説明

車両用熱交換器

【課題】第1流出口および第2流出口から気泡を好適に排出して、熱交換効率の低下を抑制することができる車両用熱交換器を提供する。
【解決手段】第1熱交換室40および第2熱交換室42は鉛直方向に沿うように配置され、第1流出口30aは第1流入口28aより上部側に配置され、第2流出口34aは第2流入口32aより上部側に配置される。そのため、第1流入口28aから流入されたオイルOが第1流出口30aから流出されると、オイルO内に混在する気泡が、第1熱交換室40内において、上部側へ浮き上がり、オイルOの流れと共にオイルOの気泡が好適に第1流出口30aから排出される。また、第2流入口32aから流入された冷却水Wが第2流出口34aから流出されると、冷却水W内に混在する気泡が、第2熱交換室42内において、上部側へ浮き上がり、冷却水Wの流れと共に冷却水Wの気泡が好適に第2流出口34aから排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1液と第2液との間で熱交換を行う車両用熱交換器に関し、特に車両用熱交換器における第1液と第2液との間の熱交換効率を従来に比較して増加させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用熱交換器の一種に、例えば特許文献1乃至3に示すように、第1液が流入される第1流入口およびその第1液が流出される第1流出口と、第2液が流入される第2流入口およびその第2液が流出される第2流出口と、前記第1流入口および前記第1流出口にそれぞれ直接的に連通する複数の層状の第1熱交換室と、その複数の第1熱交換室に隣接した状態でその第1熱交換室の間に積層され、前記第2流入口および第2流出口にそれぞれ直接的に連通する複数の層状の第2熱交換室とを備え、前記第1液と前記第2液との間で熱交換を行うものがある。例えば図6に示すような自動変速機に用いられる作動油(ATF:以下、オイルという)を冷却するオイルクーラ100がそれである。
【0003】
図6において、オイルクーラ100は、前記オイルが流入される第1流入口100aおよびそのオイルが流出される第1流出口100bと、前記オイルを冷却する冷却水が流入される第2流入口100cおよびその冷却水が流出される第2流出口100dと、第1流入口100aおよび第1流出口100bにそれぞれ直接的に連通する図示されていない複数の層状の第1熱交換室と、その複数の第1熱交換室に隣接した状態でその第1熱交換室の間に積層され、第2流入口100cおよび第2流出口100dにそれぞれ直接的に連通する図示されていない複数の層状の第2熱交換室とを備え、例えば前記オイルの熱が前記冷却水に伝達されてそのオイルが冷却されるものである。図6において、一点鎖線の矢印は、第1流入口100aから流入された前記オイルがオイルクーラ100内の第1熱交換室において第1流出口100bから流出する前記オイルの流れを仮想的に示し、二点鎖線の矢印は、第2流入口100cから流入された前記冷却水がオイルクーラ100内の第2熱交換室において第2流出口100dから流出する前記冷却水の流れを仮想的に示している。
【0004】
図6に示す矢印Aは、オイルクーラ100の車両取付状態における車両上方すなわち鉛直方向の上方を示すものである。オイルクーラ100は、そのオイルクーラ100の車両取付状態において、第1流入口100aは、第1流出口100bより鉛直方向の上部側に配置され、第2流入口100cは、第2流出口100dより鉛直方向の上部側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−52849号公報
【特許文献2】特開平06−341786号公報
【特許文献3】特開平06−272558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようなオイルクーラ100において、第1流入口100aから流入される前記オイルおよび第2流入口100cから流入される前記冷却水には、気泡が混在している場合がある。この場合には、オイルクーラ100内の第1熱交換室において第1流入口100aから流入された前記オイルが第1流出口100bから流出されると、そのオイル内に混在する気泡が、その第1熱交換室内において、鉛直方向の下方側へ流れるオイルの流れとは反対に上方側へ浮き上がろうとするので、オイル内に混在する気泡をそのオイルの流れでは第1流出口100bから充分に排出されない。また、オイルクーラ100内の第2熱交換室においても第2流入口100cが第2流出口100dより鉛直方向の上部側に配置されているので、上記と同様に前記冷却水内に混在する気泡をその冷却水の流れで充分に第2流出口100dから排出されない。
