説明

車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造

【課題】車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する際に、車体側コネクタと機器側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに、且つ簡単に行うことができる車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造を提供すること。
【解決手段】一端側に車両のルーフパネル3の機器取付用開口4の一側縁4aに係合するフック12が設けられた機器側ブラケット11をルーフパネル3に取り付けて、機器側ブラケット11上の機器側コネクタ14を車体側コネクタ7に接続させる車両用機器1の車両のルーフパネルへの固定構造において、機器側コネクタ14と車体側コネクタ7との何れか一方には、コネクタを揺動可能に支持して取り付け角度を相手コネクタの取り付け角度に追従させる揺動支持機構8を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図22〜図24は、車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の従来例を示したものである。
【0003】
図22に示した車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造は、下記特許文献1に開示されたものである。
【0004】
図22に示した車両用機器101は、車両のルーフパネル111の機器取付用開口112に車室側から取り付けられるブラケット102と、該ブラケット102の一端側に設けられて機器取付用開口112の一側縁に係合するフック103と、ブラケット102の他端側に設けられたパネル固定用穴104と、ブラケット102に搭載された機器側コネクタ105と、を備えている。
【0005】
ルーフパネル111の室内側には、内装材であるトリム113が張られている。このトリム113には、機器取付用開口112と同寸法の機器取付用開口114が貫通形成されている。
【0006】
フック103は、ブラケット102との間に確保される隙間106に、機器取付用開口112の一側縁のルーフパネル111及びトリム113を挟むことで、ブラケット102の一端側をルーフパネル111に連結する。
【0007】
パネル固定用穴104は、図22(c)に示すように、ねじ部材107を挿通させる穴である。このパネル固定用穴104は、フック103を機器取付用開口112の一側縁に係合させて、ブラケット102の位置を機器取付用開口112に整合させたときに、ルーフパネル111側のねじ止め部(締結部)116に位置が整合するように設けられている。
【0008】
機器側コネクタ105は、機器取付用開口112に臨んでルーフパネル111に取り付けられている車体側コネクタ115に接続されるコネクタである。
【0009】
車体側コネクタ115は、図22(a)に矢印Aで示す方向にスライド移動可能に、ルーフパネル111に組み付けられている。
【0010】
以上に説明した車両用機器101は、図22に示す手順で、ルーフパネル111に固定される。
【0011】
まず、図22(a)に示すように、ルーフパネル111上の車体側コネクタ115を左側(矢印Aで示す移動方向とは逆側)に寄せた状態で、車体側コネクタ115の直下に機器側コネクタ105が位置するように、ブラケット102の位置を調整する。次いで、矢印Bで示すように機器側コネクタ105を車体側コネクタ115側に押し込むことで、図22(b)に示すように、機器側コネクタ105を車体側コネクタ115に接続した状態にする。
【0012】
次いで、図22(b)に矢印Cで示すように車両用機器101をルーフパネル111に沿ってスライド移動させて、フック103を機器取付用開口112の一側縁に係合させて、図22(c)に示すように、パネル固定用穴104の位置をルーフパネル111上のねじ止め部116に整合させ、ねじ部材107によりブラケット102の他端側をブラケット102に固定すれば、車両用機器101のルーフパネル111への固定作業が完了する。
【0013】
図23及び図24に示した車両用機器121は、下記特許文献2に記載のようにサンバイザ内に電気回路を収容した機器である。
【0014】
この車両用機器121は、車両のルーフパネル111の機器取付用開口112に車室側から取り付けられるブラケット122と、ブラケット122の車室側面に回動可能に取り付けられたサンバイザ123と、ブラケット122のルーフパネル111側の面に固定された機器側コネクタ125と、を備えている。
【0015】
機器側コネクタ125は、サンバイザ123内の電気回路が接続されている。この機器側コネクタ125は、ルーフパネル111に取り付けられている車体側コネクタ115と接続される。
【0016】
ブラケット122には、図23に示すように、サンバイザ123の取付位置を挟む両端部に、それぞれ、パネル固定用穴124が設けられている。また、ルーフパネル111には、ブラケット122上のパネル固定用穴124の位置に対応して、ナット117が設けられている。
【0017】
以上の車両用機器121は、機器側コネクタ125をルーフパネル111側の車体側コネクタ115に嵌合接続した後、ブラケット122上の2つのパネル固定用穴124に挿入される2本のねじ部材127により、ルーフパネル111に固定される。
【0018】
ブラケット122の2箇所のねじ止めは、図24(a),(b)に示すように、サンバイザ123がねじ締めの邪魔にならないように、サンバイザ123の角度を変えて、片側ずつ行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2006−002895号公報
【特許文献2】特開2002−192949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところが、上記の特許文献1及び特許文献2に記載の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造では、車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する際に、まず、車体側コネクタと機器側コネクタを嵌合接続する。その際、機器側コネクタを車体側コネクタ側コネクタに正確に誘導するようなガイド部材が無いため、コネクタ相互の微少な位置ずれ、あるいは機器側コネクタの傾きによるコネクタ相互の軸線の不一致により、コネクタ相互の接続がスムーズにできないという問題が発生した。
【0021】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する際に、車体側コネクタと機器側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに、且つ簡単に行うことができる車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)車両のルーフパネルの機器取付用開口に車室側から取り付けられるブラケットと、該ブラケットの一端側に設けられて前記機器取付用開口の一側縁に回動可能に係合するフックと、前記機器取付用開口の一側縁に係合した前記フックを回動支点として前記ブラケットの他端側を前記機器取付用開口に突き合わせたときに前記ルーフパネル側の締結部に位置が整合するように前記ブラケットの他端側に設けられたパネル固定用穴と、前記ブラケットに搭載されて、前記機器取付用開口に臨んで前記ルーフパネルに取り付けられている車体側コネクタに接続される機器側コネクタと、を備える車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造であって、
