車両用白線認識装置
【課題】遠方で左右の白線候補点が入り交じった状態においても各候補点を左右に正しく分離することができ、遠方まで白線を精度よく認識することができる車両用白線認識装置を提供する。
【解決手段】ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域A毎に、互いに隣接する白線候補点Pdの連続性を順次判定し、予め設定された連続性を有して所定数以上連続する白線候補点の点群を第1のグループとしてグループ化し、グループ化された白線候補点のみを用いて仮白線近似線Ltを演算する。そして、左右の仮白線近似線Ltを基準とする候補点選定領域Asをそれぞれ設定し、左右の白線検出領域Aで検出した全ての白線候補点Pdの中から各候補点選定呂域As内に存在する白線候補点Pdを最終的な白線候補点Pとしてそれぞれ選定する。
【解決手段】ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域A毎に、互いに隣接する白線候補点Pdの連続性を順次判定し、予め設定された連続性を有して所定数以上連続する白線候補点の点群を第1のグループとしてグループ化し、グループ化された白線候補点のみを用いて仮白線近似線Ltを演算する。そして、左右の仮白線近似線Ltを基準とする候補点選定領域Asをそれぞれ設定し、左右の白線検出領域Aで検出した全ての白線候補点Pdの中から各候補点選定呂域As内に存在する白線候補点Pdを最終的な白線候補点Pとしてそれぞれ選定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラで撮像した画像に基づいて白線を認識する車両用白線認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の安全性の向上を図るため、積極的にドライバの運転操作を支援する運転支援装置が開発されている。この運転支援装置では、一般に、車線逸脱防止機能等を実現するため、自車前方の撮像画像等に基づいて白線認識が行われ、認識した白線に基づいて自車走行レーンの推定等が行われる。この種の白線認識の技術として、例えば、特許文献1には、自車両の前方を撮像した画像上を水平方向に延びるライン毎に検索して輝度値及び輝度微分値についてそれぞれ設定された閾値以上である画素を車線候補点(白線候補点)として検出し、検索により検出された複数の白線候補点に基づいて車線(白線)位置を検出する技術が開示されている。
【0003】
ところで、自車走行路上の遠方に曲率の大きなカーブが存在する場合、自車走行路の左右の白線は、画像上では遠方の領域が限りなく近接する位置に撮像される場合がある。このような場合、画像上の遠方においては、左右の白線に対する検索領域が互いに重畳されて白線候補点が左右入り交じった状態で検出される場合がある。すなわち、例えば、本来なら左側のものとして検出されるべき白線候補点が右側のものとして検出されたり、右側のものとして検出されるべき白線候補点が左側のものとして検出される等の虞がある。そして、これら左右の白線候補点が的確に分離されないままの状態で白線認識を行った場合、算出された白線形状(曲率、傾き等)のパラメータに大きな誤差が生ずる虞がある。
【0004】
これに対処し、例えば、特許文献2には、撮像面上に投影した左右レーン境界位置の推定範囲が重なる場合、この重なった範囲内の線分は左右のレーン境界のどちらであるか判定困難であると判断して、当該部分のエッジ(白線候補点)線分はレーン境界候補として採用しない技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−264955号公報
【特許文献2】特許第3288566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献2に開示された技術のように白線候補点を削除すると、例えば、高速道路のジャンクション等のような曲率の大きいカーブでは、自車に対して比較的近距離においても白線候補点を棄却することとなり、好適な運転支援を実現することが困難となる虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、遠方で左右の白線候補点が入り交じった状態においても各候補点を左右に正しく分離することができ、遠方まで白線を精度よく認識することができる車両用白線認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による車両用白線認識装置は、自車走行路を撮像した画像上に設定した左右の各白線検出領域内で水平方向に延在する検索ライン毎に車幅方向の輝度変化を調べ、輝度が暗から明に所定以上変化するエッジ点をそれぞれ白線候補点として検出する候補点検出手段と、左右の前記白線検出領域毎に、互いに隣接する前記白線候補点の連続性を順次判定し、予め設定された連続性を有して所定数以上連続する前記白線候補点の点群をそれぞれグループ化するグループ化手段と、左右の前記白線検出領域毎に、グループ化された前記白線候補点のみを用いて仮白線近似線を演算する仮白線近似線演算手段と、左右の前記仮白線近似線を基準とする候補点選定領域をそれぞれ設定し、左右の前記白線検出領域で検出した全ての前記白線候補点の中から前記各候補点選定領域内に存在する前記白線候補点をそれぞれ選定する候補点選定手段と、左右の前記各候補点選定領域内で選定した前記白線候補点を用いて左右の白線近似線をそれぞれ演算する白線近似線演算手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用白線認識装置によれば、遠方で左右の白線候補点が入り交じった状態においても各候補点を左右に正しく分離することができ、遠方まで白線を精度よく認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両用運転支援装置の概略構成図
【図2】白線認識ルーチンを示すフローチャート
【図3】白線候補点のグループ化処理サブルーチンを示すフローチャート
【図4】車外環境の撮像画像の一例を模式的に示す説明図
【図5】図4の画像から検出される白線候補点を示す説明図
【図6】検索ライン上における輝度の変化の一例を示す説明図
【図7】自車走行路が急カーブしている場合の遠方での左右の白線と右側の白線検出領域との関係を示す説明図
【図8】撮像画像上の画素に基づく連続性の判定方法を示す説明図
【図9】実空間に投影された白線候補点の一例を示す説明図
【図10】グループ化された白線候補点の一例を示す説明図
【図11】仮白線近似線及び候補点選定領域を示す説明図
【図12】選定した白線候補点を用いて演算された白線近似線及び次フレームで用いる白線検出領域を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1は車両用運転支援装置の概略構成図、図2は白線認識ルーチンを示すフローチャート、図3は白線候補点のグループ化処理サブルーチンを示すフローチャート、図4は車外環境の撮像画像の一例を模式的に示す説明図、図5は図4の画像から検出される白線候補点を示す説明図、図6は検索ライン上における輝度の変化の一例を示す説明図、図7は自車走行路が急カーブしている場合の遠方での左右の白線と右側の白線検出領域との関係を示す説明図、図8は撮像画像上の画素に基づく連続性の判定方法を示す説明図、図9は実空間に投影された白線候補点の一例を示す説明図、図10はグループ化された白線候補点の一例を示す説明図、図11は仮白線近似線及び候補点選定領域を示す説明図、図12は選定した白線候補点を用いて演算された白線近似線及び次フレームで用いる白線検出領域を示す説明図である。
【0012】
図1において、符号1は自動車等の車両(自車両)であり、この車両1には運転支援装置2が搭載されている、この運転支援装置2は、例えば、ステレオカメラ3、ステレオ画像認識装置4、制御ユニット5等を有して要部が構成されている。
【0013】
