説明

車両用灯具

【課題】車体前後方向に長大な灯具のアウターレンズに、周縁に湾曲した凹部を部分的に有する意匠部が形成される場合に、ハウジングとアウターレンズとの成形型抜き方向の相違に起因するハウジング開口部周縁とアウターレンズ外周縁部とにおける溝部と脚部との嵌合シール部分に間隙が生じないようにする。
【解決手段】アウターレンズ30の意匠部31の周縁に部分的に凹部32が形成され、凹部32に対応した部分にアウターレンズ30の径方向に広がって溝部13と脚部33とが嵌合したシール部2を意匠部周縁から離れた位置に設定する周縁拡張部34が形成される。脚部33は周縁拡張部34の周縁部に形成され、凹部32から離間した位置にあり、凹部形状にとらわれずにハウジング10の型抜き方向に合わせて成形できる。従って、ハウジング10側の溝部13とアウターレンズ30側の脚部33とが嵌合したシール部2に間隙が生じるのを回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のヘッドランプやリヤコンビネーションランプに用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドランプやリヤコンビネーションランプ等の車両用灯具は、周知のようにランプユニットを収容したハウジングと、該ハウジングの前側開口部を閉塞したアウターレンズとを備えている。
【0003】
これらのハウジングとアウターレンズとは、一方の開口部周縁に設けた溝部にシール材を充填し、他方の開口部周縁に設けた脚部を前記溝部に嵌合してシール材に埋め込むことによって、シールを兼ねた結合が行われている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−217318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自動車の車体デザイン上の理由から、例えば図1,図2に示すようにヘッドランプ1として、車体のフロントエンド部F・Eの車幅方向コーナー部からフロントサイド部のフロントフェンダF・F側に大きく廻り込むように、車体前後方向に長大に構成し、アウターレンズ30は外部に露出する異形の意匠部31を備えた漸新な意匠が望まれる。
【0005】
このように、ヘッドランプ1を車体前後方向に長大に構成する場合、ランプユニット20は車両前方に向くようにヘッドランプ1のフロント部分に配置される一方、アウターレンズ30には前述のように外部に露出する意匠部31が設けられる。また、この意匠部31のランプユニット20周りの下縁部分には、配光およびデザイン上の理由からレンズ中央側に向けて滑らかに湾曲した凹部32が形成される。
【0006】
ヘッドランプ1の外殻を構成するハウジング10およびアウターレンズ30は、何れも適宜の合成樹脂材をもって所定の金型により射出成形される。この場合、ハウジング10はランプユニット20の車体前後方向からの組付けが可能となるように、図2に示すように型抜き方向Xが車体前後方向に設定される。一方、アウターレンズ30は車体側方を向いているため、金型の一部にスライド型を用いない場合その型抜き方向Yは、意匠部31の型抜き性を考慮して該意匠部31と略面直方向に設定される。このため、図2に示すハウジング10とアウターレンズ30との組付け状態では、ハウジング10の型抜き方向Xに対して、アウターレンズ30の型抜き方向Yが斜状、かつ、やや上向きに交差する状態となる。この両者の型抜き方向XとYとの相違により、意匠部31の周縁では図1のC−C線断面として図5に示すように略直線状の周縁一般部分では、周縁の型抜き勾配がハウジング10の開口部12周縁に対して外向きとなる一方、図1のD−D線断面として図6に示すように湾曲した凹部32の周縁部分では、周縁の型抜き勾配がハウジング10の開口部12周縁に対して内向きとなる部分が生じる。
【0007】
このような異形の意匠部31を有するアウターレンズ30とハウジング10とのシールを兼ねた結合に前記従来の溝部と脚部との嵌合構造を単純に適用しようとした場合、即ち、結合部をアウターレンズ30の意匠部31の周縁形状に沿って設定し、例えば、図5,図6に鎖線で示すようにハウジング10の開口部12周縁に溝部13’を設け、アウターレンズ30の意匠部31の周縁端末を脚部33’と仮定して、これら溝部13’と脚部33’とを嵌合して結合する場合、意匠部31の下縁側では前述のように周縁が略直線状の一般部分と、湾曲した凹部32の部分とでは、意匠部31周縁がハウジング開口部12の周縁に対して外向きと、内向きとに変化するため、ハウジング開口部12の溝部13’は、これら外向き、内向きに変化する脚部33’を収容可能なように外開きのテーパをもった溝形状に形成する必要がある。このため、図5に鎖線で示すように脚部33’が外向きとなる部分では、脚部33’と溝部13’との嵌合部の外側に間隙Sが生じる一方、図6に鎖線で示すように脚部33’が内向きとなる部分では、脚部33’と溝部13’との嵌合部の内側に間隙Sが生じる。
