説明

車両用灰皿装置

【課題】簡素な構成で灰皿内のタバコの煙を除去することができる車両用灰皿装置を提供する。
【解決手段】車室1に開閉可能に設けられる灰皿12と、空調装置6の空気導入用ファン4及び空気を濾過するフィルタ8の上流に一端が接続され、灰皿12から排気を行なう排気管13と、を備える。これにより、稼動した空調装置6が排気管13を介して内気を吸引するので、排気管13によって灰皿12からタバコ11の煙が排気され、その煙がフィルタ8によって除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室に開閉可能に設けられる灰皿を備えた車両用灰皿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術に関連するものとして、特許文献1には、車室に開閉可能に設けられる灰皿と、空調装置の空気流で発生する負圧を利用して灰皿内のタバコの煙を吸引する吸引ダクトとを有し、この吸引ダクトの途中にタバコの煙を除去するための専用フィルタを設けた「灰皿の空気清浄構造」が提案されている。
【特許文献1】特開2000−25451号公報(段落番号0010〜0012、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている従来技術では、灰皿内のタバコの煙を除去するための専用フィルタを設けたので、構造が複雑であるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、簡素な構成で灰皿内のタバコの煙を除去することのできる車両用灰皿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、車室に開閉可能に設けられる灰皿を備える車両用灰皿装置であって、空調装置の空気導入用ファン及び空気を濾過するフィルタの上流に一端が接続され、前記灰皿から排気を行なう排気管を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記車室用の排気ドラフタに一端が接続され、前記灰皿から排気を行なう他の排気管を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記灰皿の開閉に連動して前記排気管を開閉する開閉弁を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、空調装置の空気導入用ファンの作動により灰皿から排気管を介してタバコの煙が吸込まれて、空調装置のフィルタでタバコの煙が除去されるので、煙除去専用のフィルタを必要としない簡素な構成で灰皿内のタバコの煙を除去することができ、車室内にタバコの煙が充満するのを安価な費用で抑制できる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、外気導入時に車室内へ外気が流入するとき、車室用の排気ドラフタに一端が接続される排気管を介して、灰皿から排気ドラフタへ空気が流れて車室の外部に流出するので、簡素な構成で灰皿内のタバコの煙を除去することができ、車室内にタバコの煙が充満するのを安価な費用で抑制できる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、灰皿を開けたとき、開閉弁が排気管を開いて灰皿から排気が行われる。一方、灰皿を閉じたとき、開閉弁が排気管を閉じて灰皿への空気供給を絶つことにより、灰皿内のタバコの火を確実に消すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態を図1ないし図4に基づいて説明する。図1は、本実施形態の車両用灰皿装置を備えた車両を示す断面図、図2は、本実施形態の車両用灰皿装置及び空調装置を拡大して示す断面図、図3は本実施形態の車両用灰皿装置を拡大して示す断面図、図4は、本実施形態の空調装置の内外気切替箱を拡大して示す断面図である。なお、図3(a),図3(b)は、それぞれ灰皿を閉じた状態及び灰皿を開いた状態を示し、図4(a),図4(b)は、それぞれ内気導入時の状態及び外気導入時の状態を示している。
【0012】
図1に示すように、車室1の前部には、インストルメントパネル2が設けられ、このインストルメントパネル2内には、空調装置6が収納されている。車両の後部には、車室1と連通して設けられ車室1の排気を行なう排気ドラフタ9が設けられている。また、車両には、車両用灰皿装置10が設けられている。
【0013】
空調装置6は、内外気切替箱3、空気導入用ファン4、及び空調ユニット5を有している。空調装置6は、内気導入や外気導入によって装置内に導入した空気を車室1に供給する。内気導入では、車室1内の空気が空調装置6内に導入され、外気導入では、車外の空気が空調装置6に導入される。
【0014】
内外気切替箱3の入口側には、導入空気の経路を切替える切替ドア7が装着される一方、内外気切替箱3の出口側には、空気を濾過するフィルタ8が装着されている。切替ドア7は、図示しない駆動系によって駆動されるようになっている。
【0015】
図2及び図3に示すように、車両用灰皿装置10は、インストルメントパネル2に出し入れ可能に設けられ、タバコ11の灰を受け入れる灰皿12と、一端が内外気切替箱3の内気導入側に接続され、灰皿12から排気を行なう排気管13と、一端が排気ドラフタ9に接続され、灰皿12から排気を行なう他の排気管14と、これらの排気管13,14の各入口に設けられ、タバコ11の灰の吸入を防止するメッシュ15と、灰皿12の開閉に連動して排気管13,14を開閉する開閉弁16と、を備えている。
【0016】
灰皿12は、インストルメントパネル2に設けられた収納ケース18にスライド可能に支持されている。収納ケース18は、インストルメントパネル2の挿入孔17に挿入され、インストルメントパネル2の内面に固定されている。この収納ケース18の上壁に形成された上部開口19に、上記のメッシュ15が装着されている。
【0017】
灰皿12の上部開口20には、上記の開閉弁16が設けられている。そして、図3(a)に示すように、灰皿12を収納ケース18に対して奥側へスライドさせて灰皿12を閉じたとき、開閉弁16が収納ケース18の上部開口19を塞ぎ、これにより、排気管13,14が閉じられる。一方、図3(b)に示すように、灰皿12を収納ケース18に対して車室1側へスライドさせて灰皿12を開いたとき、灰皿12の上部開口20が収納ケース18の上部開口19と対向し、これにより、排気管13,14が開かれる。
【0018】
