車両用灯火装置
【課題】機能の異なる2種類のランプを1つの灯体に収納し、かつ設計自由度および被視認性の高い車両用灯火装置を提供する。
【解決手段】ベース部材51とアウタレンズ55とで形成される収容空間にウインカ用バルブ(第1光源)53およびポジションランプ用バルブ(第2光源)54を収容し、自動二輪車1の車体前面部に配設されるポジションランプ一体型ウインカ装置50において、ベース部材51の第1収容部58に、第1光源53の光を反射する第1リフレクタ部58a,58bを設ける。第2収容部59には、第2光源54の光を反射する第2リフレクタ部59aと、第2光源54の前方に配置されて該第2光源54の照射光を導光する導光部材60とを設ける。導光部材60は、第1光源53の発光色と同系色の橙色透明部材で形成されると共に、第1リフレクタ部58a,58bの車体前方側の一部を覆う延出部68を備える。
【解決手段】ベース部材51とアウタレンズ55とで形成される収容空間にウインカ用バルブ(第1光源)53およびポジションランプ用バルブ(第2光源)54を収容し、自動二輪車1の車体前面部に配設されるポジションランプ一体型ウインカ装置50において、ベース部材51の第1収容部58に、第1光源53の光を反射する第1リフレクタ部58a,58bを設ける。第2収容部59には、第2光源54の光を反射する第2リフレクタ部59aと、第2光源54の前方に配置されて該第2光源54の照射光を導光する導光部材60とを設ける。導光部材60は、第1光源53の発光色と同系色の橙色透明部材で形成されると共に、第1リフレクタ部58a,58bの車体前方側の一部を覆う延出部68を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯火装置に係り、特に、ウインカランプおよびポジションランプを一体のハウジングに収納してなる車両用灯火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用灯火装置において、車体後部のポジションランプとして常時点灯するテールランプおよびブレーキ操作時に点灯するストップランプ等の機能の異なる2種類のランプを、1つの灯体に収納するようにした構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、1枚のインナレンズを備え、テールランプの発光時にはインナレンズの一部のみが発光すると共に、ストップランプの発光時にはテールランプの発光領域を含めてインナレンズ全体が発光するようにした自動二輪車の尾灯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4589168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、テールランプおよびストップランプの発光領域が1枚のインナレンズの形状によって決定されるので、2種類のランプの形状に制約が発生しやすく、車両の外観上の特徴としての寄与度が高い灯火器形状の設計自由度が低下するという課題があった。さらに、この車両用灯火装置では、ストップランプの照射範囲に比してテールランプの照射範囲が狭くなっており、いずれのランプにおいても高い被視認性を確保できることが好ましい。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、機能の異なる2種類のランプを1つの灯体に収納し、かつ設計自由度および被視認性の高い車両用灯火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、ベース部材(51)とアウタレンズ(55)とで形成される収容空間に少なくとも2つの光源(53,54)を収容するようにした車両用灯火装置(50)において、前記ベース部材(51)には、前記光源(53,54)のうち、第1光源(53)が配置される第1収容部(58)と、第2光源(54)が配置される第2収容部(59)とが形成され、前記第1収容部(58)には、前記第1光源(53)の光を前方に反射する第1リフレクタ部(58a,58b)が設けられ、前記第2収容部(59)には、前記第2光源(54)の光を前方に反射する第2リフレクタ部(59a)と、前記第2光源(54)の前方に配置されて該第2光源(54)の照射光を導光する導光部材(60)とが設けられ、前記導光部材(60)は、前記第1光源(53)の発光色と同系色の有色透明部材で形成されると共に、前記第1リフレクタ部(58a,58b)の車体前方側の一部を覆う延出部(68)を備える点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記車両用灯火装置(50)は、車両(1)の車幅方向右側または左側にオフセットして車体前面部に配設され、前記第2光源(54)は、前記第1光源(53)よりも車体上方かつ車幅方向外側に配置されており、前記導光部材(60)が、前記第2光源(54)より車幅方向外側の位置から前記第1光源(53)の車幅方向内側の位置まで延出して設けられている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記導光部材(60)には、前記第1光源(53)を車体前方に露出させる切欠部(69)が形成されている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記導光部材(60)の延出部(68)は、車体正面視で、前記第1光源(53)の下方を通るように形成されている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記導光部材(60)は、車体正面視で、前記延出部(68)の車体下方側からも前記第1リフレクタ部(58a,58b)の一部が視認されるように構成されている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記導光部材(60)は、前記第2収容部(59)の車体前方側の全体を覆うように構成されている点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記ベース部材(51)には、前記第1光源(53)と第2光源(54)との間の位置に互いの照射光の干渉を防ぐ遮蔽壁(65)が設けられており、前記遮蔽壁(65)には、前記導光部材(60)の延出部(68)に対向する部分に、前記第1収容部(58)と第2収容部(59)とを連通させる連通部(66a)が形成されている点に第7の特徴がある。
【0014】
また、前記導光部材(60)は、導光部材取付部(63,64)によって車体正面側から前記ベース部材(51)に固定されており、前記導光部材取付部(63,64)は、前記ウインカ装置(50)を車体に取り付けた際に車体前方側から車体カバー(30)で覆われる点に第8の特徴がある。
【0015】
さらに、前記第1光源(53)は、略橙色に発光するウインカ用バルブであり、前記第2光源(54)は、略透明色に発光するポジションランプ用バルブであり、前記導光部材(60)は、略橙色の透明部材で形成されている点に第9の特徴がある。
【発明の効果】
【0016】
第1の特徴によれば、ベース部材には、光源のうち、第1光源が配置される第1収容部と、第2光源が配置される第2収容部とが形成され、第1収容部には、第1光源の光を前方に反射する第1リフレクタ部が設けられ、第2収容部には、第2光源の光を前方に反射する第2リフレクタ部と、第2光源の前方に配置されて該第2光源の照射光を導光する導光部材とが設けられ、導光部材は、第1光源の発光色と同系色の有色透明部材で形成されると共に第1リフレクタ部の車体前方側の一部を覆う延出部を備えるので、導光部材が第1光源の発光色と同系色の有色透明部材で構成されることで、第1リフレクタ部の前方まで導光部材を延出形成した場合であっても、第1光源の発光および被視認性に違和感を与えることなく、第2光源の発光領域を拡大して第2光源の被視認性も向上させることが可能となる。
【0017】
また、灯火器外形や発光領域の形状を形成する第1リフレクタ部(第1光源による発光領域)および導光部材(第2光源による発光領域)の形状を各々で個別に設計することが可能となり、灯火装置の設計自由度を向上させることができる。
【0018】
さらに、第1リフレクタ部によって形成される第1光源の発光領域と、導光部材によって形成される第2光源の発光領域とが、車体前後方向でずれた位置に重なって設けられることとなるので、第2光源の被視認性をより一層向上させることができると共に、各々の発光領域の前後方向の重なりによる発光領域の奥行き感を持たせることで、斬新な印象を与えることができ、商品魅力も高めることができる。
【0019】
第2の特徴によれば、車両用灯火装置は、車両の車幅方向右側または左側にオフセットして車体前面部に配設され、第2光源は、第1光源よりも車体上方かつ車幅方向外側に配置されており、導光部材が、第2光源より車幅方向外側の位置から第1光源の車幅方向内側の位置まで延出して設けられているので、第2光源によって光る範囲を広げて第2光源によるランプの被視認性を向上させることができる。
【0020】
第3の特徴によれば、導光部材には、第1光源を車体前方に露出させる切欠部が形成されているので、導光部材の形状によって、第1光源による直接光の照射範囲を容易に変更することが可能となる。
【0021】
第4の特徴によれば、導光部材の延出部は、車体正面視で、第1光源の下方を通るように形成されているので、第1光源が導光部材の延出部より車体上方側の位置で露出することとなり、第1光源が車幅方向内側に配置される場合であっても、第1光源の被視認性を向上させることができる。
【0022】
第5の特徴によれば、導光部材は、車体正面視で、延出部の車体下方側からも第1リフレクタ部の一部が視認されるように構成されているので、導光部材の下方側からも第1リフレクタを露出させることで、第1光源側のランプの被視認性を一層向上できる。さらに、第1リフレクタの反射光と導光部材を通過した光とで質感の異なる光を発することができ、第1光源によるランプの意匠性も高めることができる。