【0008】
この結果、溝部13’と脚部33’との嵌合部分にシール材(図示省略)が充填されていても、前記間隙Sの発生により防水性が損なわれてしまう。また、外側に間隙Sが生じることによって外観上も問題となってしまう。
【0009】
そこで、本発明は車体前後方向に長大に構成される灯具のアウターレンズに、周縁に湾曲した凹部を部分的に有する意匠部が形成される場合に、ハウジングとアウターレンズとの成形型抜き方向の相違に起因するハウジング開口部周縁とアウターレンズ外周縁部とにおける溝部と脚部との嵌合シール部分に間隙が生じることがなく、防水性および外観の低下を回避することができる車両用灯具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にあっては、ランプユニットを収容したハウジングとアウターレンズとを、ハウジングの開口部周縁とアウターレンズの外周縁部との一方に設けた溝部と他方に設けた脚部とを嵌合したシール部により結合して構成され、車体の前部または後部の車幅方向コーナー部から車体サイド部に廻り込んで配設される車両用灯具において、前記アウターレンズは、外部に露出して配置される意匠部の周縁に部分的にレンズ中央側に向けて凹部が形成され、該アウターレンズの外周縁部には、少くとも前記凹部に対応した部分でアウターレンズの径方向に広がって、前記シール部を意匠部周縁から離間した位置に設定するための周縁拡張部が形成されていることを主要な特徴としている。
【0011】
従って、前記ハウジングとアウターレンズとは、ハウジングの開口部周縁とアウターレンズの外周縁部との一方に設けた溝部と他方に設けた脚部とを嵌合して、該嵌合部分に充填されたシール材に前記脚部を埋め込むことによってシール部を兼ねた結合が行われるが、アウターレンズの周縁拡張部が形成された部分にあっても、ハウジングの開口部周縁と周縁拡張部の周縁部との間で前記溝部と脚部との嵌合によるシール部を兼ねた結合が行われる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用灯具によれば、アウターレンズの周縁拡張部の周縁部には、ハウジングの開口部周縁の溝部または脚部に対応して、脚部または溝部が形成されるが、この周縁拡張部の脚部または溝部は、アウターレンズの意匠部における凹部から離間した位置に形成されて、該凹部の形状にとらわれずにハウジングの型抜き方向にほぼ合わせて成形することが可能となる。
【0013】
この結果、ハウジングの開口部周縁とアウターレンズ外周縁部との結合部分の全周に亘って、前記溝部と脚部との嵌合部の外側および内側に間隙が生じることがなく、防水性を高めることができる。
【0014】
また、前記周縁拡張部における溝部と脚部との嵌合部分は、意匠部の周縁形状にとらわれずにそれらの周方向に直線状に形成することが可能となるので、防水性をより一層高めることができると共に、溝部と脚部との嵌合作業性を高めることができる。
【0015】
更には、周縁拡張部における前記結合部、即ち、シール部がアウターレンズの意匠部周縁と、バンパーフェイシャまたはフェンダパネル等の車体側パネル材との間に生じるパーティング間隙から遠く離れた配置となるため、該パーティング間隙に直撃する洗車水あるいはスプラッシュに対しても高い防水性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態をヘッドランプを例に採って詳述する。
【0017】
図1は本発明に係るヘッドランプの正面図,図2は同ヘッドランプの平面図、図3は図1のA−A線に沿う断面図、図4は図1のB−B線に沿う断面図、図5は図1のC−C線に沿う断面図、図6は図1のD−D線に沿う断面図である。
【0018】
図1,図2は車体左側のヘッドランプを示しており、ヘッドランプ1は車体のデザイン上の理由から、車体のフロントエンド部F・Eの左側コーナー部からフロントサイド部のフロントフェンダF・F側に大きく廻り込むように、車体前後方向に長大に構成されている。
【0019】
ヘッドランプ1は、ハウジング10と、ハウジング10の灯室11に取付けられたランプユニット20と、ハウジング10の開口部、即ち、灯室11の開口部12を閉塞するアウターレンズ30と、を備えている。
【0020】
