車両用熱交換装置
【課題】 熱交換器の側面を覆うエアガイドを備える熱交換装置において、エアガイド成形型のスライドコアを不要にする。
【解決手段】 シュラウドの側辺にエアガイド3が組みつけられる熱交換装置において、エアガイド3は、熱交換器の側面を覆うエアガイド本体部31と、エアガイド本体部31における車両後方側の端面から車両後方に向かって延びるとともに、シュラウドの開口部に挿入される挿入部32と、挿入部32と連続して設けられ、下方へと延びる抜け止め部33とを有しており、エアガイド本体部31、挿入部32および抜け止め部33は同一平面状に形成されている。これによると、エアガイド3はその型抜き方向に対してアンダーカットとならないような構造とすることができる。
【解決手段】 シュラウドの側辺にエアガイド3が組みつけられる熱交換装置において、エアガイド3は、熱交換器の側面を覆うエアガイド本体部31と、エアガイド本体部31における車両後方側の端面から車両後方に向かって延びるとともに、シュラウドの開口部に挿入される挿入部32と、挿入部32と連続して設けられ、下方へと延びる抜け止め部33とを有しており、エアガイド本体部31、挿入部32および抜け止め部33は同一平面状に形成されている。これによると、エアガイド3はその型抜き方向に対してアンダーカットとならないような構造とすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュラウドおよびエアガイドを備える車両用熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用の熱交換装置では、ラジエータ等の熱交換器に空気を効率的に送り、熱交換器の冷却効率を高めるため、シュラウドが配置されている。また、熱交換器の側面をエアガイドにて覆うようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このエアガイドは、シュラウドに嵌合して装着されるようになっている。具体的には、図18、19に示すように、シュラウド2には、シュラウド2の側部に沿って上下方向に案内突起2aが形成され、この案内突起2aには、上下方向に所定間隔を置いて係合突起2bが形成されている。そして、係合突起2bの上部には、両側に向けて突出部2cが形成され、この突出部2cにより嵌合部2dが形成されている。
【0004】
一方、エアガイド3のシュラウド2側には、シュラウド2に形成される案内突起2aに摺動可能に係合される係合部3aが、上下方向に所定間隔を置いて形成されている。この係合部3aは、一対のL字状の係止突起3bを対向配置して形成され、係止突起3bの先端部3cの間に、シュラウド2に形成される案内突起2aが嵌合可能とされている。
【0005】
また、エアガイド3とシュラウド2の嵌合部構造の他の例では、図20に示すように、エアガイド3には、案内突起3dが形成され、シュラウド2には、案内突起3dに係合する係合部2eが形成されている。
【特許文献1】特開平7−332089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図18、19に示す従来の熱交換装置では、エアガイド3の型抜き方向イに対して、エアガイド3における係止突起3b内の空間(案内突起2aが嵌合される部分)がアンダーカットとなるため、エアガイド成形型にはスライドコアが必要となる。
【0007】
また、図20に示す従来の熱交換装置では、エアガイド3の型抜き方向イに対して、エアガイド3における案内突起3dの溝状の空間(係合部2eが嵌合される部分)がアンダーカットとなり、一方、シュラウド2の型抜き方向ロに対して、シュラウド2における係合部2e内の空間(案内突起3dが嵌合される部分)がアンダーカットとなるため、エアガイド成形型およびシュラウド成形型のいずれもスライドコアが必要である。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、エアガイドを備える熱交換装置において、エアガイド成形型のスライドコアを不要にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、熱媒体と外気とを熱交換して熱媒体を冷却する熱交換器(1)と、熱交換器(1)の車両後方側に配置されて空気流を発生させる送風機と、送風機の外周側を覆って、送風機によって発生させた空気流が熱交換器(1)を通過するように空気流をガイドするシュラウド(2)と、シュラウド(2)の側辺に組みつけられて熱交換器(1)の側面を覆う平板状の側辺エアガイド(3)とを備える車両用熱交換装置において、シュラウド(2)は、車両前後方向に貫通する開口部(22)を有し、側辺エアガイド(3)は、熱交換器(1)の側面を覆うエアガイド本体部(31)と、エアガイド本体部(31)における車両後方側の端面から車両後方に向かって延びるとともに、開口部(22)に挿入される挿入部(32)と、挿入部(32)と連続して設けられ、下方へと延びる抜け止め部(33)とを有しており、エアガイド本体部(31)、挿入部(32)および抜け止め部(33)は同一平面状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