【0023】
第6の特徴によれば、導光部材は、第2収容部の車体前方側の全体を覆うように構成されているので、導光部材により第2収容部全体を光らせて、第2光源によるランプの被視認性を向上させることができる。
【0024】
第7の特徴によれば、ベース部材には、第1光源と第2光源との間の位置に互いの照射光の干渉を防ぐ遮蔽壁が設けられており、遮蔽壁には、導光部材の延出部に対向する部分に、第1収容部と第2収容部とを連通させる連通部が形成されているので、遮蔽壁により第1,2光源の光が互いに干渉するのを防ぎつつ、連通部により導光部材の延出部を効果的に光らせることが可能となる。
【0025】
第8の特徴によれば、導光部材は、導光部材取付部によって車体正面側からベース部材に固定されており、導光部材取付部は、ウインカ装置を車体に取り付けた際に車体前方側から車体カバーで覆われるので、導光部材の取り付けを簡単にしながら、締結部分を車体カバーで隠して意匠性を高めることが可能となる。
【0026】
第9の特徴によれば、第1光源は、略橙色に発光するウインカ用バルブであり、第2光源は、略透明色に発光するポジションランプ用バルブであり、導光部材は、略橙色の透明部材で形成されているので、常時点灯とされるポジションランプの点灯時には、導光部材のみが橙色で発光すると共に、ウインカの点灯時には、橙色の発光部分が拡大するように灯火装置全体が橙色で発光するように構成することが可能となり、これにより、斬新な外観を有する車両用灯火装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯火装置を適用した自動二輪車の側面図である。
【図2】自動二輪車のハンドルまわりの一部拡大側面図である。
【図3】自動二輪車のハンドルまわりの一部拡大正面図である。
【図4】ポジションランプ一体式ウインカ装置の正面図である。
【図5】アウタレンズを取り外した状態のポジションランプ一体式ウインカ装置の正面図である。
【図6】導光部材の正面図である。
【図7】導光部材を取り外した状態のベース部材の斜視図である。
【図8】図4のA−A線断面図である。
【図9】図7のD−D線断面図である。
【図10】図4のB−B線断面図である。
【図11】図4のC−C線断面図である。
【図12】自動二輪車のハンドルまわりの構成を示す上面図である。
【図13】前照灯とメータ装置との配置関係を示す上面図である。
【図14】図12のE−E線断面図である。
【図15】メータ装置の正面図である。
【図16】メータ装置の背面図である。
【図17】図15のF−F線断面図である。
【図18】図15のG−G線断面図である。
【図19】図15のH−H線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両用灯火装置を適用した鞍乗型車両としての自動二輪車1の側面図である。車体フレーム2を構成する車幅方向中央のメインフレーム3の車体前端部には、ステアリングステム6を回動自在に軸支するヘッドパイプ4が固定されている。ステアリングステム6の上部には、操向ハンドル7が取り付けられており、一方の下部には、前輪WFを回動自在に軸支する左右一対のフロントフォーク5が取り付けられている。
【0029】
車体フレーム2のメインフレーム3は、ヘッドパイプ4から後方下方に延びており、その後端下部に左右一対のピボットプレート11が固定されている。ピボットプレート11の前方上方のメインフレーム3には、車体後方に向かって延びる左右一対のリヤフレーム8が固定されている。リヤフレーム8の下部には、ピボットプレート11に設けられるピボット軸12を車幅方向左右で軸支する補強フレーム9の上端部が連結されている。
【0030】
ピボットプレート11に設けられるピボット軸12には、車軸25で後輪WRを回転自在に軸支するスイングアーム13の前端部が軸支されている。スイングアーム13の後部は、左右一対のリヤクッション10によって補強フレーム9に吊り下げられている。
【0031】
自動二輪車1の動力源としてのエンジン15は、単気筒のシリンダを車体前方側に指向させた変速機一体式の4サイクル内燃機関である。メインフレーム3の下部には、エンジン15のクランクケース16を上方から吊り下げるエンジンハンガ14が固定されている。クランクケース16の車体後方側は、上下2点でピボットプレート11に取り付けられている。エンジン15の回転駆動力は、出力軸22から無端状のドライブチェーン23を介して後輪WRに伝達される。スイングアーム13には、ドライブチェーン23を覆うチェーンカバー24が設けられている。
【0032】
クランクケース16の車体前方側には、1つのピストン(不図示)を往復摺動可能に保持するシリンダ17と、吸排気バルブを含む動弁機構を備えたシリンダヘッド18とが取り付けられている。シリンダヘッド18の上部側に形成される吸気ポート(不図示)には、燃料噴射装置およびスロットルバルブを有するスロットルボディ19が取り付けられており、該スロットルボディ19にエアクリーナボックス20が連結管を介して取り付けられている。一方、シリンダヘッド18の下部側に形成される排気ポート(不図示)には、マフラ26に連結される排気管21が取り付けられている。
【0033】
操向ハンドル7の車幅方向中央は、ハンドルカバー27で覆われている。ハンドルカバー27には、前照灯70およびウインドスクリーン28が設けられている。ウインドスクリーン28の車幅方向左右には、左右一対のバックミラー29が取り付けられている。
【0034】
ヘッドパイプ4は、車体前方側のフロントカバー30および車体後方側のフロアパネル31によって挟まれるように前後から覆われている。フロントカバー30には、本発明に係る車両用灯火装置としてのポジションランプ一体式ウインカ装置50(50L,50R)が、左右一対で設けられている。フロントカバー30の車体下方側には、左右一対のレッグシールド38が配設されている。フロントフォーク5には、前輪WFを上方から覆うフロントフェンダ32が取り付けられている。
【0035】
車体フレーム2のリヤフレーム8の車幅方向左右はリヤカバー34で覆われており、このリヤカバー34の上部にシート33が配設されている。シート33の後方には、タンデムグリップ35および尾灯装置36が取り付けられており、尾灯装置36の下部にリヤフェンダ37が取り付けられている。
【0036】
図2は、自動二輪車1のハンドルまわりの一部拡大側面図である。また、図3は、同正面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。ハンドルカバー27は、操向ハンドル7を、後側カバー39および前側カバー40で覆う前後分割構造を有する。左右2灯式の前照灯70は、前照灯バルブ77の前方を覆う前照灯レンズ71が、前側カバー40に形成された窓から車体前方側に露出するように配設されている。
【0037】
ヘッドパイプ4の前方には、ステー44を介してホーン43が取り付けられている。また、ステアリングステム6の車幅方向右側には、携帯キー42で回動操作することにより主電源のオンオフ等を行うキーシリンダ41が取り付けられている。
【0038】
前照灯70の上部で、ウインドスクリーン28の車幅方向左右には、左右一対の化粧板67が取り付けられている。化粧板67と操向ハンドル7のグリップ部分との間には、バックミラー29の支柱29aが取り付けられている。
【0039】
フロントカバー30に取り付けられる左右一対のポジションランプ一体式ウインカ装置50(50L,50R)は、車体中心に対して車幅方向左右に離間して配設されている。ポジションランプ一体式ウインカ装置50は、ウインカ(方向指示器)として点滅作動する車幅方向内側のウインカ用バルブ53と、前照灯70と連動して車幅灯として点灯する車幅方向外側のポジションランプ用バルブ54とを備えている。
【0040】
図4は、右側用のポジションランプ一体式ウインカ装置50Rの正面図である。本実施形態に係るポジションランプ一体式ウインカ装置50(以下、単にウインカ装置50と示すこともある)は、左右同一構造とされており、以下では、主に右側のウインカ装置50Rの図を用いて構造を説明する。
【0041】
ウインカ装置50は、ベース部材51に形成されたリフレクタ部に、第1光源としてのウインカ用バルブ53および第2光源としてのポジションランプ用バルブ54を保持し、リフレクタ部の車体前方側を無色透明の樹脂からなるアウタレンズ55で覆った構成を有する。硬質樹脂等からなるベース部材51の周縁部には、ウインカ装置50を前側カバー40に固定するための取付ステー52a,52b,52c,52d,52eが一体形成されている。アウタレンズ55は、熱溶着処理によってベース部材51に固定される。
【0042】
前記したように、ウインカ装置50は、フロントカバー30に形成された窓から発光部分のみが車体前方に露出し、図4のハッチング(ドット)部分は、フロントカバー30に取り付けた際に前方から視認されないように構成されている。
【0043】
図5は、アウタレンズ55を取り外した状態のウインカ装置50の正面図である。また、図6はインナレンズとしての導光部材60の正面図であり、図7は導光部材60を取り外した状態のベース部材51の斜視図である。
【0044】
ベース部材51には、ウインカ用バルブ53が収納される第1収容部58と、ポジションランプ用バルブ54が収容される第2収容部59とが設けられている。第1収容部58には、ウインカ用バルブ53の光を車体前方に反射する第1リフレクタ部58a,58bが設けられており、一方、第2収容部59には、ポジションランプ用バルブ54の光を車体前方に反射する第2リフレクタ部59aが設けられている。第1リフレクタ部58a,58bおよび第2リフレクタ部59aの表面には、金属蒸着やメッキ等により光の反射率を高める処理を施すことができる。
