aと、この中立位置用谷部10aの両側に位置させて左折位置用山部10b及び右折位置用山部10cとが設けられていて、節度ピース8が中立位置用谷部10a、左折位置用山部10b、右折位置用山部10cに選択的に保持されることに伴い、ブラケット7が中立位置、左折指示位置、右折指示位置に選択的に保持されるようになっている。図1(a−1),(a−2)及び図4は、ブラケット7が中立位置に保持された状態が示されている。この場合、節度ピース8と、節度スプリング9と、ターン用節度山10とにより、ターン用節度機構11を構成している。
【0015】
上記ブラケット7には、操作レバー12が挿入されている。なお、図4、図5においては、操作レバー12は省略されている。この操作レバー12は、上記した矢印A方向へはブラケット7と共に回動し、その回動方向と交差する図3の矢印B方向へはブラケット7に対して軸部13を中心に回動が可能な構成となっている。操作レバー12のブラケット7側の端部には、先端が開口した収容部12aが形成されていて、この収容部12a内に、節度ピース14と、この節度ピース14を外側へ付勢する節度スプリング15とが設けられている。ブラケット7の内部には、ディマ・パッシング用節度面16が設けられていて、このディマ・パッシング用節度面16に、節度ピース14が圧接している。この場合、節度ピース14と、節度スプリング15と、ディマ・パッシング用節度面16とにより、ディマ・パッシング用節度機構17を構成している。
【0016】
操作レバー12のブラケット7側の端部には、ホルダ操作部材18が取り付けられている。上記インシュレータ5の上面側には、可動接点19を有する可動接点ホルダ20が図3中左右方向へスライド可能に設けられている。この可動接点ホルダ20にはホルダ操作部材18の下端部が挿入されていて、操作レバー12を図3中、矢印B方向へ回動操作することに伴い、ホルダ操作部材18を介して可動接点ホルダ20が矢印C方向(左右方向)へスライド操作され、これに伴い可動接点19がインシュレータ5の上面を摺動するようになっている。インシュレータ5には、可動接点19が摺動する面に固定接点21が設けられていて、この固定接点21とこれに対して接離する可動接点19とにより、ディマ・パッシングスイッチを構成している。
【0017】
ユニットケース3の下部には、車両用方向指示装置のキャンセル機構24が配設されており、以下このキャンセル機構24について説明する。上記ブラケット7の下部の先端部には、補助ブラケット25が当該ブラケット7と一体に回動するように取り付けられている。この補助ブラケット25の下面には、山形状のカム面26が設けられている。ブラケット7の下部には、バックプレート27が、長手方向へ移動可能に設けられていて、常にはバックスプリング28により図4に示す所定位置に保持されている。このバックプレート27の下面側には、一対の被押圧部29が対向する状態で設けられている。これら両被押圧部29は、互いの間隔が、上から見て補助ブラケット25側が広くなるようにハの字状に開いている。
【0018】
そして、補助ブラケット25及びバックプレート27の下方に位置させてラチェット30が配設されている。ラチェット30の長手方向の中間部には、軸部31が上下両側に突出していて、その軸部31の下部が、上記インシュレータ5に形成されたガイド孔5aに移動可能に挿入されている。このラチェット30は、その先端部30aがユニットケース3の下部ケース4から外方へ突出していると共に、ラチェットスプリング32により突出方向である矢印E方向(図3、図4参照)へ付勢されている。ブラケット7が中立位置に保持された図4の状態では、軸部31の上部が、上記カム面26の山部の頂点に当接して矢印E方向への移動が阻止されている。また、このとき、ラチェット30の後端部30bは、バックプレート27の被押圧部29,29間に挿入されている。
【0019】
上記ブラケット7の下部には、当該ブラケット7の回動運動を受けて移動する可動接点ホルダ33が設けられていると共に、この可動接点ホルダ33にターンスイッチ用の可動接点34が取り付けられている。インシュレータ5には、その可動接点34とターンスイッチを構成する固定接点(図示せず)が設けられている。
【0020】
さて、上記ターン用節度機構11の節度ピース8の上面側の外周部には、図1(a−2)に示すように、先端部8a側が下降傾斜するカム面40が形成されている。また、ブラケット7において、節度ピース8を収容する収容部8bの上部壁には、カム面40と対応する部位に位置させて、上下方向に開口した開口部41が形成されている。そして、この開口部41に、プッシャ42が上下方向に移動可能に挿入されている。プッシャ42の一端部である下端部42aは、カム面40に沿った傾斜面となるように形成されていて、カム面40に接触している。プッシャ42の他端部である上端部42bは、先細状の曲面状に形成されている。