これによると、側辺エアガイドのエアガイド本体部、挿入部および抜け止め部は同一平面状に形成されているので、側辺エアガイドの型抜き方向に対してアンダーカットとならないような構造とすることができ、したがって、エアガイド成形型のスライドコアを不要にすることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用熱交換装置において、シュラウド(2)は、シュラウド(2)における車両前方側の端面から車両前方に向かって平行に延びる一対のつめ部(23)を有し、一対のつめ部(23)間にエアガイド本体部(31)の一部が挿入されていることを特徴とする。
【0012】
これによると、一対のつめ部によって側辺エアガイドが保持されるため、側辺エアガイドの倒れを防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の車両用熱交換装置において、シュラウド(2)の上辺に組みつけられて熱交換器(1)の上面を覆う上辺エアガイド(4)を備え、上辺エアガイド(4)の両端は側辺エアガイド(3)に係止されていることを特徴とする。
【0014】
これによると、側辺エアガイドの上方向への抜けを規制することができる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る熱交換装置の斜視図、図2は図1の熱交換装置におけるシュラウドを車両前方から見た状態の正面図、図3は図2の右側面図、図4は図2のA部の拡大図、図5は図2のB部の拡大図、図6は図5のC矢視図、図7は図1の熱交換装置における側辺エアガイドを車両前方から見た状態の正面図、図8は図7の右側面図、図9は図8のD部の拡大図、図10は図1のE部の拡大図である。
【0017】
図1に示すように、熱交換装置は、車両の内燃機関(図示せず)を冷却するための冷却水と外気とを熱交換して冷却水を冷却するラジエータ1、ラジエータ1の車両後方側に配置されて空気流を発生させる送風機(図示せず)、送風機の外周側を覆って、送風機によって発生させた空気流がラジエータ1を通過するように空気流をガイドするシュラウド2、シュラウド2の側辺に組みつけられてラジエータ1の側面を覆い、空気流がラジエータ1の側方を通過することを防止する平板状の側辺エアガイド3、シュラウド2の上辺に組みつけられてラジエータ1の上面を覆う上辺エアガイド4等を備えている。なお、冷却水は本発明の熱媒体に相当し、ラジエータ1は本発明の熱交換器に相当する。
【0018】
シュラウド2は、成形型によって樹脂成形されるもので、図2、図3に示すように、送風機の電動機(図示せず)を保持するステー21、開口部22(詳細後述)、つめ部23(詳細後述)等が一体成形されている。
【0019】
開口部22は、シュラウド2の左右の側辺に、それぞれ上下方向にずらして2個所形成されており、車両前後方向すなわちシュラウド2の型抜き方向Fに貫通している。また、開口部22は、図4に示すように、車両幅方向寸法が異なる2つのスリットを組み合わせた形状になっており、上側の案内部221の幅が、下側の溝部222の幅よりも広くなっている。
【0020】
つめ部23は、図2、図3に示すように、シュラウド2の左右の側辺に、それぞれ上下方向にずらして3個所形成されている。また、つめ部23は、図5、図6に示すように、1個所に2つ形成されており、この一対のつめ部23は、シュラウド2における車両前方側の端面から車両前方に向かって平行に延びている。
【0021】
側辺エアガイド3は、成形型によって樹脂成形されるもので、図7、図8に示すように、ラジエータ1の側面を覆うエアガイド本体部31、エアガイド本体部31における車両後方側の端面から車両後方に向かって延びる挿入部32、挿入部32と連続して設けられ、下方へと延びる抜け止め部33等が一体成形されている。
【0022】
また、エアガイド本体部31、挿入部32および抜け止め部33は同一平面状に形成されている。換言すると、エアガイド本体部31、挿入部32および抜け止め部33は、側辺エアガイド3を側辺エアガイド3の型抜き方向Gから見たときにそれらが重ならない位置関係になっている。
【0023】
そして、側辺エアガイド3の挿入部32および抜け止め部33をシュラウド2の開口部22に挿入した後、挿入部32の下端面321が開口部22の下端面223に当接する位置まで側辺エアガイド3を下方にスライドさせることにより、抜け止め部33をシュラウド2に係合させて、側辺エアガイド3をシュラウド2に固定するようになっている。
【0024】
同時に、一対のつめ部23間にエアガイド本体部31の一部を挿入することにより、一対のつめ部23によって側辺エアガイド3を保持して、側辺エアガイド3の倒れを防止するようになっている。
【0025】