【0045】
本実施形態では、アウタレンズ55が無色透明とされ、ウインカ用バルブ53には橙色(オレンジ・アンバー)に発光する電球が適用されている。これに対し、インナレンズとしての導光部材60は、橙色透明の樹脂で形成されており、ポジションランプ用バルブ54には白色に発光する電球が適用されている。これにより、ウインカ装置50は、ポジションランプの点灯時には、導光部材60のみが橙色で発光すると共に、ウインカの点滅時には、導光部材60に加えて第1収容部58の全体が橙色で発光するように構成されている。なお、両バルブ53,54は発光ダイオード(LED)で構成してもよい。
【0046】
橙色透明の樹脂で形成される導光部材60は、ベース部材51の第2収容部54を覆う幅広部62と、ベース部材51の第1収容部58を車体前方に露出させるための切欠部69と、ウインカ用バルブ53の車体下方側で第1収容部58の一部を覆う延出部68とを備えている。幅広部62の車体上方側および延出部68の車幅方向内側の端部には、導光部材60をベース部材51に取り付けるための導光部材取付部63,64が形成されている。導光部材取付部63,64は、図4に示したように、ウインカ装置50をフロントカバー30に取り付けた際に前方から視認されない位置に設けられている。
【0047】
導光部材60は、ポジションランプ用バルブ54による裏面側からの照射光によって、その全体が発光するように構成されている。また、幅広部62から延出部68にかけて、ポジションランプ用バルブ54の照射光を拡散させるローレット加工部61が形成されている。ローレット加工部61に設けられる複数の溝は車体上下方向に指向しており、これにより、ポジションランプの照射光を車幅方向に拡散させることが可能となる。
【0048】
なお、図6に示す車体正面視において、ウインカ用バルブ53は車幅方向外側にやや傾斜して配設されており、また、ポジションランプ用バルブ54は、導光部材60の幅広部62の裏面側に照射光が略垂直に当たるように、車幅方向外側かつ車体上方を指向して配設されている。
【0049】
導光部材60の延出部68は、第1収容部58の下端部57が車体前方に露出するようにして、ウインカ用バルブ53の車体下方を通過するように構成されている。これにより、延出部68の発光量は、ウインカ用バルブ53が点滅しても大きな変化がなく、かつ、下端部57は他の第1収容部59と同様に点滅するので、ウインカの作動時には、橙色に発光する面積が延出部68の上下方向に拡大するように視認されることとなる。
【0050】
図7を参照して、第1収容部58および第2収容部59は、立設壁56で囲まれて車体前方に開放された箱状の空間であり、第1収容部58と第2収容部59との間には、両バルブ53,54の照射光が互いに干渉しないようにする遮蔽壁65が設けられている。ウインカ用バルブ53の車幅方向外側の第1リフレクタ部58bと、第2リフレクタ部59aとの間には所定の段差があり、遮蔽壁65の低壁部66は、遮蔽壁65の一部を第1リフレクタ部58bの底部まで切り欠いたものである。
【0051】
図8は、図4のA−A線断面図である。また、図9は、図7のD−D線断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。ウインカ用バルブ53は、第1リフレクタ部58a,58bの間に固定されたソケット53aに取り付けられている。また、ポジションランプ用バルブ54は、第2リフレクタ部59aの底部に固定されたソケット54aに取り付けられている。第1リフレクタ部58a,58bは、ウインカ用バルブ53aの車体内側と外側とで異なった表面形状を有する。
【0052】
導光部材60の幅広部62は、第2収容部59を覆う蓋のように配設される。そして、導光部材60の延出部68は、遮蔽壁65に低壁部66を形成することにより設けられた連通部66aの車体前方側を通過するように配設されている。図9に示すように、遮蔽壁65は、その低壁部66においてもポジションランプ用バルブ54の配設位置に対して車体前方側に大きく延出しているので、ポジションランプ用バルブ54の照射光が第1収容部58の第1リフレクタ部58a,58bに当たることはない。しかしながら、遮蔽壁65に低壁部66が設けられていることで、ポジションランプ用バルブ54の照射光をより多く延出部68の裏面側に当てることができ、これにより、両バルブ間の照射光の干渉を防ぎつつ、導光部材60の延出部68を効率よく発光させることを可能としている。
【0053】
図10は、図4のB−B線断面図である。また、図11は、図4のC−C線断面図である。導光部材60は、その車体上方側の導光部材取付部63を貫通する締結部材63aを用いてベース部材51に固定されると共に、その車体下方側の導光部材取付部64を貫通する締結部材64aを用いてベース部材51に固定されている。ポジションランプ用バルブ54の配設位置では、導光部材60とアウタレンズとが近接配置されており、ポジションランプの点灯時に外方から導光部材60が視認しやすいように構成されている。
【0054】
ベース部材51の最上位に位置する取付ステー52aは、フロントカバー30の裏面側に設けられた取付ボス30aにねじ止めされるように構成されており、他の取付ステー52b〜52eも同様にフロントカバー30の取付ボス(不図示)に係合する。
【0055】
上記したように、本発明に係るポジションランプ一体型ウインカ装置50によれば、導光部材60がウインカ用バルブ53の発光色と同系色の橙色透明部材で構成されることで、第1リフレクタ部58a,58bの車体前方の位置まで導光部材60の延出部68を延出形成した場合であっても、ウインカ用バルブ53の発光および被視認性に違和感を与えることなく、ポジションランプ用バルブ54の発光領域を拡大してポジションランプ用バルブ54の被視認性も向上させることが可能となる。また、灯火器外形や発光領域の形状を形成する第1リフレクタ部58a,58b(第1光源による発光領域)および導光部材60(第2光源による発光領域)の形状を各々で個別に設計することが可能となり、ウインカ装置の設計自由度を向上させることができる。
【0056】
さらに、第1リフレクタ部58a,58bによって形成されるウインカ用バルブ53の発光領域と、導光部材60によって形成されるポジションランプ用バルブ54の発光領域とが、車体前後方向でずれた位置に重なって設けられることとなるので、ポジションランプの被視認性をより一層向上させることができると共に、各々の発光領域の前後方向の重なりによる発光領域の奥行き感を持たせることで、斬新な印象を与えることができ、商品魅力も高めることが可能となる。
【0057】
図12は、自動二輪車1のハンドルまわりの構成を示す上面図である。また、図13は、前照灯70とメータ装置90との配置関係を示す上面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。ハンドルカバー27の後側カバー39には、メータ装置90が取り付けられている。メータ装置90は、車幅方向中央にアナログ式の速度計91を配置し、該速度計91の左右に警告灯等の表示領域92,93を配置して構成される。
【0058】
後側カバー39の車幅方向左右には、操向ハンドル7の形状に合わせた左側延出部39Lおよび右側延出部39Rが設けられており、その両端部に、操向ハンドル7のハンドルバー7aを覆うハンドルグリップ7bが隣接配置されている。左側延出部39Lには、前照灯70の光軸切替スイッチ83、ホーンスイッチ84、ウインカスイッチ(不図示)が設けられており、一方の右側延出部39Rには、エンジンのスタータスイッチ(不図示)が設けられている。バックミラー29(図1参照)の支柱29aを取り付けるためのステー29bは、ハンドルバー7aに固定されている。
【0059】
左右2灯式の前照灯70は、2つの前照灯バルブ77(図3参照)を保持する1つのハウジング72の車体前方に、左右一対の前照灯レンズ71を取り付けた構成を有する。ハウジング72の車体後方側に突出して前照灯バルブ77のリフレクタを構成する凸部73には、前照灯バルブ77のソケットカバー74が取り付けられている。ゴム製のソケットカバー74に挿入接続される配線76は、車幅方向中央に寄せられて左右の凸部73の間に形成される凹状の空間に収まるように配設されている。
【0060】
メータ装置90の裏面側には、各種センサ信号の入力配線やメータ内の照明バルブへの電力供給配線、スイッチ操作信号配線等からなるハーネス85が配設されている。ハーネス85は、車幅方向に指向する中央ハーネス86、車幅方向右側へ延出する右側横方向ハーネス88、車幅方向左側へ延出する左側横方向ハーネス89、速度計91の右側で上下方向に指向する右側縦方向ハーネス75、速度計91の左側で上下方向に指向する左側縦方向ハーネス87からなる。
【0061】
図14は、図12のE−E線断面図である。前記したように、前照灯70は、前側カバー40に形成された開口に挿入配置されると共に、光軸調整のために上側支持部72aを軸にして前後揺動可能に配設されている。前照灯レンズ71は、防水パッキン79,80を介してハウジング72に固定されている。前照灯バルブ77は、ハウジング72に固定されたソケット78に係合され、ソケット78の後部はソケットカバー74で覆われている。
【0062】
メータ装置90は、バルブ104等を保持するメータケース94に、無色透明の樹脂等からなるカバー部材95を取り付けた構成を有する。メータ装置90は、乗員側に文字板が指向するように傾斜されて、後側カバー39に形成された開口に配設されている。
【0063】