そして、本実施形態では、図4(a)に示すように、内気導入時には、内外気切替箱3の切替ドア7が外気導入口21を閉じる。そして、この状態で、かつ、灰皿12が開いた状態では、空調装置6が空気導入用ファン4の作動により排気管13や図示しない内気導入口を介して車室1内の空気を吸引し空調ユニット5を介して車室1内へ送風する。その結果、図3(a)に示すように、灰皿12が開いた状態では、排気管13によって灰皿12からタバコ11の煙が排気され、その煙がフィルタ8によって除去される。このとき、空調装置6内へのタバコ11の灰の吸入がメッシュ15により防止される。
【0019】
また、図4の(b)に示すように、外気導入時には、内外気切替箱3の切替ドア7が排気管13などの内気側を閉じるとともに外気導入口21を開く。そして、この状態で、空調装置6が空気導入用ファン4の作動により外気導入口21を介して外気を吸引して空調ユニット5を介して車室1内へ送風する。その結果、図3(b)に示すように、灰皿12が開いた状態では、灰皿12からタバコ11の煙が排気管14によって排気ドラフタ9から車室1外部へ排気される。このとき、空調装置6側へのタバコ11の灰の移動がメッシュ15により防止される。
【0020】
以上説明したように、本実施形態では、内気導入時に、空調装置6の空気導入用ファン4の作動により灰皿12から排気管13を介してタバコ11の煙が吸込まれて、空調装置6のフィルタ8でタバコの煙が除去されるので、煙除去専用のフィルタを必要としない簡素な構成で灰皿12内のタバコ11の煙を除去することができ、車室1内にタバコ11の煙が充満するのを抑制できる。
【0021】
また、外気導入時に、車室1内へ外気が流入するとき、排気管14を介して灰皿12から排気ドラフタ9へ空気が流れて車室1の外部に流出するので、この点でも簡素な構成で灰皿12内のタバコ11の煙を除去することができる。
【0022】
また、灰皿12を閉じたとき、開閉弁16で排気管13、14を閉じて灰皿12を密室状態にして灰皿12への空気供給を絶つことにより、灰皿12内のタバコ11の火を確実に消すことができる。
【0023】
次に、本発明の第2の実施形態を図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態の車両用灰皿装置を示す断面図であり、図5(a),図5(b)は、それぞれ内外気切替箱の内気導入時の状態及び外気導入時の状態を示す。なお、前述した実施形態と同じ部分は、同一符号で示し説明も省略する。
【0024】
図5に示すように、本実施形態の車両用灰皿装置22は、第1実施形態に対して、排気管13の出口に、内外気切替箱3から灰皿12への逆流を防止する逆止弁23を設けた点と、外気導入時に切替ドア7により内気側が開いている点と、一端が排気ドラフタ9に接続される他の排気管14を省略した点とが異なる。
【0025】
本実施形態にあっては、図5(a)に示すように、内気導入時に、内外気切替箱3の切替ドア7が外気導入口21を閉じて、排気管13や図示しない内気導入口を介して内気を吸引する結果、排気管13を介して灰皿12からタバコ11の煙が排気され、その煙が内外気切替箱3の出口側のフィルタ8で除去される。
【0026】
また、図5(b)に示すように、外気導入時に、内外気切替箱3の切替ドア7が外気導入口21を開いて外気導入口21を介して外気を吸引するとともに、排気管13などの内気側も開くことにより内気も吸引するので、排気管13を介して灰皿12からタバコ11の煙が排気され、その煙がフィルタ8で除去される。このとき、内外気切替箱3から空気が排気管13を介して逆流することが逆止弁23で防止されているので、空気の逆流で灰皿12からタバコ11の煙が車室1に流出して充満することがない。
【0027】
以上説明した本実施形態では、内気導入時及び外気導入時に空調装置6の空気導入用ファン4の作動により灰皿12から排気管13を介してタバコ11の煙が吸込まれて、空調装置6のフィルタ8でタバコの煙が除去されるので、煙除去専用のフィルタを必要としない簡素な構成で灰皿12内のタバコ11の煙を除去することができ、車室1内にタバコ11の煙が充満するのを抑制できる。
【0028】
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用灰皿装置を備えた車両の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の車両用灰皿装置及び空調装置を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の車両用灰皿装置を拡大して示す断面図であり、(a)は、灰皿を閉じた状態を示し、(b)は、灰皿を開いた状態を示している。
【図4】本発明の第1の実施形態の空調装置の内外気切替箱を拡大して示す断面図であり、(a)は、内気導入時の状態を示し、(b)は、外気導入時の状態を示している。
【図5】本発明の第2実施形態の車両用灰皿装置を示す断面図であり、(a)は、内気導入時の状態を示し、(b)は、外気導入時の状態を示している。
【符号の説明】
【0030】
1…車室
4…空気導入用ファン
6…空調装置
8…フィルタ
9…排気ドラフタ
10…車両用灰皿装置
12…灰皿
13…排気管
14…他の排気管
16…開閉弁
22…車両用灰皿装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室(1)に開閉可能に設けられる灰皿(12)を備える車両用灰皿装置であって、
空調装置(6)の空気導入用ファン(4)及び空気を濾過するフィルタ(8)の上流に一端が接続され、前記灰皿(12)から排気を行なう排気管(13)を備えることを特徴とする車両用灰皿装置。
【請求項2】
前記車室(1)用の排気ドラフタ(9)に一端が接続され、前記灰皿(12)から排気を行なう他の排気管(14)を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用灰皿装置。
【請求項3】
前記灰皿(12)の開閉に連動して前記排気管(13,14)を開閉する開閉弁(16)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灰皿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−24137(P2008−24137A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198438(P2006−198438)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】