【0007】
このため、オイルクーラ100内の第1熱交換室および第2熱交換室に第1流出口100bおよび第2流出口100dから排出されなかった残留気泡110が第1熱交換室内および第2熱交換室内における熱交換面積が実質的に減少してオイルクーラ100内の前記オイルと前記冷却水との間の熱交換効率が低下するという欠点があった。図6において、一点鎖線の楕円は、前記第1熱交換室に残った残留気泡110aを仮想的に示し、二点鎖線の楕円は、前記第2熱交換室に残った残留気泡110bを仮想的に示している。
【0008】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、第1流出口および第2流出口から気泡を好適に排出して、熱交換効率の低下を抑制することができる車両用熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 第1液が流入される第1流入口およびその第1液が流出される第1流出口と、第2液が流入される第2流入口およびその第2液が流出される第2流出口と、前記第1流入口および前記第1流出口にそれぞれ直接的に連通する複数の層状の第1熱交換室と、その複数の第1熱交換室に隣接した状態でその第1熱交換室の間に積層され、前記第2流入口および第2流出口にそれぞれ直接的に連通する複数の層状の第2熱交換室とを備え、前記第1液と前記第2液との間で熱交換を行う車両用熱交換器であって、(b) 前記第1熱交換室および前記第2熱交換室は鉛直方向に沿うように配置され、(c) 前記第1流出口は、前記第1流入口より上部側に配置され、(d) 前記第2流出口は、前記第2流入口より上部側に配置されることにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両用熱交換器によれば、(b) 前記第1熱交換室および前記第2熱交換室は鉛直方向に沿うように配置され、(c) 前記第1流出口は、前記第1流入口より上部側に配置され、(d) 前記第2流出口は、前記第2流入口より上部側に配置されることにある。 そのため、前記第1熱交換室において前記第1流入口から流入された前記第1液が前記第1流出口から流出されると、その第1液内に混在する気泡が、その第1熱交換室内において、上部側へ浮き上がるので、前記第1液の流れと共にその第1液の気泡が好適に前記第1流出口から排出される。また、前記第2熱交換室において前記第2流入口から流入された前記第2液が前記第2流出口から流出されると、その第2液内に混在する気泡が、その第2熱交換室内において、上部側へ浮き上がるので、前記第2液の流れと共にその第2液の気泡が好適に前記第2流出口から排出される。これによって、前記第1流出口および前記第2流出口から気泡を好適に排出できるので、前記第1熱交換室および前記第2熱交換室に残る残留気泡が従来に比較して減少し、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両に搭載された冷却システムの概略構成を説明するブロック図の一例である。
【図2】図1に示すオイルクーラを拡大した拡大図である。
【図3】図2のオイルクーラをIII矢印方向から見た側面図であり、図2のオイルクーラ内に冷却水を流入させる冷却水流入管とその冷却水流入管から流入された冷却水をオイルクーラから流出させる冷却水流出管とを省略した図である。
【図4】図2のオイルクーラをIV矢印方向から見た側面図であり、図2のオイルクーラ内にオイルを流入させるオイル流入管とそのオイル流入管から流入されたオイルをオイルクーラから流出させるオイル流出管とを省略した図である。
【図5】他の実施例のオイルクーラを説明する図であり、図2に対応する図である。
【図6】従来のオイルクーラの問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は理解を容易とするために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0013】
図1は、車両10に搭載された冷却システム12の概略構成を説明するブロック図である。図1において、冷却システム12は、例えばラジエータ14、サーモスタット16、ウォータポンプ18、ヒータコア20、及びオイルクーラ(車両用熱交換器)22を備えている。尚、図1における実線の矢印は冷却水(第2液)Wの流れを示し、破線の矢印は自動変速機24に用いられる作動油(ATF:以下、オイル(第1液)Oという)の流れを示している。
【0014】