また、自車両1には、自車速Vを検出する車速センサ11、ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ12、運転支援制御の各機能のON−OFF切換等を行うメインスイッチ13、ステアリングホイールに連結するステアリング軸に対設されて舵角θstを検出する舵角センサ14、ドライバによるアクセルペダル踏込量(アクセル開度)θaccを検出するアクセル開度センサ15等が設けられている。
【0014】
ステレオカメラ3は、ステレオ光学系として、例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた1組のCCDカメラで構成されている。これら左右のCCDカメラは、ぞれぞれ車室内の天井前方に一定の間隔を持って取り付けられ、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像し、画像データをステレオ画像認識装置4に出力する。なお、以下の説明において、ステレオ撮像された画像のうち一方の画像(例えば、右側の画像)を基準画像と称し、他方の画像(例えば、左側の画像)を比較画像と称する。
【0015】
ステレオ画像認識装置4は、先ず、基準画像を例えば4×4画素の小領域に分割し、それぞれの小領域の輝度或いは色のパターンを比較画像と比較して対応する領域を見つけ出し、基準画像全体に渡る距離分布を求める。さらに、ステレオ画像認識装置4は、基準画像上の各画素について隣接する画素との輝度差を調べ、これらの輝度差が閾値を超えているものをエッジ点として抽出するとともに、抽出した画素(エッジ点)に距離情報を付与することで、距離画像(距離情報を備えたエッジ点の分布画像)を生成する。そして、ステレオ画像認識装置4は、生成した距離画像に対して周知のグルーピング処理を行い、予め記憶しておいた3次元的な枠(ウインドウ)と比較することで、自車前方の白線、側壁、立体物等を認識する。
【0016】
ここで、本実施形態において認識対象となる白線とは、例えば、単一の車線区画線や車線区画線の内側に視線誘導線等が併設された多重線(二重線等)のように、道路上に延在して自車走行レーンを区画する線を総称するものであり、各線の形態としては、実線、破線等を問わず、更に、黄色線等をも含む。また、本実施形態の白線認識においては、道路上に実在する白線が二重白線等であっても、左右それぞれ単一の直線或いは曲線等で近似して認識するものとする。
【0017】
ところで、実際の道路上に敷設された白線には上述のように各種バリエーションが存在する他、白線の形態は走行路の分岐や合流等に伴って変化する。加えて、道路上には路面補修跡や、水溜まり、雪等の各種ノイズが存在する。従って、画一的な処理によって、全ての場面で精度よく白線を認識することは困難となる。そこで、ステレオ画像認識装置4は、上述のような距離画像に基づくパターンマッチングを用いた白線認識のみに頼ることなく、各種方式を用いた白線認識を補完的に行い、これらの認識結果を総合的に判断して最終的な白線を認識する。
【0018】
このような白線認識の一つとして、ステレオ画像認識装置4は、自車前方を撮像した一方の画像(例えば、図4に示す基準画像)上の水平方向の輝度変化に基づいて左右の白線認識を行う。具体的に説明すると、例えば、図5に示すように、ステレオ画像認識装置4は、画像上に左右の白線検出領域A(Al,Ar)を設定し、各白線検出領域A内で水平方向に延在する複数の検索ラインlに対し、検索ラインl毎に車幅方向内側から外側に向けて輝度変化を調べる。そして、ステレオ画像認識装置4は、各白線検出領域A内の各検索ラインl上において、輝度が暗から明に所定以上変化する最初のエッジ点を白線候補点Pd(Pdl,Pdr)としてそれぞれ検出する。
【0019】
ここで、自車走行路上の遠方に曲率の大きなカーブが存在する場合、左右の白線検出領域Al,Arが画像上で重畳され、例えば、図7に示すように、一方の白線検出領域A(図示の例では、右側の白線検出領域Al)内に左右の白線が含まれる場合がある。このような場合、本実施形態のように車幅方向内側から外側に向けての輝度変化を調べると、他方の白線のエッジ点が一方の白線の白線候補点Pdとして誤検出される場合がある。そこで、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域Al,Ar内で検出された各白線候補点Pdl,Pdrの中から、真に左右の各白線をそれぞれ示す白線候補点P(Pl,Pr)の選定を行い、選定した白線候補点Pに基づいて白線近似線Lを演算する。
【0020】
具体的に説明すると、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域A毎に、互いに隣接する白線候補点Pdの連続性を、手前側(自車側)から遠方側へと向けて順次判定する。そして、ステレオ画像認識装置4は、予め設定された連続性を有して設定数以上連続する白線候補点Pdの点群が存在する場合には当該点群を第1のグループとしてグループ化し、連続性を有する白線候補点Pdの数が設定数未満の場合には当該点群を第2のグループとしてグループ化する(図10参照)。ここで、本実施形態において、ステレオ画像認識装置4は、白線候補点Pdのグループ化に際し、距離画像上の距離情報等に基づいて各白線候補点Pdの実空間上への投影を行う(図9参照)。そして、ステレオ画像認識装置4は、例えば、撮像画像上で隣接する各白線候補点Pd間の画素単位の誤差量、及び、実空間上で隣接する白線候補点Pd間の距離の誤差量に基づいて各白線候補点Pd間の連続性を総合的に判断する。
【0021】
全ての白線候補点Pdについてのグループ化処理が行われると、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域A毎に、第1のグループとしてグループ化された白線候補点Pdのみを用いて仮の白線近似線(仮白線近似線)Lt(Ltl,Ltr)を演算する(図11参照)。すなわち、第1のグループとしてグループ化された各白線候補点Pdは、所定の連続性を有しているため、左右の各白線をぞれぞれ示すものとして信頼性が高い。そこで、ステレオ画像認識装置4は、これら信頼性の高い白線候補点のみを用いて、仮白線近似線Ltを演算することにより、実際の白線形状から大きく逸脱することのない、白線の概略形状を把握する。
【0022】
そして、ステレオ画像認識装置4は、左右の仮白線近似線Ltを基準とする各候補点選定領域As(Asl,Asr)をそれぞれ設定し、左右の白線検出領域内Al,Ar内で検出した全ての白線候補点Pdの中から各候補点選定領域As内に存在する白線候補点Pdを、左右の各白線についての最終的な白線候補点P(Pl,Pr)としてそれぞれ選定する。
【0023】
そして、ステレオ画像認識装置4は、左右の各候補点選定領域As内で選定した白線候補点Pを用いて最終的な左右の白線近似線L(Ll,Lr)をそれぞれ演算するとともに、演算した各白線近似線Lに基づいて次フレームでの白線検出領域Aを設定する(図12参照)。
【0024】
このように、本実施形態において、ステレオ画像認識装置4は、候補点検出手段、グループ化手段、仮白線近似線演算手段、候補点選定手段、及び、白線近似線演算手段としての各機能を実現する。
【0025】
なお、ステレオ画像認識装置4は、その他の種々の方法によって白線認識を行うことが可能となっている。そして、ステレオ画像認識装置4は、例えば、各白線認識において認識した白線の近似線と当該認識に用いられたエッジ点等の白線候補点との関係(例えば、近似線に対する白線候補点の分散等)に基づき、認識した各近似線の中から最も適切な近似線を選択し、当該近似線を最終的な白線の近似線として制御ユニット5に出力する。
【0026】
制御ユニット5には、ステレオ画像認識装置4で認識された自車両1前方の走行環境情報が入力される。さらに、制御ユニット5には、自車両1の走行情報として、車速センサ11からの車速V、ヨーレートセンサ12からのヨーレートγ等が入力されると共に、ドライバによる操作入力情報として、メインスイッチ13からの操作信号、舵角センサ14からの舵角θst、アクセル開度センサ15からのアクセル開度θacc等が入力される。