ここで、挿入部32および抜け止め部33をシュラウド2の開口部22に挿入し易くするために、開口部22おける案内部221の幅W1は、挿入部32および抜け止め部33の板厚t1よりも充分に大きくなっており、また、案内部221の上下方向の長さL1は、挿入部32および抜け止め部33の上下方向の長さL2よりも長くなっている。
【0026】
そして、側辺エアガイド3をシュラウド2に装着した後、上辺エアガイド4がシュラウド2に装着される。因みに、上辺エアガイド4とシュラウド2は、それらとは別部品の樹脂製のクリップ(図示せず)にて狭持されている。
【0027】
また、上辺エアガイド4をシュラウド2に装着した状態では、図10に示すように、上辺エアガイド4の車両幅方向の端部が側辺エアガイド3に乗るようになっており、これにより、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止するようになっている。
【0028】
上記した本実施形態では、エアガイド本体部31、挿入部32および抜け止め部33は同一平面状に形成されているので、側辺エアガイド3の型抜き方向Gに対してアンダーカットとならないような構造とすることができ、したがって、側辺エアガイド3を成形する型のスライドコアを不要にすることができる。
【0029】
また、一対のつめ部23によって側辺エアガイド3が保持されるため、側辺エアガイド3の倒れを防止することができる。
【0030】
また、上辺エアガイド4が側辺エアガイド3に乗っているため、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できる。
【0031】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図11は第2実施形態に係る熱交換装置の要部の斜視図、図12は図11の熱交換装置における側辺エアガイドおよび上辺エアガイドの要部の分解斜視図である。
【0032】
第1実施形態では、上辺エアガイド4の車両幅方向の端部が側辺エアガイド3に乗っているだけであったが、本実施形態は、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合するようにしたものである。
【0033】
図12に示すように、側辺エアガイド3には、エアガイド本体部31の上端部に突起部34が設けられ、エアガイド本体部31と突起部34との間に溝35が形成されている。同様に、上辺エアガイド4の車両幅方向の端部には、突起部44と溝45が形成されている。そして、図11に示すように、側辺エアガイド3の溝35と上辺エアガイド4の溝45を嵌合させて、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合させている。
【0034】
本実施形態では、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合させているため、車両振動等により側辺エアガイド3と上辺エアガイド4がぶつかって異音が発生するのを防止できるとともに、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できる。
【0035】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。図13は第3実施形態に係る熱交換装置における側辺エアガイドの要部の側面図、図14は第3実施形態に係る熱交換装置における上辺エアガイドの要部の斜視図、図15は第3実施形態に係る熱交換装置における上辺エアガイドと側辺エアガイドの結合部を示す正面図である。
【0036】
本実施形態は、第2実施形態と同様に、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合するようにしたものである。
【0037】
図13に示すように、側辺エアガイド3には、エアガイド本体部31の上端部近傍に矩形の穴36が形成されている。この穴36は、側辺エアガイド3の型抜き方向Gに貫通している。
【0038】
図14に示すように、上辺エアガイド4の車両幅方向の端部には、側辺エアガイド3の穴36に挿入可能なつめ46が突出して形成されている。
【0039】
そして、図15に示すように、側辺エアガイド3の穴36に上辺エアガイド4のつめ46を嵌合させて、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合させている。
【0040】
本実施形態では、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合させているため、車両振動等により側辺エアガイド3と上辺エアガイド4がぶつかって異音が発生するのを防止できるとともに、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できる。