前記車体側コネクタ及び前記機器側コネクタの何れか一方のコネクタには、コネクタを揺動可能に支持し、前記フックを回動支点として前記ブラケットの他端側を前記機器取付用開口に突き合わせるブラケット回動操作時に、突き合わされるコネクタ相互の軸線が一致するように、当該コネクタの取り付け角度を相手コネクタの取り付け角度に追従させる揺動支持機構を備えたことを特徴とする車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【0023】
(2)前記揺動支持機構として、前記車体側コネクタの両側に突設された支持軸と、前記支持軸を回動自在に支持する軸支持部を備えて前記ルーフパネルに固定されるホルダと、を備えたことを特徴とする上記(1)に記載の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【0024】
(3)前記揺動支持機構として、前記機器取付用開口の両側縁に対峙する前記車体側コネクタの両側にそれぞれ突設され、一対の平板状突起によって前記機器取付用開口の側縁部を挟むパネル挟持部と、各平板状突起の前記側縁部側の表面に形成されて前記パネル挟持部を前記側縁部に対して揺動可能にする稜線構造と、を備えたことを特徴とする上記(1)に記載の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【0025】
(4)前記揺動支持機構として、前記機器側コネクタの前記フックとは逆側の端部を前記ブラケットに回動可能に連結する薄板状のヒンジ部を備えたことを特徴とする上記(1)に記載の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【0026】
(5)車両のルーフパネルの機器取付用開口に車室側から取り付けられるブラケットと、該ブラケットの一端側に設けられて前記機器取付用開口の一側縁に係合するフックと、前記機器取付用開口の一側縁に前記フックを係合させて前記ブラケットの他端側を前記機器取付用開口に突き合わせたときに前記ルーフパネル側の締結部に位置が整合するように前記ブラケットの他端側に設けられたパネル固定用穴と、前記ブラケットに搭載されて、前記機器取付用開口に臨んで前記ルーフパネルに取り付けられている車体側コネクタに接続される機器側コネクタと、を備える車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造であって、
前記車体側コネクタには、当該車体側コネクタを前記機器取付用開口の前記一側縁と前記他側縁とを結ぶ方向に沿ってスライド可能に支持し、突き合わされるコネクタ相互の軸線が一致するように、当該コネクタの取り付け位置を相手コネクタの取り付け位置に整合させるスライド支持機構を備え、
前記スライド支持機構は、前記車体側コネクタのスライド方向に沿った相反する側面に設けられたロック用突起と、当該ロック用突起よりも車室側に位置して前記ルーフパネルの車室側の面に係合するように前記側面に設けられた張出し片と、
前記車体側コネクタを挿通可能な孔が形成されたスライド板とを備え、
前記機器取付用開口に車室側から前記車体側コネクタを挿入して前記張出し片を前記ルーフパネルの車室側の面に係合させ、車体側から前記スライド板の前記孔に前記車体側コネクタを挿通させて、前記孔の縁部が前記ロック用突起を乗り越えたときに前記張出し片と前記スライド板とに前記孔の縁部が保持され、前記車体側コネクタが前記機器取付用開口に沿ってスライド可能であることを特徴とする車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【0027】
(6)車両のルーフパネルの機器取付用開口に車室側から取り付けられるブラケットと、該ブラケットの一端側に設けられて前記機器取付用開口の一側縁に係合するフックと、前記機器取付用開口の一側縁に前記フックを係合させて前記ブラケットの他端側を前記機器取付用開口に突き合わせたときに前記ルーフパネル側の締結部に位置が整合するように前記ブラケットの他端側に設けられたパネル固定用穴と、前記ブラケットに搭載されて、前記機器取付用開口に臨んで前記ルーフパネルに取り付けられている車体側コネクタに接続される機器側コネクタと、を備える車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造であって、
前記車体側コネクタには、当該車体側コネクタを前記機器取付用開口の前記一側縁と前記他側縁とを結ぶ方向に沿ってスライド可能に支持し、突き合わされるコネクタ相互の軸線が一致するように、当該コネクタの取り付け位置を相手コネクタの取り付け位置に整合させるスライド支持機構を備え、
前記スライド支持機構は、前記車体側コネクタのスライド方向に沿った相反する側面に設けられた張出し片と、
前記車体側コネクタのコネクタ結合部を機器側コネクタに臨ませる孔が形成されたスライド案内板とを備え、
前記スライド案内板は、前記張出し片を前記スライド方向に沿ってスライド可能に保持する凹部が車体側の面に形成され、前記張出し片を前記凹部内にスライド可能に保持した状態で前記スライド保持板を前記ルーフパネルの車室側の面に固定することで、前記車室側コネクタが前記機器取付用開口に沿ってスライド可能であることを特徴とする車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【0028】
上記(1)の構成によれば、車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する際には、まず、車両用機器のブラケットの一端側に設けられているフックを車両のルーフパネルの機器取付用開口の一側縁に係合させる。次いで、ブラケットの他端側が機器取付用開口に突き合わさるように、フックの係合部を回動支点としてブラケットを回動させる。このブラケットの回動動作の途中で、機器側コネクタの先端が車体側コネクタの先端に突き当たり、コネクタ相互の嵌合が始まる。
【0029】
ブラケットの回動動作で移動する機器側コネクタの移動軌道は、一定の半径の円弧軌道で、移動中に位置ずれ等が生じないため、正確に車体側コネクタに誘導することができる。
【0030】
また、コネクタ相互の嵌合が開始すると、一方のコネクタに備えられた揺動支持機構によって、コネクタ相互の軸線が一致するように、一方のコネクタの取り付け角度が修正される。
【0031】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタと機器側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに達成することができる。
【0032】