ラジエータ14は、車両10に搭載されたエンジン26のウォータジャケットの出口26aから流出するエンジン26用の冷却水Wを入口14aから受け入れ、外気との熱交換によりその冷却水Wを冷却し、冷却後の冷却水Wを出口14bからサーモスタット16の入口16aへ流出させる。
【0015】
サーモスタット16は、例えば冷却水Wが所定の温度以上になるまではそのサーモスタット16の入口16a側の弁を閉じて、入口16aから出口16bへの冷却水Wの流通を阻止する。一方で、サーモスタット16は、例えば冷却水Wが所定の温度以上になると上記入口16a側の弁を開き、入口16aから出口16bへの冷却水Wの流通を許容して、その冷却水Wを出口16bからウォータポンプ18へ流出させる。また、サーモスタット16は、エンジン26のウォータジャケットのバイパス流路26bを介して流通する冷却水Wを入口16cから受け入れ、その冷却水Wを出口16bからウォータポンプ18へ流出させる。また、サーモスタット16は、ヒータコア20を介した冷却水Wを入口16dから受け入れ、その冷却水Wを出口16bからウォータポンプ18へ流出させる。
【0016】
ウォータポンプ18は、例えばエンジン26に連結され、ラジエータ14およびサーモスタット16を介して冷却水Wを吸入し、その冷却水Wをエンジン26のウォータジャケットおよびオイルクーラ22へ供給して、冷却水Wを循環させる。
【0017】
ヒータコア20は、エンジン26のウォータジャケットの出口26cから流出する冷却水Wを受け入れ、その冷却水Wと空気との間で熱交換を行い、温風を発生する。
【0018】
オイルクーラ22は、図1および図2に示すような丸型のオイルクーラであり、自動変速機24から流出するオイルOをオイルクーラ22内に流入させるオイル流入管28と、そのオイル流入管28からオイルクーラ22内に流入されたオイルOをそのオイルクーラ22内から流出させるオイル流出管30と、エンジン26のウォータジャケットの出口26cから流出した冷却水Wをオイルクーラ22内に流入させる冷却水流入管32と、その冷却水流入管32からオイルクーラ22内に流入された冷却水Wをそのオイルクーラ22内から流出させる冷却水流出管34とを備え、オイルクーラ22内に導入されたオイルOと冷却水Wとの間で熱の交換を行うものである。オイルクーラ22においては、例えば自動変速機24の暖機中は、エンジン26により暖められた冷却水WからオイルOへ熱が伝達され、オイルOが早期に暖められることでその自動変速機24の暖機が促進されて燃費が向上させられる。一方、暖機後は、自動変速機24により暖められたオイルOから冷却水Wへ熱が伝達され、オイルOが冷却されて自動変速機24が冷却される。
【0019】
オイルクーラ22には、図3および図4に示すように、オイル流入管28、オイル流出管30、冷却水流入管32、冷却水流出管34がそれぞれ液密に取り付けられた円柱形状のコア本体36と、そのコア本体36を自動変速機24に位置固定に取り付けるためにその自動変速機24に固設された円板状のベースプレート38とが備えられている。
【0020】
図3および図4に示すように、コア本体36には、そのコア本体36内において、オイル流入管28内に形成された第1流入口28aおよびオイル流出管30内に形成された第1流出口30aにそれぞれ直接的に連通する複数の層状の第1熱交換室40と、冷却水流入管32内に形成された第2流入口32aおよび冷却水流出管34内に形成された第2流出口34aにそれぞれ直接的に連通する複数の層状の第2熱交換室42とが積層方向に交互に形成されている。図3および図4に示す2点差線は、第1熱交換室40および第2熱交換室42を形成するためにコア本体36内に形成された平板状の壁部36aの一部を示すものである。また、図3および図4に示すように、第2流出口34aの径B2は、第1流出口30aの径B1より大径である。
【0021】
図2乃至4に示す矢印C1は、オイルクーラ22の車両取付状態における車両上方すなわち鉛直方向の上方を示すものである。図3および図4に示すように、オイルクーラ22内において、第1熱交換室40および第2熱交換室42は、鉛直方向に沿うようにすなわち鉛直方向に平行となるように配置され、第1流出口30aは、第1流入口28aより上部側に配置され、第2流出口34aは、第2流入口32aより上部側に配置されている。
【0022】
図3に示すように、オイル流入管28およびオイル流出管30には、弾性変形可能な例えば合成ゴム製の第1ホース44がそれぞれ嵌め着けられ、位置固定ベルト46によって固定されている。また、オイルクーラ22の第1熱交換室40から流出されたオイルOは第1ホース44を介して自動変速機24内に送られるようになっており、オイル流出管30に嵌め着けられた第1ホース44の穴44aの径D1は、第1流出口30aの径B1より大径となっている。