【0021】
次に上記構成の作用を説明する。
ブラケット7が中立位置に位置された図4の状態では、図1(a−1)にも示すように、節度ピース8の先端部8aがターン用節度山10の中立位置用谷部10aに入り込んだ状態となっている。この状態では、節度ピース8の先端部8aが、ブラケット7の収容部7bからターン用節度山10側へ最も突出した状態となっている。これに伴い、プッシャ42の下端部8aが節度ピース8のカム面40の上部により押し上げられ、プッシャ42の上端部42bがユニットケース3のカバー6側へ突出し、そのカバー6の内面に接触した状態となっている(図1(a−2)参照)。
【0022】
また、このとき、ラチェット30の軸部31の上部がカム面26の山部の頂点に当接していて、矢印E方向への移動が阻止されている。この状態では、ラチェット30の先端部30aは、ユニットケース3の下部ケース4から外方へ突出しているが、キャンセルカム2の回転軌跡K外に位置している。従って、この状態でステアリングホイールの回転に伴いキャンセルカム2がどちら方向へ回転されても、キャンセルカム2はラチェット30には当たらない。
【0023】
ブラケット7が中立位置に位置された状態で、操作レバー12が例えば左折指示位置方向へ回動されると、ブラケット7が軸部7aを中心に、図4中、反時計回り方向へ回動される。すると、節度ピース8の先端部8aがターン用節度山10における左折位置用山部10bの斜面を摺動し、その左折位置用山部10bを乗り上げたところで保持される。これにより、ブラケット7は、図5に示す左折指示位置に保持されるようになり、これに伴い、ターンスイッチの左折用スイッチ(図示せず)がオンされる。この状態では、図1(b−1),(b−2)に示すように、節度ピース8の先端部8aは、左折位置用山部10bに押されて収容部7b側へ移動した状態となる。これに伴い、プッシャ42の下端部42aが節度ピース8のカム面40の傾斜に沿って下がり、プッシャ42の上端部42bはユニットケース3のカバー6から離間した状態となる(図1(b−2)参照)。
【0024】
また、このとき、補助ブラケット25がブラケット7と共に移動することに伴い、ラチェット30は、軸部31がカム面26の山部を下るようにして矢印E方向へ移動し、先端部30aがキャンセルカム2の回転軌跡K内に進入した状態となると共に、後端部30bが一方の被押圧部29に接触する状態となる。
【0025】
図5の左折指示位置状態で、ステアリングホイールが指示方向と同じ左方向(図5中、反時計回り方向)へ回転操作された場合には、キャンセルカム2がラチェット30に反時計回り方向から当たるようになるが、ラチェット30が軸部31を中心に時計回り方向へ回転することに伴い、キャンセルカム2の通過が許容されるようになる。従って、この場合には、ブラケット7及び操作レバー12は、左折指示位置に保持されたままで、ターンスイッチも左折用スイッチがオンしたままである。
【0026】
図5の状態で、ステアリングホイールが、ブラケット7による指示位置方向とは反対の右方向(時計回り方向)へ回転され、キャンセルカム2がラチェット30に時計回り方向から当たるようになると、ラチェット30には、軸部31を中心に反時計回り方向への回転力が作用するようになる。すると、ラチェット30の後端部30bが一方の被押圧部29を押圧して、ブラケット7にこれを時計回り方向(ブラケット7を中立位置へ戻す方向)へ回動させる操作力が作用する。このときの操作力が、ターン用節度機構11の保持力を上回ると、節度ピース8の先端部8aが左折位置用山部10bの先端を中立位置用谷部10a側へ越えて左折位置用山部10bの斜面を摺動し、ブラケット7及び操作レバー12が時計回り方向へ回動するようになる。
【0027】
このとき、節度ピース8の先端部8aが左折位置用山部10bの斜面を摺動しながら、節度ピース8は先端部8aが突出する方向へ移動し、この節度ピース8の突出方向への移動に伴い、プッシャ42の下端部42aがカム面40により押され、当該プッシャの上端部42bがカバー6側へ突出し、そのカバー6の内面に接触して摺動するようになる(図1(a−2)参照)。これにより、ブラケット7の時計回り方向への勢いが弱められ、節度ピース8の先端部8aは中立位置用谷部10aに留まり、ブラケット7及び操作レバー12は中立位置に保持されるようになる(図1(a−1)及び図4参照)。これにより、ラケット7及び操作レバー12は中立位置に確実に止まるようになり、これに伴い、ターンスイッチの左折用スイッチがオフする。また、ラチェット30は、カム面26の作用により図4の元の位置へ戻され、キャンセルカム2の回転軌跡Kから外れるようになる。
【0028】