【0041】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。図16(a)は第4実施形態に係る熱交換装置におけるシュラウドの要部の正面図、図16(b)は図16(a)の左側面図、図17は第4実施形態に係る熱交換装置におけるシュラウドと側辺エアガイドの組み付け部を示す正面図である。
【0042】
上記各実施形態では、上辺エアガイド4によって、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止したが、本実施形態は、上辺エアガイド4を備えない熱交換装置においても、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できるようにしたものである。
【0043】
図16に示すように、シュラウド2の左右の側辺には、シュラウド2における車両前方側の端面から車両前方に向かって延びる突起24が形成されている。
【0044】
図17に示すように、側辺エアガイド3には、エアガイド本体部31の一部を屈曲させて、シュラウド2の突起24と係合可能な凹部37が形成されている。
【0045】
そして、側辺エアガイド3は樹脂の薄板で容易に弾性変形可能であるため、側辺エアガイド3をシュラウド2に装着する際に凹部37近傍が弾性変形して、シュラウド2の突起24と側辺エアガイド3の凹部37が係合する。
【0046】
本実施形態では、シュラウド2の突起24と側辺エアガイド3の凹部37を係合させているため、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱交換装置の斜視図である。
【図2】図1の熱交換装置におけるシュラウドを車両前方から見た状態の正面図である。
【図3】図2の右側面図である。
【図4】図2のA部の拡大図である。
【図5】図2のB部の拡大図である。
【図6】図5のC矢視図である。
【図7】図1の熱交換装置における側辺エアガイドを車両前方から見た状態の正面図である。
【図8】図7の右側面図である。
【図9】図8のD部の拡大図である。
【図10】図1のE部の拡大図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る熱交換装置の要部の斜視図である。
【図12】図11の熱交換装置における側辺エアガイドおよび上辺エアガイドの要部の分解斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る熱交換装置における側辺エアガイドの要部の側面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る熱交換装置における上辺エアガイドの要部の斜視図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る熱交換装置における上辺エアガイドと側辺エアガイドの結合部を示す正面図である。
【図16】(a)は本発明の第4実施形態に係る熱交換装置におけるシュラウドの要部の正面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係る熱交換装置におけるシュラウドと側辺エアガイドの組み付け部を示す正面図である。
【図18】従来の熱交換装置の要部を示す分解斜視図である。
【図19】図18の熱交換装置におけるエアガイドとシュラウドの嵌合部を示す断面図である。
【図20】他の従来例のエアガイドとシュラウドの嵌合部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…熱交換器、2…シュラウド、3…側辺エアガイド、22…開口部、31…エアガイド本体部、32…挿入部、33…抜け止め部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュラウドおよびエアガイドを備える車両用熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用の熱交換装置では、ラジエータ等の熱交換器に空気を効率的に送り、熱交換器の冷却効率を高めるため、シュラウドが配置されている。また、熱交換器の側面をエアガイドにて覆うようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このエアガイドは、シュラウドに嵌合して装着されるようになっている。具体的には、図18、19に示すように、シュラウド2には、シュラウド2の側部に沿って上下方向に案内突起2aが形成され、この案内突起2aには、上下方向に所定間隔を置いて係合突起2bが形成されている。そして、係合突起2bの上部には、両側に向けて突出部2cが形成され、この突出部2cにより嵌合部2dが形成されている。
【0004】
一方、エアガイド3のシュラウド2側には、シュラウド2に形成される案内突起2aに摺動可能に係合される係合部3aが、上下方向に所定間隔を置いて形成されている。この係合部3aは、一対のL字状の係止突起3bを対向配置して形成され、係止突起3bの先端部3cの間に、シュラウド2に形成される案内突起2aが嵌合可能とされている。
【0005】