また、コネクタ相互の接続が完了して、ブラケットの他端側が機器取付用開口に突き合わさったときには、ブラケットの他端側に設けられたパネル固定用穴を挿通する締結部材によって、ブラケットの他端側をルーフパネルに締結・固定すれば、車両用機器の車両のルーフパネルへの固定が完了する。
【0033】
ブラケットのルーフパネルへの固定に使用するねじ部材等の締結部材は、ブラケットの他端側だけで済み、手間のかかるねじ締め等の締結作業が少ないため、車両用機器の車両のルーフパネルへの固定を簡単に行うことができる。
【0034】
上記(2)の構成によれば、機器取付用開口の一側縁とフックとの係合部を回動支点としたブラケットの回動動作によって、コネクタ相互の嵌合が開始すると、車体側コネクタは、ホルダの軸支持部を揺動支点とした揺動動作により、コネクタ相互の軸線が一致するように取り付け角度が修正される。
【0035】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタと機器側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに達成することができる。
【0036】
なお、車体側コネクタを支持するホルダに、機器側コネクタを収容するコネクタ受け部を設けることによって、車体側コネクタの取り付け角度を機器側コネクタの取り付け角度に追従させる一方、初期のコネクタ相互の嵌合に影響するような大きな傾きの発生を抑止して、初期のコネクタ相互の嵌合をよりスムーズにすることができる。
【0037】
上記(3)の構成によれば、機器取付用開口の一側縁とフックとの係合部を回動支点としたブラケットの回動動作によって、コネクタ相互の嵌合が開始すると、車体側コネクタは、パネル挟持部を構成している各平板状突起の稜線構造を揺動支点とした揺動動作により、コネクタ相互の軸線が一致するように取り付け角度が修正される。
【0038】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタと機器側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに達成することができる。
【0039】
また、上記(2)の構成の場合と比較すると、揺動支持機構として別体のホルダが不要のため、部品点数を削減することができる。
【0040】
上記(4)の構成によれば、機器取付用開口の一側縁とフックとの係合部を回動支点としたブラケットの回動動作によって、コネクタ相互の嵌合が開始すると、機器側コネクタは、薄板状のヒンジ部の変形による揺動動作により、コネクタ相互の軸線が一致するように取り付け角度が修正される。
【0041】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタと機器側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに達成することができる。
【0042】
また、上記(2)の構成の場合と比較すると、揺動支持機構として別体のホルダが不要のため、部品点数を削減することができる。
【0043】
上記(5)の構成によれば、車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する際には、まず、ルーフパネルの機器取付用開口に車室側から車体側コネクタを挿通して張出し片をルーフパネルの車室側の面に対向させる。次いで、ルーフパネルの機器取付用開口の車体側から、スライド板の孔に車体側コネクタが挿通するようにスライド板を車体側コネクタに装着する。そして、孔の縁部が車体側コネクタのロック用突起を乗り越えるようにスライド板を押す。すると、スライド板の孔の縁部が一時的に撓み変形して孔の縁部がロック用突起を乗り越えて、ロック用突起とルーフパネルの車体側の面との間に保持される。これにより、車体側コネクタはルーフパネルの機器取付用開口の縁部に沿ってスライド可能になる。
【0044】
この状態で、ブラケットのフックを機器取付用開口に挿入すると共に機器側コネクタを車体側コネクタに結合する。
【0045】
次いで、ブラケットのフックを車両のルーフパネルの機器取付用開口の一側縁に係合させ、ブラケットの他端側を機器取付用開口に突き合わせてルーフパネルに締結・固定すれば、車両用機器の車両のルーフパネルへの固定が完了する。
【0046】
ここで、コネクタ相互を接続するとき車体側コネクタが適正な位置になくても、機器側コネクタを結合してブラケットを固定するだけで、車体側コネクタが適正な位置にスライド移動する。従って、車体側コネクタを予め正確に位置決めすることが不要であり、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに達成することができる。
また、車体側コネクタが適正位置からわずかにずれているときは、コネクタ相互が少しでも嵌合すれば車体側コネクタは機器側コネクタの動きに追従して嵌合し、両コネクタはスムーズに接続される。
【0047】
上記(6)の構成によれば、車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する際には、まず、車体側コネクタの張出し片をスライド案内板の凹部に保持してコネクタ結合部がスライド案内板の孔から機器側コネクタに臨むようにする。次いで、車体側コネクタをルーフパネルの機器取付用開口に挿入してスライド案内板をルーフパネルの車室側に固定する。すると、車体側コネクタは張出し片が凹部内でスライド可能に保持されているので、機器取付用開口の縁部に沿ってスライド可能になる。
【0048】
この状態で、ブラケットのフックを機器取付用開口に挿入すると共に機器側コネクタを車体側コネクタに結合する。
【0049】
次いで、ブラケットのフックを車両のルーフパネルの機器取付用開口の一側縁に係合させ、ブラケットの他端側を機器取付用開口に突き合わせてルーフパネルに締結・固定すれば、車両用機器の車両のルーフパネルへの固定が完了する。
【0050】
ここで、コネクタ相互を接続するとき車体側コネクタが適正な位置になくても、機器側コネクタを結合してブラケットを固定するだけで、車体側コネクタが適正な位置にスライド移動する。従って、車体側コネクタを予め正確に位置決めすることが不要であり、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに達成することができる。
また、車体側コネクタが適正位置からわずかにずれているときは、コネクタ相互が少しでも嵌合すれば車体側コネクタは機器側コネクタの動きに追従して嵌合し、両コネクタはスムーズに接続される。
【発明の効果】
【0051】
本発明による上記(1)の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造によれば、機器取付用開口の一側縁とフックとの係合部を回動支点としたブラケットの回動動作によって、コネクタ相互の嵌合が開始されるとき、機器側コネクタは一定半径の円弧軌道で正確に車体側コネクタに誘導される。しかも、コネクタ相互の嵌合が開始すると、一方のコネクタに備えられた揺動支持機構によって、コネクタ相互の軸線が一致するように、一方のコネクタの取り付け角度が修正される。
【0052】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタと機器側コネクタとの位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに達成することができる。