なお、上記した説明は、操作レバー12及びブラケット7を左折指示位置へ回動させた場合であるが、それらを右折指示位置へ回動させた場合は、それらの動きが上述の場合とは逆になるだけで、基本的には左折指示位置へ回動させた場合と同様な動作となる。
【0029】
上記した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
ブラケット7が左折指示位置または右折指示位置からキャンセル機構24により中立位置方向へ戻される際に、ターン用節度機構11における節度ピース8の移動に伴いプッシャ42の上端部42bがユニットケース3のカバー6の内面に接触して摺動することで、ブラケット7の勢いが弱められ、ブラケット7は中立位置で止まり易くなる。よって、逆点灯するようなことを防止できる。
【0030】
そして、ユニットケース3のカバー6側は、プッシャ42の上端部42bが摺動するだけであるので、ユニットケース側に弾性変形可能なブレーキ用凸部を設ける場合とは違い、カバー6の上面側に特別なスペースを必要とせず、車両用方向指示装置の設置の制約が少ない。また、カバー6には、ブレーキ用凸部を形成するような開口部を形成する必要がないので、ユニットケース3内への異物の侵入も防止できる。さらに、操作レバー12によりブラケット7を回動操作する際の操作性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例の要部を示すもので、(a−1)はブラケットが中立位置にある状態での要部の平面図、(a−2)は同状態における要部の縦断面図、(b−1)はブラケットが左折指示位置にある状態での要部の平面図、(b−2)は同状態における要部の縦断面図
【図2】分解斜視図
【図3】縦断面図
【図4】ブラケットが中立位置にある状態での要部の横断平面図
【図5】ブラケットが左折指示位置にある状態での要部の横断平面図
【符号の説明】
【0032】
図面中、2はキャンセルカム、3はユニットケース、6はカバー、7はブラケット、7bは収容部、8は節度ピース、8aは先端部、9は節度スプリング(付勢手段)、10はターン用節度山(節度山)、10aは中立位置用谷部、10bは左折位置用山部、10cは右折位置用山部、11はターン用節度機構(節度機構)、12は操作レバー、24はキャンセル機構、30はラチェット、40はカム面、41は開口部、42はプッシャ、42aは下端部(一端部)、42bは上端部(他端部)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットケースと、
このユニットケース内に配置され、操作レバーと共に中立位置を中心として左折指示位置と右折指示位置との間で回動可能に設けられたブラケットと、
前記ユニットケースに設けられ、中立位置用谷部、左折位置用山部、及び右折位置用山部を有した節度山と、
前記ブラケットに形成された収容部に移動可能で、かつ付勢手段により前記節度山側に付勢して設けられ、先端部が前記節度山の前記中立位置用谷部に入り込むことで前記ブラケットを前記中立位置に保持し、前記左折位置用山部及び前記右折位置用山部に乗り上げることで前記ブラケットを前記左折指示位置及び前記右折指示位置にそれぞれ保持する節度ピースと、
前記ブラケットが前記左折指示位置または右折指示位置に位置された状態でステアリングホイールにより回転されるキャンセルカムが前記ブラケットの指示位置方向とは反対方向へ回転されることに基づき前記ブラケットを中立位置へ戻す方向への操作力を付与するキャンセル機構とを備えた車両用方向指示装置において、
前記節度ピースの外周部に設けられ、当該節度ピースの移動方向の先端部側が下降傾斜するカム面と、
前記ブラケットに形成された開口部を通して、前記節度ピースの移動方向に対して交差する方向に移動可能に設けられ、一端部が前記カム面に当接するプッシャとを備え、
前記ブラケットが前記左折指示位置または前記右折指示位置に位置された状態では、前記プッシャの他端部は前記ユニットケースから離間していて、前記ブラケットが前記左折指示位置または右折指示位置から中立位置方向へ戻る際に、前記節度ピースの移動に伴い前記プッシャの一端部が前記カム面により押され、当該プッシャの他端部が前記ユニットケース側へ突出しユニットケースに接触することでブラケットの勢いを弱める構成としたことを特徴とする車両用方向指示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−307981(P2007−307981A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137743(P2006−137743)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】