【0027】
そして、例えば、ドライバによるメインスイッチ13の操作を通じて、運転支援制御の機能の1つであるACC(Adaptive Cruise Control)機能の実行が指示されると、制御ユニット5は、ステレオ画像認識装置4で認識した先行車方向を読み込み、自車走行路上に追従対象の先行車が走行しているか否かを識別する。
【0028】
その結果、追従対象の先行車が検出されていない場合は、スロットル弁16の開閉制御(エンジンの出力制御)を通じて、ドライバが設定したセット車速に自車両1の車速Vを維持させる定速走行制御を実行する。
【0029】
一方、追従対象車両である先行車が検出され、且つ、当該先行車の車速がセット車速以下の場合は、先行車との車間距離を目標車間距離に収束させた状態で追従する追従走行制御が実行される。この追従走行制御時において、制御ユニット5は、基本的にはスロットル弁16の開閉制御(エンジンの出力制御)を通じて、先行車との車間距離を目標車間距離に収束させる。さらに、先行車の急な減速等によりスロットル弁16の制御のみでは十分な減速度が得られないと判断した場合、制御ユニット5は、アクティブブースタ17からの出力液圧の制御(ブレーキの自動介入制御)を併用し、車間距離を目標車間距離に収束させる。
【0030】
また、ドライバによるメインスイッチ13の操作を通じて、運転支援制御の機能の1つである車線逸脱防止機能の実行が指示されると、制御ユニット5は、例えば、自車走行レーンを規定する左右の白線(ステレオ画像認識装置4で認識した白線の近似線)に基づいて警報判定用ラインを設定するとともに、自車両1の車速Vとヨーレートγとに基づいて自車進行経路を推定する。そして、制御ユニット5は、例えば、自車前方の設定距離(例えば、10〜16[m])内において、自車進行経路が左右何れかの警報判定用ラインを横切っていると判定した場合、自車両1が現在の自車走行車線を逸脱する可能性が高いと判定し、車線逸脱警報を行う。
【0031】
次に、ステレオ画像認識装置4において実行される、基準画像上の輝度変化に基づく白線認識について、図2に示す白線認識ルーチンのフローチャートに従って説明する。なお、本ルーチンによる処理は、左右の白線検出領域Al,Arそれぞれに対して同様の処理が個別に行われるものであるが、説明を簡略化するため、以下の説明において特に必要な場合を除き、例えば白線検出領域Al,Arを総称して白線検出領域Aと標記する等、左右の属性を示す添字”l”及び”r”を適宜省略して説明する。
【0032】
このルーチンがスタートすると、ステレオ画像認識装置4は、先ず、ステップS101において、前フレームの画像に対するステップS107の処理で設定された白線検出領域A内の各検索ラインl毎に白線候補点Pdの検出を行う。具体的には、例えば、図6に示すように、ステレオ画像認識装置4は、車幅方向内側から外側に向けて、各検索ラインl上でのエッジ検出を行い、車幅方向外側の画素の輝度が内側の画素の輝度に対して相対的に高く、且つ、その変化量を示す輝度の微分値がプラス側の設定閾値以上となる点(エッジ点)を検出する。そして、ステレオ画像認識装置4は、白線検出領域A内の各検索ラインl上において、最初に検出されたエッジ点を白線候補点Pdとして抽出する(図5,7参照)。なお、図5,7においては、説明を簡略化するため、検索ラインl及び白線候補点Pd等が所定に間引かれて表示されている。
【0033】
続くステップS102において、ステレオ画像認識装置4は、ステップS101で検出した各白線候補点Pdを、距離画像上で該当する画素の距離情報、及び、基準画像上で該当する画素の水平方法の画素位置等に基づいて、実空間上に投影する(図9参照)。
【0034】
そして、ステップS102からステップS103に進むと、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域Alで検出された白線候補点Pd毎に、白線候補点Pdのグループ化処理を行う。
【0035】
このグループ化処理は、例えば、図3に示す白線候補点のグループ化処理サブルーチンに従って行われる。サブルーチンがスタートすると、ステレオ画像認識装置4は、先ず、ステップS201において、現時点でグループ化されていない白線候補点Pdの中で最も自車1側に位置する白線候補点Pdを抽出し、抽出した白線候補点Pdを最初の白線候補点Pdとして組み込んだ新たなグループを作成する。
【0036】
そして、ステップS201からステップS202に進むと、ステレオ画像認識装置4は、現在グループ内に組み込まれている最後尾の白線候補点Pdよりも遠方に白線候補点(次の白線候補点)Pdが存在するか否かを調べる。
【0037】
そして、ステップS202において、次の白線候補点Pdが存在すると判定すると、ステレオ画像認識装置4は、ステップS203に進み、当該次の白線候補点Pdを注目する白線候補点Pd(n)とする従前の白線候補点Pdとの比較により、画素に基づく誤差判定を行う。すなわち、ステレオ画像認識装置4は、例えば、図8に示すように、注目する白線候補点Pd(n)と、1つ手前の白線候補点Pd(n−1)との画像上における水平方向(i方向)及び垂直方向(j方向)の画素のずれ量(水平方向誤差Δi、及び、垂直方向誤差Δj)を演算する。さらに、ステレオ画像認識装置4は、1つ手前の白線候補点Pd(n−1)と、2つ手前の白線候補点Pd(n−2)との画像上における水平方向誤差Δi_old、及び、垂直方向誤差Δj_oldを演算し、以下の(1)式を用いて、水平方向誤差変化量Δsを演算する。
Δs=(Δi/Δj)−(Δi_old/Δj_old) …(1)
そして、ステレオ画像認識装置4は、水平方向誤差Δi、垂直方向誤差Δj、及び、水平方向誤差変化量Δsの全てが予め設定された閾値内である場合、白線候補点Pd(n)は1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して画像上における連続性を有すると判断する。一方、水平方向誤差Δi、垂直方向誤差Δj、或いは、水平方向誤差変化量Δsの少なくとも何れか1つが予め設定された閾値内にない場合、白線候補点Pd(n)は1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して画像上における連続性を有さないと判断する。
【0038】
ステップS203からステップS204に進むと、ステレオ画像認識装置4は、注目する白線候補点Pd(n)と従前の白線候補点Pdとの距離に基づく誤差判定を行う。すなわち、ステレオ画像認識装置4は、注目する白線候補点Pd(n)と1つ手前の白線候補点Pd(n−1)との実空間上における水平方向(X方向)と垂直方向(Z方向)の距離のずれ量(水平方向距離誤差ΔX、及び、垂直方向距離誤差ΔZ)を演算する。
【0039】
そして、ステレオ画像認識装置4は、水平方向距離誤差ΔX、及び、垂直方向距離誤差ΔZの全てが予め設定された閾値内である場合、白線候補点Pd(n)は1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して実空間距離上における連続性を有すると判断する。一方、水平方向距離誤差ΔX、或いは、垂直方向距離誤差ΔZの少なくとも何れか1つが予め設定された閾値内にない場合、白線候補点Pd(n)は1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して実空間距離上における連続性を有さないと判断する。
【0040】
ステップS204からステップS205に進むと、ステレオ画像認識装置4は、ステップS203の画素に基づく誤差判定、及び、ステップS204の距離の基づく誤差判定の何れもにおいて、注目する白線候補点Pd(n)が1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して連続性を有すると判定されたか否かを調べる。