このヘッドランプ1は、フロントエンド部F・EからフロントフェンダF・Fに亘るキャラクターラインに沿うように、図2に示すように平面視して外側に凸となる緩やかな弧状に形成され、また、ヘッドランプ1が臨設配置される車体側開口部の形状に合わせて、フロントフェンダF・F側に配置されるサイド部がやや車体後方に後ろ上がりとなるように、図1に示すように該サイド部からフロント部に亘って上縁部分が前傾した形状に形成されている。
【0021】
ハウジング10の灯室11内に配設されるランプユニット20は、その光源21が車両前方を向くようにヘッドランプ1のフロント部側に一側に偏寄って配置されている。
【0022】
一方、アウターレンズ30には、そのフロント部からサイド部の後端部分に亘って、外部に露出する意匠部31が設けられる。この意匠部31は、アウターレンズ30が外部に露出して臨設配置される車体側開口部の周縁形状に沿って形成されるが、意匠部31の前記ランプユニット20に対応する一側部周縁の下縁部分には、配光およびデザイン上の理由からレンズ中央側に向けて滑らかに湾曲した凹部32が形成されている。
【0023】
ハウジング10とアウターレンズ30とは、図3,図4に示すように、ハウジング10の開口部12の周縁に設けた外側に開溝した溝部13と、アウターレンズ30の外周縁部にハウジング10側に向けて突設した脚部33とを嵌合し、溝部13内に充填したシール材14に前記脚部33を埋め込むことによって、シール部2を構成した結合が行われる。
【0024】
ヘッドランプ1の外殻を構成するハウジング10およびアウターレンズ30は、何れも適宜の合成樹脂材をもって所定の金型により射出成形される。
【0025】
この場合、ハウジング10はランプユニット20を光源21の光軸方向からの組付けが可能となるように、即ち、図2において車体前方からの組付けが可能となるように型抜き方向Xが車体前後方向に設定される。
【0026】
一方、アウターレンズ30は図2において車体側方を向いているため、同図に示すようにその型抜き方向Yは意匠部31の型抜き性を考慮して該意匠部31と略面直方向に設定され、金型に部分的にスライド型を用いない簡易な金型での成形を可能としている。
【0027】
ここで、前記アウターレンズ30の外周縁部には、少くとも意匠部31の凹部32に対応した部分でアウターレンズ30の径方向に広がって、前記シール部2を意匠部31の周縁から遠く離間した位置に設定するための周縁拡張部34が形成されている。
【0028】
前述のように意匠部31の凹部32は、該意匠部31の周縁の下側でランプユニット20周りに形成されており、従って、周縁拡張部34は意匠部31の周縁の凹部32に対応した下側領域に形成される。
【0029】
本実施形態ではこの周縁拡張部34は、図1に示すようにランプユニット20の配設部を略中心として凹部32の下側領域から上側に亘って、意匠部31の一側部周囲に正面視して略矩形状に形成されている。また、アウターレンズ30の意匠部31以外の部分は、塗装等により外側からハウジング10内が透視できないようになっている。
【0030】
ハウジング10のフロント部側では、前記周縁拡張部34に対応して開口部12が正面視して略矩形状に拡大される。従って、灯室11には図3に示すように、ランプユニット20の光源21の下側に意匠部31の下縁よりも下方に拡大された所要空間の灯室拡大部11Aが形成されている。
【0031】
ハウジング10とアウターレンズ30とのシール部2を兼ねた結合部を構成する一方の溝部13は、このハウジング10の開口部12の拡大した部分から一般部分に亘って一連に形成される一方、脚部33はアウターレンズ30の周縁拡張部34の周縁部から、該周縁拡張部34の無いアウターレンズ20の一般外周縁部に亘って一連に形成される。
【0032】
また、ハウジング10には、ヘッドランプ1を図外の車体側部材に取付けるためのブラケット15aやロケートピン15b等の取付部材15が突設されるが、このハウジング10のフロント部側では、取付部材15がアウターレンズ30の周縁拡張部34の周縁部近傍、即ち、ハウジング開口部12の周縁拡張部34に対応した拡大部分の周縁部分に設けられている(図1参照)。
【0033】
以上の構成からなる本実施形態のヘッドランプ1によれば、ハウジング10とアウターレンズ30とは、ハウジング10の開口部12周縁に設けた溝部13と、アウターレンズ30の外周縁部に設けた脚部33とを嵌合して、溝部13に充填されたシール材14に脚部33を埋め込むことによってシール部2を兼ねた結合が行われるが、アウターレンズ30の周縁拡張部34が形成された部分にあっても、ハウジング10の周縁拡張部34に対応して拡大された開口部12の周縁と、周縁拡張部34の周縁部との間で、前記溝部13と脚部33との嵌合によるシール部2を兼ねた結合が行われる。
【0034】