【0053】
また、ブラケットのルーフパネルへの固定に使用するねじ部材等の締結部材は、ブラケットの他端側だけで済み、手間のかかるねじ締め等の締結作業が少ないため、車両用機器の車両のルーフパネルへの固定を簡単に行うことができる。
【0054】
また、本発明による上記(5)、(6)の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造によれば、車体側コネクタがルーフパネルの機器取付用開口に対してスライド可能であるので、ブラケットをルーフパネルに固定する際に、車体側コネクタが正確な位置になくても、機器側コネクタを結合してブラケットを固定するだけで、車体側コネクタが適正な位置にスライド移動する。従って、車体側コネクタを予め正確に位置決めすることが不要であり、機器側コネクタと車体側コネクタとの接続をスムーズに、且つ簡単に行うことができる。
また、車体側コネクタが適正位置からわずかにずれているときは、コネクタ相互が少しでも嵌合すれば車体側コネクタは機器側コネクタの動きに追従して嵌合し、両コネクタはスムーズに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第1実施形態の分解斜視図である。
【図2】(a)は図1に示した車体側コネクタがホルダに回動自在に支持されている状態の側面図、(b)は図1に示した車体側コネクタがホルダに回動自在に支持されている状態の正面図である。
【図3】図1に示した車体側コネクタがホルダを介してルーフパネルに回動自在に支持されている状態の側面図である。
【図4】図1に示した車両用機器を、フックと機器取付用開口との係合部を支点として回動させた状態を示す側面図である。
【図5】図4に示した車両用機器の回動により嵌合開始したコネクタ相互の状態を示す側面図である。
【図6】図1に示した車両用機器の車両のルーフパネルへの固定が完了した状態の側面図である。
【図7】本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第2実施形態の分解斜視図である。
【図8】揺動支持機構によって車両のルーフパネルに揺動自在に支持された車体側コネクタの側面図である。
【図9】図7に示した車両用機器を、フックと機器取付用開口との係合部を支点として回動させた状態を示す側面図である。
【図10】図9に示した車両用機器の回動により嵌合開始したコネクタ相互の状態を示す側面図である。
【図11】図7に示した車両用機器の車両のルーフパネルへの固定が完了した状態の側面図である。
【図12】本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第3実施形態の分解斜視図である。
【図13】図12に示した車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する手順の説明図である。
【図14】本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第4実施形態の分解斜視図である。
【図15】図14に示したブラケットに車体側コネクタを装着した状態の斜視図である。
【図16】図15の状態の車体側コネクタを側方から見た要部側面図である。
【図17】図14に示した車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する手順の説明図であり、(a)はフックが機器取付用開口の一側縁に未係止の状態、(b)はフックが機器取付用開口の一側縁に係止された状態である。
【図18】本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第5実施形態の分解斜視図である。
【図19】図18に示したスライド案内板に車体側コネクタを保持した状態の斜視図である。
【図20】図18に示したルーフパネルにスライド案内板により車体側コネクタを保持した状態の断面図である。
【図21】図18に示した車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する手順の説明図であり、(a)はフックが機器取付用開口の一側縁に未係止の状態、(b)はフックが機器取付用開口の一側縁に係止された状態である。
【図22】従来の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の説明図である。
【図23】従来の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の別の例の説明図である。
【図24】図23の車両用機器をルーフパネルへ固定する手順の説明図であり、(a)は一方側の固定状態、(b)は他方側の固定状態である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0057】
[第1実施形態]
図1〜図6は本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第1実施形態を示したものである。
【0058】
図1は本発明の第1実施形態の分解斜視図、図2(a)は図1に示した車体側コネクタがホルダに回動自在に支持されている状態の側面図、図2(b)は図1に示した車体側コネクタがホルダに回動自在に支持されている状態の正面図、図3は図1に示した車体側コネクタがホルダを介してルーフパネルに回動自在に支持されている状態の側面図、図4は図1に示した車両用機器を、フックと機器取付用開口との係合部を支点として回動させた状態を示す側面図、図5は図4に示した車両用機器の回動により嵌合開始したコネクタ相互の状態を示す側面図、図6は図1に示した車両用機器の車両のルーフパネルへの固定が完了した状態の側面図である。
【0059】
この第1実施形態の車両用機器1は、図1に示すように、車両のルーフパネルとしてのパネル側ブラケット3の機器取付用開口4に車室側から取り付けられる機器側ブラケット11と、該機器側ブラケット11の一端側に設けられたフック12と、機器側ブラケット11の他端側に設けられたパネル固定用穴13と、機器側ブラケット11に搭載された機器側コネクタ14と、を備えている。
【0060】
フック12は、機器取付用開口4の一側縁4aのフック係止部5に回動可能に係合する。
【0061】
パネル固定用穴13は、ねじ部材16を挿通するための穴である。このパネル固定用穴13は、機器取付用開口4の一側縁4aに係合したフック12を回動支点として機器側ブラケット11の他端側を機器取付用開口4に突き合わせたときに、パネル側ブラケット3側の締結部6に位置が整合するように、機器側ブラケット11に設けられている。締結部6は、ねじ部材16が螺合する雌ねじ部である。機器側ブラケット11の他端側は、パネル固定用穴13を挿通するねじ部材16によって、パネル側ブラケット3に固定される。
【0062】
機器側コネクタ14は、パネル側ブラケット3側に面している機器側ブラケット11の表面に搭載されている。機器側コネクタ14は、機器取付用開口4に臨んでパネル側ブラケット3に取り付けられている車体側コネクタ7に接続される。
【0063】
本実施形態の場合、車体側コネクタ7は、揺動支持機構8を介して、パネル側ブラケット3に取り付けられている。
【0064】