【0041】
そして、ステップS203或いはステップS204の少なくとも何れか一方において白線候補点Pd(n)が白線候補点Pd(n−1)に対して連続性なしと判定されている場合、ステレオ画像認識装置4は、現在の注目する白線候補点Pd(n)を現在のグループに組み込むことなくステップS205からステップS206に進み、現在のグループを第1のグループ或いは第2のグループの何れかに分類した後、ステップS201に戻る。すなわち、ステップS206において、ステレオ画像認識装置4は、現在のグループに属する白線候補点Pdの数が予め設定された閾値以上である場合、各白線候補点Pdは現在認識対象として注目している白線(自車1の右側の白線、或いは、左側の白線)を示すものである可能性が高いと判断して、当該グループを第1のグループに分類する。一方、現在のグループに属する白線候補点Pdの数が予め設定された閾値未満である場合、各白線候補点Pdは現在認識対象として注目している白線を示すものと判定するには不十分であると判断して、当該グループを第2のグループに分類する(図10参照)。
【0042】
一方、ステップS203及びステップS204の何れにおいても白線候補点Pd(n)が白線候補点Pd(n−1)に対して連続性ありと判定されている場合、ステレオ画像認識装置4は、現在の注目する白線候補点Pd(n)を現在のグループに取り込んだ後、ステップS205からステップS202に戻る。
【0043】
また、ステップS202において、次の白線候補点Pdが存在しないと判定すると、ステレオ画像認識装置4は、ステップS207に進み、上述のステップS206と同様の処理により、現在のグループを第1のグループ或いは第2のグループの何れかに分類した後、サブルーチンを抜ける。
【0044】
図2のメインルーチンにおいて、ステップS103からステップS104に進むと、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域A毎に、ステップS103で第1のグループとしてグループ化された白線候補点Pdのみを用いて仮白線近似線Ltを演算する(図11参照)。ここで、本実施形態の仮白線近似線Ltは、以下の(2)式に示すように、車両1に対する鉛直方向Z距離に対し、a,b,cの各パラメータによって白線の車両水平方向距離Xが同定されるものである。
X=aZ2+bZ+c …(2)
ここで、(2)式に示す仮白線近似線Ltのパラメータa,b,cは、例えば、第1のグループに属する白線候補点Pdを用いた最小二乗法によって求めることが可能であり、各パラメータa,b,cは、仮白線近似線Ltに対する各白線候補点Pdの分散が最小となる値に決定される。なお、(2)式においては、便宜上、パラメータを左右共通の記号a,b,cで表記しているが、これらは、左右の仮白線近似線Ltl,Ltrについて個別に設定されるものであることは云うまでもない。
【0045】
続くステップS105において、ステレオ画像認識装置4は、ステップS104で演算した仮近似曲線Ltに基づき、左右の各白線についての最終的な白線候補点Pdの選定を行う。すなわち、ステレオ画像認識装置4は、ステップS104で求めた仮白線近似線Ltを車幅方向内側及び外側にそれぞれΔEオフセットさせることにより、以下の(3)式及び(4)式で規定される候補点選定領域Asを設定する(図11参照)。
X1=aZ2+bZ+c−ΔE …(3)
X2=aZ2+bZ+c+ΔE …(4)
そして、ステレオ画像認識装置4は、左右の各白線検出領域Al,Arで検出された全ての白線候補点Pdl,Pdrの中から、左側の候補点選定領域Asl内に存在する白線候補点Pdl及びPdrを、左側の白線についての最終的な白線候補点Plとして選定すると共に、右側の候補点選定領域Asr内に存在する白線候補点Pdl及びPdrを、右側の白線についての最終的な白線候補点Prとして選定する(図12参照)。
【0046】
続くステップS106において、ステレオ画像認識装置4は、左右の各候補点選定領域Asで選定した白線候補点Pを用いて左右の白線近似線Lをそれぞれ演算する(図12参照)。ここで、本実施形態の白線近似線Lは、上述の仮白線近似線Ltと同様、以下の(5)式に示すように、車両1に対する鉛直方向Z距離に対し、A,B,Cの各パラメータによって白線の車両水平方向距離Xが同定されるものである。
X=AZ2+BZ+C …(5)
ここで、(2)式に示す仮白線近似線LtのパラメータA,B,Cは、例えば、最終的な白線候補点Pを用いた最小二乗法によって求めることが可能であり、各パラメータA,B,Cは、白線近似線Lに対する各白線候補点Pの分散が最小となる値に決定される。なお、(5)式においては、便宜上、パラメータを左右共通の記号A,B,Cで表記しているが、これらは、左右の仮白線近似線Ltl,Ltrについて個別に設定されるものであることは云うまでもない。
【0047】
そして、ステップS107に進むと、ステレオ画像認識装置4は、ステップS106で演算した白線近似線Lを車幅方向内側及び外側にそれぞれΔEオフセットされることにより、以下の(6)式及び(7)式で規定される次フレームでの白線検出領域Aを設定した後(図12参照)、ルーチンを抜ける。
X1=AZ2+BZ+C−ΔE …(6)
X2=AZ2+BZ+C+ΔE …(7)
このような実施形態によれば、左右の白線検出領域A毎に、互いに隣接する白線候補点Pdの連続性を順次判定し、予め設定された連続性を有して所定数以上連続する白線候補点の点群を第1のグループとしてグループ化し、グループ化された白線候補点のみを用いて仮白線近似線Ltを演算することにより、左右の各白線をそれぞれ示すものとして信頼性の高い白線候補点Pdのみを用いて、実際の白線形状から大きく逸脱することのない白線形状を把握することができる。そして、左右の仮白線近似線Ltを基準とする候補点選定領域Asをそれぞれ設定し、左右の白線検出領域Aで検出した全ての白線候補点Pdの中から各候補点選定呂域As内に存在する白線候補点Pdを最終的な白線候補点Pとしてそれぞれ選定することにより、左右の白線候補点Pdが入り交じって検出された場合にも、これらを精度よく分離することができる。そして、このように精度よく左右に分離した白線候補点Pに基づいて白線近似線Lをそれぞれ演算することにより、自車走行路前方にカーブが存在する場合にも白線を遠方まで精度よく認識することができる。
【0048】
その際、連続性の判定を、白線候補点Pdの検出精度の高い自車1の手前側から遠方側に向けて順次行うことにより、精度のよい判定結果を得ることができる。
【0049】
なお、上述の実施形態においては、ステレオカメラを用いて各画素の距離情報を演算する一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、自車走行路が平坦路であると仮定して、単眼のカメラで捉えた画像から各白線候補点の距離情報を演算することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 … 車両(自車両)
2 … 運転支援装置
3 … ステレオカメラ
4 … ステレオ画像認識装置(候補点検出手段、グループ化手段、仮白線近似線演算手段、候補点選定手段、白線近似線演算手段)
5 … 制御ユニット
11 … 車速センサ
12 … ヨーレートセンサ
13 … メインスイッチ
14 … 舵角センサ
15 … アクセル開度センサ
16 … スロットル弁
17 … アクティブブースタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラで撮像した画像に基づいて白線を認識する車両用白線認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の安全性の向上を図るため、積極的にドライバの運転操作を支援する運転支援装置が開発されている。この運転支援装置では、一般に、車線逸脱防止機能等を実現するため、自車前方の撮像画像等に基づいて白線認識が行われ、認識した白線に基づいて自車走行レーンの推定等が行われる。この種の白線認識の技術として、例えば、特許文献1には、自車両の前方を撮像した画像上を水平方向に延びるライン毎に検索して輝度値及び輝度微分値についてそれぞれ設定された閾値以上である画素を車線候補点(白線候補点)として検出し、検索により検出された複数の白線候補点に基づいて車線(白線)位置を検出する技術が開示されている。