本実施形態では、ハンドルカバー27の上下方向の寸法を低減してシャープな外観が得られるように、メータ装置90と前照灯70とを可能な限り近づけて配置している。このため、メータケース94の車体前方側の端部と前照灯バルブ77のソケット78とは、車体前後方向でオーバーラップしており、ソケットカバー74の後端部は、メータケース94の底面と干渉しないように上部側の角が切り取られた形状とされている。また、メータケース94の裏面側に接続される速度計91の速度計ケーブル(不図示)は、車幅方向左右のソケットカバー74の間の空間を通って下方に導かれる。
【0064】
また、メータ装置90のカバー部材95の車体前方側の縁と、後側カバー39との間には、上側化粧カバー82が配設されており、カバー部材95の車体後方側の縁と後側カバー39との間には、下側化粧カバー81が配設されている。ハンドルバー7aの後方下方の位置の後側カバー39には、各種ハーネスの挿通孔39aが形成されている。
【0065】
図15は、メータ装置90の正面図である。図示ハッチング部は、車体取付時に化粧カバー等に隠されて外方から視認されない部分を示す。メータケース94の車幅方向左右には、支持ステー94aが設けられている。車幅方向中央の速度計91は、回動軸96に取り付けられた指針99とアナログ式のオドメータ(積算距離計)とを有する。
【0066】
速度計91の左側の表示領域92には、指針128を有するアナログ式燃料計100、バルブ102により点灯する前照灯上向き灯101、バルブ104により点灯するエンジン警告灯103、バルブ106により点灯する左側ウインカ作動灯105が配設されている。一方、速度計91の右側の表示領域93には、バルブ108により点灯する右側ウインカ作動灯107、バルブ110により点灯するニュートラルランプ109、バルブ112により点灯する1速ギヤ表示灯111、バルブ114により点灯する2速ギヤ表示灯113、バルブ116により点灯する3速ギヤ表示灯115、バルブ118により点灯する4速ギヤ表示灯117および操作ボタン99が配設されている。また、速度計91および燃料計100に近接した位置には、間接照明用バルブ119,120が配設されている。
【0067】
図16は、メータ装置90の背面図である。また、図17は、図15のF−F線断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。エンジン警告灯103のバルブ104や、1速ギヤ表示灯111のバルブ112等は、それぞれ、四方を壁で仕切られた空間に収められている。
【0068】
速度計91の指針97が取り付けられる回転軸96は、速度計ユニット91aに軸支されている。磁力駆動式の速度計ユニット91aには、速度計ケーブル(不図示)の取付雄ねじ部91bが設けられており、メータケース94の底部に形成された窓から取付雄ねじ部91bのみが突出するように構成されている。
【0069】
メータケース94の裏面側は、速度計ユニット91aの周囲のみが、四角形をなす立設部131において盛り上がった形状を有する。換言すれば、回転軸方向の寸法をこれ以上低減できない速度計ユニット91aに対して、その周囲のメータケース94の厚みを低減させた構成とされている。そして、本実施形態では、この立設部131により形成される段差部131aにハーネスが収まるように配置することにより、メータ装置90の裏面側へのハーネスの突出量を低減し、メータ装置90と前照灯70とをより近接配置することを可能としている。
【0070】
ハーネス85の中央ハーネス86は、メータ装置90の下方側の段差部131aに収められている。また、右側縦方向ハーネス75は、車幅方向右側の段差部131aに収められ、左側縦方向ハーネス87は、車幅方向左側の段差部131aに収められている。
【0071】
また、中央ハーネス86は、立設部131に沿って立設するリブ130との間に挟まるように配設されており、右側縦方向ハーネス75は、回り止めピン123に囲まれてビス122で固定されたガイドフック121で固定されている。さらに、左側縦方向ハーネス87および中央ハーネス86から下方に延出する部分は、回り止めピン126に係合してビス125で固定されたガイドフック124で固定されることで、それぞれ、メータケース94の裏面側に安定的に固定されている。なお、燃料計100の裏面側には、左側縦ハーネス87から分岐して電力を供給する配線の端子127が取り付けられている。
【0072】
速度計91の文字板140には、速度を表示する数字の周囲に導光板141が配設されている。導光板141は、0,20,40…160km/hの各表示部に設けられる目盛り部と、目盛り部同士の間をつなぐ円環部とからなる。メータケース94の車幅方向左右の支持ステー94aは、車体取付時に後側カバー39で覆われる。
【0073】
図18は、図15のG−G線断面図である。また、図19は、図15のH−H線断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。カバー部材95は、メータケース94の周縁部を覆うように形成され、この周縁部に熱溶着処理によって固定されている。間接照明用バルブ120は、燃料計100の文字板を裏面側から照らすと共に、導光板141を光らせるために採光部142の先端を照らすように構成されている。また、間接照明用バルブ119は、メータ装置90の正面視で、速度計91の右上の位置から、導光板141を光らせるために採光部143の先端を照らすように構成されている。燃料計100の回転軸129が接続される燃料計ユニット135が配設される部分のメータケース94は、速度計ユニット91aの周囲よりもさらに薄肉化されている。
【0074】
なお、車両用灯火装置としてのポジションランプ一体式ウインカ装置の構成や形状、車体への取付方法、ベース部材や導光部材の形状や材質、アウタレンズや導光部材および各バルブの色等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本発明に係る車両用灯火装置は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…自動二輪車(車両)、4…ヘッドパイプ、6…ステアリングステム、7…操向ハンドル、27…ハンドルカバー、30…フロントカバー(車体カバー)、31…フロアパネル、50(50L,50R)…ポジションランプ一体式ウインカ装置(車両用灯火装置)、51…ベース部材、53…ウインカランプ用バルブ(第1光源)、54…ポジションランプ用バルブ、55…アウタレンズ、58…第1収容部、59…第2収容部、58a,58b…第1リフレクタ部、59a…第2リフレクタ部、60…インナレンズ(導光部材)、61…ローレット加工部、62…幅広部、63,64…導光部材取付部、65…遮蔽壁、66…低壁部、66a…連通部、68…延出部、69…切欠部、70…前照灯
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯火装置に係り、特に、ウインカランプおよびポジションランプを一体のハウジングに収納してなる車両用灯火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用灯火装置において、車体後部のポジションランプとして常時点灯するテールランプおよびブレーキ操作時に点灯するストップランプ等の機能の異なる2種類のランプを、1つの灯体に収納するようにした構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、1枚のインナレンズを備え、テールランプの発光時にはインナレンズの一部のみが発光すると共に、ストップランプの発光時にはテールランプの発光領域を含めてインナレンズ全体が発光するようにした自動二輪車の尾灯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4589168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、テールランプおよびストップランプの発光領域が1枚のインナレンズの形状によって決定されるので、2種類のランプの形状に制約が発生しやすく、車両の外観上の特徴としての寄与度が高い灯火器形状の設計自由度が低下するという課題があった。さらに、この車両用灯火装置では、ストップランプの照射範囲に比してテールランプの照射範囲が狭くなっており、いずれのランプにおいても高い被視認性を確保できることが好ましい。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、機能の異なる2種類のランプを1つの灯体に収納し、かつ設計自由度および被視認性の高い車両用灯火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、ベース部材(51)とアウタレンズ(55)とで形成される収容空間に少なくとも2つの光源(53,54)を収容するようにした車両用灯火装置(50)において、前記ベース部材(51)には、前記光源(53,54)のうち、第1光源(53)が配置される第1収容部(58)と、第2光源(54)が配置される第2収容部(59)とが形成され、前記第1収容部(58)には、前記第1光源(53)の光を前方に反射する第1リフレクタ部(58a,58b)が設けられ、前記第2収容部(59)には、前記第2光源(54)の光を前方に反射する第2リフレクタ部(59a)と、前記第2光源(54)の前方に配置されて該第2光源(54)の照射光を導光する導光部材(60)とが設けられ、前記導光部材(60)は、前記第1光源(53)の発光色と同系色の有色透明部材で形成されると共に、前記第1リフレクタ部(58a,58b)の車体前方側の一部を覆う延出部(68)を備える点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記車両用灯火装置(50)は、車両(1)の車幅方向右側または左側にオフセットして車体前面部に配設され、前記第2光源(54)は、前記第1光源(53)よりも車体上方かつ車幅方向外側に配置されており、前記導光部材(60)が、前