このように、アウターレンズ30の周縁拡張部34の周縁部には、ハウジング10の開口部12周縁の溝部13に対応して脚部33が形成されるが、この脚部33はアウターレンズ30の意匠部31における凹部32から遠く離間した位置に形成されて、該凹部32の形状にとらわれずにハウジング10の型抜き方向Xにほぼ合わせて成形することができる。
【0035】
即ち、ハウジング10は前述のように図2においてランプユニット20の車体前方からの組付けが可能となるように、型抜き方向Xが車体前後方向に設定される。一方、アウターレンズ30は車体側方を向いているため、金型の一部にスライド型を用いない簡易な金型ではその型抜き方向Yが意匠部31の型抜き性を考慮して意匠部31と略面直方向に設定される。
【0036】
このため、図2に示すハウジング10とアウターレンズ30との組付け状態では、ハウジング10の型抜き方向Xに対して、アウターレンズ30の型抜き方向Yが斜状、かつ、やや上向きに交差する状態となる。
【0037】
この両者の型抜き方向XとYとの相違により、意匠部31の周縁では図5に示すように略直線状の周縁一般部分では、周縁の型抜き勾配がハウジング10の開口部12周縁に対して外向きとなる一方、湾曲した凹部32の周縁部分では図6に示すように周縁の型抜き勾配がハウジング10の開口部12周縁に対して内向きとなる部分が生じる。
【0038】
一方、本実施形態では、アウターレンズ30側の脚部33は、意匠部31の凹部32に対応した部分では周縁拡張部34の周縁部に形成され、該周縁部ではレンズ基材の弾性復元作用により脚部33がアウターレンズ30の型抜き方向Yと多少方向がずれていても型抜きが許容されるため、図5,図6に示すように脚部33をハウジング10の型抜き方向Xにほぼ合わせて成形することが可能となる。
【0039】
この結果、ハウジング10の開口部12周縁の溝部13は、脚部33の板厚よりも若干広い開溝幅で良く、ハウジング10の開口部12周縁とアウターレンズ30の外周縁部との結合部分の全周に亘って、前記溝部13と脚部33との嵌合部の外側および内側に間隙S(図5,図6の鎖線参照)が生じることがなく、防水性を高めることができる。
【0040】
また、前記周縁拡張部34における溝部13と脚部33との嵌合部分は、意匠部31の周縁形状にとらわれずにそれらの周方向に直線状に形成することが可能となるので、防水性をより一層高めることができると共に、溝部13と脚部33との嵌合作業性を高めることができる。
【0041】
更には、周縁拡張部34における前記結合部、即ち、シール部2がアウターレンズ30の意匠部31周縁と、バンパーフェイシャまたはフェンダパネル等の車体側パネル材B・Pとの間に生じるパーティング間隙C(車体側パネル材B・P、パーティング間隙Cは何れも図5参照)から遠く離れた位置となるため、該パーティング間隙Cに直撃する洗車水あるいはスプラッシュが行き届きにくくなることから、これらの直撃水に対しても高い防水性を得ることができる。
【0042】
ここで、特に本実施形態にあっては、ヘッドランプ1のフロント部側に偏寄って配設されたランプユニット20に対応して、アウターレンズ30の意匠部31周縁の凹部32がこのランプユニット20周りの下側に形成されている場合に、周縁拡張部34はランプユニット20の配設部を略中心として凹部32の下側領域から上側に亘って、意匠部31の一側部周囲に正面視して略矩形状に形成されている。このため、車両走行時に最もスプラッシュの直撃を受け易いヘッドランプ1のフロント部側では、その全周囲で周縁拡張部34が意匠部31の成形基部(周縁基部)から立ち上がって、意匠部31と車体側パネル材B・Pとのパーティング間隙Cに直撃するスプラッシュに対するダム部材として機能するため、スプラッシュが溝部13と脚部33とが嵌合したシール部2に直撃するのを回避することができる。また、前述のようにヘッドランプ1の上縁部分が前傾した形状に形成され、そのフロント部が車幅方向内側に向いているような場合は、雨水等の流れが滞ることがなく排水性が良好となる。しかも、このフロント部側では意匠部31の上側にも周縁拡張部34が形成されているため、該フロント部側に流れ込む雨水等に対して周縁拡張部34の排水ガイド機能とダム部材機能とが得られて、防水性を一段と高めることができる。
【0043】
また、周縁拡張部34が意匠部31の上側にも形成されているため、図5に示す車体側パネル材B・Pの縁部に手をついても、周縁拡張部34に突き当ってその撓み変形を規制することができるため、車体側パネル材B・Pのベコツキを抑制して品質感を高めることができる。
【0044】
しかも、前述のように周縁拡張部34を正面視して略矩形状に形成して、その周縁部のシール部2の略直線状部分を多く設定することができるため、より一層シール性、組付け作業性を高めることができる。
【0045】