【0003】
ところで、自車走行路上の遠方に曲率の大きなカーブが存在する場合、自車走行路の左右の白線は、画像上では遠方の領域が限りなく近接する位置に撮像される場合がある。このような場合、画像上の遠方においては、左右の白線に対する検索領域が互いに重畳されて白線候補点が左右入り交じった状態で検出される場合がある。すなわち、例えば、本来なら左側のものとして検出されるべき白線候補点が右側のものとして検出されたり、右側のものとして検出されるべき白線候補点が左側のものとして検出される等の虞がある。そして、これら左右の白線候補点が的確に分離されないままの状態で白線認識を行った場合、算出された白線形状(曲率、傾き等)のパラメータに大きな誤差が生ずる虞がある。
【0004】
これに対処し、例えば、特許文献2には、撮像面上に投影した左右レーン境界位置の推定範囲が重なる場合、この重なった範囲内の線分は左右のレーン境界のどちらであるか判定困難であると判断して、当該部分のエッジ(白線候補点)線分はレーン境界候補として採用しない技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−264955号公報
【特許文献2】特許第3288566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献2に開示された技術のように白線候補点を削除すると、例えば、高速道路のジャンクション等のような曲率の大きいカーブでは、自車に対して比較的近距離においても白線候補点を棄却することとなり、好適な運転支援を実現することが困難となる虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、遠方で左右の白線候補点が入り交じった状態においても各候補点を左右に正しく分離することができ、遠方まで白線を精度よく認識することができる車両用白線認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による車両用白線認識装置は、自車走行路を撮像した画像上に設定した左右の各白線検出領域内で水平方向に延在する検索ライン毎に車幅方向の輝度変化を調べ、輝度が暗から明に所定以上変化するエッジ点をそれぞれ白線候補点として検出する候補点検出手段と、左右の前記白線検出領域毎に、互いに隣接する前記白線候補点の連続性を順次判定し、予め設定された連続性を有して所定数以上連続する前記白線候補点の点群をそれぞれグループ化するグループ化手段と、左右の前記白線検出領域毎に、グループ化された前記白線候補点のみを用いて仮白線近似線を演算する仮白線近似線演算手段と、左右の前記仮白線近似線を基準とする候補点選定領域をそれぞれ設定し、左右の前記白線検出領域で検出した全ての前記白線候補点の中から前記各候補点選定領域内に存在する前記白線候補点をそれぞれ選定する候補点選定手段と、左右の前記各候補点選定領域内で選定した前記白線候補点を用いて左右の白線近似線をそれぞれ演算する白線近似線演算手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用白線認識装置によれば、遠方で左右の白線候補点が入り交じった状態においても各候補点を左右に正しく分離することができ、遠方まで白線を精度よく認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両用運転支援装置の概略構成図
【図2】白線認識ルーチンを示すフローチャート
【図3】白線候補点のグループ化処理サブルーチンを示すフローチャート
【図4】車外環境の撮像画像の一例を模式的に示す説明図
【図5】図4の画像から検出される白線候補点を示す説明図
【図6】検索ライン上における輝度の変化の一例を示す説明図
【図7】自車走行路が急カーブしている場合の遠方での左右の白線と右側の白線検出領域との関係を示す説明図
【図8】撮像画像上の画素に基づく連続性の判定方法を示す説明図
【図9】実空間に投影された白線候補点の一例を示す説明図
【図10】グループ化された白線候補点の一例を示す説明図
【図11】仮白線近似線及び候補点選定領域を示す説明図
【図12】選定した白線候補点を用いて演算された白線近似線及び次フレームで用いる白線検出領域を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1は車両用運転支援装置の概略構成図、図2は白線認識ルーチンを示すフローチャート、図3は白線候補点のグループ化処理サブルーチンを示すフローチャート、図4は車外環境の撮像画像の一例を模式的に示す説明図、図5は図4の画像から検出される白線候補点を示す説明図、図6は検索ライン上における輝度の変化の一例を示す説明図、図7は自車走行路が急カーブしている場合の遠方での左右の白線と右側の白線検出領域との関係を示す説明図、図8は撮像画像上の画素に基づく連続性の判定方法を示す説明図、図9は実空間に投影された白線候補点の一例を示す説明図、図10はグループ化された白線候補点の一例を示す説明図、図11は仮白線近似線及び候補点選定領域を示す説明図、図12は選定した白線候補点を用いて演算された白線近似線及び次フレームで用いる白線検出領域を示す説明図である。
【0012】
図1において、符号1は自動車等の車両(自車両)であり、この車両1には運転支援装置2が搭載されている、この運転支援装置2は、例えば、ステレオカメラ3、ステレオ画像認識装置4、制御ユニット5等を有して要部が構成されている。
【0013】
また、自車両1には、自車速Vを検出する車速センサ11、ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ12、運転支援制御の各機能のON−OFF切換等を行うメインスイッチ13、ステアリングホイールに連結するステアリング軸に対設されて舵角θstを検出する舵角センサ14、ドライバによるアクセルペダル踏込量(アクセル開度)θaccを検出するアクセル開度センサ15等が設けられている。
【0014】
ステレオカメラ3は、ステレオ光学系として、例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた1組のCCDカメラで構成されている。これら左右のCCDカメラは、ぞれぞれ車室内の天井前方に一定の間隔を持って取り付けられ、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像し、画像データをステレオ画像認識装置4に出力する。なお、以下の説明において、ステレオ撮像された画像のうち一方の画像(例えば、右側の画像)を基準画像と称し、他方の画像(例えば、左側の画像)を比較画像と称する。
【0015】
ステレオ画像認識装置4は、先ず、基準画像を例えば4×4画素の小領域に分割し、それぞれの小領域の輝度或いは色のパターンを比較画像と比較して対応する領域を見つけ出し、基準画像全体に渡る距離分布を求める。さらに、ステレオ画像認識装置4は、基準画像上の各画素について隣接する画素との輝度差を調べ、これらの輝度差が閾値を超えているものをエッジ点として抽出するとともに、抽出した画素(エッジ点)に距離情報を付与することで、距離画像(距離情報を備えたエッジ点の分布画像)を生成する。そして、ステレオ画像認識装置4は、生成した距離画像に対して周知のグルーピング処理を行い、予め記憶しておいた3次元的な枠(ウインドウ)と比較することで、自車前方の白線、側壁、立体物等を認識する。
【0016】