記第2光源(54)より車幅方向外側の位置から前記第1光源(53)の車幅方向内側の位置まで延出して設けられている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記導光部材(60)には、前記第1光源(53)を車体前方に露出させる切欠部(69)が形成されている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記導光部材(60)の延出部(68)は、車体正面視で、前記第1光源(53)の下方を通るように形成されている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記導光部材(60)は、車体正面視で、前記延出部(68)の車体下方側からも前記第1リフレクタ部(58a,58b)の一部が視認されるように構成されている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記導光部材(60)は、前記第2収容部(59)の車体前方側の全体を覆うように構成されている点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記ベース部材(51)には、前記第1光源(53)と第2光源(54)との間の位置に互いの照射光の干渉を防ぐ遮蔽壁(65)が設けられており、前記遮蔽壁(65)には、前記導光部材(60)の延出部(68)に対向する部分に、前記第1収容部(58)と第2収容部(59)とを連通させる連通部(66a)が形成されている点に第7の特徴がある。
【0014】
また、前記導光部材(60)は、導光部材取付部(63,64)によって車体正面側から前記ベース部材(51)に固定されており、前記導光部材取付部(63,64)は、前記ウインカ装置(50)を車体に取り付けた際に車体前方側から車体カバー(30)で覆われる点に第8の特徴がある。
【0015】
さらに、前記第1光源(53)は、略橙色に発光するウインカ用バルブであり、前記第2光源(54)は、略透明色に発光するポジションランプ用バルブであり、前記導光部材(60)は、略橙色の透明部材で形成されている点に第9の特徴がある。
【発明の効果】
【0016】
第1の特徴によれば、ベース部材には、光源のうち、第1光源が配置される第1収容部と、第2光源が配置される第2収容部とが形成され、第1収容部には、第1光源の光を前方に反射する第1リフレクタ部が設けられ、第2収容部には、第2光源の光を前方に反射する第2リフレクタ部と、第2光源の前方に配置されて該第2光源の照射光を導光する導光部材とが設けられ、導光部材は、第1光源の発光色と同系色の有色透明部材で形成されると共に第1リフレクタ部の車体前方側の一部を覆う延出部を備えるので、導光部材が第1光源の発光色と同系色の有色透明部材で構成されることで、第1リフレクタ部の前方まで導光部材を延出形成した場合であっても、第1光源の発光および被視認性に違和感を与えることなく、第2光源の発光領域を拡大して第2光源の被視認性も向上させることが可能となる。
【0017】
また、灯火器外形や発光領域の形状を形成する第1リフレクタ部(第1光源による発光領域)および導光部材(第2光源による発光領域)の形状を各々で個別に設計することが可能となり、灯火装置の設計自由度を向上させることができる。
【0018】
さらに、第1リフレクタ部によって形成される第1光源の発光領域と、導光部材によって形成される第2光源の発光領域とが、車体前後方向でずれた位置に重なって設けられることとなるので、第2光源の被視認性をより一層向上させることができると共に、各々の発光領域の前後方向の重なりによる発光領域の奥行き感を持たせることで、斬新な印象を与えることができ、商品魅力も高めることができる。
【0019】
第2の特徴によれば、車両用灯火装置は、車両の車幅方向右側または左側にオフセットして車体前面部に配設され、第2光源は、第1光源よりも車体上方かつ車幅方向外側に配置されており、導光部材が、第2光源より車幅方向外側の位置から第1光源の車幅方向内側の位置まで延出して設けられているので、第2光源によって光る範囲を広げて第2光源によるランプの被視認性を向上させることができる。
【0020】
第3の特徴によれば、導光部材には、第1光源を車体前方に露出させる切欠部が形成されているので、導光部材の形状によって、第1光源による直接光の照射範囲を容易に変更することが可能となる。
【0021】
第4の特徴によれば、導光部材の延出部は、車体正面視で、第1光源の下方を通るように形成されているので、第1光源が導光部材の延出部より車体上方側の位置で露出することとなり、第1光源が車幅方向内側に配置される場合であっても、第1光源の被視認性を向上させることができる。
【0022】
第5の特徴によれば、導光部材は、車体正面視で、延出部の車体下方側からも第1リフレクタ部の一部が視認されるように構成されているので、導光部材の下方側からも第1リフレクタを露出させることで、第1光源側のランプの被視認性を一層向上できる。さらに、第1リフレクタの反射光と導光部材を通過した光とで質感の異なる光を発することができ、第1光源によるランプの意匠性も高めることができる。
【0023】
第6の特徴によれば、導光部材は、第2収容部の車体前方側の全体を覆うように構成されているので、導光部材により第2収容部全体を光らせて、第2光源によるランプの被視認性を向上させることができる。
【0024】
第7の特徴によれば、ベース部材には、第1光源と第2光源との間の位置に互いの照射光の干渉を防ぐ遮蔽壁が設けられており、遮蔽壁には、導光部材の延出部に対向する部分に、第1収容部と第2収容部とを連通させる連通部が形成されているので、遮蔽壁により第1,2光源の光が互いに干渉するのを防ぎつつ、連通部により導光部材の延出部を効果的に光らせることが可能となる。
【0025】
第8の特徴によれば、導光部材は、導光部材取付部によって車体正面側からベース部材に固定されており、導光部材取付部は、ウインカ装置を車体に取り付けた際に車体前方側から車体カバーで覆われるので、導光部材の取り付けを簡単にしながら、締結部分を車体カバーで隠して意匠性を高めることが可能となる。
【0026】
第9の特徴によれば、第1光源は、略橙色に発光するウインカ用バルブであり、第2光源は、略透明色に発光するポジションランプ用バルブであり、導光部材は、略橙色の透明部材で形成されているので、常時点灯とされるポジションランプの点灯時には、導光部材のみが橙色で発光すると共に、ウインカの点灯時には、橙色の発光部分が拡大するように灯火装置全体が橙色で発光するように構成することが可能となり、これにより、斬新な外観を有する車両用灯火装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯火装置を適用した自動二輪車の側面図である。
【図2】自動二輪車のハンドルまわりの一部拡大側面図である。
【図3】自動二輪車のハンドルまわりの一部拡大正面図である。
【図4】ポジションランプ一体式ウインカ装置の正面図である。
【図5】アウタレンズを取り外した状態のポジションランプ一体式ウインカ装置の正面図である。
【図6】導光部材の正面図である。
【図7】導光部材を取り外した状態のベース部材の斜視図である。
【図8】図4のA−A線断面図である。
【図9】図7のD−D線断面図である。
【図10】図4のB−B線断面図である。
【図11】図4のC−C線断面図である。
【図12】自動二輪車のハンドルまわりの構成を示す上面図である。
【図13】前照灯とメータ装置との配置関係を示す上面図である。
【図14】図12のE−E線断面図である。
【図15】メータ装置の正面図である。
【図16】メータ装置の背面図である。
【図17】図15のF−F線断面図である。
【図18】図15のG−G線断面図である。
【図19】図15のH−H線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両用灯火装置を適用した鞍乗型車両としての自動二輪車1の側面図である。車体フレーム2を構成する車幅方向中央のメインフレーム3の車体前端部には、ステアリングステム6を回動自在に軸支するヘッドパイプ4が固定されている。ステアリングステム6の上部には、操向ハンドル7が取り付けられており、一方の下部には、前輪WFを回動自在に軸支する左右一対のフロントフォーク5が取り付けられている。
【0029】
車体フレーム2のメインフレーム3は、ヘッドパイプ4から後方下方に延びており、その後端下部に左右一対のピボットプレート11が固定されている。ピボットプレート11の前方上方のメインフレーム3には、車体後方に向かって延びる左右一対のリヤフレーム8が固定されている。リヤフレーム8の下部には、ピボットプレート11に設けられるピボット軸12を車幅方向左右で軸支する補強フレーム9の上端部が連結されている。
【0030】
ピボットプレート11に設けられるピボット軸12には、車軸25で後輪WRを回転自在に軸支するスイングアーム13の前端部が軸支されている。スイングアーム13の後部は、左右一対のリヤクッション10によって補強フレーム9に吊り下げられている。
【0031】
自動二輪車1の動力源としてのエンジン15は、単気筒のシリンダを車体前方側に指向させた変速機一体式の4サイクル内燃機関である。メインフレーム3の下部には、エンジン15のクランクケース16を上方から吊り下げるエンジンハンガ14が固定されている。クランクケース16の車体後方側は、上下2点でピボットプレート11に取り付けられている。エンジン15の回転駆動力は、出力軸22から無端状のドライブチェーン23を介して後輪WRに伝達される。スイングアーム13には、ドライブチェーン23を覆うチェーンカバー24が設けられている。
【0032】