本実施形態の場合、揺動支持機構8は、図2及び図3に示すように、車体側コネクタ7の両側に突設された支持軸21と、支持軸21を回動自在に支持する軸支持部23を備えてパネル側ブラケット3に固定されるホルダ24と、を備えている。
【0065】
ホルダ24は、上部に車体側コネクタ7の外周に遊嵌する角筒部31aを有した本体部31と、本体部31の下端の両側に張り出して設けられた取付用フランジ33と、を備えている。
【0066】
本体部31は、車室側から機器取付用開口4に挿通される。取付用フランジ33は、パネル側ブラケット3の下面に重ねられ、ビス35によりパネル側ブラケット3に固定される。取付用フランジ33には、ビス35を挿通する取付穴36が貫通形成されている。また、パネル側ブラケット3には、ビス35が螺合する雌ねじ部37が装備されている。
【0067】
本体部31は、収容した車体側コネクタ7が所定の角度範囲で傾倒できるように、車体側コネクタ7の外形寸法よりも大きな内部寸法が設定されている。また、本体部31の下部側は、図2(b)にも示すように、車体側コネクタ7の傾倒を許容するように、車体側コネクタ7の傾倒方向に対向する側面が開放部38となっている。この開放部38が設けられていることで、傾倒する車体側コネクタ7との干渉を回避することができる。
【0068】
本実施形態の場合、軸支持部23は、支持軸21が回動自在に嵌合する長穴で、本体部31の下部側の両側壁31b,31cに貫通形成されている。軸支持部23としての長穴は、車体側コネクタ7の軸線に直交する水平方向に長く形成されている。軸支持部23が形成された両側壁31b,31cは、図2に矢印X1,X2で示すように、外側に撓み変形可能である。ホルダ24は、両側壁31b,31cを外側に撓み変形させた状態で、車体側コネクタ7を内部に割り込ませることができる。
【0069】
ホルダ24は、図2に示すように、パネル側ブラケット3に固定する前に、車体側コネクタ7が組み付けられる。そして、車体側コネクタ7が組み付けられたホルダ24をパネル側ブラケット3にビス35で固定することで、図3に示すように、車体側コネクタ7が揺動支持機構8を介してパネル側ブラケット3に支持された状態になる。
【0070】
以上に説明したホルダ24は、車体側コネクタ7を揺動可能に支持し、図4に示すように機器取付用開口4の一側縁4aに係合させたフック12を回動支点として機器側ブラケット11の他端側を機器取付用開口4に突き合わせる機器側ブラケット11の回動操作時に、図5に示すように、突き合わされるコネクタ7,14相互の軸線が一致するように、車体側コネクタ7の取り付け角度を相手コネクタ(機器側コネクタ14)の取り付け角度に追従させる。
【0071】
以上に説明した第1実施形態における車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造では、車両用機器1を車両のパネル側ブラケット3へ固定する際には、予め、図3に示したように、車体側コネクタ7が揺動支持機構8を介してパネル側ブラケット3に取り付けられた状態にしておく。
【0072】
次いで、図4に示すように、車両用機器1の機器側ブラケット11の一端側に設けられているフック12をパネル側ブラケット3の機器取付用開口4の一側縁4aに係合させる。次いで、機器側ブラケット11の他端側が機器取付用開口4に突き合わさるように、フック12の係合部を回動支点として機器側ブラケット11を回動させる。
【0073】
この機器側ブラケット11の回動動作の途中で、機器側コネクタ14の先端が車体側コネクタ7の先端に突き当たり、図5に示すように、コネクタ相互の嵌合が始まる。
【0074】
機器側ブラケット11の回動動作で移動する機器側コネクタ14の移動軌道は、一定の半径の円弧軌道で、移動中に位置ずれ等が生じないため、正確に車体側コネクタ7に誘導することができる。
【0075】
また、コネクタ相互の嵌合が開始すると、一方のコネクタに備えられた揺動支持機構8によって、コネクタ相互の軸線が一致するように,一方のコネクタの取り付け角度が修正される。
【0076】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタ7と機器側コネクタ14との位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタ14と車体側コネクタ7との接続をスムーズに達成することができる。
【0077】
また、コネクタ相互の接続が完了して、機器側ブラケット11の他端側が機器取付用開口4に突き合わさったときには、図6に示したように、機器側ブラケット11の他端側に設けられたパネル固定用穴13を挿通する締結部材としてのねじ部材16によって、機器側ブラケット11の他端側をルーフパネルに締結・固定すれば、車両用機器1のパネル側ブラケット3への固定が完了する。
【0078】
機器側ブラケット11のパネル側ブラケット3への固定に使用するねじ部材16は、機器側ブラケット11の他端側だけで済み、手間のかかるねじ締め等の締結作業が少ないため、車両用機器1のパネル側ブラケット3への固定を簡単に行うことができる。
【0079】
更に、以上に説明した第1実施形態における車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造では、揺動支持機構8として、車体側コネクタ7の両側に突設された支持軸21と、支持軸21を回動自在に支持する軸支持部23を備えて前記ルーフパネルに固定されるホルダ24と、を備えている。
【0080】
そのため、機器取付用開口4の一側縁4aとフック12との係合部を回動支点とした機器側ブラケット11の回動動作によって、コネクタ相互の嵌合が開始すると、図5に示したように、車体側コネクタ7は、ホルダ24の軸支持部23を揺動支点とした揺動動作により、コネクタ相互の軸線が一致するように取り付け角度が修正される。
【0081】
従って、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタ7と機器側コネクタ14との位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタ14と車体側コネクタ7との接続をスムーズに達成することができる。
【0082】
なお、以上に説明した第1実施形態では、車体側コネクタ7を支持するホルダ24に、機器側コネクタ14を収容するコネクタ受け部を設けることによって、車体側コネクタ7の取り付け角度を機器側コネクタ14の取り付け角度に追従させる一方、初期のコネクタ相互の嵌合に影響するような大きな傾きの発生を抑止して、初期のコネクタ相互の嵌合をよりスムーズにすることができる。
【0083】
[第2実施形態]
図7〜図11は本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第2実施形態を示したものである。
【0084】
図7は本発明の第2実施形態の分解斜視図、図8は揺動支持機構によって車両のルーフパネルに揺動自在に支持された車体側コネクタの側面図、図9は図7に示した車両用機器を、フックと機器取付用開口との係合部を支点として回動させた状態を示す側面図である。図10は図9に示した車両用機器の回動により嵌合開始したコネクタ相互の状態を示す側面図、図11は図7に示した車両用機器の車両のルーフパネルへの固定が完了した状態の側面図である。
【0085】