また、エアガイド3とシュラウド2の嵌合部構造の他の例では、図20に示すように、エアガイド3には、案内突起3dが形成され、シュラウド2には、案内突起3dに係合する係合部2eが形成されている。
【特許文献1】特開平7−332089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図18、19に示す従来の熱交換装置では、エアガイド3の型抜き方向イに対して、エアガイド3における係止突起3b内の空間(案内突起2aが嵌合される部分)がアンダーカットとなるため、エアガイド成形型にはスライドコアが必要となる。
【0007】
また、図20に示す従来の熱交換装置では、エアガイド3の型抜き方向イに対して、エアガイド3における案内突起3dの溝状の空間(係合部2eが嵌合される部分)がアンダーカットとなり、一方、シュラウド2の型抜き方向ロに対して、シュラウド2における係合部2e内の空間(案内突起3dが嵌合される部分)がアンダーカットとなるため、エアガイド成形型およびシュラウド成形型のいずれもスライドコアが必要である。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、エアガイドを備える熱交換装置において、エアガイド成形型のスライドコアを不要にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、熱媒体と外気とを熱交換して熱媒体を冷却する熱交換器(1)と、熱交換器(1)の車両後方側に配置されて空気流を発生させる送風機と、送風機の外周側を覆って、送風機によって発生させた空気流が熱交換器(1)を通過するように空気流をガイドするシュラウド(2)と、シュラウド(2)の側辺に組みつけられて熱交換器(1)の側面を覆う平板状の側辺エアガイド(3)とを備える車両用熱交換装置において、シュラウド(2)は、車両前後方向に貫通する開口部(22)を有し、側辺エアガイド(3)は、熱交換器(1)の側面を覆うエアガイド本体部(31)と、エアガイド本体部(31)における車両後方側の端面から車両後方に向かって延びるとともに、開口部(22)に挿入される挿入部(32)と、挿入部(32)と連続して設けられ、下方へと延びる抜け止め部(33)とを有しており、エアガイド本体部(31)、挿入部(32)および抜け止め部(33)は同一平面状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
これによると、側辺エアガイドのエアガイド本体部、挿入部および抜け止め部は同一平面状に形成されているので、側辺エアガイドの型抜き方向に対してアンダーカットとならないような構造とすることができ、したがって、エアガイド成形型のスライドコアを不要にすることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用熱交換装置において、シュラウド(2)は、シュラウド(2)における車両前方側の端面から車両前方に向かって平行に延びる一対のつめ部(23)を有し、一対のつめ部(23)間にエアガイド本体部(31)の一部が挿入されていることを特徴とする。
【0012】
これによると、一対のつめ部によって側辺エアガイドが保持されるため、側辺エアガイドの倒れを防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の車両用熱交換装置において、シュラウド(2)の上辺に組みつけられて熱交換器(1)の上面を覆う上辺エアガイド(4)を備え、上辺エアガイド(4)の両端は側辺エアガイド(3)に係止されていることを特徴とする。
【0014】
これによると、側辺エアガイドの上方向への抜けを規制することができる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る熱交換装置の斜視図、図2は図1の熱交換装置におけるシュラウドを車両前方から見た状態の正面図、図3は図2の右側面図、図4は図2のA部の拡大図、図5は図2のB部の拡大図、図6は図5のC矢視図、図7は図1の熱交換装置における側辺エアガイドを車両前方から見た状態の正面図、図8は図7の右側面図、図9は図8のD部の拡大図、図10は図1のE部の拡大図である。
【0017】
図1に示すように、熱交換装置は、車両の内燃機関(図示せず)を冷却するための冷却水と外気とを熱交換して冷却水を冷却するラジエータ1、ラジエータ1の車両後方側に配置されて空気流を発生させる送風機(図示せず)、送風機の外周側を覆って、送風機によって発生させた空気流がラジエータ1を通過するように空気流をガイドするシュラウド2、シュラウド2の側辺に組みつけられてラジエータ1の側面を覆い、空気流がラジエータ1の側方を通過することを防止する平板状の側辺エアガイド3、シュラウド2の上辺に組みつけられてラジエータ1の上面を覆う上辺エアガイド4等を備えている。なお、冷却水は本発明の熱媒体に相当し、ラジエータ1は本発明の熱交換器に相当する。
【0018】