クランクケース16の車体前方側には、1つのピストン(不図示)を往復摺動可能に保持するシリンダ17と、吸排気バルブを含む動弁機構を備えたシリンダヘッド18とが取り付けられている。シリンダヘッド18の上部側に形成される吸気ポート(不図示)には、燃料噴射装置およびスロットルバルブを有するスロットルボディ19が取り付けられており、該スロットルボディ19にエアクリーナボックス20が連結管を介して取り付けられている。一方、シリンダヘッド18の下部側に形成される排気ポート(不図示)には、マフラ26に連結される排気管21が取り付けられている。
【0033】
操向ハンドル7の車幅方向中央は、ハンドルカバー27で覆われている。ハンドルカバー27には、前照灯70およびウインドスクリーン28が設けられている。ウインドスクリーン28の車幅方向左右には、左右一対のバックミラー29が取り付けられている。
【0034】
ヘッドパイプ4は、車体前方側のフロントカバー30および車体後方側のフロアパネル31によって挟まれるように前後から覆われている。フロントカバー30には、本発明に係る車両用灯火装置としてのポジションランプ一体式ウインカ装置50(50L,50R)が、左右一対で設けられている。フロントカバー30の車体下方側には、左右一対のレッグシールド38が配設されている。フロントフォーク5には、前輪WFを上方から覆うフロントフェンダ32が取り付けられている。
【0035】
車体フレーム2のリヤフレーム8の車幅方向左右はリヤカバー34で覆われており、このリヤカバー34の上部にシート33が配設されている。シート33の後方には、タンデムグリップ35および尾灯装置36が取り付けられており、尾灯装置36の下部にリヤフェンダ37が取り付けられている。
【0036】
図2は、自動二輪車1のハンドルまわりの一部拡大側面図である。また、図3は、同正面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。ハンドルカバー27は、操向ハンドル7を、後側カバー39および前側カバー40で覆う前後分割構造を有する。左右2灯式の前照灯70は、前照灯バルブ77の前方を覆う前照灯レンズ71が、前側カバー40に形成された窓から車体前方側に露出するように配設されている。
【0037】
ヘッドパイプ4の前方には、ステー44を介してホーン43が取り付けられている。また、ステアリングステム6の車幅方向右側には、携帯キー42で回動操作することにより主電源のオンオフ等を行うキーシリンダ41が取り付けられている。
【0038】
前照灯70の上部で、ウインドスクリーン28の車幅方向左右には、左右一対の化粧板67が取り付けられている。化粧板67と操向ハンドル7のグリップ部分との間には、バックミラー29の支柱29aが取り付けられている。
【0039】
フロントカバー30に取り付けられる左右一対のポジションランプ一体式ウインカ装置50(50L,50R)は、車体中心に対して車幅方向左右に離間して配設されている。ポジションランプ一体式ウインカ装置50は、ウインカ(方向指示器)として点滅作動する車幅方向内側のウインカ用バルブ53と、前照灯70と連動して車幅灯として点灯する車幅方向外側のポジションランプ用バルブ54とを備えている。
【0040】
図4は、右側用のポジションランプ一体式ウインカ装置50Rの正面図である。本実施形態に係るポジションランプ一体式ウインカ装置50(以下、単にウインカ装置50と示すこともある)は、左右同一構造とされており、以下では、主に右側のウインカ装置50Rの図を用いて構造を説明する。
【0041】
ウインカ装置50は、ベース部材51に形成されたリフレクタ部に、第1光源としてのウインカ用バルブ53および第2光源としてのポジションランプ用バルブ54を保持し、リフレクタ部の車体前方側を無色透明の樹脂からなるアウタレンズ55で覆った構成を有する。硬質樹脂等からなるベース部材51の周縁部には、ウインカ装置50を前側カバー40に固定するための取付ステー52a,52b,52c,52d,52eが一体形成されている。アウタレンズ55は、熱溶着処理によってベース部材51に固定される。
【0042】
前記したように、ウインカ装置50は、フロントカバー30に形成された窓から発光部分のみが車体前方に露出し、図4のハッチング(ドット)部分は、フロントカバー30に取り付けた際に前方から視認されないように構成されている。
【0043】
図5は、アウタレンズ55を取り外した状態のウインカ装置50の正面図である。また、図6はインナレンズとしての導光部材60の正面図であり、図7は導光部材60を取り外した状態のベース部材51の斜視図である。
【0044】
ベース部材51には、ウインカ用バルブ53が収納される第1収容部58と、ポジションランプ用バルブ54が収容される第2収容部59とが設けられている。第1収容部58には、ウインカ用バルブ53の光を車体前方に反射する第1リフレクタ部58a,58bが設けられており、一方、第2収容部59には、ポジションランプ用バルブ54の光を車体前方に反射する第2リフレクタ部59aが設けられている。第1リフレクタ部58a,58bおよび第2リフレクタ部59aの表面には、金属蒸着やメッキ等により光の反射率を高める処理を施すことができる。
【0045】
本実施形態では、アウタレンズ55が無色透明とされ、ウインカ用バルブ53には橙色(オレンジ・アンバー)に発光する電球が適用されている。これに対し、インナレンズとしての導光部材60は、橙色透明の樹脂で形成されており、ポジションランプ用バルブ54には白色に発光する電球が適用されている。これにより、ウインカ装置50は、ポジションランプの点灯時には、導光部材60のみが橙色で発光すると共に、ウインカの点滅時には、導光部材60に加えて第1収容部58の全体が橙色で発光するように構成されている。なお、両バルブ53,54は発光ダイオード(LED)で構成してもよい。
【0046】
橙色透明の樹脂で形成される導光部材60は、ベース部材51の第2収容部54を覆う幅広部62と、ベース部材51の第1収容部58を車体前方に露出させるための切欠部69と、ウインカ用バルブ53の車体下方側で第1収容部58の一部を覆う延出部68とを備えている。幅広部62の車体上方側および延出部68の車幅方向内側の端部には、導光部材60をベース部材51に取り付けるための導光部材取付部63,64が形成されている。導光部材取付部63,64は、図4に示したように、ウインカ装置50をフロントカバー30に取り付けた際に前方から視認されない位置に設けられている。
【0047】
導光部材60は、ポジションランプ用バルブ54による裏面側からの照射光によって、その全体が発光するように構成されている。また、幅広部62から延出部68にかけて、ポジションランプ用バルブ54の照射光を拡散させるローレット加工部61が形成されている。ローレット加工部61に設けられる複数の溝は車体上下方向に指向しており、これにより、ポジションランプの照射光を車幅方向に拡散させることが可能となる。
【0048】
なお、図6に示す車体正面視において、ウインカ用バルブ53は車幅方向外側にやや傾斜して配設されており、また、ポジションランプ用バルブ54は、導光部材60の幅広部62の裏面側に照射光が略垂直に当たるように、車幅方向外側かつ車体上方を指向して配設されている。
【0049】
導光部材60の延出部68は、第1収容部58の下端部57が車体前方に露出するようにして、ウインカ用バルブ53の車体下方を通過するように構成されている。これにより、延出部68の発光量は、ウインカ用バルブ53が点滅しても大きな変化がなく、かつ、下端部57は他の第1収容部59と同様に点滅するので、ウインカの作動時には、橙色に発光する面積が延出部68の上下方向に拡大するように視認されることとなる。
【0050】
図7を参照して、第1収容部58および第2収容部59は、立設壁56で囲まれて車体前方に開放された箱状の空間であり、第1収容部58と第2収容部59との間には、両バルブ53,54の照射光が互いに干渉しないようにする遮蔽壁65が設けられている。ウインカ用バルブ53の車幅方向外側の第1リフレクタ部58bと、第2リフレクタ部59aとの間には所定の段差があり、遮蔽壁65の低壁部66は、遮蔽壁65の一部を第1リフレクタ部58bの底部まで切り欠いたものである。
【0051】
図8は、図4のA−A線断面図である。また、図9は、図7のD−D線断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。ウインカ用バルブ53は、第1リフレクタ部58a,58bの間に固定されたソケット53aに取り付けられている。また、ポジションランプ用バルブ54は、第2リフレクタ部59aの底部に固定されたソケット54aに取り付けられている。第1リフレクタ部58a,58bは、ウインカ用バルブ53aの車体内側と外側とで異なった表面形状を有する。
【0052】
導光部材60の幅広部62は、第2収容部59を覆う蓋のように配設される。そして、導光部材60の延出部68は、遮蔽壁65に低壁部66を形成することにより設けられた連通部66aの車体前方側を通過するように配設されている。図9に示すように、遮蔽壁65は、その低壁部66においてもポジションランプ用バルブ54の配設位置に対して車体前方側に大きく延出しているので、ポジションランプ用バルブ54の照射光が第1収容部58の第1リフレクタ部58a,58bに当たることはない。しかしながら、遮蔽壁65に低壁部66が設けられていることで、ポジションランプ用バルブ54の照射光をより多く延出部68の裏面側に当てることができ、これにより、両バルブ間の照射光の干渉を防ぎつつ、導光部材60の延出部68を効率よく発光させることを可能としている。
【0053】
図10は、図4のB−B線断面図である。また、図11は、図4のC−C線断面図である。導光部材60は、その車体上方側の導光部材取付部63を貫通する締結部材63aを用いてベース部材51に固定されると共に、その車体下方側の導光部材取付部64を貫通する締結部材64aを用いてベース部材51に固定されている。ポジションランプ用バルブ54の配設位置では、導光部材60とアウタレンズとが近接配置されており、ポジションランプの点灯時に外方から導光部材60が視認しやすいように構成されている。