この第2実施形態としての車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造は、第1実施形態に示した揺動支持機構8の代わりに、揺動支持機構8Aを採用したものである。揺動支持機構8A以外の構成は、第1実施形態と共通でよく、第1実施形態と共通の構成は第1実施形態と同番号を付して説明を省略する。
【0086】
この第2実施形態における揺動支持機構8Aは、機器取付用開口4の両側縁4c,4dに対峙する車体側コネクタ7の両側7a,7bにそれぞれ突設されたパネル挟持部41と、各パネル挟持部41を構成している平板状突起43に形成された稜線構造44と、から構成される。
【0087】
パネル挟持部41は、図7及び図8に示すように、パネル側ブラケット3の板厚方向に対向する一対の平板状突起43によって、機器取付用開口4の側縁部45を挟むことで、車体側コネクタ7をパネル側ブラケット3に連結する。
【0088】
パネル挟持部41が挟む側縁部45は、図7及び図8に示すように、周囲から一段下がった平坦部となっている。
【0089】
稜線構造44は、各平板状突起43の側縁部45側の表面に形成された山形の断面形状で、パネル挟持部41を側縁部45に対して揺動可能にする。
【0090】
以上に説明した第2実施形態における車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造では、図9に示すように機器取付用開口4の一側縁4aとフック12との係合部を回動支点とした機器側ブラケット11の回動動作によって、図10に示すようにコネクタ相互の嵌合が開始すると、車体側コネクタ7は、パネル挟持部41を構成している各平板状突起43の稜線構造44を揺動支点とした揺動動作により、コネクタ相互の軸線が一致するように取り付け角度が修正される。
【0091】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタ7と機器側コネクタ14との位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタ14と車体側コネクタ7との接続をスムーズに達成することができる。
【0092】
また、第1実施形態の場合と比較すると、揺動支持機構として別体のホルダ24が不要のため、部品点数を削減することができる。
【0093】
[第3実施形態]
図12は本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第3実施形態の分解斜視図、図13は図12に示した車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する手順の説明図である。
【0094】
この第3実施形態としての車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の場合、車体側コネクタ7が取り付けられるルーフパネル3Bは、車室側にトリム51が取り付けられている。トリム51には、ルーフパネル3Bにおける機器取付用開口4と同様の機器取付用開口52が形成されている。
【0095】
また、第3実施形態における車両用機器1Bは、ルーフパネル3Bに固定する機器側ブラケット11Bに、サンバイザ53が設けられている。
【0096】
この第3実施形態としての車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造は、第1実施形態に示した揺動支持機構8の代わりに、揺動支持機構8Bを採用したしたことを特徴としている。揺動支持機構8B以外の基本的な構成は、第1実施形態と共通でよく、第1実施形態と共通の構成は第1実施形態と同番号、又は相応する番号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0097】
この第3実施形態は、揺動支持機構8Bとして、機器側コネクタ14を機器側ブラケット11Bに回動可能に連結する薄板状のヒンジ部55を備えている。
機器側コネクタ14は、その下端部のブラケット係合部57を機器側ブラケット11Bに形成されたコネクタ取付部56に係合させることで、機器側ブラケット11Bに連結される。
【0098】
ヒンジ部55は、フック12とは逆側のブラケット係合部57の端部に設けられていて、機器側コネクタ14の上部を回動可能に連結している。
【0099】
この第3実施形態における車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造では、車両用機器1Bをルーフパネル3Bに固定する際の操作は、まず図13(b)に示すように、機器側ブラケット11Bの一端側のフック12を、ルーフパネル3Bの機器取付用開口4の一側縁4aに係合させる。次いで、機器側ブラケット11Bをフック12の係合部を支点に回動させ、機器側コネクタ14を車体側コネクタ7に嵌合させる。
【0100】
車体側コネクタ7と機器側コネクタ14との嵌合接続時には、図13(b)に示すように、ヒンジ部55の撓み変形により機器側コネクタ14は、車体側コネクタ7に軸線を一致させた傾斜状態を得ることができる。
【0101】
以上に説明した第3実施形態における車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造では、機器取付用開口4の一側縁4aとフック12との係合部を回動支点とした機器側ブラケット11Bの回動動作によって、コネクタ相互の嵌合が開始すると、機器側コネクタ14は、薄板状のヒンジ部55の変形による揺動動作により、コネクタ相互の軸線が一致するように取り付け角度が修正される。
【0102】
そのため、嵌合接続するコネクタ相互は、位置ずれや、軸線のずれが発生しない。従って、車体側コネクタ7と機器側コネクタ14との位置を整合させる手間が不要で、機器側コネクタ14と車体側コネクタ7との接続をスムーズに達成することができる。
【0103】
また、第1実施形態の構成の場合と比較すると、揺動支持機構として別体のホルダ24が不要のため、部品点数を削減することができる。
【0104】
[第4実施形態]
図14は本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第4実施形態の分解斜視図、図15は図14に示したブラケットに車体側コネクタを装着した状態の斜視図、図16は図15の状態の車体側コネクタを側方から見た要部側面図、図17は図14に示した車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する手順の説明図であり、(a)はフックが機器取付用開口の一側縁に未係止の状態、(b)はフックが機器取付用開口の一側縁に係止された状態である。
【0105】
この第4実施形態としての車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造は、第1実施形態に示した揺動支持機構8の代わりに、スライド支持機構60を採用したものである。スライド支持機構以外の構成は、第1実施形態と共通でよく、第1実施形態と共通の構成は第1実施形態と同符号を付して説明を省略する。
【0106】