シュラウド2は、成形型によって樹脂成形されるもので、図2、図3に示すように、送風機の電動機(図示せず)を保持するステー21、開口部22(詳細後述)、つめ部23(詳細後述)等が一体成形されている。
【0019】
開口部22は、シュラウド2の左右の側辺に、それぞれ上下方向にずらして2個所形成されており、車両前後方向すなわちシュラウド2の型抜き方向Fに貫通している。また、開口部22は、図4に示すように、車両幅方向寸法が異なる2つのスリットを組み合わせた形状になっており、上側の案内部221の幅が、下側の溝部222の幅よりも広くなっている。
【0020】
つめ部23は、図2、図3に示すように、シュラウド2の左右の側辺に、それぞれ上下方向にずらして3個所形成されている。また、つめ部23は、図5、図6に示すように、1個所に2つ形成されており、この一対のつめ部23は、シュラウド2における車両前方側の端面から車両前方に向かって平行に延びている。
【0021】
側辺エアガイド3は、成形型によって樹脂成形されるもので、図7、図8に示すように、ラジエータ1の側面を覆うエアガイド本体部31、エアガイド本体部31における車両後方側の端面から車両後方に向かって延びる挿入部32、挿入部32と連続して設けられ、下方へと延びる抜け止め部33等が一体成形されている。
【0022】
また、エアガイド本体部31、挿入部32および抜け止め部33は同一平面状に形成されている。換言すると、エアガイド本体部31、挿入部32および抜け止め部33は、側辺エアガイド3を側辺エアガイド3の型抜き方向Gから見たときにそれらが重ならない位置関係になっている。
【0023】
そして、側辺エアガイド3の挿入部32および抜け止め部33をシュラウド2の開口部22に挿入した後、挿入部32の下端面321が開口部22の下端面223に当接する位置まで側辺エアガイド3を下方にスライドさせることにより、抜け止め部33をシュラウド2に係合させて、側辺エアガイド3をシュラウド2に固定するようになっている。
【0024】
同時に、一対のつめ部23間にエアガイド本体部31の一部を挿入することにより、一対のつめ部23によって側辺エアガイド3を保持して、側辺エアガイド3の倒れを防止するようになっている。
【0025】
ここで、挿入部32および抜け止め部33をシュラウド2の開口部22に挿入し易くするために、開口部22おける案内部221の幅W1は、挿入部32および抜け止め部33の板厚t1よりも充分に大きくなっており、また、案内部221の上下方向の長さL1は、挿入部32および抜け止め部33の上下方向の長さL2よりも長くなっている。
【0026】
そして、側辺エアガイド3をシュラウド2に装着した後、上辺エアガイド4がシュラウド2に装着される。因みに、上辺エアガイド4とシュラウド2は、それらとは別部品の樹脂製のクリップ(図示せず)にて狭持されている。
【0027】
また、上辺エアガイド4をシュラウド2に装着した状態では、図10に示すように、上辺エアガイド4の車両幅方向の端部が側辺エアガイド3に乗るようになっており、これにより、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止するようになっている。
【0028】
上記した本実施形態では、エアガイド本体部31、挿入部32および抜け止め部33は同一平面状に形成されているので、側辺エアガイド3の型抜き方向Gに対してアンダーカットとならないような構造とすることができ、したがって、側辺エアガイド3を成形する型のスライドコアを不要にすることができる。
【0029】
また、一対のつめ部23によって側辺エアガイド3が保持されるため、側辺エアガイド3の倒れを防止することができる。
【0030】
また、上辺エアガイド4が側辺エアガイド3に乗っているため、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できる。
【0031】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図11は第2実施形態に係る熱交換装置の要部の斜視図、図12は図11の熱交換装置における側辺エアガイドおよび上辺エアガイドの要部の分解斜視図である。
【0032】
第1実施形態では、上辺エアガイド4の車両幅方向の端部が側辺エアガイド3に乗っているだけであったが、本実施形態は、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合するようにしたものである。
【0033】
図12に示すように、側辺エアガイド3には、エアガイド本体部31の上端部に突起部34が設けられ、エアガイド本体部31と突起部34との間に溝35が形成されている。同様に、上辺エアガイド4の車両幅方向の端部には、突起部44と溝45が形成されている。そして、図11に示すように、側辺エアガイド3の溝35と上辺エアガイド4の溝45を嵌合させて、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合させている。
【0034】