更に、周縁拡張部34を凹部32の下方に延設することに伴い、これに合わせてハウジング10の開口部12を下方に拡大して、ランプユニット20の光源21の下側に灯室11の拡大部11Aが形成されているので、光源21の発熱により灯室11内の空気が熱対流して、空気中の水分がアウターレンズ30の内面下側に結露するような場合、この結露域を意匠部31よりも下側の灯室拡大部11Aの前面となる周縁拡張部34に位置をずらすことが可能となる。この結果、意匠部31の下側部分における結露による配光性能の低下や外観、品質感の低下を回避することができる。
【0046】
また、ハウジング10に設けられる取付部材15は、周縁拡張部34の周縁部近傍に設けることができるため、車体側部材に設定される取付点が意匠部31よりも遠く離れていても、該取付部材15を、車体側部材に近接して設けることができるため、脚長を極力短かくすることができる。
【0047】
これにより、取付部材15の剛性を高められてヘッドランプ1の取付剛性を高められると共に、取付部材15の成形誤差を少なくして車体側部材への取付精度を高めることができる。
【0048】
なお、前記実施形態では周縁拡張部34を、ヘッドランプ1のフロント部側に正面略矩形状に形成しているが、意匠部31の全周を囲むようにアウターレンズ30に全体的に形成しても良い。また、凹部32の形成位置はランプユニット20周りに限らず、造形上の要求により意匠部31周縁のどこにあっても良く、これに合わせて周縁拡張部34が形成される。更に、本発明はヘッドランプに限らず、リヤコンビネーションランプに適用して前記実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘッドランプの正面図。
【図2】図1に示すヘッドランプの平面図。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図。
【図4】図1のB−B線に沿う断面図。
【図5】図1のC−C線に沿う断面図。
【図6】図1のD−D線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0050】
1 ヘッドランプ(車両用灯具)
F・E フロントエンド部(車体前部)
F・F フロントフェンダ(車体サイド部)
2 シール部
10 ハウジング
11 灯室
11A 灯室拡大部
12 ハウジングの開口部
13 溝部
14 シール材
15 取付部材
20 ランプユニット
21 光源
30 アウターレンズ
31 意匠部
32 凹部
33 脚部
34 周縁拡張部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプユニットを収容したハウジングとアウターレンズとを、ハウジングの開口部周縁とアウターレンズの外周縁部との一方に設けた溝部と他方に設けた脚部とを嵌合したシール部により結合して構成され、車体の前部または後部の車幅方向コーナー部から車体サイド部に廻り込んで配設される車両用灯具において、
前記アウターレンズは、外部に露出して配置される意匠部の周縁に部分的にレンズ中央側に向けて凹部が形成され、
該アウターレンズの外周縁部には、少くとも前記凹部に対応した部分でアウターレンズの径方向に広がって、前記シール部を意匠部周縁から離間した位置に設定するための周縁拡張部が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
ハウジングの車体側への取付部材が、周縁拡張部の周縁部近傍に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
周縁拡張部が、意匠部の下側に形成され、ハウジングの開口部がこの周縁拡張部に対応して下側に拡大されて、ランプユニットの下側に灯室拡大部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
ランプユニットが、アウターレンズにおける意匠部の一側部に偏寄った位置に配設されていて、意匠部周縁の凹部が前記ランプユニット周りに形成され、周縁拡張部がランプユニット配設部を略中心として前記意匠部の一側部周囲に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の車両用灯具。
【請求項5】
周縁拡張部が、意匠部の上側に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−245815(P2009−245815A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92381(P2008−92381)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】