【0023】
図4に示すように、冷却水流入管32および冷却水流出管34には、弾性変形可能な例えば合成ゴム製の第2ホース48がそれぞれ嵌め着けられ、位置固定ベルト50によって固定されている。また、オイルクーラ22の第2熱交換室42から流出された冷却水Wは第2ホース48を介してサーモスタット16の入口16dに送られるようになっており、冷却水流出管34に嵌め着けられた第2ホース48の穴48aの径D2は、第2流出口34aの径B2より大径となっている。
【0024】
ここで、オイルクーラ22において、オイルOおよび冷却水Wに気泡が混在している場合における第1熱交換室40内および第2熱交換室42内の状態を図2乃至図4を用いて説明する。図2乃至図4において、一点鎖線の矢印O1は、第1流入口28aから流入されたオイルOが第1熱交換室40内において第1流出口30aから流出するオイルOの流れを仮想的に示し、二点鎖線の矢印W1は、第2流入口32aから流入された冷却水Wが第2熱交換室42において第2流出口34aから流出する冷却水Wの流れを仮想的に示すものである。
【0025】
図2および図3に示すように、第1熱交換室40において第1流入口28aから流入されたオイルOが第1流出口30aから流出されると、第1熱交換室40内のオイルOは、その第1熱交換室40内の上部側へ向かって流れると共に、そのオイルO中に混在する気泡も、第1熱交換室40内の上部側へ浮き上がるので、オイルOの流れと共にそのオイルO内の気泡が第1流出口30aから好適に排出され、第1熱交換室40内に残る残留気泡が従来のオイルクーラに比較して減少する。また、図2に示す一点鎖線の楕円は、オイルOの流れと共に第1熱交換室40の上部側に浮き上がってきた気泡52を仮想的に示すものである。
【0026】
同様に、第2熱交換室42において第2流入口32aから流入された冷却水Wが第2流出口34aから流出されると、第2熱交換室42内の冷却水Wは、その第2熱交換室42内の上部側へ向かって流れると共に、その冷却水W中に混在する気泡も、第2熱交換室42内の上部側へ浮き上がるので、冷却水Wの流れと共にその冷却水W内の気泡が第2流出口34aから好適に排出され、第2熱交換室42内に残る残留気泡が従来のオイルクーラに比較して減少する。また、図2に示す二点鎖線の楕円は、冷却水Wの流れと共に第2熱交換室42の上部側に浮き上がってきた気泡54を仮想的に示すものである。
【0027】
上述のように、本実施例のオイルクーラ22によれば、第1熱交換室40および第2熱交換室42は鉛直方向に沿うように配置され、第1流出口30aは、第1流入口28aより上部側に配置され、第2流出口34aは、第2流入口32aより上部側に配置されることにある。そのため、第1熱交換室40において第1流入口28aから流入されたオイルOが第1流出口30aから流出されると、そのオイルO内に混在する気泡が、その第1熱交換室40内において、上部側へ浮き上がるので、オイルOの流れと共にそのオイルOの気泡52が好適に第1流出口30aから排出される。また、第2熱交換室42において第2流入口32aから流入された冷却水Wが第2流出口34aから流出されると、その冷却水W内に混在する気泡が、その第2熱交換室42内において、上部側へ浮き上がるので、冷却水Wの流れと共にその冷却水Wの気泡54が好適に第2流出口34aから排出される。これによって、第1流出口30aおよび第2流出口34aから気泡52、54を好適に排出できるので、第1熱交換室40および第2熱交換室42に残る残留気泡が従来に比較して減少し、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0028】
また、本実施例のオイルクーラ22によれば、オイル流出管30には、複数の第1熱交換室40から流出されたオイルOを自動変速機24内へ送る第1ホース44が嵌め着けられており、第1ホース44の穴44aの径D1は、第1流出口30aの径B1より大径である。このため、第1流出口30aから排出されたオイルOに混在する気泡52がオイル流出管30内に残ることなく好適に第1ホース44を介して外部へ送られる。
【0029】
また、本実施例のオイルクーラ22によれば、冷却水流出管34には、複数の第2熱交換室42から流出された冷却水Wをサーモスタット16の入口16dへ送る第2ホース48が嵌め着けられており、第2ホース48の穴48aの径D2は、第2流出口34aの径B2より大径である。このため、第2流出口34aから排出された冷却水Wに混在する気泡54が冷却水流出管34内に残ることなく好適に第2ホース48を介して外部へ送られる。