【0054】
ベース部材51の最上位に位置する取付ステー52aは、フロントカバー30の裏面側に設けられた取付ボス30aにねじ止めされるように構成されており、他の取付ステー52b〜52eも同様にフロントカバー30の取付ボス(不図示)に係合する。
【0055】
上記したように、本発明に係るポジションランプ一体型ウインカ装置50によれば、導光部材60がウインカ用バルブ53の発光色と同系色の橙色透明部材で構成されることで、第1リフレクタ部58a,58bの車体前方の位置まで導光部材60の延出部68を延出形成した場合であっても、ウインカ用バルブ53の発光および被視認性に違和感を与えることなく、ポジションランプ用バルブ54の発光領域を拡大してポジションランプ用バルブ54の被視認性も向上させることが可能となる。また、灯火器外形や発光領域の形状を形成する第1リフレクタ部58a,58b(第1光源による発光領域)および導光部材60(第2光源による発光領域)の形状を各々で個別に設計することが可能となり、ウインカ装置の設計自由度を向上させることができる。
【0056】
さらに、第1リフレクタ部58a,58bによって形成されるウインカ用バルブ53の発光領域と、導光部材60によって形成されるポジションランプ用バルブ54の発光領域とが、車体前後方向でずれた位置に重なって設けられることとなるので、ポジションランプの被視認性をより一層向上させることができると共に、各々の発光領域の前後方向の重なりによる発光領域の奥行き感を持たせることで、斬新な印象を与えることができ、商品魅力も高めることが可能となる。
【0057】
図12は、自動二輪車1のハンドルまわりの構成を示す上面図である。また、図13は、前照灯70とメータ装置90との配置関係を示す上面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。ハンドルカバー27の後側カバー39には、メータ装置90が取り付けられている。メータ装置90は、車幅方向中央にアナログ式の速度計91を配置し、該速度計91の左右に警告灯等の表示領域92,93を配置して構成される。
【0058】
後側カバー39の車幅方向左右には、操向ハンドル7の形状に合わせた左側延出部39Lおよび右側延出部39Rが設けられており、その両端部に、操向ハンドル7のハンドルバー7aを覆うハンドルグリップ7bが隣接配置されている。左側延出部39Lには、前照灯70の光軸切替スイッチ83、ホーンスイッチ84、ウインカスイッチ(不図示)が設けられており、一方の右側延出部39Rには、エンジンのスタータスイッチ(不図示)が設けられている。バックミラー29(図1参照)の支柱29aを取り付けるためのステー29bは、ハンドルバー7aに固定されている。
【0059】
左右2灯式の前照灯70は、2つの前照灯バルブ77(図3参照)を保持する1つのハウジング72の車体前方に、左右一対の前照灯レンズ71を取り付けた構成を有する。ハウジング72の車体後方側に突出して前照灯バルブ77のリフレクタを構成する凸部73には、前照灯バルブ77のソケットカバー74が取り付けられている。ゴム製のソケットカバー74に挿入接続される配線76は、車幅方向中央に寄せられて左右の凸部73の間に形成される凹状の空間に収まるように配設されている。
【0060】
メータ装置90の裏面側には、各種センサ信号の入力配線やメータ内の照明バルブへの電力供給配線、スイッチ操作信号配線等からなるハーネス85が配設されている。ハーネス85は、車幅方向に指向する中央ハーネス86、車幅方向右側へ延出する右側横方向ハーネス88、車幅方向左側へ延出する左側横方向ハーネス89、速度計91の右側で上下方向に指向する右側縦方向ハーネス75、速度計91の左側で上下方向に指向する左側縦方向ハーネス87からなる。
【0061】
図14は、図12のE−E線断面図である。前記したように、前照灯70は、前側カバー40に形成された開口に挿入配置されると共に、光軸調整のために上側支持部72aを軸にして前後揺動可能に配設されている。前照灯レンズ71は、防水パッキン79,80を介してハウジング72に固定されている。前照灯バルブ77は、ハウジング72に固定されたソケット78に係合され、ソケット78の後部はソケットカバー74で覆われている。
【0062】
メータ装置90は、バルブ104等を保持するメータケース94に、無色透明の樹脂等からなるカバー部材95を取り付けた構成を有する。メータ装置90は、乗員側に文字板が指向するように傾斜されて、後側カバー39に形成された開口に配設されている。
【0063】
本実施形態では、ハンドルカバー27の上下方向の寸法を低減してシャープな外観が得られるように、メータ装置90と前照灯70とを可能な限り近づけて配置している。このため、メータケース94の車体前方側の端部と前照灯バルブ77のソケット78とは、車体前後方向でオーバーラップしており、ソケットカバー74の後端部は、メータケース94の底面と干渉しないように上部側の角が切り取られた形状とされている。また、メータケース94の裏面側に接続される速度計91の速度計ケーブル(不図示)は、車幅方向左右のソケットカバー74の間の空間を通って下方に導かれる。
【0064】
また、メータ装置90のカバー部材95の車体前方側の縁と、後側カバー39との間には、上側化粧カバー82が配設されており、カバー部材95の車体後方側の縁と後側カバー39との間には、下側化粧カバー81が配設されている。ハンドルバー7aの後方下方の位置の後側カバー39には、各種ハーネスの挿通孔39aが形成されている。
【0065】
図15は、メータ装置90の正面図である。図示ハッチング部は、車体取付時に化粧カバー等に隠されて外方から視認されない部分を示す。メータケース94の車幅方向左右には、支持ステー94aが設けられている。車幅方向中央の速度計91は、回動軸96に取り付けられた指針99とアナログ式のオドメータ(積算距離計)とを有する。
【0066】
速度計91の左側の表示領域92には、指針128を有するアナログ式燃料計100、バルブ102により点灯する前照灯上向き灯101、バルブ104により点灯するエンジン警告灯103、バルブ106により点灯する左側ウインカ作動灯105が配設されている。一方、速度計91の右側の表示領域93には、バルブ108により点灯する右側ウインカ作動灯107、バルブ110により点灯するニュートラルランプ109、バルブ112により点灯する1速ギヤ表示灯111、バルブ114により点灯する2速ギヤ表示灯113、バルブ116により点灯する3速ギヤ表示灯115、バルブ118により点灯する4速ギヤ表示灯117および操作ボタン99が配設されている。また、速度計91および燃料計100に近接した位置には、間接照明用バルブ119,120が配設されている。
【0067】
図16は、メータ装置90の背面図である。また、図17は、図15のF−F線断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。エンジン警告灯103のバルブ104や、1速ギヤ表示灯111のバルブ112等は、それぞれ、四方を壁で仕切られた空間に収められている。
【0068】
速度計91の指針97が取り付けられる回転軸96は、速度計ユニット91aに軸支されている。磁力駆動式の速度計ユニット91aには、速度計ケーブル(不図示)の取付雄ねじ部91bが設けられており、メータケース94の底部に形成された窓から取付雄ねじ部91bのみが突出するように構成されている。
【0069】
メータケース94の裏面側は、速度計ユニット91aの周囲のみが、四角形をなす立設部131において盛り上がった形状を有する。換言すれば、回転軸方向の寸法をこれ以上低減できない速度計ユニット91aに対して、その周囲のメータケース94の厚みを低減させた構成とされている。そして、本実施形態では、この立設部131により形成される段差部131aにハーネスが収まるように配置することにより、メータ装置90の裏面側へのハーネスの突出量を低減し、メータ装置90と前照灯70とをより近接配置することを可能としている。
【0070】
ハーネス85の中央ハーネス86は、メータ装置90の下方側の段差部131aに収められている。また、右側縦方向ハーネス75は、車幅方向右側の段差部131aに収められ、左側縦方向ハーネス87は、車幅方向左側の段差部131aに収められている。
【0071】
また、中央ハーネス86は、立設部131に沿って立設するリブ130との間に挟まるように配設されており、右側縦方向ハーネス75は、回り止めピン123に囲まれてビス122で固定されたガイドフック121で固定されている。さらに、左側縦方向ハーネス87および中央ハーネス86から下方に延出する部分は、回り止めピン126に係合してビス125で固定されたガイドフック124で固定されることで、それぞれ、メータケース94の裏面側に安定的に固定されている。なお、燃料計100の裏面側には、左側縦ハーネス87から分岐して電力を供給する配線の端子127が取り付けられている。
【0072】
速度計91の文字板140には、速度を表示する数字の周囲に導光板141が配設されている。導光板141は、0,20,40…160km/hの各表示部に設けられる目盛り部と、目盛り部同士の間をつなぐ円環部とからなる。メータケース94の車幅方向左右の支持ステー94aは、車体取付時に後側カバー39で覆われる。
【0073】