この第4実施形態におけるスライド支持機構60は、車体側コネクタ14のスライド方向に沿った相反する側面に設けられたロック用突起62と、当該ロック用突起62よりも車室側に位置してパネル側ブラケット3の車室側の面に係合するように前記側面に設けられた張出し片64と、車体側コネクタ7を挿通可能な孔66が形成されたスライド板68とを備えている。
【0107】
そして、機器取付用開口4に車室側から車体側コネクタ7を挿入して張出し片64をパネル側ブラケット3の車室側の面に係合させ、車体側からスライド板68の孔66に車体側コネクタ7を挿通させて、孔66の縁部がロック用突起62を乗り越えたときに張出し片64とスライド板68とに孔66の縁部が保持され、車体側コネクタ7が機器取付用開口4に沿ってフック係止部5に離接する方向(図16で左右方向)にスライド可能である。
【0108】
張出し片64とロック用突起62との間の長さは、パネル側ブラケット3とスライド板68の厚みの和よりもわずかに長く、且つガタつかない程度に設定されている。これにより、パネル側ブラケット3とスライド板68は、張出し片64とロック用突起62とにより緊密に挟持されてはおらず、機器取付用開口4に沿ってスライド可能になっている。
【0109】
車両用機器1を車両のパネル側ブラケット3へ固定する際には、まず、パネル側ブラケット3の機器取付用開口4に車室側から車体側コネクタ7を挿通して張出し片64をパネル側ブラケット3の車室側の面に対向させる。次いで、パネル側ブラケット3の機器取付用開口4の車体側から、スライド板68の孔66に車体側コネクタ7が挿通するようにスライド板68を車体側コネクタ7に装着する。
【0110】
そして、孔66の縁部66A,66Aが車体側コネクタ7のロック用突起62を乗り越えるようにスライド板68を押す。すると、スライド板68の孔66の縁部66A,66Aが一時的に撓み変形して孔66の縁部66A,66Aがロック用突起62,62を乗り越えて、ロック用突起62,62とパネル側ブラケット3の車体側の面との間に保持され、図15及び図16に示した状態となる。これにより、車体側コネクタ7はパネル側ブラケット3の機器取付用開口4の縁部66A,66Aに沿ってスライド可能になる。
【0111】
この状態で、図17(a)に示すように、機器側ブラケット11のフック12を機器取付用開口4に挿入すると共に機器側コネクタ14を車体側コネクタ7に結合する。
【0112】
次いで、図17(b)に示すように、機器側ブラケット11のフック12を車両のパネル側ブラケット3の機器取付用開口4の一側縁4Aのフック係止部5に係合させ、機器側ブラケット11の他端側を機器取付用開口4に突き合わせて、ねじ部材16によりパネル側ブラケット3に締結・固定する。
【0113】
ここで、コネクタ相互を接続するとき車体側コネクタ7が適正な位置になくても、機器側コネクタ14を結合して機器側ブラケット11を固定するだけで、車体側コネクタ7が適正な位置にスライド移動する。従って、車体側コネクタ7を予め正確に位置決めすることが不要であり、機器側コネクタ14と車体側コネクタ7とをスムーズ、且つ簡単に接続することができる。
【0114】
また、車体側コネクタ7が適正位置からわずかにずれているときは、コネクタ7,14相互が少しでも嵌合すれば車体側コネクタ7は機器側コネクタ14の動きに追従して嵌合し、両コネクタ7,14はスムーズに接続される。
【0115】
[第5実施形態]
図18は本発明に係る車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造の第5実施形態の分解斜視図、図19は図18に示したスライド案内板に車体側コネクタを保持した状態の斜視図、図20は図18に示したルーフパネルにスライド案内板により車体側コネクタを保持した状態の断面図、図21は図18に示した車両用機器を車両のルーフパネルへ固定する手順の説明図であり、(a)はフックが機器取付用開口の一側縁に未係止の状態、(b)はフックが機器取付用開口の一側縁に係止された状態である。
【0116】
この第5実施形態としての車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造は、第4実施形態に示したスライド支持機構60の代わりに、スライド支持機構60Aを採用したものである。スライド支持機構以外の構成は、第4実施形態と共通でよく、第4実施形態と共通の構成は第4実施形態と同符号を付して説明を省略する。
【0117】
この第5実施形態におけるスライド支持機構60Aは、車体側コネクタ7のスライド方向に沿った相反する側面に設けられた張出し片64Aと、車体側コネクタ7のコネクタ結合部を機器側コネクタ14に臨ませる孔70が形成されたスライド案内板72とを備えている。
【0118】
スライド案内板72は、張出し片64Aをスライド方向に沿ってスライド可能に保持する凹部74が車体側の面に形成されている。凹部74は、張出し片64Aが機器取付用開口部4に沿ってフック係止部5に離接する方向(図20で左右方向)にスライド可能な、所定長さに設定されている。なお、凹部74の深さは、張出し片64Aの厚みよりもわずかに大きい程度に設定されている。
【0119】
そして、張出し片64Aを凹部74内にスライド可能に保持した状態でスライド保持板72をパネル側ブラケット3の車室側の面に固定することで、車体側コネクタ7は機器取付用開口4に沿ってスライド可能になっている。
【0120】
スライド案内板72は、車体側コネクタ7の張出し片64Aを凹部74に保持した状態で、パネル側ブラケット3の車室側の面にねじ部材76により固定される。このために、スライド案内板72及びパネル側ブラケット3にはねじ止め用の孔78,78,80,80が形成されている。
【0121】
なお、スライド案内板72とパネル側ブラケット3とをねじ止めで固定する代わりに、スライド案内板72又はパネル側ブラケット3の一方にロック用爪を形成し、他方にロック用孔を形成し、ロック用爪がロック用孔に係合することで両者を固定する構成であってもよい。
【0122】
車両用機器1を車両のパネル側ブラケット3へ固定する際には、まず、スライド案内板72の凹部74に、コネクタ結合部を車室側に向けて車体側コネクタ7の張出し片64Aを保持する。
【0123】
そして、スライド案内板72に保持された車体側コネクタ7をパネル側ブラケット3の機器取付用開口4に挿通して、ねじ部材76によりスライド案内板72をパネル側ブラケット3に固定する。このとき、車体側コネクタ7の張出し片64Aは、凹部74内に保持され凹部74の開口部をパネル側ブラケット3の車室側の面で閉じられているので、張出し片64Aが凹部74から脱落することはない。
【0124】
この状態で、図21(a)に示すように、機器側ブラケット11のフック12を機器取付用開口4に挿入すると共に機器側コネクタ14を車体側コネクタ7に結合する。
【0125】
次いで、図21(b)に示すように、機器側ブラケット11のフック12を車両のパネル側ブラケット3の機器取付用開口4の一側縁4Aのフック係止部5に係合させ、機器側ブラケット11の他端側を機器取付用開口4に突き合わせて、ねじ部材16によりパネル側ブラケット3に締結・固定する。
【0126】
ここで、コネクタ相互を接続するとき車体側コネクタ7が適正な位置になくても、機器側コネクタ14を結合して機器側ブラケット11を固定するだけで、車体側コネクタ7が適正な位置にスライド移動する。従って、車体側コネクタ7を予め正確に位置決めすることが不要であり、機器側コネクタ14と車体側コネクタ7とをスムーズ、且つ簡単に接続することができる。