【0030】
また、本実施例のオイルクーラ22によれば、第2流出口34aの径B2は、第1流出口30aの径B1より大径である。このため、第1熱交換室40においては、自動変速機24内にオイルOに混在する気泡52が行かないようその第1熱交換室40内にとどめておくことができる。
【実施例2】
【0031】
また、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の他の実施例において実施例相互間で共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
本実施例のオイルクーラ60は、そのオイルクーラ60が角型のオイルクーラである点で実施例1の丸型のオイルクーラ22と異なりその他の点以外は実施例1のオイルクーラ22と略同様である。図5は、自動変速機24に取り付けられた状態のオイルクーラ60の正面図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【0033】
図5に示す矢印C2は、オイルクーラ60の車両取付状態における車両上方すなわち鉛直方向上方を示すものである。オイルクーラ60内において、実施例1のオイルクーラ22と同様に第1熱交換室40および第2熱交換室42は、鉛直方向に沿うようにすなわち鉛直方向に平行となるように配置され、第1流出口30aは第1流入口28aより上部側に配置され、第2流出口34aは第2流入口32aより上部側に配置されている。
【0034】
以上のように構成されたオイルクーラ60は、オイルOおよび冷却水Wに気泡が混在していたとしても、実施例1のオイルクーラ22と同様に、オイルO中に混在する気泡52が、第1熱交換室40内において上部側へ浮き上がりオイルOの流れと共に第1流出口30aから好適に排出され、且つ、冷却水Wの中に混在する気泡54が、第2熱交換室42において上部側へ浮き上がり冷却水Wの流れと共に第2流出口34aから好適に排出される。このため、この角型のオイルクーラ60によれば実施例1のオイルクーラ22と略同様の効果を得ることができる。
【0035】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適応される。
【0036】
たとえば、本実施例のオイルクーラ22および60は、丸型および角型のオイルクーラであったが、本実施例のオイルクーラ22および60は、様々の形状に適応させることができる。
【0037】
また、本実施例のオイルクーラ22および60は、オイルOと冷却水Wとの間で熱交換を行う自動変速機24に用いられる作動油(ATF)の熱交換器であったが、これに限らず、第1液と第2液との間で熱交換が可能な積層式の車両用熱交換器であれば本発明は適用され得る。例えば、第1液が冷却水(或いはエンジンオイル)であり第2液がエンジンオイル(或いは冷却水)である積層式の車両用熱交換器などであっても良い。
【0038】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
22、60:オイルクーラ(車両用熱交換器)
28a:第1流入口
30a:第1流出口
32a:第2流入口
34a:第2流出口
40:第1熱交換室
42:第2熱交換室
O:オイル(第1液)
W:冷却水(第2液)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液が流入される第1流入口および該第1液が流出される第1流出口と、
第2液が流入される第2流入口および該第2液が流出される第2流出口と、
前記第1流入口および前記第1流出口にそれぞれ直接的に連通する複数の層状の第1熱交換室と、
該複数の第1熱交換室に隣接した状態で該第1熱交換室の間に積層され、前記第2流入口および第2流出口にそれぞれ直接的に連通する複数の層状の第2熱交換室とを備え、前記第1液と前記第2液との間で熱交換を行う車両用熱交換器であって、
前記第1熱交換室および前記第2熱交換室は鉛直方向に沿うように配置され、
前記第1流出口は、前記第1流入口より上部側に配置され、
前記第2流出口は、前記第2流入口より上部側に配置されることを特徴とする車両用熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−83381(P2013−83381A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222363(P2011−222363)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】