ここで、本実施形態において認識対象となる白線とは、例えば、単一の車線区画線や車線区画線の内側に視線誘導線等が併設された多重線(二重線等)のように、道路上に延在して自車走行レーンを区画する線を総称するものであり、各線の形態としては、実線、破線等を問わず、更に、黄色線等をも含む。また、本実施形態の白線認識においては、道路上に実在する白線が二重白線等であっても、左右それぞれ単一の直線或いは曲線等で近似して認識するものとする。
【0017】
ところで、実際の道路上に敷設された白線には上述のように各種バリエーションが存在する他、白線の形態は走行路の分岐や合流等に伴って変化する。加えて、道路上には路面補修跡や、水溜まり、雪等の各種ノイズが存在する。従って、画一的な処理によって、全ての場面で精度よく白線を認識することは困難となる。そこで、ステレオ画像認識装置4は、上述のような距離画像に基づくパターンマッチングを用いた白線認識のみに頼ることなく、各種方式を用いた白線認識を補完的に行い、これらの認識結果を総合的に判断して最終的な白線を認識する。
【0018】
このような白線認識の一つとして、ステレオ画像認識装置4は、自車前方を撮像した一方の画像(例えば、図4に示す基準画像)上の水平方向の輝度変化に基づいて左右の白線認識を行う。具体的に説明すると、例えば、図5に示すように、ステレオ画像認識装置4は、画像上に左右の白線検出領域A(Al,Ar)を設定し、各白線検出領域A内で水平方向に延在する複数の検索ラインlに対し、検索ラインl毎に車幅方向内側から外側に向けて輝度変化を調べる。そして、ステレオ画像認識装置4は、各白線検出領域A内の各検索ラインl上において、輝度が暗から明に所定以上変化する最初のエッジ点を白線候補点Pd(Pdl,Pdr)としてそれぞれ検出する。
【0019】
ここで、自車走行路上の遠方に曲率の大きなカーブが存在する場合、左右の白線検出領域Al,Arが画像上で重畳され、例えば、図7に示すように、一方の白線検出領域A(図示の例では、右側の白線検出領域Al)内に左右の白線が含まれる場合がある。このような場合、本実施形態のように車幅方向内側から外側に向けての輝度変化を調べると、他方の白線のエッジ点が一方の白線の白線候補点Pdとして誤検出される場合がある。そこで、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域Al,Ar内で検出された各白線候補点Pdl,Pdrの中から、真に左右の各白線をそれぞれ示す白線候補点P(Pl,Pr)の選定を行い、選定した白線候補点Pに基づいて白線近似線Lを演算する。
【0020】
具体的に説明すると、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域A毎に、互いに隣接する白線候補点Pdの連続性を、手前側(自車側)から遠方側へと向けて順次判定する。そして、ステレオ画像認識装置4は、予め設定された連続性を有して設定数以上連続する白線候補点Pdの点群が存在する場合には当該点群を第1のグループとしてグループ化し、連続性を有する白線候補点Pdの数が設定数未満の場合には当該点群を第2のグループとしてグループ化する(図10参照)。ここで、本実施形態において、ステレオ画像認識装置4は、白線候補点Pdのグループ化に際し、距離画像上の距離情報等に基づいて各白線候補点Pdの実空間上への投影を行う(図9参照)。そして、ステレオ画像認識装置4は、例えば、撮像画像上で隣接する各白線候補点Pd間の画素単位の誤差量、及び、実空間上で隣接する白線候補点Pd間の距離の誤差量に基づいて各白線候補点Pd間の連続性を総合的に判断する。
【0021】
全ての白線候補点Pdについてのグループ化処理が行われると、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域A毎に、第1のグループとしてグループ化された白線候補点Pdのみを用いて仮の白線近似線(仮白線近似線)Lt(Ltl,Ltr)を演算する(図11参照)。すなわち、第1のグループとしてグループ化された各白線候補点Pdは、所定の連続性を有しているため、左右の各白線をぞれぞれ示すものとして信頼性が高い。そこで、ステレオ画像認識装置4は、これら信頼性の高い白線候補点のみを用いて、仮白線近似線Ltを演算することにより、実際の白線形状から大きく逸脱することのない、白線の概略形状を把握する。
【0022】
そして、ステレオ画像認識装置4は、左右の仮白線近似線Ltを基準とする各候補点選定領域As(Asl,Asr)をそれぞれ設定し、左右の白線検出領域内Al,Ar内で検出した全ての白線候補点Pdの中から各候補点選定領域As内に存在する白線候補点Pdを、左右の各白線についての最終的な白線候補点P(Pl,Pr)としてそれぞれ選定する。
【0023】
そして、ステレオ画像認識装置4は、左右の各候補点選定領域As内で選定した白線候補点Pを用いて最終的な左右の白線近似線L(Ll,Lr)をそれぞれ演算するとともに、演算した各白線近似線Lに基づいて次フレームでの白線検出領域Aを設定する(図12参照)。
【0024】
このように、本実施形態において、ステレオ画像認識装置4は、候補点検出手段、グループ化手段、仮白線近似線演算手段、候補点選定手段、及び、白線近似線演算手段としての各機能を実現する。
【0025】
なお、ステレオ画像認識装置4は、その他の種々の方法によって白線認識を行うことが可能となっている。そして、ステレオ画像認識装置4は、例えば、各白線認識において認識した白線の近似線と当該認識に用いられたエッジ点等の白線候補点との関係(例えば、近似線に対する白線候補点の分散等)に基づき、認識した各近似線の中から最も適切な近似線を選択し、当該近似線を最終的な白線の近似線として制御ユニット5に出力する。
【0026】
制御ユニット5には、ステレオ画像認識装置4で認識された自車両1前方の走行環境情報が入力される。さらに、制御ユニット5には、自車両1の走行情報として、車速センサ11からの車速V、ヨーレートセンサ12からのヨーレートγ等が入力されると共に、ドライバによる操作入力情報として、メインスイッチ13からの操作信号、舵角センサ14からの舵角θst、アクセル開度センサ15からのアクセル開度θacc等が入力される。
【0027】
そして、例えば、ドライバによるメインスイッチ13の操作を通じて、運転支援制御の機能の1つであるACC(Adaptive Cruise Control)機能の実行が指示されると、制御ユニット5は、ステレオ画像認識装置4で認識した先行車方向を読み込み、自車走行路上に追従対象の先行車が走行しているか否かを識別する。
【0028】
その結果、追従対象の先行車が検出されていない場合は、スロットル弁16の開閉制御(エンジンの出力制御)を通じて、ドライバが設定したセット車速に自車両1の車速Vを維持させる定速走行制御を実行する。
【0029】
一方、追従対象車両である先行車が検出され、且つ、当該先行車の車速がセット車速以下の場合は、先行車との車間距離を目標車間距離に収束させた状態で追従する追従走行制御が実行される。この追従走行制御時において、制御ユニット5は、基本的にはスロットル弁16の開閉制御(エンジンの出力制御)を通じて、先行車との車間距離を目標車間距離に収束させる。さらに、先行車の急な減速等によりスロットル弁16の制御のみでは十分な減速度が得られないと判断した場合、制御ユニット5は、アクティブブースタ17からの出力液圧の制御(ブレーキの自動介入制御)を併用し、車間距離を目標車間距離に収束させる。
【0030】
また、ドライバによるメインスイッチ13の操作を通じて、運転支援制御の機能の1つである車線逸脱防止機能の実行が指示されると、制御ユニット5は、例えば、自車走行レーンを規定する左右の白線(ステレオ画像認識装置4で認識した白線の近似線)に基づいて警報判定用ラインを設定するとともに、自車両1の車速Vとヨーレートγとに基づいて自車進行経路を推定する。そして、制御ユニット5は、例えば、自車前方の設定距離(例えば、10〜16[m])内において、自車進行経路が左右何れかの警報判定用ラインを横切っていると判定した場合、自車両1が現在の自車走行車線を逸脱する可能性が高いと判定し、車線逸脱警報を行う。