図18は、図15のG−G線断面図である。また、図19は、図15のH−H線断面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。カバー部材95は、メータケース94の周縁部を覆うように形成され、この周縁部に熱溶着処理によって固定されている。間接照明用バルブ120は、燃料計100の文字板を裏面側から照らすと共に、導光板141を光らせるために採光部142の先端を照らすように構成されている。また、間接照明用バルブ119は、メータ装置90の正面視で、速度計91の右上の位置から、導光板141を光らせるために採光部143の先端を照らすように構成されている。燃料計100の回転軸129が接続される燃料計ユニット135が配設される部分のメータケース94は、速度計ユニット91aの周囲よりもさらに薄肉化されている。
【0074】
なお、車両用灯火装置としてのポジションランプ一体式ウインカ装置の構成や形状、車体への取付方法、ベース部材や導光部材の形状や材質、アウタレンズや導光部材および各バルブの色等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本発明に係る車両用灯火装置は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…自動二輪車(車両)、4…ヘッドパイプ、6…ステアリングステム、7…操向ハンドル、27…ハンドルカバー、30…フロントカバー(車体カバー)、31…フロアパネル、50(50L,50R)…ポジションランプ一体式ウインカ装置(車両用灯火装置)、51…ベース部材、53…ウインカランプ用バルブ(第1光源)、54…ポジションランプ用バルブ、55…アウタレンズ、58…第1収容部、59…第2収容部、58a,58b…第1リフレクタ部、59a…第2リフレクタ部、60…インナレンズ(導光部材)、61…ローレット加工部、62…幅広部、63,64…導光部材取付部、65…遮蔽壁、66…低壁部、66a…連通部、68…延出部、69…切欠部、70…前照灯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材(51)とアウタレンズ(55)とで形成される収容空間に少なくとも2つの光源(53,54)を収容するようにした車両用灯火装置(50)において、
前記ベース部材(51)には、前記光源(53,54)のうち、第1光源(53)が配置される第1収容部(58)と、第2光源(54)が配置される第2収容部(59)とが形成され、
前記第1収容部(58)には、前記第1光源(53)の光を前方に反射する第1リフレクタ部(58a,58b)が設けられ、
前記第2収容部(59)には、前記第2光源(54)の光を前方に反射する第2リフレクタ部(59a)と、前記第2光源(54)の前方に配置されて該第2光源(54)の照射光を導光する導光部材(60)とが設けられ、
前記導光部材(60)は、前記第1光源(53)の発光色と同系色の有色透明部材で形成されると共に、前記第1リフレクタ部(58a,58b)の車体前方側の一部を覆う延出部(68)を備えることを特徴とする車両用灯火装置。
【請求項2】
前記車両用灯火装置(50)は、車両(1)の車幅方向右側または左側にオフセットして車体前面部に配設され、
前記第2光源(54)は、前記第1光源(53)よりも車体上方かつ車幅方向外側に配置されており、
前記導光部材(60)が、前記第2光源(54)より車幅方向外側の位置から前記第1光源(53)の車幅方向内側の位置まで延出して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯火装置。
【請求項3】
前記導光部材(60)には、前記第1光源(53)を車体前方に露出させる切欠部(69)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯火装置。
【請求項4】
前記導光部材(60)の延出部(68)は、車体正面視で、前記第1光源(53)の下方を通るように形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【請求項5】
前記導光部材(60)は、車体正面視で、前記延出部(68)の車体下方側からも前記第1リフレクタ部(58a,58b)の一部が視認されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯火装置。
【請求項6】
前記導光部材(60)は、前記第2収容部(59)の車体前方側の全体を覆うように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【請求項7】
前記ベース部材(51)には、前記第1光源(53)と第2光源(54)との間の位置に互いの照射光の干渉を防ぐ遮蔽壁(65)が設けられており、
前記遮蔽壁(65)には、前記導光部材(60)の延出部(68)に対向する部分に、前記第1収容部(58)と第2収容部(59)とを連通させる連通部(66a)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【請求項8】
前記導光部材(60)は、導光部材取付部(63,64)によって車体正面側から前記ベース部材(51)に固定されており、
前記導光部材取付部(63,64)は、前記ウインカ装置(50)を車体に取り付けた際に車体前方側から車体カバー(30)で覆われることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【請求項9】
前記第1光源(53)は、略橙色に発光するウインカ用バルブであり、
前記第2光源(54)は、略透明色に発光するポジションランプ用バルブであり、
前記導光部材(60)は、略橙色の透明部材で形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【請求項1】
ベース部材(51)とアウタレンズ(55)とで形成される収容空間に少なくとも2つの光源(53,54)を収容するようにした車両用灯火装置(50)において、
前記ベース部材(51)には、前記光源(53,54)のうち、第1光源(53)が配置される第1収容部(58)と、第2光源(54)が配置される第2収容部(59)とが形成され、
前記第1収容部(58)には、前記第1光源(53)の光を前方に反射する第1リフレクタ部(58a,58b)が設けられ、
前記第2収容部(59)には、前記第2光源(54)の光を前方に反射する第2リフレクタ部(59a)と、前記第2光源(54)の前方に配置されて該第2光源(54)の照射光を導光する導光部材(60)とが設けられ、
前記導光部材(60)は、前記第1光源(53)の発光色と同系色の有色透明部材で形成されると共に、前記第1リフレクタ部(58a,58b)の車体前方側の一部を覆う延出部(68)を備えることを特徴とする車両用灯火装置。
【請求項2】
前記車両用灯火装置(50)は、車両(1)の車幅方向右側または左側にオフセットして車体前面部に配設され、
前記第2光源(54)は、前記第1光源(53)よりも車体上方かつ車幅方向外側に配置されており、
前記導光部材(60)が、前記第2光源(54)より車幅方向外側の位置から前記第1光源(53)の車幅方向内側の位置まで延出して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯火装置。
【請求項3】
前記導光部材(60)には、前記第1光源(53)を車体前方に露出させる切欠部(69)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯火装置。
【請求項4】
前記導光部材(60)の延出部(68)は、車体正面視で、前記第1光源(53)の下方を通るように形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【請求項5】
前記導光部材(60)は、車体正面視で、前記延出部(68)の車体下方側からも前記第1リフレクタ部(58a,58b)の一部が視認されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯火装置。
【請求項6】
前記導光部材(60)は、前記第2収容部(59)の車体前方側の全体を覆うように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【請求項7】
前記ベース部材(51)には、前記第1光源(53)と第2光源(54)との間の位置に互いの照射光の干渉を防ぐ遮蔽壁(65)が設けられており、
前記遮蔽壁(65)には、前記導光部材(60)の延出部(68)に対向する部分に、前記第1収容部(58)と第2収容部(59)とを連通させる連通部(66a)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【請求項8】
前記導光部材(60)は、導光部材取付部(63,64)によって車体正面側から前記ベース部材(51)に固定されており、
前記導光部材取付部(63,64)は、前記ウインカ装置(50)を車体に取り付けた際に車体前方側から車体カバー(30)で覆われることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【請求項9】
前記第1光源(53)は、略橙色に発光するウインカ用バルブであり、
前記第2光源(54)は、略透明色に発光するポジションランプ用バルブであり、
前記導光部材(60)は、略橙色の透明部材で形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の車両用灯火装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−243452(P2012−243452A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110299(P2011−110299)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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