本実施形態では、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合させているため、車両振動等により側辺エアガイド3と上辺エアガイド4がぶつかって異音が発生するのを防止できるとともに、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できる。
【0035】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。図13は第3実施形態に係る熱交換装置における側辺エアガイドの要部の側面図、図14は第3実施形態に係る熱交換装置における上辺エアガイドの要部の斜視図、図15は第3実施形態に係る熱交換装置における上辺エアガイドと側辺エアガイドの結合部を示す正面図である。
【0036】
本実施形態は、第2実施形態と同様に、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合するようにしたものである。
【0037】
図13に示すように、側辺エアガイド3には、エアガイド本体部31の上端部近傍に矩形の穴36が形成されている。この穴36は、側辺エアガイド3の型抜き方向Gに貫通している。
【0038】
図14に示すように、上辺エアガイド4の車両幅方向の端部には、側辺エアガイド3の穴36に挿入可能なつめ46が突出して形成されている。
【0039】
そして、図15に示すように、側辺エアガイド3の穴36に上辺エアガイド4のつめ46を嵌合させて、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合させている。
【0040】
本実施形態では、側辺エアガイド3と上辺エアガイド4とを結合させているため、車両振動等により側辺エアガイド3と上辺エアガイド4がぶつかって異音が発生するのを防止できるとともに、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できる。
【0041】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。図16(a)は第4実施形態に係る熱交換装置におけるシュラウドの要部の正面図、図16(b)は図16(a)の左側面図、図17は第4実施形態に係る熱交換装置におけるシュラウドと側辺エアガイドの組み付け部を示す正面図である。
【0042】
上記各実施形態では、上辺エアガイド4によって、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止したが、本実施形態は、上辺エアガイド4を備えない熱交換装置においても、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できるようにしたものである。
【0043】
図16に示すように、シュラウド2の左右の側辺には、シュラウド2における車両前方側の端面から車両前方に向かって延びる突起24が形成されている。
【0044】
図17に示すように、側辺エアガイド3には、エアガイド本体部31の一部を屈曲させて、シュラウド2の突起24と係合可能な凹部37が形成されている。
【0045】
そして、側辺エアガイド3は樹脂の薄板で容易に弾性変形可能であるため、側辺エアガイド3をシュラウド2に装着する際に凹部37近傍が弾性変形して、シュラウド2の突起24と側辺エアガイド3の凹部37が係合する。
【0046】
本実施形態では、シュラウド2の突起24と側辺エアガイド3の凹部37を係合させているため、側辺エアガイド3が上に抜けるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱交換装置の斜視図である。
【図2】図1の熱交換装置におけるシュラウドを車両前方から見た状態の正面図である。
【図3】図2の右側面図である。
【図4】図2のA部の拡大図である。
【図5】図2のB部の拡大図である。
【図6】図5のC矢視図である。
【図7】図1の熱交換装置における側辺エアガイドを車両前方から見た状態の正面図である。
【図8】図7の右側面図である。
【図9】図8のD部の拡大図である。
【図10】図1のE部の拡大図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る熱交換装置の要部の斜視図である。
【図12】図11の熱交換装置における側辺エアガイドおよび上辺エアガイドの要部の分解斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る熱交換装置における側辺エアガイドの要部の側面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る熱交換装置における上辺エアガイドの要部の斜視図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る熱交換装置における上辺エアガイドと側辺エアガイドの結合部を示す正面図である。