【0031】
次に、ステレオ画像認識装置4において実行される、基準画像上の輝度変化に基づく白線認識について、図2に示す白線認識ルーチンのフローチャートに従って説明する。なお、本ルーチンによる処理は、左右の白線検出領域Al,Arそれぞれに対して同様の処理が個別に行われるものであるが、説明を簡略化するため、以下の説明において特に必要な場合を除き、例えば白線検出領域Al,Arを総称して白線検出領域Aと標記する等、左右の属性を示す添字”l”及び”r”を適宜省略して説明する。
【0032】
このルーチンがスタートすると、ステレオ画像認識装置4は、先ず、ステップS101において、前フレームの画像に対するステップS107の処理で設定された白線検出領域A内の各検索ラインl毎に白線候補点Pdの検出を行う。具体的には、例えば、図6に示すように、ステレオ画像認識装置4は、車幅方向内側から外側に向けて、各検索ラインl上でのエッジ検出を行い、車幅方向外側の画素の輝度が内側の画素の輝度に対して相対的に高く、且つ、その変化量を示す輝度の微分値がプラス側の設定閾値以上となる点(エッジ点)を検出する。そして、ステレオ画像認識装置4は、白線検出領域A内の各検索ラインl上において、最初に検出されたエッジ点を白線候補点Pdとして抽出する(図5,7参照)。なお、図5,7においては、説明を簡略化するため、検索ラインl及び白線候補点Pd等が所定に間引かれて表示されている。
【0033】
続くステップS102において、ステレオ画像認識装置4は、ステップS101で検出した各白線候補点Pdを、距離画像上で該当する画素の距離情報、及び、基準画像上で該当する画素の水平方法の画素位置等に基づいて、実空間上に投影する(図9参照)。
【0034】
そして、ステップS102からステップS103に進むと、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域Alで検出された白線候補点Pd毎に、白線候補点Pdのグループ化処理を行う。
【0035】
このグループ化処理は、例えば、図3に示す白線候補点のグループ化処理サブルーチンに従って行われる。サブルーチンがスタートすると、ステレオ画像認識装置4は、先ず、ステップS201において、現時点でグループ化されていない白線候補点Pdの中で最も自車1側に位置する白線候補点Pdを抽出し、抽出した白線候補点Pdを最初の白線候補点Pdとして組み込んだ新たなグループを作成する。
【0036】
そして、ステップS201からステップS202に進むと、ステレオ画像認識装置4は、現在グループ内に組み込まれている最後尾の白線候補点Pdよりも遠方に白線候補点(次の白線候補点)Pdが存在するか否かを調べる。
【0037】
そして、ステップS202において、次の白線候補点Pdが存在すると判定すると、ステレオ画像認識装置4は、ステップS203に進み、当該次の白線候補点Pdを注目する白線候補点Pd(n)とする従前の白線候補点Pdとの比較により、画素に基づく誤差判定を行う。すなわち、ステレオ画像認識装置4は、例えば、図8に示すように、注目する白線候補点Pd(n)と、1つ手前の白線候補点Pd(n−1)との画像上における水平方向(i方向)及び垂直方向(j方向)の画素のずれ量(水平方向誤差Δi、及び、垂直方向誤差Δj)を演算する。さらに、ステレオ画像認識装置4は、1つ手前の白線候補点Pd(n−1)と、2つ手前の白線候補点Pd(n−2)との画像上における水平方向誤差Δi_old、及び、垂直方向誤差Δj_oldを演算し、以下の(1)式を用いて、水平方向誤差変化量Δsを演算する。
Δs=(Δi/Δj)−(Δi_old/Δj_old) …(1)
そして、ステレオ画像認識装置4は、水平方向誤差Δi、垂直方向誤差Δj、及び、水平方向誤差変化量Δsの全てが予め設定された閾値内である場合、白線候補点Pd(n)は1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して画像上における連続性を有すると判断する。一方、水平方向誤差Δi、垂直方向誤差Δj、或いは、水平方向誤差変化量Δsの少なくとも何れか1つが予め設定された閾値内にない場合、白線候補点Pd(n)は1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して画像上における連続性を有さないと判断する。
【0038】
ステップS203からステップS204に進むと、ステレオ画像認識装置4は、注目する白線候補点Pd(n)と従前の白線候補点Pdとの距離に基づく誤差判定を行う。すなわち、ステレオ画像認識装置4は、注目する白線候補点Pd(n)と1つ手前の白線候補点Pd(n−1)との実空間上における水平方向(X方向)と垂直方向(Z方向)の距離のずれ量(水平方向距離誤差ΔX、及び、垂直方向距離誤差ΔZ)を演算する。
【0039】
そして、ステレオ画像認識装置4は、水平方向距離誤差ΔX、及び、垂直方向距離誤差ΔZの全てが予め設定された閾値内である場合、白線候補点Pd(n)は1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して実空間距離上における連続性を有すると判断する。一方、水平方向距離誤差ΔX、或いは、垂直方向距離誤差ΔZの少なくとも何れか1つが予め設定された閾値内にない場合、白線候補点Pd(n)は1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して実空間距離上における連続性を有さないと判断する。
【0040】
ステップS204からステップS205に進むと、ステレオ画像認識装置4は、ステップS203の画素に基づく誤差判定、及び、ステップS204の距離の基づく誤差判定の何れもにおいて、注目する白線候補点Pd(n)が1つ手前の白線候補点Pd(n−1)に対して連続性を有すると判定されたか否かを調べる。
【0041】
そして、ステップS203或いはステップS204の少なくとも何れか一方において白線候補点Pd(n)が白線候補点Pd(n−1)に対して連続性なしと判定されている場合、ステレオ画像認識装置4は、現在の注目する白線候補点Pd(n)を現在のグループに組み込むことなくステップS205からステップS206に進み、現在のグループを第1のグループ或いは第2のグループの何れかに分類した後、ステップS201に戻る。すなわち、ステップS206において、ステレオ画像認識装置4は、現在のグループに属する白線候補点Pdの数が予め設定された閾値以上である場合、各白線候補点Pdは現在認識対象として注目している白線(自車1の右側の白線、或いは、左側の白線)を示すものである可能性が高いと判断して、当該グループを第1のグループに分類する。一方、現在のグループに属する白線候補点Pdの数が予め設定された閾値未満である場合、各白線候補点Pdは現在認識対象として注目している白線を示すものと判定するには不十分であると判断して、当該グループを第2のグループに分類する(図10参照)。
【0042】
一方、ステップS203及びステップS204の何れにおいても白線候補点Pd(n)が白線候補点Pd(n−1)に対して連続性ありと判定されている場合、ステレオ画像認識装置4は、現在の注目する白線候補点Pd(n)を現在のグループに取り込んだ後、ステップS205からステップS202に戻る。
【0043】
また、ステップS202において、次の白線候補点Pdが存在しないと判定すると、ステレオ画像認識装置4は、ステップS207に進み、上述のステップS206と同様の処理により、現在のグループを第1のグループ或いは第2のグループの何れかに分類した後、サブルーチンを抜ける。
【0044】
図2のメインルーチンにおいて、ステップS103からステップS104に進むと、ステレオ画像認識装置4は、左右の白線検出領域A毎に、ステップS103で第1のグループとしてグループ化された白線候補点Pdのみを用いて仮白線近似線Ltを演算する(図11参照)。ここで、本実施形態の仮白線近似線Ltは、以下の(2)式に示すように、車両1に対する鉛直方向Z距離に対し、a,b,cの各パラメータによって白線の車両水平方向距離Xが同定されるものである。