【0127】
また、車体側コネクタ7が適正位置からわずかにずれているときは、コネクタ7,14相互が少しでも嵌合すれば車体側コネクタ7は機器側コネクタ14の動きに追従して嵌合し、両コネクタ7,14はスムーズに接続される。
【0128】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0129】
1,1B 車両用機器
3 パネル側ブラケット(ルーフパネル)
4 機器取付用開口
4a 一側縁
5 フック係止部
6 締結部(雌ねじ部)
7 車体側コネクタ
8,8A,8B 揺動支持機構
11 機器側ブラケット(ブラケット)
12 フック
13 パネル固定用穴
14 機器側コネクタ
16 ねじ部材
21 支持軸
23 軸支持部
24 ホルダ
41 パネル挟持部
43 平板状突起
44 稜線構造
55 ヒンジ部
56 コネクタ取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルの機器取付用開口に車室側から取り付けられるブラケットと、該ブラケットの一端側に設けられて前記機器取付用開口の一側縁に回動可能に係合するフックと、前記機器取付用開口の一側縁に係合した前記フックを回動支点として前記ブラケットの他端側を前記機器取付用開口に突き合わせたときに前記ルーフパネル側の締結部に位置が整合するように前記ブラケットの他端側に設けられたパネル固定用穴と、前記ブラケットに搭載されて、前記機器取付用開口に臨んで前記ルーフパネルに取り付けられている車体側コネクタに接続される機器側コネクタと、を備える車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造であって、
前記車体側コネクタ及び前記機器側コネクタの何れか一方のコネクタには、コネクタを揺動可能に支持し、前記フックを回動支点として前記ブラケットの他端側を前記機器取付用開口に突き合わせるブラケット回動操作時に、突き合わされるコネクタ相互の軸線が一致するように、当該コネクタの取り付け角度を相手コネクタの取り付け角度に追従させる揺動支持機構を備えたことを特徴とする車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【請求項2】
前記揺動支持機構として、前記車体側コネクタの両側に突設された支持軸と、前記支持軸を回動自在に支持する軸支持部を備えて前記ルーフパネルに固定されるホルダと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【請求項3】
前記揺動支持機構として、前記機器取付用開口の両側縁に対峙する前記車体側コネクタの両側にそれぞれ突設され、一対の平板状突起によって前記機器取付用開口の側縁部を挟むパネル挟持部と、各平板状突起の前記側縁部側の表面に形成されて前記パネル挟持部を前記側縁部に対して揺動可能にする稜線構造と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【請求項4】
前記揺動支持機構として、前記機器側コネクタの前記フックとは逆側の端部を前記ブラケットに回動可能に連結する薄板状のヒンジ部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【請求項5】
車両のルーフパネルの機器取付用開口に車室側から取り付けられるブラケットと、該ブラケットの一端側に設けられて前記機器取付用開口の一側縁に係合するフックと、前記機器取付用開口の一側縁に前記フックを係合させて前記ブラケットの他端側を前記機器取付用開口に突き合わせたときに前記ルーフパネル側の締結部に位置が整合するように前記ブラケットの他端側に設けられたパネル固定用穴と、前記ブラケットに搭載されて、前記機器取付用開口に臨んで前記ルーフパネルに取り付けられている車体側コネクタに接続される機器側コネクタと、を備える車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造であって、
前記車体側コネクタには、当該車体側コネクタを前記機器取付用開口の前記一側縁と前記他側縁とを結ぶ方向に沿ってスライド可能に支持し、突き合わされるコネクタ相互の軸線が一致するように、当該コネクタの取り付け位置を相手コネクタの取り付け位置に整合させるスライド支持機構を備え、
前記スライド支持機構は、前記車体側コネクタのスライド方向に沿った相反する側面に設けられたロック用突起と、当該ロック用突起よりも車室側に位置して前記ルーフパネルの車室側の面に係合するように前記側面に設けられた張出し片と、
前記車体側コネクタを挿通可能な孔が形成されたスライド板とを備え、
前記機器取付用開口に車室側から前記車体側コネクタを挿入して前記張出し片を前記ルーフパネルの車室側の面に係合させ、車体側から前記スライド板の前記孔に前記車体側コネクタを挿通させて、前記孔の縁部が前記ロック用突起を乗り越えたときに前記張出し片と前記スライド板とに前記孔の縁部が保持され、前記車体側コネクタが前記機器取付用開口に沿ってスライド可能であることを特徴とする車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。
【請求項6】
車両のルーフパネルの機器取付用開口に車室側から取り付けられるブラケットと、該ブラケットの一端側に設けられて前記機器取付用開口の一側縁に係合するフックと、前記機器取付用開口の一側縁に前記フックを係合させて前記ブラケットの他端側を前記機器取付用開口に突き合わせたときに前記ルーフパネル側の締結部に位置が整合するように前記ブラケットの他端側に設けられたパネル固定用穴と、前記ブラケットに搭載されて、前記機器取付用開口に臨んで前記ルーフパネルに取り付けられている車体側コネクタに接続される機器側コネクタと、を備える車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造であって、
前記車体側コネクタには、当該車体側コネクタを前記機器取付用開口の前記一側縁と前記他側縁とを結ぶ方向に沿ってスライド可能に支持し、突き合わされるコネクタ相互の軸線が一致するように、当該コネクタの取り付け位置を相手コネクタの取り付け位置に整合させるスライド支持機構を備え、
前記スライド支持機構は、前記車体側コネクタのスライド方向に沿った相反する側面に設けられた張出し片と、
前記車体側コネクタのコネクタ結合部を機器側コネクタに臨ませる孔が形成されたスライド案内板とを備え、
前記スライド案内板は、前記張出し片を前記スライド方向に沿ってスライド可能に保持する凹部が車体側の面に形成され、前記張出し片を前記凹部内にスライド可能に保持した状態で前記スライド保持板を前記ルーフパネルの車室側の面に固定することで、前記車室側コネクタが前記機器取付用開口に沿ってスライド可能であることを特徴とする車両用機器の車両のルーフパネルへの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−150894(P2011−150894A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11235(P2010−11235)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】