【図16】(a)は本発明の第4実施形態に係る熱交換装置におけるシュラウドの要部の正面図、(b)は(a)の左側面図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係る熱交換装置におけるシュラウドと側辺エアガイドの組み付け部を示す正面図である。
【図18】従来の熱交換装置の要部を示す分解斜視図である。
【図19】図18の熱交換装置におけるエアガイドとシュラウドの嵌合部を示す断面図である。
【図20】他の従来例のエアガイドとシュラウドの嵌合部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…熱交換器、2…シュラウド、3…側辺エアガイド、22…開口部、31…エアガイド本体部、32…挿入部、33…抜け止め部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体と外気とを熱交換して熱媒体を冷却する熱交換器(1)と、
前記熱交換器(1)の車両後方側に配置されて空気流を発生させる送風機と、
前記送風機の外周側を覆って、前記送風機によって発生させた空気流が前記熱交換器(1)を通過するように空気流をガイドするシュラウド(2)と、
前記シュラウド(2)の側辺に組みつけられて前記熱交換器(1)の側面を覆う平板状の側辺エアガイド(3)とを備える車両用熱交換装置において、
前記シュラウド(2)は、車両前後方向に貫通する開口部(22)を有し、
前記側辺エアガイド(3)は、前記熱交換器(1)の側面を覆うエアガイド本体部(31)と、前記エアガイド本体部(31)における車両後方側の端面から車両後方に向かって延びるとともに、前記開口部(22)に挿入される挿入部(32)と、前記挿入部(32)と連続して設けられ、下方へと延びる抜け止め部(33)とを有しており、前記エアガイド本体部(31)、前記挿入部(32)および前記抜け止め部(33)は同一平面状に形成されていることを特徴とする車両用熱交換装置。
【請求項2】
前記シュラウド(2)は、前記シュラウド(2)における車両前方側の端面から車両前方に向かって平行に延びる一対のつめ部(23)を有し、前記一対のつめ部(23)間に前記エアガイド本体部(31)の一部が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱交換装置。
【請求項3】
前記シュラウド(2)の上辺に組みつけられて前記熱交換器(1)の上面を覆う上辺エアガイド(4)を備え、前記上辺エアガイド(4)の両端は前記側辺エアガイド(3)に係止されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用熱交換装置。
【請求項1】
熱媒体と外気とを熱交換して熱媒体を冷却する熱交換器(1)と、
前記熱交換器(1)の車両後方側に配置されて空気流を発生させる送風機と、
前記送風機の外周側を覆って、前記送風機によって発生させた空気流が前記熱交換器(1)を通過するように空気流をガイドするシュラウド(2)と、
前記シュラウド(2)の側辺に組みつけられて前記熱交換器(1)の側面を覆う平板状の側辺エアガイド(3)とを備える車両用熱交換装置において、
前記シュラウド(2)は、車両前後方向に貫通する開口部(22)を有し、
前記側辺エアガイド(3)は、前記熱交換器(1)の側面を覆うエアガイド本体部(31)と、前記エアガイド本体部(31)における車両後方側の端面から車両後方に向かって延びるとともに、前記開口部(22)に挿入される挿入部(32)と、前記挿入部(32)と連続して設けられ、下方へと延びる抜け止め部(33)とを有しており、前記エアガイド本体部(31)、前記挿入部(32)および前記抜け止め部(33)は同一平面状に形成されていることを特徴とする車両用熱交換装置。
【請求項2】
前記シュラウド(2)は、前記シュラウド(2)における車両前方側の端面から車両前方に向かって平行に延びる一対のつめ部(23)を有し、前記一対のつめ部(23)間に前記エアガイド本体部(31)の一部が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱交換装置。
【請求項3】
前記シュラウド(2)の上辺に組みつけられて前記熱交換器(1)の上面を覆う上辺エアガイド(4)を備え、前記上辺エアガイド(4)の両端は前記側辺エアガイド(3)に係止されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用熱交換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−131135(P2006−131135A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323471(P2004−323471)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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