X=aZ2+bZ+c …(2)
ここで、(2)式に示す仮白線近似線Ltのパラメータa,b,cは、例えば、第1のグループに属する白線候補点Pdを用いた最小二乗法によって求めることが可能であり、各パラメータa,b,cは、仮白線近似線Ltに対する各白線候補点Pdの分散が最小となる値に決定される。なお、(2)式においては、便宜上、パラメータを左右共通の記号a,b,cで表記しているが、これらは、左右の仮白線近似線Ltl,Ltrについて個別に設定されるものであることは云うまでもない。
【0045】
続くステップS105において、ステレオ画像認識装置4は、ステップS104で演算した仮近似曲線Ltに基づき、左右の各白線についての最終的な白線候補点Pdの選定を行う。すなわち、ステレオ画像認識装置4は、ステップS104で求めた仮白線近似線Ltを車幅方向内側及び外側にそれぞれΔEオフセットさせることにより、以下の(3)式及び(4)式で規定される候補点選定領域Asを設定する(図11参照)。
X1=aZ2+bZ+c−ΔE …(3)
X2=aZ2+bZ+c+ΔE …(4)
そして、ステレオ画像認識装置4は、左右の各白線検出領域Al,Arで検出された全ての白線候補点Pdl,Pdrの中から、左側の候補点選定領域Asl内に存在する白線候補点Pdl及びPdrを、左側の白線についての最終的な白線候補点Plとして選定すると共に、右側の候補点選定領域Asr内に存在する白線候補点Pdl及びPdrを、右側の白線についての最終的な白線候補点Prとして選定する(図12参照)。
【0046】
続くステップS106において、ステレオ画像認識装置4は、左右の各候補点選定領域Asで選定した白線候補点Pを用いて左右の白線近似線Lをそれぞれ演算する(図12参照)。ここで、本実施形態の白線近似線Lは、上述の仮白線近似線Ltと同様、以下の(5)式に示すように、車両1に対する鉛直方向Z距離に対し、A,B,Cの各パラメータによって白線の車両水平方向距離Xが同定されるものである。
X=AZ2+BZ+C …(5)
ここで、(2)式に示す仮白線近似線LtのパラメータA,B,Cは、例えば、最終的な白線候補点Pを用いた最小二乗法によって求めることが可能であり、各パラメータA,B,Cは、白線近似線Lに対する各白線候補点Pの分散が最小となる値に決定される。なお、(5)式においては、便宜上、パラメータを左右共通の記号A,B,Cで表記しているが、これらは、左右の仮白線近似線Ltl,Ltrについて個別に設定されるものであることは云うまでもない。
【0047】
そして、ステップS107に進むと、ステレオ画像認識装置4は、ステップS106で演算した白線近似線Lを車幅方向内側及び外側にそれぞれΔEオフセットされることにより、以下の(6)式及び(7)式で規定される次フレームでの白線検出領域Aを設定した後(図12参照)、ルーチンを抜ける。
X1=AZ2+BZ+C−ΔE …(6)
X2=AZ2+BZ+C+ΔE …(7)
このような実施形態によれば、左右の白線検出領域A毎に、互いに隣接する白線候補点Pdの連続性を順次判定し、予め設定された連続性を有して所定数以上連続する白線候補点の点群を第1のグループとしてグループ化し、グループ化された白線候補点のみを用いて仮白線近似線Ltを演算することにより、左右の各白線をそれぞれ示すものとして信頼性の高い白線候補点Pdのみを用いて、実際の白線形状から大きく逸脱することのない白線形状を把握することができる。そして、左右の仮白線近似線Ltを基準とする候補点選定領域Asをそれぞれ設定し、左右の白線検出領域Aで検出した全ての白線候補点Pdの中から各候補点選定呂域As内に存在する白線候補点Pdを最終的な白線候補点Pとしてそれぞれ選定することにより、左右の白線候補点Pdが入り交じって検出された場合にも、これらを精度よく分離することができる。そして、このように精度よく左右に分離した白線候補点Pに基づいて白線近似線Lをそれぞれ演算することにより、自車走行路前方にカーブが存在する場合にも白線を遠方まで精度よく認識することができる。
【0048】
その際、連続性の判定を、白線候補点Pdの検出精度の高い自車1の手前側から遠方側に向けて順次行うことにより、精度のよい判定結果を得ることができる。
【0049】
なお、上述の実施形態においては、ステレオカメラを用いて各画素の距離情報を演算する一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、自車走行路が平坦路であると仮定して、単眼のカメラで捉えた画像から各白線候補点の距離情報を演算することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 … 車両(自車両)
2 … 運転支援装置
3 … ステレオカメラ
4 … ステレオ画像認識装置(候補点検出手段、グループ化手段、仮白線近似線演算手段、候補点選定手段、白線近似線演算手段)
5 … 制御ユニット
11 … 車速センサ
12 … ヨーレートセンサ
13 … メインスイッチ
14 … 舵角センサ
15 … アクセル開度センサ
16 … スロットル弁
17 … アクティブブースタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車走行路を撮像した画像上に設定した左右の各白線検出領域内で水平方向に延在する検索ライン毎に車幅方向の輝度変化を調べ、輝度が暗から明に所定以上変化するエッジ点をそれぞれ白線候補点として検出する候補点検出手段と、
左右の前記白線検出領域毎に、互いに隣接する前記白線候補点の連続性を順次判定し、予め設定された連続性を有して所定数以上連続する前記白線候補点の点群をそれぞれグループ化するグループ化手段と、
左右の前記白線検出領域毎に、グループ化された前記白線候補点に基づいて仮白線近似線を演算する仮白線近似線演算手段と、
左右の前記仮白線近似線を基準とする候補点選定領域をそれぞれ設定し、左右の前記白線検出領域で検出した前記白線候補点の中から前記各候補点選定領域内に存在する前記白線候補点をそれぞれ選定する候補点選定手段と、
左右の前記各候補点選定領域内で選定した前記白線候補点を用いて左右の白線近似線をそれぞれ演算する白線近似線演算手段と、を備えたことを特徴とする車両用白線認識装置。
【請求項1】
自車走行路を撮像した画像上に設定した左右の各白線検出領域内で水平方向に延在する検索ライン毎に車幅方向の輝度変化を調べ、輝度が暗から明に所定以上変化するエッジ点をそれぞれ白線候補点として検出する候補点検出手段と、
左右の前記白線検出領域毎に、互いに隣接する前記白線候補点の連続性を順次判定し、予め設定された連続性を有して所定数以上連続する前記白線候補点の点群をそれぞれグループ化するグループ化手段と、
左右の前記白線検出領域毎に、グループ化された前記白線候補点に基づいて仮白線近似線を演算する仮白線近似線演算手段と、
左右の前記仮白線近似線を基準とする候補点選定領域をそれぞれ設定し、左右の前記白線検出領域で検出した前記白線候補点の中から前記各候補点選定領域内に存在する前記白線候補点をそれぞれ選定する候補点選定手段と、
左右の前記各候補点選定領域内で選定した前記白線候補点を用いて左右の白線近似線をそれぞれ演算する白線近似線演算手段と、を備えたことを特徴とする車両用白線認識装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−164288(P2012−164288A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26337(P2011−26337)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
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